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ERP連携できるECシステム7選|基幹システム連携のメリット・選び方・導入事例

基幹システム

ECサイトの受注件数が月1,000件を超えてくると、在庫管理・受注処理・会計仕訳を手作業でこなすことは現実的ではなくなります。担当者がCSVを毎朝ダウンロードして基幹システムに手入力する作業が日常になっているとしたら、それ自体がビジネス拡大のブレーキになっています。

経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査」によると、国内BtoC-EC市場規模は約24兆円に達しており、中小企業への普及も加速しています。販路が増えるほど、システム間のデータ分断という課題が表面化します。

複数モール展開や実店舗連携を行っている企業では、次のような問題が繰り返し起きます。

  •   在庫ズレによる過剰販売 → キャンセル対応と顧客謝罪の工数が発生
  •   受注データの手動転記によるヒューマンエラー → 出荷ミスがクレームに直結
  •   チャネルをまたいだ売上集計にExcelが必要 → 月次締めのたびに数時間単位の作業
  •   担当者が退職・異動すると業務が止まるリスク

こうした構造的な課題を解消するアプローチが、ERPとECシステムの連携です。受注・在庫・販売・会計データをひとつのデータベースで管理することで、手作業の「つなぎ業務」がなくなり、担当者は本来やるべき業務に集中できるようになります。

この記事では、ERP連携の基礎から実際に対応しているECシステム7選、失敗事例と対策まで、網羅的に解説します。

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この記事でわかること

主な機能は、人事管理、会計管理、販売管理、生産管理、資産管理、債務管理です。
企業の基幹業務を横断して管理でき、販売情報が会計や生産管理に反映されるような部門間の連携にも使えます。

主なメリットは、経営判断に必要な情報を把握しやすくなること、予算や売上を管理しやすくなること、情報を一元管理できること、業務効率化につながることです。
部門をまたいだデータ活用がしやすくなります。

経営資源や社内情報を一本化して経営判断や業務効率化に活かしたい場合はERPが向いています。
顧客との関係構築や顧客視点のマーケティングを重視する場合はCRMが適しています。

目次
  1. 01|ERPとは?ECシステム・基幹システムとの違い
  2. 02|ECサイト運営でERP連携が重要な理由
  3. 03|ERPの主な機能
  4. 04|ECシステムとERPを連携するメリット
  5. 05|ECシステムとERP連携のデメリット・注意点
  6. 06|ERP連携できるECシステム7選【比較】
  7. 07|ERP連携対応のECシステムを選ぶポイント
  8. 08|ERP連携でよくある失敗事例と対策
  9. 09|ERP連携の導入事例
  10. 10|ERP導入・EC連携を成功させるポイント
  11. 11|まとめ
  12. 12|ERPに関するよくある質問と回答

ERPとは?ECシステム・基幹システムとの違い

ERPとは「Enterprise Resource Planning(統合基幹業務システム)」の略称で、企業の経営資源を一元管理するためのシステムです。販売管理・在庫管理・会計管理・顧客管理・購買管理などを統合し、部門をまたいだデータをリアルタイムで共有できる仕組みを提供します。

EC事業においては、受注数や商品点数の増加に伴い、ツールをバラバラに使うだけでは限界が来ます。自社EC・楽天・Amazonを同時展開している企業が「今日の正確な在庫数がわからない」「先月の粗利はいくらだったのか、計算するのに1日かかる」という状態に陥るのは、データが各ツールに分散しているためです。ERPはこの分散を解消し、全データをひとつの画面で把握できる状態を作ります。

年商数億円〜数十億円規模の成長フェーズにある多くのEC企業が、ERPの導入・連携を検討するのはこのためです。

ERPと基幹システムの違い

基幹システムとは、企業運営に必要な業務システムの総称です。販売管理・在庫管理・会計システムなどがそれぞれ独立して存在する状態も、広い意味では「基幹システムを持っている」と言えます。

ERPはそれらを「ひとつのデータベース上で統合管理する」点が異なります。受注が入ると同時に在庫が引き当てられ、出荷完了のタイミングで売上仕訳が自動生成される。この一連の流れをシステムが自動的につなぐのがERPの本質です。個別システムを使っている企業では、この「つなぎ作業」を担当者が毎日手動で行っています。受注件数が増えれば増えるほど、この作業の負荷と誤りのリスクは大きくなります。

ERPとECシステムの違い

ECシステムは、オンラインで商品を販売するためのフロントエンド基盤です。商品ページの表示・カート機能・決済処理・注文受付を担い、顧客が直接触れる部分です。

ERPは、その裏側にあるバックオフィス業務を支えるシステムです。ECシステムが受け取った注文データを「在庫引当→出荷指示→売上計上→顧客管理」へと自動的に流す役割を持ちます。ECシステム単体では、複数倉庫の在庫一元管理・複数モールをまたいだ在庫同期・会計データの自動連携などに対応しきれないケースが多く、ERPとの連携でこれらを補完します。

ECシステムや基幹システムに関して以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
ECサイトと基幹システムの連携完全ガイド|メリット・方法・注意点を徹底解説

ERPとCRMの違い

CRMは「顧客管理」に特化したシステムで、顧客情報・購買履歴・メール/LINE配信履歴・問い合わせ対応履歴を管理します。LTV(顧客生涯価値)向上のためのマーケティング施策に活用されます。

ERPは顧客情報も含みますが、それに加えて販売・在庫・会計・購買など企業全体の業務データを統合管理します。CRMが「顧客との関係性」を管理するなら、ERPは「企業の運営全体」を管理するシステムです。EC事業では、ERPとCRMを連携させることで、「先月3回以上購入した顧客にリピート促進メールを送る」といった、購買データに基づいた施策を自動化できます。

 

CRMに関して以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
ECサイトの売上を伸ばすCRM(顧客管理)とは?活用すべき理由やメリットまとめ

ECサイト運営でERP連携が重要な理由

EC運営は業務が分断しやすい

一般的なEC運営では、ECサイト・モール・倉庫管理システム・会計ソフト・顧客管理ツールが独立して動いています。それぞれが別のデータを持つため、担当者が毎日「つなぎ作業」をすることになります。

具体例を挙げると——楽天から受注CSVをダウンロードして倉庫システムへ手動アップロード、出荷完了後に会計ソフトへ売上入力、月末に各ツールのデータをExcelで集計。これを毎日繰り返せば、受注が月500件でも数時間の工数が消えます。月2,000件になれば、それだけでは対応しきれなくなります。

在庫・受注・販売管理が複雑化する

商品数や販路が増えるほど、在庫管理は急速に複雑になります。自社EC・楽天・Amazon・Yahoo!・実店舗を横断している場合、リアルタイムで在庫数を同期できなければ、「ある倉庫では在庫ゼロ、別倉庫には5個ある」という情報が即座に共有されません。その間に同じ商品が複数チャネルで売れると、在庫マイナスが発生します。

在庫ズレが1件起きれば、キャンセル対応・顧客謝罪・在庫補正という三重の業務が発生します。これが月に何十件も起きると、その工数は無視できないコストになります。ERPを連携することで、全チャネルの在庫をひとつのデータベースで管理し、引当と同期をリアルタイムで処理できます。

多店舗・モール展開で管理工数が増える

EC事業が成長すると、複数チャネル展開は自然な流れです。ただし、チャネルが増えるほど管理画面・データ形式・処理フローが増え、担当者の負荷は販路数に比例して積み上がります。

年商5億円前後の成長フェーズでよく聞く相談が「受注処理だけで1日3〜4時間かかっている」「ミスが多発してクレームが絶えない」というものです。ERP連携でデータを一元化することで、担当者は商品企画・マーケティング・顧客対応といった付加価値の高い業務に時間を使えるようになります。

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リアルタイム連携が求められる理由

現在のEC市場では、注文から出荷まで「翌日配送」「即日配送」が標準です。在庫情報や出荷ステータスがリアルタイムで更新されない環境では、顧客への情報提供が遅れ、満足度低下に直結します。

経営面でも、売上・在庫・粗利のデータをリアルタイムで参照できるかどうかは、仕入れ判断や販促施策のスピードを左右します。「昨日の売上は翌朝にようやく確認できる」という環境では、素早い意思決定ができません。ERP連携によって、現場の業務効率と経営判断のレイヤー、両方をアップデートできます。

ERPの主な機能

在庫管理

複数倉庫・複数チャネルの在庫を一元管理します。入荷・出荷・返品・棚卸といった在庫変動をリアルタイムで記録し、「A倉庫に何個、B倉庫に何個」という情報を常に正確に把握できます。チャネル別の在庫割り当て(引当)機能により、同一商品の過剰販売を防ぎながら在庫を有効活用できます。特に商品点数が多いEC事業では、この機能の有無が日々の運用負荷を大きく変えます。

販売管理

売上・請求・入金情報を統合管理します。ECからの受注データを自動取り込みし、請求書発行・入金消込まで一連の処理を自動化できます。BtoB取引が多いEC事業では、掛売り・分割払い・与信管理にも対応できるERPを選ぶことが重要です。これらを手動で処理している場合、月次処理に丸一日以上かかるケースがあります。

受注管理

複数チャネルからの受注データを自動収集し、出荷指示・在庫引当・ステータス管理を効率化します。受注から出荷までの全工程をシステム上で可視化することで、進捗の抜け・漏れが防げます。受注件数が月1,000件を超えると、手動での進捗確認は現実的ではなくなります。

会計管理

売上データを会計システムへ自動連携し、仕訳の自動生成・消費税処理・売掛金管理を自動化します。ECでは決済手段が多様(クレジット・代引き・後払い・コンビニ払いなど)なため、決済種別ごとの自動仕訳に対応したERPを選ぶ必要があります。これが手動だと、月次決算だけで経理担当者の1〜2日が消えます。

顧客管理

顧客情報・購入履歴・問い合わせ履歴を一元管理します。ERPの顧客データをCRMやメール配信ツールと連携させることで、「前回購入から3ヶ月が経過した顧客にリマインドを送る」といった、購買履歴に基づいたマーケティング施策を自動実行できます。

データ分析

販売・在庫・会計データを統合してダッシュボードで可視化します。チャネル別売上比較・商品別粗利分析・在庫回転率をリアルタイムで参照できるため、仕入れ計画や販促戦略の判断精度が上がります。「先週の粗利はどのチャネルが一番高かったか」をすぐ確認できる環境は、意思決定のスピードを実感レベルで変えます。

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ECシステムとERPを連携するメリット

在庫連携を自動化できる

EC・モール・実店舗の在庫情報をERPに集約し、リアルタイムで同期します。チャネルをまたいだ在庫ズレが解消されることで、販売機会損失とクレームの両方を削減できます。商品点数が数百SKUを超えると、手動での在庫管理はほぼ不可能です。この機能が整って初めて、多チャネル展開を安全に運用できます。

二重入力を削減できる

受注・売上・顧客情報をECシステムからERPへ自動連携することで、手入力作業を排除できます。楽天の受注データがERPに自動取り込みされ、倉庫への出荷指示・売上仕訳・顧客データ更新まで自動で完結します。これまで担当者が毎朝1〜2時間かけていた作業が、ボタンを押す必要すらない状態になります。

ヒューマンエラーを防止できる

手作業の工程が減れば、入力ミス・転記ミス・出荷ミスのリスクは下がります。受注件数が多いほど、1件あたりのミス率が一定でも発生件数は増えます。月500件で月1件だったミスが、月3,000件になれば月6件になる——そのまま放置すると、クレーム対応が業務の一部として常態化します。自動化によってこの構造を断ち切ることができます。

業務効率化・コスト削減につながる

バックオフィス業務の自動化によって、担当者を商品企画・マーケティング・顧客対応といった付加価値の高い業務に振り向けられます。また、在庫精度の向上により、過剰在庫による資金ロックや欠品による機会損失も減ります。導入事例では、受注処理の工数が1日4時間から1時間以下になったケースも報告されています。

データを一元管理できる

複数チャネルのデータがERPに集約されることで、「チャネル別の売上と粗利を横断比較したい」「SKU別の在庫回転率を確認したい」といった分析がすぐできるようになります。これまでExcelで手集計していた月次レポートが、ダッシュボードを開けば即座に表示される状態になります。

経営判断を迅速化できる

リアルタイムデータに基づいた意思決定が可能になります。特定商品の在庫切れが近いことをシステムが自動検知して発注を促したり、特定チャネルの売上が急落していることをリアルタイムで把握したりできます。「データを集めてから判断する」ではなく、「データを見ながら判断する」運営スタイルに変わります。

ECシステムとERP連携のデメリット・注意点

導入コストが高くなりやすい

ERP導入には初期費用(ライセンス費・構築費・連携開発費)がかかります。クラウド型ERPでも、EC連携のカスタマイズ開発を含めると数百万円〜数千万円規模になるケースがあります。ただし、ERP未導入のままでいることにも「手作業の人件費」「ミス対応コスト」「機会損失」というコストが存在します。ROIを試算する際は、現状の非効率業務にかかっているコストも合わせて算出することをおすすめします。

既存システムとの連携負荷がある

長年使い続けた独自システムや古いERPとの連携開発が必要になるケースがあります。仕様書が整備されていないレガシーシステムとの連携は開発工数が読みにくく、コスト超過のリスクがあります。既存システムの仕様を事前に洗い出し、連携範囲を明確にしてから見積もりを取ることが重要です。

要件定義が難しい

現場業務を十分に整理しないままERP連携を進めると、「システムは完成したが現場では使えない」という事態になります。「受注後の在庫引当はどのタイミングで行うか」「複数倉庫の出荷優先順位はどう決めるか」といったルールを明文化しないと、開発完了後に大量の修正依頼が発生します。現場担当者・管理者・IT担当者を巻き込んだ要件定義が必須です。

カスタマイズ依存になるリスクがある

ERPのカスタマイズが増えるほど、バージョンアップへの追従が困難になり、保守コストが上昇します。「標準機能でどこまでカバーできるか」を最初に見極め、カスタマイズは必要最小限に抑える設計思想が重要です。導入後5年経つと、カスタマイズ部分の保守だけでベンダーへの費用が年間数百万円になるケースがあります。

現場運用の変更が必要になる

ERP連携後は業務フローが変わります。入力画面・処理手順・承認フローが変わることへの現場抵抗が起きやすく、導入前の丁寧な説明と導入後の定着支援が不可欠です。システムが正しく動いていても、現場が旧来の方法を続ければデータは正確に更新されません。

ERP連携できるECシステム7選【比較】

① Shopify

【向いている事業者】グローバル展開を見据えた企業、D2Cブランド、スタートアップから中堅規模のEC事業者

世界200カ国以上で利用される最大級のECプラットフォームです。NetSuite・SAP・Microsoftなど主要ERPとの連携アプリが豊富で、REST APIとGraphQL APIが整備されており、在庫・受注・顧客データを外部システムと双方向で同期できます。日本語対応も進んでいます。初期費用が低く、月額$29のBasicプランから試せるのが強みです。取引量に応じた手数料が発生する点は、高回転商材を扱うEC事業者では確認が必要です。

【向いていない事業者】掛売り・後払い・複雑な納品書フォーマットなど、日本独自の商慣行への細かな対応が必要な企業

② ecbeing

【向いている事業者】大規模EC・年商数十億円以上のEC事業者、商品点数が多く複雑な在庫管理が必要な企業

国内大手EC構築パッケージで、SAP・Oracleなどのエンタープライズ向けERPとの連携実績が豊富です。受注・在庫・顧客・ポイント管理などを自社サーバーまたはクラウドで構築できます。連携仕様をゼロから開発するのではなく、既存の連携テンプレートを活用できるため、導入時の技術的リスクを抑えやすいのが特徴です。初期費用は数千万円〜が一般的で、保守コストも高め。

【向いていない事業者】コストを抑えてスモールスタートしたい中小EC事業者

③ futureshop

【向いている事業者】D2C・ブランド系EC、年商1億〜10億円程度の中堅EC事業者

国産クラウド型ECパッケージで、会員管理・定期購入・LINEミニアプリ連携など、D2Cに必要な機能を標準搭載しています。弥生・勘定奉行などの国内会計ソフトとのAPI連携に対応しており、独自の連携ツールを経由した在庫管理システム連携も可能です。月額数万円〜という料金感で、コスト対効果を重視する中堅事業者に支持されています。

【向いていない事業者】複数倉庫の複雑な在庫管理や大規模BtoB受注処理が必要な企業

④ ebisumart

【向いている事業者】クラウド環境でのEC構築を希望する中堅〜大手企業、柔軟なカスタマイズが必要な事業者

フルクラウド型のECシステムで、標準API機能を通じてERP・WMS・CRMなど多様なシステムと連携できます。受注・商品・在庫・会員データのAPI連携に対応しており、連携先システムを問わず柔軟に組み合わせられる点が強みです。初期数百万円〜、月額数十万円〜という価格帯です。

【向いていない事業者】IT投資予算が限られた小規模EC事業者

⑤ W2 Commerce

【向いている事業者】基幹システム連携・オムニチャネル対応・BtoB/BtoC両対応が必要な中堅〜大手EC事業者

EC構築と基幹システム連携を一体化したプラットフォームです。受注・在庫・販売管理・会員管理・ポイント管理などを標準機能として持ち、SAP・Microsoft Dynamics・勘定奉行などへの連携実績が豊富です。実店舗とECのデータを統合したオムニチャネル対応にも強く、「店頭在庫をECに公開する」「ECで注文して店舗で受け取る」といった施策を実現できます。

【向いていない事業者】機能をシンプルに保ちたい小規模EC事業者、短期間でのローンチを優先する事業者

⑥ メルカート

【向いている事業者】中堅〜大手のBtoC EC事業者、オムニチャネル強化を進める企業

国産クラウド型ECシステムで、基幹連携API・外部倉庫連携・複数モール一括管理など、スケールするEC運営に必要な機能を備えています。Salesforce・Zendeskなどのビジネスツールとの連携実績があり、CRM・MAとの一体運用も可能です。特に「受注処理は自動化しつつ、顧客コミュニケーションはCRMでコントロールしたい」という運用スタイルとの相性が良いシステムです。

【向いていない事業者】低コストで立ち上げたいスタートアップ・小規模EC

⑦ Magento(Adobe Commerce)

【向いている事業者】グローバル展開・大規模EC・高度なカスタマイズが必要な企業

世界的に広く使われるOSSのECプラットフォームで、SAP・Oracle ERPとの連携実績が豊富です。複数言語・複数通貨対応を標準サポートしており、海外展開を含む大規模ECの要件にも応えられます。拡張性は7つの中で最も高い一方、開発・構築コストは初期数千万円〜が一般的で、社内外のエンジニアリソースが常に必要です。

【向いていない事業者】エンジニアリソースが乏しい企業、スモールスタートを希望する事業者

以下の記事でECシステムを比較しています。是非合わせてご覧ください。
ECサイト構築サービス24選|システムごとの比較や選定ポイント、おすすめシステムをご紹介

ECシステム比較表

システム名 対象規模 ERP連携 カスタマイズ コスト感 特徴メモ
Shopify 小〜中 アプリ経由 低〜中 グローバル展開に強い
ecbeing 直接連携実績豊富 国内大手EC向け実績多数
futureshop API連携 D2C・定期購入に強い
ebisumart 中〜大 API連携 中〜高 フルクラウドで柔軟
W2 Commerce 中〜大 直接連携実績豊富 中〜高 オムニチャネルに強い
メルカート 中〜大 API連携 中〜高 中〜高 CRM連携と相性良好
Magento 大〜超大 直接連携実績豊富 最高 グローバル大規模EC向け

ERP連携対応のECシステムを選ぶポイント

API連携に対応しているか

ERPとECシステムを連携する際、APIの仕様が整備されているかどうかは最重要の選定基準です。RESTful APIが提供されていて、在庫・受注・顧客・商品データを双方向で同期できるかを確認しましょう。APIが未整備のシステムでは、CSVを介したバッチ連携に頼ることになり、リアルタイム在庫同期は実現できません。注文から出荷まで翌日対応が求められる現代のEC運営では、これは大きなボトルネックになります。

基幹システムとの連携実績があるか

使用するERPがすでに決まっている場合(SAP・Dynamics・勘定奉行など)は、そのERPとの連携実績を持つECシステムを選ぶことで、開発工数とリスクを大幅に削減できます。実績のないシステム同士をゼロから連携開発するケースでは、仕様の不整合や動作検証工数が想定の2〜3倍になることがあります。

将来的な拡張性はあるか

現在の事業規模だけでなく、3〜5年後を想定して選定することが重要です。年商5億円のフェーズで選んだシステムが、50億円になった際に使い続けられるかを事前に確認しましょう。商品点数の増加・販路の追加・倉庫の増設・海外展開など、将来の拡張シナリオをベンダーとすり合わせておくことで、数年後の「システム移行」という大きな投資を回避できます。

カスタマイズしやすいか

自社固有のビジネスルール(特定商品の在庫引当ロジック、BtoB向けの特殊な受発注フローなど)に対応できるかを確認しましょう。ただし、カスタマイズが増えると保守コストも上がります。「標準機能でどこまでカバーできるか」を先に整理して、カスタマイズ範囲を最小化する設計が長期的なコストを抑えます。

サポート体制は充実しているか

導入後の運用支援・障害対応・バージョンアップ対応など、ベンダーのサポート体制は見落としがちな基準です。ECサイトのダウンは売上直結の損害になるため、24時間対応が可能か、障害発生時のSLAが明示されているかを確認しましょう。特に繁忙期(年末商戦・セール期間)の対応体制は、契約前に必ず確認することをおすすめします。

ERP連携でよくある失敗事例と対策

失敗事例①:要件定義不足で現場が使えないシステムができた

ERPとECシステムの連携開発を始める前に、現場の業務フローを十分に整理できていないケースです。「受注後の在庫引当をどのタイミングで行うか」「複数倉庫がある場合の出荷優先順位はどう決めるか」といったルールを明確化しないまま開発を進めると、稼働後に「想定していた動きと違う」という修正依頼が大量に発生します。開発費が当初見積もりの1.5倍以上になることも珍しくありません。

【対策】プロジェクト開始前に、現場担当者・管理者・IT担当者を巻き込んだ要件定義ワークショップを実施し、業務ルールをドキュメント化してからRFP(要件定義書)を作成する。

失敗事例②:在庫連携タイミングのズレで在庫差異が発生

ECと基幹システムの在庫データ同期が「リアルタイム」ではなく「バッチ(定時同期)」になっていると、同期の間隔中に複数チャネルで在庫を消費してしまい、在庫マイナスが発生します。30分ごとの同期でも、繁忙期には1つの商品に数件の注文が集中することがあります。

【対策】在庫引当はリアルタイムAPI連携で行う設計にする。バッチ連携を使う場合は同期間隔を短くし、ピーク時間帯の在庫にバッファを設ける運用ルールを設定する。

失敗事例③:現場運用を考慮せず定着しなかった

システムとしては正しく動いているが、現場スタッフが旧来の方法で作業を続けてしまい、ERPのデータが正確に更新されないケースです。画面が使いにくい、操作手順が変わって戸惑うといった理由で、導入後も手作業が並行して走り続けることがあります。

【対策】現場スタッフをプロジェクトメンバーに加え、UATテスト(ユーザー受け入れテスト)を導入前に徹底する。導入後は操作マニュアルの整備と定期的な勉強会を実施する。

失敗事例④:ベンダー依存で保守コストが膨らんだ

独自カスタマイズを重ねた結果、標準バージョンアップに追従できなくなり、追加開発のたびにベンダーへの費用が発生し続けるケースです。3年後には「新機能の追加に100万円かかる」という状況になることがあります。

【対策】カスタマイズは「標準機能で対応できないものに限定する」という方針を設計段階でベンダーと合意し、議事録に残しておく。

失敗事例⑤:TCO(総所有コスト)を見誤った

初期構築費用だけを見て発注し、月次保守・追加開発・サポート費用を試算していなかったため、3年間のTCOが予算を大幅に超えてしまうケースです。初期費用が安くても、月次保守費が高いシステムはトータルコストで逆転することがあります。

【対策】ベンダーに初期費用だけでなく、3〜5年間の想定TCOを提示してもらい、複数社で比較する。

ERP連携の導入事例

事例①:多店舗ECの在庫一元管理で欠品クレームを大幅削減

自社EC・楽天・Amazon・実店舗を展開する年商10億円規模のアパレル企業が、W2 CommerceとERPを連携。全チャネルの在庫をリアルタイムで統合管理することで、在庫ズレによるキャンセルを月50件以上から数件にまで削減しました。受注処理にかかる時間も1日4時間から1時間以下に短縮され、浮いた時間を商品企画と仕入れ交渉に充てることができるようになりました。

事例②:BtoB ECの受発注自動化で業務工数を60%削減

FAX・電話による受発注が中心だった食品卸売業者がBtoB ECを導入し、ERPと連携。受発注データの自動取り込み・在庫引当・出荷指示の自動化により、受注処理にかかる工数が週40時間以上から15時間程度まで削減されました。担当者2名で対応していた業務を1名に集約でき、もう1名を営業活動に再配置できました。

事例③:オムニチャネル強化で顧客体験を向上

店舗とECのデータ連携を強化した雑貨小売チェーンが、店頭在庫確認・EC取り置き・店舗受取機能をERP連携で実現。「ECで注文して近くの店舗で受け取る」というオムニチャネル体験の提供により、顧客単価が平均15%向上しました。送料無料になるため購入点数が増えることと、来店時の追加購入が発生することが主な要因です。

事例④:バックオフィス自動化で会計処理コストを削減

年間受注件数5万件超のコスメEC事業者が、受注処理と会計仕訳の自動連携を実現。クレカ・コンビニ・後払いといった決済手段別の自動仕訳設定により、月次決算作業が3日から1日に短縮されました。経理担当者の残業時間が月平均30時間削減され、締め日のストレスが大幅に軽減されたという副次効果も報告されています。

ERP導入・EC連携を成功させるポイント

① 要件整理を事前に行う

「何のためにERPを導入するのか」という目的を明確にした上で、解決したい課題・改善したい業務フロー・達成したい数値目標(例:受注処理時間を1日4時間から1時間に削減)を整理してから、システム選定・ベンダー選定に臨みましょう。目標が曖昧なまま進めると、完成後に「思っていたものと違う」が起きやすくなります。

② 段階的に導入する

一括で全機能を稼働させようとすると、リスクと混乱が増大します。「まず受注連携と在庫連携を自動化し、会計連携は第2フェーズで対応する」という段階導入アプローチが、プロジェクトの成功率を高めます。最初のフェーズで効果を実感することで、現場の協力も得やすくなります。

③ 現場部門を巻き込む

ERPの恩恵を直接受けるのは現場スタッフです。導入プロジェクトに現場担当者を参加させ、「自分たちが使うシステムを一緒に作っている」という当事者意識を持ってもらうことが、導入後の運用定着に大きく影響します。逆に「IT部門だけで決めたシステム」は現場に受け入れられないことが多いです。

④ 将来の拡張性を考慮する

現在の課題解決だけを最適化したシステムを選ぶと、事業規模が拡大した際に再度のシステム移行が必要になります。3〜5年後の事業規模・販路・組織体制を想定して、システムの拡張性を評価しましょう。システム移行には費用だけでなく、業務停止リスクと担当者の多大な工数が伴います。

⑤ ベンダーの支援体制を確認する

技術的な品質だけでなく、「このベンダーは自社の事業を理解しようとしているか」「長期的なパートナーとして信頼できるか」という視点も重要です。導入前に複数のベンダーと要件を共有し、提案内容・対応スピード・コミュニケーション品質を比較することをおすすめします。提案の早さと中身の深さで、そのベンダーへの優先度は概ね見えてきます。

まとめ

EC事業の成長フェーズに入ると、バックオフィス業務の非効率化が成長の「足かせ」になります。受注件数が増えるほど手作業の限界は早く来る。ERP連携はこの問題を根本から解決するための、現実的で費用対効果の高いアプローチです。

この記事のポイントをまとめると:

  •   ERPは複数の基幹システムを統合管理するシステム。ECシステムはフロント(販売)、ERPはバックオフィス(業務管理)を担う
  •   EC事業では在庫・受注・販売管理の複雑化が進みやすく、ERP連携によってリアルタイム一元管理が実現できる
  •   在庫の自動連携・二重入力削減・ヒューマンエラー防止・経営判断の迅速化が主なメリット
  •   導入コスト・要件定義の難しさ・現場変更への対応など、注意点も事前に把握しておく必要がある
  •   ERP連携対応のECシステムは規模・用途・コストで使い分けが重要。API連携実績・拡張性・サポート体制で比較する
  •   要件整理→段階導入→現場巻き込みの順で進めることが成功の鍵

自社の業務課題と将来的な事業拡大を見据えながら、最適なECシステム・ERPの組み合わせを選定してください。導入に迷った場合は、まず現状の「つなぎ業務」にかかっている時間とコストを可視化するところから始めると、判断基準が明確になります。

ERPに関するよくある質問と回答

Q. ERPと基幹システムの違いは何ですか?

基幹システムは企業運営に必要な業務システムの総称で、ERPはそれらを統合管理するシステムです。ERPの最大の特徴は、部門をまたいだデータをひとつのデータベースでリアルタイム共有できる点にあります。個別システムを使い続けている場合、担当者が毎日「つなぎ作業」を行うことになります。

Q. ERP連携とは具体的に何を指しますか?

ECシステム・会計ソフト・倉庫管理システムなど、複数のシステム間でデータを自動的に連携・同期する仕組みです。受注データが自動で在庫引当→出荷指示→売上仕訳へと流れる、といった形が典型的な活用例です。手動のCSV転記作業を完全になくすことが目標です。

Q. 中小企業でもERPは必要ですか?

年商が数億円以下・受注件数が月数百件程度の規模ではERP不要なケースも多いですが、年商数億円以上・受注件数月1,000件以上・複数チャネル展開のフェーズに入ると、ERP連携の費用対効果が高まります。クラウド型ERPの普及で導入コストが下がっているため、「将来の導入コストを後払いにしている」という意識で、早めに検討を始めることをおすすめします。

Q. ERP導入費用の相場はどのくらいですか?

規模・機能・連携範囲によって大きく異なります。中小企業向けクラウド型ERPであれば数百万円から始められますが、大規模なカスタマイズ開発や多システム連携が必要な場合は数千万円規模になることもあります。初期費用だけでなく、3〜5年間の月次保守費・追加開発費を含めたTCO(総所有コスト)で比較することをおすすめします。

Q. ERPとCRMはどう使い分ければよいですか?

ERPは受注・在庫・会計など「業務全体の自動化・効率化」を目的に使い、CRMは顧客データを活用した「マーケティング・LTV向上」を目的に使うという使い分けが一般的です。両者を連携させることで、「先月2回以上購入した顧客に、購買パターンに合わせたオファーを送る」といった施策を、人手をかけずに自動実行できます。

A: 主な注意点は、導入コストがかかること、社内教育が必要になること、データ整理が必要になることです。
自社の業界や規模に合ったシステムを選び、導入目的を明確にすることが重要です。

この記事の監修者

この記事の監修者
樽澤寛人 マーケティング部 部長

神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。

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