【2026年】越境ECランキング|アメリカ・中国・韓国・台湾・東南アジアの主要モール
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【2026年】越境ECランキング|アメリカ・中国・韓国・台湾・東南アジアの主要モール

EC事業計画

越境ECを検討し始めると、「どの国が大きいのか」「その国でいちばん使われているモールはどこか」が気になります。ところが検索してみると、中国と米国だけの記事、単位のそろっていない表、出所の書かれていない順位表が並んでいて、自社の判断に使える数字になかなかたどり着けません。

ランキングの難しさは、数字そのものにあります。Amazonの売上にはクラウド事業が、ウォルマートの売上には店舗が含まれます。アリババ、京東、拼多多は、決算でGMVを示していません。「売上ランキング」と呼ばれる表の多くは、中身の違う数字を1列に並べたものです。順位だけを見て国やモールを決めると、費用や条件の読み違いにつながりかねません。

この記事は、世界のEC市場を国の大きさから確認し、主要な事業者の規模を数字の種類ごとに分けて並べたうえで、米国・韓国・台湾・東南アジア、そして中国の特徴を順にたどる構成です。国ごとの少額輸入のルール、現地のモールに出す方法と自社の越境ECサイトを持つ方法の違い、そして自社サイトで進める場合の入口まで、続けて読めるようにしました。

数字には、公式の統計・決算、調査会社の推計、報道という種類の違いがあるため、出所と種類を書き添えています。越境ECの定義や始め方の基本は越境ECとは?で、国内のモールの規模は国内のECサイトランキングで確認できます。この記事は海外の国とモールに絞った内容です。

この記事でわかること

中国と米国(アメリカ)です。ジェトロが引く調査会社eMarketerの推計では、2024年の世界のEC小売は6兆70億ドル。うち中国が50.5%、米国が19.8%で、2か国で約7割を占めます。続くのは英国3.7%、日本2.8%、韓国2.2%です。日本の事業者が売る相手として見ると、経済産業省の調査では、2024年に中国の消費者が日本の事業者から買った額は2兆6,372億円、米国の消費者は1兆5,978億円でした。

米国はAmazon、ウォルマート、eBay、Etsy。韓国は、数字を確認できたクーパンとネイバー。台湾はmomo、PChome、蝦皮(Shopee)。東南アジアはShopee、TikTok Shop(Tokopedia含む)、Lazadaです。中国は、アリババの天猫・淘宝を筆頭に京東、拼多多、抖音電商が続きます。各社が出す数字の種類が違うため、種類を書き添えて並べました。

同じ指標で並べられる公式データはありません。GMV(取引総額)を決算で公表している事業者では、2025年にShopee(Sea Limited)が1,274億ドル、eBayが796億ドル、MercadoLibreが650億ドル、Etsyが119億ドルでした。Amazonとウォルマートは売上が7,000億ドル台ですが、クラウド事業や店舗の売上を含み、GMVは示していません。

少額の荷物の扱いが国ごとに違い、近年に変わった国もあります。米国は2025年8月29日に、800ドル以下の免税を全世界からの荷物で廃止しました。韓国は150ドル(米国からは200ドル)以下が目録通関の目安で、受け取る人の個人通関固有符号が要ります。ベトナムは2025年2月に100万ドン以下の免税を廃止し、タイは2026年1月から1バーツ以上に関税をかける方針が報じられました。

目的で分かれます。決算の数字から売上高をGMVで割ると、モールの収益は取引額の1割強から2割強にあたりました(Shopeeのマーケットプレイス収益は11.4%、eBayは13.9%、Etsyは24.2%)。出店者が払う手数料率そのものではありませんが、取引が増えるほどモールへの支払いも増える構造は共通です。反応を試す段階はモール、リピートで利益を出す段階は自社サイト、という使い分けが現実的です。

目次
  1. 01|越境ECの国別ランキング:EC市場は中国と米国で約7割
  2. 02|世界のECモール・事業者の規模:GMVと売上高を数字の種類別に比べる
  3. 03|国別の主要モールと市場の特徴:米国・韓国・台湾・東南アジア・中国
  4. 04|日本企業の参入方法:現地モールへの出店と、自社の越境ECサイト
  5. 05|自社の越境ECサイトのメリットと、自分で組む部分
  6. 06|W2 Commerce Asia:アジアに向けた自社の越境ECサイト
  7. 07|越境EC参入の進め方と、始めたあとの確認方法
  8. 08|越境ECランキングに関するよくある質問
  9. 09|まとめ:次にとる行動

越境ECの国別ランキング:EC市場は中国と米国で約7割

「どの国に売るか」を決める前に、国の大きさを確認します。国の順位には、国内向けも含めたEC小売の市場規模と、国どうしの越境購入額という2つの見方があります。

世界のEC市場規模ランキング(2024年)

ジェトロの「世界貿易投資報告2025年版」は、調査会社eMarketerの推計をもとに、世界のEC小売市場を示しています。2024年は6兆70億ドルで、前年より7.7%増えました。2028年には7兆8,860億ドルになる予測です。

順位 国 EC小売市場規模(2024年) 世界に占める割合 2019年 2028年(予測)
1位 中国 3兆361億ドル 50.5% 1兆7,595億ドル 3兆9,093億ドル
2位 米国 1兆1,923億ドル 19.8% 5,747億ドル 1兆6,094億ドル
3位 英国 2,196億ドル 3.7% 1,305億ドル 2,566億ドル
4位 日本 1,656億ドル 2.8% 992億ドル 1,990億ドル
5位 韓国 1,312億ドル 2.2% 779億ドル 1,656億ドル

出所:ジェトロ「第3項 世界のEC市場」(eMarketer「Retail Ecommerce Sales」を引用)【第三者推計】

中国と米国で約7割を占め、3位の英国と比べると、中国は約14倍、米国は約5倍の規模です。5位の韓国までを合わせても、世界全体の約8割にとどまります。

2019年からの5年間で、中国は約1.7倍、米国は約2.1倍に増えました(金額からの計算値)。日本、韓国、英国は、いずれも約1.7倍です。米国の伸びが目立つ一方で、日本の事業者の目線では、後に見るとおり、売り先としての実績は中国が上回っています。

この表を読むときの注意が2つあります。1つは、各国の国内の購入を含む市場規模で、海外の消費者に売れる大きさとは別のものだという点。もう1つは、民間の調査会社の推計で、国の統計とは定義が異なるという点です。たとえば韓国は、国家データ処の統計(2025年に272兆398億ウォン)とは対象も通貨も違うため、この表と並べて割り算はできません。台湾と東南アジアは上位5か国に入っていませんが、市場の大きさは「国別の主要モールと市場の特徴」の章で別の統計から確認します。

世界のEC小売市場の国別シェア(2024年)。中国50.5%、米国19.8%、英国3.7%、日本2.8%、韓国2.2%

国どうしの越境購入額:日本・米国・中国の3か国間(2024年)

越境ECに絞った公的な数字は、経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」にあります。対象は日本・米国・中国の3か国の間に限られ、消費者の国ごとに、どの国の事業者から買ったかが分かれています。

購入した国(消費者) 日本の事業者から 米国の事業者から 中国の事業者から 合計
中国の消費者 2兆6,372億円(前年比+8.5%) 3兆1,397億円(前年比+6.0%) — 5兆7,769億円
米国の消費者 1兆5,978億円 — 1兆1,166億円 2兆7,144億円
日本の消費者 — 3,945億円 466億円 4,410億円

出所:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日公表、概要p.10の図表1-8)【公式統計】

日本の事業者が売る側から見ると、中国の消費者への販売が2兆6,372億円、米国の消費者への販売が1兆5,978億円で、合わせて4兆2,350億円です(計算値)。日本の消費者が海外の事業者から買う額は4,410億円ですから、日本は「売る側」が大きい国といえます。

ただし、この調査の対象は日本・米国・中国の3か国間だけです。韓国、台湾、東南アジアへの販売額は、この表に含まれていません。世界全体の越境EC小売市場については、ジェトロが英国の調査会社Euromonitor Internationalの数字として、2024年に5,210億ドル(2015年から約5倍)と紹介していますが、先に見たeMarketerの推計とは出所が異なるため、世界のEC小売に対する割合は計算していません。

世界のECモール・事業者の規模:GMVと売上高を数字の種類別に比べる

「世界最大のECモールはどこか」という問いに、1つの順位で答えるのは困難です。公表している数字の種類が、事業者ごとに違うからです。

4種類の数字の違い

数字の種類 意味 主な出所 読むときの注意
GMV(取引総額) モールで売買された商品の代金の合計 決算発表 出店者の売上が中心で、モール自身の収入ではない。集計の範囲は各社の注記で確認する
売上高 事業者の決算上の収入 決算発表 自社で仕入れて売る分、出店者から受け取る手数料・広告収入、クラウドなど別の事業が混ざる
市場規模 国のEC小売全体の売上 官庁、調査会社 特定のモールの大きさではない
シェア 全体に占める割合 調査会社 分母の定義で値が変わる

GMVは「モールでいくら売買されたか」、売上高は「モールがいくら稼いだか」を示します。たとえばeBayの2025年は、GMVが796億ドル、売上高が111億ドルでした。同じ会社の数字でも7倍以上の開きがあり、この2つを同じ列に並べると、順位は成り立ちません。

GMVを公表している事業者(2025年)

ドル建てでGMVを公表している事業者に限れば、金額で並べられます。

順位 事業者(主な市場) GMV 前年比 補足
1位 Shopee(Sea Limited) 1,274億ドル +26.8% 注文は139億件(+27.2%)。東南アジアのほか台湾やブラジルなどを含む全社の数字
2位 eBay(世界) 796億ドル +7% アクティブバイヤーは1億3,500万人(2025年12月末)
3位 MercadoLibre(中南米) 650億ドル +26% 販売点数24億点、ユニークバイヤー1億2,000万人超
4位 Etsy(世界) 119億ドル −5.3% 指標名はGMS(gross merchandise sales)。Depopを含む連結で、Reverbは2025年6月2日に売却

参考:Sea Limited、eBay、MercadoLibre、Etsyの2025年通期の決算発表【公式決算】

1位のShopeeは、Sea Limited全社でのShopeeのGMVです。東南アジアの数字だけではないため、地域別の規模は、東南アジアの章で別の調査から確認します。Etsyのように指標名が「GMS」と異なる事業者もあり、定義の細部は完全には同じではありません。それでも、ドル建てで、モール上の取引額を示す数字という点は共通しているため、おおまかな規模の目安として並べられます。

中国では、快手がEC GMVを1兆5,981億元(+15.0%)、唯品会がGMVを2,135億元(+2.0%)と公表しています。元とドルは換算せず、上の表とは別に扱いました。中国の7つのモールの比較は、中国ECモールランキングにまとめています。

売上高を公表している事業者(2025年)

GMVを示していない事業者もあります。売上高は決算で確認できますが、売上の中身が事業者ごとに違うため、順位ではなく中身を添えて並べました。まずドル建ての事業者です。

事業者 売上高(2025年) 前年比 売上の中身・補足 GMVの記載
Amazon 7,169億ドル — 北米4,263億ドル、国際1,619億ドル、AWS(クラウド)1,287億ドル 決算資料に記載なし
ウォルマート(2026年1月期) 7,064億ドル(純売上高) — 米国4,830億ドル、国際1,304億ドル、サムズクラブ930億ドル。店舗の売上を含む 決算資料に記載なし。第4四半期のグローバルeコマースは+24%
Coupang 345億ドル +14%(為替の影響を除くと+18%) Product Commerce 296億ドル、Developing Offerings 49億ドル 決算資料に記載なし
MercadoLibre 289億ドル +39% コマース163億ドル、フィンテック126億ドル 650億ドル
Sea Limited 229億ドル +36.4% Shopeeのほかの事業を含む全社の数字 Shopee 1,274億ドル
eBay 111億ドル +8% — 796億ドル
Etsy 28.8億ドル +2.7% — 119億ドル

出所:Amazon 10-K、ウォルマート 10-Kと第4四半期決算発表、Coupangほか上記各社の決算発表【公式決算】

次に、ドル以外の通貨で売上高が出ている事業者です。通貨が違うため、金額の大小は比べられません。

通貨 事業者 売上高 売上の中身・補足
人民元 京東(2025年通期) 1兆3,091億元(+13.0%) 商品販売収入が78.2%。GMVは決算発表に記載なし
人民元 アリババ(中国EC事業、2026年3月期) 5,542億元(+9%) ECの部分のうち顧客管理収入が3,439億元。GMVは非開示
人民元 拼多多(2025年通期) 4,318億元(+10%) 広告などが50.4%、取引サービスが49.6%。GMVは非開示
ウォン Naver コマース部門(2025年) 3兆6,884億ウォン(+26.2%) 全社の売上は12兆350億ウォン。外部監査の前の数字
新台湾ドル momo(富邦媒、2025年) 1,086.7億新台湾ドル(−3.46%) 台湾のEC大手
新台湾ドル PChome(網家、2025年) 368.67億新台湾ドル(−1.85%) 台湾のEC

参考:Naver 2025年決算、momo・PChome(UDN Money)、中国3社は中国ECモールランキングに掲載の各社決算【公式決算・報道】

この2つの表から読み取れることは、3つあります。

1つ目は、Amazonとウォルマートの売上高が、EC事業の大きさを示していない点です。Amazonの7,169億ドルにはAWSの1,287億ドルが含まれ、ウォルマートの7,064億ドルには店舗の売上が含まれます。AWSを除いた北米と国際の合計は5,882億ドル(計算値)ですが、これにも実店舗やサブスクリプション、広告の収入が入っており、ECだけの金額ではありません。

2つ目は、京東と拼多多の比較です。京東の売上高は拼多多の約3倍ですが、京東の売上の約8割は自社が仕入れて売った商品の代金で、拼多多の売上は広告と取引手数料です。売上の大きさが、モール上で動いた金額の大きさと一致しないことは、中国ECの記事でも詳しく見ています。

3つ目は、売上高が「出店者が払った費用」を含む点です。モールの売上高は、出店者の側から見ると、手数料や広告費として払う金額と重なります。この関係は、「日本企業の参入方法」の章で、売上高をGMVで割った割合として計算します。

世界の主要ECモールを、GMVを公表している事業者と売上高のみの事業者に分けて、数字の種類と売上の中身を示した図解

国別の主要モールと市場の特徴:米国・韓国・台湾・東南アジア・中国

国ごとに、市場の大きさ、主要なモール、日本から売るときに確認する点を順に見ます。少額の荷物のルールは各国の節で要点に触れ、最後に早見表へまとめました。

アメリカ(米国):Amazon、ウォルマート、eBay、Etsy

米国商務省センサス局の統計では、2026年第2四半期(速報値)の小売EC売上は、季節調整済みで3,402億ドルでした。小売全体に占める割合は17.1%、前年同期比は12.2%増です。季節調整をしない数字は3,295億ドル(16.4%)。速報値のため、今後改定されます(Census Bureau、【公式統計】)。先に見たeMarketerの年間推計とは、対象期間も定義も異なります。

主要モールの規模は、次のとおりです。米国だけの売上ではなく、各社が開示している範囲の数字である点に注意してください。

モール 規模の目安(2025年) 数字の範囲
Amazon 北米セグメントの売上 4,263億ドル【公式決算】 北米全体で、実店舗・広告・サブスクリプションの収入を含む
ウォルマート 米国セグメントの純売上高 4,830億ドル【公式決算】。米国のeコマースは第4四半期に前年比+27% 店舗が中心の売上にeコマースを含む。eコマースの金額は確認できず
eBay GMV 796億ドル(+7%)、アクティブバイヤー 1億3,500万人【公式決算】 米国に限らない全世界の数字
Etsy GMS 119億ドル(−5.3%)、アクティブバイヤー 9,350万人【公式決算】 米国に限らない連結の数字

米国の企業別のEC売上シェアは、国の統計に内訳がなく、調査会社の有料の推計が中心です。公開されている数字で確かめられないため、シェアは取り上げません。GMVを公表するeBayとEtsy、売上の中身が広いAmazonとウォルマートは、表の中でも別の種類として読んでください。

日本の事業者にとって、米国は規模の大きい売り先です。2024年に米国の消費者が日本の事業者から買った額は1兆5,978億円(経産省、前掲の表)で、中国に次ぐ規模でした。一方で、荷物の扱いが大きく変わりました。

ジェトロが2025年10月27日に公開した解説によると、米国は2025年5月2日に、中国と香港で生産された少額貨物の免税(デミニミス)を廃止すると発表し、8月29日に対象を全世界からの荷物へ広げました。800ドル以下の貨物は、従来は関税が免除されていました。廃止後は、一般の貨物に近い基準での申告が求められます。郵便(EMS)は簡易申告で、1品目あたり80〜200ドルの定額税か、一般の課税かを選べる暫定の扱いがあり、2026年2月28日以降は一般の課税だけになると記されています。民間の宅配便は、正式申告に近い扱いです。商業インボイスには、10桁のHTSコード(米国の関税分類番号)と原産国を書く必要があります(【ジェトロ】)。

小口の荷物でも関税がかかる前提で、販売価格と送り方を設計する必要が出てきました。確認する点は3つあります。商品ごとのHTSコードと原産国を決めること。関税を購入者が到着時に払う形にするか、販売側が負担して関税込みの価格にするか。そして、郵便と民間の宅配便のどちらで送るかで手続きが変わるため、利用する物流会社の対応を事前に確認することです。郵便の2026年2月28日以降の扱いなど、制度は動いているため、公開時点の最新情報は税関や物流会社で確認してください。

韓国:クーパンとネイバー

韓国の国家データ処(旧・統計庁)は、2025年のオンラインショッピングの取引額を272兆398億ウォンと集計しました(暫定、前年比+4.9%)。モバイル経由が211兆1,448億ウォンで、全体の77.6%を占めます。2025年12月は単月で24兆2,904億ウォン(+6.2%)でした(インサイトによる国家データ処の発表の報道、【公式統計】)。

海外とのやり取りは、同じ統計で分かれています。

項目 2025年 前年比
海外直接購入(韓国の消費者が海外から買う) 8兆5,080億ウォン +5.2%
うち中国 5兆5,742億ウォン(65.5%) +14.9%
うち米国 1兆4,157億ウォン −17.6%
海外直接販売(韓国の事業者が海外へ売る) 3兆234億ウォン +16.4%

日本からの購入額は、年間の数字を確認できませんでした。2025年第3四半期の単独では、海外直接購入2兆1,224億ウォンのうち、中国が1兆4,141億ウォン、米国が3,479億ウォン、日本が1,503億ウォン(+9.1%)です(ノーカットニュースによる国家データ処の発表の報道)。日本は中国の約9分の1の規模で、韓国の海外直接購入は、中国製品が中心という構図です。海外直接購入の8兆5,080億ウォンは、国内のオンラインショッピングの取引額272兆ウォンの約3%にあたる規模です(計算値。2つは別の集計のため、比率は規模の目安です)。

韓国の主要モールのうち、規模の数字を確認できたのは次の2社です。

モール 規模の目安(2025年) 補足
クーパン 連結の売上 345億ドル(+14%、為替の影響を除くと+18%)【公式決算】 Product Commerceが296億ドル。2025年第4四半期のアクティブカスタマーは2,460万人。韓国と台湾に物流拠点を持つ
ネイバー コマース部門の売上 3兆6,884億ウォン(+26.2%)【公式決算】 外部監査前の数字。全社の売上は12兆350億ウォン

出所:Coupang、Naverの2025年通期の決算発表

Gマーケット、11番街、SSG.COM、AliExpress、Temuなども利用されていますが、規模を示す公表数字を確認できなかったため、順位は付けていません。クーパンの345億ドルは、韓国以外の事業を含む連結の数字です。

日本から韓国へ売るときの手続きは、ジェトロが2025年12月に作成した資料に整理されています。国際宅配便の目録通関(書類と抽出検査だけで済む簡易な通関)の対象は、150ドル以下(米国からは200ドル以下)で、医薬品などは対象外です。150ドルを超えて2,000ドル以下は簡易申告、2,000ドルを超えると一般の輸入申告です。国際宅配便の目録通関では、2020年12月1日から、受け取る人の個人通関固有符号(税関のシステムで取得する番号)の記載が義務になっています。自社のサイトで売る場合は、注文時にこの番号を受け取る設計が必要です(ジェトロ「小口貨物の通関・関税制度(韓国)」)。

商品の安全性の確認も欠かせません。同資料は、2024年5月にKC認証のない製品の海外直接購入を禁じる方針が発表され、消費者の反発で間もなく撤回されたことを記しています。現在も、越境ECで売られる化粧品やベビー・キッズ用品などには安全性検査があり、基準を満たさない製品は販売が止まります。ジェトロの2026年2月の記事は、KC認証と日本のPSE認証が中身はほぼ同じでも別々の取得が必要なこと、食品や化粧品は品目ごとの精密検査が中小企業の負担になっていることを課題に挙げています(ジェトロ「日韓の越境ECの特徴と活性化の条件」)。同じ記事によると、韓国の消費者は日本製品の質に良い印象を持ち、さまざまなカテゴリーの商品を求めているとのことです。

韓国の数字を他の資料と見比べるときは、注意が必要です。国家データ処のオンラインショッピングの統計は、eMarketerの推計(2024年に1,312億ドル)とは対象も通貨も異なります。過去の公表値が後から改定されることもあるため、年をまたいで比べる場合は、同じ統計表の最新版で確認してください。

台湾:momo、PChome、蝦皮(Shopee)

台湾の経済部統計処の集計では、2025年の小売業のネット販売額は6,716億新台湾ドル(前年比+2.8%)でした。小売業全体の営業額は4兆8,448億新台湾ドル(−0.2%)で、ネット販売の割合は約13.9%です。四半期では、第3四半期が1,654億新台湾ドル(+7.3%)、第4四半期は1,927億新台湾ドル(+3.9%)、割合は14.8%でした(工商時報、Business Nextの報道、【公式統計(報道経由)】)。

主要モールで公表数字を確認できたのは、momoとPChomeです。

モール 規模の目安(2025年) 補足
momo(富邦媒) 営収 1,086.7億新台湾ドル(−3.46%)【報道】 上場後、初めての減収と報じられた。第三者向けの「mo店+」は手数料のみが営収に入る
PChome(網家) 営収 368.67億新台湾ドル(−1.85%)【報道】 momoの約2.9分の1(計算値)
蝦皮(Shopee) 台湾単独の数字は確認できず Sea Limited全体のGMVには含まれる
クーパン台湾 数字は確認できず クーパンは韓国と台湾に物流拠点を持つ

出所:UDN Money、経理人月刊(Manager Today)の報道

momoの営収は、台湾のEC全体がプラスだった2025年に、前年を下回りました。富邦媒は理由として、コロナ後に消費の一部が海外旅行、飲食、娯楽、実店舗へ移ったことを挙げています。もう一つ、営収の読み方に注意が必要な点があります。momoは第三者の店舗が出店するモール「mo店+」を運営しており、この部分は、店舗から受け取る手数料だけが営収に入り、実際の取引額は営収に反映されないと、同社の経営陣は説明しています(2026年4月の報道)。momoの営収の増減だけでは、モール全体の取引額の動きを判断できません。

日本から台湾へ売るときは、売り方によって適用される規制が変わります。ジェトロの解説(2025年9月公開、調査時点は2015年11月)は、次の3つに分けています。

売り方 扱い 主な注意点
日本など台湾国外のサイトから、台湾外の倉庫で発送する 台湾の輸入規制は原則として適用されない 許認可や認証が必要な品目かどうかは、台湾税関に事前に確認する
台湾のサイトに出店し、台湾外から発送する(台湾に拠点なし) 台湾域内での販売とみなされ、台湾の国内規制が適用される 酒・たばこは販売不可。表示は繁体字中国語。営業税5%の登録または営業代理人の統一編号での処理
台湾にサイトと在庫拠点を置く 国内取引になり、海外からの輸入は一般の通関が必要 商品標示法の遵守。消費者保護法第19条により、到着から7日以内の返品に応じる(「返品不可」の表記は無効)

出所:ジェトロ「電子商取引における留意点:台湾」

自社のサイトを台湾国外で運営して日本から送る場合と、台湾のモールに出店して日本から送る場合とで、適用される規制が異なる点が見落としやすい部分です。ただし、調査時点が2015年と古いため、現在の運用は台湾の関税総局や専門家に確認してください。

郵便で個人宛てに送る小口の荷物は、2,000新台湾ドル以下なら関税が免除されます。2018年1月1日から、上限が3,000新台湾ドルから引き下げられました。同日に同じ住所へ届く2個口以上は合算され、同じ送り主から同じ受取人へ「30日以内に2回以上、または6か月以内に6回以上」の頻繁な送付をする場合は、免税の対象外です(ジェトロ、調査時点2016年12月・最終更新2025年10月)。月に1回ずつ届ける定期購入は、6か月で6回に達するため、免税の対象外にあたる可能性があります(条文の読み方の一例です)。定期販売を郵便で送る設計にする場合は、台湾の税関で確認してください。

東南アジア:Shopee、TikTok Shop、Lazada

東南アジアは、調査会社によって数字が分かれます。

調査 2025年の数字 範囲・定義
Momentum Works「Ecommerce in Southeast Asia」第4版(2026年4月14日) プラットフォームECのGMV 1,576億ドル(前年比+22.8%) 主要6市場(インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シンガポール)。「プラットフォームEC」の定義は発表ページに記載なし
e-Conomy SEA 2025(Google、Temasek、Bain、2025年11月11日) EC GMV 1,850億ドル、収益 410億ドル(2025年に到達する予測) 対象国の範囲は発表文に明記なし

出所:Momentum Works、Bainの発表【第三者推計】

1,576億ドルと1,850億ドルは、同じ地域の数字に見えますが、調査主体、対象範囲、実績か予測かが異なり、どちらが正しいという関係ではありません。比べるときは、同じ調査の中で、国や年を比較してください。

Momentum Worksによると、2025年のモールごとの地域シェアは、Shopeeが53%で首位でした。TikTok Shop(インドネシアのTokopediaを含む)のGMVは、Shopeeの65.7%に達したとされます。国別では、インドネシアがGMVの37%を占める最大の市場で、タイが前年比51.8%、マレーシアが47.6%と、最も速く伸びました。Lazadaは、数字を確認できませんでした。

53%を1,576億ドルに掛けると約835億ドルになります(試算)。Sea LimitedのShopeeのGMV(1,274億ドル、前年比+26.8%)より小さい理由として、Seaの数字には台湾やブラジルなどのShopeeが含まれることが考えられます。調査会社とSeaで、GMVの定義が同じとは限りません。東南アジアの規模を知りたいときに、決算の1,274億ドルをそのまま使うと、地域の規模を過大に読むおそれがあります。Seaの2025年は、連結の売上が229億ドル(+36.4%)で、うちShopeeのマーケットプレイス収益が145億ドル(+33.9%)でした(Sea Limited、TechNode)。

東南アジアは、国ごとに少額輸入の扱いが違い、直近に変わった国もあります。ジェトロの解説などによると、次のとおりです。

国 少額輸入の扱い 時点
ベトナム 国際宅配便の100万ドン以下の関税・付加価値税の免除を廃止(首相決定01/2025/QĐ-TTg) 2025年2月18日に発効
タイ 1,500バーツ以下の関税免除を廃止し、1バーツ以上に課税する方針 2026年1月1日から(報道。詳細規則は公表前の時点の記事あり)
インドネシア 3米ドルまでは関税が免除(付加価値税はかかる)。3〜1,500米ドルは原則7.5%の関税と付加価値税。化粧品は15%、衣類・履物・バッグは25%など、品目ごとの税率がある ジェトロの解説(2025年8月更新)

出所:ジェトロ(ベトナム)、ジェトロ(インドネシア)、タイはKhaosod EnglishとTilleke & Gibbins

化粧品や衣類のカテゴリーは、インドネシアでは、3米ドルを超える小口でも関税率が15〜25%と高く設定されています。国と品目の組み合わせで、購入者の負担が大きく変わります。シンガポール、マレーシア、フィリピンは、確認できた資料がないため、個別に確認してください。

中国:要約

中国は、世界のEC市場の約半分を占めます。詳しい比較は中国ECモールランキングにまとめており、ここでは要点だけを載せます。

項目 内容 種類
ネット小売額 2025年は15兆9,722億元(前年比+8.6%)。実物商品は13兆923億元(+5.2%)で、社会消費品小売総額の26.1% 公式統計(国家統計局)
日本の事業者からの購入額 2024年は2兆6,372億円(+8.5%) 公式統計(経産省)
モールの順位 天猫・淘宝(アリババ)が1位、京東・拼多多・抖音電商が2〜4位、快手が5位、唯品会が6位 公式決算・第三者推計・報道
GMVの開示 アリババ、京東、拼多多は決算で示さない。快手と唯品会は公表 公式決算
越境ECの枠 1回5,000元、1人あたり年間26,000元 規制文書(財関税〔2018〕49号)

中国は、GMVを示さないモールが上位に並ぶため、順位は数字の種類を分けて読む必要があります。越境ECの枠は、月に1回3,000元の商品を届ける定期購入だと、9回目で超える計算です。出店方式の6通りと、天猫国際・京東国際の費用の目安も、同じ記事に整理しています。

少額輸入のルール早見表(7つの国)

ここまでの少額の荷物のルールを、国ごとに並べます。

国 少額貨物の扱い(日本から個人宛て) 変更・時点 売る側が確認すること
米国 800ドル以下の免税は廃止。800ドル以下も、一般の貨物に近い基準で申告 2025年8月29日に全世界へ拡大(ジェトロ、2025年10月27日公開) 10桁のHTSコード、原産国、関税を誰が負担するか
中国 1回5,000元・年間26,000元の枠内は、関税0%、増値税・消費税は法定の70% 2019年1月1日施行(財関税〔2018〕49号) 商品リストの対象か、年間の枠
韓国 目録通関は150ドル以下(米国からは200ドル以下)。医薬品などは対象外 ジェトロ、2025年12月作成 受け取る人の個人通関固有符号、KC認証、安全性検査
台湾 郵便は2,000新台湾ドル以下で関税免除。頻繁な送付は対象外 ジェトロ、調査時点2016年12月・更新2025年10月 送る頻度、営業税5%、表示は繁体字中国語
タイ 1,500バーツ以下の関税免除を廃止し、1バーツ以上に課税する方針 2026年1月1日から(報道) 実施状況と詳細規則
ベトナム 国際宅配便の100万ドン以下の関税・付加価値税の免除を廃止 2025年2月18日 関税と付加価値税の課税
インドネシア 3米ドルまで関税免除(付加価値税はかかる)。品目ごとの税率あり ジェトロ、2025年8月更新 化粧品15%、衣類・履物・バッグ25%など

7つの国のうち、米国、ベトナム、タイは、少額の荷物の免税を縮小または廃止する方向に動いています。これは、商品代金が数千円の商品を、1点ずつ海外へ直送する売り方の採算に、直接響く変化です。次の例で、関税と付加価値税の有無による総額の差を見てみます。

商品価格5,000円、国際送料1,500円の荷物で、課税価格を商品代金と送料の合計(6,500円)とし、仮に関税率10%、付加価値税率10%で計算します。

項目 免税の場合 課税の場合(仮の税率)
商品代金+送料 6,500円 6,500円
関税(10%) 0円 650円
付加価値税(関税込みの価格の10%) 0円 715円
購入者の負担額 6,500円 7,865円(約21%増)

税率と課税価格の決め方は国と品目で異なり、この表は考え方を示す仮の計算です。実際の数字は、販売する国と商品のHTSコード(関税分類番号)で調べてください。同じ商品でも、免税が廃止された国では、購入者の最終的な負担額が2割ほど増える可能性があり、価格に反映するか、購入者が到着時に支払う形にするかで、売れ行きの見え方が変わります。

米国・ベトナム・タイで進む少額輸入の免税の廃止と、韓国・台湾・インドネシアの少額貨物のルールをまとめた図解

日本企業の参入方法:現地モールへの出店と、自社の越境ECサイト

国と主要モールの規模がつかめたら、次は入り方です。入口は大きく2つ。現地のモールに出店する方法と、自社の越境ECサイトを持つ方法です。運営代行への委託や、転送・代理購入サービスの導入といった変形もありますが、費用とデータの考え方は、この2つの組み合わせで整理できます。中国向けの6通りの整理は、中国ECモールランキングに載せています。

モールの収益は、取引額のどれくらいか

先に見た決算の数字から、売上高をGMVで割ると、モールが取引額のうちどれだけを収益にしているかの目安が出ます。

モール GMV(2025年) 売上高(収益) 売上高÷GMV
Shopee(マーケットプレイス収益) 1,274億ドル 145.5億ドル 11.4%
eBay 796億ドル 111億ドル 13.9%
Etsy 119.2億ドル 28.8億ドル 24.2%

出所:各社の2025年通期の決算発表(前掲)【公式決算】、割合は計算値

この割合は、出店者が払う手数料率そのものではありません。モールの売上高には、手数料のほか、広告、決済、物流などのサービス収入が含まれる場合があります。それでも、1割強から2割強の幅があることは、取引が増えるほど、モールへの支払いも増える構造を示しています。

月の販売額が300万円の店で、この割合をそのまま当てはめると、モールへの支払いの目安は、11.4%で約34万円、13.9%で約42万円、24.2%で約73万円です。実際の手数料や広告費は、モールの規約とカテゴリーで決まるため、この計算は上限でも下限でもなく、規模感をつかむための仮のものです。出店を検討するモールの現行の料率は、窓口で確認してください。

現地モールと自社サイトの違い

比べる点 現地モールに出店 自社の越境ECサイト
集客 モールの利用者に見てもらえる。広告費で露出を競う 広告、SNS、検索、既存の顧客など、自分で集める
費用の構造 取引額に連動する手数料と、広告費 サイトの構築・運営費、決済手数料、物流・通関の手配。モールへの取引連動の支払いはない
顧客データ モールの会員で、使える範囲は規約で決まる 自社に蓄積し、再購入の案内を自社から出せる
価格・見せ方 モールの規約と形式にそろえる 自分で決められる
規制への対応 出品者として各国の規制を守る。台湾は、モールに出店して台湾外から発送すると域内販売とみなされる 売り方によって適用が変わる。少額の荷物の関税の扱いは自社で設計する
立ち上げ 審査と商品登録が中心 構築、決済、物流の準備が必要

表の差は、「誰が集客の費用を持つか」と「お客様の情報が誰の手元に残るか」の2点です。モールに出ると、集客を任せられる代わりに、取引額に連動した支払いが続き、お客様はモールの会員になります。自社サイトは、集客を自分で担う代わりに、お客様の情報と価格の決定権が手元に残ります。

どちらが得かは、商品の性質しだいです。1回買って終わりの商品と、繰り返し買ってもらう商品では、お客様の情報の価値が違います。化粧品、サプリメント、食品のように、リピートで利益が出る商品ほど、顧客データを自社に持つ意味が大きくなります。

どちらから始めるか:状況別の選び方

状況 向く入口 理由
その国での反応を試したい 現地モール、または運営代行 集客の土台があり、自社サイトを作る前に売れ行きを確認できる
売れ筋が見え、リピートで利益を出したい 自社の越境ECサイトを追加 顧客データを蓄積でき、再購入の案内を自社で出せる
現地に在庫を置き、国内取引として売りたい(台湾の例) 現地に拠点・在庫を置く自社サイト 台湾に在庫拠点を置くと国内取引になり、消費者保護法による7日以内の返品への対応が必要
社内に現地語の運営担当がいない 運営代行、または現地のパートナー 顧客対応と広告運用を任せられる

モールと自社は、どちらかを選ぶ関係ではありません。モールで商品を知ってもらい、売れ筋とお客様の声を確かめたうえで、2回目以降の購入を自社サイトで受ける組み合わせが、費用とデータの両方を管理しやすい形です。モールで買ったお客様に、自社から連絡できる範囲は、規約で決まっています。出店前に確認してください。

越境ECで、現地モールと自社の越境ECサイトを、集客・費用・顧客データ・価格の決め方で比べ、モールで試して自社でリピートを受ける流れを示した図解

自社の越境ECサイトのメリットと、自分で組む部分

自社の越境ECサイトを持つ価値は、価格、お客様の情報、ブランドの見せ方を自社で決められる点にあります。その代わり、モールが担っていた仕事のいくつかを、自分で組む必要があります。

自社で決められること 自社で用意すること
価格、クーポン、送料の条件 現地の言語での表示と、翻訳の品質(越境ECサイトの言語対応)
定期購入やセットなど、販売方法の設計 現地のお客様が使う決済手段
購入データの蓄積と、再購入の案内 物流と通関の手配(国ごとの少額輸入のルール)
ブランドの世界観を伝える商品ページ 現地の規制(表示、営業税、返品など)への対応
販売条件(返品、保証)の設計 集客と、現地語でのカスタマーサポート

右の列は、この記事で見た各国のルールとつながっています。韓国は、受け取る人の個人通関固有符号を注文時に入力してもらう設計が必要です。台湾は、サイトを台湾外で運営して日本から送る場合と、台湾に拠点を置く場合とで、適用される規制が変わります。米国で必要になるのは、商品ごとのHTSコードと原産国を決めることと、関税を誰が負担するかを注文前に決めておくことです。東南アジアは、国ごとに少額輸入の扱いが違うため、販売する国を決めてから確認する必要があります。

メリットとして挙げた「決められること」が生きるのは、ここで挙げた「用意すること」を整えたあとです。お客様の情報を自社に残す価値は、リピートで利益を出す商品ほど大きく、商品が1回きりの購入中心なら、モールの集客を使うほうが負担が小さいこともあります。自社サイトを持つ場合に、何を自社で組み、何を外部に任せるかが、検討の中心になります。

W2 Commerce Asia:アジアに向けた自社の越境ECサイト

W2は、コマースプラットフォーム「W2 Commerce」で、BtoC、定期販売、BtoB、海外ECに対応しています。このうち海外ECの製品が「W2 Commerce Asia」です。アジア・オセアニアへの進出に向けて、越境ECや現地ECの立ち上げと、段階的な海外展開を支えます。国内の通販向けの製品は、BtoCなら総合販売向けのW2 Commerce Unifiedと、サブスク・定期通販向けのW2 Commerce Repeat、販路がBtoBであればW2 Commerce BtoBです。

W2 Commerce Asiaが支援する内容

W2 Commerce Asiaの紹介ページに載っている支援内容は、次のとおりです。

  • 現地決済への対応、現地の物流拠点の運用と物流の手配
  • 現地ECモールでのテスト販売、共同ポップアップストア
  • 現地法人の設立、現地でのカスタマーサポート
  • OMO、SNS・広告、CRM

テスト運用の期間は、商品の登録や翻訳をW2が担当します。現地のECは、W2のECカートシステムで構築。モールのテスト販売で反応を見てから自社のECサイトに移る、という段階的な進め方も選べます。この記事で見た「モールで試す、自社でリピートを受ける」という順序と、重なる進め方です。

導入事例:コーセー台湾、ジンズ、TSI

紹介ページに載っている導入事例は次の3社です(ジンズ様は掲載のリンク先が台湾向けのサイトです)。

企業 取り組み(ページの記載)
株式会社コーセー台湾 様 「Maison KOSÉ 南港店」(アジア初出店)を起点に、現地と連携したブランド体験を展開
株式会社ジンズ 様 現地市場向けのオリジナルコンテンツ、アップセルを促すクーポンの設計、キャラクターIPの活用、眼鏡とファッションを組み合わせた提案
株式会社TSI 様 「mix.tokyo」の台湾版ECを構築。現地の顧客ニーズや商習慣に合わせたコンテンツ、決済、CRMの基盤を整え、分散していたブランドサイトを集約

3社に共通するのは、現地向けにコンテンツや販促を設計し、自社のECとして運営している点です。TSI様は、決済とCRMの基盤まで整えています。台湾は、この記事で見たとおり、売り方によって適用される規制が変わる市場です。事例は、台湾向けの自社ECで、どこを現地向けに設計するかを考える手がかりになります。なお、これらは台湾での取り組みで、成果の数字は紹介ページに載っていません。

紹介ページには、対応国の一覧が載っていません。米国、韓国、東南アジア、中国本土が売り先のとき、どこまで対応できるかは、W2に個別にご確認ください。越境ECの成功事例は越境ECの市場規模と成功事例9選にまとめています。

越境EC参入の進め方と、始めたあとの確認方法

手順1:売る商品が、その国で売れる商品かを確認する

化粧品、食品、サプリメント、電気製品は、国ごとの認証や表示の規則があります。韓国のKC認証や化粧品・ベビー用品の安全性検査、台湾の酒・たばこの販売不可と繁体字中国語の表示、中国の商品リスト(ポジティブリスト)などです。商品の原産国と、10桁のHTSコードのような関税の分類番号も、この段階で決めておきます。

手順2:国を1つに絞る

最初から複数の国に出ると、確認事項が国の数だけ増えます。絞るときの物差しは、次の3つです。

  • 市場の大きさと、日本の事業者からの購入実績:国別ランキングの表、経産省の購入額
  • 荷物のルール:少額輸入のルール早見表
  • 言語、決済、物流の準備のしやすさ

手順3:入口を決める

「どちらから始めるか:状況別の選び方」の表から、1つか2つの入口に絞ります。反応を試すなら現地モールか運営代行、リピートで利益を出したいなら自社の越境ECサイトが候補です。

手順4:購入者の総額と、自社の採算を試算する

購入者が払う総額は、次の式で見ます。

項目 計算のしかた
購入者の総額 商品代金 + 国際送料 + 関税 + 付加価値税(※国によって課税価格の決め方が違う)
自社の売上 月の販売数 × 販売価格
変動費 売上 ×(モールの手数料率 + 広告費率 + 決済手数料率)+ 物流費 + 返品費用
月の利益 売上 − 変動費 − 固定費(サイトの運営費、運営代行の月額費用など)

見積もりを複数の会社から取る場合は、同じ月間販売数と、同じ商品価格で試算してもらうと比べられます。モールの手数料率や広告費率は、規約とカテゴリーで決まるため、前に見た割合(1割強〜2割強)は目安にとどめ、窓口で現行の数字を確認してください。

手順5:小さく始めて、始めたあとに確認する

最初は1つの国、少数の売れ筋商品に絞ります。この間の目的は、利益を出すより、売れる商品、広告費の水準、荷物のトラブルの内容を知ることです。

確認する項目 見る場所 見る理由
到着時の追加支払い(関税・付加価値税)への問い合わせ、受取拒否 物流会社の報告、カスタマーサポート 総額の見せ方と、関税の負担の設計が合っているか
1注文あたりの送料、関税、返品費用 物流会社の請求、販売データ 試算で置いた費用とずれていないか
売上に対する広告費・手数料の割合 モールの管理画面、広告の管理画面 試算の前提どおりか
同じお客様の再購入の有無 販売データ 自社サイトへ誘導する時期を判断する
少額輸入のルールの変更 各国の税関、ジェトロ 免税の縮小・廃止が続いているため、定期的に確認する

確認の結果をもとに、「同じ入口で続ける」「入口を追加する」「国を変える」のいずれかを、数字で決めます。

越境ECランキングに関するよくある質問

Q. 越境ECで、売上がいちばん大きい国はどこですか?

EC小売の市場規模では、中国と米国です。ジェトロが引くeMarketerの推計では、2024年に中国が3兆361億ドル(50.5%)、米国が1兆1,923億ドル(19.8%)でした。日本の事業者が売る相手としては、経済産業省の調査で、2024年に中国の消費者が日本の事業者から買った額が2兆6,372億円、米国の消費者が1兆5,978億円と、中国が上回っています。市場の大きさと日本の事業者への需要は別の数字のため、両方を見て売り先を決めてください。

Q. 世界でいちばん大きいECモールはどこですか?

何で測るかで答えが変わります。GMVを決算で公表している事業者では、2025年にShopee(Sea Limited)が1,274億ドルで最大でした。ただし東南アジア以外を含む全社の数字です。売上高ではAmazonとウォルマートが7,000億ドル台ですが、クラウド事業や店舗の売上を含みます。中国のアリババ、京東、拼多多はGMVを決算で示していません。

Q. Amazonの売上は、そのままECの規模と考えてよいですか?

そのままでは読めません。2025年のAmazonの売上7,169億ドルには、AWS(クラウド)の1,287億ドルが含まれます。AWSを除いた北米と国際の合計は5,882億ドルですが、これにも実店舗、広告、サブスクリプションの収入が含まれています。ECだけの金額は、決算の数字から単純には取り出せません。

Q. 韓国、台湾、東南アジアで、日本の商品は売れていますか?

公的な数字で確認できたのは、韓国だけです。韓国の国家データ処の統計では、2025年第3四半期の日本からの海外直接購入は1,503億ウォン(前年同期比+9.1%)でした。中国の1兆4,141億ウォンと比べると、約9分の1の規模です。ジェトロの2026年2月の記事は、韓国の消費者が日本製品の質に良い印象を持っていると述べています。台湾と東南アジアは、日本からの販売額を示す公的な数字を確認できませんでした。W2 Commerce Asiaの導入事例(コーセー台湾、ジンズ、TSI)は、いずれも台湾での取り組みです。

Q. 少額免税が廃止されると、小口の越境ECはどう変わりますか?

商品代金が数千円の荷物にも、関税や付加価値税がかかるようになります。前に見た仮の計算では、商品5,000円と送料1,500円の荷物で、仮の税率10%の関税と付加価値税をかけると、購入者の負担は6,500円から7,865円へ約21%増えました。米国(2025年8月29日)、ベトナム(2025年2月18日)に続き、タイも2026年1月からの実施が報じられています。価格に税を含めるか、購入者が到着時に払う形にするかを、販売前に決めてください。

Q. 中国のECモールの詳しい比較や、越境ECの基本、事例を知りたいのですが。

中国の7モールの比較と出店方法は中国ECモールランキングで、越境ECの定義、メリット・デメリット、始め方は越境ECとは?で扱っています。言語の対応は越境ECサイトの言語対応、成功事例は越境ECの市場規模と成功事例9選をご覧ください。国内のモールの規模は国内のECサイトランキングにあります。

Q. 上位のモールなら、日本の企業でも出店できますか?

規模の大きさと、日本の事業者が出店できるかどうかは別の話です。出店の資格、保証金、手数料はモールごとに違い、窓口を公開していないモールもあります。ジェトロの「ジャパンモール」事業のように、日本企業の出品を支援する窓口が使える場合もあります(韓国では、MALLTAILが日本企業73社・約140製品の展開を支援していると、ジェトロが紹介しています)。条件は変わるため、各モールの窓口か運営代行会社で、現行の内容を確認してください。

まとめ:次にとる行動

越境ECの国別では、EC小売の市場規模で中国(50.5%)と米国(19.8%)が約7割を占めます。日本の事業者の売り先としては、2024年に中国の消費者が2兆6,372億円、米国の消費者が1兆5,978億円を日本の事業者から買いました。モールの規模は、GMVを公表する事業者(Shopee 1,274億ドル、eBay 796億ドル、MercadoLibre 650億ドル、Etsy 119億ドル)と、売上高だけの事業者(Amazon、ウォルマート、京東、アリババ、拼多多など)で数字の種類が違うため、1つの順位にはできません。

米国、ベトナム、タイは少額の荷物の免税を縮小または廃止する方向で、韓国は150ドル(米国からは200ドル)と個人通関固有符号、台湾は2,000新台湾ドルと売り方による規制の違い、インドネシアは品目ごとの関税率に注意が必要です。モールは取引額の1割強〜2割強を収益にしている計算になるため、反応を試すときはモール、リピートで利益を出す段階では自社サイト、という使い分けが現実的です。

次にとる行動は、次の3つです。

  1. 売る国を1つに絞る:国別ランキング、日本の事業者からの購入額、少額輸入のルール早見表を見比べて決める
  2. 商品の認証・表示と、購入者の総額を確認する:HTSコード、KC認証などの認証、関税と付加価値税を含めた総額を、仮の税率ではなく現行の税率で試算する
  3. 自社の越境ECサイトを持つ場合は、W2に相談する:アジア向けの対応範囲は、国ごとに個別の確認が必要

W2 Commerce Asiaの紹介ページでは、導入事例と支援内容をご覧いただけます。越境ECの基本は越境ECとは?、中国の詳しい比較は中国ECモールランキング、事例は越境ECの市場規模と成功事例9選をご覧ください。

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この記事の監修者

この記事の監修者
樽澤寛人 マーケティング部 部長

神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。

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