
ECサイト運営とは?業務内容や必要なスキルについて解説【初心者向け】
インターネットの発展とスマートフォンの普及により、市場規模が拡大し続けるEC事業ですが、ECサイトを運営するうえで様々な業務が発生します。
ECサイトの運営業務は多岐にわたり、基礎知識や仕事内容に対する深い理解がないと効果的な運営は難しいです。
また、ECサイトの運用において「正確さ」や「スピード」が求められ、業務全般の効率化を図る必要があります。
そこで本記事では、ECサイトの運営業務について、具体的な業務内容や業務効率を向上させるための施策や必要なスキルと経験、売上アップのコツなどECサイト事業者がおさえておきたい点についてご紹介します。
なお、より効率的・効果的なEC運営を目指すには、「そもそものカートシステムの性能に問題がないか」を見直してみるのがおすすめです。
実際、自社にとって最適なカートシステムを選んだことで「業務工数60%削減」という大きな成果を上げたい事例もございます。
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ECサイト運営とは?

ECサイト運営とは、インターネット上で商品やサービスを提供し、オンラインでの販売活動を行うビジネスのことです。これは顧客がECサイトを通じて商品を閲覧し、注文・支払いを行い商品を受け取るまでの一連のプロセスを指します。
また、ECサイト運営は主に2つの業務で構成されており、「フロント業務」と「バックエンド業務」に分かれます。この2つの業務は異なる専門知識を必要とするため、多くの場合、フロント業務とバックエンド業務は別々の担当者でチーム構成するのが一般的です。
下記では、フロント業務とバックエンド業務についてご紹介します。
フロント業務
フロント業務は、主に顧客がECサイトを認知して商品を購入するまでの流れを担当し、マーケティング業務と捉えられることもあります。
具体的には、商品企画・仕入れ・商品登録・サイト更新・ECサイト集客施策・分析などを行いEC事業の売上を促進するのが主な目的となります。
こちら一つ一つの業務は後ほど詳しく解説いたします。
バックエンド業務
バックエンド業務は、主に顧客の商品購入後からアフターフォローをするまでの流れを担当し、フルフィルメント業務とも呼ばれます。
具体的には、受注管理・在庫管理・梱包・配送・顧客に対してのアフターフォローなどを行い顧客の満足度を向上させることが主な目的となります。
こちら一つ一つの業務に関しても、後ほど解説いたします。
ECサイト運営業務とリアル店舗との違い

ECサイトの運営業務について理解を深めるために、そもそもリアル店舗と比べてどのような違いがあるのか見ていきましょう。
ECサイトとリアル店舗の主な特徴は、以下の通りです。
ECサイト |
リアル店舗 | |
販売場所 | オンライン |
オフライン |
営業時間 | 24時間365日 |
営業時間内 |
商圏 | 全国(全世界) |
店舗の近隣 |
顧客対応 | メール・電話 |
店舗で接客 |
購入プロセス | 商品写真や説明文で決める |
商品を手に取って決める |
商品の届け方 | 配達 |
手渡し |
信用 | 少し不安がある |
安心感がある |
コスト | 低〜中 | 高 |
データ取得・分析 | 容易 | 限定的 |
リアル店舗は販売する場所や時間が限られるのに対し、ECサイトはネットを利用するすべての人にいつでも販売できるという大きな利点があります。
さらにリアル店舗は家賃や建物の賃料などがかかりますが、ECサイトは、店舗の賃料などがかからない分、初期費用やランニングコストも安く抑えられます。
とはいえ、リアル店舗と違って一人ひとりにきめ細やかな対応をするのは容易ではありません。画面越しでも安心感を伝えたり、商品の魅力を十分に伝えたりする工夫が必要です。
また、全国(全世界)に商圏が広がるということは、それだけ競合が増えることを意味します。そのため、集客やブランディングなどに力を入れなければ売上アップは難しいです。
このように、「ECサイトは作れば勝手に売上が上がる」わけではありません。
・売上を伸ばすフロント業務(集客、販促など)
・サイト運営をするバックエンド業務(受注管理、配送など)
の両輪をしっかり回していく必要があります。
それでは、各業務の内容について詳しく見ていきましょう。
ECサイト運営の主な業務9つ

ECサイト運営における主なフロント業務とバックエンド業務を、時系列順に紹介します。
1. 商品企画(フロント業務)
2. 仕入れ・製造(フロント業務)
3. 商品登録・サイト更新(フロント業務)
4. 集客(フロント業務)
5. 受注管理(バックエンド業務)
6. 在庫管理(バックエンド業務)
7. 梱包・配送(バックエンド業務)
8. アフターフォロー(バックエンド業務)
9. 分析・改善(フロント業務)
それぞれ一つずつ見ていきましょう。
①商品企画(フロント業務)
商品企画は、ECサイト上でどんな商品を販売するか検討する業務です。
商品企画を怠り、顧客のニーズに合っていない商品を作ると、どんなに優れたwebマーケティング力があったとしても売上を伸ばすことは難しいです。
ECサイトで利益を上げるために、売れる製品を企画・検討することが重要になります。
商品企画をする際は、消費者のトレンドや季節などを考慮し、企画を練る必要があります。
また、商品の原価率や利益率なども計算し、少なくとも半年から1年先まで売上や利益のプランを作成するとよいでしょう。
加えて、現在はFacebookやInstagram、Twitterなどの情報を発信するプラットフォームがあるため、優れた商品を開発することができれば、SNSで拡散され話題になります。SNSで拡散されると、それ自体が商品の宣伝活動になります。
そのため、商品企画はフロント業務の中でも非常に重要な業務の一つといえます。
②仕入れ・製造(フロント業務)
販売予測や在庫回転率を考慮した販売計画に基づき、商品の仕入れや製造を行うことはEC運営において重要な業務になります。
現在はSNSで話題になることで、予測以上に商品が売れ、在庫がなくなることで、販売の機会損失することがあります。よって、複数の仕入先を確保することが重要です。
また、多くの商品を仕入れる場合は、割引を交渉することも大切です。
何の根拠もなく「値引いて」というのはスキルではなく、例えば「一度に多く仕入れる代わりに仕入れ値を値引いてもらう」など、相手にメリットを与えることの工夫が必要です。
③商品登録・サイト更新(バックエンド業務)
サイト制作において重要な要素が2つあります。
1つ目は、サイト制作をする際は、事業や会社のコンセプトに沿ったものや、消費者の購買意欲を促進される導線設計を意識したことが重要です。
知名度が低いECサイトは知名度が高いECサイトと比べ、信頼性は劣ります。
つまり、信頼を築くには、会社のコンセプトを大切にしたデザインを意識すると良いでしょう。
また、ECサイトのデザインに凝り過ぎることに注意したほうが良いでしょう。
珍しい動きのするサイトや複雑なサイト構造は、使い勝手が悪くなり、売上を下げる原因にになる可能性があります。
そのため、ユーザーの購買行動を意識したサイトデザインにすることが大切です。例えば、セールやトレンド商品を目に入る配置にすることや、商品詳細ページに、口コミ・レビューを見れるようにするなど工夫することが大切です。
2つ目は、商品の画像やサイズ、カラーバリエーション、商品詳細の登録になります。
サイト制作と同様に商品の売上を大きく左右する重要な作業になります。
仕入れた商品や製造した商品をもとに、「撮影」「採寸」「原稿」を行います。
頭文字をとって「ささげ業務」と言います。
この「ささげ業務」は代行を行ってくれる業者や、ライターもおり、大手のアパレルECサイトの場合は、ささげ業務専門の担当や業者が業務を行うことが多いです。
つまりそれだけ、ECサイトの売上に影響を与える重要な業務になります。よって、ECサイト運営が未経験な方は、ささげ業務専門の運営会社に任せることをおすすめします。
単価が安く広告費をかけるのが難しいECサイトでは有力なマーケティング活動になります。
④集客(フロント業務)
ECサイトを立ち上げただけでは、ユーザーは集まってきません。ユーザーを集客するためには、こちらから積極的なアプローチが必須となります。
ECサイトの場合はWEBマーケティングによる広告がメインになります。
具体的には、以下のような方法があります。
・リスティング広告(検索結果画面に表示される広告)
・ディスプレイ広告(サイト内やアプリの広告枠に表示される広告)
・ショッピング広告(商品の情報が見込み顧客に表示される広告)
・アフィリエイト広告(商品紹介による成果報酬型広告)
・SNS広告(FacebookやInstagram、Twitter、LINEでアカウント運用をして商品を宣伝)
・SEO(自社ブログで情報を発信し、検索流入を狙う)
リスティング広告・ディスプレイ広告はユーザーの行動や特性に合わせた広告を表示する方法で、Web広告(インターネット広告)にあたります。
即効性のある広告にはなりますが、広告掲載予算がかかってしまうため、ECサイト立ち上げ初期では予算を割くことが難しいと思われます
そこでコンテンツマーケティングやSNSマーケティングを活用することをおすすめします。
コンテンツマーケティングは予算を掛けずにプロモーションができます。
即効性は感じにくいですが、中・長期的な集客戦略として有効的です。
SNSマーケティングも、拡散力が高いので、一度拡散されれば、ファンも急激に増え、自社ECサイトや実店舗への集客を増やすことができます。
⑤受注管理(バックエンド業務)
受注管理では、注文の受付〜出荷管理で発生する業務を行います。
具体的には、以下のような作業になります。
注文書の確認や入力
在庫の確認
お客様へ商品の注文状況を知らせるメールの送信
受注伝票、注文請書の作成
出荷指示
受発注処理では、「的確さとスピード」が大切になります。速く効率よく受注管理を行うことが、ECサイト全体のクオリティ人件費の削減や顧客関係の向上に繋がります。
しかし、どれだけ注意してもヒューマンエラーは起こります。
受注管理でミスがあると、顧客に大きな不信感を与えてしまいます。
そのため、受注ワークフローを一元管理できるシステムの導入をおすすめします。
⑥在庫管理(バックエンド業務)
在庫管理とは、仕入れた商品をどこに・いくつ保管しているのかを管理する業務です。
ECサイトにユーザーが訪れ、商品の購入意欲があっても「在庫ゼロ」ですと、せっかくの購入機会を逃してしまいます。
このように在庫管理は売上に直結するため、重要な業務になります。
ショップや多くのモール展開をしているECサイトの場合、在庫の管理が難しいため、在庫を一元管理できるシステムの導入を検討したほうが良いでしょう。
⑦ 梱包・配送 (バックエンド業務)
注文を受けた商品は、倉庫からピッキングし梱包した後、配送業者に引き渡します。
梱包の際にはラッピング対応したり、お礼メッセージを同梱すると、顧客満足度が上がりやすいのでおすすめです。
梱包資材でコストダウンを図ることも大切ですが、梱包状態が悪いと顧客に悪印象を与えますから、コストと耐久性の両面から梱包資材を選びましょう。
そして配送業者選びも大切です。配送する商品の大きさや個数によって、配送業者ごとの送料は異なります。各業者の強みを比較し、状況ごとに業者を使い分けると送料を節約することができます。
⑧アフターフォロー(バックエンド業務)
ユーザーとの取引完了後に行うアフターサービスは、リピーターの獲得につながる大切な業務です。
次回購入時に使用可能なクーポンを配布すると、リピーターとして再度購入してもらう可能性が高くなります。
しかし、過度なメールによるアフターフォローは嫌がられることもありますので、クーポン券の乱発などでECショップの印象を悪くしないように適度に配信することが大切です。
万が一、お客様からクレームが発生した場合も、迅速かつ丁寧に誠意に対応できれば、逆にファンになってくれる可能性が高まります。
⑨分析・改善(フロント業務)
サイト訪問者の行動を分析すれば、既存のECサイトをより販売力のあるサイトへと改善できます。
例えば、Googleアナリティクスといった解析ツールを利用して、自社ECサイトへの流入元やアクセス数、検索キーワードなどを分析すると、サイトの課題が浮き彫りになります。
これをもとに、SEO対策やマーケティング戦略などの方針を修正しましょう。
ECサイト運営で売上を伸ばすコツ

ECサイトの売上を伸ばすコツは数多くあります。その中でもおすすめの施策を3つ紹介します。
1. 商品コンセプトを設計する
2. 集客導線を設計する
3. リピーターを育成する
一つずつ見ていきましょう。
①商品コンセプトを設計する
ネット上には、自社と同じような商品を販売する競合他社が数多くいます。
その中から自社の商品を選んでもらうためには、競合との差別化や自社ならではの強みを打ち出していかなければなりません。
それを商品コンセプトとしてユーザーに訴求できれば、より売上のアップが期待できます。
なお、具体的な方法については「売れる商品のコンセプト設計手順とは?」で解説しています。自社のマーケティング施策や商品コンセプトに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
②集客導線を設計する
ECサイトの売上を伸ばすうえで、「どれだけユーザーを集客できるか」は非常に重要です。
また、ただユーザーを集めるだけでなく、商品購入に至るまでの導線がスムーズであるほど購入率は上がります。
ユーザーの立場に立ったうえで、集客導線やサイト内のデザインなどを整えましょう。
とはいえ、具体的にどのように改善すればいいか分からない方も多いと思います。
「集客効果を上げる!ECサイトへの集客導線の秘訣」では、集客導線の整え方などを無料で紹介しています。集客力を高めたい方は、ぜひあわせてご一読ください。
③リピーターを育成する
自社商品のファンやリピーターを増やすことができれば、集客をしなくても商品を購入してくれたり、良い口コミが広がって宣伝になったりします。
・丁寧なアフターフォロー
・購入回数に応じた割引
など、リピート購入につながる施策は積極的に行いましょう。
なお、リピーターを増やすうえで特に効果的な方法が「CRM(顧客関係管理)」です。
より詳しい内容は「リピート顧客を作るLTV最大化」にて紹介していますので、ぜひ無料ダウンロードして参考にしてください。
成果を上げる最適なシステムの選び方

ここまで、ECサイト運営の業務内容や売上アップのコツなどを紹介しました。
とはいえ、実際に成果を上げるためには「そもそも自社に最適なECシステムを選んでいるか」も重要なポイントです。
実際、システムの機能性やカスタマイズ性などに課題があり、他のシステムに乗り換える事例は少なくありません。
売上拡大や業務効率化につながらないシステムをずっと使っていても、貴重な機会を失ってしまうだけです。
そこで、ECシステムにはどのような種類があるのかを改めて見ていきましょう。
システムの種類 | メリット |
デメリット |
モールEC (モール内に出店) |
・モール経由での集客を狙える ・モールのブランド力を活かせる |
・カスタマイズ性が低い ・利益率が高くない ・データを自由に取得・分析できない |
ASP (必要な機能をレンタル) |
・コストを比較的抑えやすい ・専門的な知識がなくても使える ・出店が比較的しやすい |
・デザイン性、拡張性が低い ・外部連携に制限あり |
オープンソース (ソースコードをカスタマイズ) |
・システム自体が無料 ・カスタマイズ性が比較的高い |
・高い専門的スキルが必要 ・セキュリティリスクが高い |
パッケージ (パッケージをもとに独自開発) |
・デザイン性、拡張性が高い ・外部システムとの連携も可能 ・セキュリティが強固&サポートも得やすい |
・比較的コストがかかりやすい ・システムのアップデートが必要 |
フルスクラッチ (ゼロから自社開発) |
・デザイン、機能ともに自由自在 ・内製化により高速PDCAが可能 |
・膨大なコストと長い期間が必要 ・高い専門的スキルが必要 |
この通り、ECシステムの種類によってメリットやデメリットは大きく異なります。
はじめは納得して選んだECシステムも、事業の拡大やニーズの変化によって、なかなか成果が出にくくなったり、使い勝手が悪くなったりすることもあります。
もしそのようなことがあった場合、「今使っているECシステムは自社に最適なのか」をぜひ改めて検討してみましょう。
ECサイト運営で売上改善が成功した事例

それでは実際に、ECサイトの運営を改善して売上を伸ばした事例を見てみましょう。
セレクチュアー株式会社は、インテリア雑貨を主に扱う「アンジェweb shop」を運営しています。
もともとはモールECを中心に売上を伸ばしていたものの、
・ブランディングのしにくさ
・カスタマイズ性の低さ
などから、自社のファンを増やすことが難しい状況でした。
そこで、自由度が高くセキュリティも強い「パッケージ型の自社EC」を新たに立ち上げることに。
導入直後はモールの売上が大半を占めていましたが、徐々に売上を拡大し続け、EC事業全体の売上はなんと前年比180%を達成しました。
成功した要因は、自社ECならではの自由度の高さを活かし、
・セグメント別にユーザーに合ったアプローチ
・リピートしやすい店作り
などの独自施策をどんどん実現できたことが大きいとのこと。
このように、ECサイトのシステムを見直したり、運営を改善したりして売上を伸ばした成功事例は他にも多くあります。
実際、弊社W2が提供するカートシステムの導入企業は、平均売上成長率354%を達成しています。
詳しくは「W2導入事例」にまとめているので、ぜひ無料ダウンロードしてご一読ください。
ECサイト運営で売上拡大・業務効率化を目指そう

改めて、本記事のポイントをまとめます。
・ECサイトの運営業務は仕入れや集客、受注、配送、フォローなど多岐にわたる
・EC運営で売上を伸ばすコツは集客導線の設計、リピーター育成、休眠顧客の掘り起こしなど
・EC運営で成果を上げるには、自社に合った最適なカートシステム選びも重要
ぜひ本記事の内容を参考に、ECサイト運営を進めてみてください。
なお、カートシステムの都合により自由に施策が打てなかったり、業務を効率化できなかったりする場合、システムを乗り換えることで大幅に成果を改善できるケースがあります。
日々の業務をかしこく効率化しながら売上を伸ばす方法は下記資料で詳しく紹介しています。
資料は無料ダウンロードできるので、ぜひあわせてご一読ください。