▽この記事でわかること▽
- ECサイトに必須の機能
- ECサイトを運用する際の業務内容と機能活用場面
- ECサイトの売上を上げるおすすめの機能
- ECサイト関連の情報収集におすすめな方法
「ECサイト(Electronic Commerce Site)」とはインターネット上で商品販売を行うWebサイトのことで、「通販サイト」「ネットショップ」「eコマースサイト」等とも呼ばれています。
そのECサイトを運営していく上で、どのような機能が搭載されているかは、実現できる施策の幅に影響するため非常に重要なポイントです。
ECサイトにおいて活用できる機能は数多く存在しており、基本的な機能を揃えておくことはもちろん、他社との差別化のためにも自社の商材やターゲットに合わせて必要な機能を見極め、導入しておくことが非常に大切です。
そこで本記事では、一般的なECサイトにはどのような機能が必須なのか、他におすすめの機能・効果的な機能はどのようなものがあるのか、ECサイト運用においてどのような業務が必要になるのか等、EC事業者が気になるポイントについて詳しく解説していきます。
これからECサイト運用を始めたいという事業者様は構築の参考に、既にEC事業をスタートしている事業者様はぜひ現状の見直しの基準として活用していただき、売れるECサイトへの一歩を踏み出していきましょう!
1,000社以上の導入実績に基づき、ECサイト新規構築・リニューアルの際に事業者が必ず確認しているポイントや黒字転換期を算出できるシミュレーション、集客/CRM /デザインなどのノウハウ資料を作成しました。
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この記事の監修者
神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。
ECサイト機能一覧
ECサイトを運営するにあたっては、ビジネスを成立させるために「必要な機能」から、売上向上や顧客満足度アップに役立つ「便利な機能」まで、実に様々な機能が存在します。
そこで今回は、これらの機能を優先度別に整理し、一覧表としてまとめました。
ECサイト構築やリニューアル時の機能選定における参考資料として、ぜひご活用ください。
ECサイト機能一覧
| レベル | 優先度 | 機能名 | 概要 |
| Lv.1 | ★★★ | 商品登録 | 商品情報・価格・在庫を管理する基本機能 |
| Lv.1 | ★★★ | 商品検索機能 | キーワードで商品を素早く検索できる機能 |
| Lv.1 | ★★★ | 顧客管理 | 会員情報や購入履歴を一元管理する機能 |
| Lv.1 | ★★★ | セキュリティ管理 | SSL暗号化で個人情報を保護する機能 |
| Lv.1 | ★★★ | 問い合わせ機能 | 顧客からの質問を受付・管理する機能 |
| Lv.1 | ★★★ | 受注管理 | 注文から出荷まで一連の流れを管理 |
| Lv.1 | ★★★ | カート機能 | 商品選択と合計金額を計算表示する |
| Lv.1 | ★★★ | レスポンシブ対応 | 全デバイスで最適表示を実現する機能 |
| Lv.1 | ★★★ | 決済機能 | 複数の支払い方法に対応する機能 |
| Lv.1 | ★★★ | アクセス解析 | 売上とアクセスデータを分析する機能 |
| Lv.2 | ★★☆ | 商品ランキング機能 | 人気商品をランキング形式で表示させる機能 |
| Lv.2 | ★★☆ | メール配信機能 | セグメント別に自動メール配信する機能 |
| Lv.2 | ★★☆ | ソーシャルログイン機能 | SNSアカウントで簡単ログインできる機能 |
| Lv.2 | ★★☆ | ポイント・クーポン機能 | ポイント付与と割引で購買促進させる機能 |
| Lv.2 | ★★☆ | 定期販売機能 | 自動継続課金とサブスク対応する機能 |
| Lv.2 | ★★☆ | 2クリック決済機能 | 情報保存と画面遷移短縮で素早く購入できる機能 |
| Lv.2 | ★★☆ | チャットボット機能 | AI自動応答で24時間サポート |
| Lv.3 | ★☆☆ | OMO機能 | 実店舗とECの顧客データを統合 |
| Lv.3 | ★☆☆ | 越境EC対応 | 多言語・多通貨で海外販売対応 |
| Lv.3 | ★☆☆ | ライブコマース | ライブ配信でリアルタイム販売 |
優先度の見方
★★★(レベル1): ECサイトとして最低限必要な必須機能。これらがないとビジネスが成立しない
★★☆(レベル2): 売上向上・顧客満足度アップに直結する便利機能。競合との差別化に有効
★☆☆(レベル3): 事業拡大や特殊ニーズ対応の発展機能。中長期的な成長戦略で検討
下記から優先度ごとに解説します。
ECサイトに必要な機能「レベル1」
ECサイトは、平たく言えば通販のために必要な機能を付け加えたホームページです。
そのため、通常のホームページとは異なるさまざまな機能が備わっています。
ECサイトの機能の豊富さは、ユーザーから自社サイトを選んで貰いやすくなる要因となるため非常に重要な要素です。
この項目では、ECサイトが基本的に備えておきたい以下の機能10つについて紹介します。
- 商品登録
- 商品検索機能
- 顧客管理
- セキュリティ管理
- 問い合わせ機能
- 受注管理
- カート機能
- レスポンシブ対応
- 決済機能
- アクセス解析
以下でひとつずつ解説していきます。
また、ECサイト構築における流れや手法などを知りたい方は下記をご覧ください
【2025年最新版】ECサイトの作り方と構築方法を完全ガイド|費用・手順・比較・失敗しない選び方
➀商品登録
ECサイトには、販売したい商品の情報を登録する機能が必須です。
商品ごとに詳細を表示するためのページができるので、商品登録はBlogの「記事」を作成するようなものと考えればわかりやすいかもしれません。
登録時には商品番号や商品名、販売価格のほか、商品の写真や詳しい紹介文などを入力していきます。それに併せて商品カテゴリを設定したり、出荷までの日数や送料を設定しておくのが一般的です。
ECサイトは在庫管理の機能も備えているので、販売可能な在庫数を入力しておくことも重要です。
在庫管理と連携して設定しておくことで、商品が売れて在庫が切れた時に、システムが自動的に判断し該当の商品の「品切れ」の表示をすることができます。
②商品検索機能
商品検索機能は、GoogleやYahoo!といった検索エンジンのように、ECサイト内の多くの商品の中からユーザーが欲しい商品を検索し絞り込んで表示することができる機能です。
ユーザーが目当ての商品に辿り着きやすくすることで離脱を防ぐことができるので、ECサイトにおいて重要な機能の1つです。
商品名の他にもカテゴリ名やキーワード、価格などで検索できるとなお良いでしょう。
ECサイト内の商品検索機能については下記記事で詳しく解説しているので、「より詳しく知りたい」「導入する検索エンジンサービスに悩んでいる」という方はぜひこちらも併せてご覧ください。
ECサイト内の検索エンジンとは|機能や活用事例、おすすめサービス4社を紹介!
③顧客管理
注文や会員登録の際にユーザーが入力した顧客情報を管理するための機能が「顧客管理機能」です。
一般的には、届け先の住所・氏名などの基本情報のほかに、これまでに取得したポイントや購入回数なども併せて記録することができます。
また、この後紹介する問い合わせメッセージの管理やメールマガジン配信の機能と連携することで、お客様サポートや販促・マーケティングにも活用することができます。
以下のお役立ち資料では顧客管理(CRM)について詳しく解説しています。是非合わせてご覧ください。
ECサイトの売上を伸ばすCRM(顧客管理)とは?活用すべき理由やメリットまとめ
④セキュリティ管理
セキュリティ機能とは、ユーザーが安心して購入できるよう、利用ユーザーの個人情報やクレジットカード情報を保護する機能のことです。
何らかのきっかけで自社サイトがサーバー攻撃等を受け、個人情報の漏洩やカードの不正利用が起これば、ECサイトの売上低下だけでなく企業の信頼低下にも繋がります。
「SSL化」等で顧客情報を暗号化するなど対策を講じておきましょう。
ECサイトにおけるセキュリティ対策については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せて確認してみてください。
ECサイトのセキュリティ対策!セキュリティ事故の種類と対処法を解説
⑤問い合わせ機能
顧客からのお問い合わせや質問を受け付けることができるよう、「お問い合わせ機能」も必要です。
この機能を導入しておけば、ユーザーはECサイトから気軽にお問い合わせをすることができるため利便性が高まる他、事業者はメールや電話でのお問い合わせに対応する必要が無くなり業務効率化を図ることができます。
氏名やメールアドレスといった基本情報の他に、問い合わせ内容を記入できる欄を設けたフォームを作成し、ECサイト内のユーザーが見つけやすい位置に配置しておきましょう。
⑥受注管理機能
受注管理機能は、商品の注文を受けてから出荷するまでの過程を管理する機能です。
注文された商品の内容を記録するとともに、「入金待ち」「出荷完了」などの「ステータス」を更新することによって、出荷完了までのステップを漏れなく管理できます。
注文内容に修正やキャンセルがあった場合、または在庫切れなどのためにメーカー取り寄せとなった場合などにも、受注管理機能があれば状況を簡単・迅速に把握することが可能です。
受注管理に特化したシステムは下記の記事で解説しています。
受注管理システムとは?おすすめの受注管理システム16選を徹底比較
⑦ カート機能
カート機能は、顧客が選んだ商品を一時的に保管し、購入手続きへ進むための必須機能です。実店舗での買い物カゴに相当する役割を果たし、複数の商品をまとめて購入したい顧客にとって欠かせない仕組みとなっています。
この機能により、顧客は商品を選びながらサイト内を自由に回遊でき、最終的にまとめて決済を行うことができます。カート内では商品の数量変更や削除が簡単に行え、税込価格や送料を含めた合計金額が自動計算されて表示されるため、顧客は購入前に総額を確認しながら調整できる利便性があります。
「あといくらで送料無料になるか」といった情報も表示することで、客単価向上にもつながる機能となっています。
⑧ レスポンシブ対応
レスポンシブ対応とは、スマートフォン、タブレット、パソコンなど、あらゆるデバイスの画面サイズに自動的に最適化して表示する機能です。
現在のECサイト利用者の大半がスマートフォンからアクセスしているため、レスポンシブ対応は実質的に必須の機能となっています。
スマートフォンで見たときに文字が小さすぎて読めない、ボタンが押しにくい、画像がはみ出して見づらいといった問題があると、顧客はすぐに離脱してしまい、大きな機会損失につながります。また、Googleの検索エンジンはモバイルフレンドリーなサイトを高く評価する傾向があるため、SEO対策の観点からもレスポンシブ対応は重要です。
一つのサイトで全デバイスに対応させることで、デバイスごとに別々のサイトを作成・管理する必要がなくなり、運用コストの削減にもつながります。
デバイスをまたいだ一貫した購入体験を提供することで、あらゆる顧客層を取りこぼさない販売体制を構築できます。
⑨決済機能
決済機能は名前の通り、支払いを受けるために必要な機能です。
多くのECサイトではユーザーの利便性を考慮し、さまざまな支払い方法のなかからユーザーが好きなものを選択できるよう複数の決済手段に対応しています。
実際にどの決済手段が使えるかはECサイトを構築するカートシステムやサービスによって異なりますが、最もよく使われており必須で整えておきたいのがクレジットカード決済です。
そのほか一般的な支払方法には、以下のような方法が挙げられます。
- 商品代引き支払い
- コンビニ支払い
- 請求書払い
- キャッシュレス決済
特に、現在では多数のキャッシュレス決済が登場しているため、どの程度まで対応できるかも重要なポイントでしょう。
中でも、ECサイトでショッピングをするユーザーはAmazonアカウントの所有率が高いこともあり、Amazon Payとの連携は非常に人気が高いです。
EC決済について知りたい方は、以下の記事を活用してください。
EC決済とは?おすすめの決済代行サービス12選を徹底比較
⑩アクセス解析・分析機能
ECサイトには、商品ページ以外にもトップページやカテゴリーページなど、様々なページがあります。
アクセス解析・分析機能とは、各ユーザーがそれぞれのページにどのように、どれくらいアクセスしているのかを測定・分析する機能です。
アクセス解析の結果は、ページごとに購買率(注文に至ったユーザーの割合)や離脱率(サイトを離れたユーザーの割合)といった数値ではっきりとあらわれます。
これによりどのページが人気でよく見られているのかがわかるため、サイトの運営や改良の参考にすることが可能です。
自社ECサイト分析でよく使われる外部ツールに「Google Analytics」があります。
Google Analyticsは多機能で、取得できる情報の種類も多いのが特徴ですが、一般的なホームページのアクセス解析に用いられるものであり、ECサイトに特化したものではありません。
これに対し、モール型のECサイトではシステムに標準搭載されたアクセス解析機能を使う方式が主流です。
こちらはGoogle Analyticsと異なり、はじめからECサイトの分析に特化しているため、初心者でも分析結果や方法が非常にわかりやすく、店舗の運営にも反映しやすくなっています。
自社ECサイトでも、利用するカートシステムによっては細かく深い分析ができる分析機能が備わっており、運用していく上で非常に利便性が高いので、システム選定の際は要チェックの機能です。
下記の資料では、競合調査の概要や抑えておくべきチェックポイント、調査結果の正しい活用の仕方など初心者向けにわかりやすく解説しております。
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ECサイトにあると便利な機能「レベル2」
ここまではECサイトにおいて基本的かつ必須の機能について紹介してきました。
ECサイトの機能は先ほどの機能の他にも数多く存在しており、導入しておくことで顧客の満足度向上が見込めたり、新規顧客獲得に繋がる機能もあります。
ここからは、導入しておくと便利かつ売上UPに効果的な以下の7つの機能を紹介します。
- 商品ランキング機能
- メール配信機能
- ソーシャルログイン機能
- ポイント・クーポン機能
- 定期販売機能
- 2クリック決済
- チャットボット機能
ひとつずつメリットについても解説していくので、「自社サイトで使えそうだけどまだ導入していない」という機能があればぜひ利用を検討してみてください。
以下の記事では「機能大全」について詳しく解説しています。是非合わせてご覧ください。
➀商品ランキング機能
商品ランキング機能とは、ECサイト内の商品の中でユーザーに人気の商品をランキング形式で表示することができる機能です。
この機能を導入し、トップページなどユーザーの目に入りやすい位置に商品ランキングを配置しておくことで、ユーザーの「ついで買い」を誘発することができます。
リピーター・新規顧客のどちらにも効果がある施策なので、ぜひ設けておきたい機能のひとつです。
②メール配信機能
メール配信機能は、自動で特定のユーザーにメールを配信できる機能です。
顧客情報と連携させておくことで、決済完了メールや購入後のお礼メール、会員登録完了メールなどを完了した時に自動で送ることが可能になります。
特に何らかの処理完了を伝えるメールは、ユーザーがサイトに安心感を抱く大きな要素になるため、必須で設定しておきましょう。
処理完了をお知らせするメール以外にも、セール情報やおすすめ商品などを配信するいわゆる「メルマガ」の配信も積極的に活用していきましょう。
顧客の購買状況や傾向に合わせて配信内容を変えたり配信頻度を増減させたりすることで、適度にECサイトへの再訪を促すのがポイントです。
③ソーシャルログイン機能
ソーシャルログイン機能とは、TwitterやLINE、InstagramといったSNSアカウントを利用したECサイトへのログインを可能にする機能です。
この機能を導入しておくことで、ECサイト会員登録時のユーザーの手間を減らし、普段利用しているSNSアカウントですぐにログインできるようになるため、利便性や満足度を格段に上げることができます。
上手く活用すれば、会員登録率を大幅に上げることも可能なため、特に若年層をターゲットとしているECサイトにはぜひ導入して頂きたい機能のひとつです。
EC SNSについて詳しく知りたい方は、以下の記事を活用してください。
ECサイトにおけるSNS戦略6選!各SNSの特徴や効果的な集客方法をご紹介
④ポイント・クーポン機能
購入金額や回数に応じてポイント・クーポンを配布する機能もぜひ備えておきたい機能のひとつです。
ポイントやクーポンを配布しておくことで、顧客がサイトへ再来する動機を作ることができます。
競合他社との差別化もできるため、リピーターを増やしECサイトの売上を上げるためには重要な機能と言えるでしょう。
利用するシステムにより、付与率や付与対象の設定の細かさや幅広さは異なるので、システム選定時はどういったことが実現できそうかあらかじめ確認し、把握しておきましょう。
以下の記事ではポイント管理システムで顧客サービス向上による売上アップする方法について詳しく解説しています。是非合わせてご覧ください。
ポイント管理システムで顧客サービス向上による売上アップを目指すには?
⑤定期販売機能
定期販売機能とは、顧客が指定した周期(毎月・隔週など)で商品を自動配送・決済するサブスクリプション機能です。
健康食品、化粧品、日用品などの消耗品に最適で、継続的な収益基盤を構築できる点が大きな特徴となります。この機能を導入することで、顧客LTV(生涯価値)の大幅な向上と売上予測の安定化が期待でき、初回割引や継続特典を用意して新規獲得のハードルを下げつつ、配送スキップや周期変更を柔軟に行えるようにすることで顧客満足度を高めることも可能です。
顧客にとっても買い忘れを防止できるという利便性があり、双方にメリットのある仕組みといえます。ただし、特定商取引法の定期購入規制により、契約条件や解約方法の明記が厳格化されている点には十分な注意が必要で、解約手続きが複雑だと炎上リスクにつながるため、マイページから簡単に解約・休止できるような親切な設計が必須となります。
定期通販の成功ポイントや事例については下記の記事で詳しく解説しています。
定期通販とは?成功ポイント5選や成功事例、おすすめのECカートをご紹介
⑥2クリック決済
2クリック決済は、登録済みの配送先・決済情報を活用し、最短2回のクリックで購入を完了させる機能です。Amazonの「1-Click注文」に代表されるように、購入プロセスを極限まで簡素化することでカゴ落ち(購入直前離脱)を劇的に減少させ、転換率向上に直結します。
特にスマートフォンユーザーにとっては住所やカード情報の入力が不要になるためストレスが大幅に軽減され、衝動買いや追加購入を促進する効果が高く、リピート顧客の多いサイトでは必須級の機能といえます。
「前回と同じ商品をすぐ買える」導線としても有効で、まとめ買いの後押しにもつながります。一方で、購入の手軽さゆえに誤発注のリスクも高まるため、最終確認画面の表示や注文直後のキャンセル機能を設けるなどの配慮が必要です。
⑦チャットボット機能
チャットボット機能は、AIやシナリオ型システムがサイト内のチャットで顧客からの質問に24時間自動応答する機能です。
よくある質問への即答、商品案内、注文状況の確認など、基本的なカスタマーサポートを自動化できるため、スタッフの業務工数削減に大きく貢献します。
営業時間外の問い合わせにも対応できるため機会損失を防止し、購入前の疑問をその場で解消することでカゴ落ちを減らす効果も期待できます。人的サポートコストを削減しつつ、スタッフは複雑な問い合わせに集中できるため、全体的な顧客満足度向上につながります。
しかし、AIの回答精度が低いと逆に顧客のストレス原因となってしまう可能性があるため、自動応答で解決できない質問については、速やかに有人チャットやメールフォームへ誘導するなど、顧客を迷わせない設計が重要です。
ECサイトの売上を最大化させる機能「レベル3」
ここまで紹介してきた必須機能(レベル1)と便利機能(レベル2)により、ECサイトの基本的な運営体制は整います。しかし、さらなる事業拡大や競合との明確な差別化を図るには、より高度で戦略的な機能の導入が必要です。
レベル3の機能は、実店舗との連携強化、海外市場への進出、最新のマーケティング手法の活用など、特定の事業戦略に基づいた発展的な機能群です。導入コストは高くなりますが、競合との圧倒的な差別化や新たな収益源の創出に大きく貢献します。
ここからは、中長期的な成長戦略において検討すべき以下の3つの機能を紹介します。
- OMO機能
- 越境EC対応
- ライブコマース
①OMO機能
OMO(Online Merges with Offline)機能とは、実店舗とECサイトの顧客データや在庫情報を統合し、オンライン・オフラインの境界をなくしたシームレスな購買体験を提供する機能です。
店舗受取サービス、店舗在庫のオンライン表示、共通ポイント管理などが代表的な機能として挙げられます。
実店舗を持つ企業にとって、顧客接点を最大化し購買機会損失を防ぐ強力なツールとなります。
たとえば、ECサイトで注文した商品を最寄りの店舗で受け取れる機能により、送料負担を嫌う顧客や即日入手を希望する顧客のニーズに応えられます。
また、オンライン・オフラインの購買履歴を統合することで、より精度の高いパーソナライズドマーケティングも実現できます。
一方で、導入にはECサイトと実店舗のシステム統合という大きな技術的課題があります。POSシステム、在庫管理システム、顧客管理システムなど複数のシステムを連携させる必要があり、初期投資が高額になる傾向があります。
システム障害時のバックアップ体制や、店舗とEC間での在庫配分ルールの明確化など、運用面での綿密な設計が求められます。
以下の記事では、OMOの具体的な導入メリットや施策について詳しく解説しています。
OMOとは?O2O、オムニチャネルの違いや具体的施策6つを紹介
②越境EC対応
越境EC対応とは、海外の顧客に向けて商品を販売するための多言語・多通貨対応機能です。サイトの言語切り替え、現地通貨での価格表示、国際配送対応、現地決済手段の導入などが含まれ、日本国内市場の成熟化に伴い、成長著しいアジア市場などへの進出手段として注目されています。
国内市場だけでは限界のある売上を大きく伸ばす可能性を秘めており、特に日本製品への信頼が高い中国、台湾、香港などのアジア圏では、化粧品、健康食品、ベビー用品、家電製品などの需要が旺盛です。
まずは英語と中国語への対応から始め、段階的に対応言語を増やすアプローチが現実的で、現地のECモールへの出店と自社越境ECサイトを併用することで、認知度向上と直接販売の両立が可能になります。
ただし、各国の法規制、税制、輸出入規制への対応が必須となります。特に食品、化粧品、医薬品などは国ごとに厳格な規制があり、許認可取得が必要な場合もあります。国際配送では配送期間の長さや関税・配送トラブルへの対応など、国内ECとは異なる課題が発生するため、現地のカスタマーサポート体制構築や、現地パートナー企業との連携が成功の鍵となります。
越境ECの始め方や注意点については、以下の資料で詳しくまとめています。
越境ECとは?市場規模やメリット、始め方3選について解説
③ライブコマース
ライブコマースとは、ライブ配信を通じてリアルタイムで商品を紹介・販売する機能です。配信者が商品の使用方法を実演したり、視聴者からの質問にその場で答えたりしながら、画面上のボタンから直接購入できる仕組みで、中国を中心に急成長している販売手法として日本でも徐々に普及が進んでいます。
商品の魅力を動的に伝えられる点が最大の強みで、特にファッション、美容、食品など、実際の使用感や質感が重要な商品カテゴリーで効果を発揮します。インフルエンサーや専門家を起用することで、短時間で大量の視聴者を集め、爆発的な売上を生み出すことも可能で、視聴者とのリアルタイムコミュニケーションにより、商品への信頼感や購買意欲を高められます。
しかし、成功には配信の企画力と配信者のスキルが大きく影響します。単に商品を紹介するだけでは視聴者を惹きつけられず、エンターテインメント性や専門性が求められます。配信環境の整備や配信プラットフォームの選定にも投資が必要で、大量アクセスに耐えられるサーバー環境の構築や、配信中の注文処理・在庫管理の自動化など、技術面での準備も欠かせません。
ライブコマースの導入方法や成功事例については、以下の資料で詳しく解説しています。最新のマーケティング手法に興味のある方は、ぜひご確認ください。
【2025年最新版】ライブコマースとは?メリット・デメリットや相性がいい商材、成功事例などを徹底解説
ECサイト運営業務における機能の活用
ECサイトはインターネット上にあるものですが、「お店」であるという点においては実店舗と変わりません。そのため、運営に必要なさまざまな業務でも、実店舗と似た点が多くなっています。
具体的には下記のような業務が挙げられます。
- 商品管理
- 顧客サポート
- 売上管理
- サイトメンテナンス
それぞれについて、どのような業務なのか、どんな場面で機能が活用できるのかについて解説していきます。
以下の記事では「W2製品導入事例集」について詳しく解説しています。是非合わせてご覧ください。
➀商品管理
実物の商品を販売する以上、ECサイトにおいても商品・在庫の管理は必須です。
ここで活躍するのが受注管理機能です。
受注状況と在庫をできるだけ正確に把握して品切れになりそうなものを入荷したり、新規商品を追加したりすることは実店舗の業務と同様に重要な業務になります。
注文された商品の梱包や発送の作業も、基本的には自社で行う必要があります。
出荷倉庫をもっている場合やメーカー取り寄せとなる場合については、注文伝票などで依頼することになります。
実店舗では、品切れ中の人気商品について入荷予定を書いて貼りだしておいたり、話題の商品が新規入荷したお知らせを出したりといったことも行っています。
掲載先がホームページになるという違いはありますが、ECサイトでも実店舗と同じように行う必要があります。
ECサイトにおいても商品に関するお知らせを記載しておくことは、顧客を離さないために重要な業務です。
②顧客サポート
顧客サポートが必要な点も、実店舗と同じです。
顧客サポートとは、商品の購入を検討している人からの質問や相談に対応したり、購入した商品に関するアフターサポートを行ったりすることを指します。
ECサイトの顧客サポートにおいては、インターネット上ならではのコミュニケーションも少なからず必要になります。
例えば、ECサイトでは「サイトの利用方法が分からない」「購入でエラーが起きた」といったサポートが必要な場面が多々あります。
メール機能をはじめ、LINEやSNS、チャットなどとの連携機能も活用し、さまざまな経路での問い合わせに対応できるようにしておくと、ユーザーの利便性向上にも繋がります。
また、先述したお問い合わせ機能も活用することで、効率的に顧客サポートが行えるでしょう。
③売上管理
ECサイト運営においても、売上の管理は重要な業務です。
しかし売上の把握については実店舗よりもECサイトのほうが効率的な場合が多いです。
ECサイトのシステムには売上管理機能があるため、購入金額や売上は自動的に集計することができます。
また、顧客の支払い状況も確認できるようになっており、クレジットカード決済でエラーが発生していないかどうかなどもチェックすることが可能です。
基本的に自動で行うことができますが、放置していると問題に気付くのが遅くなってしまう危険があるため、何か問題が発生していないか、日次、週次などできちんと確認するようにしましょう。
④サイトメンテナンス
ECサイトの運営を続けるには、商品に関する各種業務のほかに、サイトそのものを管理する業務も必要です。
実店舗でいえば、建物や店内を維持・管理することに相当する業務と考えればイメージしやすいでしょう。
ECサイトの各ページにおいて、表示されている価格や日付などが最新の情報に更新されているか、デザインが崩れているページがないかなど、定期的に確認が必要です。
その際、もし何か問題が見つかれば、随時修正・メンテナンス作業を行いましょう。
分析機能を活用して、アクセスが少ないページ・商品を削除したり見直したりするといったことも、サイトをよりよい状態に保つためのメンテナンスのひとつです。
特に、イベントやキャンペーンを告知・終了するとき、デザインをリニューアルするときなどは、ECサイト全体にわたる操作が必要になります。
このようなタイミングでは、どのページにも問題が発生していないことを確認するように心がけるとよいでしょう。
本記事のまとめ
本記事では、ECサイトを運営するうえで必要な基礎知識から必要な機能・業務内容、集客の方法まで網羅的に解説してきました。
記事の内容を簡単にまとめたので、振り返ってみましょう。
- ECサイトは、「訪問者が商品を購入できる機能」がついたホームページの一種
- EC事業を始める代表的な方法には「自社ECサイト」と「モール型」がある
- ECサイトの機能の豊富さは自社サイトを選んで貰いやすくなり非常に重要
- ECサイトの運営に必要なさまざまな業務は実店舗と似た点が多い
- ECサイトへの集客においては、いかにアクセス数を増やせるかが課題
ぜひ今回の内容を参考に、売れるECサイトの構築に向けて取り組んでみてください!
ECサイトを始めるための知識を揃えよう
インターネット上の店舗であるECサイトには、実店舗と同じ部分もあれば、全く異なる部分もあります。
新しくECサイトをオープンする際には、覚えなければならないことも多いでしょう。
未経験からはじめる場合はECサイト経験者に相談してアドバイスをもらったり、インターネットでさまざまな情報を収集したりすることが重要です。
事前にしっかりと準備をして、ECサイトの開始に備えましょう。
ECサイトの構築方法やプラットフォームは多岐に渡るため、選定にお悩みの事業者様も多いと思います。
そこで、現在ECサイト構築/リニューアルを検討している方向けに、主要ECカートシステムの料金・機能比較表を作成しました!
資料は無料でダウンロードできますので、ECサイトの立ち上げを検討している方、リニューアルの必要を感じている方はぜひあわせてご一読ください。
































