BtoB EC(企業間電子商取引)のニーズは年々高まり、市場規模も急速に拡大しています。特に受発注業務の効率化や売上拡大といったメリットから、多くの企業がBtoB ECの導入を進めています。
一方で、BtoB ECシステムには「ASP型」「パッケージ型」など複数の種類があり、自社に合ったシステムを選ぶには、BtoB ECの基本的な特徴や種類ごとの違いを理解することが不可欠です。
本記事では、BtoB ECの基本知識に加え、最新の市場規模や導入のメリット・デメリット、必要な機能、主要な構築方法、そしてBtoB ECを導入された企業の成功事例までをわかりやすく解説します。
受発注業務の効率化を目指す方や、BtoB ECサイトの導入を検討中の方はもちろん、システムの新規導入やリプレイスを検討している企業の担当者の方も、ぜひご一読ください。
1,000社以上の導入実績に基づき、ECサイト新規構築・リニューアルの際に事業者が必ず確認しているポイントや黒字転換期を算出できるシミュレーション、集客/CRM /デザインなどのノウハウ資料を作成しました。
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この記事の監修者
神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。
この記事でわかること
BtoB ECは企業間取引をオンラインで行うシステムであり、消費者向けのBtoC ECと比べて取引量が大きく、取引先ごとの価格設定や複雑な承認フローに対応できる点が異なります。
電話やFAXでの受発注を自動化して業務効率化や人的ミスを削減できるだけでなく、データ活用による売上拡大や新規顧客の開拓が可能です。
主な手法として「ASP型」「パッケージ型」「オープンソース型」「クラウド型」「フルスクラッチ型」の5種類があり、自社の予算や必要なカスタマイズ性に合わせて選びます。
BtoB ECとは
BtoB ECの定義と仕組み
BtoB(Business-to-Business)EC(Electronic Commerce)とは、企業間取引をオンライン上で行う電子商取引のことを指します。
従来の電話やFAXによる受発注業務を、インターネット上のWebサイトやシステムを通じて行うデジタル化された取引形態です。企業が他の企業に対して製品やサービスを販売する際に活用されるシステムで、「Web受発注システム」 と呼ばれることもあります。
BtoB ECの基本的な仕組みは以下の通りです:
- 商品カタログの公開:取引先企業向けにWebサイト上で商品情報を掲載
- オンライン受発注:Web画面から注文・見積もり依頼が可能
- 価格・在庫連携:基幹システムと連携したリアルタイム情報提供
- 承認ワークフロー:企業内の承認プロセスをシステム化
- 決済・請求処理:掛け払いや請求書発行の自動化
BtoB ECの特徴として、取引量が大きく、契約内容が複雑であることが挙げられます。さらに、価格交渉や納期調整など、対人でのやり取りが必要となるケースが多く見受けられます。
そのため、BtoC ECやCtoC ECと比較して、取引に関わるプロセスが多岐にわたり、質の高いサービスが求められることが特徴です。
BtoC EC・CtoC ECとの違い
ECシステムには、BtoB ECの他にもBtoC ECやCtoC ECなどがあります。それぞれの違いを「対象」と「取引の特徴」で整理しました。
| モデル | 取引主体 | 代表的なサービス・形態 |
|---|---|---|
| BtoB | 企業 ⇔ 企業 |
|
| BtoC | 企業 ⇔ 消費者 |
|
| CtoC | 消費者 ⇔ 消費者 |
|
BtoB ECは「メーカーと卸問屋」「卸問屋と小売店・飲食店」などの商取引が主であり、提供者・対象ともに企業や法人が該当します。一度の取引量(ロット)が大きく、掛率や独自の納期など、企業ごとの細かな商習慣に合わせた複雑な契約プロセスが一般的です。
BtoC ECは、いわゆる一般的なオンラインショップや通販サイトを指します。企業が一般消費者を対象に商品やサービスを提供し、自社独自のECサイトのほか、Amazonや楽天市場などのECモールへの出店がこれに該当します。BtoB ECと比較して取引プロセスが非常にシンプルであり、カートへの追加からクレジットカードなどの決済でスピーディーに取引が完了するのが特徴です。
CtoC ECは、消費者間取引(個人間取引)のことを指します。主にフリマアプリやネットオークションなどを通じた「個人同士の不要品売買」がこれに該当します。スマートフォンの普及により急速に市場が拡大しましたが、あくまで個人間のやり取りであるため、法人間取引のような継続的な契約や複雑な承認フローは介さないのが一般的です。
EDI(電子データ交換)との違い
EDI(Electronic Data Interchange) は、企業間で標準化されたフォーマットを用いて文書やデータを電子的に交換するシステムです。
注書や請求書などの書類を紙でやり取りすることなく、迅速かつ正確な情報交換を実現します。
| EDI | BtoB EC | |
| 主な目的 | 既存取引の効率化 | 販売拡大・新規顧客獲得 |
| 利用方法 | 専用ソフト・システム間連携 | Webブラウザからアクセス |
| 導入コスト | 高額(専用システム構築) | 比較的低額(クラウド活用可) |
| 柔軟性 | 取引先ごとに個別対応が必要 | 統一されたWeb画面で対応 |
| マーケティング機能 | 限定的 | 商品検索・レコメンド等が可能 |
EDI活用におけるISDN回線終了への対応
EDIは従来、NTTのISDN回線を使用することが一般的でしたが、NTT東西によりISDN回線(INSネット)の新規販売は2024年8月31日に終了し、サービス提供も2028年12月31日に完全終了する予定です。
そのため、多くの企業でWeb-EDIやインターネットEDIへの移行、またはBtoB ECシステムへの切り替えが急務となっています。
BtoB ECへ移行する企業が増加している背景については、その対価が挙げられます。
- 汎用性の高さ:特定の取引先に依存せず、幅広い企業との取引が可能
- マーケティング活用:商品検索や販促機能により新規顧客開拓が可能
- 運用コストの削減:クラウド型サービス活用による保守費用の軽減
- ユーザビリティ:直感的なWeb画面で取引先の習熟コストが低い
このように、BtoB ECは企業間取引のデジタル化と効率化を進める重要な手段として、今後さらにその重要性が高まる と考えられます。
関連記事:Web EDIとは? 導入メリット・デメリット、BtoB ECサイトの違いを徹底解説
【2026年最新】BtoB ECの市場規模とEC化率の動向
BtoB ECの市場規模と最新動向
経済産業省が2025年8月26日に発表した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、日本国内のBtoB-EC市場は著しい成長を遂げています。
2024年には市場規模が514.4兆円に達し、前年比10.6%の成長を記録しました。
EC化率も前年から3.1ポイント上昇して43.1%となり、企業間取引の電子化が急速に進展していることが明らかになりました。
この伸びは、2023年の市場規模465.2兆円、EC化率40.0%(2023年度調査)と比較すると顕著です。
また、2024年度のBtoC EC市場規模は約26.1兆円であるため、BtoB ECはBtoC ECと比較して十数倍以上の市場規模があるといえます。
BtoB ECの市場規模とEC化率の動向
BtoB ECの市場規模と最新動向
経済産業省が2025年8月26日に発表した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、日本国内のBtoB-EC市場は右肩上がりの成長を続けています。
2024年には市場規模が514.4兆円(前年比10.6%)に達し、EC化率も43.1%(前年比3.1ポイント増)と大幅に上昇しました。
2024年度のBtoC EC市場規模が約26.1兆円であることを踏まえると、BtoB ECはBtoCの約20倍近い巨大な市場を形成していることがわかります。
業種別EC化率の動向
業種別に見ると、特に「製造業」や「卸売業」を中心に電子化が加速しています。
| 業種 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| 建設 | 15.2% | 16.9% | 18.3% |
| 製造 | 58.3% | 62.1% | 72.5% |
| 情報通信 | 22.3% | 23.4% | 24.2% |
| 運輸 | 20.9% | 22.5% | 24.9% |
| 卸売 | 34.9% | 37.5% | 40.3% |
| 金融 | 23.8% | 25.2% | 26.1% |
| サービス | 15.9% | 16.8% | 18.6% |
| 合計 | 37.5% | 40.0% | 43.1% |

※参考引用元:経済産業省『令和6年度 電子商取引に関する市場調査』
市場成長を支える背景とトレンド
近年の急激な市場成長の背景には、主に以下の要因が挙げられます。
- インバウンド回復と物価上昇の影響: 外食・宿泊需要の回復により業務用食品の取引が活発化したほか、原材料費高騰に伴う販売価格の上昇が市場規模を押し上げていると考えられます。特に「食料品製造業」では、EC化率が81.3%に達するなど、デジタル化の進展が際立っています。
- 人手不足とDX推進: 働き方改革や深刻な労働力不足を背景に、電話・FAXによるアナログな受発注を見直す動きが強まり、業務効率化を目的としたEC導入が加速しています。
- インボイス制度等の法対応: インボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応を機に、企業間取引のデータをデジタルで管理・保管するニーズが高まっています。
このように、ただ利便性を向上するだけでなく、社会情勢や制度変更への対応がBtoB ECの普及を後押ししています。
また、BtoB ECに限らず、EC業界全体の市場規模を詳しく知りたい方は以下の記事で詳細に解説しています。この機会に是非ご一読ください。
BtoB ECサイトの種類
BtoB ECサイトには様々な種類がありますが、以下の代表的な3つのECサイトの種類について解説します。
- クローズド型サイト
- スモール型サイト
- マーケットプレイス型サイト
それぞれ詳しく解説していきます。
クローズド型【既存取引先向け】
クローズド型サイトは、特定の企業や取引先のみがアクセスできる閉じられたECサイトです。アクセスには会員登録や認証が必要で、一般の消費者や非会員企業は利用できません。
このECサイトの特徴は、取引先ごとに異なるサービスや価格設定を提供できることです。また、セキュリティが高く、情報漏洩のリスクを抑えられるため、機密性の高い取引に適しています。
総じて、クローズド型サイトは、特定の業界やベンダー、サプライチェーン内での取引を円滑に行いたい企業に最適です。
スモール型【新規開拓向け】
スモール型サイトは、中小企業やスタートアップ向けの小規模なECサイトです。
低コストで簡単に導入できることが特徴で、主に小規模な取引先との商取引や営業の効率化に利用されます。このタイプのECサイトは、基本的な受発注機能や在庫管理機能、出荷作業の簡素化といった必要最小限の機能に絞ることで、運用コストを抑えることができます。
また、利用者が少ないため、企業のニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。
ただし、事業が拡大するにつれて、ECシステムが大量のアクセスに耐えられず、サイトがダウンするリスクがあります。そのため、長期的な事業戦略を考慮した上で、スモール型BtoB ECサイトを選定することが重要です。
総じて、スモール型BtoB ECサイトは、初期投資を抑えつつBtoB取引のデジタル化を進めたい中小企業に適しています。
マーケットプレイス型【多企業参加】
マーケットプレイス型サイトは、複数の企業が参加し、商品やサービスを提供するプラットフォームです。
多くの企業が参加することで、広範な顧客層にアプローチでき、新規顧客の獲得が容易になるほか、初期投資を抑えて大規模な市場に参入できるというメリットがあります。
さらに、マーケットプレイス型サイトの運営者が取引を管理しているため、セキュリティや信頼性を確保するための仕組みが整っているのが特徴です。
総じてマーケットプレイス型サイトはプラットフォームの集客力を活用し、多くの新規顧客に見つけてもらいたい企業に適しています。
BtoB ECサイトの導入メリット4選
BtoB ECのメリットは、大きく分けて以下の4つに分けられます。
- 受発注業務の効率化
- 人的ミスの削減
- データ分析の活用
- 新規顧客の獲得
詳しく解説していきます。
1.受発注業務を自動化・効率化する
BtoB ECの導入は、従来の電話やFAX、メールによるアナログな受発注プロセスを劇的に進化させます。
受注から決済、在庫管理までを一元的に自動化することで、業務フローを大幅に簡略化化できます。
また、24時間365日の発注が可能となり、顧客の利便性を高めながら、企業側の業務効率も劇的に向上させます。
さらに、在庫管理システムとの連携により、正確な在庫状況の把握と迅速な対応が可能となります。
2.ヒューマンエラーのリスクを排除する
手作業による入力作業を自動化することで、転記ミスや入力ミスを大幅に減少させます。
受注データ、顧客情報、請求情報などを自動的にシステム連携することで、人間が介在することによる誤りのリスクを最小限に抑えます。
例えば、注文データの自動取り込み、在庫数の自動更新、請求書の自動生成などにより、従来の人手による作業で発生していた単純ミスを防止します。
これにより、コスト削減だけでなく、顧客満足度の向上にも直結します。
3.データの活用で売上を最大化する
BtoB ECに蓄積される豊富な受注・顧客データを活用することで、勘や経験に頼らない戦略的な意思決定が可能になります。顧客ごとの購買傾向や季節ごとの需要変動、人気商品の推移などを容易に可視化・分析できるようになるためです。
高度な分析ツールと連携すれば、需要予測に基づいた在庫最適化や、顧客に合わせた最適な価格設定(ダイナミックプライシング)も実現可能です。また、個別の購買行動に基づいたレコメンド機能などを通じて、アップセルやクロスセルを促進し、LTV(顧客生涯価値)の向上に貢献します。
4.新規顧客を開拓できる
オンライン取引の特性を活かすことで、従来の営業活動では難しかった地理的な制約を超えた販路拡大が可能になります。SEO対策やWeb広告などのデジタルマーケティングを組み合わせることで、これまで接点のなかった潜在顧客へ効率的にリーチできます。
また、ECサイト上で詳細な製品スペックや画像、紹介動画などを充実させることにより、営業担当者が介在しなくても顧客自ら比較・検討を進められるようになり、成約までのスピードが加速します。
BtoB ECサイト導入の注意点4選
多くの利点があるBtoB ECサイトですが、導入にあたっては慎重な検討が必要な「課題」や「注意点」も存在します。特に、企業間取引特有の複雑な商習慣への対応や、導入後の社内体制の構築、コスト面での計画を疎かにすると、システムが十分に活用されないリスクが生じます。ここでは、導入を成功させるためにあらかじめ把握しておくべき4つの注意点と、それらを乗り越えるためのポイントを解説します。
1.初期投資・システム構築コストがかかる
BtoB ECの導入には、BtoC向けサイトよりも高額な初期費用や構築コストがかかる傾向があります。業界特有の商習慣や企業ごとの個別要件に対応するため、カスタマイズや独自開発が必要になるケースも多く、プロジェクトの規模によっては数百万円から数千万円の費用が発生することも珍しくありません。
コストを最適化するためには、自社の要件を整理した上で、パッケージ型システムやクラウド型サービスを選択するなど、初期投資を抑えつつ拡張性を確保できる手段を検討することが重要です。
以下の記事ではECサイト構築の費用感や相場を詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
関連記事:ECサイト構築の費用相場はいくら?ECシステム別の相場や構築・運営コストを詳しく解説
2.既存顧客のシステム移行に手間とコストを要する
システム導入時には、既存顧客へ取引方法変更の周知やフォローを行うための工数が発生します。これまで電話やFAXで取引してきた顧客に対しては、操作マニュアルの作成やデモ画面の案内といった丁寧なサポートが不可欠です。
スムーズな移行を実現するためには、社内外での調整やサポート体制をあらかじめ構築し、一斉に切り替えるのではなく段階的な移行スケジュールを組むといった工夫が求められます。
以下の記事ではECサイトのリニューアルに関して手順やコストを詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
関連記事:ECサイトのリニューアル手順・費用・利用できる補助金・成功事例を解説!
3.導入に合わせて社内業務フローを見直す必要がある
BtoB ECを導入すると、従来の受注プロセスや営業スタイルの根本的な見直しが必要となります。特に、営業担当者の属人的なスキルに依存していた業務をシステム化・標準化するプロセスには、相応の準備期間と社内調整が必要です。
社内研修の実施によってシステムへの理解を深めるほか、ECサイトと従来の営業活動を組み合わせた「ハイブリッド運用」を定義するなど、組織全体で新しい業務フローに慣れていくプロセスを設けるのが効果的です。
4.運用前にデータ整備とセキュリティ対策を徹底する必要がある
BtoB ECでは、顧客情報や価格設定、取引履歴など、機密性の高い情報を扱うため、情報漏洩リスクへの万全な対策が不可欠です。また、運用を開始する前には既存データのクレンジングや移行作業にも相当な工数が必要となります。
安全な運用を実現するためには、セキュリティ基盤が充実した信頼性の高いシステムを選択することが基本となります。特に大手企業での導入実績が豊富なパッケージを採用することは、セキュリティリスクを最小化し、安定した運用基盤を確保する上で非常に有効な手段となります。
なお、近年、受発注サイトの脆弱性を狙ったサイバー攻撃や情報漏洩トラブルが増加しており、万が一事故が発生した際の企業損失は計り知れません。ECサイトにおける具体的なセキュリティ事故の種類や、未然に防ぐための対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。導入検討とあわせて、ぜひ参考にしてください。
初期投資・システム構築コスト
BtoB ECサイトに必要な機能
ここでは、BtoB ECサイトを運営する上で、必要になってくる機能をBtoC ECサイト運営と比較しながらご紹介します。
見積もり機能
BtoB ECサイトにおいて見積もり機能が必要な理由は、取引金額が大きく、商品やサービスの構成が複雑になりやすいためです。
BtoCの場合は定価での販売が基本ですが、BtoBでは数量や取引条件によって価格が変動することが一般的です。また、発注前に社内での稟議や承認が必要なケースが多く、正式な発注前に金額を確定する必要があります。
見積もり機能では、商品の選択、数量指定、納期、支払条件などの取引条件を反映させた見積書を作成し、取引先との価格交渉や社内承認のプロセスをサポートします。
掛け払い機能・与信管理機能
BtoB取引では、商品やサービスの提供後に代金を支払う掛け払いが一般的です。これはBtoCのような即時決済とは大きく異なる特徴です。
掛け払い機能では、取引先ごとの与信管理、支払い条件(支払いサイト)の設定、請求締め日の管理、支払い期日の管理などが必要になります。
また、取引先の信用状態を考慮した与信限度額の設定や、未回収リスクの管理も重要です。さらに、複数回の取引をまとめて請求する締め払いにも対応する必要があります。
このように、BtoB ECサイトでは単なる決済機能ではなく、企業間取引特有の複雑な債権管理の仕組みが求められます。
請求書自動発行機能
適切な請求書の発行と管理が法的にも実務的にも重要です。
特に2023年10月からのインボイス制度の開始により、適格請求書の発行が必須となっています。請求書発行機能では、複数の注文をまとめた合計請求や、請求書の定期発行、消費税の適切な計算と表示、源泉徴収の対応など、企業間取引特有の要件に対応する必要があります。
また、電子インボイスへの対応や、請求書の承認ワークフロー、保管・管理機能なども重要です。BtoCでは領収書の発行で十分ですが、BtoBでは取引の証憑として正確な請求書管理が必要不可欠です。
顧客別価格設定機能
BtoB取引では、取引先との契約内容や取引量に応じて、同じ商品でも取引先ごとに異なる価格を設定することが一般的です。
顧客別価格設定機能では、取引先ごとの価格マスタの管理、数量割引の設定、特別価格の期間管理、新価格への改定管理などが必要です。
また、商品のグレードや取引先の規模によって価格帯を分けたり、特定の業界向けの専用価格を設定したりする必要もあります。BtoCの場合は原則として全顧客に同一価格を提示しますが、BtoBでは取引条件に応じた柔軟な価格設定が競争力の源泉となります。
基幹システム連携
BtoB ECサイトでは、受発注データを確実に基幹システムと連携させる必要があります。
これは、在庫管理、生産計画、会計処理、販売管理など、企業の基幹業務と直結しているためです。基幹システム連携では、リアルタイムの在庫確認、受注データの自動取り込み、出荷指示の自動発行、請求データの連携など、様々なデータをシームレスにやり取りする必要があります。
BtoCの場合は比較的シンプルな在庫連携で済みますが、BtoBでは取引先ごとの与信残や取引条件、承認ワークフローなど、より複雑な連携が求められます。また、EDIやERP等の外部システムとの連携も重要な要件となります。
BtoB ECサイトの主な構築方法5選
BtoB ECサイトの構築方法は主に5つの種類に分かれます。
それぞれコストや特徴などが異なる為、どのようなBtoB EC事業を展開するかどうかを熟考した上で構築方法を選定しましょう。
また、2026年最新版のECカートシステム比較表も是非合わせてご覧ください。
構築方法比較表
| 構築方法 | メリット | デメリット | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| ASP型 | ・コストを抑えやすい ・導入ハードルが低い |
・カスタマイズ性が低い | 初期 0〜50万円 月額 0〜10万円 |
| パッケージ型 | ・サポートが充実 ・カスタマイズ性が高い |
・コストが比較的高い | 初期 100〜500万円 月額 10〜50万円 |
| オープンソース型 | ・ライセンス料が無料 ・カスタマイズ性が高い |
・高度な知識が必要 ・セキュリティリスク |
開発 0〜数千万円 ※保守費用別途 |
| クラウド型 | ・カスタマイズ性が高い ・システムの陳腐化防止 |
・コストがやや高い | 初期 500〜2000万円 月額 50〜200万円 |
| フルスクラッチ型 | ・自由度が最も高い ・独自要件に完全対応 |
・時間とコストが膨大 | 開発 3000万円〜数億円 年間 500万円〜 |
ASP EC
ASP型とは、ECサイトの構築や運営に必要な機能をクラウド上でレンタルするサービスです。
このサービスの特徴は、比較的短い期間でECサイトを立ち上げることができ、コストを抑えやすい点です。また、システムの保守やバージョンアップは提供元が行うためユーザーは常に最新のシステムを利用できます。
しかし、ASP型ECのデメリットとして、利用できる機能に制限があるためカスタマイズ性や拡張性が低いことが挙げられます。これは、外部システムとの連携や管理画面の拡張が難しいことを意味します。
無料から利用できるASP型ECサービスも存在しますが、無料プランでは機能制限や取引手数料が高く設定されているケースが多いです。一方、有料プランでは、より充実した機能と柔軟性を利用でき、ビジネス規模の拡大にも対応できます。
その他、より詳しくASP型のECサイト構築方法のメリットやデメリットを知りたい方は以下の記事で解説しています。
パッケージEC
パッケージ型とは、ECサイト構築に必要な機能があらかじめパッケージ化されたシステムを購入し、それをベースに企業のニーズに合わせてカスタマイズしてECサイトを構築する方法です。
この手法の特徴は、高いカスタマイズ性と在庫管理や基幹システムとの連携性に優れている点です。また、提供元からのサポートが充実しており、セキュリティ面でも信頼できるサービスが多いです。ただし、他の構築方法に比べて初期費用や月額費用が高くなる傾向があります。
一方で、自社のニーズに合わせてECサイトを構築できるため、大きな成果が期待できるのがメリットです。また、導入から運用までのサポート体制が整っており運営に安心感があります。基本的な必要機能は網羅されているため中規模から大規模のECサイト運営に適しています。
総じて、中長期的に安心して利用できるECサイトを構築できるため、業界や規模問わずBtoB EC事業者全員におすすめです。
以下の記事では、おすすめのパッケージ型のECシステムについて詳しく解説しています。
是非合わせてご覧ください。
オープンソースEC
オープンソース型とは、誰でも閲覧できるソースコードをサーバーにインストールしてECサイトを構築する手法です。特徴として、コストを大幅に抑えてサイトを構築できることとカスタマイズの自由度が高いことです。
ただし、導入・運用には高度なプログラミングスキルが必要で、セキュリティ対策も自社で行う必要があるためリスクも伴います。また、システムの保守や更新、トラブル対応もすべて自社で行う必要があります。
十分な技術力がある企業であれば、自社の要件に完全に合致したECサイトを構築できる点が最大のメリットです。しかし、公式サポートが限定的なため、障害発生時の対応や継続的なメンテナンスは自社の技術力に依存します。
その他、より詳しくオープンソース型のECサイト構築方法のメリットやデメリット、他のECサイト構築方法の違いを知りたい方は以下の記事で解説しています。
クラウドEC
クラウド型とは、クラウド上のシステムを利用してECサイトを構築する手法であり、ASP型と似ていますがカスタマイズ性や初期費用、導入期間に違いがあります。
クラウド型ECは、システムのアップデートが自動で行われるため最新の状態を維持でき、セキュリティも高い安全性が保たれます。また、カスタマイズ性や拡張性に優れており、機能の追加などは比較的低コストで行えます。
ただし、月額費用や保守費用が他の構築方法と比較して高額になる傾向があります。そのため、ある程度の規模と予算を持つ企業で、システムの陳腐化を避けながら継続的な成長を目指す場合に適した構築方法です。
フルスクラッチEC
フルスクラッチ型とは、ゼロからオリジナルのECサイトを構築する方法であり自由に開発ができるので、自社の商材やコンセプト、ターゲットに合わせた最適なECサイトを追求できるのが最大の強みです。
カスタマイズ性が高く、サイト改善やカスタマイズに柔軟に対応できる一方で、サイト構築までに多くの時間とコストがかかります。
大企業が運用する大手ブランドのECサイトにはフルスクラッチ型がよく採用されており、社内の専門部署でシステムの定期的なメンテナンスや調整・拡張業務が行われています。
しかし、中小規模のビジネスを行う企業にとっては予算が合わない可能性もあり、採用する場合は、費用対効果を見込めるか慎重に検討することが重要です。
総じて、フルスクラッチ型は新規でのECサイト構築ではなく、既存のECサイトをリプレイスする方に対しておすすめです。
最近では、BtoB EC特化のパッケージ型のカスタマイズ性が向上しているので、予算が合わずフルスクラッチ型を選択できない場合はそちらも視野に入れてみるとよいでしょう。
その他、より詳しくフルスクラッチ型のECサイト構築方法のメリットやデメリットを知りたい方は以下のお役立ち記事で解説しています。
BtoB ECサイト構築を構築するなら「W2 BtoB」
画像参照元:W2 BtoB公式サイト
初期費用:要見積もり
月額費用:要見積もり
導入実績:1100社以上「大東建託株式会社・旭商工株式会社・株式会社ホリ・コーポレーションetc」
W2 BtoBは、1,000以上の充実したEC機能と業務効率化に特化したBtoB機能により、受発注業務から販売施策の実行まで幅広く対応可能です。
具体的には、以下の課題をお持ちの方におすすめです。
- 電話やメールなど、アナログ受注の対応が業務負担になる
- 取引先ごとに価格や商品を変えられず、不便が生じている
- 営業時間外の対応ができず、受注の機会を逃している
- 見積やアカウントの発行に手間がかかっている
- 商品や取引先の情報がバラバラで、管理が面倒
また、W2はBtoBとBtoC ECサイト統合や新規構築に対応可能であり、多様な販売チャネルに加え、BtoBビジネスで重要な取引先・メーカーのデータを全て一元管理することで、複雑な業務プロセスを最適化が可能です。
中小企業から大企業まで幅広い規模の企業で利用されており、豊富な連携サービスや無料API、エンドユーザーの利便性を重視したアップデートが特徴となっています。

W2 BtoBは、法人取引における受注・顧客管理業務をデジタル化し、業務全体を効率化するBtoB向けECソリューションです。FAXや電話での受発注をオンライン化し、業務工数を大幅削減!掛率設定、見積書発行、与信管理など、BtoB特有の商習慣に標準対応しています。
ECを活用した新規顧客開拓にも対応し、BtoBtoBやBtoBtoCなど多様な取引形態・販路を一元管理可能です。
BtoB ECの成功事例
この章では、BtoB ECサイトの成功事例について以下の2社をご紹介します。
- 株式会社IL
- 大東建託株式会社
株式会社IL
株式会社ILは「素肌美や飾りすぎない自然な美しさを提供すること」をコンセプトに、独自開発した化粧品やスキンケアといった美容商材の生産や代理店向けに販売を行っている会社です。
元々は代理店ごとに価格や掛け率を変化できないことや、代理店ごとの販売管理、受注管理ができない仕様になっており、事業においてどこに課題があるのか可視化することができませんでした。
しかし、BtoB ECのシステムを導入することで、販売先からログインしたお客様ごとで価格の出し分けを可能にすることができたり、ユーザー管理レベル機能を利用して管理画面内で販売先ごとでのお客様管理が可能になっています。
また、クーポン機能を用いて商品を割引価格で販売したことや、お客様を細かな条件でセグメント化して、各セグメントごとに合わせたプレゼントキャンペーンを行ったことで、月間売上が156%増加し、平均の顧客単価も133%向上しています。
より詳しい情報は下記よりご一読ください。
詳しい事例はこちらから:売上156%向上と業務工数67%削減を実現!BtoB向け美容商材を販売する 株式会社ILが代理店ごとで価格調整を可能にできることを理由に W2 Repeatを選定!
大東建託株式会社
大東建託株式会社「すまちく建材店」といういわゆるECモール型のサイトを運営していて、お取引のあるメーカー様の商品を会員様限定の特別価格で、企業様やその企業の社員様を対象に販売しているクローズドECサイトを運営しています。
元々はメーカー様の商品登録や在庫確認などを大東建託様が手動作業していたため、業務工数に負荷が生じていました。
しかし、BtoB ECシステムを導入した結果、商品登録や発送は各メーカー様が行うようになり、月に約160時間の工数削減を実現しています。
また、業務効率が改善されたことで、今まで手が付けられていなかった販促やマーケティング活動にも注力することが可能になったことで売上向上を実現しています。
より詳しい情報は下記よりご一読ください。
詳しい事例はこちらから:「多機能ECプラットフォーム×柔軟なカスタマイズ」が決め手!大東建託がW2を選定で理想のモール型自社ECサイトを実現/新規出店数4倍を達成!
その他の成功事例を知りたい方は、以下の記事でBtoB EC売上ランキングを基に解説しているのでこの機会にぜひご覧になられてはいかがでしょうか。
関連記事:BtoB EC売上ランキング|市場規模や構築方法を解説!
なお、下記の資料ではW2株式会社のECサイト構築事例を業種別・規模別に幅広く紹介しています。無料でダウンロードできますので、是非ご活用ください。
まとめ│BtoB EC導入を成功させるために
この記事では、BtoB ECの基礎知識から最新の市場動向、導入のメリットや注意点について解説してきました。
- BtoB ECは、企業間でのオンライン取引のことを指す
- 国内市場は500兆円を超える規模に達しており、特に食料品製造業ではEC化率が80%を超えるなど、あらゆる業界でデジタルシフトが必須となっている
- 成長背景には人手不足に伴うDX推進や、インボイス制度への対応といった法改正、社会情勢の変化が普及を強力に後押ししている
- BtoB ECのメリットはコスト削減、業務効率化、顧客開拓、データ分析の活用などがある
- BtoB ECサイトにはクローズド型とスモール型、マーケットプレイス型がある
BtoB ECサイトの構築や運用における課題は、決して一朝一夕で解決できるものではありません。しかし、今回ご紹介した注意点や対策を一つずつクリアしていくことで、着実に成功へと近づくことができるはずです。
なお、EC事業を立ち上げ、長期的に売上を向上させていくためには、事前の入念な準備が欠かせません。EC事業の成功に向けて、ECサイト立ち上げ準備に必要なタスクを網羅したチェックリスト資料を作成しました。
17のカテゴリ、全79項目を「必須編」と「推奨編」に分けて詳しくまとめています。無料でダウンロードいただけますので、自社のプロジェクトを推進する際のガイドとして、ぜひご活用ください。
BtoB ECに関するよくある質問
Q. 「固定電話網(PSTN)のIP網移行」は、BtoB ECの導入にどう影響しますか?
A. 従来の電話回線を利用したEDI(電子データ交換)は、固定電話網のIP網への移行(PSTN停波)に伴い、従来通りの維持が難しくなっています。これにより、従来のEDIから、インターネット回線を利用する「Web受発注システム(BtoB EC)」への切り替えが急速に進んでいます。回線維持の懸念を解消するだけでなく、運用コストの削減や通信速度の向上といったメリットも得られるため、移行を機にEC化を検討する企業が増えています。
Q. BtoB ECにおける最新のトレンドや、今後注目すべきテクノロジーは何ですか?
A. 現在は、AIを活用した「需要予測」や「レコメンド機能」の搭載が大きなトレンドとなっています。過去の膨大な取引データから、適切な発注タイミングやおすすめ商品を自動で提示することで、販売機会の損失を防ぐことが可能です。また、スマホやタブレットで現場から直接発注できる「モバイル対応」や、実店舗とECの在庫を一元化する「OMO(Online Merges with Offline)」の動きも、BtoB業界で非常に注目されています。
Q. BCP(事業継続計画)の観点から、BtoB ECを導入するメリットはありますか?
A. 非常に大きなメリットがあります。電話やFAXなどのアナログな受発注は、災害時にオフィスへ出社できなくなると業務が完全にストップしてしまいます。しかし、クラウド型のBtoB ECを導入していれば、インターネット環境さえあれば場所を問わず受発注業務を継続できるため、災害やパンデミックなどの緊急時における事業継続性が大幅に向上します。リスク管理の観点からも、デジタル化は有効な投資といえます。




























