BtoB EC(企業間取引)とは?基本知識や市場規模、導入メリットを解説


BtoB EC(企業間取引)とは?基本知識や市場規模、導入メリットを解説
BtoB ECの市場規模は、コロナ禍の影響もあり、近年徐々に拡大しています。BtoB ECサイトを開設することで、業務効率や販売促進など、さまざまなメリットが得られます。
また、BtoB ECサイト構築システムには「ASP型」や「パッケージ型」など複数の種類があり、サイトを開設する際には、BtoB ECの特徴や各システムの違いを理解した上で、最適なものを選定することが重要です。
本記事では、市場規模や導入メリット、必要な機能、主要な構築方法、そしておすすめのBtoB ECサイト構築プラットフォーム6選について、わかりやすく解説します。
受発注業務の効率化を目指している方、BtoB ECサイトの利点や注意点を知りたい方、新規導入やリプレイスを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
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BtoB EC(企業間取引)とは?

BtoB(Business-to-Business)EC(Electronic Commerce)とは、企業間取引をオンライン上で行う電子商取引のことを指します。
これは企業が他の企業に対して製品やサービスを販売する場合に用いられるシステムで、企業が消費者に向けて製品やサービスを販売するBtoC(Business-to-Consumer)ECや、消費者同士で製品やサービスの売買を行うCtoC (Consumer-to-Consumer)ECとは異なります。
以下はBtoB ECとBtoC EC、CtoC ECの比較になります。
BtoB EC | BtoC EC | CtoC EC | |
関係性 | 企業と企業間 | 企業と消費者間 | 消費者と消費者間 |
特徴 | ・取引量が大きい ・契約内容が複雑 ・価格交渉や納期調整などやり取りが必要 |
・少額の取引が多い ・取引期間が短期的 ・標準化された価格設定 |
・少額の取引が多い ・取引期間が短期的 ・消費者どうして価格を決めることが多い |
BtoB ECの特徴として、取引量が大きく、契約内容が複雑であることが挙げられます。さらに、価格交渉や納期調整など、対人でのやり取りが必要となるケースが多く見受けられます。
そのため、BtoC ECやCtoC ECと比較して、取引に関わるプロセスが多岐にわたり、質の高いサービスが求められることが特徴です。
EDI
EDI(Electronic Data Interchange)は、企業間で標準化されたフォーマットを用いて文書やデータを電子的に交換するシステムです。
これにより、発注書や請求書などの書類を紙でやり取りすることなく、迅速かつ正確な情報交換が可能となります。
EDIを活用することで、電話やFAXといったアナログ手段を使わずに済み、BtoB ECの取引効率化やコスト削減が実現しています。
ただし、EDIは通常、NTTのISDN回線を使用していますが、ISDN回線は2024年から順次終了予定のため、代替となる回線の確保が必要です。
このように、BtoB ECは企業間取引のデジタル化と効率化を進める重要な手段であり、今後さらにその重要性が高まると考えられます。
BtoB ECにおける最近のトピック

最近のBtoB ECのトピックとして、固定電話網(PSTN)のIP網への移行が進んでおり、これに伴いBtoB ECにおけるEDIシステムもインターネットEDIへの移行が加速しています。
この移行については、総務省情報通信審議会の監督のもとで、「距離に依存しない低廉な電話料金の実現」や「現在と同等水準の品質・信頼性の確保」などの方針が示されています。
2023年5月時点では、クレジットカード端末、POS、電子バンキングなど、主要なシステムの移行が順調に進んでいることが報告されています。
さらに、2023年10月からは適格請求書等保存方式(インボイス制度)が開始され、課税事業者は事前に適格請求書発行事業者として登録し、適格請求書を発行する義務が課せられました。
効率化の一環として、電子インボイスの活用が認められており、特に国際規格「Peppol」に準拠した日本版標準仕様「JP PINT」が策定されました。
これにより、デジタル化によるバックオフィス業務の効率化や、導入時の混乱への対応が進められ、今後の動向に注目が集まっています。
BtoB ECの市場規模

2022年 | 2023年 | 増減率 | |
建設 | 234,598億円 | 271,277億円 | 15.6% |
製造 | 2,277,191億円 | 2,795,643億円 | 22.76% |
情報通信 | 182,616億円 | 223,984億円 | 22.7% |
運輸 | 133,433億円 | 139,465億円 | 4.5% |
卸売 | 1,128,794億円 | 1,212,499億円 | 7.4% |
金融 | 160,314億円 | 184,548億円 | 15.1% |
サービス | 44,596億円 | 47,957億円 | 7.5% |
その他 | 40,812億円 | 48,276億円 | 18.28% |
合計 | 420兆2,354億円 | 465兆2,372億円 | 10.7% |
現在、BtoB ECの市場規模は顕著に成長をし続けています。
令和5年度の経済産業省市場調査によると、2023年の日本のBtoB EC市場規模は、465.2兆円(前年比10.7%増)となっていて、EC化率は過去最高の40%に達しています。
特に「食料品製造業」の総売上高は2023年に47兆3,835億円となり、EC化率は75.0%という高い数値を記録しています。これは、コロナ禍が収束したことにより消費者の外出機会が増加し、外食などの需要が拡大した結果、食品市場自体が成長したためであり、それに伴いBtoB ECにおける食品関連の取引も拡大したことが要因です。
2023年度のBtoC EC市場規模が約24兆円のため、BtoB ECはBtoC ECと比較して何十倍以上の市場規模があるといえます。
BtoB ECの市場規模が成長している背景には、以下の要因が挙げられます。
- BCPの推進
- 働き方改革
- ITインフラの整備
- デバイスの普及
それぞれ詳しく解説していきます。
BCPの推進
近年、パンデミックや紛争、自然災害の影響で資材調達の難航や原材料費の高騰、ライフラインの停止などが頻発しています。これらの影響を受けている企業は少なくなく、ビジネスのグローバル化や気候変動がその背景にあります。
こうした不確実性の高い時代において、BCP(事業継続計画)の策定が一層推進されています。BCPとは、災害や事故、パンデミックなどの緊急事態においても企業活動を継続し、早期に正常な業務運営を回復させるための計画です。
BCPの推進により、万が一商談や取引が困難な状況に陥った場合でも、BtoB ECは安定した供給網の維持や迅速な情報共有を可能にし、事業の継続性を確保するための重要な手段となっています。
これにより、BtoB EC市場はますます成長しており、その成長に大きく寄与しています。
働き方改革
BtoB EC市場の成長には、働き方改革が重要な役割を果たしています。
働き方改革とは、2019年4月1日から順次施行されている政策で、従業員の労働環境を改善し、労働生産性を向上させることを目的とした取り組みです。
この改革は、BtoB EC市場の成長にも影響を与えています。特にテレワークの普及がその一因です。テレワークが広がることで、オフィス以外の場所でも業務が行われるようになり、オンラインでの商取引の需要が高まりました。
その結果、BtoB ECの利用が増加しています。
また、働き方改革の進展に伴い、業務負担を軽減する仕組みの需要も高まっています。BtoB ECは受注プロセスの自動化や紙ベースの書類削減を実現できるため、その需要が高まり、市場規模の成長に繋がっています。
ITインフラの整備
ITインフラの整備と普及は、業務効率化を目指す企業にとって重要な要素であり、結果的にBtoB EC市場の成長に繋がっています。
BtoC・CtoC ECではすでにITインフラが整備されていますが、BtoBビジネスでは従来、業務工数がかかるアナログなやり取りが主流でした。
しかし、BtoC EC市場でデジタル化による業務工数削減が進んだことで、その需要が高まり、市場規模が成長しました。
さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進がBtoB EC市場の拡大を後押ししています。
これより、BtoB ECはより効率的でスムーズな取引が可能となり、市場規模の成長に大きく貢献しています。
デバイスの普及
スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどのデバイスの普及により、ビジネスパーソンは場所を問わずインターネットにアクセスし、Webサイトを操作できるようになりました。
これにより、外出先や移動中でもBtoB ECサイトを利用する機会が増加し、市場規模の拡大に繋がっています。
また、モバイルアプリを活用した決済や受注システム、リアルタイムで在庫情報を共有するサービスなど、新たなビジネスモデルが登場しています。
さらに、デバイスの普及により、中小企業や地方の企業もBtoB EC市場に参入しやすくなり、市場全体が活性化し、成長が加速しています。技術の進化とともに、デバイスの役割は今後さらに重要になると予想されます。
また、さまざまなEC業界の市場規模について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳細に解説しています。この機会にぜひご一読ください。
BtoB ECサイトの種類

BtoB ECサイトには様々な種類がありますが、以下の代表的な3つのECサイトの種類について解説します。
- クローズド型BtoB ECサイト
- スモール型BtoB ECサイト
- マーケットプレイス型BtoB ECサイト
それぞれ詳しく解説していきます。
クローズド型BtoB ECサイト
クローズド型BtoB ECサイトは、特定の企業や取引先のみがアクセスできる閉じられたECサイトです。アクセスには会員登録や認証が必要で、一般の消費者や非会員企業は利用できません。
このECサイトの特徴は、取引先ごとに異なるサービスや価格設定を提供できることです。また、セキュリティが高く、情報漏洩のリスクを抑えられるため、機密性の高い取引に適しています。
総じて、クローズド型BtoB ECサイトは、特定の業界やベンダー、サプライチェーン内での取引を円滑に行いたい企業に最適です。
スモール型BtoB ECサイト
スモール型BtoB ECサイトは、中小企業やスタートアップ向けの小規模なECサイトです。
低コストで簡単に導入できることが特徴で、主に小規模な取引先との商取引や営業の効率化に利用されます。このタイプのECサイトは、基本的な受発注機能や在庫管理機能、出荷作業の簡素化といった必要最小限の機能に絞ることで、運用コストを抑えることができます。
また、利用者が少ないため、企業のニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。
ただし、事業が拡大するにつれて、ECシステムが大量のアクセスに耐えられず、サイトがダウンするリスクがあります。そのため、長期的な事業戦略を考慮した上で、スモール型BtoB ECサイトを選定することが重要です。
総じて、スモール型BtoB ECサイトは、初期投資を抑えつつBtoB取引のデジタル化を進めたい中小企業に最適です。
マーケットプレイス型BtoB ECサイト
マーケットプレイス型BtoB ECサイトは、複数の企業が参加し、商品やサービスを提供するプラットフォームです。
多くの企業が参加することで、広範な顧客層にアプローチでき、新規顧客の獲得が容易になるほか、初期投資を抑えて大規模な市場に参入できるというメリットがあります。
さらに、プラットフォームの運営者が取引を管理しているため、セキュリティや信頼性を確保するための仕組みが整っている点も特徴です。
BtoB ECのメリット

BtoB ECのメリットは、大きく分けて以下の4つに分けられます。
- 受発注業務の効率化
- 人的ミスの削減
- データ分析の活用
- 新規顧客の獲得
詳しく解説していきます。
受発注業務の効率化
BtoB ECに活用されるサイトやシステムは、従来の電話やFAX、メールベースの受発注プロセスを根本的に変革します。
受注から決済、在庫管理までを一元的に自動化することで、業務フローを大幅に簡素化します。受注データのリアルタイム連携により、受注から出荷までのリードタイムを短縮し、オペレーションコストを削減します。
また、24時間365日の発注が可能となり、顧客の利便性を高めながら、企業側の業務効率も劇的に向上させます。その他、在庫管理システムとの連携により、正確な在庫状況の把握と迅速な対応が可能となります。
人的ミスの削減
手作業による入力作業を自動化することで、転記ミスや入力ミスを大幅に減少させます。
受注データ、顧客情報、請求情報などを自動的にシステム連携することで、人間が介在することによる誤りのリスクを最小限に抑えます。
例えば、注文データの自動取り込み、在庫数の自動更新、請求書の自動生成などにより、従来の人手による作業で発生していた単純ミスを防止します。
これにより、コスト削減だけでなく、顧客満足度の向上にも直結します。データの一元管理により、情報の整合性も担保されます。
データ分析の活用
BtoB ECにおいてシステムを活用することで、豊富な受注・顧客データを蓄積し、戦略的意思決定を支援します。
顧客の購買傾向、最適な在庫量、季節変動、人気商品の分析などが容易に可能となります。
高度な分析ツールと連携することで、予測分析や最適な価格設定、マーケティング戦略の立案に活用できます。また、顧客ごとのカスタマイズされた分析レポートの提供や、個別の購買行動に基づいたレコメンド機能の実装も可能となり、顧客との関係性強化にも貢献します。
新規顧客の獲得
オンライン取引の特性を活かし、地理的制約を超えた新規顧客開拓が可能となります。
例えば、SEO対策や効果的なデジタルマーケティングにより、従来のアプローチでは難しかった潜在顧客へのリーチが可能になります。
また、商品情報の透明性、詳細な仕様説明、豊富な画像・動画コンテンツにより、顧客の意思決定を支援可能になります。
BtoB ECサイトの課題と対策

BtoB ECサイトの課題と解決策を解説していきます。
- 基幹システムとの連携コストや不具合
- 社内の業務フローの見直し
- 取引先に合わせた購買体験の実現
以下で詳しく説明します。
基幹システムとの連携コストや不具合
既存の基幹システムとBtoB ECサイトの連携は、多くの企業にとって大きな技術的課題です。従来の基幹システムは柔軟性に欠け、新しいデジタルプラットフォームとの統合が難しい場合が多いため、多額の改修コストと長期間の開発が必要となります。
解決策としては、APIベースの連携やミドルウェアの活用が効果的です。クラウド型統合プラットフォームを導入することで、既存システムへの影響を最小限に抑えつつ、リアルタイムでの在庫連携、受注管理、顧客情報の同期が可能になります。
また、全面的な刷新ではなく、段階的な移行戦略を採用することで、リスクと投資を分散できます。
社内の業務フローの見直し
BtoB ECサイトの導入には、従来の営業プロセスや受注管理方法の根本的な見直しが必要です。多くの企業では、営業担当者が長年培ってきた属人的な商談スタイルから脱却し、デジタル化された取引プロセスに適応することが求められます。
解決策としては、社内研修やデジタルリテラシー向上プログラムの実施が重要です。また、ECサイトと既存の営業活動を補完的に運用する仕組みを構築することも求められます。
例えば、ECサイト上での見積もり機能と営業担当者による個別フォローを組み合わせたハイブリッドアプローチが効果的です。さらに、KPI設定や評価制度の見直しを行うことで、デジタル化に対する組織的なモチベーションを高めることができます。
取引先に合わせた購買体験の実現
BtoB EC取引では、各企業の個別ニーズや取引条件が大きく異なるため、汎用的なECサイトでは十分な購買体験を提供できません。
解決策として、企業ごとにカスタマイズ可能な購買画面の構築が重要です。具体的には、顧客企業別の価格表示、数量に応じた動的な価格設定、個別契約に基づく特別条件の反映などが求められます。
さらに、ユーザー権限の細分化や承認ワークフローの実装により、複雑な企業間取引プロセスにも対応可能となります。加えて、顧客データの分析に基づいたパーソナライズド・レコメンデーション機能を導入することで、取引先ごとに最適化された購買体験を提供できます。
BtoB ECサイトに必要な機能

ここでは、BtoB ECサイトを運営する上で、必要になってくる機能をBtoC ECサイト運営と比較しながらご紹介します。
見積もり機能
BtoB ECサイトにおいて見積もり機能が必要な理由は、取引金額が大きく、商品やサービスの構成が複雑になりやすいためです。
BtoCの場合は定価での販売が基本ですが、BtoBでは数量や取引条件によって価格が変動することが一般的です。また、発注前に社内での稟議や承認が必要なケースが多く、正式な発注前に金額を確定する必要があります。
見積もり機能では、商品の選択、数量指定、納期、支払条件などの取引条件を反映させた見積書を作成し、取引先との価格交渉や社内承認のプロセスをサポートします。
特に大口取引や特注品の場合、見積書を基に取引先と交渉を進めることが重要です。
掛け払い機能
BtoB取引では、商品やサービスの提供後に代金を支払う掛け払いが一般的です。これはBtoCのような即時決済とは大きく異なる特徴です。
掛け払い機能では、取引先ごとの与信管理、支払い条件(支払いサイト)の設定、請求締め日の管理、支払い期日の管理などが必要になります。
また、取引先の信用状態を考慮した与信限度額の設定や、未回収リスクの管理も重要です。さらに、複数回の取引をまとめて請求する締め払いにも対応する必要があります。
このように、BtoB ECサイトでは単なる決済機能ではなく、企業間取引特有の複雑な債権管理の仕組みが求められます。
請求書発行機能
適切な請求書の発行と管理が法的にも実務的にも重要です。
特に2023年10月からのインボイス制度の開始により、適格請求書の発行が必須となっています。請求書発行機能では、複数の注文をまとめた合計請求や、請求書の定期発行、消費税の適切な計算と表示、源泉徴収の対応など、企業間取引特有の要件に対応する必要があります。
また、電子インボイスへの対応や、請求書の承認ワークフロー、保管・管理機能なども重要です。BtoCでは領収書の発行で十分ですが、BtoBでは取引の証憑として正確な請求書管理が必要不可欠です。
顧客別価格設定機能
BtoB取引では、取引先との契約内容や取引量に応じて、同じ商品でも取引先ごとに異なる価格を設定することが一般的です。
顧客別価格設定機能では、取引先ごとの価格マスタの管理、数量割引の設定、特別価格の期間管理、新価格への改定管理などが必要です。
また、商品のグレードや取引先の規模によって価格帯を分けたり、特定の業界向けの専用価格を設定したりする必要もあります。BtoCの場合は原則として全顧客に同一価格を提示しますが、BtoBでは取引条件に応じた柔軟な価格設定が競争力の源泉となります。
基幹システム連携
BtoB ECサイトでは、受発注データを確実に基幹システムと連携させる必要があります。
これは、在庫管理、生産計画、会計処理、販売管理など、企業の基幹業務と直結しているためです。基幹システム連携では、リアルタイムの在庫確認、受注データの自動取り込み、出荷指示の自動発行、請求データの連携など、様々なデータをシームレスにやり取りする必要があります。
BtoCの場合は比較的シンプルな在庫連携で済みますが、BtoBでは取引先ごとの与信残や取引条件、承認ワークフローなど、より複雑な連携が求められます。また、EDIやERP等の外部システムとの連携も重要な要件となります。
BtoB ECサイトの主な構築方法4選

BtoB ECサイトの構築方法は主に5つの種類に分かれます。
それぞれコストや特徴などが異なる為、どのようなBtoB EC事業を展開するかどうかを熟考した上で構築方法を選定しましょう。
具体的には以下の5つの構築方法と、それぞれのメリット・デメリットの一覧を以下の表にまとめています。
構築方法 | メリット | デメリット | 費用目安 |
ASP型 | ・コストを比較的抑えやすい
・構築のハードルが低い |
カスタマイズ性が低い | 0円~10万円 |
パッケージ型 | ・サポートが充実している
・カスタマイズ性が高い |
・コストが比較的高い | 100万円~ |
オープンソース型 | ・コストを比較的抑えやすい
・カスタマイズ性が高い |
・高度な知識が必要になる
・セキュリティリスクが高い |
0円~数千万円 |
クラウド型 | ・カスタマイズ性が高い
・システムの陳腐化を防げる |
・コストがやや高い | 500万円~ |
フルスクラッチ型 | ・自由度が最も高い
・カスタマイズが無限大 |
・時間とコストが特にかかる | 数千万円~憶規模 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ASP EC
ASP型とは、ECサイトの構築や運営に必要な機能をクラウド上でレンタルするサービスです。
このサービスの特徴は、比較的短い期間でECサイトを立ち上げることができ、コストを抑えやすい点です。また、システムの保守やバージョンアップは提供元が行うためユーザーは常に最新のシステムを利用できます。
しかし、ASP型ECのデメリットとして、利用できる機能に制限があるためカスタマイズ性や拡張性が低いことが挙げられます。これは、外部システムとの連携や管理画面の拡張が難しいことを意味します。
一方、無料のASP型ECサービスもありますが、これらは初期費用や月額費用が無料ということもあり機能が制限されているケースが多いです。
有料のASP型ECサービスを利用すると、より充実した機能を利用できるため制限が少なくなります。
総じてスモール型BtoB ECサイトの構築を検討されている方には費用も抑えて導入できることからおすすめです。
その他、より詳しくASP型のECサイト構築方法のメリットやデメリットを知りたい方は以下の記事で解説しています。
ECパッケージ
パッケージ型とは、ECサイト構築に必要な機能があらかじめパッケージ化されたシステムを購入し、それをベースに顧客のニーズに合わせてカスタマイズしてECサイトを構築する方法です。
この手法の特徴は、高いカスタマイズ性と在庫管理や基幹システムとの連携性に優れている点です。また、提供元からのサポートが充実しており、セキュリティ面でも信頼できるサービスが多いです。しかし、他の構築方法に比べて初期費用や月額費用が高くなる傾向があります。
一方で、自社のニーズに合わせてECサイトを構築できるため、大きな成果が期待できるのがメリットです。また、導入から運用までのサポート体制が整っており運営に安心感があります。基本的な必要機能は網羅されているため中規模から大規模のECサイト運営に適しています。
総じて、中長期的に安心して利用できるECサイトを構築できるため、業界や規模問わずBtoB EC事業者全員におすすめです。
以下の記事では、おすすめのパッケージ型のECシステムについて詳しく解説しています。
是非合わせてご覧ください。
オープンソースEC
オープンソース型とは、だれでも閲覧できるソースコードをサーバーにインストールしてECサイトを構築する手法です。特徴として、コストを大幅に抑えてサイトを構築できることとカスタマイズの自由度が高いことです。
しかし、高度なプログラミングスキルが必要でセキュリティリスクも伴います。オープンソースを使用すると商品の売上に応じた手数料のみで済み、システムの保守や更新も提供元が行うため最新の状態で利用できます。
一方で、カスタマイズの自由度が高いため技術力があれば自社のニーズに合わせたサイトを構築できます。しかし、サポートが限られているため障害が生じた場合は自力で対処や改修する必要があります。
また、システムが陳腐化しやすく大規模な障害やバグが発生した場合、責任は自社にあります。オープンソース型ECは技術力のある企業に適しており、低コストでカスタマイズ可能な点がメリットですがセキュリティ面での注意が必要です。
その他、より詳しくオープンソース型のECサイト構築方法のメリットやデメリット、他のECサイト構築方法の違いを知りたい方は以下の記事で解説しています。
クラウドEC
クラウド型とは、クラウド上のシステムを利用してECサイトを構築する手法であり、ASP型と似ていますが初期費用や導入期間に違いがあります。
クラウド型ECは、システムのアップデートが自動で行われるため最新の状態を維持でき、セキュリティも高い安全性が保たれます。また、カスタマイズ性や拡張性に優れており、機能の追加などは比較的低コストで行えます。
しかし保守費用やECカートシステムのランニングコストが高い傾向があるため、大規模なBtoB ECサイト構築を考えている事業者以外はパッケージ型などの費用を抑えて導入できる構築方法をおすすめします。
フルスクラッチEC
フルスクラッチ型とは、ゼロからオリジナルのECサイトを構築する方法であり自由に開発ができるので、自社の商材やコンセプト、ターゲットに合わせた最適なECサイトを追求できるのが最大の強みです。
カスタマイズ性が高く、サイト改善やカスタマイズに柔軟に対応できる一方で、サイト構築までに多くの時間とコストがかかります。
大企業が運用する大手ブランドのECサイトにはフルスクラッチ型がよく採用されており、社内の専門部署でシステムの定期的なメンテナンスや調整・拡張業務が行われています。
しかし、中小規模のビジネスを行う企業にとっては予算が合わない可能性もあり、採用する場合は、費用対効果を見込めるか慎重に検討することが重要です。
総じて、フルスクラッチ型は新規でのECサイト構築ではなく、既存のECサイトをリプレイスする方に対しておすすめです。
最近では、BtoB EC特化のパッケージ型のカスタマイズ性が向上しているので、予算が合わずフルスクラッチ型を選択できない場合はそちらも視野に入れてみるとよいでしょう。
その他、より詳しくフルスクラッチ型のECサイト構築方法のメリットやデメリットを知りたい方は以下のお役立ち記事で解説しています。
BtoB ECサイト構築を構築するなら「W2」

画像参照元:W2公式サイト
初期費用:要見積もり
月額費用:要見積もり
導入実績:800社以上「大東建託株式会社・旭商工株式会社・株式会社ホリ・コーポレーションetc」
W2は、低価格で機能性が良いため、一番おすすめしたいBtoB ECプラットフォームになります。
1,000以上の充実したEC機能と業務効率化に特化したBtoB機能により、受発注業務から販売施策の実行まで幅広く対応可能です。
具体的には、以下の課題をお持ちの方におすすめです。
- 電話やメールなど、アナログ受注の対応が業務負担になる
- 取引先ごとに価格や商品を変えられず、不便が生じている
- 営業時間外の対応ができず、受注の機会を逃している
- 見積やアカウントの発行に手間がかかっている
- 商品や取引先の情報がバラバラで、管理が面倒
また、W2はBtoBとBtoC ECサイト統合や新規構築に対応可能であり、多様な販売チャネルに加え、BtoBビジネスで重要な取引先・メーカーのデータを全て一元管理することで、複雑な業務プロセスを最適化が可能です。
中小企業から大企業まで幅広い規模の企業で利用されており、豊富な連携サービスや無料API、エンドユーザーの利便性を重視したアップデートが特徴となっています。
W2システム導入で成功したBtoB ECサイトの事例
この章では、BtoB ECサイトの成功事例について以下の2社をご紹介します。
- 株式会社IL
- 大東建託株式会社
株式会社IL
株式会社ILは「素肌美や飾りすぎない自然な美しさを提供すること」をコンセプトに、独自開発した化粧品やスキンケアといった美容商材の生産や代理店向けに販売を行っている会社です。
元々は代理店ごとに価格や掛け率を変化できないことや、代理店ごとの販売管理、受注管理ができない仕様になっており、事業においてどこに課題があるのか可視化することができませんでした。
しかし、BtoB ECのシステムを導入することで、販売先からログインしたお客様ごとで価格の出し分けを可能にすることができたり、ユーザー管理レベル機能を利用して管理画面内で販売先ごとでのお客様管理が可能になっています。
また、クーポン機能を用いて商品を割引価格で販売したことや、お客様を細かな条件でセグメント化して、各セグメントごとに合わせたプレゼントキャンペーンを行ったことで、月間売上が156%増加し、平均の顧客単価も133%向上しています。
詳しい事例はこちらから
売上156%向上と業務工数67%削減を実現!BtoB向け美容商材を販売する 株式会社ILが代理店ごとで価格調整を可能にできることを理由に W2 Repeatを選定!
大東建託株式会社
大東建託株式会社「すまちく建材店」といういわゆるECモール型のサイトを運営していて、お取引のあるメーカー様の商品を会員様限定の特別価格で、企業様やその企業の社員様を対象に販売しているクローズドECサイトを運営しています。
元々はメーカー様の商品登録や在庫確認などを大東建託様が手動作業していたため、業務工数に負荷が生じていました。
しかし、BtoB ECシステムを導入した結果、商品登録や発送は各メーカー様が行うようになり、月に約160時間の工数削減を実現しています。
また、業務効率が改善されたことで、今まで手が付けられていなかった販促やマーケティング活動にも注力することが可能になったことで売上向上を実現しています。
詳しい事例はこちらから
「多機能ECプラットフォーム×柔軟なカスタマイズ」が決め手!大東建託がW2を選定で理想のモール型自社ECサイトを実現/新規出店数4倍を達成!
まとめ

以下がこの記事のまとめです。
- BtoB ECは、企業間でのオンライン取引のことを指す
- BtoB EC市場は急成長中で、特に食料品製造業がEC化率75%を超えている
- 成長背景にはBCP推進、働き方改革、ITインフラ整備、デバイス普及などの要因がある
- BtoB ECのメリットはコスト削減、業務効率化、顧客開拓、データ分析の活用などがある
- BtoB ECサイトにはクローズド型とスモール型、マーケットプレイス型がある
- 自社に合わせたECサイトシステムを選ぶことが重要になってくる
BtoB ECサイトの課題は、一朝一夕で解決できるものではありません。しかし、上記の対策を参考に、継続的に取り組むことで、課題を解決し、成功に近づくことができるでしょう。