ユニファイドコマースとは

「Unified Commerce(ユニファイドコマース)」とは、オンライン・オフラインという概念にこだわらず、ECサイトや実店舗で取得したデータ(顧客情報・行動履歴など)を統合し活用する、お客様一人ひとりに価値ある購買体験を提供するマーケティング手法のことです。

 ユニファイドコマースに取り組むことは、顧客体験の向上はもちろん、商品在庫の一元管理や受発注業務の自動化など、業務の効率化にもつながります。ユニファイドコマースの導入はROIが高く、小売り・流通業をはじめとする様々な業界から注目されている一方で、技術や組織体制、コストの問題などから導入に足踏みしている企業も多いと言われています。この記事では、企業がユニファイドコマースに取り組むにあたっての課題について考えていきます。

 

ユニファイドコマース導入のメリット

 ユニファイドコマースは、ROI(投資効率)Iの高いマーケティング戦略です。まず導入した場合のメリットを挙げていきます。

  1. シームレスな購買体験の提供
    ユニファイドコマースの最大の特徴は、お客様にシームレスに買い物体験を提供できることです。例えば、オンラインで商品を注文してから、実店舗で実際に試着や購入を行ったり、逆に実店舗で商品を見てからオンラインで購入を完了させなど、お客様は自分の好みや都合に合わせて、実店舗やオンラインショップ、モバイルアプリなどの複数のチャネルを横断し、ストレスなく便利に買い物を楽しむことができます。
  2. 顧客満足度の向上
    ユニファイドコマースでは、より良い買い物体験をお客様に提供します。その結果としてブランドに対するロイヤルティや顧客満足度が向上します。これにより、市場競争において競合企業との差別化を図ることができます。
  3. 在庫の最適化
    在庫の一元管理もユニファイドコマースの取り組みの1つです。複数店舗の在庫数の共有や可視化により在庫管理の最適化をおこないます。例えば、オンラインショップで在庫がない商品を実店舗から取り寄せることができたり、オンラインショップの販売数と実店舗での販売数をリアルタイムに連携することで、過剰在庫や品切れを最小限に抑えることができます。
  4. 顧客データの一元管理
    ユニファイドコマースでは、各チャネルで集めた大量のデータを分析し活用します。顧客の購買履歴や行動データなどを一元管理し、分析を行います。顧客の好みや購買パターンを把握することでお客様一人ひとりにあったマーケティング施策や商品提案が可能となります。
  5. マーケティング効果の最大化 
    複数のチャネルにおけるマーケティング施策の効果を分析することも、ユニファイドコマースの導入で可能となります。お客様一人ひとりの購買履歴や行動データをモニタリングし分析することで、効果的なマーケティング施策を計画することできます。広告を投下する場合もデータをもとにした適切なオーディエンスの設定ができます。ROIの最適化や効果的な予算設計にも役立ちます。

技術的な課題

 ユニファイドコマースを導入するにあたっての課題として、まず「技術的な課題」が挙げられます。ユニファイドコマースでは、複数の販売チャネルのデータを統合し活用することで、お客様により良い買い物体験を提供します。各チャネルやシステムに蓄積されている大量のデータを一元管理し、活用できるようにシステムを見直すことが、ユニファイドコマースの導入を目指すための第一歩です。具体的に課題になり得る点は次の通りです。

  1. 顧客データの統合
    ECサイトと実店舗など、複数の販売チャネルに顧客データが分かれている場合は、まとめて管理する必要があります。ユニファイドコマースに取り組むにあたり、まずはオムニチャネルの実現が前提です。まだ手つかずの場合は、こちらの取り組みからはじめましょう。まずはどの部署がどのような形式で顧客データを管理しているかを知り、一元管理へ向けて整理を始めてください。
  2. 商品在庫や受注データの共有
    ユニファイドコマースに取り組むためには、商品の在庫数や受注データをリアルタイムで共有する必要があります。例えば、実店舗とオンラインストア、モバイルアプリ、ソーシャルメディアなどのチャネルが挙げられ、それらのデータの管理状態や互換性も調べておく必要があります。
  3.  リアルタイムデータ処理
    ユニファイドコマースにおけるデータ処理は、リアルタイムで発生するデータを収集し、分析・処理することを指します。データは複数のソースから取得され、高速なデータ処理技術を用いて即座に解析されます。販売データ、在庫情報、顧客行動などのデータをリアルタイムで処理することは、商品の在庫切れを防いだり、マーケティングの最適化など役立ちます。
  4. 万全なセキュリティ対策
    ユニファイドコマースでは、個人情報を含む大量のデータを扱います。情報漏洩や不正アクセスなどのセキュリティ事故を防ぐため、徹底的な対策が必要です。暗号化、アクセス制御、監査トレイルなどのセキュリティ対策を講じ、リスクの恐れがある場合は、自社のセキュリティ環境の見直しを行ってください。
  5. データ基盤の設計とデータ蓄積
    ユニファイドコマースの導入に取り組むにあたって大前提となるのが、データ基盤の整備です。
    例えば、自社のECサイトをリニューアルしてどんなに新しい機能を追加したとしても、データの基盤が整っていなかったり、データの蓄積が不十分だったりすると、ユニファイドコマースを導入した効果を充分に発揮できないおそれがあります。
    そうならないためには、データの品質と一貫性を確保しなければなりません。データクレンジング、デデュプリケーション、正規化などのプロセスを組み込み、正確で信頼性の高いデータを揃えることが重要です。また、ユニファイドコマースでは大量のデータを扱います。データ基盤には柔軟性や拡張性が求められ、必要に応じて拡張できるクラウドベースのソリューションを検討してください。

組織的な課題

次に、ユニファイドコマースの導入にあたっての課題として「組織的な課題」が挙げられます。ユニファイドコマースを目指すには、組織全体の団結が重要です。IT部門やマーケティング部門が主体となる場合もありますが、物流部門や教育部門などにも関わる領域であり、また、各署との連携が不可欠です。各部門で管理しているシステムやデータの統合が必要となるため、営業部門や商品管理、オペレーションを改善することによるトレーニングや専門人材の採用も必要となるため採用や教育部門との協力も必要になります。

  1. 各部門のタスク整理・プロジェクトチームの発足
    ユニファイドコマースの実現を目指し、各部署の役割分担やスケジュールを明確にし、各部署が協力し合って取り組みましょう。実店舗、EC、マーケティング、システム、採用教育などの複数の部署の横断が必須となるので、プロジェクトチームを発足させる必要があります。
  2. 人材の育成と採用
    ユニファイドコマースの実現を目指すためには、組織の一人ひとりがユニファイドコマースを理解して取り組む必要があります。例えば、ユニファイドコマースの取り組みとして、オンライン接客やライブコマースを実施する際は、新たな接客マニュアルの作成とスタッフの育成が必須です。育成・評価カリキュラムの策定はもちろん、指導者育成をおこなうことも重要です。既存のメンバーだけでは難しい場合は、専門知識や経験を持つ新しいメンバーの採用をおこなう必要もあります。
  3. 部署・組織の変更
    ユニファイドコマースの導入後、ECサイト・実店舗といった販売チャネルの境い目がなくなることにより「店舗売り上げ」「EC売り上げ」といった仕切りがなくなることも見据えてください。部門によっては部署を統合したり切り離した方が、業務の効率が良い・目標設定がしやすいこともあり、組織変更が必要となる場合があります。

コスト的な課題

ユニファイドコマースに取り組むにあたり、システムや技術の導入にはどうしても費用がかかるため「コスト的な課題」が発生します。事業規模や業態によって異なりますが、ユニファイドコマースの導入には数億円規模の投資が必要となります。事業の規模や成長に合わせた計画を立て、適切な予算を確保することが必要です。初期の導入費用はもちろん、システムや技術のアップグレード、保守・運用も考慮した上で、計画を立てましょう。

  1.  システム導入コスト
    ユニファイドコマースの導入には、新しいシステムやソフトウェアの導入が必要となる場合があります。ほとんどの場合、システムの開発費用やカスタマイズ、データ移行など大きなコストが発生します。
  2. トレーニングと教育コスト
    ユニファイドコマースを導入するにあたって、従来の販売チャネルや業務プロセスが変わります。企業は、従業員をトレーニングすることはもちろん、接客マニュアルの作成し、新しいツールのインターフェースに慣れるための研修を実施する必要があります。人件費や研修費用などが発生する場合があります。
  3. プロセス変更と運用コスト
    ユニファイドコマースの導入には、従来の業務プロセスや運用方法を変えていかなくてならない場合があります。これには、新しいワークフローや手順の設計、既存のシステムとの連携などが含まれます。これらの変更には、時間とリソース、トレーニング、運用上の調整が必要となり、人件費などのコストがかかる可能性があります。
  4. サポートとメンテナンスのコスト
    ユニファイドコマースの導入後も、システムのサポートやメンテナンスが必要です。障害対応やアップデート、セキュリティ対策の見直しなど、定期的にメンテナンスを行ってください。

上記は一般的な例ですが、業態や具体的なシステムの状況や導入計画によっては、異なる課題やコストが発生する可能性があります。ユニファイドコマースの導入を検討する際には、事前に詳細な調査と計画を行い、予算やリソースの適切な配分を行うことが重要です。

まとめ

ユニファイドコマースを導入するにあたって「技術的な課題」「組織的な課題」「コスト的な課題」といったハードルはありますが、まずは社内の状況を把握し、各部署が持つ課題と向き合うことから始めましょう。「自社ではまだ早い」「予算がない」などの理由から後回しにせず、早めに取り組むことが最善の策です。
そして、ユニファイドコマースを検討するにあたり、成果にこだわったパートナー選びも重要です。部分的なナレッジを持つシステム会社やコンサルティング会社ではなく、トータルサポートが可能な伴走型のパートナーを選ぶことが大切です。
W2株式会社は、ECプラットフォーム「W2 Unified」「W2 Repeat」を展開しており、国内市場でユニファイドコマースをリードしている会社のひとつです。次世代の新しいスタイルのECに取り組みたい、課題を洗い出しをしたいなどのご相談がありましたら、ぜひ弊社へお声がけください。

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ライター:ユニファイドコマースメディア編集部

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「ユニファイドコマースメディア」は、OMOやオムニチャネルの進化系であるユニファイドコマースに関する情報を発信するWEBメディアです。 ユニファイドコマース(Unified Commerce)とは、オンライン・オフラインという概念にこだわらず、ECサイトや実店舗で取得したデータ(顧客情報・行動履歴など)を統合し活用する、顧客一人ひとりに価値ある購買体験を提供するマーケティング手法を指します。

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