ユニファイドコマースにおけるオンライン接客のメリットと導入時の注意点

ユニファイドコマースにおけるオンライン接客とは

 オンライン接客とはデジタル技術を通じて、販売員がオンライン上で接客を行うことです。オンライン接客は、ユニファイドコマースを目指す取り組みのひとつでもあり、お客様はオンライン接客を利用することで、店舗を訪れる必要なくECサイト上のチャットやビデオチャットで、対面接客と変わらない接客を受けることができます。

 このように消費者にとって便利なオンライン接客。一方、企業側はオンライン接客を導入することで、お客様の利便性を高め、顧客体験の向上が期待できます。この記事では、オンライン接客を導入するにあたって、オンライン接客におけるメリットと導入時の注意点について、紹介していきます。

オンライン接客の種類

 オンライン接客には様々なスタイルがあり、自社の取り扱っている商品・サービスの性質に合わせて適切な形式を選ぶ必要があります。オンライン接客の代表的なスタイルを5つ挙げていきます。

1.ビデオ通話型
 ビデオ通話型は、映像と音声でコミュニケーションを取り接客するスタイルです。 パソコンやスマートフォンの画面越しですが、お客様とオペレーターがお互いの顔を見ながら話すので、オフライン接客に最も近いスタイルです。お客様との関係性構築・信頼を得やすい接客形態となります。また、洋服や化粧品など視覚的に商品の説明をおこなう商材や、不動産や保険など同じ資料を共有しながら会話をした方がよい商品サービスを販売する場合に有効です。ビデオ型には、画面越しに1対1でおこなうスタイルと、1対複数でおこなうライブコマーススタイルの2種類があります。

2.チャット型
 チャット型は、お客様が疑問に思った点や詳細な情報を得たいと思った際に、チャットでコミュニケーションをとるスタイルです。お客様の質問に即座に回答ができるため、お客様の視点では手軽にスピーディに疑問を解消することができます。問い合わせ履歴を文字で残せたり、システムによってはお客様情報を収集できるなどのメリットがあります。
 また、チャット型には、AI(人工知能)技術を活用したチャットボット形式とオペレーター対応するスタイルがあります。お客様からの簡単な質問にはチャットボットで対応し、複雑な質問にはオペレーターが対応するなど併用するパターンもあります。

  • オルビスのオンライン接客の取り組み
     例えば、化粧品会社のオルビスでは、2022年11月にアプリに伴走型の美容パーソナルサービス「肌カ.ル.テ」を導入しました。お客様は、アプリに自分の肌の状態や写真を登録することで、自分の肌の状態や変化を管理することができます。アプリ上で肌状態の分析結果がわかるだけでなく、悩みを気軽に相談できたり、美容のプロから有人チャットによるカウンセリングが受けられるなど、話題になりました。2023年7月にはアプリの累計ダウンロード数が500万を突破するなど、新しい形の接客スタイルを築いています。

参考:オルビス、美容の成功体験を伴走!お肌の悩みに寄り添い、AIによる肌の分析結果に基づいたスキンケア方法をご提案する『肌カ.ル.テ』2022年11月21日(月)より、ORBISアプリ内でサービス開始 

参考:「ORBISアプリ」累計ダウンロード数500万を突破※1

3.電話型
 電話型はお客様とスタッフが電話やボイスチャットで会話するスタイルです。音声通話による接客であり、お客様の声から感情や温度感を確認することができます。

4.メール・SNS型
 お客様からのメールやSNSのメッセージによる問い合わせに、スタッフが返信する形式のスタイルです。近年では、その利用率の高さから、LINEを活用したオンライン接客が注目されている傾向があります。アパレルブランドの「ナノ・ユニバース」は2023年4月より全店で「LINE STAFF START」の導入を始めました。「LINE STAFF START」はLINEとバニッシュ・スタンダードが共同開発したオンライン接客ツールです。

現在、日本国内の月間利用者数は9,500万人以上(※1)。日本の人口の70%以上(※2)が使用している計算となり、国内では日常生活におけるライフプラットフォームと呼べるほど普及しています。

※1 2023年6月末時点
※2 LINEの国内月間アクティブユーザー 9,500万人÷日本の総人口1億2508万2000人(2022年8月1日現在(確定値) 総務省統計局)

参考:LINEの特徴やユーザーを知る

5.ポップアップ型
 ポップアップ型は、接客スタッフ不要のオンライン接客で、スマートフォンやパソコン上でお客様のスクロールや滞在時間に応じておすすめ商品を表示させます。例えば、お客様がサイトを訪れた際に、商品閲覧履歴やサイト上での行動履歴を解析することで、タイミングを見計らってポップアップをおこないます。これにより、売上のアップや離脱率の減少が期待できます。
 チャット型と似ていますが、サイトを訪れたお客様に対して能動的な働きかけが行えるのがポップアップ型のオンライン接客です。

  • アシックスジャパンの取り組み
     アシックスジャパンのシューズブランド「GEL-RIDEWALK LE」では、ポップアップ型のオンライン接客を導入しています。お客様がECサイトにアクセスした際、クーポン利用期間に合わせて、クーポンコードや商品の特徴、店舗購入したいユーザーに向けて直営店一覧を表示させるなどの施策をおこなっています。

参考:特定商品の商品特徴紹介やクーポンをKARTEのポップアップと併用し、購入促進を実現

ユニファイドコマースにためのオンライン接客、導入のメリット

 お客様にとってオンライン接客は、店舗に行かなくてもパソコンやタブレット、スマートフォンから簡単にアクセスすることができ、気軽に接客を受けられることがメリットです。企業がオンライン接客を導入する際にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

1.顧客満足度の向上
 オンライン接客を通じて迅速かつ適切な対応を提供することで、顧客満足度の向上が期待できます。お客様は店頭へ赴かなくても、空いた時間に自宅などから自分の都合に合わせて接客やサービスを受けることができたり、気軽にチャットで問い合わせをして商品サービスに対する疑問を解消することができます。

2.マーケティング施策定のためのデータベース構築
 オンライン接客の会話やテキストのやりとりを記録し、データベースを構築し、分析・活用することでお客様の要望や傾向を把握しやすくなります。マーケティング戦略の策定や製品・サービスの改善・商品開発などに役立ちます。

3.新たな市場・新規顧客の開拓
 オンライン接客を導入することで、地理的な制約を超えて新たな市場や顧客層にアプローチすることができます。東京から地方へのアプローチ、日本国内はもちろん、海外のお客様を取り込む機会も広がります。

4.従業員の働き方改革
 オンライン接客は、従業員に対して新しい働き方を提供できます。 業態によっては対応スタッフは必ずしも店舗に出勤する必要がなくなります。 リモートでの勤務形態を導入することで、人材採用の面においても、子育てや介護とのバランスを取りながら働ける環境を提供することで、優秀な人材の獲得が期待できます。

ユニファイドコマースにためのオンライン接客、導入時の注意点

 続いて、オンライン接客のメリットを自社のビジネスに最大限に有効活用するため、導入時の注意点を挙げていきます。

1.自社の業態・商品サービスにあったシステムの選定
 オンライン接客のメリットとして「顧客満足度の向上」「マーケティング施策策定のためのデータベース構築」「新たな市場・新規顧客の開拓」「従業員の働き方改革」などが挙げられます。まずは 現状の自社の課題を把握し、導入の目的を明確にした上で、自社の業態や商品サービスにあったシステムを選定しましょう。

2.万全なセキュリティ対策
 オンライン接客では、個人情報や会話がオンラインでやり取りされます。セキュリティ対策を徹底し、顧客の個人情報や機密情報が漏洩しないように対策を徹底する必要があります。信頼性のあるシステムを採用し、適切な暗号化と認証システムの導入、情報セキュリティに関するスタッフの教育、アクセスの制御などを徹底し、データ漏洩や不正アクセスを防ぐ対策をおこないましょう。

3.アクセシビリティの対応
 オンライン接客を利用する際、全ての顧客が簡単にアクセスできるように配慮する必要があります。お客様が操作方法で戸惑ってしまわないように、Q&Aページにお問い合わせボタンを設置したり、設置や直感的に操作ができるようにチャットボックスをポップアップ表示させるなど、ユーザーフレンドリーなインターフェースやアクセシビリティ機能を提供することで、利用者の幅を広げることができます。

4.スタッフの教育とマニュアル作成
 オンライン接客を導入するにあたって、 店舗での接客に慣れたベテランのスタッフであっても、新たな教育が必要です。マニュアルを作成しスタッフをトレーニングする必要があります。新しいシステムを導入するにあたって、スタッフのモチベーションを下げずにしっかりとシステムを覚えてもらうことが重要です。システムの操作方法のマニュアル作成はもちろん、Q&Aの作成やロールプレイングなどをおこない、スムーズな接客ができるよう準備をおこないましょう。

まとめ

 この記事では、オンライン接客の概要と導入時の注意点について紹介いたしました。 自社でオンライン接客を導入する際はぜひ参考にしてみてください。W2株式会社は、ECプラットフォーム「W2 Unified」「W2 Repeat」を展開しており、国内市場でユニファイドコマースをリードしている会社のひとつです。次世代の新しいスタイルのECに取り組みたい、課題を洗い出しをしたいなどのご相談がありましたら、ぜひ弊社へお声がけください。

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ライター:ユニファイドコマース編集部
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