
【2025年最新版】EC市場規模は拡大中?調査結果と今後の動向について解説
近年、EC業界の市場規模は年々拡大を続けています。
もし、EC市場に参入を考えている方は、現状のEC市場規模と今後の動向を予測するうえで、事業戦略を考える必要があります。
本記事では、各ビジネスモデルのEC市場規模状況と課題、今後の予測動向について2025年最新情報を解説いたします。
W2のシステムを導入していただいたEC事業者100社に「ECリプレイスについての生の意見」をお伺いし、レポート化しました!業種別・年商別・ECシステム別のカテゴリでご紹介しています。ぜひ事業に近い企業の意見を参考にEC事業の運営・改善にご活用ください。
各ビジネスモデルのEC市場規模
経済産業省が令和5年に発表した電子商取引に関する市場調査をもとに、各ビジネスモデルごとのEC市場規模を解説します。
BtoCのEC市場規模

2022年 | 2023年 | 増減率 | |
物販系分野 | 13兆9,997億円 | 14兆6,760億円 | 4.83% |
サービス系分野 | 6兆1,477億円 | 7兆5,169億円 | 22.27% |
デジタル系分野 | 2兆5,974億円 | 2兆6,506億円 | 2.05% |
合計 | 22兆7,449億円 | 24兆8,435億円 | 9.22% |
2023年のBtoC-EC市場の総規模は24兆8,435億円となり、前年から2兆986億円増加しています。この内訳を見ると、物販系分野は14兆6,760億円(前年比4.83%増)、サービス系分野は7兆5,169億円(前年比22.27%増)、デジタル系分野は2兆6,506億円(前年比2.05%増)となっています。
BtoC-EC市場を構成する3つの分野のうち、特質すべき点は物販系分野の成長率は鈍化傾向であることです。
これは、コロナ禍もなくなり、顧客の実店舗への来店が増えたことでオンライン購買のニーズが下がったことが挙げられます。
一方、サービス系分野は旅行、飲食、チケット販売を中心に大幅な成長を遂げ、コロナ禍以前の2019年の水準(7兆1,672億円)を上回っています。
この背景には、円安が進んだ結果、海外からの旅行客などが増えたことが挙げられます。
今後のBtoC-ECでは、オンライン接客、ショールーミング化店舗、EC購入商品の店舗受け取り(BOPIS)といった、実店舗とECを組み合わせたサービス展開が求められます。
特にBOPISは、消費者の利便性向上と企業の物流コスト削減やアップセルが見込めるといった双方にメリットがあり、今後さらなる普及が期待されています。
※BOPISとは?:オンラインで商品を注文・購入し、実店舗で商品を受け取るサービスのこと
BtoBのEC市場規模

2022年 | 2023年 | 増減率 | |
建設 | 234,598億円 | 271,277億円 | 15.6% |
製造 | 2,277,191億円 | 2,795,643億円 | 22.76% |
情報通信 | 182,616億円 | 223,984億円 | 22.7% |
運輸 | 133,433億円 | 139,465億円 | 4.5% |
卸売 | 1,128,794億円 | 1,212,499億円 | 7.4% |
金融 | 160,314億円 | 184,548億円 | 15.1% |
サービス | 44,596億円 | 47,957億円 | 7.5% |
その他 | 40,812億円 | 48,276億円 | 18.28% |
合計 | 420兆2,354億円 | 465兆2,372億円 | 10.7% |
2023年の国内BtoB-EC市場規模は業界全体で約45兆円の増加になり、大きな成長を遂げています。
各分野ごとで特質点をご紹介します。
製造業分野内の食品製造分野では、市場規模が35兆5,307億円(前年比19.9%増)に達し、EC化率は75.0%まで上昇しました。この背景には、外食産業やホテル需要の回復による業務用食品市場の拡大が考えられます。
最大の市場規模を持つ卸売分野は、121兆2,499億円(前年比7.4%増)を記録しており、EC化率は37.5%まで上昇しています。
この背景には、大手GMSやスーパーマーケットを中心に、流通BMSによるEDI標準化の進展が、このEC化率上昇の推進力となっていることが考えられます。
このように、2023年のBtoB-EC市場は、各分野でEC化が着実に進展しており、特に食品製造分野で顕著な成長が見られました。今後も、デジタル化の進展とともに、さらなる市場拡大が期待されます。
今後のBtoB-EC市場規模は、2023年10月から導入された適格請求書等保存方式(インボイス制度)については、電子インボイスの活用がEC上で可能かどうかが重要となっています。
また、国際規格「Peppol」に準拠した日本版標準仕様「JP PINT」が策定され、デジタル化による請求書の作成・保存の効率化が期待されています。
CtoCのEC市場規模
2022年 | 2023年 | 増減率 | |
CtoC EC | 2 兆 3,630 億円 | 2 兆 4,817 億円 | 5.0% |
CtoC-EC市場は2023年に2兆4,817億円(前年比5.0%増)を記録しました。この背景には、BtoC-EC市場と同じく顧客の実店舗来店の動きが増えてきているため、CtoC-EC市場規模の成長率が鈍化したことが挙げられます。
しかし、2030年までには、4兆円まで市場規模に達すると予測されます。
これには、Z世代を中心とした中古品購入への抵抗感の低下や、物価高による節約志向が高まっているためです。
また、一次流通(新品市場)と二次流通(中古市場)の関係性が変化しつつあります。
両者のデータ連携や、大手百貨店による中古品買取サービスの展開など、相互補完的な関係構築が進んできているため、消費者と事業者側の双方でリユースを中心とした市場規模の高まりが期待されています。
越境ECの市場規模

2022年 | 2023年 | 増減率 | |
世界のBtoC-EC | 5.29兆ドル | 5.82兆ドル | 9.8% |
世界のBtoC-EC市場規模では、2023年度は前年比9.8%向上していますが、過去3,4年と比べると成長曲線は緩やかになってきています。
これは、コロナ禍が終了し消費者の実店舗回帰が増えてきているためです。
しかし、デジタルインフラの整備とモバイルインターネットの普及により、世界の情報がいつでも可視化できる世の中になり、消費者の自国にはない商品や限定品の取得欲求などが高まっているため、今後も緩やかに世界のBtoC-EC市場規模は成長していくと予測されます。
最近では、ライブコマースの台頭が注目されています。インフルエンサーを活用したリアルタイムの商品紹介と販売が、特に中国市場で大きな成功を収めています。SNSとECの融合(ソーシャルコマース)も進んでおり、InstagramやTikTokなどのプラットフォームを通じた越境ECが増加しています。
今後の市場拡大のポイントとしては、まずローカライゼーションの強化が重要になっています。単なる言語対応だけでなく、現地の文化や消費者嗜好に合わせたマーケティング戦略の構築が必要です。
また、物流面では現地企業との提携強化やクロスボーダー物流の効率化が期待されています。
主要3ヵ国間のEC市場規模「日本・米国・中国 」

世界の主要3ヵ国で見た市場規模と各EC上での購入金額はこのようになっています。
ポイントとして、日本の購入金額が中国やアメリカと比較して少ないことが挙げられます。
これは、日本が海外の商品に抵抗感があることや言語対応が進んでないことが原因に挙げられます。
そのため、日本の場合はこれから言語対応を解決することが1つのポイントとなってきています。
しかし、中国やアメリカは日本製品の購入金額が大きく、購入金額推移も上昇しています。
これは、日本製品の品質が安心・信頼できることを示していることや、円安が進んでいるため安く購入できることを表しています。
その他、以下の資料でEC業界のトレンドについて解説しているので、この機会にぜひご覧ください。
EC市場規模を押し上げる要因

ほぼ全てのビジネスモデルでEC市場規模が拡大しています。
ここでは、EC市場規模を押し上げる4つの要因について解説します。
技術革新
ECサイトの利便性を大きく向上させる技術革新が、市場拡大の重要な推進力となっています。
例えば、AIを活用したレコメンドエンジンは、顧客の購買履歴や閲覧データを分析し、個々のユーザーに最適な商品を提案することが可能になりました。
また、VR/AR技術の進展により、オンラインでも実店舗に近い商品体験が可能になってきたことで、消費者がECサイトでの購買もとっつきやすい環境になってきています。
さらに、スマートフォンの普及と高性能化により、「いつでも・どこでも」ショッピングができる環境が整備され、モバイルECの急成長につながっています。
その他にも音声認識やチャットボットなどの技術により、カスタマーサービスの品質も向上し、ユーザーの購買体験全体を改善しています。
決済手段の多様化
キャッシュレス決済の普及により、オンラインショッピングの利便性が格段に向上しています。
クレジットカードだけでなく、QRコード決済、電子マネー、後払いサービスなど、消費者のニーズに合わせた多様な決済手段が提供されるようになったことがEC市場規模を押し上げる1つの要因となっています。
特に、スマートフォン決済の普及は、若年層を中心に新たな顧客層の開拓につながっています。また、サブスクリプション型の決済モデルも普及し、定期購入などの新しいビジネスモデルを可能にしています。セキュリティ技術の向上により、オンライン決済に対する消費者の信頼も高まっています
物流DXの進展
配送効率の向上と顧客満足度の改善を両立する物流のデジタルトランスフォーメーションが進んでいます。
倉庫内作業の自動化やAIを活用した配送ルートの最適化により、配送時間の短縮とコスト削減が実現したことで消費者の満足度を向上させる要因に繋がっています。
また、リアルタイムでの配送状況追跡や時間指定配達など、よりきめ細かいサービスが可能になり、消費者がECで購買する事への不安を減少させたことが市場規模を高める要因に繋がっています。
さらに、自動運転技術やドローン配送など、新しい配送手段の実用化も進んでおり、ラストワンマイル配送の課題解決にも貢献しています。環境負荷低減の観点からも、配送の効率化は重要なテーマとなっています。
ECの物流について、詳しく知りたい方は以下の記事を活用ください。
オムニチャネルの浸透
実店舗とオンラインチャネルを統合し、シームレスな購買体験を提供するオムニチャネル戦略が一般化しつつあり、事業者側がECでの購買環境を整えた事が市場規模を押し上げる要因に繋がっています。
消費者は、スマートフォンで商品を検索し、実店舗で商品を確認した後にオンラインで購入するなど、複数のチャネルを柔軟に使い分けることが可能になっています。
また、実店舗での在庫確認やオンライン注文商品の店舗受け取りなど、チャネル間の連携も強化されています。さらに、顧客データの統合により、オンライン・オフライン双方での一貫した顧客体験の提供や、よりパーソナライズされたマーケティングが可能になっています。
EC市場規模の課題

EC市場規模は拡大することが予測されますが、拡大を躊躇させる要因がいくつかあります。
ここでは、市場規模が拡大するにあたっての課題を3つご紹介します。
人材不足と人件費上昇
EC市場規模の急速な成長に伴い、専門知識を持つ人材の確保が大きな課題となっています。
特にデジタルマーケティング、UX/UIデザイン、データ分析などの専門スキルを持つ人材の需要が高まり、人件費の上昇を招いています。
対策としては、AIやRPAの活用による業務の自動化、既存社員のスキルアップ研修の実施、副業・フリーランス人材の活用などが有効です。
また、人材育成プログラムの整備や、業務プロセスの標準化によって、新入社員でも早期戦力化を図ることができます。
さらに、海外人材の採用やリモートワークの導入により、人材確保の選択肢を広げることも重要です。
実際に行わないといけないECサイト業務について、詳しく知りたい方は以下の記事を活用ください。
データプライバシーとセキュリティ対策
消費者のプライバシー意識の高まりにより、個人情報の取り扱いに不安を感じる利用者が増加しています。
特に、大規模なデータ漏洩事件や不適切なデータ利用の報道により、ECサイトでの決済や個人情報提供に対する不信感が広がっています。
また、サードパーティCookieの規制強化により、これまでのようなパーソナライズドマーケティングが困難になることで、消費者への適切な商品提案や購買体験の質が低下し、結果としてEC利用の減少につながる可能性があります。
さらに、セキュリティ対策の強化に伴うコスト増加は、特に中小のEC事業者の参入障壁となり、市場の健全な成長を妨げる要因となります。加えて、GDPR等の国際的な規制強化への対応が不十分な場合、グローバルでのEC展開が制限され、市場拡大の機会を逃す可能性もあります。
この状況を改善するためには、透明性の高いデータ管理体制の構築、ファーストパーティデータの戦略的活用、セキュリティ対策の継続的な強化が不可欠です。
また、消費者とのコミュニケーションを通じて信頼関係を構築し、プライバシーに配慮したサービス展開を行うことで、持続的な市場成長が可能となります。
その他、ECのセキュリティについて、詳しく知りたい方は以下の記事を活用ください。
持続可能性への対応
近年、消費者の環境意識が急速に高まっており、特にZ世代やミレニアル世代を中心に、企業の環境への取り組みが購買判断の重要な要素となっています。
環境負荷の高いEC事業者からの購入を避ける消費者が増加しており、これがEC市場の成長を抑制する要因となり得ます。小口配送による配送車両の増加とCO2排出量の増大、過剰包装や緩衝材による廃棄物の増加、商品の大量返品による廃棄ロス、在庫の過剰確保による廃棄リスク、そしてラストワンマイル配送における環境負荷など、多くの環境課題が存在します。
これらの課題に対応できない企業は、環境意識の高い消費者からの支持低下、ESG投資における評価の低下と資金調達コストの上昇、環境規制強化による追加コストの発生、ブランドイメージの毀損などのリスクに直面する可能性があります。
そのため、配送の効率化や配送ルートの最適化、置き配の推進、サステナブルな包装材への転換、AIを活用した需要予測による適正在庫の実現、リユース・リサイクルプログラムの導入、カーボンオフセットの実施が重要となります。さらに、環境負荷の可視化と消費者への情報開示、地域密着型の物流ハブの整備なども求められます。これらの取り組みを通じて、持続可能なEC事業モデルを構築することが、今後の市場成長には不可欠となります。
EC業界の市場規模の将来性

EC業界の市場規模は、今後も拡大していくと予想されています。その理由は、以下の通りです。
- 技術革新
- 決済手段の多様化
- 物流DXの進展
- オムニチャネルの浸透
これらの要因により、EC市場は急速に成長しています。今後もEC市場は拡大していくと予想されており、2025年には世界のEC市場規模は7.9兆ドル(約930兆円)に達すると見られています。
また、EC市場の成長に伴い、新しいビジネスモデルも登場しています。例えば、D2C(Direct to Consumer)やライブコマースなどの新しいビジネスモデルが注目されています。
D2Cとは、企業が自社で商品を開発・製造し、自社で販売するビジネスモデルです。従来のビジネスモデルでは、企業は卸売業者や小売業者を経由して商品を販売していましたが、D2Cでは、企業が直接消費者に販売することで、中間マージンを削減し、利益を向上させることができます。また、D2Cでは、企業が消費者と直接つながることができるため、消費者のニーズをより深く理解し、商品やサービスの開発に活かすことができます。
以下、D2Cについてまとめた資料になります。
ライブコマースとは、商品を販売する際に、ライブ配信を活用するビジネスモデルです。ライブ配信では、商品の特徴や使い方を説明したり、商品を実際に試したりすることができます。これにより、消費者は商品をより詳しく知ることができます。また、ライブ配信では、消費者と販売者とのコミュニケーションが生まれるため、消費者の購買意欲を高めることができます。
以下、ライブコマースについてまとめた資料になります。
これらの新しいビジネスモデルは、EC市場のさらなる成長を促すと期待されています。
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