ECマーケティングとは?担当者が行うべき施策11選や最新トレンドを解説


ECマーケティングとは?担当者が行うべき施策11選や最新トレンドを解説
マーケティングは、商品やサービスを販売するために必要となる仕組みを作る上で、非常に重要です。
中でも、ECマーケティングは急速に進化するオンライン市場において欠かせない要素となっています。
ユーザー体験を最適化するためのサイトデザインやナビゲーション、購入プロセスの簡易化、そしてデータ分析を活用したパーソナライズされた広告やリコメンデーションなどが、ECマーケティングとして挙げられています。
しかし、多種多様なECマーケティングにおいて、何をどのように行えば良いのか、またその手法が自社のビジネスに合致しているかを判断するのは容易ではありません。
その上、最新トレンドや技術の進化について学び続けることも必要になってきます。
そこで本記事では、ECマーケティングに関する基本的な知識やおすすめ施策11選、ECマーケティングにおける課題、成功事例、最新トレンド4選を詳しくご紹介します。
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この記事の監修者

神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。 大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。
ECマーケティングとは?

ECマーケティングとは、インターネットを通じて商品やサービスを販売するECサイトに特化したマーケティング戦略の立案や実施を指します。
ここからはより具体的に、以下の2つにわけて詳しく解説します。
- ECマーケティングとマーケティングの違い
- ECマーケティングの特長
ECマーケティングとマーケティングの違い
マーケティングとは、商品やサービスの企画・開発から販売促進、顧客サポートまで幅広く行われるプロセス全体を指します。その範囲は非常に広く、顧客との接点の作り方やブランド価値の向上、競合との差別化など多岐にわたっています。
マーケティング活動においては、商品やサービスの特長や顧客のニーズを正確に把握することが重要であり、それに基づいたターゲットに合わせたマーケティング施策の展開が求められます。
一方で、ECマーケティングとは、インターネット上で商品やサービスを販売するためのマーケティング手法です。
従来の店舗型ビジネスとは異なり、物理的な制約がなく、24時間いつでも顧客と接点を持つことが可能です。また、ECサイトの売上は、アクセス数×購入率×客単価という方程式で計算でき、この売上を伸ばすためにはECマーケティングの手法を深く理解することが不可欠です。
どのようにアクセス数を増やし、購入率を向上させ、客単価を高めるか、これらの要素を戦略的に改善していくことが、売上アップに直結します。
さらに、データの活用を前提としたマーケティング手法であるため、アクセスログや購買データなどの情報を分析し、顧客一人ひとりに合わせた提案を行うことが求められます。
ECマーケティングの特長
ECマーケティングの特長を3つ詳しく説明していきます。
- オンライン上で集客ができる
- 展開できる地域に制限がない
- 膨大なデータを活用して戦略立案できる
これらの特長を活かし、ビジネスの拡大や効果的なマーケティング戦略の立案に役立てられます。
1.オンライン上で集客ができる
ECマーケティングの特長として、まず挙げられるのはオンライン上での集客が可能であることです。
検索エンジン最適化(SEO)やリスティング広告、SNS広告など、多種多様なオンラインサービスを活用して商品やサービスを広く発信できます。
さらに、SNSプラットフォームではターゲットの属性に基づいた広告配信が可能なため、顧客層に合わせた効率的な集客を実現します。
また、コンテンツマーケティングを通じて顧客に価値のある情報を提供することで、長期的なファンの獲得やブランド認知度の向上も期待できます。
2.展開できる地域に制限がない
ECマーケティングでは、展開できる地域に制限がないため、国内だけでなく海外市場にも参入できます。よって、グローバルな市場で新たな顧客層を獲得するチャンスが広がります。
例えば、日本の伝統工芸品や食品を海外に販売することで、日本国内ではアクセスできない顧客層にリーチできる可能性があります。
一方で、逆に海外のユニークな商品を輸入し、国内市場に提供することも可能です。
地域的な制約がないことで、ビジネスモデルの柔軟性が大幅に向上します。
3.膨大なデータを活用して戦略立案できる
ECマーケティングでは、アクセスログや購買履歴、閲覧履歴など、顧客に関する膨大なデータを収集できます。このデータを活用することで、顧客の行動パターンや購買傾向、さらには潜在的なニーズを把握することが可能です。
例えば、データ分析に基づきパーソナライズされたおすすめ商品を提示することで、顧客満足度を向上させるだけでなく、購入率や客単価の向上にも寄与します。
また、季節やトレンドに応じたマーケティング施策を展開する際にも、過去のデータを参考にすることで、より精度の高い予測と施策が実現します。
EC担当者におすすめするECマーケティング11選

主要なECマーケティングは以下の3つです。
- 集客施策
- CVR改善施策
- リピーター獲得施策
各項目ごとに具体的なECマーケティング施策11選をそれぞれ詳しくご紹介していきます。
集客施策3選
集客施策は、ターゲット層にリーチし、サイトへの訪問者数を増加させるための戦略です。以下の方法を活用して、効果的に集客を実現します。
ここでは、
①SEO・コンテンツマーケティング施策
②広告施策「リスティング・ショッピング広告」
③インフルエンサーマーケティング
について詳しく解説しています。
①SEO・コンテンツマーケティング施策
SEO・コンテンツマーケティングとは、検索エンジンの自然検索結果からの流入を獲得し、長期的に集客効果を維持するための重要な施策です。
施策内容は、キーワードの最適化や内部リンクの整理、モバイルフレンドリーなデザイン設計、ブログや記事コンテンツの作成が主な内容となります。
これらを最適化することで、オーガニック順位が向上、ターゲット層にとって有益な情報を提供することが、集客に大いに貢献します。
この施策の鍵になるのは、商品ページの最適化です。
商品ページを最適化するためには、文章と画像を適切にする必要性があります。
文章では、商品タイトルには主要キーワードを自然に含め、32文字程度で簡潔に表現します。商品説明文は重要な情報を上部に配置し、購買判断に必要な特徴・利点・詳細情報の順で構成します。
画像の最適化では、ファイル名に商品特徴を反映させ(例:「blue-cotton-casual-shirt.jpg」)、alt属性で商品の視覚的特徴を適切に説明します。
余談ですが、エンパワーショップ株式会社が2024年に公表した「WEBサイト改善のトレンドに関する調査」において、コンテンツマーケティングを実施した企業の34.7%が「最も効果があった施策」として評価されており、SEO施策も33.9%と高い評価をされています。

画像引用元:エンパワーショップ株式会社「WEBサイト改善のトレンドに関する調査」
また、ECサイト運営において、コンテンツマーケティング実施により、集客数増加だけでなく、質の高いユーザーの獲得により平均CVR(コンバージョン率)が1.8倍向上した事例も確認されています。
情報参考URL:GXO株式会社「2024年最新版【コンテンツSEO完全ガイド】ECサイトの売上を150%増加させる」
下記の記事ではECサイト×SEOについて詳しく解説しています。是非合わせてご覧ください。
記事:【初心者向け】SEOに強いECサイトにする方法を徹底解説!集客強化のためにやるべき対策とは?
②広告施策「リスティング・ショッピング広告」
リスティング・ショッピング広告は、広告の集客施策における代表的な手法で、ユーザーの検索意図に直接アプローチできる即効性の高い集客施策です。
ECサイトでは、商品名や関連キーワードで検索するユーザーに対して、視覚的な商品情報とともに広告を表示できるショッピング広告の活用が効果的です。適切な運用により、高いROI(投資対効果)を実現できます。
リスティング・ショッピング広告を実施しない場合、SEOの効果が現れるまでの期間中、新規顧客獲得の機会を失い、事業成長の遅れにつながる可能性があるため非常に重要な施策です。
リスティング広告の運用ポイントは、キャンペーン構成の最適化が重要です。
具体的には、指名キーワードと一般キーワードでキャンペーンを分離し、商品ジャンル別に広告グループを細分化しましょう。
ショッピング広告では、商品データフィードの品質が成果を左右します。商品タイトル、説明文、価格、在庫状況を正確かつ魅力的に設定し、高品質な商品画像を使用します。
また、季節性や需要変動に応じた入札調整により、最適なタイミングでの露出を確保することが重要です。
注意点としては、広告費用対効果「ROAS」を正しく見極める事です。
WordStreamが発表した「Google Ads Benchmarks for YOUR Industry」によると、消費者向けサービスの業界平均CPCは6.40ドル「約950円」になっています。
ここからCVRなどを考慮した上で、自社サービスを広告出稿した場合のROAS目標を計画した上で、広告運用してPDCAを回すことが重要です。
次の記事では広告について詳しく解説しています。
是非合わせてご覧ください。
記事:ECサイトのWeb広告9種類とEC業界の広告費用相場や運用ポイント5選を解説
③インフルエンサーマーケティング施策
インフルエンサーとのコラボレーションは、ブランドの信頼性や認知度を短期間で向上させることができます。
ターゲット層との親和性が高いインフルエンサーを通じて、商品の魅力を自然な形で伝えることができる効果的な集客施策です。
特に若年層をターゲットとするECサイトでは、高いエンゲージメント率と購買転換率を期待できます。
インフルエンサーマーケティングを実施しない場合、ターゲット層へのリーチ機会を失う可能性があります。特にZ世代(15-27歳)がインフルエンサーの投稿に影響を受けるというデータがあり、この層へのアプローチを怠ると、将来の主要顧客層を競合に奪われるリスクがあります。
効果的なインフルエンサーマーケティングには、適切なインフルエンサー選定が重要です。フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率とターゲット層との親和性を重視します。
プラットフォーム選択では、ターゲット層に応じた戦略が必要です。Instagram は視覚的アピールに優れ、10-20代への訴求に効果的です。TikTokはナノインフルエンサーの平均エンゲージ率が18%と非常に高いため、若年層中心のブランドに適しています。
余談ですが、株式会社デジタルインファクトと株式会社サイバー・バズが共同で発表した調査によると、日本のインフルエンサーマーケティング市場規模は2024年に860億円(前年比116%)に達し、2029年には1,645億円まで成長すると予測されています。この急成長は、施策の効果の高さを示しています。

また、企業の実施効果調査では、51%が「ある程度効果を感じた」、28.4%が「大いに効果を感じた」と回答し、約8割の企業が成果を実感しています。ROI面では、適切なインフルエンサー選定により、従来の広告手法と比較して1.5-2倍の費用対効果を実現した事例も報告されています。
CVR改善施策4選
ECサイトにおけるCVR(コンバージョン率)向上は、既存の流入を最大限に活用し、売上拡大を実現する重要な施策です。
ここでは、
④クーポン施策
⑤カゴ落ち率改善施策
⑥レビュー・口コミ機能施策
⑦商品ページ最適化施策
について詳しく解説しています。
次の記事ではCVR向上について詳しく解説しています。是非合わせてご覧ください。
記事:ECサイトのコンバージョン率(CVR)を向上させる8つの施策を徹底解説
④クーポン施策
クーポン施策は、価格的なメリットやお得なキャンペーン情報を提供することで購買意欲を刺激し、CVR向上を図る即効性の高い施策です。初回購入割引、リピーター向け特典、期間限定セール、カート放棄者向けリターゲティングクーポンなど、顧客の購買ステージに応じた多様な展開が可能です。
ECサイトでは価格比較が容易なため、同等商品で価格優位性がない場合、購買決定の最終段階で離脱される可能性があるため、クーポン施策は是が非でも実施した方が良い施策になります。
余談ですが、株式会社アスマークが2025年に発表した「総合ECサイトの衝動買いに関するアンケート調査」によると、ECサイトでの衝動買いに最も影響を与える要因は「セールやクーポン」であることが明らかになりました。
全体の6割以上の消費者がクーポン施策に反応して衝動買いをしており、特に女性の40〜50代では非常に高い反応が見られます。購入の後押し要因としても、「セールやクーポン」(36.6%)が最も高く、次いで「送料無料のための追加購入」(14.4%)となっています。

画像引用元:株式会社アスマーク「総合ECサイトの衝動買いに関するアンケート調査」
商品カテゴリ別では、男性は「食品・飲料」、女性は「ファッション」が衝動買いの対象として人気で、「美容・コスメ」も女性の半数以上が衝動買いしています。また、購入前には約4割が「商品レビュー」を確認する傾向があります。
これらの結果から、適切なタイミングでのクーポン施策は顧客の衝動買いを強く促進し、売上向上に直結することが示唆されています。費用面でのアプローチが最も効果的な購買促進策と言えるでしょう。
⑤カゴ落ち率の改善方法
カゴ落ち率改善施策は、商品をカートに入れたユーザーが購入完了せずに離脱する問題を解決し、既存の見込み客をCVさせるための重要な施策です。
そもそもカゴ落ちする理由として、Baymard institute社が発表した「Reasons for Abandonments During Cart & Checkout」によると、「送料・税金・手数料などの追加コストが高すぎる」というのが全体の39%、「配送スピードがが遅い」というのが全体の21%を占めていることがわかっています。

画像引用元:Baymard institute社「Reasons for Abandonments During Cart & Checkout」
また、理想的なフォーム記入項目数が12-14個に対し、平均的なECサイトは約23個の入力項目を要求しています。そのため入力項目を削減するだけでも、カゴ落ちを防止できる可能性があります。
また、割引クーポンや送料無料オファーのリマーケティング施策、支払い方法の多様化、セキュリティ証明の明示なども効果的な対策です。これらを総合的に実施することで、機会損失の大幅な改善が期待できます。
次の記事ではかご落ちの原因と対策について詳しく解説しています。
是非合わせてご覧ください。
記事:【簡単】カゴ落ち率は70%も!各原因・理由と対策ですぐに改善
⑥レビュー・口コミ施策
レビュー・口コミ施策は、実際の購入者による商品評価を通じて、新規顧客の購買不安を解消し、信頼性を向上させるCVR改善施策です。ユーザー生成コンテンツ(UGC)として、商品の実際の使用感や満足度をリアルに伝えることで、購買決定を後押しすることが実現できます。
レビュー・口コミ機能を設置しない場合、購買前の不安や疑問を解消する手段がなく、カゴ落ち率が増加する可能性があります。また、競合サイトにレビュー機能がある場合、比較検討時に信頼性の面で劣位に立たされるリスクがあります。
株式会社TOKYO GATEが2024年に公表した「2024年版オンラインショッピングにおけるレビューに関する調査結果レポート」において、調査によると、ECサイト利用者の約97%がレビューを確認して購入を決定した経験があり、約半数のユーザーが購入検討時に必ずレビューを確認しています。
これは、レビューがECサイトの購買意思決定において極めて重要な役割を果たしていることを示しています。

画像引用元:株式会社TOKYO GATE「2024年版オンラインショッピングにおけるレビューに関する調査結果レポート」
記事内では約90%のユーザーはレビューを完全には信用していないものの、判断材料として有用と評価されていて、レビューにおいて最も重視されているのは「レビュー数の多さ」で、次いで「星の数」が重要視されています。
また、約75%のユーザーが商品のネガティブな情報や使用感を参考にしており、購入の失敗リスクを回避したいという心理が働いていることがわかります。
効果的なレビュー・口コミ機能の実装には、使いやすい投稿システムの構築が重要です。購入後のフォローアップメールに簡単にアクセスできるレビュー投稿リンクを含め、投稿ハードルを下げましょう。
投稿フォームは必要最小限の項目に絞り、星評価と自由記述を組み合わせた簡潔な構成にしましょう。
情報参照元:株式会社TOKYO GATE「2024年版オンラインショッピングにおけるレビューに関する調査結果レポート」
⑦商品ページ最適化施策「LPO/EFO」
商品ページ最適化施策は、LPOやEFOと呼ばれ、ユーザーが購買決定に必要な情報を効率的に取得し、スムーズに購入手続きに進めるよう、ページ構成を改善する施策です。
具体的には商品画像の充実や説明文の最適化、仕様情報の整理、購入ボタンの配置改善、関連商品の提案など、総合的なユーザー体験向上によりCVR改善を実現します。
LPO/EFOを怠ると、ユーザーが購買判断に必要な情報を十分に得られず、購買意欲があっても離脱してしまう機会損失が発生します。特に、商品画像が不十分な場合、実際の商品イメージがつかめず、購買不安から離脱率が高まります。
効果的なLPOをするためには、ファーストビューの改善が最重要です。商品の魅力を伝える高品質なメイン画像を配置し、価格・在庫状況・購入ボタンを見やすい位置に設置することが重要です。
EFOでは、「カートに入れる」ボタンを目立つ色彩で配置し、在庫状況や配送情報を近接させます。また、「お気に入り」「後で見る」機能により、即座に購入しないユーザーに対していつでも購入できる環境を整えてあげる事も重要です。
また、ユーザーがフォーム入力を開始しても、約70%ものユーザーが途中でフォーム入力を離脱してしまうと言われているため、特にEFOに力を入れて改善しましょう。
リピーター獲得施策4選
リピーター獲得と再訪促進は、ECビジネスの収益性を高めるために重要です。獲得した顧客に再度訪問してもらい、購入を促す施策を行います。
ここでは、
⑧会員ランク・ポイント活用施策
⑨メルマガ配信施策
⑩外部ツールの導入「PHSH通知・チャットボット」
⑪SNS活用施策
について詳しく解説しています。
⑧会員ランク・ポイント活用施策
会員ランク・ポイント活用施策は、購入頻度や金額に応じて顧客を階層化し、段階的な特典を提供することでリピート購入を促進する施策です。
会員ランク・ポイント制度を導入しない場合、リピート購入に対するインセンティブが不足し、顧客の他社流出リスクが高まる可能性があるため、ECサイト運営を設計する段階で必ず計画しましょう。
効果的な会員ランク制度を実施するためには明確な階層設計が重要です。
具体的には「ブロンズ→シルバー→ゴールド→プラチナ」といった分かりやすいランク構造を設定し、各階層で獲得できる特典を差別化しましょう。昇格条件は購入金額、購入回数、レビュー投稿などの複合指標で設定することで様々な顧客を取り込むことが重要です。
ポイント制度では、基本還元率を1-2%に設定し、ランクアップに応じて還元率を向上させましょう。また、商品カテゴリー別にポイント倍率を設定することで、特定商品の購買促進を可能にすることができます。
成功事例としては、ファンケルのオムニチャネル対応ポイント制度があります。
具体的には、店舗とECサイトの商品を購入すると溜まるポイントプログラムを実施した結果、顧客満足度が向上し、会員の年間購入額が非会員の3.2倍に達した実績が報告されています。
情報参照元:オムニチャネル事例16選 | 事例から学ぶ成功ポイント4選を解説
⑨メルマガ配信施策
メルマガ配信施策は、既存顧客との定期的なコミュニケーションを通じてブランドの存在感を維持し、リピート購入を促進する重要な施策です。商品情報、セール案内、お役立ちコンテンツの配信により、顧客との継続的な関係構築を実現します。
FORCE-R株式会社が発表した「「メルマガ」に関するアンケート調査」によると、83%の消費者が「メールが長いため読まなかった経験がある」と回答しており、長文メールに対する顕著な抵抗感が明らかになりました。読者は時間をかけたくないという心理から、重要情報がすぐに得られないメルマガには関心を失う傾向にあります。

画像参照元:FORCE-R株式会社「「メルマガ」に関するアンケート調査」
最適なメルマガの長さについては、「2スクロール分」が最も支持されました。この長さは読者がストレスなく読み進められる量として認識されています。
また、メルマガの内容を確認する方法については、半数以上の消費者が「文章も画像も部分的に読む」と回答しており、多くの読者がメルマガ全体を精読するのではなく、必要な部分だけをピックアップしていることがわかっています。

画像参照元:FORCE-R株式会社「「メルマガ」に関するアンケート調査」
これらの調査結果から導き出される効果的なメルマガ施策としては、まず「伝えたいことは一番上に書く」という基本原則が重要です。
読者の視点に立ち、簡潔で視覚的に把握しやすい形式を採用することで開封率や読了率の向上が期待できます。
⑩外部ツールの導入「PHSH通知・チャットボット」
PUSH通知・チャットボットなどの外部ツール導入施策は、リアルタイムでの顧客コミュニケーションを実現し、タイムリーな情報提供と即座の問題解決によりリピーター獲得を促進する施策です。
PUSH通知の効果的な運用には、配信タイミングと内容の最適化が重要です。在庫復活通知、セール開始案内、カート商品の値下げ情報など、顧客にとって価値の高い情報をリアルタイムで配信しましょう。
注意点としては、配信しすぎると顧客満足度は下がる傾向にあるため、配信頻度は週2-3回程度に抑え、過度な通知による配信停止を防止することが重要です。
チャットボットの導入では、FAQ対応、商品検索、注文状況確認など、基本的な問い合わせへの自動対応を設定し、営業時間外でも即座に回答できる体制を構築し、顧客の問題解決を迅速化しましょう。
また、近年ではAI機能を活用したチャットボットの登場によって、顧客のリピート促進はもちろん、業務工数の削減も期待されています。
株式会社PRIZMAが発表した「AIチャットボットの導入実態調査」によると、AI機能が搭載されたチャットボットを利用した結果、約7割の企業が30%以上の業務工数削減を実現されています。

画像引用元:株式会社PRIZMA「AIチャットボットの導入実態調査」
また、AIチャットボットを導入したことで顧客満足度が向上したと回答した方も全体の5割を超えていることも、上記の記事から判明しています。ユーザーと企業双方にメリットのあることがわかるため、チャットボットを導入していない企業はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
⑪SNS活用施策
SNS活用施策は、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)、TikTokなどのソーシャルメディアプラットフォームを通じて顧客との日常的なコミュニケーションを図り、ブランドとの親近感と信頼関係を構築してリピーター獲得を促進する施策になります。
効果的なSNS活用には、プラットフォーム別の特性を理解した戦略展開が重要です。
Instagramでは高品質な商品画像や使用シーンの投稿により視覚的訴求力を高め、ストーリーズ機能で限定情報や舞台裏コンテンツを配信します。
ちなみに、Instagramのハッシュタグは「つけてもつけなくても効果は変わらない」と公式から発表されたため、特につける必要はないでしょう。
X(旧Twitter)では、リアルタイム性を活かした迅速な情報発信と顧客との双方向コミュニケーションを重視します。顧客からの質問や意見に対する迅速な返信により、親近感と信頼感を構築しましょう。
また、トレンドを活用した話題性のあるコンテンツにより、拡散力を高めることが可能です。
TikTokでは、商品の使用方法やアレンジ方法を紹介する短い動画コンテンツを制作し、エンターテイメント性を重視したアプローチで若年層にアピールします。ユーザー参加型のハッシュタグチャレンジにより、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出を促進します。
補足ですが、株式会社TOKYO GATEが2024年に公表した「オンラインショッピングにおけるSNSと購買行動に関する調査結果レポート」によると、SNSの投稿によって商品を購入したことがあるユーザーは回答者全体の約7割に及ぶことがわかっています。

画像引用元:株式会社TOKYO GATE「オンラインショッピングにおけるSNSと購買行動に関する調査結果レポート」
上記の結果からSNS投稿はユーザーの購買意欲を高める効果があるため、SNS上で効果的なコンテンツ配信を実施して新規顧客やリピーターを獲得していきましょう。
また、次の記事ではSNS戦略について詳しく解説しています。
是非合わせてご覧ください。
記事:ECサイトのSNS集客術!効果的なSNSマーケティング戦略について紹介!
ECマーケティングにおける課題と対策

ECマーケティングには多くの課題が伴い、それらに対応するための適切な戦略と対策が必要です。
この章ではよくある課題3つについて詳しく解説しています。
- 顧客特定の難しさ
- 短期的な成果と中長期戦略のバランス
- セキュリティ強化と不正アクセスへの対応
顧客特定の難しさ
ECマーケティングにおいて最も重要な要素の一つは、ターゲットとなる顧客の特定です。
しかし、オンラインでの購買者は非常に多様であり、個々のニーズや行動を把握するのは容易ではありません。そのため、適切な顧客データの収集と分析が必要になってきます。
【対策】
顧客特定には、顧客データの詳細な分析を行うことが重要です。
購買履歴やブラウジングデータ、ユーザーの行動パターンを分析することで、ターゲットとなる顧客層を特定し、パーソナライズされた広告やプロモーションを展開することができます。
さらに、AIや機械学習を活用した顧客予測モデルを導入することで、より精度高く顧客をターゲティングすることが可能になります。
短期的な成果と中長期戦略のバランス
ECマーケティングでは、短期的な成果と中長期的な戦略をどうバランスを取るかが課題となります。
短期的には即効性のある施策(広告やキャンペーン)を行い、売上を増加させることが求められますが、長期的な成功を見据えたブランドの確立や顧客維持施策も同時に進めていく必要があります。
【対策】
短期的な成果と中長期戦略を適切に分けて施策を実行することが重要になってきます。
短期的な成果を上げるためには、ターゲットを絞った広告キャンペーンやプロモーションを実施し、即効的な売上を確保します。
一方、中長期戦略としては、ブランド価値の向上や顧客ロイヤルティを高める施策を実行し、持続的な成長を目指します。これにより、短期的な収益と長期的な競争力を両立させることができます。
セキュリティ強化と不正アクセスへの対応
ECサイトでは、顧客の個人情報や決済情報を取り扱うため、セキュリティ対策は非常に重要です。
不正アクセスやサイバー攻撃が増加している現状において、セキュリティ対策を怠ると、顧客の信頼を失い、大きな損失を招く可能性があります。
【対策】
- SSL/TLS暗号化通信を導入し、サイト上でのデータ送信を安全に保護
- 二段階認証やCAPTCHA(文字認証)などの追加的なセキュリティ機能を実装して不正アクセスを防ぐ
- 定期的なセキュリティ監査や脆弱性テストを実施して、常に最新のセキュリティ対策を講じる
- 顧客への安全性の保証を行い、透明性の高いセキュリティポリシーを掲示することで、顧客の信頼を確保する
これらの課題に適切に対応することで、ECビジネスの健全な成長を支えることができます。
ECマーケティング成功事例2選

下記からはECマーケティングを巧みに実施して成功した事例を2選紹介いたします。
梅乃宿酒造株式会社

画像参照元:梅乃宿酒造公式オンラインショップ
梅乃宿酒造株式会社は奈良県に拠点を置く創業130年の老舗酒造メーカーです。もともとはBtoB中心のビジネスモデルでしたが、会社の成長戦略としてBtoC事業に注力するためECサイトを刷新しました。「#ワクワクの蔵」をコンセプトに掲げ、従来の日本酒蔵の常識にとらわれない斬新な商品開発とマーケティングに取り組んでいます。
具体的に実施した施策としては、CRM機能が充実したW2のECプラットフォームを導入し、顧客情報を活用した精緻なセグメント施策を実施しました。購買履歴や行動データに基づく高精度なターゲティングで、顧客をそれぞれの属性ごとに分類し、適切なアプローチを行いました。
また、購入後のフォローメールを数回に分けて配信することでリピート購入を促進し、クーポン配布によるレビュー獲得キャンペーンを実施して短期間で200件以上の商品レビューを集めることに成功しました。
これらの施策の効果は顕著で、ECサイトのリニューアルから半年で売上が10倍に増加し、人気商品は発売後1時間以内に完売することもあるほどの人気を博しています。生産量も当初の10倍に拡大したものの、需要に追いつかない状況が続いており、EC事業の急成長を実現しています。
情報参照元:【売上10倍】日本酒やリキュールなど各種酒類を提供する梅乃宿がECプラットフォーム「W2 Repeat Food」で売上を伸ばした理由とは
MORIYA

画像参照元:花ギフト専門「MORIYA」
MORIYAフラワーショップはフラワーブーケをオンラインで販売するEC事業者で、SNSマーケティングの効果的な活用により2024年9月期の売上を前年比2倍に伸ばしています。
実施した具体的な施策として、2020年からSNSマーケティングを強化し、インスタグラムやTikTokで週5回のライブ配信と年2〜3回のオフラインイベントを実施しています。特徴的なのは、単なる商品紹介ではなく、花束に込める思いや考え、花職人としての所作などを丁寧に発信し、「誰から買うか」という価値を創出している点です。
これらの施策により、「MORIYAの花束をもらうと幸せになれる」というジンクスが広まるほどブランド認知が拡大し、SNSでの共感と憧れを購買につなげる流れを確立しました。
興味深いのは、購入者のほとんどが男性であるのに対し、SNSフォロワーの9割が女性という点です。女性からの指定や、SNSで「いいね」をつけていた花束を選ぶ男性客が多く、インフルエンサーマーケティングとしても機能しています。
このようにSNSを活用した共感マーケティングと、ターゲットを絞った商品戦略により、競争の激しいフラワーギフト市場で独自のポジションを確立し、売上を大きく伸ばしています。
ECマーケティングの最新トレンド

ECマーケティングは日々進化しており、最新のトレンドに合わせた施策を取り入れることで、競争力を維持し、さらなる成長を実現することができます。
この章では、現在注目すべき最新トレンドを4つ紹介します。
- 顧客データと購買履歴の活用法
- AIの活用と新技術による効率化
- 越境ECの発展
- ライブコマースの急成長
顧客データと購買履歴の活用法
顧客データと購買履歴の活用は、ECマーケティングを成功させるための鍵になります。過去の購入履歴や閲覧履歴を分析することで、個々の顧客に最適な商品を提案したり、リピート購入を促進することが可能です。
最近では、顧客の行動データをリアルタイムで取得し、そのデータを基に迅速に対応する「リアルタイムマーケティング」が注目されています。
AIや機械学習を活用した予測分析を行い、顧客の購入傾向や嗜好を予測することで、より精度の高いターゲティングやキャンペーン展開が可能になります。
また、パーソナライズされたメールやオファーを送信することで、顧客とのエンゲージメントを深め、コンバージョン率を向上させることができます。
AIの活用と新技術による効率化
AI(人工知能)や新技術は、ECマーケティングの効率化に大きな役割を果たしています。
特に、AIを活用したパーソナライズド広告や顧客行動の予測分析は、マーケティング活動を大幅に効率化する手段として注目されています。
例えば、チャットボットを使って顧客対応を自動化することにより、24時間体制で顧客とコミュニケーションを取ることができます。
さらに、AIを活用した商品推薦システムやカスタマイズされたプロモーションは、顧客一人ひとりに最適な情報を提供し、コンバージョン率の向上に貢献します。
新技術を積極的に取り入れることで、業務の効率化やROI(投資収益率)の最大化が期待できます。
越境ECの発展
越境EC(国際的なEC取引)は、グローバル市場への拡大を目指す企業にとって、ますます重要な戦略となっています。海外の顧客に自社商品を販売することにより、新たな市場を開拓し、売上の拡大を図ることができます。
越境ECの発展には、商品のローカライズや支払い方法の多様化、物流の効率化が重要です。
最近では、越境ECを支援するプラットフォームや、国際配送を簡素化するサービスが増えており、企業はこれらのツールを活用することで、より簡単に海外市場にアクセスできるようになっています。
また、SNSやインフルエンサーを活用したプロモーション活動も、越境ECを促進するための強力な手段として注目されています。
次の記事では越境ECについて詳しく解説しています。
是非合わせてご覧ください。
記事:越境ECとは?市場規模やメリット、始め方3選について解説
ライブコマースの急成長
ライブコマースとは、ライブ配信と電子商取引を融合させた新しい販売形態です。販売者やインフルエンサーがリアルタイム動画配信を通じて商品を紹介・実演し、視聴者はその場で質問や購入ができるという特徴があります。
近年、ライブコマース市場規模は急速に拡大しており、2024年の日本国内市場は約4,000億円、2026年には1兆円を超える見込みです。中国では既に40兆円規模の市場に成長しており、グローバルでも年間約30%の成長率を記録しています。
このトレンドが加速した背景には、コロナ禍でのEC利用増加と対面販売の制限、スマートフォンの高性能化とライブ配信技術の発展、そしてTikTok Shopの開設があります。
EC事業者はこのトレンドへの対応として、まず自社に適したプラットフォーム(Instagram Live Shopping、TikTok Shop、Amazon Live等)を選定し、商品特性に合わせた魅力的なコンテンツ設計が必要になります。
次の記事ではライブコマースについてより詳しく解説しています。
是非合わせてご覧ください。
記事:【2025年最新版】ライブコマースとは?メリット・デメリットや相性がいい商材、成功事例などを徹底解説
ECマーケティングの勉強方法

ECマーケティングの勉強方法の代表例は、以下の4つがあります。
- 本
- オンライン講座
- 実践的な勉強
- セミナーへの参加
本
ECマーケティングに興味がある場合、書籍を使って手軽に勉強することができます。書籍は多種多様に出版されており、初心者向けの基礎から、実践的な応用まで、幅広い内容が網羅されています。
また、成功事例や失敗事例が紹介されているものも多く、具体的なノウハウを自分のペースで学ぶことが可能です。
書籍のメリットは、時間や場所に縛られず、自分の学習スタイルに合わせて進められる点です。特に、理論的な知識をしっかりと理解したい方にとって、体系的に学べる書籍は非常に役立ちます。
下記3つの本はEC事業者にとって特におすすめなので、この機会にぜひご試読されてみてはいかがでしょうか。
オンライン講座
オンライン講座は、専門家から直接学ぶことができるため、効率的に知識を習得できる方法です。特に、動画を使った学習や課題を通じて、実践的なスキルを身につけることができます。
オンライン講座の利点は、インタラクティブな要素を取り入れていることが多く、疑問点をその場で解決できる点です。
また、講義を繰り返し視聴できるため、理解度を深めやすいのが特徴です。
実践的な勉強
実際にECサイトを運営してみることも、最も効果的な学習方法の一つです。実践を通じて、集客や販売戦略、顧客対応のリアルな問題に直面し、それを解決していく過程でスキルが身につきます。
例えば、個人でオンラインショップを立ち上げ、マーケティング施策を実行して結果を分析することが、より深い理解を得る手段となります。
実践的な勉強のメリットは、理論だけでは得られない、現場での問題解決能力や柔軟性を養える点です。失敗を恐れず、改善を繰り返すことで、確実にスキルが向上します。
セミナーへの参加
ECマーケティングに関するセミナーに参加することも非常に有効です。セミナーでは、最新のマーケティング手法や業界の動向について、専門家から直接学ぶことができます。
さらに、他の業界の参加者とのネットワーキングもできるため、実際のビジネスに役立つ情報を得ることができます。
セミナーの魅力は、直接対話できる機会があり、実際の事例や成功法則を学べることです。
また、参加者同士で情報交換をすることで、新しいアイデアやインスピレーションを得ることができます。これらの方法を組み合わせて、ECマーケティングの知識を深めていくことが効果的です。
それぞれの方法に特徴があるため、自分に合った学習スタイルを選び、継続的にスキルアップを目指しましょう。
まとめ

以下がこの記事のまとめです。
- ECマーケティングの特徴は、オンラインで集客でき、地域に制限なく展開可能で、膨大なデータを活用して戦略を立案が可能なことが挙げられる
- ECマーケティングの戦略設定では、ターゲット顧客層の明確化、目標設定とKPI定義、競合分析と差別化戦略、データ活用による戦略立案が重要になってくる
- ECマーケティングは日々進化しており、最新のトレンドに合わせた施策を取り入れることで、競争力を維持し、さらなる成長を実現することが重要になる
W2のECプラットフォームは1,000以上の機能を搭載しながら、お客様の課題解決や事業成長を実現するためにデータ活用を容易にし、EC、店舗、スタッフをシームレスにつなぐことで顧客に新たな購買体験を届ける施策を打ち出せます。
ECマーケティングを学んで、ECサイトの強化を計りたい人はぜひお気軽にお問い合わせください。
また、実際にEC事業者から聞いたECサイト構築やEC運営における失敗事例を100個とECシステムの選定チェックポイントを解説/一覧化した資料が無料でダウンロードできるため、是非ご一読ください。