
コンバージョン率は、売り上げをアップさせたいECサイトにとって重要な指標
のひとつです。
思うようにコンバージョン率が伸びず、どうすればよいのかと日々悩んでいる運
営者は多いかもしれません。
そこで、ECサイトのコンバージョン率を向上させるためにはどこに注目し、
どのように改善していけばよいのかについて詳しく紹介します。
1.コンバージョン率と計測方法
「コンバージョン率」は、ECサイトを運用していれば必ずといってよいほど耳
にする言葉です。
しかし、あらためてその意味を聞かれると、正確に答えられる自信がない人もい
るかもしれません。
まずは、コンバージョン率という用語の正しい意味と、その計測方法について
おさらいしましょう。
1-1.コンバージョン率とは
コンバージョン率について正しく知るためには、「コンバージョン
(conversion)」という言葉の意味を理解しておく必要があります。
これは、もともとは「転換」という意味を持つ英語ですが、マーケティングの
世界では特に「顧客への転換」を意味します。
はじめは顧客ではなかった人が、何らかのアクションを起こしたときに顧客にな
ると考えるのです。
ECサイトの場合は、サイト訪問者が商品を購入したときにコンバージョンが発
生したと考えればよいでしょう。
「コンバージョン率(Conversion Rate)」とは、コンバージョンが発生する割
合のことです。
具体的には、サイト訪問者数に対するアクションを起こした(購入した)人の割
合を計算します。
例えば、100人がサイトにアクセスし、そのうち10人が商品を買ってくれたとし
たら、「コンバージョン率は10%」です(10人÷100人×100=10%)。
人数がはっきりわからない場合は、セッション数で計算します。
なお、表記のしかたには「CV率」や「CVR」のほか「コンバージョンレート」
などがあり、より直接的に「成約率」と呼ばれる場合もあります。
1-2.コンバージョン率の計測方法
ECサイトのコンバージョン率を知るためには、「Google アナリティクス」など
のアクセス解析ツールを活用するのが一般的です。
適切に設定すれば、日々のサイト訪問者数とコンバージョンの発生数が自動的に
計測され、コンバージョン率まで計算・追跡が可能になります。
Google アナリティクスの場合は、ユーザー登録後に「トラッキングコード」と
呼ばれるIDを取得し、これをECサイトに埋め込めば計測を開始できます。
なお、コンバージョンの発生数を計測するには、「サイト訪問者のどのような
アクションをコンバージョンとみなすか」という設定も必要です。
そのため、Google アナリティックスには「目標」という管理項目があり、コン
バージョンとしてカウントするものを指定できるようになっています。
ECサイトの場合は商品の購買が目標なので、「購入完了ページ」が表示された
ときにコンバージョンとしてカウントする設定にしておくとよいでしょう。
1-3.ECサイトのコンバージョン率の目安
ECサイトのコンバージョン率が具体的な数値として計測できるようになると、
それが高いのか低いのかが気になってくるものです。
しかし、何パーセント以上ならよいというような指標は存在しません。
商品のジャンルや知名度などによって、実際のコンバージョン率には差があるた
めです。
価格についても、高額な商品はコンバージョン率が低めになる傾向があります。
季節や時期によってニーズが変わる商品では、コンバージョン率も変動するでしょう。
とはいえ、コンバージョン率のおおよその目安は1〜3%ほどだといわれています。
小売のECサイトであれば、3%程度を目標にするのがよいでしょう。
ただし、「指名ワード」によるサイト訪問者については別に考える必要があります。
指名ワードとは、具体的なブランド名や商品名などです。
これらを検索ワードとしてECサイトにたどり着いた人は、商品を購入するモチ
ベーションがすでに高い状態にあると考えられます。
その分コンバージョン率も高くなるため、10%以上を目標としましょう。
2.コンバージョン率に影響するページと改善法
ECサイトのコンバージョン率を向上させるには、サイト全体の構成のなかから
重要なページを特定して改善していく必要があります。
しかし、具体的にどのページを改善すべきなのかは、コンバージョン率だけを見
ていてもわかりません。
コンバージョン率はシンプルに「コンバージョン数÷訪問者数」を表した最終的
な成果であり、サイト訪問者が購入にいたるまでのプロセスを可視化しているわ
けではないためです。
購入のための行動には「商品情報を見る」、「商品を買い物かごに入れる」、
「決済情報を入力する」というような段階があることを意識し、それぞれのプロ
セスを通過していく人の割合を詳細に計測する必要があります。
ここからは、プロセスごとの一般的な改善法について紹介していきます。
スマートフォンなどからECサイトを利用する人も増えてきているので、
モバイルデバイスでアクセスした場合の購入のしやすさも考慮しながら
改善を進めていくようにしましょう。
2-1.ランディングページ・商品ページ
ECサイトのトップページでは、主要な取扱商品を掲載するなどして商品ページ
にたどり着きやすくするのが一般的です。
しかし、検索によって流入した訪問者が最初に目にするページ(ランディングペ
ージ)は、トップページとは限りません。
むしろ商品ページや、一覧ページ(商品カテゴリーのページなど)に直接たどり
着くほうが多いのです。
どのページにたどり着いたとしても商品を買い物かごに入れてもらえるような
工夫することが、コンバージョン率の向上につながります。
一覧ページにたどり着いた訪問者については、商品ページに誘導する必要があり
ます。
そのためにはデザイン面に注目してしまいがちですが、より重要なのは商品の
レイアウトです。
どのようなレイアウトがよいのかについては一概にはいえないので、スマートフ
ォンからのアクセスも考慮してテストを繰り返しながら改善していきましょう。
具体的には、目的の商品を探しやすい一覧表示のしかたや、商品同士の比較のた
めにどの程度詳しい情報まで表示するかなどを考慮します。
デザインが重要な衣類などは、画像でのアピールも大切です。
一覧ページから商品ページへの遷移率は40〜50%という調査結果もあるので、
この数字を目安にするとよいかもしれません。
2-2.買い物かご・ショッピングカート
商品ページまでたどり着いた訪問者が、どれくらいの割合で商品を買い物かご
に入れたり、カート画面に遷移したりするのかは重要な計測値のひとつです。
このような割合は「カート投入率」と呼ばれており、5%ほどが平均的な数字だ
といわれています。
ランディングページから商品ページまでたどり着いたという結果は、訪問者はそ
の商品にある程度興味を持っていると考えられます。
カート投入率を向上させるには、商品の購入意欲を高める施策が効果的です。
具体的には、商品の説明文を詳しくしたり、商品写真を増やしたりといった施策
が挙げられます。
商品レビューを積極的に掲載するのも効果的です。
より充実した商品情報の提供がカート投入率の向上につながっていきます。
2-3.決済フォーム・確認ページ
ECサイトの利用者は、商品を買い物かごに入れたあと、決済前に離脱してしま
うケースも少なくありません。
このような離脱の割合は「かご落ち率」と呼ばれており、平均すると70%にもな
ります。
非常に高いようにも思えますが、これは複数の調査結果に裏付けられた数字です。
「Baymard」による2019年の調査では69.57%、「SaleCycle」による2018年の
調査では75.6%(旅行業界では81.1%)、「BI Intelligence」による2013年の
調査では71%ものかご落ちが報告されています。
かご落ちを減らすには、サイト利用者が購入完了前に離脱してしまう原因を取り
除くことが必要です。
原因はひとつとは限らないので、離脱の理由を考えながらひとつずつ対策してい
きましょう。
例えば、買い物かごに商品を入れたことを単に忘れているだけという場合には、
離脱前にメッセージを表示したり、メールでリマインドしたりといった対策が
考えられます。
3.コンバージョン率を下げないためのポイント
ここまではページの種類ごとの改善について触れてきましたが、ECサイトには
特定のページに限らず重要な施策もあります。
ここからは、コンバージョン率を下げないためにサイト全体にわたって考える
べきポイントについて紹介していきます。
3-1.信頼性の担保・向上
ECサイトの利用者に安心して商品を購入してもらうには、サイト運営者として
いかに信頼してもらえるかが肝心です。
そのために有効な施策として、消費者事例を紹介するレビューを公開したり、
商品を利用中のユーザーから提供してもらった写真を掲載したりといった例が
挙げられます。
特に、レビューについてはコンバージョン率の向上に実際に寄与するという調査
結果もあるので、検討してみる価値が大きいといえるでしょう。
運営者として信頼してもらうことに加えて、ECサイトそのものの安全性を示す
ことも重要です。
PayPalのような信頼性の高い決済方法を導入したり、Webサイトの安全性を客
観的に示す「セキュリティバッジ」を表示したりすれば、サイト訪問者からの信
用をさらに得やすくなるでしょう。
3-2.分かりやすさの向上・プロセスの可視化
ECサイトを利用するユーザーの目的は、欲しい商品をみつけて購入することに
あります。
その目的を達成させるには、わかりやすい商品説明の掲載が重要です。
しかし、単に説明を詳しくすれば注文完了までの遷移率が向上するかというと、
そうとも限りません。
商品を注文する際の決済ステップについても、視覚的にわかりやすくなるように
工夫しましょう。
これにより、遷移率やコンバージョン率の向上が期待されるだけでなく、利用者
にとっても商品の購入という目的を達成しやすくなるメリットがあります。
また、サイトのユーザビリティの向上も大切です。
例えば、購入ボタンについてはファーストビューだけでなく、ページ下部にも同
じものを設置したほうが決済率の向上につながります。
このとき、スマートフォンについても考慮することが重要です。
スマートフォンは画面が小さいため、ユーザビリティの良し悪しによってコンバ
ージョン率が大きく変わるケースも少なくありません。
いろいろな機種のスマートフォンで実際に操作してテストを行いながら、最適化
を進めましょう。
3-3.チェックアウトまでのプロセスの簡易化
ECサイト利用者の中には、チェックアウトが面倒だったり、わかりづらかった
りすることが原因で購入をやめてしまう人も少なくありません。
せっかく欲しい商品をみつけて買い物かごに入れてもらったとしても、決済完了
の寸前でかご落ちになってしまうかもしれないのです。
離脱のリスクを抑えるためには、チェックアウトのプロセスをできる限り簡単に
する必要があります。
チェックアウトを複雑化してしまう原因は、いくつも考えられます。
まずは、決済完了までのページ遷移が必要以上に発生していないか、
フォームへの入力項目が多すぎないかなどを確認しましょう。
請求先と配送先の住所が同じ場合に2回入力が必要になっているなど、
自動入力にできる項目がないかどうかも確認しておくとよいポイントです。
また、決済手段の多さや選びやすさ、最終的な金額表示のわかりやすさなども重要です。
3-4.サイト表示速度の向上・エラーの防止
サイトの表示速度が遅すぎることも、コンバージョン率に悪影響を与える原因に
つながります。
ECサイトはとびきり高性能である必要はありませんが、利用者を苛立たせない
程度の表示速度は求められます。
Googleが提供する「PageSpeed Insights」などのサービスを利用して、サイト
の速度を客観的に評価してみるとよいでしょう。
もし、遅すぎることが判明した場合は、コンテンツそのものが重いのか、それと
もJavaScriptの使い方などサイトの作りに問題があるのかを突き止めて改善しなければいけません。
また、閲覧中のエラー発生も、利用者が離脱する原因になります。
システム上の不具合などによるエラーは、放置するとECサイトの信頼を損なう
一因にもなるため、できる限り速やかに解消しましょう。
サイトの使い方や入力内容によって生じるエラーの場合でも、なぜエラーになる
のかがわからなければ、利用者にとっては不具合と区別がつきません。
エラーの理由をわかりやすく表示して、利用を続けてもらえるようにしましょう。
3-5.配送・サービス品質の向上
ECサイトの利用者は、購入の際にサービス内容もチェックしています。
特に、配送料がかかるかどうかと、万が一の場合の返品が可能かどうかは重視さ
れる傾向があります。
そのため、「送料無料・返品可」とすれば、コンバージョン率の向上が期待でき
るでしょう。
さらなる向上のためには、迅速な配送によって差別化したり、気軽に問い合わせ
ができるサポート体制を整えたりといった施策も考えられます。
商品そのものだけでなく、ECサイト全体としてのサービス品質を向上させていきましょう。
ユーザープロセスを可視化して細かいチューニングを
ECサイトの売り上げを伸ばしたいなら、コンバージョン率を知るだけでは十分
とはいえません。
サイト訪問者が商品の購入にいたるまでの行動を細分化して計測し、数値で可視
化すれば、そこではじめて改善が可能になるからです。
ユーザープロセスの段階ごとに計測にもとづいた最適化を進めていけば、
サイト全体としてのコンバージョン率の向上も期待できるでしょう。
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