
【全8ステップ】ネットショップ開業方法とは?おすすめの開設手順と成功のコツを解説
※更新日:2023年8月28日
ネットショップを開業する人が年々増えている一方で、なかなか売上が伸びずに失敗してしまうケースも増えています。
とはいえ、重要なポイントさえ押さえていれば、避けられる失敗も多いです。
そこで本記事では、
・ネットショップ開業のおすすめの手順
・よくある失敗や注意点
・売れるネットショップの特徴と成功事例
などを紹介します。
なお、EC事業をスタートしたい方・検討している方に向けて、「EC立ち上げの費用感や選定ポイント」をまとめました。特に「初期費用をどう考えるか」という点は、ECの成功と失敗に大きく影響します。
資料を無料でダウンロードできるので、ぜひご一読ください。
ネットショップ(ECサイト)と実店舗の違い9つ

大前提として、そもそも「ネットショップと実店舗の違いはなにか」を改めて押さえておきましょう。
これからネットショップを開業するうえで、自身のビジネスの特性について理解を深めておくことはきわめて重要です。
そこで、最低限押さえておきたいネットショップと実店舗の違いを以下にまとめました。
ECサイト |
実店舗 | |
販売場所 | オンライン |
オフライン |
営業時間 | 24時間365日 |
営業時間内 |
商圏 | 全国(全世界) |
店舗の近隣 |
顧客対応 | メール・電話 |
店舗で接客 |
購入プロセス | 商品写真や説明文で決める |
商品を手に取って決める |
商品の届け方 | 配達 |
手渡し |
信用 | 少し不安がある |
安心感がある |
コスト | 低〜中 | 高 |
データ取得・分析 | 容易 | 限定的 |
実店舗の場合、どうしても販売できる場所や時間は限られてしまいます。
一方で、ネットショップならインターネットを利用するすべての人に対し、いつでも販売できるという大きな利点があります。
さらには、店舗そのものの賃料や設備費などがかからない分、初期費用やランニングコストも大幅に抑えることが可能です。
つまり、ネットショップは大きな利益を上げられる可能性があるうえに、コストパフォーマンスも優れているというわけです。
とはいえ、実店舗と違って一人ひとりにきめ細やかな対応をするのは得意ではありません。そのため画面越しでお互いに顔が見えない状況でも、商品の魅力を十分に伝えたり、相手に安心感を伝えたりする工夫が必要です。
また、全国(全世界)に商圏が広がるということは、それだけ競合が増えることを意味します。
このように、ネットショップには長所もあれば短所もあります。どちらの面も押さえたうえで、実際どのようにネットショップ開業を進めていけばいいかを考えることが大切です。
ネットショップ開業が進む理由と落とし穴

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月
経済産業省が発表したデータによると、ネットショップのなかでも規模が大きい「物販系分野(衣類・食品・家電など)」は年々右肩上がりで成長しています。2020年には市場規模が12兆2,333億円になりました。
このようにネットショップ市場は拡大とともに新規参入者も増えており、その理由としては以下のような要因が挙げられます。
- スマホやSNSの普及によるネットショップ利用者の増加
- ネットショップ事業者を支援するツールやシステムの進化
- 流行り病によるネットショップの需要増加
特にスマホやSNS普及によるインパクトは大きく、2020年には「ネットショップ利用者の半分以上(50.9%)」がついにスマホ経由になりました。

※引用:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」2021年7月
「気になった商品を手元のデバイスですぐに購入できる」という手軽さが、多くの人にどんどん広がったというわけです。
その一方で、「競合も増加している」ことを忘れてはいけません。たしかにネットショップ市場は成長を続けていますが、それにともない競争も激しくなっています。
特にAmazonや楽天市場のような「モール型のネットショップ」の場合、商品を上位表示できる枠には限りがあります。そのため、多くの事業者がしのぎを削って枠を奪い合っているのが現状です。
また、モール型のネットショップではなくとも、自社のサイトにユーザーを集める施策や、競合との差別化を図るブランディングは必須です。
これらを怠ってしまうと、いざネットショップを立ち上げても「集客できない」「なかなか商品が売れない」という事態に陥ってしまいます。事実、そのようなケースは少なくありません。
大切なのはネットショップを立ち上げることではなく、そのうえで「実際に成果を上げる」ことです。そのためにどうすればよいかを、立ち上げの段階からしっかり考えて準備を進めていきましょう。
それでは、ネットショップを開業する具体的なステップを次に紹介します。
ネットショップを開業する手順・方法8つ

ネットショップを開業するにあたって、おすすめの手順は以下のとおりです。
・STEP.1 コンセプト設計
・STEP.2 要件定義
・STEP.3 ECプラットフォーム選定
・STEP.4 決済種別の選定
・STEP.5 サイト設計・デザイン制作
・STEP.6 商品登録・各種手続き
・STEP.7 テスト注文
・STEP.8 オープン・集客
一つひとつ見ていきましょう。
STEP.1 コンセプト設計
ネットショップの立ち上げに取りかかる前に、まずは「どのようなネットショップを作りたいか」という構想やコンセプトを固めていきます。
つまり、
- どんな目的でネットショップを作るのか
- どんな人向けのネットショップなのか
- どんな商品を取り扱うのか
など、事業の根幹となる部分を設計するということです。
ネットショップ開業の手順において、もっとも重要なポイントといっても過言ではありません。
コンセプトが明確に定まっていないと、その後の工程に大幅な遅れが生じたり、求めていたものと違うサイトができたりするおそれがあるからです。
また、ネットショップを立ち上げる競合は年々増えています。その中から自社を選んでもらうためには、競合分析をしっかり行い、自社ならではのセールスポイントやブランドイメージなどを固めることが重要です。
そのうえで中長期的な事業計画を立てて、どのように事業を成長させていくかも検討しましょう。
ちなみに、「自社の強みや価値を一言で表すなら?」という視点で考えてみると、サイトの方針がブレにくくなったり、ユーザーに訴求しやすくなったりするのでおすすめです。
STEP.2 要件定義
ネットショップのコンセプトを明確にしたら、それらを実現するために必要な機能やシステムなどの洗い出し・選定を行います。
実際の予算感やスケジュールなどの条件も踏まえつつ、ネットショップ構築に求める要件を固めていきましょう。
あとで「こんな機能が欲しかった……」といった事態を避けるために、
- 実際の業務フローを詳細にイメージしてみる
- 競合サイトを分析して参考にする
- 中長期的な目線で必要な要件を考える
などを実践するのがおすすめです。
ちなみに、すべての要件を叶えるのは難しいケースが多いため、「ないと困るもの」「あるとうれしいもの」のように優先順位をつけておくとよいです。
また、ネットショップを構築するベンダー(システム会社)に相談する場合でも、前段階として社内で要件をしっかり固めておきましょう。
作りたいものがある程度イメージできていないと、本来の目的からブレてしまうおそれがあるからです。
STEP.3 ECプラットフォーム選定
ネットショップのコンセプトが決まり、必要な機能など要件も固まったら、それらを実現するための「ECプラットフォーム」を選びます。
ECプラットフォームとは、ネットショップの構築・運営に必要な機能(買い物カゴや決済など)を搭載したベースとなるシステムのことです。
大まかな検討のステップとしては、
- 自社ECかモールECか選ぶ
- 自社ECの場合、どの主要プラットフォームにするか選ぶ
- 具体的にどのプラットフォームにするか選ぶ
といった具合に、自社にとって最適なものを絞り込んでいきます。
各ステップについて一つずつ見ていきましょう。
①自社ECかモールECか選ぶ
自社EC | モールEC | |
イメージ | 路面店 | ショッピングモール |
初期コスト | △ 安価〜高価 |
◯ 安価 |
運営コスト | ◯ 余計なコスト無し |
△ 販売手数料など発生 |
利益率 | ◯ 高い |
△ 低い |
導入ハードル | △ 低い〜高い |
◯ 低い |
カスタマイズ | ◯ 自由度が高い |
× 機能やデザインが大幅に制限 |
集客力 | △ 自力での集客が必要 |
◯ モール経由での集客が可能 |
ブランディング | ◯ 「この店で買った」という認識 |
△ 「モールで買った」という認識 |
リピート購入 | ◯ しやすい |
△ しにくい |
データ取得 | ◯ 全部 |
× 一部 |
ECプラットフォームは、大きくわけて「自社EC」と「モールEC」の2種類があります。
- 自社EC:独自ドメインを取得して、自社でサイトを構築・運営する形態
- モールEC:Amazonや楽天市場など、モール内に出店する形態
自社ECはいわば「路面店」であり、自分たちで独自のサイトを立ち上げて運営を行うものです。
コストは比較的かかりやすいですが、その分カスタマイズの自由度が高く、
・競合と差別化がしやすい
・やりたい施策を実行しやすい
などのメリットがあります。
また、モールECによる運営の制限がないため、顧客データを自由に取得・分析して戦略立案に役立てられるのも大きな利点です。
>【成功事例あり】自社ECとは?モールECとの違いやメリット・デメリットまとめ
一方、モールECは「大型ショッピングモール」のようなイメージです。
モール自体の集客力を活かせるのが強みですが、モール内の集客争いに巻き込まれやすいというデメリットもあります。
また、モールの規約に従って運営しなければならず、差別化や独自のブランディングを打ち出すのは難しいです。
>ECモールとは?自社ECとの比較やモールの売上ランキングまとめ
このように、自社ECとモールECはそれぞれ一長一短のため、「どちらが優れている」というのはありません。自社の目的や要件に応じて、最適なほうを選ぶことが大切です(もちろんどちらも併用する方法もあります)。
ただ、自社ECのほうが長期的にみると売上を拡大しやすいため、事業としてしっかり伸ばしていきたい場合は、自社ECを前向きに検討してみるのがおすすめです。
②【自社ECの場合】どの主要プラットフォームにするか選ぶ
ASP | オープンソース | パッケージ | |
構築方法 | 構築に必要なシステムをレンタル | 無償ソースコードをカスタマイズ | 充実したパッケージをもとに開発 |
初期費用 | 低 | 低 | 中 |
月額費用 | 低〜中 | 低 | 中 |
構築スピード | 早 | 早 | 中 |
カスタマイズ性 | 低 | 中 | 高 |
メリット | ・コストを比較的抑えやすい ・出店が比較的しやすい |
・コストを比較的抑えやすい ・カスタマイズ性が比較的高い |
・カスタマイズ性が高い ・セキュリティが強固&サポートを得やすい |
デメリット | ・カスタマイズ性が低い ・外部連携がしにくい |
・高度な専門スキルが必要 ・セキュリティリスクが高い |
・比較的コストがかかりやすい ・システムのアップデートが必要 |
自社ECの中でも、ベースとなるプラットフォームにはいくつか種類があります。その中でも主要なものを3つ紹介します。
- ASP:構築に必要なシステムをレンタルして作成(カスタマイズはほぼ無し)
- オープンソース:公開されているソースコードをもとにカスタマイズ
- パッケージ:充実した機能やシステムが備わったパッケージをベースに開発
※なお、プラットフォームそのものをゼロから作る「フルスクラッチ」もありますが、本記事では既存のプラットフォーム活用に焦点を当てて解説します。
コスト面で見ると「ASP」や「オープンソース」に軍配が上がりますが、ネットショップとして売上の拡大や安定的な運営を目指すなら、カスタマイズ性やセキュリティに優れる「パッケージ」がおすすめです。
コストという一面だけで判断するのではなく、要件と照らし合わせながら総合的・長期的に見て自社に最適なプラットフォームはどれかを検討しましょう。
>主要ECプラットフォームを比較!自社に合った選び方や構築方法も紹介
③具体的にどのプラットフォームにするか選ぶ
大まかな方向性が決まったら、具体的にどのプラットフォームにするかを選びます。
例えば、モールECといっても「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」のようにさまざまな種類があり、それは自社ECにおけるASP・オープンソース・パッケージも同様です。
そのため、自社の要望を実現できそうなカートシステム会社をいくつかリストアップし、相見積もりを取りましょう。
会社によって初期費用が数十万円違う場合もありますし、機能面やサポート面の条件も異なるので、複数社から話を聞くことがおすすめです。
STEP.4 決済種別の選定
ネットショップにおいて、決済手段が豊富かどうかはきわめて重要です。
なぜなら、「自分がよく使う決済手段がなければサイトを離脱する」というユーザーはとても多いからです。
実際、大手の決済代行サービス会社が「よく利用する決済手段がない場合どうするか」を調査したところ、以下のことが分かりました。
- 「サイトを離脱する」の合計値が、男女ともに60%以上
- 「他のショップで同じ商品を探して購入する」が、男女ともに45%以上
※参考:SBペイメントサービス株式会社「ECサイトで物品・デジタルコンテンツを購入する際の決済手段に関する調査」2021年2月
つまり、せっかくユーザーが商品を買おうとしても、ユーザーが求める決済手段を導入していなければ、大きな機会損失になってしまうということです。
しかし裏を返すと、決済手段が豊富であればそれだけ売上を伸ばせる可能性があります。
スマホの普及やキャッシュレス化により、近年では「PayPay」や「Amazon Pay」など数多くの決済サービスが続々と登場しました。
世間のニーズの変化を読み取り、さまざまな決済手段に対応できるネットショップを構築して、より利便性の高いサイトを構築していきましょう。
ネットショップでよく使われる代表的な決済方法8つを以下にまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
決済方法 | メリット | デメリット |
クレジットカード決済 | ・ECサイトで利用率が最も高い (機会損失しにくい) |
・不正利用へのセキュリティ対策が必要 |
コンビニ決済 | ・カードがない人も買い物ができる ・幅広い年代が利用している |
・料金未回収のリスクがある (前払い方式にするなど対策可) |
代金引換 | ・カードがない人も買い物ができる ・昔からある決済で一定のニーズがある |
・家に不在、もしくは手持ちの現金がない場合は再配達が必要 |
キャリア決済 | ・スマホ利用者全員をターゲットにできる | ・利用限度額があるため、高額な商品には使えない |
銀行振込 | ・カードがない人も買い物ができる ・昔からある決済で一定のニーズがある |
・ユーザーに手数料がかかる ・銀行の営業時間が限られる |
電子マネー | ・特に若年層のユーザー取り込みに有効 ・セキュリティ面の不安払拭になる |
・電子マネーと連携しているカート会社が少ない |
後払い決済 | ・商品を確認してから支払いたいというニーズの層を拾える (カゴ落ち防止にも◯) |
・決済手数料がかかる |
ID決済 (◯◯Pay) |
・すでに持っているアカウントと連携するので支払いがスムーズ (カゴ落ち防止にも◯) ・セキュリティ面の不安払拭になる |
・決済手数料がかかる |
STEP.5 サイト設計・デザイン制作
ネットショップを構築するうえで、見た目のデザインはもちろん大切です。
しかし、
・見た目がよくても使い勝手のよくないサイト
・機能を盛り込みすぎて、必要な情報が分かりにくいサイト
では、ユーザーは離脱してしまいます。
なんとなくのオシャレさやかっこよさを求めるのではなく、自社のコンセプトやブランドイメージを表現したうえで、ユーザーにとっても利便性の高いサイトを目指しましょう。
また、プラットフォームやカートシステムによって、デザインの自由度は大きく異なります。そのため、事前にどこまで拡張性があるのかを確認しておくのがおすすめです。
ちなみに、社内にデザイナーがいない場合、カートシステム会社によってはデザイン制作も請け負ってくれることがあります。
もし委託する場合は、認識のズレが起きないように、簡単なデザインラフなどを用意しておくとよりスムーズです。
STEP.6 商品登録・各種手続き
サイトデザインまで完成したら、実際に販売する商品をカートシステム上に登録していきます。
その際、商品の画像や説明文のデータを事前にまとめておき、CSVデータなどで一括登録すると、スムーズに登録できるのでおすすめです。
登録内容(価格や説明文など)にミスがあると、クレームやトラブルにつながるおそれがあるので注意しましょう。
また、管理画面の諸設定をするうえで、どのように操作すればいいか分からないことがあるかもしれません。
困ったときにサポートを得られるためにも、あらかじめサポート体制が十分に整ったカートシステム会社を選ぶことが大切です。
また、ネットショップで商品を販売するにあたり、業種によっては許可や資格が必要なケースがあります。
例えば、食品を販売する場合は
- 食品衛生法にもとづいた営業許可
- 食品衛生責任者の資格
が必要になるなど。
これらの手続きを怠ると違反になってしまうため、どのような手続きが必要かオープン前に必ずチェックしておきましょう。
STEP.7 テスト注文
ネットショップを運用する準備ができたら、実際にオープンする前に「テスト注文」を行います。
テスト注文とは、実際にユーザーと同じ導線をたどって注文を行い、問題なく受注できるかをチェックすることです。
具体的には、
- ユーザーが商品をスムーズに購入できるか
- 受注、決済、配送などのデータ処理が正しく行われているか
- スタッフの動きや連携に問題がないか
などを確認します。
また、ネットショップは「決済会社」「配送会社」「コールセンター」など、さまざまな会社と密接につながることで成り立っています。
それぞれの連携がスムーズか、正常に受注が行われるかを必ず確認しておきましょう。
STEP.8 オープン・集客
テスト注文が正常に完了したら、いよいよオープンです!
とはいえ、オープンしたからといってユーザーがすぐに来てくれるわけではありません。
- 事前にSNSなどで告知する
- プレスリリースを打つ
などして、多くの人に認知してもらえるよう行動することが大切です。
また、実際にネットショップをオープンしてみると、必ずと言っていいほど思わぬハプニングが起こるものです。
その時になってあわてることがないように、
・事前に社内マニュアルを作成・共有しておく
・カートシステム会社に「過去に起きたトラブル」などを共有してもらう
といった準備を進めておきましょう。
サイトをオープンしてからが本当の勝負です。ユーザーの満足度を高め、売上を伸ばしていくためにも、継続的にサイトの改善を行っていきましょう。
ネットショップ開業後の主な運営業務と流れ

「ネットショップを立ち上げたあと、実際どのように運営するか」を事前にイメージしておくことは大切です。
開業後の運用イメージがあいまいだと、その前段階であるネットショップの構築や準備もスムーズにいきにくいです。結果、なかなか成果が出ないという事態に陥りやすくなります。
そこで、ネットショップ開業後の主な運営業務と流れを一通り押さえておきましょう。
- 商品企画
- 仕入れ・製造
- 商品登録・サイト更新
- 集客
- 受注管理
- 在庫管理
- 梱包・配送
- アフターフォロー
- 分析・改善
一つずつ紹介します。
①商品企画
ネットショップでどんな商品を販売するか検討する業務です。
いくら集客を頑張っても、商品そのものに魅力がなければ売上を立てることはできません。
そのため、ユーザーのニーズやトレンドなどをリサーチし、どんな商品が売れるかを見極めることが大切です。
②仕入れ・製造
販売計画や在庫などをもとに、商品を仕入れたり製造したりします。
- 一度に多く仕入れる代わりに仕入れ値を安くしてもらう
- 複数の仕入れ先を確保してリスクヘッジを行う
というように、機会損失を防ぎつつコストを最適化できると、より利益率を上げることができます。
また、具体的な商品の仕入れ方法も紹介いたします。
- 卸売業者からの仕入れ
- メーカー直接の仕入れ
- 国内外の展示会・見本市への参加
- オンラインB2Bプラットフォームの活用
- 国内外の仕入れ代行業者を利用
これら仕入れ方法は一般的なアプローチですが、どの方法が最適かはEC事業の性質や予算、リソースによって異なることがあります。
始める前に市場調査や競合分析を行い、ビジネスニーズに合った仕入れ方法を選ぶことが重要です。
また、信頼性の高い仕入れ先を見つけるために参考になる口コミや評価を確認しましょう。
③商品登録・サイト更新
仕入れた商品や製造した商品をもとに、以下3つの業務(ささげ業務)を行います。
- 撮影(さつえい):商品画像の撮影
- 採寸(さいすん):商品サイズの採寸
- 原稿(げんこう):商品説明文の作成
商品情報の素材を用意できたら、ネットショップ上にどんどん商品登録を行います。
ユーザーは実際に商品を確かめることができないため、商品ページ自体が接客の役割を担います。商品の魅力を伝えつつ、安心感を与えられるような作りを目指しましょう。
④集客
ネットショップを立ち上げるだけでは、ユーザーは勝手に集まってきません。以下のような方法を用いて、積極的にユーザーへアプローチする必要があります。
- SEO(自社ブログで情報を発信し、検索流入を狙う)
- SNS広告(SNSでアカウント運用をして商品を広告する)
- リスティング広告(検索画面の広告枠で商品を販売する)
集客方法によって、効果がでるまでの時間は短期・中長期とさまざまです。費用や手間も異なるので、目的によって使い分けるのがおすすめです。
⑤受注管理
受注管理とは、顧客の注文データを処理し、商品の発送準備に至るまでの業務全体のことです。
具体的には、
- 受注データ取り込み
- 請求書発行
- 入金通知
などがあたります。
受注管理でミスがあると、顧客に大きな不信感を与えてしまいます。ミスを防ぐためには、使いやすいワークフローや連携しやすいシステムを導入することが大切です。
⑥在庫管理
仕入れや出荷、商品の移動があった場合には、在庫の調整や管理をその都度行います。
在庫が足りないと売り逃しが発生し、逆に在庫が多いと保管コストがかかります。販売予測や過去のデータなどをもとに、在庫数の調整を行いましょう。
また、実店舗を運営している場合は、在庫管理のシステムを連携しておくと「最新の在庫情報」をリアルタイムで反映できるのでおすすめです。
⑦梱包・配送
注文を受けた商品は、倉庫からピッキングし梱包した後、配送業者に引き渡します。
梱包の際にはラッピング対応したり、お礼メッセージを同梱すると、顧客満足度が上がりやすくなります。ひいては、リピーターになって売上アップにつながることも。
そして配送業者選びも大切です。配送する商品の大きさや個数によって、業者ごとに送料や対応が異なります。各業者の強みを比較し、状況によって使い分けると送料を節約することができます。
⑧アフターフォロー
商品を購入したユーザーに向けて「商品はどうでしたか?」「ご不便はありませんか?」などのフォローメールを送るのも、満足度を上げるうえでとても大切です。
また、次回購入時に使用可能なクーポンを配布すると、リピーターとして再度購入してもらう可能性が高くなります。
もしなにか不手際や不良品などがあればクレームを受けるおそれもありますが、誠意をもって対応すれば自社のファンになってもらえることも少なくありません。
⑨分析・改善
ネットショップを訪れたユーザーの行動を分析・改善すれば、より販売力のあるサイトへと進化させることができます。
例えば「Googleアナリティクス」といった解析ツールを利用すると、ユーザーの流入元やアクセス数、検索キーワードなどが分かります。
サイトの現状を客観的な数字で把握でき、これらをもとに集客や商品ページなどを改善することが大切です。
ネットショップ開業でよくある失敗・注意点

これまでネットショップ開業のステップや、開業後の流れなどをお伝えしました。
しかし残念ですが、これらの手順をただこなすだけでは売上を伸ばすのは難しいです。
実際、いつのまにか開業自体が目的になっていたり、目の前のタスクに精一杯になったりするケースは少なくありません。
その結果、視野がせまい状態で物事を判断してしまい、
- 本当に必要な機能を見落とす
- 目先のコストを優先したシステムを選んでしまう
といった失敗が頻発しています。
そうなってしまうと、せっかくネットショップを立ち上げてもうまく機能せず、システムの移行やリニューアルが必要となってコストが膨れ上がるおそれがあります。
改めてお伝えしますが、大切なのは「ネットショップを立ち上げること」ではなく、「ネットショップを立ち上げて成果を上げること」です。
そのためには、長期的目線を持って目的から逆算することがきわめて重要です。
目先の利益にとらわれるのではなく、
- さまざまな施策を実行するための機能が充実しているか
- 事業拡大によるカスタマイズ性や拡張性は十分か
など、長い目で見たときの費用対効果を考えて判断しましょう。
なお、他によくある失敗については「ECをスタートする前に知っておくべきこと5選」にまとめました。多くの企業が陥りがちな失敗と対策について紹介しています。
資料は無料でダウンロードできるので、事前に知っていれば避けられる失敗を防ぐためにも、ぜひ参考にしてみてください。
成功のカギは「ECプラットフォームの選定」

ネットショップ開業で成果を上げるうえで、特に重要なのが「ECプラットフォーム(カートシステム)の選定」です。
先に述べたとおり、プラットフォームによって得意なこと・苦手なことはそれぞれ異なります。
自社EC | 自社EC | 自社EC | モールEC | |
ASP | オープンソース | パッケージ | ー | |
構築方法 | 構築に必要なシステムをレンタル | 無償ソースコードをカスタマイズ | 充実したパッケージをもとに開発 | モール内のシステムを使って出店 |
メリット | ・コストを比較的抑えやすい ・出店が比較的しやすい |
・コストを比較的抑えやすい ・カスタマイズ性が比較的高い |
・カスタマイズ性が高い ・セキュリティが強固&サポートを得やすい |
・専門知識がなくても始めやすい ・モール経由での集客を狙える |
デメリット | ・カスタマイズ性が低い ・外部連携がしにくい |
・高度な専門スキルが必要 ・セキュリティリスクが高い |
・比較的コストがかかりやすい ・システムのアップデートが必要 |
・集客争いが激しい ・カスタマイズ性がかなり低い |
その中で「自社にとって最適なプラットフォーム」を選べなければ、いくら素晴らしいネットショップをその上に築いても、なかなか成果は上げにくいです。
プラットフォームには「売上拡大」と「業務効率化」という2つの役割があります。
これらの両輪をしっかり機能させるために、自社に合ったプラットフォームはどれかしっかり検討しておきましょう。
売れるネットショップの特徴と成功事例

それでは実際に、プラットフォームによって成果が大きく変わった事例を次で紹介します。
株式会社カレルチャペックは、主に紅茶やハーブティーを製造・販売する「カレルチャペック紅茶店」を運営しています。
以前のシステムではページの表示スピードが遅く、特にイベント時には多くのユーザーが訪れているのに5〜6時間つながらないこともありました。
貴重な購入機会を失うだけでなく、自社でやりたいこととシステムが合っておらず、なかなか紅茶を売ることに専念できない日々が続いていました。
そこで、叶えたいことや要望を改めてリストにまとめ、それらをすべて実現できる自社EC「W2Repeat」を導入することに。
・ページの表示スピード問題
・アクセス集中によるサーバー問題
などの悩みが解決し、これらに関するクレームもピタリと止まりました。
1日2,000人以上の注文にも耐えることができ、定期販売やセット販売などの機能も活用することで、売上はなんと過去最高を更新。
さらに受注ワークフロー機能によって、丸一日かけて行っていた受注処理やお問い合わせ対応が1〜2時間で済むようになり、日次業務を大きく効率化できました。
このように、自社に最適なプラットフォーム(カートシステム)を選ぶことによって、売上拡大や業務効率化を実現することができます。
実際、W2Repeatを含め弊社が提供するカートシステムの導入企業は、平均売上成長率354%を達成しています。
詳しくは弊社の導入事例集にまとめているので、ぜひ無料ダウンロードしてみてください。
ネットショップ開業でよくある質問に回答

ネットショップの開業について、よくある質問を以下にまとめました。
- ネットショップ開業に必要な資金は?無料でできる?
- ネットショップ開業に使える補助金・助成金はある?
- ネットショップ開業に必要な資格や手続きはある?
- 個人のネットショップ開業に青色申告・開業届は必要?
それぞれ回答していきます。
①ネットショップ開業に必要な資金は?無料でできる?
どのECプラットフォームやカートシステムを選ぶかによって、必要な資金は大きく異なります。
各プラットフォームの大まかな費用感は以下のとおりです。
構築方法 | 初期費用 | 継続費用 | カスタマイズ性 | 構築スピード |
モール型 | 低 | 低 | 低 | 早 |
ASP型 | 低 | 低〜中 | 低 | 早 |
オープンソース型 | 低 | 低 | 高 | 早 |
パッケージ型 | 中 | 中 | 高 | 中 |
フルスクラッチ型 | 高 | 高 | 高 | 遅 |
前提として、構築費用には
・初期費用
・継続費用
・デザイン費用
・カスタマイズ費用
など、さまざまな要素が含まれます。
同じプラットフォームでも、選ぶサービスや要件によって費用は大きく異なるため、あくまで目安として参考にしてください。
ちなみに、無料でネットショップを立ち上げることもできますが、基本的には個人や小規模向けのサイトとなります。
また、使える機能が大幅に制限されていることが多く、長期的に考えると売上拡大や業務効率化の面でマイナスになるケースは少なくありません。
そのため、目先の費用やコストばかりを見るのではなく、トータルでの費用対効果をもとに判断することが大切です。
②ネットショップ開業に使える補助金・助成金はある?
ネットショップを立ち上げるにあたり、以下のような補助金・助成金を利用できるケースがあります。
・IT導入補助金(最大450万円、2/3補助)
・事業再構築補助金(最大6,000万円、2/3補助)
・ものづくり補助金(最大1,000万円、2/3補助)
・小規模事業者持続化補助金(最大100万円、2/3補助)
・地元の自治体や商工会議所による補助金
これらの補助金を活用すれば、ネットショップ開業における資金の負担を大幅に減らすことができます。
しかし、補助金を申請する書類の作成には多くの手間がかかるうえに、補助金の枠には限りがあるので、全員が補助金を受け取れるわけではありません。また、同じ案件で国から複数の補助金を受けることもできません。
補助金頼みで考えるのではなく、審査に通らない可能性も考慮したうえで事業を進めることが大切です。
③ネットショップ開業に必要な資格や手続きはある?
以下のように、取り扱う商品の種類によって必要な資格は異なります。
商品の種類 | 必要な資格・許可・申請 |
食品 | ・食品衛生責任者の免許 ・食品衛生法に基づく営業許可 |
中古品 | ・古物商許可 |
化粧品 | ・化粧品製造販売許可 ・医薬部外品製造販売許可 |
※上記は一例
必要な資格や手続きを済ませていなければ、せっかくネットショップを立ち上げても運営することができません。
どのような資格や手続きが必要なのか、取り扱う商品をもとにぜひ確認してみてください。
>【業種別】ネット販売に必要な許可・資格・申請と業務にかかわる法律
また、個人事業主であれば「開業届」を管轄の税務署に提出する必要があります。
開業届を出さなくても罰則や督促があるわけではありませんが、青色申告ができない・屋号を使えないなどのデメリットがあるので、提出しておくのがおすすめです。
ちなみに、法人登録済みの方は提出する必要はありません。
④個人のネットショップ開業に青色申告・開業届は必要?
個人事業主としてネットショップを運営する場合には、開業届や確定申告(青色申告)の提出が必要になる場合があります。
■個人事業主の開業届の提出
開業届とは、自分が個人事業主として事業を始めたことを税務署に届け出る書類です。
開業届を提出することで、自分が所得税や消費税の対象者であることが確定し、税務署から納税通知書や納税手続きの案内などが送られてきます。
個人事業主としてネットショップを開業する場合には、この開業届を税務署に提出する必要があります。
提出タイミングですが、原則ネットショップを開設した日から1ヶ月以内に提出しなければなりません。
開業届を提出する際には、以下のような情報を記入する必要があります。
- 氏名や住所などの個人情報
- ネットショップの名称やURLなどの事業内容
- 開設日や予想収入などの事業計画
- 銀行口座や支払方法などの経理方法
開業予定の方は事前に確認しておきましょう。
■確定申告(青色申告)の提出
次に、個人事業主としてネットショップを運営する場合には、確定申告を国税庁に提出する必要があります。
確定申告とは、自分が1年間に得た収入や支出などを国税庁に報告し、所得税や消費税などの納税額を計算することです。
確定申告には、白色申告と青白申告があり青色申告では最大65万円の控除を受けられるので、必要書類は増えますが青色申告で申請する方が多いです。
また、確定申告は郵送やインターネットでも提出することができ、インターネットで提出する場合には、e-Taxを利用します。
確定申告を行う際には、以下のような書類を用意する必要があるので事前に確認しておきましょう。
- 収入金額や経費などを記録した青色申告決算書
- ネットショップの売上や仕入れなどを記録した売上台帳
- 領収書などの経費証明書
まとめ:成果が上がるネットショップを開業しよう
改めて、ネットショップを開業するおすすめの手順をまとめます。
・STEP.1 コンセプト設計
・STEP.2 要件定義
・STEP.3 ECプラットフォーム選定
・STEP.4 決済種別の選定
・STEP.5 サイト設計・デザイン制作
・STEP.6 商品登録・各種手続き
・STEP.7 テスト注文
・STEP.8 オープン・集客
ネットショップ開業が比較的容易な時代になりましたが、その分ライバルとなる競合の数も増えています。また、目先の利益を優先して準備を進めてしまうと、長期的には売上がなかなか伸びず、日々の業務に忙殺されることも。
そのような事態を避けるには、「開業」そのものをゴールとするのではなく、その先にある「成果」にフォーカスして判断することが大切です。
ぜひ本記事を参考に、ネットショップ開業を進めてみてください。
なお、EC事業をスタートしたい方・検討している方に向けて、「EC立ち上げの費用感や選定ポイント」をまとめました。特に「初期費用をどう考えるか」という点は、ECの成功と失敗に大きく影響します。
資料を無料でダウンロードできるので、ぜひご一読ください。