ユニファイドコマースとは

「Unified Commerce(ユニファイドコマース)」とは、オンライン・オフラインという概念にこだわらず、ECサイトや実店舗で取得したデータ(顧客情報・行動履歴など)を統合し活用する、お客様一人ひとりに価値ある購買体験を提供するマーケティング手法のことです。ユニファイドコマースを導入することで、企業は顧客とのエンゲージメントを向上させ、競合他社との差別化、ひいては売上の最大化を図ることができます。
 ユニファイドコマースは、オムニチャネルやOMOの一歩先を行くマーケティング施策として注目されており、導入する企業が増えてくることが予想されます。この記事では、マーケティング施策のトレンドであるユニファイドコマースについて紹介していきます。

ユニファイドコマースの普及によりマーケティング施策が見直される理由 

 近年、消費者のライフスタイルの変化やデジタル化の加速に伴い、既存のマーケティング施策を大きく見直す企業も増えてきています。

 スマートフォンの普及やデジタル化の加速を背景に、コマースも消費者の購買行動が大きく変化しました。自宅のパソコンからはもちろん、外出中でもスマートフォンからインターネットにアクセスできるようになり、いつでもどこでも気軽にオンラインショッピングを楽しめるようになりました。こういった消費者のライフスタイルの変化にともない、従来のマスメディアを活用した広告・マーケティング施策の効果が弱まり、企業は顧客とのデジタル接点を強化するなど、自社のマーケティング施策を見直す必要性が生じました。

 ユニファイドコマースは、既に海外ではマーケティングのトレンドとなっており、日本での注目も高まってきています。以下に、企業が自社のマーケティング施策を見直す理由を挙げていきます。

  1. チャネルの多様化と顧客体験の向上
     従来の実店舗での買い物に加えて、ECサイトやSNS、モバイルアプリなど、消費者の購買チャネルは多様化しています。これにより、複数チャネルを自由に行き来し、合理的に商品購入やサービスを利用したいという消費者のニーズが生まれました。このため企業は商品の品質や価格はもちろん、買い物の利便性や顧客一人ひとりに適した商品提案をマーケティング施策に取り入れ、より良い買い物体験提供を追及していく必要があります。
  2. データ基盤の構築によるビジネスモデルの見直し
     オムチャネルやOMOの普及を背景に、顧客分析やマーケティング施策の最適化、在庫情報の一元管理など、データ基盤の構築と活用が見直されるようになりました。近年では、データベースの構築のため、実店舗とECサイト、モバイルアプリや口コミサイトなどの自社コンテンツをひとつにつなぐID連携へと取り組む企業が増えてきています。
     ユニファイドコマースは、オムニチャネルやOMOよりさらに先を行く、データを活用を行うマーケティング手法です。ユニファイドコマースを導入することで企業は、顧客データや在庫データを連携させることで、マーケティング施策の最適化し、自社のビジネスの見直しと改善につながります。
  3. パーソナライズされたマーケティング施策の需要の増加
     スマートフォンやSNSの普及により、マスメディアによる広告の影響力が従来よりも難しくなりました。そのため、企業はマーケティング戦略の転換を求められています。
     ユニファイドコマースは、データを活用することで顧客一人ひとりに合わせた購買提案をピンポイントで実施します。CDP(Customer Data Platform 顧客データプラットフォーム)の活用と分析に基づき、顧客の好みに合った商品のおすすめやクーポン配信などをおこないます。顧客へのパーソナライズされたアプローチは、顧客ロイヤリティの向上や市場で優位性を築くために重要な取り組みです。
  4. 新型コロナウイルスによるパンデミックの影響
     新型コロナウイルス感染拡大による外出制限を背景に、多くの実店舗が時短営業や休業となった一方で、オンラインショッピングの需要が増えました。企業が自社の販売戦略やビジネスモデルを見直すきっかけの一つと考えられます。

ユニファイドコマース戦略におけるマーケティング施策

 社会的背景やテクノロジーの進化により、消費者のニーズも変化しています。ユニファイドコマースは、近年のマーケティングのトレンドであり、現代の消費者ニーズに対応し、顧客体験の向上につながるマーケティング施策です。具体的にどのような施策があるのかを、代表的な施策を挙げていきます。

  1. モバイルアプリの導入
     スマートフォンの普及により、消費者はいつでもどこでも手軽に買い物を楽しめるようになりました。ユニファイドコマース戦略においても、モバイルアプリの導入は顧客との接点を強化するための重要な取り組みのひとつです。
     例えば、日本の化粧品メーカー・オルビス社では、2022年に自社のモバイルアプリ内に、お客様の肌悩みに応じたスキンケアの習慣化を支援する「肌カ.ル.テ」機能を搭載しました。AIの解析による分析コンテンツと有人チャット機能によるカウンセリングを受けられる活気的な機能です。 参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000510.000002061.html
  2. 店舗受け取りサービスの導入
    店舗受け取りサービスは、「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」とも呼ばれ、お客様がECサイトやモバイルアプリで商品を購入した後、最寄りの実店舗で商品を受け取ることができるサービスです。お客様が自身の都合にあわせて商品を受け取ることができる、送料を節約することができるなど利便性が高いため、消費者ニーズに対応し、導入する企業が増えてきています。
  3. より緻密な顧客行動データ分析と高度なレコメンデーション
     ユニファイドコマースの導入は、よりきめ細やかな顧客行動の分析に役立ちます。例えば、店頭の購入履歴をもとに、オンラインショップでも顧客一人ひとりに適した高度なレコメンデーションを提案します。また、複数チャネルからデータを収集することで、より緻密で正確な分析を行うことが可能となります。例えば、実店舗で化粧品を購入した場合、使い切るころに詰め替え品のレコメンドメールを送り、ECサイトへ誘導するなどのアプローチをおこなうことができます。
  4. 位置情報を使用した施策
     GPSやビーコンなどの位置情報の活用も、ユニファイドコマースに含まれます。例えば、スーパーマーケットなどの広い店内で、モバイルアプリを通じて欲しい商品の位置情報をナビゲートしたり、購買履歴からその顧客が好みそうな商品のクーポンをその場で表示させたりなど、タイムリーなアプローチが可能となります。
  5. オンライン接客の導入
     オンライン接客もユニファイドコマースの施策のひとつです。非対面で画面越しや音声通話・チャットツールなどを用いて接客をおこないます。オンラインで画面越しに接客する1対1のオンライン接客や1人のスタッフに対し複数名のお客様を同時にリアルタイムで接客するライブコマース、AI(人工知能)技術を活用したチャットボットやアバターを活用したオンライン接客などがあります。
  6. AR(拡張現実)技術の活用
     ECサイトやモバイルアプリにAR機能を搭載することで、洋服の試着やコスメの試用、家具の試し置きなどが仮想的に可能になります。顧客は商品を実際に試す機会が限られるオンラインショッピングでも、AR技術を利用することで購入前の不安や迷いを解消し、商品のミスマッチを防げます。

ユニファイドコマースの考え方でカスタマージャーニー設定してみよう

 具体的にペルソナを設定して想像してみましょう。例えば、30代前半の会社員、平日は仕事と家事があり、店舗での購入が出来ない一人暮らしの女性を<Aさん>のカスタマージャーニーを考えてみます。Aさんが複数のチャネルを経由し、新商品の美容クリームを購入すると想定します。

カスタマージャーニー例

  • Aさんは、平日は仕事終わりが遅く店舗に行く時間がないので、通勤途中にモバイルアプリで商品を検索し、購入を進めている。
  • 商品の購入時、お届け先の選択肢に「宅配便で自宅に届ける」「近隣の実店舗で受け取る」「最寄り駅のコンビニエンスストアで受け取る」などを表示する。
  • Aさんは、早く商品を試したいので明日の会社帰りに商品を受け取りたく、商品の受け取り方法を「近隣の実店舗で受け取る」に指定。
  • 翌日、Aさんが商品を受け取りに来店。化粧水が少なくなっていたことを思い出し、美容クリームと同じシリーズの化粧水の購入を検討する。この時、Aさんのスマートフォンに「店舗で利用できる割引クーポンを配布する」というオファーの通知があり、Aさんは化粧水を割引金額で購入する。店頭で肌診断を受け、乾燥肌用保湿美容液もおすすめされ商品を試すが、購入を見送り帰宅する。
  • 後日、Aさんが自宅のパソコンからECサイトにログインする。Aさんが購入するか迷った乾燥肌用の保湿美容液や同じシリーズの洗顔せっけんや目元専用美容液がおすすめアイテムとして表示される。
  • 化粧水と美容液がなくなる数か月後、Aさんが通勤時にモバイルアプリを眺めていると再購入を促すオファーが通知される。
  • ユニファイドコマースは、複数の販売チャネルを用意することで顧客との接点を増やし、より多くのデータを収集することが可能になります。複数チャネルから集めたデータを活用することで、データ分析の精度があがるため、よりきめ細やかなセグメントとパーソナライズされた提案が可能となります。

まとめ

 日本国内ではまだ聞きなれないユニファイドコマースですが、海外ではすでにマーケティングのトレンドとして注目されています。W2株式会社は、ECプラットフォーム「W2 Unified」「W2 Repeat」を展開しており、国内市場でユニファイドコマースをリードしている会社のひとつです。次世代の新しいスタイルのECに取り組みたい、課題を洗い出しをしたいなどのご相談がありましたら、ぜひ弊社へお声がけください。 ======================================= ライター:ユニファイドコマースメディア編集部

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国内で最もユニファイドコマースを推進するメディア

「ユニファイドコマースメディア」は、OMOやオムニチャネルの進化系であるユニファイドコマースに関する情報を発信するWEBメディアです。 ユニファイドコマース(Unified Commerce)とは、オンライン・オフラインという概念にこだわらず、ECサイトや実店舗で取得したデータ(顧客情報・行動履歴など)を統合し活用する、顧客一人ひとりに価値ある購買体験を提供するマーケティング手法を指します。

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