
ECサイトをフルスクラッチで構築するメリット・デメリットまとめ
ECサイトを構築する方法の一つに「フルスクラッチ」があります。
とはいえ、どのような特徴があるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、
・フルスクラッチとはどんな構築方法か
・どのようなメリット・デメリットがあるか
・どんな企業におすすめか
などの基礎知識をまとめてご紹介します。
なお、「ECサイトでどの構築方法を選ぶか」「どのECカートシステムを利用するか」は、その後の成否を分けるほど極めて重要なポイントです。
ですが、各ECカートシステムの違いや、どのように比較すればいいか分からないというお声もよくお聞きします。
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ECサイト構築におけるフルスクラッチとは

「フルスクラッチ」とは、既存のシステムやソフトウェアなどを流用せず、ゼロからECサイトを構築する方法です。
自社開発で進めることが多く、自由度が高いサイトを作りやすい一方、膨大なコストがかかるという特徴があります。
そのため、
・独自のシステム開発やカスタマイズが多い企業
・十分なリソースのある企業
などが導入を検討するケースがほとんどです。
次にフルスクラッチの長所・短所について、より詳しく見ていきましょう。
ECサイトのフルスクラッチのメリット3つ

フルスクラッチのメリットは、主に3つあります。
1.カスタマイズの自由度が高い
2.構築後も柔軟な対応ができる
3.高速PDCAを実現できる
以下で一つずつ解説していきます。
①カスタマイズの自由度が高い
フルスクラッチのメリットといえば、なんといっても「カスタマイズ性の高さ」です。
既存のシステムにとらわれず、独自にサイトを構築するため、叶えたい要件は基本すべて実現できます。
そのため、他の構築方法よりも拡張性が高く、外部のシステムやサービスとの連携にも対応しやすいです。
また、デザインの自由度も高いためオリジナリティを出しやすく、競合との差別化も容易です。
②構築後も柔軟な対応ができる
ECサイトは構築すれば終わりではなく、運用しながら改善を繰り返す必要があります。
とはいえ、システムによっては追加機能やデザイン変更などに制約があるケースが多いです。
ですが自由度の高いフルスクラッチなら、あらゆる要望に対して柔軟に対応できます。
つまり、自社にとって理想のサイトを構築後も追求できるというわけです。
③高速PDCAを実現できる
フルスクラッチのECサイトは、自前で開発するケースがほとんどです。
そのため、データ分析やサイト改善を一貫して行いやすく、ベンダー(サービス提供元)に依頼するよりもスピーディに対応できます。
このように高速PDCAを回し、
・新たな施策を速やかに実施する
・トレンドをいち早く取り入れる
などをすることで、成果の最大化を図ることが可能です。
また、予期せぬエラーやトラブルにも素早く対応できるという強みもあります。
ECサイトのフルスクラッチのデメリット3つ

次に、フルスクラッチのデメリットについて見ていきましょう。
1.膨大なコストがかかる
2.高い専門スキルをもった人材が必要
3.システムがブラックボックス化しやすい
一つずつ紹介していきます。
①膨大なコストがかかる
フルスクラッチの一番のデメリットは、やはりコストがかかることです。
初期費用だけで数千万円、保守運用にかかる月額費用が数十万円になることは珍しくありません。また、構築にかかる期間が1年に渡ることも。
つまり、それだけのコストをかけられる十分なリソースがあり、かつコスト以上のリターン(年商)を見込める企業でないと、フルスクラッチでの構築は現実的に難しいです。
そのため、フルスクラッチを選択肢に入れる場合は「多くのコストを投じるだけの費用対効果が本当にあるか」を慎重に検討するのがおすすめです。
②高い専門スキルを持った人材が必要
フルスクラッチはゼロの状態からECサイトを構築・運用するため、それを実際に形にできる専門性の高い人材が求められます。
システムやデザイン、セキュリティ対策など幅広い分野に精通していなければなりません。
また、フルスクラッチのメリットの一つに「内製化による高速PDCA」を挙げましたが、それを実現するには高いマーケティング能力を持った人材も必要です。
人材不足を外注で補うこともできますが、それではコストがさらに膨らむうえに、PDCAのスピードが鈍くなります。
そのため自前で人材確保や体制整備ができないと、フルスクラッチは難しいのが実情です。
③システムがブラックボックス化しやすい
社内でサイト構築を進めるとなると、どうしても目の前の開発作業やスピードが重視されやすいです。
その結果、システムや仕様のドキュメント化が疎かになり、担当者しか把握できないといった事態に陥りがちです。
すると、
・適切にシステムの運用・保守ができない
・担当者が異動・退職しても適切に引き継ぎができない
などのトラブルが発生してしまいます。
このような事態を防ぐために、仕様を都度まとめて整備しておくことが大切です。
他のECサイト構築方法との違いを比較(パッケージなど)

ここまでフルスクラッチのメリット・デメリットについて解説してきました。
次に、他の主な構築方法(ASP・オープンソース・パッケージ)と比較して違いを見てみましょう。
フルスクラッチ | ASP | オープンソース | パッケージ | |
構築方法 | ゼロから独自に自社開発 | 構築に必要なシステムをレンタル | 無償ソースコードをカスタマイズ | パッケージをもとに独自開発 |
初期費用 | 高 | 低 | 低 | 中 |
月額費用 | 高 | 低〜中 | 低 | 中 |
構築スピード | 遅 | 早 | 早 | 中 |
カスタマイズ性 | 高 | 低 | 中 | 高 |
メリット | ・カスタマイズ性が最も高い ・内製化により高速PDCAが可能 |
・コストを比較的抑えやすい ・出店が比較的しやすい |
・コストを比較的抑えやすい ・カスタマイズ性が比較的高い |
・カスタマイズ性が高い ・セキュリティが強固&サポートを得やすい |
デメリット | ・膨大なコストと専門的人材が必要 ・ブラックボックス化しやすい |
・カスタマイズ性が低い ・外部連携がしにくい |
・高度な専門スキルが必要 ・セキュリティリスクが高い |
・比較的コストがかかりやすい ・システムのアップデートが必要 |
他の構築方法と比べると、フルスクラッチは構築にかなりコストがかかることが分かります。
その分、他では実現できない
・カスタマイズ性の高さ
・高速PDCA
などのメリットはありますが、十分な費用対効果を見込めるかはしっかり検討しましょう。
ECサイト構築のフルスクラッチはこんな企業におすすめ

これまでの話を総合し、フルスクラッチでのサイト構築にはどのような企業が向いているのか紹介します。
・独自のシステム開発やカスタマイズが多い
・資金や専門的人材などのリソースが潤沢
他の方法では実現が難しい要件が多く、構築に割けるリソースが十分にある場合は、選択肢の一つとしてフルスクラッチがおすすめです。
導入のハードルは高いですが、その分大きなリターンを得られる可能性があります。
反対に、
・パッケージでも対応できるほどの開発規模
・リソースに不安がある(十分でない)
場合はフルスクラッチはおすすめしません。
もし上記に当てはまる場合は、フルスクラッチに迫るほどのカスタマイズ性を持ち、かつコストを抑えられる「パッケージ」を選ぶのも手です。
パッケージならより低コストかつ自由にカスタマイズ可能!

「パッケージ」とは、EC構築に必要なパッケージを購入し、それをもとにベンダーが要望に合わせて独自に開発する方法です。
フルスクラッチと比べると、
・コストを抑えやすい
・ベンダーのサポートを得られる
・セキュリティがより強固
といったメリットがあります。
一般的にカスタマイズ性にはやや劣るものの、たいていの要件であればパッケージで十分対応できます。
このようにECサイト構築におけるコストパフォーマンスの良さから、近年ではフルスクラッチからパッケージに乗り換える企業も多いです。
ちなみに、ECサイト構築を支援する「W2株式会社」は、開発を外注ではなく自前で行う技術力があります。
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まとめ:フルスクラッチの特徴を踏まえてECサイト構築を検討しよう
改めて、本記事の内容をまとめます。
・フルスクラッチとは、ゼロからECサイトを構築する方法のこと
・自由度の高いサイトを作れる一方で、膨大なコストがかかるのが難点
・独自のシステム開発が多い、またはリソースが潤沢な企業におすすめ
フルスクラッチでの構築を選択肢に入れるなら、「コストに見合うだけの十分なリターンを見込めるか」をぜひ慎重に検討してみてください。
なお、「自社に合った構築方法を選べるかどうか」によって、その後の成否は大きく変わります。とはいえ、どのように選べばいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
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