EC化率とは、全ての商取引のうち、電子商取引(EC)が占める割合を示す重要な指標です。近年、ビジネスのデジタルシフトが加速する中で、市場の成長性を測る「物差し」として非常に注目されています。
「自社業界のEC化率はどのくらい?」「今から参入して利益は出る?」「海外と比べて日本は遅れているの?」といった悩みや疑問をお持ちではありませんか?
そんなECへの新規参入や事業拡大を検討している担当者様向けに、本記事では2026年最新の統計データに基づき、日本の各分野ごとの現状や今後の予測を詳しく解説します。
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この記事の監修者
神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。
この記事でわかること
すべての商取引においてEC(電子商取引)が占める割合を示す指標です。「ECの総額÷全商取引の総額」で算出されます。EC化率が高い産業はネット上での売買が活発で、低い産業は実店舗中心であることを意味し、市場の実態把握に役立ちます。
2022年時点で9.13%です。2013年から2019年までは毎年約0.5ポイントずつの緩やかな伸びでしたが、2020年のコロナ拡大以降に急伸し、3年間で約3%向上しました。
2022年時点で最も高いのは「書籍、映像・音楽ソフト」の52.16%です。次いで「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」が42.01%、「生活雑貨、家具、インテリア」が29.59%と続きます。一方、「食品、飲料、酒類」は4.16%、「自動車、自動二輪車、パーツ等」は3.98%と低く、直接手に取って選びたい需要や配送コストが要因とされています。
そもそもEC化率とは?具体例もふまえて解説
EC化率とは、「すべての商取引において、EC(電子商取引)の市場規模が占める割合」のことを指します。つまり、「ネットを通じて商品を購入した割合がどのくらいか」を示した指標のことです。
EC化率は、ざっくりいうと以下のような方法で算出できます。
EC化率 = ECの総額 ÷ 全商取引の総額
よりイメージしやすいように、単純な数字を当てはめて考えてみましょう。
たとえば、Aという産業では「全商取引の総額が100億円」だったとします。この100億円は、店舗販売や対面販売、電話、FAX、ECなど、すべての取引を含めた総額です。そして、この100億円のうち「ECを利用した取引は30億円」だったとします。
この場合、Aという産業のEC化率は「30%」になります。
EC化率 = ECの総額(30億円)÷ 全商取引の総額(100億円)= 30%
このように計算することで、産業や市場ごとに「どのくらいECが利用されているか」を明らかにすることができます。
また、
- EC化率が高い = ネット上での売買が活発化している(EC活用の必要性が高い)
- EC化率が低い = ネット上での売買が進んでいない(実店舗での売買が主流)
というように、EC化率を知ることで市場の実態を把握するヒントにもなります。そのため、参入を予定している産業や、関わりのある産業のEC化率をチェックしておくことは大切です。
では、実際に「日本における各産業のEC化率はどのくらいか」を次で見ていきましょう。
日本国内におけるEC業界の市場規模とEC化率
経済産業省では、国内における「EC業界の動向」をまとめた調査結果を公開しています。
令和6年度の「電子商取引に関する市場調査 報告書」では、
- BtoC(企業と消費者間の取引)
- BtoB(企業間の取引)
- CtoC(消費者間の取引)
におけるECの市場規模やEC化率が明らかになりました。
それぞれ一つずつ紹介します。
①BtoCのEC市場規模とEC化率
BtoC(企業と消費者間の取引)におけるEC化率は、2024年時点で9.78%に達しています。 過去の推移を見てみると、EC化率は2013年から2019年にかけて、毎年およそ0.5ポイントずつ増えていました。 しかし、2020年辺りから急激に伸び、コロナ禍を経て生活様式の一部として定着したことで、現在も右肩上がりの成長を続けています。
なお、BtoCのEC市場規模を「物販系分野」「サービス系分野」「デジタル系分野」の3つに分けてまとめたのが以下の表です。
| 分野 | 2023年 | 2024年 | 伸び率 |
|---|---|---|---|
| 物販系分野 | 14兆6,760億円(EC化率 9.38%) | 15兆2,194億円(EC化率 9.78%) | 3.70% |
| サービス系分野 | 7兆5,169億円 | 8兆2,256億円 | 9.43% |
| デジタル系分野 | 2兆6,506億円 | 2兆6,776億円 | 1.02% |
| 総計 | 24兆8,435億円 | 26兆1,225億円 | 5.15% |
各分野の詳細については、記事の後半にて紹介します。
※1:EC化率の対象について
BtoCのEC化率の算出対象は、原則として「物販系分野(家電、衣類、食品など)」に限定されています。これは「サービス系分野」において、店舗とネットの単純比較が難しいサービス(証券取引など)や、そもそもEC化の対象になりにくいサービス(立ち食いそば等)が含まれ、正確な数値を出すのが難しいためです。
総じて、国内のBtoC-EC市場規模は前年と比較し1兆2,790億円(5.15%)増加しました。 特に「サービス系分野」は前年比9.43%と高い伸びを見せています。これは、旅行やチケット販売サービスなどの需要が拡大し続けていることが主な要因です。
②BtoBのEC市場規模とEC化率
2024年のBtoB(企業間取引)におけるEC市場規模は、514兆4,069億円(前年比10.6%増)となりました。 また、「その他」を除いたEC化率は前年から3.1ポイント増の43.1%に達しています。BtoCの9.78%と比較すると、非常に高い数値であることが分かります。
ただし、この数値にはEDI(企業間の帳票処理をオンラインで行う仕組み)も含まれています。一般的なECサイト経由の取引と区別されずに合算されているため、実際の「ECサイト利用率」よりは高く算出されている点に注意が必要です。
とはいえ、BtoBに特化したECプラットフォームの普及や、受発注業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が加速しており、EC化が着実に進んでいるのは確かです。今後も、業務効率化や人手不足解消を目的としたオンライン取引への移行はさらに進む見込みです。
③CtoCのEC市場規模
CtoC(消費者同士の取引)はそもそもオンラインを前提とした商取引が多いため、EC化率の算出対象にはなっていません。
2024年の市場規模は2兆5,269億円(前年比1.82%増)と推計され、コロナ禍の急拡大を経て安定成長期に入っています。
フリマアプリが一気に普及し、コロナによりECの活用が推奨された結果、CtoCの利用者が急速に増えました。 他の市場と比べると、まだまだ小さいものの、着実に成長しているCtoCの興隆には今後も注目です。
「物販系分野」のEC市場規模とEC化率
2024年において、物販系分野のEC化率が高いTOP3は以下の通りです。
- 1位:「書籍、映像・音楽ソフト」 56.45%
- 2位:「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」 43.03%
- 3位:「生活雑貨、家具、インテリア」 32.58%
これら上位カテゴリーは物販系EC市場規模の約74%を占めており、ECとの親和性が非常に高いのが特徴です。
1位の「書籍、映像・音楽ソフト」は、EC化率が5割を超えています。紙の出版市場が縮小する一方で、場所を選ばず購入できる利便性からEC利用が定着しています。
2位の「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」は、型番による指名買いがしやすく、製品仕様が明確な「探索財」であるためECとの相性が抜群です。近年では実店舗を「体験型店舗」と位置づけ、店舗で実物を確認してECで購入する「ショールーミング」を積極的に活用する動きも見られます。
3位の「生活雑貨、家具、インテリア」は、AR(拡張現実)技術により「自宅に置いたイメージ」をスマホで確認できるサービスが普及し、大型家具をECで購入する心理的ハードルが下がったことが成長を後押ししています。
一方で、「自動車、自動二輪車、パーツ等(4.16%)」や「食品、飲料、酒類(4.52%)」は、依然としてEC化率が低い水準です。これは「実物を見て選びたい」という需要や「配送コスト・送料」の課題があるためです。しかし、最近では店舗在庫から配送する「ネットスーパー」や、実店舗を持たない「ダークストア」の活用、さらに数十分で届く「クイックコマース」の浸透により、利便性が飛躍的に向上しています。
EC業界の市場規模について、より詳しく知りたい方は以下の記事を活用してください。
「サービス系分野」のEC市場規模とその特徴
サービス系分野の市場規模は、2024年には8兆2,256億円(前年比9.43%増)となり、アフターコロナの時代が完全に定着したと言えます。
特に「旅行サービス」は3兆5,249億円(10.32%増)と、この分野で最大の規模となります。
- 経済情勢:円安により、訪日外国人旅行(インバウンド)が過去最高を更新。
- 予約の主流化:旅行代理店を通さず、スマホからオンラインで直接予約・決済を行うスタイルが全世代で一般化しました。
また、「金融サービス(16.59%増)」や「飲食サービス(18.70%増)」も大きく伸長しています。 特に飲食サービスでは、インバウンド需要の取り込みや人手不足を背景とした「完全ネット予約制」を導入する店舗が増え、予約経路のオンライン化が加速しています。さらに、「チケット販売」も推し活需要や高額なプレミアム席の導入などにより、堅調な成長を続けています。
一方で、コロナ禍で急成長した「フードデリバリー(7.26%減)」は、実店舗への顧客回帰や物価高による節約志向の影響で、初めて減少に転じました。
「デジタル系分野」のEC市場規模とその特徴
デジタル系分野の市場規模は2兆6,776億円(前年比1.02%増)となり、微増に留まりました。これは、分野の約半数を占める「オンラインゲーム」の伸びが鈍化したことが影響しています。
「オンラインゲーム」は1兆2,553億円(0.58%減)と、3年連続で減少となりました。 要因は、外出機会の増加により、長時間ゲームをプレーする「重課金ユーザー」の減少や、余暇の選択肢が多様化したことが挙げられます。 今後は「eスポーツ」の振興や、メタバース・Web3技術との連携が、新たな利用者層の獲得に繋がると期待されています。
一方で、成長を続けているのが「有料動画配信サービス」と「有料音楽配信サービス」です。
- 有料動画配信: NetflixやAmazonプライム等のサブスクリプションが定着。独占配信コンテンツやスポーツの生中継が強力な集客フックとなっています。
- 有料音楽配信: ストリーミング売上が市場全体の9割以上を占めています。SNS(TikTok等)での楽曲拡散がそのまま再生数に直結し、継続的な支出を支える構造が確立されました。
いずれも「所有」から「利用」への転換が進み、サブスクリプションモデルによる安定した収益基盤が市場を牽引しています。
EC化率が全体的に伸びている4つの理由
日本国内において、ECの市場規模やEC化率は全体的に右肩上がりでどんどん成長しています。
その理由は、大きく4つあります。
- スマホ経由でのEC利用の増加
- 運用や管理がしやすいECツールの登場
- SNSサービス利用率の増加
- コロナによる需要増加
それぞれ一つずつ見ていきましょう。
①スマホ経由でのEC利用の増加
※引用:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」2023年8月
スマホを経由したECの需要が増加しているのも、EC化率増加の一因といえるのは間違いありません。
パソコンを起動し、欲しい商品を探して注文情報を入力して決済するよりも、手元のスマホで好きな時間に好きなタイミングで商品を購入するほうが圧倒的にハードルは低いです。
また、インフルエンサーが勧める商品(ファッションやコスメなど)を買いたいという人は多く、若年層を中心にECの活用はさらに増していく見込みです。
②運用や管理がしやすいECツールの登場
EC利用者が増加していることから、EC事業者を支援するツールやシステムも年々増えています。
例えば、従来であれば事業者独自のECサイトで商品を買う場合、決済情報を一から入力する必要がありました。
しかし、Amazonアカウントとの連携ができれば、そのような手間をかけずスムーズに購入ができます。結果、カゴ落ち率を抑え、売上をより伸ばしやすくなります。
また、専門知識が少ない事業者でもECを始めやすいように、使いやすさを追求したECツールも登場しています。
さらに近年では、事業の成長に合わせて高機能なシステムへ移行し、顧客のEC化率を引き上げるケースも増えています。
例えば、弊社のプラットフォームをご利用いただいているインテリア・雑貨業界の企業様では、システム刷新によりサイトのUI/UXを改善したことで、「EC化率」が大きく向上しました 。同時に、管理システムの統合で効果的な施策が打てるようになり、出荷件数が1.3倍に伸びる成果も出ています 。
このように、
- 売上拡大や業務効率化を支援するツール
- 運用や管理がしやすいツール
などが生まれ、事業を進めやすくなったこともEC化率増加の要因です。
③SNSサービス利用率の増加
※引用元:令和6年通信利用動向調査
SNS利用率は全年代で上昇し、最新調査では81.9%に達しています。特にLINEやInstagram、TikTokの普及が顕著です。
現在は単なる交流ツールではなく、SNSで商品を検索し、アプリ内で購買まで完結させる「ソーシャルコマース」が一般化しました。利用者の増加とEC機能の高度な連携が、EC化率を強力に押し上げる要因となっています。
④コロナによる需要増加
2020年初頭にコロナが猛威を振るったことで、長期にわたって私たちの生活様式はガラッと変わりました。
外出自粛やリモートワーク推奨など、自宅で過ごす時間が圧倒的に増えたことにより、巣ごもり需要が拡大。その結果、ECを積極的に活用する人が増加しました。
現在では、コロナも縮小したため、全体的に伸びは鈍化する可能性もありますが、これまでECを敬遠していた層を多く取り入れられたことで、今後も成長は拡大していく見込みです。
世界のEC化率とEコマース事情
※引用:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
経済産業省の調査および最新の世界統計によると、世界全体のBtoC市場におけるEC化率は、2024年時点で20.1%に達しました。2022年の19.3%から着実に成長しており、2028年には22.9%まで上昇すると予測されています。
日本のBtoC(物販系)のEC化率は9.78%(2024年)であるため、世界平均と比較すると依然として低い水準にあります。しかし、日本のEC市場規模そのものが小さいわけではありません。
それでは、国別のEC市場シェア(2024年推計)を見てみましょう。
※引用:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
円グラフが示す通り、中国と米国が世界全体のシェアの約7割を占める圧倒的な2強となっており、日本は世界第4位の市場を維持しています。
なぜ中国と米国でこれほどEC市場が巨大化しているのか、主な理由は以下の通りです。
- 圧倒的な人口規模: 特に中国はインターネット購買人口が約9.2億人と桁違いに多い。
- 物理的な距離の克服: 国土が広大であり、実店舗へ行くよりもECで注文する方が効率的。
- デジタルインフラの高度な整備: 決済から物流まで、ECを前提とした社会基盤が完成している。
特に中国では、キャッシュレス決済が都市部から地方の露店まで完全に浸透しており、「現金よりもスマホ決済の方が信頼できる」という独自の商習慣がEC化を強力に後押ししています。2024年の中国のEC化率は約50%と、世界でも突出したデジタル先進国となっています。
このように、日本とは市場の背景や地理的条件が大きく異なるため、単純な比較は難しいものの、世界的なデジタルシフトの流れは今後も加速していくことは間違いありません。
まとめ:国内・世界ともにEC化率が成長中!
国内外でEC化率は拡大を続けており、日本のBtoC物販系は9.78%、BtoBは43.1%に達しています。スマホやSNSの普及、便利なECツールの登場がこの成長を後押ししていますが、参入する分野によってECとの相性や顧客ニーズは大きく異なるため、市場特性に合わせた戦略が不可欠です。
自社の売上を伸ばしEC化率を最大化するには、SNS連携や決済時のUI/UX改善が有効です。さらに事業の成長フェーズに合わせて、高度なマーケティング施策と業務効率化を両立できる「より高機能なECシステム」へ移行することも重要な選択肢となります。
もし、事業拡大に向けた施策の実行や、システム統合によるUI/UX改善といった要件に課題がある事業者様は、弊社の提供するECプラットフォームも選択肢の一つとしてぜひご検討ください。

W2 Unifiedは、商材ジャンルを問わず多様な商品の販売に対応した中大規模事業者向けのECプラットフォームです。実店舗とECの在庫・顧客情報のリアルタイム連携や、消費者向け・法人向けが混在するEC運営も一元管理できます。
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