
【2023年】ECで注目のライブコマースとは?メリットや始め方、成功事例など紹介
ライブコマースとはライブ配信とEコマース(オンライン販売)とを組み合わせた新しい販売形態のことで、ライブ動画を見ながら商品を購入できるような通販の新しい手法です。
イメージとしてはテレビショッピングに近いですが、大きな違いは配信を見ながら消費者が質問を投げかけられることにあり、多くの企業がいまライブコマースを取り入れています。
ライブコマースをいち早く取り入れたのは「KOL(Key Opinion Leader:インフルエンサーの名称)」を使ったマーケティングが活発な中国で、「インフルエンサーマーケティング」と「動画配信」が融合してライブコマースに発展した経緯があります。
発展の背景には、文化的に偽物が流通することが多い国ならではの「信頼できる人から購入したい」という心理的側面と、コロナ禍でコマース市場が発展・今後も市場成長が見込まれているといういったことが理由が挙げられます。
今後さらなる需要が見込まれる「ライブコマース」とはどんなものなのか、また、これから始める際の参考になる事例をいくつかご紹介します。
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ライブコマースの基礎知識について

新型コロナウイルスの流行に伴った「巣ごもり」需要の拡大を受け、
ライブコマースを利用して買い物をする消費者はここ数年で飛躍的に増加しました。
日本だけでなく、世界でも主要なマーケティングの一つとして大きな盛り上がりを見せています。特に、ライブコマースをいち早くマーケティングの手法として取り入れていた
中国では、たった1時間で数億円の売上を達成するインフルエンサー(KOL:Key Opinion Leader)が出現するなど、ライブコマースの勢いは留まることがありません。
中国の市場規模について
中国の市場規模大手会計事務所である「KPMG」が2020年に発表したレポート(※)によると、2019年時点での中国におけるライブコマース市場は4,338億元(約8兆2,422億円:1元=約19円として計算)で、前年に比べ、約310%の成長を記録しました。
※参照元:jetro
中国商務部の発表によると、2020年上半期のライブコマースイベントの開催回数は約1,000万回、視聴回数は500億回、販売商品は2,000万アイテムを超えた、としています。
また、中国でのライブコマース利用者の数は「第47回中国インターネット発展状況統計報告」で発表されており、2020年末時点で3億8,800万人となっています
日本国内の市場規模
MMD研究所が全国の18~59歳の男女5000人を対象におこなった調査(※)によると、2021年時点で「ライブコマース」という言葉自体の認知度は、視聴経験があると回答した人から「言葉は聞いたことがあるが、利用方法や内容はよく知らない」と回答した人まで、合計で43.2%の結果となりました。
また、ライブコマースの配信コンテンツを見たことがある人の数もまだ少なく12.7%。さらにその中で商品の購入に至った人は5.8%でした。
※参照元:MMD研究所
ライブコマースは中国で人気がある販売方法
中国国内でいち早くライブコマースを成功させたのは、主要ECサイトの一つである「タオバオ」でした。タオバオは2018年にライブコマースで1.5兆円もの流通を生み出すことに成功、その翌年2019年には前年度の2倍である約3兆円の売り上げを記録しました。
それから多くのECサイトや動画プラットフォームがこぞってライブコマースを導入、中国全体でのライブコマースの市場規模は急激に拡大し、2020年に約17兆円(前年より111%上昇)、2021年には33.9兆円の予測と報告されています。
ライブコマースのメリット

ライブコマースの一番の特徴でありメリットは「リアルタイム配信」であることです。
ユーザーは配信を見る場所や環境は違っても、ライブを見ている時間は配信者や他のユーザーと同じ気持ちを共有することができます。
また、リアルなユーザーの声とそれに答える配信者側のやり取りはライブ感を一層増加させて購入意欲を高めることができ、生配信ならではの、次の展開がわからないドキドキ感もライブコマースの醍醐味のひとつでしょう。
事業者向け(配信側)のメリット
・写真や文章だけでは伝えにくい商品の魅力を訴求できる
実際に商品を使ったときの感覚や感動をリアルに伝えることができます。また、商品の使い方やサイズ感、アパレル商材であれば素材や着ごこち、シルエットなどの写真や文章では伝えにくい商品の魅力を利用者のように動画で訴求しやすいことも大きなメリットです。
・ライブならではの双方向性
商品をよく知るスタッフならではの情報を顧客に伝えることができます。顧客との距離が近い店頭スタッフの言葉は、企業の公式SNSやwebサイトなどから発信される情報よりも、顧客にとってリアルな情報として受け取ってもらえることができるでしょう。
顧客向け(購入側)のメリット
・ライブならではの商品理解
視聴者は商品の使い方や購入方法など、疑問に思ったことをその場で運営者に聞くことができ、ECサイト運営者は、配信を視聴している人たちがどんな商品に興味を持ってどのようなことを感じているのか、リアルな声を知ることができます。商品の詳細や、返品ルールなどに関する質問に配信者が回答することで、買い物に対する不安や疑問を解消することもできます。
日本でのライブコマースの成功事例
【食品】漬物専門店「四十萬谷本舗」

(参照元:石川県産業創出支援機構ISICO)
かぶら寿しに代表される発酵食品の老舗である四十萬谷本舗では、昨年1月から首都圏の大企業で働く副業人材が参加するプロジェクトを立ち上げ、新商品の開発や販路の開拓に挑戦しています。
ライブコマースは土曜の夜に6回、1時間から1時間半ほどかけて配信しており、双方向のコミュニケーションができる強みを生かして、おすすめの食べ方やお酒との相性などのweb上の視聴者から寄せられる質問やコメントに答えながら、商品を紹介しています。
常時約20人が視聴し、多いときには約8万円を売り上げるなど、予想を上回る反響で、今後もしばらく継続する予定とのことです。
【百貨店】三越伊勢丹

(参照元:PR TIMES)
百貨店の老舗である株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、2019年11月15日に初めてのライブコマースを実施しています。年末年始の主力商品であるお歳暮を特集し、「パッケージの華やかさ」や「ものづくりのストーリー」から紹介したライブ配信では、過去最高のECでの売上を記録しました。
以来、お中元・お歳暮などの従来の催事にあわせて「三越伊勢丹ライブショッピング」と銘打ったライブコマースを展開し、バイヤーや販売スタッフ、また多彩なゲストも交えて商品の魅力を配信しています。
【アパレル】ユニクロ

(参照元:UNIQLO LIVE STATION)
ファーストリテイリング傘下の「ユニクロ」が、「UNIQLO LIVE STATION」でライブコマースを始めたのは2020年12月のことでした。
著名人がコーディネートのポイントなどをライブで解説し、視聴者の質問などに答えながらユニクロの商品を紹介。消費者はライブ配信動画を見ながら、気になった商品をそのままECサイトやアプリ内で直接購入できるようにしました。
現在では多くの販売番組が存在し、よりユーザーニーズに合わせた番組の配信を行っています。
【化粧・美容品】資生堂

(参照元:資生堂 ニュースリリース)
「SHISEIDO」は、中国市場においてBC(ビューティーコンサルタントやビューティーカウンセラーの略:美容部員)が出演するライブコマースを推進しており、好調な売り上げを記録しました。
これを受けて、資生堂は日本国内でのライブコマースの本格的な展開を開始し、その第一弾として、化粧品や美容法を紹介するライブ映像を配信し、消費者がリアルタイムでBCとコミュニケーションしながら商品を購入できるライブコマースを開始しました。
第1弾として、株式会社三越伊勢丹ホールディングス(以下、三越伊勢丹)の化粧品オンラインストア「meeco」で2020年7月に実施、新型コロナウイルス感染症の拡大をうけ「非接触型」購買ニーズが増している中での「オフライン」と「オンライン」の強みを融合させたオムニチャネルモデルを構築しました。
ライブコマースのやり方

配信する商品やサービスを決定
まずはライブコマースを通じて販売する商品を決めましょう。
「人気商品をもっと売る」「売れやすい季節アイテムをプッシュする」など目玉にする商品や目的を定めることで戦略が立てやすくなります。
特に相性のよい商品は、ECサイトではサイズ感、色味や質感などが伝えづらい商品です。
また季節限定などの話題性のある商品も良いでしょう。
市場規模やアンケートなどのマーケティング資料を基に決定するという方法もありますが、まずは小規模で始めたい方はリサーチした情報ではなく、ECショップを運営する上で感じているお客様のニーズを元に商品決めをした方が良いでしょう。
ライブコマースツールを決定
ライブコマースの配信方法・媒体には大きく分けて「自社ECサイト」「InstagramやFacebook等のSNS」「Youtube」「ライブ配信アプリ」「ECモール」の5種類があります。
SNSやYouTubeはアカウントを作るだけで無料で簡単に始めることができ、比較的視聴数や反応率を高くなる可能性もあります主なライブ配信アプリには「HandsUP」「Live kit」「TAGsAPI」などがあります。
配信方法や媒体、機能などによってメリット・デメリットがあるため、目的や状況に応じて選ぶ選定するとよいでしょう。
配信台本を制作
ライブ感を体験できるのがライブコマースの一番の特徴であるため、
完璧に台本を作り込むのではなくアウトラインだけ決めれば十分です。
配信者を決定
タレントと違い、自社の社員が出演すれば出演料も発生しない上に配信頻度を上げることができます。
商品に対する知識も豊富で、ユーザーからの質問にも問題なく答えることができますが、カメラに向かって話しながらユーザーからの質問に回答するのは高度なスキルが求められます。
そのような場合には、配信のプロである「インフルエンサー」や「ライバー(ライブ配信を職業とする人)」などのファンが多いタレントに依頼することで認知度アップを狙うこともできます。
その際には、商品のターゲット層にあったフォロワーを持つインフルエンサーを起用するのはもちろんのこと、商品を普段から使っていて、本気で商品の魅力を伝えてくれる方を選ぶようにしましょう。
ライブ配信の事前告知を実施
ライブコマースの視聴者を集めるには、プレスリリースの配信やメルマガ会員、LINE登録者へのメール通知、SNSのフォロワーへの告知などのPRが必要です。配信時間や内容を告知する際に限定セールを予告するなど、ライブコマースを視聴するメリットも伝えると新規の視聴者数が増えて伸びしやすくなります。
毎週決まった曜日にライブコマースを実施する、配信曜日や日時を変えてテストする、紹介する商品のターゲット顧客によって配信曜日や時間を変えてみるなど、さまざまな工夫をすると良いでしょう。
ライブコマース配信を実施
ライブコマースでは、配信中または配信後に視聴者をどのように誘導するか考えたうえで、事前に購入の導線を整備しておく必要があります。例えば、ライブコマースで視聴者限定セールを実施する場合、ECサイトにもセールの特設ページを作成しておくなど、関連部署が連携して準備を進めましょう。
ライブ配信後のデータ分析と改善を実施
ライブ配信にかかわらず、事業をスケールするためにはKPIを設定し、達成までのPDCAサイクルを回していく必要があります。
ライブコマースは長期的視点で見ていく必要がありますので、「自社ブランドの認知」や「ECの売り上げUP」などの「目的」を明確に決めて、その際、「CV数」や「サイト流入数」などのどういった数値に注目するのかを決めましょう。
ライブコマースと相性がいい商品や業界
商品の見栄えが良い変化が速い商品
食品の魅力は、ECサイトよりも実店舗での対面販売のほうが伝わりやすいため、ライブコマースに向いています。
試食してもらったりレシピや食べ合わせを説明したりすることで、文字や画像だけでは伝えきれない情報を補足できるためです。しかしコロナ禍という事情もあり、消費者の中では実店舗よりもECという流れがより加速しました。
ライブコマースでは試食こそできないものの、テレビショッピングのようなスタイルと双方向のコミュニケーションを組み合わせてさまざまなトレンドや情報を伝えられます。したがって、ECサイトよりも臨場感が生まれ、視聴者の満足度が高くなるためライブコマースと食品業界の相性は良いといえます。
実体験が必要な商品
実体験が必要な美容商品も、ライブコマースとの相性が良いです。
美容関連のライブコマースは、多くの企業では現役の美容部員さんが担当しています。商品を手に取って自分の肌で試すなど、まるで店頭で接客を受けている感覚になるのもライブコマースの特徴です。化粧品や美容商品はお肌に直接つけるので、使用感が分からないと購入をためらってしまいます。
ライブコマースは配信者が実際に使った感じをレポートするので、「自分のお肌に合いそう」など購入を検討しやすくなるのです。
さらには、商品に関する悩みや質問にもその場で聞いて解決してくれることもポイント。店頭で相談する機会が少なかったり、対面での会話が苦手な方も対応できます。コロナ禍でオンラインショッピングが増えている現状を考えると、ライブコマースと美容関連は相性がいいのです。
ライブコマースのデメリットや注意点について
すでにたくさんのプラットフォームが生まれ始めているライブコマースですが、それぞれに特徴があり、売っている商材やアプリのテイストも異なります。そのため自分の商材であればどんなプラットフォームと相性がいいのかを見極めることは重要です。
今後ライブコマースを活用していくのであれば、提供されているサービスやアプリの情報をキャッチアップし、それぞれの使用方法や機能、効果など特徴を押さえていくようにしましょう。
ライブコマース×自社ECの活用ならW2へ
ライブコマースでは自社ECで購入してもらう導線づくりが大事になります。
せっかくライブコマースで購入しようと思ったのに、自社EC自体が以下のようになっていると導線もうまくいきません。
・購入項目が多くて入力が面倒
・ライブコマースで見た商品が見つけづらい
・決済が少なくて買えなかった
そのため、ライブコマースなど今後の最新トレンドに対応するためには自社ECのカートシステムも見直す必要があります。
株式会社W2(旧:w2ソリューション)が提供しているカートシステムでは、ライブコマースに適した連携が可能になっています。
美容品や食品などD2C・定期通販特化型のW2 Repeat (旧:リピートPLUS)やオム二チャネル・OMO対応型のW2 Unified(旧:w2 commerce)があります。
実際にライブコマースで紹介している商品を動画を見ながら自社ECサイトで購入ができるようなカスタマイズも可能です。
今後ライブコマースを検討している、更に本格的に取り組みたい方は無料での資料ダウンロードや詳細についてご相談ください。
まとめ
今回はライブコマースの基礎知識やライブコマースを実施するメリット、ライブコマースのやり方や相性がいい商品や業界を解説しました。
ライブコマースは中国で盛んに行われている販売手法で、特にコロナ禍を受けてさらなる市場規模拡大が見込まれます。ライブコマースは事業者と視聴者それぞれにメリットがあり、相性がいい商品や業界も多いのです。
日本でも食品やアパレルなど、ライブコマースを取り入れる企業や業種が増えてきました。
今回の記事を参考にして、ライブコマースを始めてはいかがでしょうか?