ユニファイドコマースにおけるソーシャルギフトの魅力とは

 ソーシャルギフトとは、デジタルギフトやeギフトとも呼ばれ、スマートフォンやパソコンなど、オンライン上でプレゼントを贈る新しいギフトのスタイルです。ソーシャルギフトは、相手の住所を知らなくても手軽に贈り物ができたり、受け取り側も自身でギフトの受取日を指定できたりなど、その利便性から新しいギフトの形として広がりつつあります。

 ユニファイドコマースは、オンラインコマース(ECサイト・スマートフォンアプリなど)とオフラインコマース(実店舗やポップアップショップ)の情報を連携することにより、それぞれチャネルから集めた顧客情報や購買・行動データを活用することで、お客様一人ひとりに最適な買い物体験を提供するマーケティング手法です。ソーシャルギフトもユニファイドコマースの取り組みのひとつであり、顧客体験の向上を目指す上で、ぜひ導入したい施策です。この記事では、ユニファイドコマースにおけるソーシャルギフトの魅力について、ご紹介いたします。

ECサイトにソーシャルギフトを導入するメリット

 ソーシャルギフトは、ECサイトでギフト目的で購入した商品を、相手の住所を知らなくても、LINEやメール・SNSを通じて、気軽に贈ることができるサービスです。 贈り主は、わざわざ会って手渡したり、配送の手配をしなくても、思い立ったらすぐにスマートフォンなどからメッセージと共に贈ることができます。住所や電話番号を知らない相手にも気軽に贈り物ができるので非常に便利です。ユニファイドコマースを目指すにあたっても、特に顧客体験の向上という観点で重要な取り組みとなります。ソーシャルギフトを導入するメリットを挙げていきます。

  • 顧客体験の向上
     ソーシャルギフトは、LINEやメール・SNSで気軽にギフトを贈ることができるサービスです。配送手配などの手間を省いて、ギフトを贈ることができます。贈り主はより手軽に感謝やお祝いの気持ちを伝えることができることはもちろん、ギフトを受け取る側も商品や受取日を選べるなどのメリットがあります。「配送手配や住所確認などの手間を省いて、相手に喜ばれるギフトを贈りたい」という消費者ニーズに対応し、顧客体験を向上させます。
  • カジュアルギフトニーズへの対応
     近年のギフト市場では、数百円から数千円のカジュアルギフトが注目されています。特により手軽にギフトを贈ることができるソーシャルギフトは、若年層を中心に活用されるケースが増えています。日常のちょっとしたお礼や誕生日プレゼントなどを気軽に贈るカジュアルギフトと、スマートフォンからSNSを通じて手軽にギフトを贈れるソーシャルギフトは相性が良く、今後も需要が増えていくことが期待できます。
  • 新規顧客とファンの獲得
     ソーシャルギフトは新規顧客やファンの獲得につながります。受け取ったギフトには、普段自分で買わない商品が含まれることがあり、改めてその商品の良さに気づくことができます。これにより、顧客は商品やブランドに興味を持ち、ファンとなる可能性が高まります。
  • 販売促進と売上増加
     ソーシャルギフトの導入は販売促進に役立ちます。贈り主がギフトを選ぶ際には、定番商品だけでなく、新商品や季節商品などの限定アイテムを選ぶ傾向があります。ソーシャルギフトは新商品や限定商品の売上アップに寄与することはもちろん、ギフトの受取側がSNSに商品を投稿するなどの販促効果も期待できます。また、ギフトでは相手に喜んでもらうためにより良い商品を選ぶ心理が働きます。これにより客単価のアップも期待できます。
  • マーケティングリサーチと顧客理解
     ソーシャルギフトの導入により、顧客の嗜好や行動パターンについて貴重なデータを収集できます。具体的には、ギフトのニーズがどのようなシーンで発生するのか、どのような商品が選ばれるのかを分析することで、顧客の行動や好みを理解することができます。さらに、ギフトの受取側が商品を選ぶ機能を追加することで、受取側のニーズに関する情報も得られます。 また、ギフトの受取側がどのようにファンになっていくかを分析することで、マーケティングリサーチに生かすこともできます。ソーシャルギフトの導入はマーケティングリサーチと顧客理解にも役立ちます。

ECサイトにソーシャルギフトを導入する際、注意すべきポイント

自社のECサイトにソーシャルギフト機能を導入するためには、下記のポイントに注意する必要があります。

  • ECシステムの見直し
     ユニファイドコマースにおけるソーシャルギフトは、既存のECシステムを見直す必要があります。自社サイトにソーシャルギフトを導入するためには、自社のECサイトに追加開発をおこなう、もしくはソーシャルギフト機能が備わったECカートシステムにリプレイスする必要があります。
    機能開発やシステムリプレイスを行うのには、どうしてもコストと時間が必要となりますが、ユニファイドコマースを目指す際に、お客様情報はもちろん、在庫情報や配送先情報のデータ連携は必須となります。中長期的な事業戦略を考えると、各システムのデータ連携は避けては通れません。ユニファイドコマースの施策には、ソーシャルギフト以外にも店舗受取やオンライン接客など様々な取り組みがあります。ソーシャルギフトの導入のためにシステムを見直すと考えると、コストパフォーマンスが悪く感じますが、近い将来にシステムの見直しは必要となりますので、その他の施策もあわせて導入を検討してみてください。
  • ソーシャルギフト専用のより高度な受注ステータス管理
     ソーシャルギフトでは、贈る側が注文を完了させても、発送先情報が未入力の状態では注文は成立されません。受取人が情報を入力して注文が完了し、商品を発送できる状態となります。
     ソーシャルギフトを導入する際に重要となるのは、受取側の情報入力が完了するまで、商品在庫を抑えておく仕組みです。贈り主がギフトを注文したのに、受取側が情報の入力をせずに商品在庫が確保されたままというトラブルを防ぐため、受取人の情報入力期限を設けておき、期限切れの受注に対しては自動キャンセルするような仕組みが必要になります。通常のECよりも、在庫情報と受注情報のステータス管理が複雑になりますので、対応できるシステムが必要となります。
  • プライバシー保護とセキュリティの見直し
     ソーシャルギフトでは、受取側は贈り主に住所を知らせることなく品物を受け取ることができます。プライバシー保護の観点から、受取側は贈り主に対して住所を知らせたくない場合もあるでしょう。商品の発送メール等の受注関連メールは、贈り主用と受取側用とで送付内容を切り分けておく仕組みも必要となります。

 ソーシャルギフトには、自社のECサイトにソーシャルギフト機能を導入する方法以外にも、ソーシャルギフトに対応したECモールに出店する方法があります。まずは気軽にソーシャルギフトを試してみたい、お客様の反応を見てから本格的に導入したい、という場合は、メリットとデメリットを考慮の上、ECモールへの出店を検討してください。ECモールへの出店は、自社ECサイトにシステムを導入する必要なく、手軽に出品ができますが、出品コストがかかったり、システムによってはお客様情報を取得できないなどのデメリットがあります。

ユニファイドコマースにおけるソーシャルギフトの成功事例

 続いて、ユニファイドコマースにおけるソーシャルギフトの成功事例をみていきましょう。

  • タイガー魔法瓶株式会社
     熱制御テクノロジーで世界をリードするタイガー魔法株式会社が運営する「タイガーオンラインストア」では、お届け先の住所を知らない相手にもSNS やメールで手軽にギフトを贈れるサービスを導入しています。ギフト購入時に贈り主は、自分の名前とメッセージが書けるメッセージカードを贈ることができるので、気軽に感謝の気持ちやお礼の言葉を伝えることができます。

新生活や就職祝い、お世話になった方へのプレゼントにも!住所を知らない相手にもSNS やメールで手軽にギフトを贈れるeギフトサービスをタイガーオンラインストアで開始

  • 株式会社Tokel
    「週に一度の、ちょっとした贅沢。」をコンセプトに展開する高級入浴剤ブランド『Chapon(チャポン)』を運営する株式会社Tokelは、プレゼントの受取側にお好みの香りを選んでもらえるソーシャルギフトを展開しています。

「選べるソーシャルギフト」は、用意した品物が相手の好みにあわなかったなどのミスマッチを減らしてギフトを贈れる手法として注目されています。
通常のソーシャルギフトに、商品を選べる機能を追加することで、より相手の好みにあった商品を贈ることができます。

【新体験】高級入浴剤ブランド「Chapon」が、入浴剤の香りを自由に選べるeギフトを発売開始、癒しの香りに包まれる贅沢なお風呂が最大160回分も楽しめます

  • 株式会社髙島屋
     百貨店の髙島屋が運営する「髙島屋オンラインストア」でもソーシャルギフトを導入しています。百貨店ならではの幅広い品揃えの中から、予算や相手の好みに合わせたギフトを選べることが特徴です。お祝いやお返しなどの用途に合わせて、ギフトの包装やラッピングも無料で選べ、特別なラッピングが可能です。

高島屋オンラインストアでは、住所や姓名がわからないお相手にも、お選びいただいた商品をメールやSNSでギフトとして贈ることができる「ソーシャルギフトサービス」をスタートいたします。
近年、SNSやアプリ等で気軽につながることができるようになった一方で、お互いの住所を知る機会の減少や、個人情報のやりとりへの心理的なハードルもあり、ソーシャルギフトの需要はますます高まっています。
また、ギフトを贈ることをお相手に事前に知られることで「余計な気を遣わせてしまうのでは」「期待されたらどうしよう」等の気兼ねなくギフトを贈りたいというニーズや、ちょっとしたお礼やお返しとして少額ギフトを贈る“カジュアルギフト”のニーズは増加傾向にあります。
上記のような背景をふまえ、高島屋オンラインストアでは、ソーシャルギフトという“新しいギフトの贈り方”に対応できる「ソーシャルギフトサービス」をスタートし、お客様の利便性向上と、拡大するパーソナルギフトのニーズに応えてまいります。

【高島屋オンラインストア】ソーシャルギフトサービスをスタート!

  • LINE
     LINEヤフー株式会社が提供する「LINE」を通じて友だちにさまざまなプレゼントを贈ることができるサービス「LINEギフト」を提供しています。LINEは、月間ユーザー数9,500万人(2023年6月末時点)と多くのユーザー数を抱えており、消費者に馴染みのあるコミュニケーションツールです。LINEギフトには、住所を知らない相手にもギフトをくれる「配送ギフト」と、スマートフォンがあれば好きなタイミングで 近くのお店でカンタンに商品を受け取れる「eギフト」があり、ちょっとしたお礼やお祝いなどに気軽に贈れるドリンクチケットやスイーツのギフト券が人気です。季節ごとの特集が充実しているので、ユーザーは楽しみながらギフトを選ぶことができます。

【LINEギフト】卒業・入学祝いと新生活にエールを贈る特集を公開!

まとめ

 この記事では、ユニファイドコマースにおけるソーシャルギフトの魅力について、ご紹介しました。ユニファイドコマースというと、ECと店舗のデータ連携やシームレスな買い物体験の提供という印象が強いですが、買い物体験の向上という観点からみると、在庫情報や受注管理システムのデータ連携により実現するソーシャルギフトもユニファイドコマースの施策に含まれます。より良い買い物体験の提供を目指すにあたって、ユニファイドコマースは近い将来には不可欠となる概念と言えます。
 W2株式会社は、ECプラットフォーム「W2 Unified」「W2 Repeat」を展開しており、国内市場でユニファイドコマースをリードしている会社のひとつです。次世代の新しいスタイルのECに取り組みたい、課題を洗い出しをしたいなどのご相談がありましたら、ぜひ弊社へお声がけください。

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ライター:ユニファイドコマースメディア編集部

 

 

 

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