【2025年最新版】ECサイト構築の全手法を徹底比較!費用・手順・選び方を専門家が解説


スマートフォンやSNSの普及により、ECサイトは事業成長に欠かせないチャネルとなりました。しかし、その重要性は理解しつつも、「何から始めれば良いのか見当もつかない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
成功するECサイト構築の第一歩は、いきなり作り始めることではなく、まず「作り方の全体像」を正しく理解することです。
本記事では、ECサイト構築を検討し始めたばかりの方に向けて、
- ECサイト構築の5つの主要な方法
- それぞれの費用感やメリット・デメリット
- 失敗しないための具体的な構築手順
といった、最初に知っておくべき重要なポイントを網羅的に解説します。
この記事を読み終える頃には、ECサイト構築の全体像と各手法の違いが明確になり、貴社にとって最適な選択をするための判断基準をご理解いただけます。
1,000社以上の導入実績に基づき、ECサイト新規構築・リニューアルの際に事業者が必ず確認しているポイントや黒字転換期を算出できるシミュレーション、集客/CRM /デザインなどのノウハウ資料を作成しました。
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この記事の監修者

神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。
ECサイトの構築方法とは

ECサイトの構築方法には大きく分けて「自社EC」と「ECモール」の2種類があります。それぞれの主な特徴を以下の表にまとめました。
自社EC | ECモール | |
---|---|---|
イメージ | ・路面に自分たちのお店を構える | ・ショッピングモール内に出店する |
メリット | ・デザインや機能の自由度が高い
・ブランディングがしやすい ・顧客データを活用した施策が打てる |
・モール経由で集客を見込める
・出店のハードルが低い |
デメリット | ・集客力を自力で高める必要がある
・成果が出るまで時間がかかる |
・出店や運営に手数料がかかる
・個性を出しにくい ・モール内での価格競争が激しい |
初期費用 | 0円~数千万円 (構築方法により大きく変動) |
0円~数十万円 (出店プランによる) |
月額コスト | 数千円~数十万円 (サーバー代、保守費用、システム利用料など) |
数千円~数十万円+売上ロイヤリティ (プラン料金、売り上げに応じた手数料) |
こんな企業におすすめ | ・自社ブランドの世界観を育てたい
・顧客と長く良好な関係を築きたい ・将来的に事業を大きく拡大したい |
・まずは手軽にネット販売を試したい
・知名度のない商品を多くの人に見せたい ・短期的に売り上げを立てたい |
自社ECサイトとECモールそれぞれの特徴について解説します。
ECモール │ 集客力と手軽さが魅力
ECモールとは、Amazonや楽天市場のように、一つの大きなプラットフォームに多店舗の商品が掲載・販売される形式のECサイトです。
最大のメリットは、モール自体が持つ圧倒的な知名度と集客力です。モールのブランド力やポイント制度のおかげで、ゼロから集客する手間を大幅に削減できます。ECサイト運営の仕組みも整っているため、比較的簡単に出店できるのも魅力です。
一方で、出店料や売上に応じた手数料(ロイヤリティ)がかかり、利益率が圧迫されることがあります。また、モール全体のルールに従う必要があり、デザインやキャンペーンの自由度が低い点もデメリットです。
購入者も「Amazonで買った」という認識が強く、お店(自社)のファンになってもらいにくいため、長期的なブランディングには向き不向きがあります。
また、ECモールへの出店を検討している方は、出店の流れや費用、成功のポイントについて詳しく解説している以下の記事も参考にしてください。
自社EC|自由なブランディングとデータ活用が強み
自社ECとは、独自のドメインを取得し、自社でオリジナルECサイトを構築・運営する方法です。
最大のメリットは、モールのような制約がなく、デザインや機能を自由に設計できる点です。これにより、自社ブランドの世界観を存分に表現し、お客様を「お店のファン」に育てるブランディングが可能になります。また、収集した顧客データを分析し、リピート購入を促すような独自のマーケティング施策を打てるのも大きな強みです。
一方、デメリットは、サイト立ち上げ時に認知度や集客力が低いため、成果を上げるまでに時間がかかることです。集客には、広告やSNS運用が必須となります。
さらに、ECサイトの構築からオープンまでには時間がかかります。自社ECサイトの構築する際は、商品ページの作成や決済代行会社、配送業者との契約など、準備が多岐にわたるため、最短でも2ヶ月〜3ヶ月かかることがほとんどです。
また、自社ECサイトの構築を検討している担当者の方は、自社ECの費用感や失敗しないためのポイントについてさらに詳しく解説している以下の記事も併せてご覧ください。
ECサイトの構築方法 比較表
「自社ECサイトを構築する」と一口に言っても、その作り方(構築方法)にはいくつかの種類があり、それぞれに費用、期間、特徴が大きく異なります。ECサイト構築の成否は、自社の事業規模や目的に合った方法を最初に選べるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
ここでは、主要な5つの構築方法について、その違いが一目でわかるように比較表にまとめました。
「費用」「開発期間」「カスタマイズの自由度」といった複数の軸で比較することで、貴社にどの方法が最もフィットするのか、大まかな当たりをつけることができます。
それぞれの構築方法については、次章で解説します。
構築方法 | 年商規模 | 初期費用 | 月額費用 | 拡張性(カスタマイズ) |
---|---|---|---|---|
ASP | ~1億円 | 0円~10万円 | ~10万円 | 不可 |
オープンソース | 1億円~5億円 | 0円(制作費等は除く) | 10万円~ | 可能 |
パッケージ | 1億円~ | 500万円~ | 10万円~ | 可能 |
クラウド | 1億円~20億円 | 300万円~ | 10万円~ | 可能(一部制限あり) |
フルスクラッチ | 50億円~ | 数千万円~ | 数十万円以上 | 可能 |
SNS | ~1億円 | 0円 | 0円 | 不可 |
【システム別】5つのECサイト構築方法

この章では、5つの主要な構築方法について、メリット・デメリット、費用の目安、そしてどのような企業におすすめなのかをさらに詳しく掘り下げていきます。
貴社の事業フェーズや将来のビジョン、そして解決したいビジネス課題と照らし合わせながら、「どの方法が自社にとっての最適解か」という視点でお読みください。
ASP型ECサイト構築
ASPカートとは?
ASP(Application Service Provider)型は、ECサイトの構築・運営に必要なシステムをクラウド上でレンタルできるサービスです。
デザインテンプレートや決済機能など、基本的な機能が予めパッケージングされており、契約後すぐに利用を開始できます。
メリット
-
初期費用や月額費用を安価に抑えられる:サーバーの用意や大規模な開発が不要なため、初期費用を数万円程度に、月額費用も比較的安価なプランから始められます。
-
システムの保守や管理を自社で行う必要がない:サーバー管理やセキュリティ対策、法改正に伴うシステム改修などをサービス提供側が担うため、事業者は販売活動に集中できます。
-
常に最新の状態でサービスを利用できる:システムのバージョンは自動でアップデートされるため、常に最新の機能やセキュリティ環境でECサイトを運営することが可能です。
デメリット・注意点
- デザインや機能のカスタマイズに制限がある:サービス側が提供する機能の範囲内でしかサイトを構築できないため、独自のブランドイメージを細部まで表現したり、特殊な販売方法を導入したりすることは困難です。
- 外部システムとの連携が難しい場合が多い:自社で利用している基幹システムやMAツールなどと連携できない場合が多く、事業規模が拡大した際にデータ連携や業務効率の面で課題が生じます。
費用の目安
- 初期費用:0円 ~ 10万円
- 月額コスト:数千円 ~ 10万円(別途、決済手数料や販売手数料がかかる場合が多い)
こんな企業におすすめ
- EC運営の経験がなく、まずはスモールスタートしたい個人・小規模事業者
- 期間限定のキャンペーンサイトなど、素早く立ち上げたい場合
無料のツールもあり、参入障壁が低いため、ECサイトを低コストで始めたい方に特におすすめです。ASP型について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
オープンソース型ECサイト構築
オープンソースとは?
オープンソース型とは、無償で公開されているソースコードを使ってECサイトを構築する方法です。
メリット
- ソフトウェアのライセンス費用が無料:開発を内製化できる場合、サーバー代などの実費のみでECサイトを構築できるため、初期コストを大幅に抑えることが可能です。
- ソースコードを編集し、自由にサイトを構築できる:プログラムの設計図であるソースコードが公開されているため、デザインや機能を完全に自由に設計・実装でき、独自の要件にも対応できます。
デメリット・注意点
- サイト構築や運用には高度な専門知識が必須:サイトの構築からサーバー管理、トラブルシューティングまで、すべて自社の責任と技術力で行う必要があります。
- セキュリティ対策は自社の責任:プログラムの脆弱性が発見された場合、自社で迅速に対応しなければなりません。対応が遅れると、不正アクセスや情報漏洩のリスクに常に晒されます。
費用の目安
- 初期費用: 50万円〜(※開発を外注する場合。内製の場合はサーバー代のみ)
- 月額コスト: 数万円 ~(サーバー代、保守・運用費)
こんな企業におすすめ
- 社内にWeb開発に精通したエンジニアがいる企業
- コストを抑えつつ、独自の機能を持つECサイトを構築したい企業
その他、オープンソース型のメリット・デメリットや他の構築方法との違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
オープンソース型ECサイト構築|メリットや注意点、おすすめECシステムを解説
パッケージ型ECサイト
パッケージとは?
ECサイトに必要な機能を網羅した基本システム(パッケージソフトウェア)を購入し、それをベースに自社の要件に合わせてカスタマイズを加えて構築する方法です。
メリット
- 自社の業務要件に合わせて柔軟にカスタマイズ可能:ECサイトに必要な基本機能を網羅した上で、独自の業務フローやブランド要件に合わせて機能を追加・改修することができます。
- 基幹システムとのデータ連携に優れている:企業の基幹システム(販売管理、在庫管理など)との連携を前提に設計されており、大規模なバックオフィス業務にもスムーズに対応できます。
- 開発ベンダーによる充実したサポートが受けられる:導入支援や運用保守サポートが提供されるため、万が一のシステムトラブル時も迅速な対応が期待でき、安心して事業を継続できます。
デメリット・注意点
- 初期費用が高額になる傾向がある:ソフトウェアのライセンス購入費や、要件に合わせたカスタマイズ開発費が必要なため、初期費用は数百万円以上になることが一般的です。
費用の目安
- 初期費用: 300万円~
- 月額コスト:5万円~(保守費用、サーバー費用)
こんな企業におすすめ
- 年商数十億円規模の大規模ECサイトを運営する企業
- 基幹システム連携など、業務要件が複雑な企業
詳細な情報は、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
クラウド型ECサイト
クラウドECとは?
ASPの手軽さとパッケージの拡張性を両立した、ECプラットフォームの新しい形です。システムはクラウド上で提供され、事業者は常に最新の機能を利用しながら、API連携などを通じて柔軟なカスタマイズも行えるのが特徴です。
メリット
- システムが自動更新され、常に陳腐化しない:機能追加やセキュリティ強化などのアップデートが自動で適用されるため、システムが時代遅れになることがありません。事業者は常に最新の環境でEC事業を展開できます。
- API連携により、柔軟な機能拡張が可能:最新のマーケティングツールや外部サービスとAPIを介して容易に連携できます。市場の変化に合わせて迅速に新しい施策を試すことが可能です。
- 堅牢なセキュリティを専門家に任せられる:プラットフォームとして最新のセキュリティ対策が常に施されており、自社でインフラを管理するよりも安全性が高い状態でECサイトを運営できます。
デメリット・注意点
- プラットフォームが提供する範囲内での開発となる:パッケージやフルスクラッチほどの自由はなく、カスタマイズはプラットフォームが提供するルールやAPIの範囲内で行う必要があります。
費用の目安
- 初期費用: 100万円~
- 月額コスト:10万円~
こんな企業におすすめ
- 事業成長に合わせてECサイトを進化させ続けたい、中規模からエンタープライズ領域の企業
- 市場の変化にスピーディーに対応し、競争優位性を保ちたい企業
- IT人材のリソースを、インフラ管理ではなく事業戦略やマーケティングに集中させたい企業
フルスクラッチ型ECサイト
フルスクラッチとは?
フルスクラッチ型とは、ゼロからECサイトを完全にオリジナルで構築する方法です。
メリット
- ビジネスモデルに100%合致したサイトを構築できる:既存のどんなシステムにも縛られず、自社の独自の要件やブランド戦略に完全に合致した、オリジナルのECサイトを構築できます。
- 事業環境の変化に合わせ、迅速なシステム改修が可能:開発の主導権が完全に自社にあるため、事業戦略の変更に応じて、柔軟かつスピーディーにシステムの改修や機能拡張を行うことができます。
デメリット・注意点
- 開発に莫大な時間とコストを要する:要件定義から設計、開発、テストまで全ての工程をゼロから行うため、開発期間は最低でも1年以上、費用は数千万円以上と高額になります。
- プロジェクト管理や運用に専門チームが不可欠:開発プロジェクト全体を管理できるPM(プロジェクトマネージャー)や、リリース後のシステムを維持・改善していくための専門チームを社内に持つことが成功の絶対条件です。
費用の目安
- 初期費用: 数千万円~
- 月額コスト:数十万円 ~(保守・運用費)
こんな企業におすすめ
- 既存のどのECシステムでも実現不可能な、極めて独自性の高い事業を展開する企業
- 開発・運用に莫大な投資を継続できる、体力のある大企業
フルスクラッチ型のメリットやデメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【番外編】SNS(Facebook,Instagram)を活用した商品販売
厳密にはECサイト構築とは異なりますが、近年無視できない販売チャネルがSNSコマースです。InstagramやFacebook、そして急速に市場を拡大するTikTok Shopなどを活用し、SNS上で直接商品を販売する手法が注目されています。
最大のメリットは、各SNSが持つ巨大なユーザー基盤と拡散力を活用し、低コストで商品を届けられる点です。ユーザーは普段使っているアプリから離れることなく、シームレスに商品を発見し、購入できます。
一方で、あくまでSNSの一機能であるため、本格的な顧客管理や詳細なデータ分析は困難です。また、プラットフォーム側の仕様変更やアルゴリズムの変動によって、売上が大きく左右されるリスクも常に伴います。
そのため、SNSコマースを事業の全てとするのではなく、「自社ECサイトへの集客チャネル」や「新商品のテストマーケティングの場」として活用するのが、最も賢明な戦略と言えるでしょう。
SNSを活用した販売方法についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ECサイト構築の手順 全8ステップ
ECサイト構築を成功させるには、計画的に正しい手順を踏むことが不可欠です。この章では、ECサイト構築のプロジェクトを8つのステップに分け、やるべきこと・決めるべきことを整理して解説します。
Step1:企画・事業計画
ECサイト構築は、まず「なぜ作るのか」「何を目指すのか」という事業の根幹を定義することから始まります。ここが曖昧なまま進むと、プロジェクトの方向性がブレてしまいます。
- 目的の明確化: 新規顧客の獲得、リピート率の向上、ブランディング強化、海外展開など、ECサイトで達成したい最も重要な目的を定めます。
- ターゲット設定: どのような顧客に、どのような価値を提供したいのか。年齢、性別、ライフスタイル、課題などを具体的に描き出します。
- 売上目標と予算策定: 3年後、5年後の売上目標を立て、そこから逆算して、ECサイトの構築と運用にかけられる予算の上限を決定します。
Step2:要件定義
Step1で定めた企画を、具体的な「機能」や「仕様」に落とし込んでいく工程です。ここで定義した内容が、この後の開発の設計図となります。
- 必要な機能の洗い出し: 会員登録、ポイント機能、クーポン機能、レビュー機能、SNS連携など、目的達成に必要な機能をリストアップします。
- デザイン・コンセプトの決定: ターゲットに響くデザインの方向性や、ブランドイメージを固めます。参考となる競合サイトなどをいくつかピックアップしておくとスムーズです。
- 非機能要件の定義: セキュリティレベル、表示速度、将来的な拡張性など、目に見えないシステムの品質に関する要件もここで定義します。
Step3:構築方法の選定
事業計画と要件定義が固まったら、いよいよ具体的な構築方法を選定します。前の章で解説した5つの方法(ASP、オープンソース、パッケージ、、クラウドEC、フルスクラッチ)の中から、自社の予算、目的、将来性などを総合的に判断し、最適な方法を決定します。この段階で、開発を依頼するベンダーや制作会社の選定も並行して進めます。
Step4:開発・デザイン制作
選定した構築方法と開発ベンダーに基づき、実際の制作フェーズに入ります。
- サイト設計: 要件定義に基づき、サイトマップ(サイト全体の構造)やワイヤーフレーム(各ページの設計図)を作成します。
- デザイン制作: ブランドコンセプトに基づき、トップページや商品ページなどのデザインを作成します。
- システム開発・実装: 設計書に基づき、プログラミングや各種機能の実装を行います。
Step5:商品登録・コンテンツ作成
サイトの「器」が出来上がってきたら、中身となる商品情報やコンテンツを登録していきます。
- 商品情報の登録: 商品名、価格、説明文、スペック、商品画像など、必要な情報をシステムに登録します。
- 静的コンテンツの作成: 「会社概要」「送料について」「よくある質問」など、ECサイトに必要な各種ページを作成します。
Step6:決済システムの導入
顧客がスムーズに購入を完了できるよう、決済方法を導入します。クレジットカード決済、コンビニ決済、キャリア決済、後払いなど、ターゲット層のニーズに合わせた多様な決済手段を用意することが、カゴ落ち(購入直前の離脱)を防ぐ上で非常に重要です。
Step7:テスト・最終確認
ECサイトを公開する前に、不具合がないか徹底的にテストを行います。
- 動作確認: 商品の購入フロー、会員登録、問い合わせフォームなどが正常に機能するか、PCやスマートフォンなど複数の環境で確認します。
- 表示確認: デザイン崩れや文字化けが起きていないか、各ページをチェックします。
- 最終レビュー: 誤字脱字がないか、掲載している情報に誤りがないかなど、関係者全員で最終的な確認を行います。
Step8:公開・運用開始
全てのテストが完了したら、いよいよECサイトを公開します。しかし、ECサイトは公開がゴールではありません。ここからが本当のスタートです。
公開後は、アクセス解析ツールなどを用いて売上や集客状況を分析し、新たな商品を投入したり、キャンペーンを企画したりと、継続的な改善活動を行っていくことが事業成功の鍵となります。
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ECサイト構築を成功させる5つの重要ポイント

構築方法や手順を理解した上で、最後に、プロジェクトを「成功」に導くために絶対に外せない5つの重要ポイントを解説します。
目的と予算を「事業計画」として定義する
ECサイト構築で最も多い失敗は、「なんとなく」始めてしまうことです。「何のためにECサイトを作るのか」という目的が曖昧では、必要な機能もデザインも定まりません。
「新規顧客の獲得」「リピート率の向上」「ブランディング強化」など、ECサイトで達成したい事業目的を明確に定義することが全ての土台となります。
また、予算については、サイトを作るための初期費用だけでなく、公開後の広告宣伝費、人件費、システムの保守費用まで含めた「TCO(総所有コスト)」の視点で計画することが不可欠です。
売上を左右するUI/UX(顧客体験)の設計
ECサイトのデザインは、ユーザーの購買体験に直結する重要な要素です。
デザインは、ユーザーが商品を簡単に見つけ、購入できるように直感的で使いやすいものである必要があります。ECサイトのUI/UX設計をしっかり行うことで、訪問者がストレスなくサイトを利用でき、コンバージョン率の向上が期待できます。
また、レスポンシブデザインを採用することで、PC、スマートフォン、タブレットなど、全てのデバイスに対応できる点も重要です。
さらに、ブランドカラーやフォントを一貫性をもって使用し、顧客に安心感や信頼感を与えるデザインを心がけることが大切です。
ただし、デザインが過度に装飾的で使いにくい場合、ユーザーが離脱する原因となる可能性があるため、シンプルで視覚的に魅力的なデザインを目指しましょう。
機会損失を防ぐ決済システムの最適化
ECサイトで最も避けたい機会損失が、決済方法が原因の「カゴ落ち(購入直前の離脱)」です。
クレジットカード決済、銀行振込、代金引換、コンビニ決済など、さまざまな決済方法を提供することにより、顧客は自分に合った支払い方法を選択でき、購入のハードルを下げることができます。
重要なのは、単に決済方法の種類を増やすことではなく、自社のターゲット顧客が普段使っている決済手段を導入することです。若年層向けなら各種スマホ決済、高額商品なら分割払いや後払い決済など、顧客のニーズに合わせた選択肢を用意することで、購入完了率を大きく改善します。
また、決済代行サービスを選定する際は、手数料や対応する決済方法について事前に調べ、最適なサービスを選びましょう。
顧客からの信頼に直結するセキュリティ対策
ECサイトでは、顧客の個人情報やクレジットカード情報を取り扱うため、セキュリティ対策は非常に重要です。
SSL証明書を導入し、データを暗号化して安全に送信することは必須です。
さらに、サイトの管理画面には2段階認証を導入することで、不正アクセスを防止できます。また、システムやプラグイン、サーバーソフトウェアを定期的に更新し、最新のセキュリティパッチを適用することも重要です。
万が一に備えて、定期的なバックアップを取ることも欠かせません。これにより、サイトが攻撃を受けた場合でも、迅速に復旧することができます。
また、不正アクセス防止や顧客情報保護のためには、強固なパスワード管理や適切なアクセス権限の設定を行い、リスクを最小限に抑えることが求められます。
構築後の運用を見据えたサポート体制の選定
ECサイトを運営する上で、顧客サポートは不可欠です。
サイトで何か問題が発生した場合、顧客は速やかにサポートを受けられることを期待しています。よくある質問(FAQ)ページを作成し、一般的な問い合わせに対応できるようにしておくことで、顧客が自己解決しやすくなります。
また、チャットサポートを導入することで、リアルタイムで顧客とやり取りができ、迅速な問題解決が可能になります。電話やメールでのサポートも重要ですが、対応時間や休業日を明確にしておくことが大切です。
さらに、返金や返品ポリシーをサイトに明記し、顧客が購入後のトラブルを回避できるようにすることが信頼性を高めます。しっかりとしたサポート体制を整えることで、顧客満足度が向上し、リピーターの獲得にもつながります。
ECサイト構築後のよくある運用課題
ECサイトは公開して終わりではなく、その後の運用が成否を分けます。特に「集客」と「保守・運用」の2つが大きな課題となり、これをどう乗り越えるかが事業成功の鍵です。
集客
完成したECサイトにお客様を呼び込むには、集客の仕組みが欠かせません。どれだけ良いサイトを作っても、訪問者がいなければ売上は生まれません。
- SEO対策: 検索エンジンで上位表示させ、広告費に頼らない安定集客の基盤を築く施策です。
- Web広告: 費用をかけ、短期間でアクセスを集める即効性の高い手法ですが、継続的な予算が必要になります。
- SNSマーケティング: InstagramやTikTokなどを活用してファンを育て、コミュニティを形成する手法です。一方的なPRではなく、顧客との対話が成功の鍵です。
- CRM: メルマガやLINEで既存顧客と関係を築き、再購入を促す活動です。LTV(顧客生涯価値)を高める上で欠かせません。
保守・運用
ECサイトを安定して運営するには、サーバー監視やセキュリティ対策、不具合修正、法改正への対応など、地道な保守・運用が欠かせません。これらは24時間365日、安全で快適な利用環境を維持し、お客様からの信頼を守るための基盤となります。
特にパッケージやオープンソースを利用する場合、これらの対応はすべて事業者の責任となり、専門知識や多大なリソースが必要です。一方、クラウド型ECプラットフォームであれば多くをベンダーに任せられるため、事業者は集客など戦略的な活動に集中できます。
ECシステムの乗り換え・リニューアル

ECサイトは一度作ったら終わりではありません。事業の成長とともに、アクセス数や注文数は増え、求められる機能も複雑化していきます。その結果、いつしか現在のシステムがビジネスの成長を妨げる「足かせ」になってしまうことがあります。
ここでは、どのようなサインが見えたら乗り換えを検討すべきか、そして乗り換えで失敗しないための具体的な注意点を解説します。
乗り換えを検討すべき5つのサイン
以下のような課題を感じ始めたら、それはシステムの限界が近づいているサインかもしれません。
サイン1:やりたい施策が実現できず、売上が頭打ちになっている
「効果的なキャンペーンを打ちたいのに、システムの制約で実現できない」「手動でのデータ処理に時間がかかり、業務効率が上がらない」といった課題は、機能不足の典型例です。機会損失を防ぎ、事業を次のステージに進めるためには乗り換えが必要です。
サイン2:サイトの表示速度が遅く、顧客が離脱している
ページの読み込みに3秒以上かかると、多くのユーザーは離脱してしまいます。特にセール時などアクセスが集中した際にサイトが重くなる場合、サーバーの処理能力やシステムの設計が限界に達しており、売上を大きく損なっている可能性があります。
サイン3:外部の最新マーケティングツールと連携できない
MAツールやCRM、SNSなど、最新のマーケティングツールと連携できなければ、効果的なデータ活用や顧客アプローチは行えません。API連携などに柔軟に対応できない古いシステムは、競争力を低下させる原因となります。
サイン4:システムの老朽化でセキュリティに不安がある
システムのバージョンアップが長年行われていない、あるいは最新の決済方法に対応できないといった状況は非常に危険です。個人情報の漏洩は、企業の信頼を根底から揺るがす重大な経営リスクに直結します。
サイン5:運用コストが売上に見合っていない
システムの維持・保守費用が高額であったり、少しの改修でも都度大きな開発費用が発生したりする場合、費用対効果が悪化しています。最新のクラウドECなどに乗り換えることで、TCO(総所有コスト)を大幅に削減できるケースも少なくありません。
ECシステムのリニューアルで失敗しないための注意点
システムの乗り換えは、多大なコストと時間がかかる一大プロジェクトです。失敗を避けるために、以下の点に注意しましょう。
1.目的と課題を明確にする
「なぜ乗り換えるのか」を具体的に言語化し、関係者間で合意形成することが最も重要です。「新しいシステムになれば全てが解決する」という幻想を抱かず、「〇〇という課題を解決するために乗り換える」という明確なゴールを設定しましょう。
2.データ移行の計画を綿密に立てる
顧客データ、商品データ、これまでの注文履歴など、どのデータをどのように新しいシステムへ移行するのか、事前に詳細な計画を立てる必要があります。データ移行は専門的な知識を要し、プロジェクトの成否を分ける最重要ポイントの一つです。
3.SEO(検索エンジン最適化)の引き継ぎを忘れない
サイトのURL構造が変わる場合、古いURLから新しいURLへ評価を引き継ぐ「301リダイレクト」という設定が必須です。これを怠ると、これまで積み上げてきた検索順位が大幅に下落し、売上に深刻なダメージを与える危険性があります。
4.現場の運用フローを再設計する
新しいシステムに合わせて、受注処理や在庫管理、顧客対応といった日々の業務フローも見直す必要があります。実際にシステムを使う現場のスタッフを計画段階から巻き込み、スムーズな移行を目指しましょう。
ECサイト構築するなら「W2 Unified」がおすすめ

参照URL:W2 Unified公式サイト
W2 Unifiedは、導入実績1,100以上でスタートアップから大手事業者まで幅広く選ばれてきたECプラットフォームです。
特徴として次のようなものが挙げられます。
- 集客、販促、業務効率化など1000を超える機能を標準搭載
- 開発〜保守まで100%自社対応のため柔軟なカスタマイズや提案が可能
- 定期的に無償バージョンアップを実施
- 世界基準のセキュリティ・インフラ対策により稼働率99.97%
- 独自の自動受注ワークフロー機能により日々の業務工数を90%削減
- 業界最多の1,000を超える豊富なEC機能を標準搭載しており、導入ネットショップの平均売上成長率は354%を達成。
また、基本セキュリティ対策や外部機関の審査など、業界最高峰のセキュリティ対策を実施しています。稼働率は99.97%の実績を持ち、安心・安全にECサイトを運用することができます。
さらに、バックエンド業務を効率化する独自機能も搭載しており、40分かかる日々の受発注業務や在庫管理業務を1分で完了させることも可能です。
なお、あらゆるチャネルを統合して顧客にアプローチする「オムニチャネル化」も実現でき、ECサイト・店舗の両面から成果を上げることが可能です。
このW2 UnifiedでECサイトを構築し、EC事業の拡大に成功した事例を2つ紹介します。
ECサイト構築の成功事例
本章ではこのW2 UnifiedでECサイトを構築し、EC事業の拡大に成功した事例を2つ紹介します。
アサヒビール株式会社
飲料業界を代表する企業であるアサヒビールは、自宅にビールサーバーを貸出するサブスクリプションサービス「THE DRAFTERS(ドラフターズ)」をECサイトで展開しています。
2021年にECサイトをオープンさせて、わずか半年で会員数が1,5万人を超え、1年間で売上を15億円を突破する急成長を遂げています。
成功した要因として、ECサイトとLINEを連携させた点にあり、LINE経由での簡単な会員登録を実現して入会のハードルを下げつつ、キャンペーンやコンテンツ情報をメールではなくLINEで配信した結果、顧客のタッチポイントが増えて、顧客満足度を低下させることなく会員数を増加させています。
また、LINEで取得した顧客の購買状況や基本情報などをECカートに集約させてデータを可視化し、効果的なCRM施策を打てたことも成功の要因として挙げられます。
株式会社コーカス
沖縄発の化粧品ブランド「SuiSavon-首里石鹸-」を展開する株式会社コーカスは、ECサイトをリニューアルした結果、売上を3倍以上に伸ばして成功した企業になります。
元々は、店舗の増設とECサイトの売上が向上していくなかで、売上管理や分析機能が不足していることで事業拡大の妨げとなっていましたが、店舗とECサイトの売上や顧客情報の一元管理で、その情報を基に様々な施策を打てるW2 Unifiedに切り替えた結果、売上急増に直結しました。
さらに、W2 Unifiedの自動ワークフロー機能を活用して、受発注管理を自動化にした結果、以前は1時間以上かかっていた業務が今では20分程で作業ができるようになり発送業務担当者の業務負担が大幅に削減しています。
まとめ

ECサイトのシステム別構築方法や構築時のポイント、注意点について解説しました。
それぞれのシステムにはメリットとデメリットがあるため、自社に最適なシステムを選ぶ際には、これらを十分に考慮することが重要です。
ECサイト構築で最も大切なのは、「構築そのもの」ではなく、「構築後に成果を上げること」です。構築はあくまでスタートに過ぎません。中長期的な視点を持ち、運用を進めることが成功への鍵となります。
そのため、途中で悩みやトラブルが発生した場合には、ECサイトの専門家であるベンダーに相談しながら進めることをお勧めします。