ショッピングオンラインサイトが顧客体験を向上させる店舗受取(BOPIS)を導入するメリット

顧客体験を向上させる店舗受取(BOPIS)とは

 店舗受取(Buy Online Pick Up In Store)とは、お客様がオンラインショッピングで注文した商品を希望する店舗で受け取れるサービスのことです。
 店舗受取は、お客様が注文した商品を自宅やオフィスの最寄の店舗で送料無料で受け取れることや、自分の都合にあわせて好きなタイミングで商品を受け取れるなどメリットが多く、顧客体験の向上という観点から、小売りや流通、飲食業界などから注目されており、近年では導入する企業が増えています。
店舗受取は、ユニファイドコマースを目指す上でオンラインとオフラインをつなぐ重要な取り組みのひとつです。この記事では、店舗受取を導入するメリットから導入にあたっての課題について、紹介していきます。

店舗受取(BOPIS)導入のメリット

 店舗受取の導入は、お客様にも企業側にもメリットがあります。お客様側(顧客側)と企業(事業者側)のメリットをまとめてみました。

お客様(顧客側)のメリット

 店舗受取はお客様にとって、便利なサービスです。注文した商品を配送を待たずに自身の都合にあわせて好きなタイミングでお店に取りに行きたい、商品を手に取って確認したい、送料を節約したいなどのお客様のニーズに応えます。

  • 買い物の利便性の向上
     店舗受取を利用すると、お客様は商品をオンライン注文でき、自身の都合の良い時間に希望の店舗で商品を受け取ることが可能です。店舗で商品を探す手間やレジに並ぶ時間を省いて、スマートに買い物を楽しむことができます。近隣の店舗で欲しい商品の在庫をすぐ用意することができれば、配送よりも待たずに商品を手に入れることもできます。
  • 商品受取時の確認・試着
     オンラインショッピングでは、購入した商品が手元に届いて初めて手に取ることになります。万が一、思っていたイメージと違う場合やサイズが合わない場合などは、交換のために返送するなどの手間がかかってしまうこともあります。
     一方、店舗受取では、受取時の商品を確認できることはもちろん、店舗によっては試着ができたり、商品の交換がその場でできる場合もあります。お客様が、お買い物の際に商品を手に取って確認できるのも、店舗受取のメリットです。
  • 配送料の節約
     ほとんどの事業者の場合、店舗受取では配送料が無料です。

企業(事業者側)のメリット

 店舗受取は企業側にも、顧客体験の向上をはじめ、売上アップや商品在庫の最適化、業務効率化などのメリットがあります。

  • 顧客接点の増加と売上アップ効果
     店舗受取の導入は、お客様の来店促進につながります。商品の受け渡し時に、店舗スタッフとお客様のコミュニケーション接点もできるので、新商品やキャンペーン商品をおすすめするチャンスも生まれます。お客様がオンラインで購入した商品を店舗に受け取りに来る際の「ついで買い」も期待できます。
  • 在庫情報の最適化
     店舗受取を導入する際に、在庫情報を最適化をする必要があります。在庫情報を連携するシステム導入が必要となりますが、これにより在庫情報をオンラインとオフラインの双方で効率的に管理できるようになります。また、ECサイトと実店舗の在庫連携ができていれば、倉庫から商品を発送せずに店舗在庫からお客様に商品を渡すこともできます。
  • 物流コストの削減と業務効率化
     注文を受けた商品を、通常の在庫補充などとまとめて店舗に配送することにより、物流コストの削減が期待できます。全ての商品を個々の住所に商品を配送する場合と比べると、物流コストの削減と業務効率化が期待できます。また、日本の物流業界では、物流センターから個人宅までの区間において、注文者の不在によって商品が届けられないラストワンマイル配送が問題になっています。慢性的な人手不足はもちろん、ドライバー高齢化も進んでいる中、店舗受取の導入はラストワンマイル問題の解決策のひとつとしても注目されています。

店舗受取(BOPIS)導入において注意すべきポイント

 店舗受取を導入するにあたって、システムの導入はもちろん実店舗のオペレーションの準備も必要です。実店舗は店舗営業のオペレーションを整理し、スタッフのトレーニングを行う必要があります。一方システム側は、円滑に店舗受取を運用できるようにシステムを導入する必要があります。
 特に気を付けなければいけないのが、せっかく店舗受取を導入しても実店舗で運用しにくく、オペレーションが複雑になってしまうことです。商品の受け渡しのミスが起きたり、お客様を受け渡しカウンターでお待たせしてしまったりなど、クレームは避けなければなりません。店舗受取導入の際のシステム選びは、自社の店舗オペレーションにあった使いやすいシステムを選びましょう。店舗受取を導入する際に、実店舗側、システム側において注意するべきポイントをまとめました。

実店舗側で注意すべきポイント

  1. 店舗スタッフの教育
     店舗受け取りを導入するためには、スタッフに受取の手順やシステム操作、商品の保管方法などを十分に理解してもらう必要があります。適切な教育体制を整え、スタッフのトレーニングやマニュアル作成などを行う必要があります。
  2. 店舗受取スタッフの配置
     セール期間などの繁忙期や混雑する時間帯では、受け取り対応を行うスタッフを補充するなどシフトを調整する必要があります。オンラインからの注文の受け取りが店舗でおこなわれるので、店頭スタッフの負荷を考慮したスタッフ配置が必要です。
  3. 店舗スタッフの負荷
     店舗スタッフは接客はもちろん陳列や発注業務の業務を抱えています。店舗受取の導入により、店舗スタッフの業務が増えるのでオペレーションやシフトの見直しを行う必要があります。多忙な接客の合間でも、無理なく使用できる店舗受取システムを選定し、適切なトレーニングをおこないましょう。

システム導入において注意すべきポイント

  1. 在庫管理システムとの連携
     店舗受取を実施する場合、ECサイトと実店舗の在庫情報の連携が必要です。双方の在庫状況が把握できていないと、商品の在庫切れが生じてしまったり、商品の受け取り日時をお客様へ伝えられないなどのトラブルが発生します。ECサイトと実店舗の在庫状況をまとめて管理ができるシステムを導入しましょう。店舗在庫をECサイトで販売し、店舗受取を行う場合は在庫情報のリアルタイム連携が必要です。
  2. 商品受注から受け取り完了までのステイタス管理
     店舗受取では、注文の受注から倉庫から店舗への商品発送・到着商品が店舗に届いた際のお客様へのご連絡、お客様が店舗に来店商品を受け取りに来る日時、そして受け取り完了のステイタスを正確に管理する必要があります。自社のサービスやオペレーションにあったステイタス管理ができるシステムを選びましょう。
  3. 顧客情報・購入履歴の管理
     店舗受取の導入では、顧客情報・購入履歴の管理が重要になります。ECサイトと実店舗の顧客データベースを一元管理し、予め整えておくことで、店舗受取をよりスムーズに導入することができます。個人情報を取り扱うのでセキュリティ対策の徹底も必要です。

顧客体験を向上させる店舗受取(BOPIS)の導入事例

 続いて、実際に店舗受取を導入している企業の事例を紹介します。店舗受取の導入に向いている業種としては、アパレルや電化製品などの小売りや流通サービスなどが挙げられます。 実店舗とECサイトの双方を運営していることを前提条件として、店舗数が多い業態が店舗受取に向いています。自宅や職場の近くに立ち寄れる店舗があると、配送を待つより早く商品を入手できたり、送料が無料になったりするので、お客様の店舗受取の利用度も高くなります。店舗受取を導入する際の参考にしてみてください。

しまむら

2020年10月にオープンした「しまむらオンラインストア」は、店舗受け取りの導入により、ECサイトから実店舗への送客が成功しました。コロナ禍の状況も追い風になっていたと考えられますが、店舗受け取りを希望する顧客が9割と自宅配送を大きく上回りました。

しまむらの2021年2月期のEC売上高は20億円を計画。オープンから11月20日までの売上高は計画通りに推移。商品の受取方法は、店舗受け取りが約9割、自宅配送が約1割

商品の受取方法は、店舗受け取りが約9割、自宅配送が約1割。想定以上に店舗受け取りを選択する顧客が多く、『ECから店舗への送客』に効果を発揮している」

しまむらのネット通販、店舗受取が9割で「ECから店舗への送客に効果」

ユニクロ

 ユニクロでは店舗受け取りサービスに加え、指定の店舗に在庫があれば、ほしい商品が最短1時間で店舗から受取れるサービス「ORDER & PICK」を展開しています。「いますぐ商品を受取りたい」「オンラインストアで在庫がない商品を店舗で見つけて購入したい」というニーズを満たせる人気のサービスです。

ユニクロオンラインストアの便利な受取りサービス

ヨドバシカメラ

 ヨドバシカメラでは、実店舗の在庫情報をECサイト上で表示しており、店舗に在庫がある場合は、最短30分以内で店舗受け取りの手配が可能です。一部の店舗では、店舗受け取り専用カウンターを設置し、商品の受け取りが24時間受け取れるようになっています。帰宅が遅い人やすぐに商品を手元に欲しい時に役立つサービスです。

ネットで注文 店舗で受け取りサービス

まとめ

 店舗受取は、顧客体験の向上といった観点で、お客様と企業の双方にメリットをもたらす取り組みです。オンラインとオフラインをシームレスにつなぐ、ユニファイドコマースを目指すにあたっても、重要な取り組みのひとつです。店舗での受け取り以外にも、駐車場やコンビニエンスストア、専用の宅配ロッカーでの受け取りに対応しているサービスもあり、買い物の在り方は、今後さらに便利になっていくことが期待されています。

 W2株式会社は、ECプラットフォーム「W2 Unified」「W2 Repeat」を展開しており、国内市場でユニファイドコマースをリードしている会社のひとつです。次世代の新しいスタイルのECに取り組みたい、課題を洗い出しをしたいなどのご相談がありましたら、ぜひ弊社へお声がけください。
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ライター:ユニファイドコマース編集部

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「ユニファイドコマースメディア」は、OMOやオムニチャネルの進化系であるユニファイドコマースに関する情報を発信するWEBメディアです。 ユニファイドコマース(Unified Commerce)とは、オンライン・オフラインという概念にこだわらず、ECサイトや実店舗で取得したデータ(顧客情報・行動履歴など)を統合し活用する、顧客一人ひとりに価値ある購買体験を提供するマーケティング手法を指します。

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