
通販サイト(ECサイト)の運営には、ショッピングカートの導入が欠かせません。
しかし、利用できるショッピングカートシステムにはさまざまな種類があるため、どれを選べばよいのか迷ってしまうサイト運営者も少なくないでしょう。
そこで、ショッピングカートシステムの概要や必須の機能、選び方などについて具体的に紹介していきます。
定期通販におけるショッピングカートシステムとは?
ショッピングカートシステムとは、通販サイトなどが注文を処理するために利用するサービスやソフトウェアのことです。
ユーザーが欲しい商品を選んで「買い物カゴ」に入れ、「レジ」画面に進んで決済を完了させるまでの処理を担っています。
通販サイトにはなければならないシステムだといえますが、その種類はさまざまです。
また、多くのショッピングカートシステムには、買い物カゴとレジ以外にも通販サイト運営に役立つ機能や特徴が多数備わっています。
そのため、利用するシステムを選ぶ際には、各種機能の意味や必要性をよく理解したうえで比較・検討することが重要になってきます。
この点は、企業のサイトでも個人運営のサイトでも違いがありません。
ショッピングカートシステムは、機能面だけでなく通販サイトの特性にあわせて選ぶことも大切です。
サイトのジャンルや取り扱い商品の種類のほか、ユーザーに与える印象や利便性などについても考慮するとよいでしょう。
通販サイトでは、ショッピングカートの品質が売り上げを左右することも考えられます。
例えば、ユーザーが買い物カゴに入れた商品と関連のある別の商品も紹介できるシステムを選べば、販売機会の拡大につながる可能性があるでしょう。
一方、使い勝手の悪いシステムを選ぶと、せっかく購入する意思があっても決済の直前で離脱するユーザーが増えてしまうかもしれません。
定期通販に力を入れている場合は、それに適したショッピングカートシステムを選ぶことも忘れないようにしましょう。
1回限りの販売と定期通販とでは、必要になる機能が異なるためです。
また、自社サイトにあわせてどの程度カスタマイズできるかという点も考慮すべき点のひとつです。
無料ではじめられるASP(アプリケーションサービスプロバイダ)タイプでもある程度なら見た目などを簡単に変えられるものが多いですが、より独自性の高い機能を求めるならパッケージ型のシステムを購入したほうがよいケースもあります。
社内に技術者がいる場合は、オープンソースタイプを選択肢に含めて検討するのもよいでしょう。
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失敗しないカートシステムの選び方!
ショッピングカートシステムは機能や特徴を理解して選ぶことが大切ですが、そのためにはポイントになる部分があります。
ここからは、自社に適したシステムの選び方について紹介していきます。
基本機能
ショッピングカートの導入にはASPからレンタルして利用する方法もあれば、パッケージ型の製品を自社サイトに組み込む方法もあります。
しかし、どのようなシステムを利用する場合でも、通販サイトに求められる基本機能に大きな違いはありません。
もっとも重要な買い物カゴとレジのほかに必要な機能が揃っていることを確認しましょう。
基本機能には、大きく分けると「管理するための機能」と「売り上げを伸ばすための機能」の2種類があります。
前者は取り扱い商品の種類や在庫を登録したり、受注があった商品の素早い出荷を支援したりする機能です。
管理業務の効率化という視点から、自社に必要な機能が備わっているかどうかをチェックするとよいでしょう。
後者は使いやすいデザイン(ユーザビリティ)でサイトからの離脱を防げるようになっているかどうかや、離脱したユーザーをフォローして再訪問してもらう機能があるかといったことです。
成約率の向上とリピーターの獲得という観点から、必要な機能をチェックしましょう。
フォーム一体型LP
販売機会の拡大のために、ランディングページ(LP)を活用している通販サイトは多いでしょう。
ランディングページとは広義にはユーザーがサイト訪問時に最初に目にするページのことですが、通販サイトでは特にダイレクトメールやSNSでの告知、インターネット広告などの誘導先になっているページを指します。
このページはほかの商品ページとは独立したもので、特に紹介したい商品について特徴やメリットなどを詳しく説明することで購買意欲を高めます。
つまり、特定の商品のコンバージョン率を高めるために設計されたページがランディングページです。
ランディングページを閲覧して商品に興味をもったユーザーに対しては、注文するまでの手順を最適化することが大切です。
ほかの商品と同様に通常の商品ページに移動して買い物カゴに入れ、さらにレジに進んでもらうという手順では、画面遷移の回数が多いせいで離脱してしまうかもしれません。
ランディングページ内に申し込みフォームを組み込み、せっかく高まった購買意欲が冷めないうちに決済まで完了できるようにするのがよいでしょう。
このようなフォーム一体型のランディングページを作れるかどうかは、任意のページにフォームを埋め込む機能をショッピングカートシステムが備えているかどうかによって決まります。
ランディングページを活用してコンバージョンを増やすことを考えている場合は、これを自社にとっての基本機能だと考えてショッピングカートシステムを選ぶようにしましょう。
アップセル・クロスセル
大手通販サイトなどで買い物カゴからレジに進むとき、気になる関連商品が表示されるのを目にした経験があるという人は多いのではないでしょうか。
これは「アップセル」や「クロスセル」と呼ばれており、売り上げアップに一定の効果があることが心理学的にも説明されているマーケティング手法です。
ユーザーがある商品の購入を決めたときにタイミングよくアプローチすると、ほかの商品も買ってもらえる可能性が高くなるといわれています。
アップセルとは、買い物カゴに入れるなどしてユーザーが注目している商品に対して、より上位の商品や定期購入を提案することです。
これにより、通常であればなかなか売れない高額商品でも買ってもらえる確率が高まります。
クロスセルとは、ユーザーが注目している商品と組み合わせて使える別の商品を紹介することです。
これにより、あわせ買いを促すことができます。
アップセルとクロスセルは、どちらも客単価の向上が期待できる手法です。
客単価が上がれば、ショッピングカートの費用対効果も向上するでしょう。
そのため、これらの機能が備わっているかどうかが、ショッピングカートシステムを選ぶ際のひとつのポイントだといえます。
ユーザーに魅力的な提案をするためには取り扱い商品の種類がある程度必要になるという面はありますが、都度購入しようとしているユーザーに定期購入をすすめるというアップセルの方法もあります。
単品購入も可能な定期通販サイトでは、比較的導入を検討しやすいでしょう。
ステップメール機能
一度でも自社サイトを訪れたユーザーに対しては、何らかの形でアプローチを続けることが大切です。
商品を購入したことがあるユーザーには、リピーターになってもらえる確率が高くなります。
まだ購入したことがない場合でも、新規顧客になってもらえる可能性があります。
心理学では、人は接触機会の多いものに対して親近感を覚えるとされているためです。
ユーザーとの接点を保ち、サイトや商品の存在を効果的にアピールし続けましょう。
通販サイトでは、メールがユーザーとの主要な接点になります。
メールマガジンを発行するという方法もありますが、リピート率を最大化させることを考えるならステップメールの活用を検討するとよいでしょう。
ステップメールとは、事前に用意しておいた複数のメールをユーザーのタイミングにあわせて段階的に送信していく手法です。
同じ内容を一斉配信するメールマガジンとは違って一定のシナリオに沿ったアプローチが可能なため、サイトを訪問したユーザーをフォローして再訪問を促しやすいのが特徴です。
ステップメールに特化したサービスも複数ありますが、通販サイトではステップメール機能が統合されたショッピングカートシステムを選ぶほうが業務を効率化しやすいでしょう。
シナリオに沿ったメールの内容を事前に設定しておくだけで、メールアドレスを登録してくれたユーザー宛にメールを予約配信できます。
これにより、通販サイトの宣伝や集客がある程度自動的に行えるようになります。
決済方法
インターネットでのショッピングに利用できる決済方法には、クレジットカード払いや銀行振込、代金引換などさまざまな種類があります。
通販サイトがどの決済方法に対応しているかは、ユーザーの利便性にも関わる重要事項です。
ショッピングカートシステムを選ぶ際には、主要な決済方法に対応しているかどうかを必ず確認しましょう。
定期通販サイトの場合は、「単品リピート」や「定期購入」と呼ばれる継続課金機能を備えたシステムを選ぶ必要があります。
システムによっては、決済方法ごとに課金の手順が変わる場合があるので事前に確認しておきましょう。
特に、コンビニ後払い決済は店舗側の業務負荷が高くなるケースもあるので注意が必要です。
具体的な処理内容についてはシステムごとに異なりますが、NP後払いでは課金処理のたびに取引情報に基づいた与信審査や配送伝票の登録が必要になるケースもあります。
これは代金未回収のリスクに備えるための仕組みですが、業務効率化のためには決済方法にかかわらず毎回自動的に課金できる仕組みがあれば望ましいといえます。
費用
ここまでは主に機能面について注目してきましたが、ショッピングカートシステムを選ぶ際には費用も重要なポイントになります。
システム導入の際の初期費用だけでなく、月額費用や決済手数料といった料金もかかるためです。
また、定期購入に対応したショッピングカートシステムは、都度購入のみに対応したものと比べると料金が割高になることも少なくありません。
そのため、せっかくリピーターになってくれるユーザーがいるのにもかかわらず、毎月のシステム利用料がネックになって販売を継続できなくなるケースも考えられます。
ショッピングカートシステムにどの程度の予算をかけられるのかは、長期的な視点で決めておくことが大切です。
顧客分析ツール
顧客分析とは、ユーザーがどのような経路で通販サイトにたどり着いたのか、サイト内でどのような行動をとったのかなどの情報を収集し、さまざまな観点から集計・分析することです。
ユーザーの行動が明らかになれば、今後の運営や販促などに役立てることができます。
顧客分析は、手作業で行おうとすると大変な手間がかかります。
アクセス解析ツールを用いるか、同等の機能を備えたショッピングカートシステムを選ぶのが現実的でしょう。
ショッピングカートシステムに分析機能が統合されていれば、CRMの観点から情報を活用することも可能になります。
サイト全体をまとめたデータだけではなく、ユーザーごとの購入額や購入に至るまでの経路などを個別に追跡できるようになっていれば、より実用性が高いといえます。
サポート体制
オープンソースタイプのシステムを自力で導入しない限り、ショッピングカートは提供元からサポートを受けながら利用することになるでしょう。
具体的には、ASPのサービス事業者やシステム開発会社などが提供元にあたります。
実際に利用していくなかで機能の使い方について質問したくなったときなどはもちろん、万が一のトラブルの際にもサポート品質の高さは重要です。
そのため、円滑なコミュニケーションがとれるサポート窓口が用意されているかどうかもシステムを選ぶ際のポイントになります。
公式情報だけではなくできればレビューサイトの口コミ情報なども参考にして、サポート体制が十分か判断するとよいでしょう。
安全性(サーバー、セキュリティ)
通販サイトでは、配送先の住所や決済情報などの個人情報をユーザーから預かる必要があります。
もし、これらの情報が自社サーバーから外部に流出してしまうと、大きな信用問題や補償問題にもつながりかねません。
そのため、通販サイトが利用するショッピングカートシステムでは、ユーザーの個人情報を安全に管理できるセキュリティが何より大切です。
具体的にどのような方法でセキュリティを確保しているのかを確認するには、システム提供元による情報のほか、比較サイトの情報も参考になります。
これまでの採用実績などもしっかりと確認し、信頼できるかどうかを判断したうえで導入を決めるようにしましょう。
自社にぴったりなカートシステムを活用しよう!
通販サイト向けショッピングカートシステムの概要や基本機能、選び方について紹介しました。
最適なシステムを選ぶには、ほかにもシステム提供元による公式情報やレビューサイト、比較サイトなどの情報を判断基準に加えるとよいでしょう。
自社の特徴や状況に応じて、何が重要かを多角的に考えることが大切です。
十分に比較・検討して、ベストなカートシステムを導入しましょう。