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越境ECとは?市場規模・始め方・プラットフォーム比較まで完全解説

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越境ECとは、国境を越えて商品やサービスを販売する電子取引のことで、国内から海外へ商品やサービスを販売することを指します。

近年、越境ECに参入する企業が増えていますが、メリットが多い一方で、越境ECならではの注意すべき点があります。

本記事では、越境ECの概要に加え、越境ECに関わる2026年最新の市場規模データや、始め方、ECプラットフォーム比較まで、参入を検討する事業者向けに完全解説します。

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この記事でわかること

国境を越えて、インターネット上で商品の売買を行うEコマースの形態です。国内の事業者が海外の消費者に対して商品を直接販売する仕組みを指し、実店舗を海外に構えるよりも低コストで世界中の市場へアプローチできる手法として注目されています。

市場の拡大と新規顧客の獲得が最大のメリットです。少子高齢化で縮小する国内市場に対し、中国やアメリカなどの巨大な海外市場や、成長著しい東南アジアの需要を取り込むことができます。また、実店舗の海外進出に比べて固定費や人件費などのリスクを抑えつつ、24時間365日販売が可能です。

言語の壁、物流コスト、決済手段、および各国の法規制への対応が課題となります。正確な翻訳による商品説明や多言語での顧客対応が必要なほか、配送の遅延や関税の発生、さらにはその国で普及している決済方法(クレジットカード以外の電子マネーなど)への対応が不可欠です。

目次
  1. 01|越境ECとは?
  2. 02|越境EC市場の規模と将来性
  3. 03|越境ECの5つのメリット
  4. 04|越境ECの始め方5ステップ
  5. 05|越境ECのプラットフォーム比較と選び方
  6. 06|越境ECの物流・配送設計
  7. 07|越境ECの成功事例
  8. 08|本記事のまとめ
  9. 09|越境ECに関するよくある質問

越境ECとは?

越境(えっきょう)ECとは、自国の消費者を対象とするのではなく、国境を越えて海外の消費者に直接商品を販売するオンライン通販の形態です。

現地法人を設立せずに海外消費者へ直接販売できる点が最大の特徴で、一般的な海外進出と比べて初期コストを抑えながら国際展開が可能です。

一般的な海外進出(現地法人・リアル店舗)と越境EC(ダイレクトモデル)の構造やコストの違いを比較した解説図

越境ECは「グローバルEC」と混同されることがありますが、別の意味の単語になります。
グローバルECは世界中の市場を視野に入れた包括的な戦略を指し、複数の国や地域に対応したECプラットフォームを構築することを意味します。

対して越境ECはより具体的に、海外の特定市場をターゲットにして、国内拠点から直接販売を行う方式を指します。
現地法人を設立する海外進出と比べると越境ECは初期投資を抑えられる一方で、通関手続き・関税・各国の法規制への対応など、国内ECにはない独自の課題が伴います。事前の準備と知識の蓄積が成否を大きく左右します。

越境ECが普及した背景

越境ECが急速に普及した背景には3つの構造的な変化があります。

第一に、スマートフォンの世界的な普及です。東南アジアや中東でもスマートフォン経由のEC利用率が急増し、国境をまたぐ購買行動が当たり前になりました。

第二に、国際物流インフラの整備です。EMS・DHL・FedExをはじめとする国際宅配サービスが低価格・高速化し、小口発送のコストが大きく下がりました。

第三に、越境決済の成熟です。クレジットカード以外にもPayPal・WeChat Pay・Alipayなど多様な国際決済手段が整い、海外購買のハードルが低下しています。

越境EC市場の規模と将来性

越境EC市場はグローバル全体で急拡大しており、Expert Market Researchの推計によると2024年時点の世界市場規模は1.01兆USドルに達しています。

また、同調査では2034年には6.72兆USドルへと拡大すると予測されており、年平均成長率は約23.1%と見込まれています。デジタルインフラの整備・スマートフォン普及・AI活用による多言語対応や不正検知の高度化が、この成長を後押ししています。

出所:Expert Market Research「Cross-Border B2C E-Commerce Market」

現在、政府機関が公表している越境EC市場の規模として、経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」の数値が参照されています。同調査によると、2023年における日本・米国・中国の3カ国間越境ECの市場規模は合計2,028億米ドルに達しています。

市場規模(購入額推計) 前年比
日本 4,410億円 +4.8%
アメリカ 2兆7,144億円 +7.3%
中国 5兆7,769億円 +7.2%

出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」

日本の越境EC市場

日本からの越境EC(日本企業が外国消費者に販売する取引)の規模は、販売先の国別で構造が大きく異なります。以下では現在公表されているアメリカと中国について解説いたします。

日本の越境ビジネスの傾向は、日本の消費者が海外から購入する「インバウンド型」よりも、日本企業が海外に販売する「アウトバウンド型」の方が、市場が拡大しているという点です。以下では公表されている国別データを記載しています。

中国向け越境EC(日→中)

  • 日本は中国の越境EC輸入市場において、引き続き上位の仕入れ元国に位置している
  • 化粧品・食品・アパレルが主要カテゴリ

米国向け越境EC(日→米)

  • 越境ECの普及により、中小規模の日本ブランドが米国市場へのアクセスを拡大している
  • アニメ・ゲーム関連グッズ、日本製食品・工芸品の需要が安定して続いている

中国・米国の2市場は、日本企業が越境ECで最初に狙うべき進出先として、現在も高い注目を集めています。

出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」

越境ECの5つのメリット

越境ECのメリットは主に以下の5点です。

  • 商圏が国内に限らず大きく広がる
  • 現地に拠点を設けずに海外販売を始められる
  • 「Made in Japan」ブランドへの需要を海外でも活かせる
  • 国内在庫の売れ残りリスクを複数市場で分散できる
  • 越境ECを通じてグローバルブランドとしての認知を築ける

以下では各メリットを詳しく解説します。

越境ECに参入する5つのメリット(商圏拡大、低リスク、ブランド活用、在庫分散、認知向上)のまとめ図

商圏が国内に限らず大きく広がる

越境ECに参入することで、国内だけでは届かなかった数十億人規模の海外消費者へアプローチできるようになります。

少子高齢化によって縮小傾向にある国内市場に対し、中国・東南アジア・北米などの成長市場は今後も拡大が続く見込みです。国内市場でシェアの天井を感じている事業者ほど、越境ECによる商圏拡大の恩恵は大きくなるでしょう。

越境ECの市場規模に関する情報は、以下の記事でより詳細にまとめています。
ぜひ合わせてご覧ください。

関連記事:越境ECの市場規模と成功事例9選

現地に拠点を設けずに海外販売を始められる

従来の海外進出では、現地法人の設立・スタッフの採用・実店舗の確保など、莫大な初期投資が必要でした。また、参入判断から売上が立つまでに数年かかるケースも珍しくありません。

しかし越境ECでは、国内の拠点から商品を発送するだけで海外販売が成立するため、リスクを抑えながら市場テストが可能です。「まず小さく始めて、需要を確認してから拡大する」アプローチが取れる点は、中小企業にとって特に大きな強みになります。

さらに、どの国・どのカテゴリで売れているかのデータが蓄積されるため、越境ECは市場調査ツールとしても機能します。本格的な海外展開の前段階として越境ECを活用し、成功市場を見極めてから現地拠点に投資する戦略が、リスク管理の観点からも合理的です。

「Made in Japan」ブランドへの需要を海外でも活かせる

インバウンドでの「爆買い」現象が示すように、日本製品は品質・安全性・デザイン性の面で海外から高い評価を受けています。コスメ・健康食品・食料品・アパレルなどのカテゴリでは、「日本製」というだけで競合製品との差別化が成立します。

注目すべきは価格設定の自由度です。日本ブランドの嗜好品や伝統工芸品などは、海外市場では国内定価の2〜3倍以上の価格で取引されるケースが珍しくありません。

来日できない海外消費者にとって越境ECは、公式店で日本製品を安全に購入できる数少ない手段であり、そこには価格競争とは無縁の需要が存在します。

越境ECはこうした潜在需要を、国内価格競争から切り離した形で取り込める手段となっています。

国内在庫の売れ残りリスクを複数市場で分散できる

国内では売れ残るリスクがある商品でも、海外市場では需要が高いケースがあります。

季節商品や日本特有の文化的商品(和菓子・伝統工芸品など)は、海外市場では希少価値が高く付くこともあります。

越境ECを通じてグローバルブランドとしての認知を築ける

越境ECでの取引が積み重なることで、自社ブランドの国際的な認知度が高まります。

SNSを通じた口コミが国境を越えて広がるケースも増えており、越境ECの成功が国内ブランド価値の向上にもつながることがあります。

この好循環を最もうまく活用した事例がAnker(アンカー)です。

2011年にAmazon越境ECのみでスタートし、海外レビューの蓄積と品質訴求だけでグローバルブランドへと成長しました。現在は世界100カ国以上に展開し、「中国製=安価」のイメージを覆したブランドとして業界の教科書的成功事例になっています。

越境ECの4つのデメリット・リスク

越境ECには以下の4つのリスクが伴います。

  • 言語・文化の壁への対応コストが生じる
  • 法規制・関税・輸出入手続きが複雑になる
  • 物流コストが高く配送トラブルが起きやすい
  • 為替変動と決済手数料が利益を圧迫する

それぞれのリスクと現実的な対処法を解説します。

越境ECの4つのデメリットと注意すべきリスク(言語、法規制・関税、物流コスト、為替変動)のまとめ図

言語・文化の壁への対応コストが生じる

日本政策金融公庫が発表した「越境ECに挑戦する企業が直面する課題」では、「販売先国・地域に関する情報不足」を課題として挙げた事業者が55%以上に達しています。

ECサイトのトップページから商品説明・価格表示・カスタマーサポートまで、すべてを対象国の言語で的確に伝える必要があります。機械翻訳だけでは対応しきれない部分も多く、翻訳会社への外注コストが発生することは覚悟しておく必要があります。

出典:日本政策金融公庫「越境ECに挑戦する企業が直面する課題」

法規制・関税・輸出入手続きが複雑になる

国によって輸入規制・販売禁止品目・関税率・消費税制度が大きく異なります。特に食品・医薬品・化粧品は特に規制が厳しく、販売できる国と品目を事前に確認することが不可欠です。

また、EU・中国・米国は法令改正が頻繁なため、最新情報を継続的にキャッチアップする体制が求められます。

以下の表は、2026年6月時点の輸入規制・関税・消費税を国別で比較表としてまとめました。越境ECを検討しているが、まだ具体的な国は決まっていないという方はぜひご覧ください。

国・地域 関税の免税基準(デミニミス) 消費税/VAT等 主な輸入規制・禁止品目・注意点
アメリカ 2025年8月29日に廃止。以前は800ドル以下が免税対象だったが、現在は少額品でも関税対象 連邦消費税なし(州ごとの売上税) デミニミス廃止により関税・税の事前徴収が前提に。FedEx/DHL等のアカウント連携型事前決済モデルへの移行が必要
中国 1回2,000元・年間26,000元以内は「行郵税」適用 越境EC総合税(増値税・消費税を軽減課税)。行郵税は品目別に13%/20%/50% ポジティブリスト制(許可品目のみ輸入可)。化粧品・食品・健康食品・医薬品は登録・中文ラベル等の規制が厳格
EU 150ユーロ以下は関税免税(VATは課税) VATは国ごとに異なる(標準19〜27%程度)。IOSSで一括申告可能 150ユーロ以下でもVATは必ず発生。酒類等の物品税対象品はIOSS対象外
イギリス 135ポンド以下は関税免税 VAT標準税率20%(少額品でも課税) 135ポンド以下はマーケットプレイス事業者がVAT徴収・納税義務を負う。135ポンド超は輸入者・物流業者が納税
韓国 150ドル未満は免税(米国製は200ドル) VAT 10% 全輸入に個人通関固有番号(PCCC)が必須。品目別関税は概ね5〜40%。化粧品・食品・家電が主要規制対象
台湾 2,000台湾元以下は関税・営業税免税 営業税5% 高頻度輸入の制限:半年6回以上/1か月2回以上は全額課税。酒類・タバコ・一部農産品は免税対象外

物流コストが高く配送トラブルが起きやすい

国際配送は国内配送に比べてコストが数倍になるケースが多く、送料設定を誤ると利益を大きく圧迫します。

また、長距離輸送による商品破損・紛失・通関遅延のリスクも国内より高くなります。追跡機能付きのサービス選定と梱包品質の向上は損失防止につながるため、参入前に体制を整えておくことをおすすめします。

物流コストや倉庫委託の費用感について詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。

関連記事:EC物流倉庫の導入費用を解説!委託にするメリット・デメリットとは?

為替変動と決済手数料が利益を圧迫する

海外向け販売では、クレジットカードの国際決済手数料(通常2〜3%)や為替レートの変動が利益に直接影響します。

円安局面では日本製品の価格競争力が上がる反面、仕入れコストが高い事業者には痛手となります。価格設定に為替変動の余裕幅を織り込んでおくことが重要です。

越境ECに適した決済手段の選び方や各サービスの比較について詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。

関連記事:EC決済とは?選び方・おすすめの決済代行サービス12選を徹底比較

越境ECの始め方5ステップ

越境ECを始めるまでの手順は大きく5つのステップに整理できます。

  1. 販売国・商品の決定
  2. プラットフォーム選択
  3. 物流・決済・言語の整備
  4. テストマーケティング・販売
  5. ECサイト改善・スケールアップ

以下では、それぞれのステップで押さえるべきポイントを解説します。

越境ECの始め方の5つの手順(販売国決定、プラットフォーム選択、インフラ整備、テストマーケティング、改善)を示したロードマップ図

Step1. 販売する国と商品カテゴリを決める

最初に「どの国で・何を売るか」を決めることが最も重要です。初心者には、日本製品への親和性が高く物流インフラも整った台湾・香港・シンガポールといったアジア圏がおすすめです。

商品は国際配送コストと関税を考慮しても利益が取れる価格帯のもの、かつ現地のニーズや文化に合ったものを選びます。国内で人気の商品が海外でも売れるとは限らない点には注意が必要です。

Step2. 販売チャネル(プラットフォーム)を選ぶ

越境ECの販売チャネルは、大きく「ECモール型」と「自社ECサイト型」の2つに分かれます。どちらを選ぶかは、初期コスト・集客力・ブランドコントロールの優先順位によって変わります。

ECモール型(Amazon・Tmall Global・eBayなど)は、プラットフォームが持つ既存ユーザーをショップへ訪問させる集客力が強みです。出店審査を通過すれば自力での集客がほとんど不要なため、越境EC初参入の事業者に向いています。一方で出品手数料・販売手数料が発生し、価格競争に巻き込まれやすい側面もあります。

自社ECサイト型(Shopify、W2 Commerceなど)は、ブランドの世界観を自由に表現できる反面、SEO・広告・SNSなど自前での集客施策が必要です。リピーターを囲い込みやすく、長期的なブランド育成を重視する事業者に適しています。

まずは販売国と商品カテゴリに合ったモールで市場を検証し、手応えが得られてから自社サイトへ展開するのが、リスクを抑えた現実的な順序です。

各プラットフォームの詳細な比較・費用・選び方については、後述にて詳しく解説します。

Step3. 物流・決済・言語対応を整備する

越境ECで商品を実際に届けるには、物流・決済・言語対応の3つのインフラを事前に整えておく必要があります。いずれか一つでも対応が遅れると、購入意欲のある顧客を取りこぼす原因になります。

物流では、DHL・FedEx・EMSなどの国際配送サービスを選定し、追跡機能・配送日数・コストのバランスを検討します。保税区や海外倉庫の活用も視野に入れると、配送スピードと顧客満足度の改善につながります。

決済は、対象国で広く使われている手段に対応することが前提です。北米ではクレジットカード・PayPal、中国ではAlipay・WeChat Pay、東南アジアではGrabPayなど、国ごとに主流が異なります。未対応の決済手段はそのままカゴ落ちの原因になるため対策は必須と言えます。

言語対応は、商品説明・利用規約・FAQを対象国の言語で用意することが最低限必要となります。機械翻訳のみでは不自然な表現が残りやすく、現地ネイティブによる校正を挟むことで信頼性が大きく向上します。

物流・言語対応の詳細は後続の関連記事で詳しく解説しています。越境ECを本格的に考えている事業者様は、ぜひ合わせてご覧ください。

関連記事:EC物流を重視すべき3つの理由とは?仕組みやよくある課題・解決策も紹介

関連記事:越境ECサイトの言語対応の方法や翻訳ポイントを解説

Step4. テスト販売で小さく始めて検証する

越境ECの参入初期は、最初から大量在庫を用意せず、少ロットでテスト販売を行い、どの商品がどの市場で売れるかを検証することが重要です。

広告・SNS施策も同様に、最初は小予算で複数のクリエイティブや訴求軸を試し、どのメッセージが対象国の消費者に刺さるかを検証してみてください。

Step5. データをもとに改善・スケールアップする

テスト期間の販売データ・顧客レビュー・アクセス解析をもとに、商品ラインナップ・価格設定・プラットフォーム選択を改善する必要があります。

事業が拡大し、注文数が増えたタイミングで、在庫管理・受注処理・カスタマーサポートの負荷が急増します。この段階でシステムの拡張性が不足していると、売上が伸びるほど業務が逼迫してしまうため、成長を前提とした仕組みを、スケールアップ前に整えておくことが重要です。

越境ECのプラットフォーム比較と選び方

越境ECのプラットフォームは大きく3タイプに分かれます。「ECモール型」・「自社ECサイト型」・「越境EC代行型」が挙げられます。それぞれ向いている事業フェーズが異なるため、自社の状況に合った選択が重要です。

比較軸 自社ECサイト型 海外ECモール出店 越境EC代行型
参入コスト
集客力
ブランド自由度
カスタマイズ性
手数料

◎=優位 〇=標準 ▲=課題 ✖=不可

下記から、それぞれの特徴などを詳しく解説します。

ECモール型:参入ハードルは低いが、競争が激しく手数料も高い

大手海外ECモール(Amazon, eBay, Shopee, Lazada, 天猫Global)の越境EC特徴比較図

Amazon.com・eBay・Shopee・Lazada・天猫Global(Tmall Global)などの大手ECモールは、既存の膨大なユーザーベースを活用できるため、初期の認知獲得が容易です。

出店手続きも比較的シンプルで、決済・物流の基本インフラが整備されているため導入工数が少なく済みます。

一方で、プラットフォームのルールに縛られるため、価格設定・デザイン・プロモーション手法に制約があります。

また、売上手数料(モールによって5〜15%程度)が発生し、利益率は自社サイトより低くなる傾向があります。競合が多く価格競争に巻き込まれやすい点も課題です。

顧客データも限定的にしか取得できず、リピーター獲得のためのCRM施策が打ちにくくなります。市場テストや参入初期フェーズには有効ですが、ブランド構築・長期的な顧客資産化を目指すなら、自社サイト型との併用を早い段階から検討すべきです。

自社ECサイト型:ブランドと顧客データを自社に蓄積できる

越境ECに対応した自社ECプラットフォーム(Shopify、W2 Commerce Asia、LaunchCart、Magento、CS-Cart)の比較図

Shopify・W2 Commerce Asiaなどのプラットフォームを活用して自社ECサイトを構築する方法です。

デザイン・UX・価格設定・プロモーション戦略をすべて自社で決定できるため、ブランド価値を守りながら展開できます。顧客データを直接取得・活用できるため、リピーター育成・CRM施策・パーソナライズ対応の面で圧倒的に有利です。

システム選定の重要性は、実際のEC事業者の声にも表れています。

W2が国内外でEC事業を営んでいる事業者100社を対象に行った調査では、ECサイトリニューアル前に抱えていた課題として「欲しい機能の不足(42.1%)」が最多を占めました。

ECサイトリニューアル前に抱えていた課題

課題 割合
欲しい・使用したい機能が不足している 42.1%
業務効率に課題がある 15.8%
拡張性がなく事業規模に合わなくなった 15.8%
セキュリティに不安がある・インフラ体制が弱い 15.8%
不具合・トラブルがあった 10.5%

また、新しいECカートシステムを選ぶ際の「決め手」についても調査したところ、「機能の豊富さ(51.9%)」が過半数を占め、「手厚いサポート体制(11.1%)」「システムの拡張性(11.1%)」と続きました。

ECカートシステム導入の決め手

選定理由 割合
機能の豊富さ 51.9%
手厚いサポート体制 11.1%
システムの拡張性 11.1%
提案時の姿勢・誠実さ 7.4%
外部システム・決済との連携 7.4%

この結果は、初期費用の安さよりも「機能の充実度と将来的な拡張性」が重視されていることを示しています。越境EC事業では事業拡大に伴い必要な機能が増えていくため、スケールアップを見越したシステム選定が不可欠です。

上記で紹介した、「業界や年商別の課題・ニーズ・カートリプレイスの決め手を網羅したレポート」を無料で公開しています。

自社の状況と照らし合わせながら読めるので、システム選定前にぜひご活用ください。

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越境EC代行型

越境EC代行型とは、海外販売に必要なサイト運営・受注管理・カスタマーサポート・物流手配・決済対応などの業務を、代行業者にまとめて委託するモデルです。社内にEC運営のリソースや越境EC専門知識がなくても参入できる点が最大の特徴です。

初期投資を比較的抑えながら海外市場に参入できるため、テスト段階や人的リソースが限られる中小企業にとって現実的な選択肢になります。代行業者がすでに現地の商慣習・法規制・物流ネットワークを把握しているため、立ち上げスピードも早くなります。

一方で、業務を外部に委託するぶんブランドコントロールやマーケティングの自由度は下がります。代行手数料が継続的に発生するため、売上規模が拡大するにつれてコスト負担が増す点も考慮が必要です。また、顧客データや販売ノウハウが自社に蓄積されにくい構造のため、将来的に内製化や自社サイト運営へ移行する際に改めて体制構築が必要になります。

自社に越境EC運営のノウハウを蓄積しながら成長させていきたい場合には、代行型からスタートしつつ段階的に内製化を進めるアプローチが有効です。

あなたに合った越境EC販売チャネルを診断する

比較表だけでは判断が難しい方のために、5つの質問に答えるだけで自社に合ったチャネルタイプを診断できます。

5つの質問に答えると、あなたの状況に合った越境ECの販売チャネルが診断できます。最も近い選択肢を選んでください。

0 / 5 回答済み

Q1. 参入目的
越境ECに取り組む一番の目的は何ですか?
Q2. 社内体制
現在の社内のEC運営体制に近いものはどれですか?
Q3. 初期予算
越境EC参入にかけられる初期投資の感覚に近いものはどれですか?
Q4. 顧客データの活用
海外顧客のデータ活用について、最も近い考え方はどれですか?
Q5. 3〜5年後のビジョン
3〜5年後の越境EC事業の姿として、最も近いものはどれですか?

越境ECの物流・配送設計

越境ECでは物流コストが国内の数倍になるケースが多く、緻密な配送設計が利益率に直結します。主な国際配送サービスの特徴と、コストを抑えるための設計ポイントを解説します。

主な国際配送サービス比較

比較軸 EMS(国際スピード郵便) DHL FedEx ヤマト国際宅急便
コスト目安 ◎ 比較的安価 △ 高め △ 高め 〇 中程度
配送日数 〇 3〜5日(米国)4〜7日(欧州) ◎ 1〜3営業日 ◎ 1〜3営業日 〇 3〜5日(米国・中国)
追跡精度 〇 日本郵便サイトで追跡可能(国によりばらつきあり) ◎ リアルタイム追跡・高精度 ◎ リアルタイム追跡・高精度 〇 日本語追跡対応
補償・保険 〇 損害賠償制度あり(実損額・上限あり) 〇 基本補償あり+追加保険オプション 〇 宣言価値ベースの補償+追加保険 〇 最高3万円まで無料補償+追加保険
向いている用途 コスト重視・小口発送 スピード・信頼性最優先 スピード・信頼性最優先 日本語サポートを重視する中小EC

◎=優位 〇=標準 △=課題あり

以下では国際配送サービスの詳細を解説します。

EMS(国際スピード郵便)

日本郵便が提供する国際配送サービスで、170以上の国・地域に対応しています。

比較的低コストで追跡機能も備えており、越境ECを始める中小事業者が最初に選びやすいサービスです。

アジア圏への配送日数は3〜5営業日程度で、コストを抑えながら幅広いエリアをカバーしたい場合に向いています。

DHL

ドイツ発の国際宅配便大手で、スピードと追跡精度に定評があります。

1〜3営業日での配送が可能で、リアルタイム追跡・保険・カスタマーサポートも充実しています。

コストはEMSより高めですが、高額商品や配送スピードが購買体験に影響するカテゴリで特に強みを発揮します。

FedEx

米国発の国際宅配便大手で、北米・欧州向けの配送に実績があります。

1〜3営業日での配送が可能で、宣言価値をもとにした補償制度と手厚いサポート体制が整っています。DHLと並んでスピード・信頼性を最優先にしたい場合の有力な選択肢となっています。

ヤマト運輸(国際宅急便)

米国発の国際宅配便大手で、北米・欧州向けの配送に実績があります。1〜3営業日での配送が可能で、宣言価値をもとにした補償制度と手厚いサポート体制が整っています。DHLと並んでスピード・信頼性を最優先にしたい場合の有力な選択肢です。

越境ECの物流コストを抑えるための3つのポイント

物流コストを抑えるためのポイントは3点あります。

1. 送料込みの価格設定を事前に設計する

「送料無料」表示は購買率を上げる効果がありますが、送料を商品価格に含めるためには国別の配送コストを事前に把握することが必須です。

「○○円以上で送料無料」などの閾値を設けることで、客単価を引き上げながら送料負担を吸収する設計も有効です。

2. 梱包の軽量化・コンパクト化を徹底する

重量・サイズが配送費に直結するため、梱包材の見直しだけでコストが変わります。

特に見落としがちなのが体積重量の概念です。DHLやFedExは「縦×横×高さ÷5,000」で算出した体積重量と実重量のどちらか大きい方で課金するため、軽くてかさばる商品は実重量より高く請求されるケースがあります。梱包設計の段階からサイズを意識しておくことが重要です。

3. 発送量が増えたら配送業者との単価交渉を行う

一定の発送量を超えると割引交渉が可能になります。

また、発送量が増えてきた段階ではフォワーダー(国際輸送業者)や3PL(物流アウトソーシング)の活用も検討する価値があります。

まとめて発送することで1件あたりのコストを大きく下げられるケースもあります。

越境ECにおける物流の仕組みや課題についてより詳しく知りたい方には、以下の記事が参考になります。

関連記事:EC物流を重視すべき3つの理由とは?仕組みやよくある課題・解決策も紹介

越境ECの成功事例

越境EC運営をお考えの方は、既に越境EC運営に参画して成功している企業の情報を取り入れるべきでしょう。以下では越境ECで成功している日本企業を3社ご紹介します。

アーバンリサーチ

背景

日本のアパレルブランド「アーバンリサーチ」の台湾現地法人です。2014年にECからスタートし、現在は現地9店舗を展開しています。

競合他社が店舗を先行して出店する中、ECを主軸に据えた差別化戦略が奏功し、安定した売上基盤を構築してきました。

課題

EC事業の規模が拡大するにつれ、従来の日本製カートシステムでは台湾の決済サービス・物流システム・POSとのAPI連携が難しくなりました。また、台湾現地スタッフと日本ベンダーとの言語の壁が、システム拡張の妨げになっていました。

W2 Commerce Asia導入の決め手

「日本のECサイト構築の実績と、台湾支社が持つ現地対応力の両立」と総経理の菱川氏は語っています。台湾人スタッフが日本語を介さずベンダーと直接コミュニケーションできる環境が、意思決定のスピードと品質を大きく改善しました。

導入後の変化

  • 台湾LINE Pay・統一発票(電子インボイス)の自動発行システムと連携し、手作業の業務工数を大幅削減
  • サイト内検索でブランド・価格帯・カラーを細かく絞り込めるようになり、ユーザーの利便性が向上
  • スタッフコーディネート写真のEC自動掲載により、コンテンツ更新の工数も削減

アーバンリサーチ様は弊社W2株式会社が提供している越境EC特化型システム「W2 Commerce Asia」を導入しています。より具体的な詳細は以下の記事でインタビュー形式にて書かれておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。

▶導入事例記事はこちら:『アーバンリサーチ』が台湾EC事業拡大のための ECカートリニューアルとして W2を選んだ理由とは

資生堂

日本を代表する化粧品メーカー・資生堂は、中国越境EC市場において継続的な成果を上げている企業の一つです。

成功の核心は、グローバルブランドを現地向けに徹底的にローカライズした点にあります。中国市場では消費者の肌質・好みに合わせた製品を前面に打ち出し、KOLやライブコマースを活用したプロモーションを展開しています。

WeChat・Alipayといった中国市場で不可欠な決済手段への対応と、独自の現地物流ネットワーク構築により、購入から受け取りまでのスムーズな体験を実現しました。

「高品質な日本製」というブランド資産を活かしつつ、現地の購買習慣・決済インフラ・プロモーション手法に徹底的に寄り添う姿勢が、資生堂の越境EC成功を支えています。

さらに多くの越境EC成功事例を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:【成功事例10選】越境ECの市場規模や成功しているポイントを紹介

KOSE台湾

海外市場におけるブランド認知を高めるメゾンコーセー(Maison KOSE)の現地実店舗の様子

背景

1984年設立の「コーセー台湾」は、日本の高絲(コーセー)の台湾現地法人です。台湾化粧品市場でブランド認知を確立してきましたが、若年層のデジタル購買へのシフトに対応するため、ECプラットフォームの刷新を決断しました。

課題

台湾でも日本と同水準のデザイン性・UXを実現したいという強い意志がある一方、既存のシステムでは「日本品質」の再現に限界がありました。また、オンライン新規顧客の獲得強化と、顧客データを活用したパーソナライズ施策の実現も急務でした。

W2 Commerce Asia導入の決め手

「総合力」と代表の石川氏は表現しています。デザインの自由度・管理画面の使いやすさ・アジア市場特有の決済・物流への対応力に加え、リアルタイムのデータ分析環境が整っている点が他社を上回ったと語っています。W2は台湾に現地法人があるため、台湾を含むアジア市場の商習慣を熟知した知見や提案も高い評価を受けたとインタビュー内でお話しいただいています。

導入後の変化

  • 豊富な分析機能により、新規顧客獲得施策とロイヤルティ向上施策を同時並行で実行できる環境を構築
  • 「エクスクルーシブ機能」でVIP顧客向けの限定販売ページを設置し、特別感のある購買体験を実現
  • 今後はPOS・ERPとのデータ統合による「ONE ID」戦略と、AI活用によるレコメンド機能強化を計画中

KOSE台湾様は弊社W2株式会社が提供している越境EC特化型システム「W2 Commerce Asia」を導入しています。

より具体的な詳細は以下の記事でインタビュー形式にて書かれておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。

▶導入事例インタビューはこちら:日本品質の購買体験を現地ECで実現!コーセー台湾が描くデータドリブンなEC革新


W2株式会社では、海外にも対応したECカートシステム「W2 Asia」をご提供しております。

「アジア市場での事業立ち上げから現地での大規模展開まで対応し、越境・現地販売に必要な機能を網羅しています。1,000を超える標準機能や、現地の商習慣に合わせた多彩な決済種別、配送連携など、アジア圏でのEC売上を最大化するための機能を完備し、海外展開を目指す多くのお客様に選ばれています。」

W2 Commerce Asia

W2 Commerceは、BtoC・定期販売・BtoB・海外ECなど複数の事業形態に対応したコマースプラットフォームです。AIを組み込んだ1,000以上の機能が標準搭載され、さらに、自由に追加できる拡張プラグイン群により、高度なコマース戦略と運用を実現します。
そのなかでも、海外・越境EC向けの「W2 Commerce Asia」は、スピーディな越境・現地ECの立ち上げから、段階的な海外展開まで柔軟に支援できます。

本記事のまとめ

越境ECは、国内市場の縮小を補う成長戦略として、規模・業種を問わず日本企業に現実的な選択肢となっています。

参入にあたっては、販売国と商品の選定・プラットフォームの選択・物流と決済の整備という3つの基盤を順番に固め、まずは小さくテストして検証するアプローチが失敗リスクを抑えます。

各国の関税制度や輸入規制は頻繁に改正されるため、最新情報を継続的に確認することも欠かせません。

今回紹介した各社の事例が示すように、現地の決済・物流・顧客体験に徹底的に寄り添うことが、海外市場での定着につながります。

越境ECシステムの選定にお悩みの方には、海外・越境EC向けに特化した「W2 Commerce Asia」も選択肢の一つとして検討してみてください。台湾をはじめとするアジア市場への展開実績を持ち、現地決済・物流との連携から多様な言語でサポートが可能となっています。

越境ECに関するよくある質問

Q: 越境ECを始めるには、どのような出店・構築方法がありますか?

A: 主に「海外のECモールへの出店」「日本国内の越境対応モールへの出店」「自社サイトの越境EC化」の3パターンがあります。天猫国際(Tmall Global)やAmazonなどの現地モールは集客力が強い一方で手数料がかかります。自社サイト型はブランディングや顧客データの活用に優れますが、自力での集客努力が必要です。

Q: 海外発送における配送トラブルやコストを抑えるポイントはありますか?

A: 配送代行サービス(フォワーダー)の活用や、配送ルートの最適化が有効です。国によって配送事情が異なるため、追跡機能の有無や補償内容を確認し、信頼できる物流パートナーを選定する必要があります。また、関税の支払い義務(元払い・着払い)を明確にし、事前に消費者に周知することで、受取拒否などのトラブルを未然に防げます。

Q: 越境ECで売れやすい「日本製品」にはどのような傾向がありますか?

A: 化粧品、サプリメント、食品、アニメ関連グッズなどが高い人気を誇ります。特に「メイド・イン・ジャパン」の品質に対する信頼は根強く、安全性が重視される消耗品や、日本独自の文化が反映されたコンテンツ商品は、海外の競合製品と比較しても強い差別化要因となり、継続的な購入に繋がりやすい傾向があります。

この記事の監修者

この記事の監修者
樽澤寛人 マーケティング部 部長

神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。

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「W2」は各業界に特化したECカートシステムを提供。
各業界の大手企業からスタートアップまで幅広く導入いただいており、
売上アップとコスト削減を同時に実現することで、お客様のEC事業拡大をサポートします。

  • サイト数の数字

    導入実績のある
    サイト数

  • 機能数の数字

    売上を上げるための
    機能数

  • 売上成長率の数字

    導入ショップ平均の
    売上成長率

  • 工数削減の数字

    業務効率化による
    工数削減

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W2ではEC構築、運用で役立つ資料を配布しています。

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