ユニファイドコマースの定義

「Unified Commerce(ユニファイドコマース)」とは、オンライン・オフラインという概念にこだわらず、ECサイトや実店舗で取得したデータ(顧客情報・行動履歴など)を統合し活用する、顧客一人ひとりに価値ある購買体験を提供するマーケティング手法のことです。

 日本においては、まだなじみの薄いユニファイドコマースですが、海外ではすでに、すでにチャネルの次のマーケティング手法として注目されています。

 例えば、アメリカに本社を置く大手スーパーマーケットチェーンのウォルマートでは、顧客が「実店舗で商品購入」「ECサイトから商品を注文・配達」といった従来の買い物のスタイルに加え、WEBサイトやモバイルアプリで商品を購入し、配達を待たずに職場や自宅近くの実店舗で商品を受け取れるサービスおこなっています。さらに来店・購入履歴を分析し、商品をお勧めするなどのマーケティング施策を実施しています。すでに海外では、次世代のマーケティング戦略であるユニファイドコマースが浸透しつつあります。

———小売業者の 85% が、ユニファイドコマースが最優先事項であると述べています。

;BRP SPECIAL REPORT: ユニファイド コマースが目標、「偽の」オムニチャネルが現実

オムニチャネルでは、1人のお客様に対して店舗やECやカタログなどで購入できることが概念であった一方で、ユニファイドコマースでは、SNSやライブコマースなどチャネルの増加に加え、集積したデータでプラットフォームを形成し、データを利活用することで、お客様にパーソナライズなマーケティングを実施するまで可能とすることを目指します。https://blog.qivos.com/unified-commerce-the-evolution-of-omni-channel/

 日本では、多くの企業がオムニチャネルに取り組んでいますが、ユニファイドコマースは、オムニチャネルの進化の先にあります。ユニファイドコマースは、オムニチャネルの概念である「消費者が複数チャネルから便利に買い物ができること」に加えて、それぞれチャネルから得た顧客データを活用し、お客様一人ひとりに適した買い物体験を提供できるという概念がユニファイドコマースです。つまり、オムニチャネルの進化の先に存在するのが「ユニファイドコマース」なのです。

ユニファイドコマースの実現施策―データベース構築

続いて、ユニファイドコマースを実現するためには、何をすべきかを考えていきます。ユニファイドコマースは、あらゆるチャネルから集めた顧客データを統合した上で、マーケティングに活用します。そのためには顧客情報や購買行動などのデータベースの構築が不可欠となります。

 目指す姿は、お客様一人ひとりに紐づく情報が一貫してそろった状態です。住所、氏名、年齢、性別、生年月日などの個人情報に加えて、購入・来店履歴、お問い合わせ情報、クレームなどの過去対応履歴、メルマガやダイレクトメールの開封履歴などすべてがそろった状態が理想です。

 例えば「ライブコマースを導入した」「AIによるWEB接客を導入した」などの接客チャネルを増やすだけでは、不完全なオムニチャネルの状態と言えます。情報の統合が不十分であり、店舗の情報はPOSシステム内に、オンラインショップの情報はECプラットフォーム内に、そして新しく追加したチャネルはそのチャネルの管理画面内に、それぞれ分断されている状態です。この状態の場合、顧客ごとの行動や過去の対応が連携されていないため、お客様一人ひとりに一貫した接客をすることができなくなります。すでに購入済み商品をレコメンドしてしまったり、直近でお詫び対応をしたにも関わらず、その背景を考慮せずに、別のチャネルで対応してしまうなどのトラブルが想定されます。このように、データベースの構築が不十分な状態では、顧客満足度が下がり、お客様が離れてしまいます。「新規顧客を獲得できても次の購入につながらない」という問題にもつながります。また 「マーケティング施策として広告費を投下した」「専任を採用してSNSの投稿を強化した」など、コストをかけて施策を増やしているのにも関わらず、売上が上がらない理由も、データベースの構築が不十分であることが考えられます。

 ユニファイドコマース戦略に取り組む前に、まずは自社で保有しているデータにはどのようなものがあるのか、どのような形式でどのようなシステムを導入しているのかを把握しましょう。実店舗を持たないEC事業の場合は、購入履歴や会員情報がそのまま顧客データの軸となるので比較的シンプルな状態ですが、複数の実店舗を展開する企業の場合は、これに店舗数分の顧客データが加わり、さらにWEB広告やSNSなどを経由したデータも加わります。つまり、ユニファイドコマースを実現するためには、新しいチャネルを増やすだけでなく、データベースを構築する仕組みを作っておくことが不可欠なのです。

  

データベース構築するための具体的なソリューション

 続いて、顧客データ管理とその活用における課題に対しての、具体的な解決策を考えていきます。事業が小規模の段階では手作業で補えていたデータの管理が、事業拡大とともに徐々に手に負えなくなってきます。

 ユニファイドコマースを実現するためには、自社が扱う様々なチャネルから得たデータを一元管理する必要があります。ユニファイドコマースの基盤となる有効なデータベースを構築するための具体的なソリューションをあげていきます。

  • データウェアハウス(Data Wearhouse)の設計

 データウェアハウスは、分析、レポート、予測などのデータ操作を行うためのストレージシステムです。大量のデータを効果的に管理するためには、データの整合性と品質な保つための機能を備えた適切なデータウェアハウスの設計が必要です。ユニファイドコマースでは大量のデータを一元管理する必要がありますので、自社の要件にあったプラットフォームを選ぶことが重要です。

  • データの標準化とクリーニング

 データの品質はその利用価値を決定します。データを標準化し(すべてのデータが同じ形式であることを確認する)とクリーニング(不完全または不正確なデータの修正または削除)することで、正確で一貫した分析が可能となります。手作業で行う場合もありますが、自動化されたツールやソフトウェアを使用して、効率的に行うことをおすすめします。

  • リアルタイムデータの活用

ユニファイドコマースは、リアルタイムの顧客行動データを活用して、顧客一人ひとりにパーソナライズされた買い物体験を提供します。これには、ほぼリアルタイムでのデータを処理、分析、および応答することが必要となります。自社で使用しているシステムが、リアルタイムで情報連携できない場合は、一元管理できるシステムの導入を検討しましょう。

  • データセキュリティとプライバシー保護

ユニファイドコマースでは、大量の個人情報を扱うため、データセキュリティとプライバシー保護が重要となります。これには、データ暗号化、アクセス制御、データプライバシー関連の法規制遵守などが含まれます。EC化率の拡大とともに、ネット犯罪も増加傾向にあります。セキュリティ体制に脆弱性がないか定期的に確認をおこなうとともに、情報を扱うスタッフに対し、セキュリティに関する教育を行うことも必要です。情報漏洩などのセキュリティ関連のトラブルは、企業に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。顧客はもちろんパートナー企業・取引先からの信頼を失うことにつながり、結果としてビジネスへの悪影響を与えます。徹底した対策をおこないましょう。

  • 分析とインサイト

  データの収集と一元化は、より深い顧客理解と洞察を得るための手段です。高度な分析ツールやAI技術を統合することで、データから価値ある洞察を得ることができます。データの探索や可視化、予測分析、機械学習などの機能を組み込むことで、より深い顧客理解と洞察を獲得することができます。これには、適切な分析ツールの導入と専門知識が必要です。

システムの導入はもちろん、それを使いこなせる人材の採用・教育体制も整えましょう。

 大量な量のデータを扱うユニファイドコマースでは、データベースの基盤の構築が不可欠です。様々なチャネルやシステムでデータが分散している状態だと、顧客データ管理に様々な課題が生じます。情報のエラーや重複をなくすため、データクレンジングやマージの作業が必要となることはもちろん、個人情報を含むデータを取り扱うため、プライバシーやセキュリティの観点からも細心の注意が必要です。上記であげたポイントを参考に、問題となっている箇所があれば、システムのリプレイスをぜひ検討してみてください。互換性があるシステム同士であれば連携もスムーズですが、個々が独立している場合は、大掛かりな移管作業も発生しますので、まずは実態の把握と問題点の洗い出しをおこないましょう。

まとめ

ユニファイドコマースは、「オムニチャネル」の次を行くマーケティング手法です。日本ではまだ事例やノウハウが知られておらず、情報が少ない現状です。具体的にどのように取り組むのか、その際の課題やヒントとなる事例を、本メディアで発信していきます。

 W2株式会社は、ECプラットフォーム「W2 Unified」「W2 Repeat」を展開しており、国内市場でユニファイドコマースをリードしている会社のひとつです。次世代の新しいスタイルのECに取り組みたい、課題を洗い出しをしたいなどのご相談がありましたら、ぜひ弊社へお声がけください。
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ライター:ユニファイドコマースメディア編集部

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「ユニファイドコマースメディア」は、OMOやオムニチャネルの進化系であるユニファイドコマースに関する情報を発信するWEBメディアです。 ユニファイドコマース(Unified Commerce)とは、オンライン・オフラインという概念にこだわらず、ECサイトや実店舗で取得したデータ(顧客情報・行動履歴など)を統合し活用する、顧客一人ひとりに価値ある購買体験を提供するマーケティング手法を指します。

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