ユニファイドコマースが叶える顧客体験の向上とは

 近年、顧客体験を向上させる新しいマーケティング手法として、ユニファイドコマースが注目されています。現代のマーケティング戦略において、顧客体験の向上は重要不可欠です。より良い顧客体験を提供することは、自社のブランドを差別化し、市場での存在感を高めます。顧客体験を向上させることで、商品やサービスへの満足と共に、良質な顧客体験を感じたお客様はブランドのファンとなり、リピーターとなる傾向があり、定期的な収益をもたらします。また、ファン化したお客様が買い物で得た良い経験をSNSなどでシェアすることで、その先の新規顧客の獲得も期待できます。企業にとって、顧客体験の向上は、効果的なマーケティング戦略の一部であり、ビジネスの成功にあたって不可欠な要素です。
 ユニファイドコマースは、オンラインとオフラインをシームレスにつなぎ、さらに各チャネルから集めた顧客情報や購買・行動データを活用することで、お客様一人ひとりに最適な買い物体験を提供するマーケティング手法です。お客様により便利でストレスのない買い物の仕方を提供することで、顧客体験の向上を図ります。この記事ではユニファイドコマースが叶える顧客体験の向上のポイントを紹介していきます。

オムニチャネルで実現するシームレスな買い物体験の提供による顧客体の向上

 オムニチャネルは、ECサイトと実店舗の間の垣根をなくすことで、お客様がどのチャネルを利用しても一貫した購買体験を提供することを目指すアプローチのことを指します。これは提供されるサービスにおいて実店舗とECの境目をなくし、お客様に便利な買い物体験を提供することを意味しています。ユニファイドコマースは、オムニチャネルの進化形ともいわれるマーケティング手法です。オムニチャネルによるシームレスな買い物体験とは、主に下記の3点が挙げられます。

  • 顧客情報のデータ統合による購入情報やポイントの一元管理
     これまでは実店舗とECサイトで別々だった顧客情報を統合し一元管理することで、お客様が店舗で買い物してもECサイトで買い物しても、同等のサービスを受けることができます。例えば、オンラインショッピングで貯めたポイントを実店舗でも使用できたり、オンラインショッピングの購入履歴をもとに実店舗スタッフが商品をお勧めしたりなどが挙げられます。顧客体験の向上を目指す上で顧客情報の一元管理は欠かせません。
  • 在庫管理システム導入で品切れを防ぐなど効率の良い買い物体験の提供
     オムニチャネルでは、実店舗とECサイトの在庫連携も重要です。これによりお客様がECサイトから欲しい商品の在庫数を確認することができます。これによりECサイトに商品在庫がない場合でも、お客様は商品在庫のある店舗を見つけることができます。 店舗はECサイトと商品在庫を連携することで、店内で管理できる商品数やカラーバリエーション、サイズバリエーションが限定的な場合でも、品切れによる販売機会の喪失を抑えることができます。お客様にとっても「買いたい」気持ちが高まったときに目的を果たすことができ、買いそびれのなく買い物を楽しむことができます。お客様にストレスを与えない買い物体験は、顧客体験の向上へとつながります。
  • お客様の都合にあわせた商品受取方法の導入
     商品の受取方法の選択肢を増やすことは、顧客体験の向上につながります。従来のオンラインショッピングでは、自宅への配送が主でした。お客様の中には「できるだけ早く商品を手に入れたいので、近隣の店舗に商品を取りに行きたい」「商品を手に取って確認したい。」「配送費を節約したい」といった希望がある方もいます。日中は仕事などで留守しがちだったり、防犯への配慮で配達員による配達を好まないなどの理由から、商品を最寄りのコンビニや専用の宅配ボックスなどで受け取りたいという需要もあります。店舗受取(BOPIS)をはじめとする商品の受け取り方の選択肢を増やすことは、顧客体験の向上へとつながります。また、オンラインショッピングで購入した商品を近隣の店舗で返品交換や店舗試着サービスの導入なども、お客様の買い物の利便性を高める取り組みです。商品の受取方法の選択肢を増やすことは顧客体験の向上に役立ちます。

 このように、実店舗とECサイトにおける顧客情報や在庫情報をシームレスに統合することで、お客様へより良い買い物体験の提供が叶います。お客様にとって、買い物がより便利になることは顧客体験の向上につながり、さらにECから実店舗、実店舗からECへの相互集客による売上の相乗効果も期待できます。

パーソナライズで実現する客様一人ひとりに最適な商品提案による顧客体験の向上

 顧客体験の向上を目指す上で重要となるのが、データ活用によるパーソナライズマーケティングです。ユニファイドコマースの特徴として「実店舗とECサイトのシームレス化」が挙げられることが多いですが、パーソナライズ化による顧客体験の向上もユニファイドコマースの特徴のひとつです。ユニファイドコマースにおけるパーソナライズマーケティングでは、実店舗やECサイトから集めた顧客情報や行動履歴・購買履歴を分析することで、より緻密なマーケティングアプローチが実現できます。

  • お客様の購入履歴・行動データを生かしたパーソナライズマーケティングの実施
     顧客体験の向上において、お客様が自分にぴったりな商品やサービスと出会えるパーソナライズマーケティングが注目されています。これはお客様の行動データや嗜好に関するデータを分析することで、一人ひとりに適した商品やサービスを提供するマーケティング施策を意味します。マーケティングアプローチにおいてもパーソナライズマーケティングは注目されており、企業は、集めたデータを分析し活用することで、LINEなどのSNSによるメッセージやメルマガ、クーポン、広告配信などのセグメントを、より緻密に行えるようになります。さらにビッグデータを処理し、複雑なパターンを見つけ出すためにMA(マーケティングオートメーション)やAI(人工知能)を活用することで、より高度で精緻なパーソナライズが可能となります。
  • 診断コンテンツによるパーソナライズ販売の実施
     近年、パーソナルカラーや骨格診断などの診断コンテンツの導入が流行しています。パーソナルカラーや骨格診断などの診断コンテンツが注目を集めていることを背景に、店頭のカウンセリングツールとしてだけでなく、ECサイトにもカウンセリング機能を設置することでオンラインショッピングにおける顧客体験の向上に寄与させています。例えば、お客様はオンラインショッピンでも数問の質問に回答するだけで、自宅に居ながらプロの対面カウンセリングと同等の精度で、自分に最適な商品を見つけることができます。さらに回答結果をスコアリングし、データ分析に活用することで、より高度な顧客体験の向上が期待されます。
  • データを生かした既存商品の改善や新商品開発
     マーケティング活動においては適切なPDCAを回すことが重要であり、このためにはデータ活用が必要不可欠です。より多くの母数を集めることで、緻密な施策の実施が可能となります。新規顧客の集客やCRMはもちろん、新商品開発や既存商品の改善にも役立ちます。

キャッシュレス化の推進とスムーズな支払い決済方法の導入による顧客体験の向上

 ユニファイドコマースにおける顧客体験の向上には、スムーズな支払い決済も重要な要素です。オンラインショッピングにおいては、クレジットカードや代金引換え、銀行振込などの従来の支払い方法の他、コンビニ払いやスマホ決済やキャリア決済を導入する企業が増えてきています。実店舗にあたっては、政府によってキャッシュレス化も推進されており、決済手段のデジタル化が広がっています。

  • 支払い決済方法の充実
     キャッシュレス化は、お客様に便利でスムーズな支払い手段を提供することを可能にします。スマートフォン決済やクレジットカードなどの電子決済オプションを導入することで、お客様は財布や現金の携帯を減らし、支払いプロセスを迅速かつ効率的に行うことができます。買い物時の支払いの際に生じる手間や待ち時間が軽減され、快適な買い物体験の提供が叶います。
  • ID決済(楽天ペイ・Amazon Payなど)の導入
     楽天やAmazonなどのECショッピングモールに登録したクレジットカード情報を、その他のオンラインショッピングサイトの支払い情報と連携させるサービスです。お客様はクレジットカード情報や購入者情報、配送先住所などの入力の手間をかけずにすむなど入力の手間を省くことができます。購入金額に応じたポイントを貯めたり使用したりすることもできます。オンラインショッピングで手間となりがちな情報入力を省くことでスムーズな買い物体験を提供し、顧客体験を向上させることできます。
  • 柔軟な支払いタイミングの提供
     顧客体験の向上には、お客様が支払いのタイミングを柔軟に選べる仕組みが重要です。後払い決済などのオプションを追加することで、お客様は自身の経済状況や好みに合わせて支払い方法を選択できます。また、オンラインショッピングで購入した商品を、実店舗で試着したり使用したりなどしてから、商品を購入したいというニーズもあり、支払いのタイミングに選択肢を増やすことは顧客体験の向上につながります。支払いの選択肢が多様であることにより、お客様は自分にとって最適な支払い方法を選択でき、その結果として顧客体験が向上します。

 ユニファイドコマースはオンラインのみでは完結できないことがほとんどなため、実店舗とのシステムやデータ連携が必要となります。実店舗の支払い方法や決済手段を充実させることは、お客様の顧客体験の向上はもちろん、店舗の売上などの資産を正しく把握しやすくなります。

オンライン上のお客様とのコミュニケーション強化とファンづくりによる顧客体験の向上

 ユニファイドコマースは、テクノロジーの力で買い物体験を便利するマーケティング手法とも捉えられますが、実店舗で働くスタッフの販売力を生かすことも重要な要素です。近年ではオンライン接客が注目されており、実店舗のスタッフの販売力をオンラインへと広げる取り組みを導入する企業が増えてきています。店頭での接客はもちろん、オンライン上においてもお客様との接点を増やすことは、お客様商品選びに役立つだけでなく、店舗スタッフの情報発信を通じたブランドのファンづくりと顧客体験の向上へとつながります。

  • 店舗に訪れなくても接客を受けることができるオンライン接客の導入
     オンライン接客は、お客様が自宅などいつでもどこでも気軽に接客が受けられるサービスです。LINE等のメッセージアプリで、商品について質問をしたり、ビデオ通話でカウンセリングを受けたり等が挙げられます。AI(人工知能)によるチャットボットサービスも注目されており、 基本的な質問や情報提供はAIで、必要に応じて人間のスタッフに問題を引き継ぎ、接客するスタイルも増えてきています。お客様は店舗に訪れなくても接客を受けられるので、オンライン接客は顧客体験の向上を叶えるサービスと言えます。
  • SNSやブログなどのオンライン上のコミュニケーションの強化
     オンライン上でのお客様とのコミュニケーションの強化には、SNSの活用が不可欠です。ほとんどのお客様は商品の購入前に、SNSなどオンライン上の情報からブランドや商品の情報を検索しています。店舗スタッフのコーディネート投稿や店舗のブログをはじめ、ブランドのSNSアカウントからのライブ配信などもオンライン接客の手法としてあげられます。これまではインフルエンサーなどを起用した施策が主流でしたが、近年では実店舗スタッフがSNSを通じてコーディネートの投稿をしたり、ライブ配信を行うことでお客様をファン化させるスタイルが広がりつつあります。特にアパレルにおいては、女優やモデルなどよりもお客様自身の体型や好み、ライフスタイルのあう店舗スタッフのコーディネートを参考にできるので、よりリアルな着こなしを見つけることができます。「オンラインショップの商品紹介画像では、外国人モデルが着用しているので実際のサイズ感がわかりにくい」「欲しいアイテムの着回しやコーディネート例を、体型が近い一般人を参考にしたい」といった顧客ニーズに応えることができます。こういった取り組みをおこなうことで、お客様の顧客体験を高めることができます。

まとめ

 ユニファイドコマースが叶える顧客体験の向上についてご紹介して参りました。近年のEC化率の成長により、多くの企業がオンラインショッピングサイトで商品を販売するようになった一方、実店舗とオンラインショッピングサイトのマーケティング施策が分断されたままの企業もまだ多くいます。
 ユニファイドコマースは、オンラインとオフラインをシームレスにつなぎ、さらに各チャネルから集めた顧客情報や購買・行動データを活用することで、お客様により便利でストレスのない買い物体験を提供することで、顧客体験の向上を図ります。顧客体験の向上を目指し、自社のブランドや企業価値を高めるためにも、ユニファイドコマースは注目しておくべきマーケティング手法です。特徴を理解し、ぜひ導入を検討してみてください。
 W2株式会社は、ECプラットフォーム「W2 Unified」「W2 Repeat」を展開しており、国内市場でユニファイドコマースをリードしている会社のひとつです。次世代の新しいスタイルのECに取り組みたい、課題を洗い出しをしたいなどのご相談がありましたら、ぜひ弊社へお声がけください。
 
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ライター:ユニファイドコマースメディア編集部

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「ユニファイドコマースメディア」は、OMOやオムニチャネルの進化系であるユニファイドコマースに関する情報を発信するWEBメディアです。 ユニファイドコマース(Unified Commerce)とは、オンライン・オフラインという概念にこだわらず、ECサイトや実店舗で取得したデータ(顧客情報・行動履歴など)を統合し活用する、顧客一人ひとりに価値ある購買体験を提供するマーケティング手法を指します。

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