ECサイトを通じた販売は、小売業やメーカーが事業を成長させる上で欠かせない重要なチャネルです。 しかし、いざ自社でECサイトを立ち上げようと考えても、「何から手をつければいいのか」「自社に合った作り方が分からない」と悩む担当者の方は少なくありません。
ECサイト構築とは、自社で販売するためのECサイトを企画・設計・開発し、実際に公開するまでの一連のプロセスを指します。作り方の選択肢は一つではなく、事業規模や目的によって最適な方法は変わります。
本記事では、下記を解説しています。
- 種類別のECサイト構築手法の比較6選
- あなたに最適なECサイトの作り方がわかる診断ツール
- ECサイトの構築手順【全8ステップ】
- EC業界の最新トレンド
- ECサイトを構築する際に失敗しないためのポイント5選
ECサイト構築プロジェクトを安全かつ確実に進めるためのガイドラインとして、ぜひご活用ください。
なお、ECサイトそのものの定義や市場規模について基礎から知りたい方は「ECサイトとは?市場規模・種類・仕組みを2026年最新データで解説」を、具体的な構築サービス・システムを比較検討したい方は「ECサイト構築サービス24選比較」をあわせてご覧ください。
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この記事でわかること
自社で販売するECサイトを企画・設計・開発し、公開するまでの一連のプロセスを指します。目的の明確化から構築方法の選定、開発、公開後の運用改善まで、複数の工程を経て進めます。
6種類あります。手軽で低コストなASP、無償コードを使うオープンソース、標準機能をカスタマイズするパッケージ、自動更新で拡張性の高いクラウドEC、ゼロから開発するフルスクラッチ、SNS上で完結させるSNS ECです。推奨年商規模はASPが〜3,000万円、フルスクラッチは10億円〜と大きく異なります。
全8ステップです。企画・事業計画、要件定義、構築方法の選定、開発・デザイン制作、商品登録・コンテンツ作成、決済システムの導入、テスト・最終確認、公開・運用開始の順に進めます。公開後もアクセス解析による継続的な改善活動が成功の鍵とされています。
【種類別】ECサイトの作り方6選
ECサイトの作り方として、様々な手法がありますが大きく分けると6つの選択肢があります。
- ASP:無料サービスもあり手軽に始められるEC構築ができる方法
- オープンソース:無償公開のソフトを自社仕様にカスタマイズする方法
- パッケージ:既存システムを購入してそのまま導入する方法
- クラウドEC:常に最新機能が使えるクラウド環境で構築する方法
- フルスクラッチ:既存システムを使わずゼロから独自に開発する方法
- SNS EC:SNSを利用して集客から販売まで完結させる方法
現在の事業規模(年商)や将来的なシステム連携を見据え、どの構築手法を採用すべきか、まずは以下の表で全体像を把握しておきましょう。
| 構築方法 | 初期費用 | 月額費用 | カスタマイズ性 | 推奨年商規模 |
|---|---|---|---|---|
| ASP | 無料〜10万円 | 3,000円〜5万円 | ★★☆☆☆ | 〜3,000万円 |
| オープンソース | 数十万円〜数百万円 | 数千円〜3万円 | ★★★☆☆ | 1,000万〜3億円 |
| パッケージ | 300万円〜1,000万円 | 10万円〜50万円 | ★★★★☆ | 1億〜50億円 |
| クラウドEC | 50万円〜500万円 | 10万円〜100万円 | ★★★☆☆ | 1,000万〜10億円 |
| フルスクラッチ | 1,000万円〜数千万円 | 50万円〜数百万円 | ★★★★★ | 10億円〜 |
下記から1つずつ詳しく説明します。
ASPとは
| 構築方法 | ASP |
|---|---|
| 初期費用 | 無料〜10万円 |
| 月額費用 | 3,000円〜5万円 |
| カスタマイズ性 | ★★☆☆☆ |
| 推奨年商規模 | 〜3,000万円 |
| メリット | 専門知識不要で最短即日開設できる/サーバー管理・セキュリティ対策が不要 |
| デメリット | 独自機能の追加に制限がある/売上増加に伴い手数料負担が重くなる |
| こんな企業におすすめ | 初めてECサイトを開設する小規模事業者/リスクを抑えてEC事業をテストしたい企業 |
| 代表的なサービス | Shopify/BASE/カラーミーショップ |
ASP(Application Service Provider)とは、ECサイトの構築・運営に必要なシステムをクラウド上でレンタルできるサービスです。年商3,000万円以下でEC初挑戦の事業者が、最低コスト・最短期間でネットショップを開設したい場合に適した手法です。
アカウント登録と基本設定だけで最短即日でのネットショップ開設が可能で、あらかじめ用意された豊富なデザインテンプレートと標準機能により、プログラミング知識がなくても直感的な操作でサイトを構築できます。無料のツールもあり参入障壁が低いため、低コストで始めたい方に向いています。一方で、システムの仕様に依存するため、カート画面の挙動変更や複雑な受注フローなど、コア機能のカスタマイズには限界があります。
オープンソースとは
| 構築方法 | オープンソース |
|---|---|
| 初期費用 | 数十万円〜数百万円 |
| 月額費用 | 数千円〜3万円 |
| カスタマイズ性 | ★★★☆☆ |
| 推奨年商規模 | 1,000万〜3億円 |
| メリット | ソースコードを自由に改変でき高い拡張性を持つ/ライセンス費用が不要で長期的コストを抑えられる |
| デメリット | 構築・運用に専門的な技術知識が必要/セキュリティ対策や保守を自社で継続管理する必要がある |
| こんな企業におすすめ | 独自の販売フローや機能要件がある中規模企業/社内にエンジニアがおりコストを抑えたい企業 |
| 代表的なサービス | EC-CUBE/WooCommerce/Magento |
オープンソース型は、無償公開されたプログラムを基盤として、自社の要件に合わせて機能やデザインを開発・カスタマイズする構築方法です。社内にエンジニアリソースがあり、長期的なコストを抑えながら高いカスタマイズ性を求める年商1,000万〜3億円規模の企業に適しています。
ソフトウェア自体のライセンス費用が発生しないため、運用コストを大幅に抑えながらフルスクラッチに近い高度なカスタマイズを実現できる点が特徴です。一方で、サーバー構築、プログラム開発、セキュリティ対策、バージョンアップなどをすべて自社または開発パートナーで継続的に管理する必要があり、一定の技術力と保守体制が前提となります。
パッケージとは
| 構築方法 | パッケージ |
|---|---|
| 初期費用 | 300万円〜1,000万円 |
| 月額費用 | 5万円〜30万円 |
| カスタマイズ性 | ★★★★☆ |
| 推奨年商規模 | 1億〜50億円 |
| メリット | 企業向け標準機能が豊富で実績ある機能群を導入できる/基幹システム連携やBtoB要件に強く手厚いサポートを受けられる |
| デメリット | 初期費用・月額費用ともに高額になりやすい/パッケージ仕様外のカスタマイズに追加コストがかかる |
| こんな企業におすすめ | ERPや在庫管理システムとの連携が必要な企業/既に一定規模の売上がありECを本格強化したい企業 |
| 代表的なサービス | W2/Commerce21/ecbeing |
パッケージ型は、EC運営に必要な基本機能が備わったソフトウェアを購入して構築する手法です。ERPや在庫管理システムとの連携が必要で、年商1億円以上のEC事業を本格強化したい中堅企業に推奨できます。
受注管理、在庫管理、顧客管理、ポイント・クーポン機能、多店舗展開など、中堅から大企業が必要とする豊富な標準機能があらかじめ搭載されており、カスタマイズ性にも優れているため、自社の独自要件に合わせて柔軟にシステム拡張が可能です。初期投資は300万円以上と高額ですが、年商1億円以上でECを中長期的な事業の柱に据える企業にとって、投資回収の見込みが立ちやすい選択肢です。
クラウドECとは
| 構築方法 | クラウドEC |
|---|---|
| 初期費用 | 50万円〜500万円 |
| 月額費用 | 10万円〜100万円 |
| カスタマイズ性 | ★★★☆☆ |
| 推奨年商規模 | 1,000万〜10億円 |
| メリット | システム更新・セキュリティ対応をベンダーが自動実施/トラフィック増加に応じた柔軟なスケールアップが可能 |
| デメリット | 利用量に応じて月額費用が高額になりやすい/基盤部分はブラックボックスで細部変更に限界がある |
| こんな企業におすすめ | 成長フェーズで将来のアクセス増を見込む企業/海外販売や多店舗展開を視野に入れる企業 |
| 代表的なサービス | Salesforce Commerce Cloud/Adobe Commerce/ebisumart |
クラウド型ECは、パッケージの高機能性とASPの運用負荷の低さを併せ持つ構築手法です。成長フェーズにある企業が、インフラ管理の負担なく最新機能を使い続けたい場合に適した選択肢です。
システム環境がベンダー側のクラウド上で管理されているため、インフラ保守、セキュリティ対策、機能アップデートが自動で実施され、常に最新の機能と安全性を維持できます。これにより、パッケージ型で課題となりやすい数年ごとのシステム陳腐化や高額なリニューアル費用を回避できます。
フルスクラッチとは
フルスクラッチとは
| 構築方法 | フルスクラッチ |
|---|---|
| 初期費用 | 1,000万円〜数千万円 |
| 月額費用 | 50万円〜数百万円 |
| カスタマイズ性 | ★★★★★ |
| 推奨年商規模 | 10億円〜 |
| メリット | 自社ビジネスに完全特化したシステムを構築できる/超大規模トラフィックと独自機能・UXを実現できる |
| デメリット | 初期費用・開発期間ともに全手法中で最大規模になる/開発後の保守・改修にも継続的な高コストが発生する |
| こんな企業におすすめ | 既存プラットフォームでは実現できない独自モデルを持つ大企業/年商数十億円を超える超大規模なEC事業者 |
フルスクラッチは、既存のECプラットフォームやフレームワークに一切依存せず、要件定義から設計、開発まで完全にオリジナルでシステムを構築する方法です。既存プラットフォームでは実現できない独自ビジネスモデルを持つ年商10億円以上の大規模EC事業者に限定される、最も自由度の高い手法です。
自社のビジネスモデルや業務フローに100%最適化されたシステムを実現できる一方、初期費用は1,000万円から数千万円以上、開発期間も6ヶ月から1年以上を要し、導入後の保守・改修コストも継続的に発生します。相応の予算と長期的な投資計画を確保できる大規模事業者に限定される選択肢です。
SNS EC
| 構築方法 | SNS EC |
|---|---|
| 初期費用 | 無料 |
| 月額費用 | 無料〜数千円 |
| カスタマイズ性 | ★☆☆☆☆ |
| 推奨年商規模 | 〜2,000万円 |
| メリット | 既存フォロワーに対して即座に販売を開始できる/集客・接客・購買をSNS上で一気通貫で完結できる |
| デメリット | デザインや機能がプラットフォーム仕様に完全依存する/アカウント停止・規約変更により販売機会を失うリスクがある |
| こんな企業におすすめ | SNSで多くのフォロワーを持つD2Cブランドや個人クリエイター/低コストでECの可能性を試したい新規参入事業者 |
| 代表的なサービス | Instagramショッピング/TikTok Shop/Facebookショップ |
SNS ECは、SNSプラットフォーム上で直接商品を販売する構築方法です。SNSにフォロワーを持つD2Cブランドや個人クリエイターが、無料でEC参入を試す際の最短ルートとなる手法で、初期費用・月額費用がほぼ無料で始められるため近年急速に普及しています。
ユーザーが日常的に利用するプラットフォーム内で商品の発見から購入まで完結できるため、投稿・ストーリーズ・ライブ配信と販売機能を組み合わせることで、購買意欲が高まった瞬間に購入へ誘導できます。一方で、デザインや機能はプラットフォームの仕様に完全依存するため、独自のブランド体験を構築することは難しく、規約変更やアカウント停止による販売チャネル喪失のリスクも存在します。
各構築方法のより詳細な初期費用や、公開後にかかるランニングコストを含めたトータル費用は、以下の記事で解説しています。
あなたに最適なECサイトの作り方がわかる!診断ツールのご紹介
W2 Commerceは、BtoC・定期販売・BtoB・海外ECなど複数の事業形態に対応したコマースプラットフォームです。AIを組み込んだ1,000以上の機能が標準搭載され、自由に追加できる拡張プラグイン群により、高度なコマース戦略と運用を実現します。大規模なカスタマイズにも対応できるため、事業フェーズに合わせた柔軟な拡張が可能です。
先ほど紹介したように、ECサイトの作り方は6種類あり、選び方を間違えると費用と時間を大幅にロスしてしまいます。
「どの方法を選べばいいかわからない」——そんな迷いを解消したい方は、この診断ツールを利用してみてはいかがでしょうか。5つの質問に答えるだけで、あなたに最適なECサイトの作り方を即座に提案します。
先ほど紹介したように、ECサイトの作り方は6種類あり、選び方を間違えると費用と時間を大幅にロスしてしまいます。
「どの方法を選べばいいかわからない」
そんな迷いを解消したい方はこの診断ツールを利用してみてはいかがでしょうか。
5つの質問に答えるだけで、あなたに最適なECサイトの作り方を即座に提案します。
ECサイトの作り方手順【全8ステップ】
ECサイトの構築を成功させるには、計画的に正しい手順を踏むことが不可欠です。この章では、ECサイト構築のプロジェクトを8つのステップに分け、やるべきこと・決めるべきことを整理して解説します。
- 企画・事業計画
- 要件定義
- 構築方法の選定
- 開発・デザイン制作
- 商品登録・コンテンツ作成
- 決済システムの導入
- テスト・最終確認
- 公開・運用開始
順に解説します。
Step1.企画・事業計画
ECサイト構築は、まず「なぜ作るのか」「何を目指すのか」という事業の根幹を定義することから始まります。ここが曖昧なまま進むと、プロジェクトの方向性がブレてしまいます。
- 目的の明確化:新規顧客の獲得、リピート率の向上、ブランディング強化、海外展開など、ECサイトで達成したい最も重要な目的を定めます。
- ターゲット設定:どのような顧客に、どのような価値を提供したいのか。年齢、性別、ライフスタイル、課題などを具体的に描き出します。
- 売上目標と予算策定:3年後、5年後の売上目標を立て、そこから逆算して、ECサイトの構築と運用にかけられる予算の上限を決定します。
Step2.要件定義
Step1で定めた企画を、具体的な「機能」や「仕様」に落とし込んでいく工程です。ここで定義した内容が、この後の開発の設計図となります。
- 必要な機能の洗い出し:会員登録、ポイント機能、クーポン機能、レビュー機能、SNS連携など、目的達成に必要な機能をリストアップします。
- デザイン・コンセプトの決定:ターゲットに響くデザインの方向性や、ブランドイメージを固めます。参考となる競合サイトをいくつかピックアップしておくとスムーズです。
- 非機能要件の定義:セキュリティレベル、表示速度、将来的な拡張性など、目に見えないシステムの品質に関する要件もここで定義します。
必要な機能そのものを網羅的に確認したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
Step3.構築方法の選定
事業計画と要件定義が固まったら、いよいよ具体的な構築方法を選定します。前章で解説した6つの方法(ASP、オープンソース、パッケージ、クラウドEC、フルスクラッチ、SNS EC)の中から、自社の予算、目的、将来性などを総合的に判断し、最適な方法を決定します。この段階で、開発を依頼するベンダーや制作会社の選定も並行して進めます。
構築手法の選定は、プロジェクトの成否を分ける最大の分岐点です。具体的なサービス・プラットフォームを比較検討したい方は、無料ASPから大規模パッケージまで24サービスを比較した以下の記事をあわせてご覧ください。年商10億円以上の大規模ECをご検討の方には、大規模EC向けシステムに絞った比較記事もご用意しています。
関連記事:ECサイト構築サービス24選比較|費用・選定ポイントを2026年版で解説 関連記事:大規模ECサイト構築のシステム比較7選!失敗しない選び方と主要パッケージの特徴をプロが解説
Step4.開発・デザイン制作
選定した構築方法と開発ベンダーに基づき、実際の制作フェーズに入ります。
- サイト設計:要件定義に基づき、サイトマップ(サイト全体の構造)やワイヤーフレーム(各ページの設計図)を作成します。
- デザイン制作:ブランドコンセプトに基づき、トップページや商品ページなどのデザインを作成します。
- システム開発・実装:設計書に基づき、プログラミングや各種機能の実装を行います。
構築手法が決まれば、制作会社の選定が重要になります。各社で得意なシステムやサポート範囲が異なるため、自社の目的に合ったパートナー選びが不可欠です。
Step5.商品登録・コンテンツ作成
サイトの「器」が出来上がってきたら、中身となる商品情報やコンテンツを登録していきます。
- 商品情報の登録:商品名、価格、説明文、スペック、商品画像など、必要な情報をシステムに登録します。
- 静的コンテンツの作成:「会社概要」「送料について」「よくある質問」など、ECサイトに必要な各種ページを作成します。
Step6.決済システムの導入
顧客がスムーズに購入を完了できるよう、決済方法を導入します。クレジットカード決済、コンビニ決済、キャリア決済、後払いなど、ターゲット層のニーズに合わせた多様な決済手段を用意することが、カゴ落ち(購入直前の離脱)を防ぐ上で非常に重要です。
Step7.テスト・最終確認
ECサイトを公開する前に、不具合がないか徹底的にテストを行います。
- 動作確認:商品の購入フロー、会員登録、問い合わせフォームなどが正常に機能するか、PCやスマートフォンなど複数の環境で確認します。
- 表示確認:デザイン崩れや文字化けが起きていないか、各ページをチェックします。
- 最終レビュー:誤字脱字がないか、掲載している情報に誤りがないかなど、関係者全員で最終的な確認を行います。
Step8.公開・運用開始
全てのテストが完了したら、いよいよECサイトを公開します。しかし、ECサイトは公開がゴールではありません。ここからが本当のスタートです。
公開後は、アクセス解析ツールなどを用いて売上や集客状況を分析し、新たな商品を投入したり、キャンペーンを企画したりと、継続的な改善活動を行っていくことが事業成功の鍵となります。
ECサイト構築の進め方をさらに具体的に整理した「ECサイト構築チェックシート」は、こちらから無料でダウンロードいただけます。
ECサイトを作るなら押さえておきたい最新トレンド
変化の激しいEC市場において、競合他社と差別化を図るためには、最新のトレンドを構築段階から「システム要件」として組み込んでおくことが重要です。2026年現在、売上を左右する4つのキーワードトレンドを解説します。
AIレコメンドの高度化 「発見型コマース」
従来のECサイトでは、ユーザーが検索窓にキーワードを入力して商品を探す「目的型」が主流でしたが、現在はAIの高度化によりユーザーに合わせてコンテンツのレコメンドを行う「発見型コマース」へと急速に移行しています。
AIが購買履歴、閲覧行動、滞在時間、類似ユーザーの傾向などを瞬時に分析し、「自分でも気づいていなかった欲しい商品」をリアルタイムで提案する仕組みです。カート離脱しそうな瞬間に最適な商品を提示したり、新規とリピーターで売り場のUI自体を変えたりと、CVRを左右する「サイトの中枢」を担います。
TikTokのFYP(For You Page)アルゴリズムがEC領域に応用され、ShopifyやAmazon、temuでも高精度なパーソナライズ機能が標準搭載されている現在、これからECサイト構築を考えている方は、次の要件を意識しておくとよいでしょう。
- 顧客IDが一元管理され、セグメント別の提案が自動で設計できること
- リアルタイム解析が可能で、顧客行動を秒単位で反映できること
W2株式会社ではECのAI導入サポートを行っております。あわせてご覧ください。
AI pluginの詳細はこちら:AI plugin|ノンカスタマイズ拡張プラグイン
メディアコマース(記事×EC)の台頭
ユーザーの購買起点が検索エンジンからSNSへ移行した現在、商品カタログ型のECサイトから、読み物としての価値を提供する「メディアコマース」への進化が加速しています。
メディアコマースでは、商品スペックよりも「ブランドの世界観」や「ストーリー」が消費者の購買の決め手となります。商品の開発背景、使用方法、スタイリング提案などの高品質な記事コンテンツと購買機能をシームレスに融合させることで、ユーザーは雑誌を読む感覚で自然に商品理解を深め、購入に至ります。
大手コンビニチェーン「ファミリーマート」もメディアコマース戦略に注目しており、今後のEC事業を語る上で重要なトピックといえます。
参照元:ファミリーマート、メディアコマース戦略を本格化 30年度までに広告事業の売上高を約4倍へ
メディアコマースを実践する上では「ブログは別システム」という分断が離脱を生むため、次の設計が求められます。
- ECプラットフォーム内にCMS(記事作成機能)が統合されていること
- 記事から商品カートまでワンタップで遷移できる導線設計
BtoBのEC化が加速
これまで電話・FAX・対面営業が中心だった企業間取引(BtoB)で、EC化が急速に進んでいます。
令和6年度電子商取引に関する市場調査では、日本のBtoB-EC市場規模はBtoC市場の約20倍に達しており、今後さらなる拡大が見込まれています。
背景には、業務効率化と人手不足解消のニーズがあり、取引先ごとの個別価格設定、与信管理、請求書払い、大量注文処理など、BtoB特有の複雑な商習慣に対応できる専用サービスが充実してきたことが挙げられます。
BtoB ECの展開を見据える場合、「後からカスタマイズ」するのではなく、最初から次の機能が標準装備されたシステムを選ぶことが必須条件です。
- 取引先ごとの掛け率(割引率)やログイン後価格の表示
- ワンクリックでの再注文や承認フロー機能
- 基幹システムとのAPI連携
動画コマースの普及
「動画で見て、そのまま購入する」という購買動線は完全に定着しました。
特に注目されているのが、リアルタイムで視聴者とコミュニケーションを取る「ライブコマース」で、中国では既にEC市場全体の20%以上を占めています。 参照元:中国のライブコマース市場による経済効果の推計
InstagramライブやTikTok Shop、YouTubeショッピングなどプラットフォーム側も購買機能を強化しており、動画視聴中にワンタップで購入完了するシームレスな体験が一般化されています。特にアパレル業界で注目を集めており、生地の質感や着用時のシルエットなど静止画では伝わらない情報も直感的に理解できるため、CVR向上と返品率低下に直結します。
動画コマースの導入を考えている方は、単なる動画の埋め込みではなく、次の要件を意識するとよいでしょう。
- 商品ページへの動画ネイティブ配置
- ライブ配信機能(ライブコマース)とのシームレスな連携
- スタッフ動画や使い方動画を一元管理できる仕組み
ECサイトの作り方で失敗しないための5つの重要ポイント
構築方法や手順を理解した上で、最後に、プロジェクトを「成功」に導くために絶対に外せない5つの重要ポイントを解説します。
目的と予算を「事業計画」として定義する
ECサイト構築で最も多い失敗は、「なんとなく」始めてしまうことです。「何のためにECサイトを作るのか」という目的が曖昧では、必要な機能もデザインも定まりません。
「新規顧客の獲得」「リピート率の向上」「ブランディング強化」など、ECサイトで達成したい事業目的を明確に定義することが全ての土台となります。予算については、サイトを作るための初期費用だけでなく、公開後の広告宣伝費、人件費、システムの保守費用まで含めた「TCO(総所有コスト)」の視点で計画することが不可欠です。
売上を左右するUI/UX(顧客体験)の設計
ECサイトのデザインは、ユーザーの購買体験に直結する重要な要素です。ユーザーが商品を簡単に見つけ、購入できるように直感的で使いやすいデザインにすることで、訪問者がストレスなくサイトを利用でき、コンバージョン率の向上が期待できます。
レスポンシブデザインを採用し、PC・スマートフォン・タブレットなど全てのデバイスに対応することも重要です。ブランドカラーやフォントを一貫性をもって使用し、顧客に安心感や信頼感を与えるデザインを心がけましょう。デザインが過度に装飾的で使いにくい場合、ユーザーが離脱する原因となるため、シンプルで視覚的に魅力的なデザインを目指すことが大切です。
機会損失を防ぐ決済システムの最適化
ECサイトで最も避けたい機会損失が、決済方法が原因の「カゴ落ち(購入直前の離脱)」です。クレジットカード決済、銀行振込、代金引換、コンビニ決済など、さまざまな決済方法を提供することで、顧客は自分に合った支払い方法を選択でき、購入のハードルを下げることができます。
重要なのは、単に決済方法の種類を増やすことではなく、自社のターゲット顧客が普段使っている決済手段を導入することです。若年層向けなら各種スマホ決済、高額商品なら分割払いや後払い決済など、顧客のニーズに合わせた選択肢を用意することで、購入完了率を大きく改善します。決済代行サービスを選定する際は、手数料や対応する決済方法について事前に調べ、最適なサービスを選びましょう。
顧客からの信頼に直結するセキュリティ対策
ECサイトでは、顧客の個人情報やクレジットカード情報を取り扱うため、セキュリティ対策は非常に重要です。SSL証明書を導入し、データを暗号化して安全に送信することは必須です。
管理画面には2段階認証を導入することで不正アクセスを防止できます。システムやプラグイン、サーバーソフトウェアを定期的に更新し、最新のセキュリティパッチを適用することも重要です。万が一に備えて定期的なバックアップを取ることも欠かせません。強固なパスワード管理や適切なアクセス権限の設定を行い、リスクを最小限に抑えることが求められます。
構築後の運用を見据えたサポート体制の選定
ECサイトを運営する上で、顧客サポートは不可欠です。サイトで何か問題が発生した場合、顧客は速やかにサポートを受けられることを期待しています。よくある質問(FAQ)ページを作成し、一般的な問い合わせに対応できるようにしておくことで、顧客が自己解決しやすくなります。
チャットサポートを導入することで、リアルタイムで顧客とやり取りができ、迅速な問題解決が可能になります。電話やメールでのサポートも重要ですが、対応時間や休業日を明確にしておくことが大切です。返金や返品ポリシーをサイトに明記し、顧客が購入後のトラブルを回避できるようにすることも信頼性を高めます。しっかりとしたサポート体制を整えることで、顧客満足度が向上し、リピーターの獲得にもつながります。
規模別に見るECサイト構築の進め方の目安
ここまで解説した6つの作り方は、事業規模によって適した選択が変わります。目安を簡単に整理すると、次のようになります。
| 規模の目安 | 適した作り方 | 進め方のポイント |
|---|---|---|
| 個人事業主・小規模(〜月商300万円) | ASP、SNS EC | 初期費用を抑え、最短即日での開設を優先する |
| 中小企業(月商300万円〜) | 有料ASP、クラウドEC | 受注・在庫・顧客管理の一元化と拡張性のバランスを重視する |
| 大企業・大規模(年商1億円〜) | パッケージ、フルスクラッチ | 基幹システム連携や複数ブランド展開など複雑要件への対応力を優先する |
自社の規模でどのサービスが具体的に候補になるかを比較検討したい場合は、無料ASPからパッケージ・モールECまで24サービスを費用・特徴別に比較した以下の記事をご活用ください。
ECサイトを作る際に参考にしてほしい企業事例
本章では、ECサイトを構築して成功を収めている企業事例を2選ご紹介します。ECサイトの構築を考えている方は、ぜひ事例を参考にしてみてください。
カゴメ株式会社
食品・飲料メーカー大手のカゴメ株式会社は、直販事業である「カゴメ健康直送便」において、顧客との直接的なコミュニケーションをより深く構築するためECサイトをリニューアルしました。
成功の鍵となったのは、LINE連携を活用したCRM施策の高度化です。LINE ID連携によるスムーズな会員登録で新規獲得のハードルを下げつつ、購買データや行動履歴に基づいたパーソナライズ配信を実現しました。顧客一人ひとりに合わせた最適なタイミングでの情報提供により、LTV(顧客生涯価値)の向上に成功しています。また、W2のプラットフォーム導入により、これまで手作業で行っていた販促設定や運用フローがシステム化され、マーケティング担当者の業務効率の大幅な改善にも直結しました。
関連記事:カゴメ株式会社の詳しい事例はこちらから
株式会社アルペン
「スポーツデポ」や「アルペン」「ゴルフ5」など全国に多数の実店舗を展開する株式会社アルペンは、実店舗とECサイトの壁をなくす「OMO戦略」の実現に向けてシステムを刷新しました。
最大の成果は、店舗とECの会員情報・ポイント・在庫データを完全に一元化した点です。これにより、「ECサイトで近隣店舗の在庫を確認する」「ECで注文して店舗で受け取る」といった、顧客のライフスタイルに合わせたシームレスな購買体験を提供できるようになりました。さらに、店舗スタッフによるコーディネート画像の投稿機能をECサイトと連携し、実店舗で培ったスタッフの接客力やスタイリング提案力をデジタル上でも発揮させることで、ファン育成と売上拡大を牽引しています。
関連記事:株式会社アルペンの詳しい事例はこちらから
なぜアルペンはECシステムを刷新したのか?
顧客の「知る・体験する・買う」をシームレスにつなぐ販売プラットフォーム
まとめ:ECサイトの作り方は「システム選び」が鍵
本記事ではECサイト構築とは何かという基礎から、種類別の作り方、構築8ステップ、成功のポイントまで解説しました。それぞれの作り方にはメリットとデメリットがあるため、自社に最適な方法を選ぶ際には、これらを十分に考慮することが重要です。
ECサイトの構築は、単なる「オンライン上の店舗づくり」ではなく、ブランドの未来の売上を左右する重要な事業投資です。途中で悩みやトラブルが発生した場合には、ECサイトの専門家であるベンダーに相談しながら進めることをお勧めします。
具体的な構築サービスを比較検討したい方は「ECサイト構築サービス24選比較」を、もしECサイトを構築して年商1,000万円以上を目指す方は、EC専業20年以上、導入実績1,100以上のECプラットフォームを提供しているW2株式会社にご相談してみてはいかがでしょうか。
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ECサイトの作り方に関するよくある質問
Q. ECサイト構築とは、具体的にどのような作業を指しますか?
A. 自社で販売するECサイトを企画・設計・開発し、公開するまでの一連のプロセスを指します。目的の明確化、要件定義、構築方法の選定、開発・デザイン制作、商品登録、決済導入、テスト、公開・運用という8つの工程を経て進めるのが一般的です。
Q. ECサイトを構築したいのですが、選ぶ上で最も重要なポイントは何ですか?
A. まず「ECサイトの目的と事業規模」を明確にすることです。個人でスモールスタートしたいのか、将来的に年商数十億円規模のビジネスに成長させたいのかによって、選ぶべき作り方は大きく異なります。目的を定めた上で、必要な機能、予算、デザインの自由度、サポート体制などを比較検討することで、自社に最適な方法を見つけられます。具体的なサービス単位での比較は「ECサイト構築サービス24選比較」で解説しています。
Q. ECサイトの構築に利用できる補助金はありますか?
A. はい、ECサイトの構築やリニューアルに活用できる補助金が国や地方自治体から提供されています。代表的なものに「IT導入補助金」や「事業再構築補助金」、「小規模事業者持続化補助金」などがあります。補助金ごとに公募期間や対象事業者、対象経費などの要件が異なるため、利用を検討する際は各補助金の公式サイトで最新情報を確認するか、弊社にご相談ください。
関連記事:ECサイト構築に使える補助金4つ紹介!特徴や補助金額、申請方法を解説
Q. ECサイトの構築や運営にかかる費用は、具体的にどれくらいを見込めば良いですか?
A. 費用は選択する作り方によって大きく変動します。無料で始められるASPもありますが、一般的には初期費用が0円〜数十万円、月額費用が数千円〜10万円程度が目安です。より高機能でカスタマイズ性の高いパッケージなどを利用する場合は、初期費用が数百万円以上になることもあります。まずは自社の予算を明確にし、その範囲内で必要な機能を搭載した作り方を選ぶことが大切です。
関連記事:ECサイト構築の費用相場はいくら?ECシステム別の相場や構築・運営コストを詳しく解説
この記事の監修者
神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。





























