D2Cアパレルブランド10選!成功した要因と知っておくべき課題
昨今、アパレル業界では従来の小売事業者や製造業者を挟むモデルではなく、D2Cのビジネスモデルを採用した企業が成功を収めています。
本記事では、D2Cアパレル企業の成功事例をご紹介します。
また、その成功事例をもとにD2Cモデルのアパレル業界で成功した企業の要因と、知っておくべきD2Cアパレル業界の課題や将来性について詳しく解説いたします。
なお、D2Cに関する詳細は下記で詳しく解説しているのでぜひ合わせて一読ください。
関連記事:D2Cとは?概要から特徴、メリット・デメリットや成功事例までわかりやすく解説
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最近話題のD2Cとは
そもそもD2Cとは
D2C(Direct-to-Consumer)とは、製造業者やブランドが自社の製品を中間業者を介さずに直接消費者に販売するビジネスモデルのことを指します。このビジネスモデルでは、企業が商品の生産、販売、顧客サポートまでを一貫して行い、顧客との直接的な関係を築くことが特徴です。
従来の流通モデルでは卸売業者や小売業者を通して商品が流通するため、製造業者はブランドイメージや顧客との接触機会を制限されていました。一方、D2Cモデルでは直接顧客とコミュニケーションを取ることができるため、顧客のニーズやフィードバックを素早く反映し、より個別に最適化されたサービスを提供できるという利点があります。
D2Cのビジネスモデルは、ブランドコントロールや顧客体験の向上などに優れた利点を持ちながらも、物流や顧客サポートの面で高い品質が求められるという課題もあります。企業は競合他社との差別化を図るために独自性を強化し、顧客のニーズに応えるための努力を重ねる必要があります。
なぜ世界で注目されているのか
世界中でインターネットとテクノロジーの進化により、消費者はデジタル環境を利用して生活するのが一般的となり、企業は直接消費者にアプローチすることが可能になったことで、ダイレクトなコミュニケーションが可能なD2Cが注目されるようになりました。
また、消費者の価値観の変化もD2Cが注目される理由の一つです。
従来、消費者は欲しいモノを購入したら満足でした。しかし現在は、テクノロジーの進化で欲しいモノはお金があれば直ぐに購入できる環境になったことから、モノを買うだけではなく、購入前後の顧客体験を求めるようになりました。
よって、D2Cのビジネスモデルは中間業者を挟まないことから、独自の世界観を伝えるブランディングやマーケティング戦略を展開して、消費者により良い顧客体験を提供できるので注目されています。
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D2Cアパレル事例
17kg
参照元:17㎏公式オンラインショップ
「17㎏」は株式会社SNIFF JAPANが運営しており、若い女性向けに韓国系レディースファッションを扱うD2Cブランドです。
「毎日”新しい私”や”オシャレする楽しさ”に出会えるショップ」をテーマにして、主にSNSを中心に事業展開をしており、現在はInstagramのフォロワーが50万人を超えています。
17㎏が成功している理由として、ECサイトとSNSだけではなくアプリを利用していることが挙げられます。
D2Cアパレルブランドで多く見られる失敗事例として、SNSに依存してしまい売上頭打ちになったというお話をよく耳にします。
しかし、17㎏では50万人以上のフォロワーがいるInstagramだけに依存せず、アプリを導入して効果的に利用した結果、現在は売上の4割がアプリ経由になっており、売上も向上していることから成功しているといえるでしょう。
COHINA(コヒナ)
2018年1月に立ち上げられたD2Cアパレルブランドの「COHINA」は、身長155cm以下の小柄な女性をターゲットにして事業展開しており、わずか3年で月商が1億円を超える規模に成長して、TGCにも出場するなどの成功を収めています。
COHINAが成功している理由として、SNSを利用したライブ配信を継続的に行ったことが挙げられる。
もともと、ブランドコンセプトである「小柄な女性向け」をInstagramで発信する情報に一致させていることから、ライブ配信を見に来るユーザーも見込み顧客であることが多い。
また、1200日以上連続で毎日ライブ配信を行ったことで顧客と毎日直接コミュニケーションを取る場を設け、その内容をライブ配信に反映させてより役だつ情報を届けている。よって、顧客のファン化に繋げ3年で月商1億円を達成したことから成功しているといえる。
FABRIC TOKYO
初回のみ実店舗で採寸し、2回目移行は初回の顧客データを元にインターネット上でオーダースーツを注文可能なD2Cアパレルブランド「FABRIC TOKYO」は実店舗とECサイトをシームレスに連携して効果的な顧客体験を届けています。
具体的には、主にオンライン環境を利用して顧客に認知をさせて実店舗に集客させる。その後実店舗でお客様とコミュニケーションやインタビューを重ね信頼感や満足度を向上させ、2回目以降はECサイトで顧客体験を充実させています。
ECサイトと実店舗の連携は、外部のツールを利用すればそこまで難しくないですが、シームレスに連携させて顧客をファン化させることは難しいです。しかし、FABRIC TOKYOでは受注処理や在庫管理やCRMなどのシステムを内製化し、最適な顧客体験を届けていることからD2Cアパレルブランドとして成功しているといえます。
現在は、3Dスキャナーを設置してお客様自身で計測してもらう店舗を計画しており、コストカットはもちろん、他社と差別化をうまく図りながら事業展開を進めています。
Kay me(ケイミー)
働いている女性をターゲットにしている自宅で洗えるスーツやワンピースなどの販売している「Kay me(ケイミー)」は、「はたらいている時間に、女性らしくラクでいられる、発想が豊かになる、そんな働く服のブランドを創ろう」という想いで事業を展開しております。
Kay me(ケイミ―)は無料で自宅にお届けし試着できるサービスで成功を収めています。
30万円以内であれば、服や靴などを無料で自宅に届けて試着してから購入か返品かを選択できるサービスであり、仕事や育児で忙しく実店舗で試着する時間がない。というターゲットの潜在的な課題を解決できるサービスになります。
サービス実施後、リピート率もアパレル平均の2倍以上となり、売上も向上していることから成功しているといえます。
10YC(テンワイシー)
参照元:10YC公式オンラインショップ
「着る人も作る人も豊かに」という理念を達成するために「10年着続けたいと思える服」の生産、販売を行っている「10YC(テンワンシー)」は、SNS上で商品に関する情報だけではなく、販売前の生産過程や生産者との付き合い方、販売後の長く服を着るための取扱い方などの情報を発信するなど、10YC(テンワンシー)の商品ストーリーを顧客に伝えていることから、独自のブランド価値を顧客に提供しています。
また、オンライン上以外でも、在庫がおいていない実店舗などといった独自の販売戦略でD2C業界で大きな注目を集めています。
土屋鞄製造所
土屋鞄製造所は「時を超えて愛される価値をつくる」という想いで1965年からカバンや財布、小物といった商品を販売しています。
土屋鞄製造所は統一されたブランディングを徹底して行うことで、D2Cに成功しています。
具体的には、生産や販売を全て内製化して「長く使用できる商品」をテーマに何十年もブランディングをしていることから、顧客から信頼を獲得してファン化に繋げています。
それ以外にも、実店舗では比較的に小物などを販売し、ECサイト上でその小物に使用されている皮と同じ製品を販売していることで、オフライン上で皮の質感を確かめた後にオンライン上で購入するというオムニチャネル戦略を展開してD2Cアパレルブランドとして成功しています。
SOÉJU
参照元:SOÉJU公式オンラインショップ
プロのスタイリストが顧客にあった服をスタイリングする女性向けのD2Cアパレルブランドの「SOÉJU」は売らない実店舗を展開し成功しています。
具体的には、実店舗では押し売りなどをせず、主に洋服の試着をするのみで、気に入った商品があればECサイトで購入してもらう。という販売戦略を行っています。
顧客満足度を向上させるために実店舗を用意している独自の販売戦略は、効果的にLTVを向上させ既に実店舗の固定費を上回る売上に繋げていることから成功しているといえる。
また、Kay me(ケイミ―)と同じように返品無料で注文&試着可能なサービスを提供しており、顧客のニーズに寄り添った事業サービスを展開しています。
ALL YOURS
「ALL YOURS」は「特別な日ではなく、日常をあなたと一緒につくりたい。」という想いのもと、機能や品質にこだわった服の生産や販売をしているD2Cアパレルブランドです。
ALL YOURSは、顧客を巻き込みながら服作りに携わっており、熱狂的なファンを生んでいます。
例えばクラウドファンディングで、顧客の意見を取り入れて無駄な生産をせずに顧客一人ひとりにあった服の生産をしたり、ビデオツールやチャネルトークを導入したオンライン接客などをしてファン化に繋げています。
特にチャネルトークでオンライン接客をした顧客の半分が購買に繋がっていることから、顧客の声を直接聞く取り組みは成功しているといえるでしょう。
ALL YOURSは自社独自の世界観を忠実に再現したサービスを販売していることから、D2Cブランドの典型的な成功事例といえます。
pairmanon(ペアマノン)
「家族みんなでリンクコーデを楽しめるプチプラ子供服」をコンセプトとした衣料品・雑貨等の企画・製造・販売を行う「pairmanon(ペアマノン)」は売上データを緻密に分析して販売戦略を立てる事によって成功しています。
具体的には、売上データをもとに小ロットで確実に売れる商品数のみ在庫で管理し無駄なコストを抑えて商品の低価格化を可能としています。また、日次のルーティン業務を自動化することで業務効率化や人的コストカットにも繋げています。
また、pairmanon(ペアマノン)はInstagramに力を入れており、ハッシュタグを用いて認知を広げながらファン化させる施策で、設立3年で月商1.5億円を達成していることから成功しているといえるでしょう。
Nuance
「奥ゆかし」というブランドコンセプトであるウェディングドレスの生産や販売、レンタルをおこなう「Nuance」はD2Cモデルを最大限に活かして成功を収めています。
従来、ウェディングドレス販売は、高価な素材で生産することや中間業者が入ることで販売価格が高いことが課題の一つで挙げられていましたが、Nuanceは一般的なウエディングドレスの重量より半分以下に抑えた生産を可能にしたこと、D2Cの強みである中間業者がいないことでコストカットが実現し、競合他社の価格競争に勝って成功を収めています。
ここまではD2Cのアパレル業界で成功している企業をご紹介しましたが、この記事を読んでいる方の中にはアパレル業界以外の成功事例を知りたいという方もいらっしゃるかと思います。
下記記事では、業界問わずD2Cモデルで成功している企業15選をご紹介しています。その他にも、D2C業界で知っておくべき成功ノウハウも合わせて解説しています。
ぜひ合わせて読んでみてはいかがでしょうか。
D2Cアパレルの成功要因
中間マージンを削減できること
ほとんどのビジネスモデルでは、小売業者や卸売業者が存在するため中間マージンを支払う必要があり、企業は利益を多く獲得するために商品価格が上昇する可能性がありますが、D2Cは従来の小売業者や卸売業者を介さず、自社で直接消費者に販売することで、商品価格を低く抑えることが可能です。
これにより、消費者はより手頃な価格で高品質な商品を購入でき、企業も収益を向上させることができます。
また、D2Cモデルでは、中間マージンを削減できることから効率化とコスト削減が可能な為、競合他社よりも優位に立つことができます。
消費者のニーズをより深く理解できること
D2Cアパレル企業は、自社で顧客との直接的な関係を築けるため、消費者のニーズや好みをより深く理解しやすい環境にあります。
特にアパレル業界はトレンドの変化が激しいことから、トレンドを把握し顧客の変化するニーズを深く理解することが重要になります。
D2Cモデルでは、直接的にECサイトやSNS上で顧客の声を聞けることから、消費者が求めるトレンドやスタイルの変化を把握できます。
また、顧客のフィードバックからニーズを理解することで、新商品を開発することができます。消費者が欲しいものを的確に把握し、ターゲットのニーズに合ったサービスを提供することが可能です。
独自のマーケティングや販売戦略を展開できること
自社のブランドや商品を直接消費者に提供できるということは、独自のマーケティングや販売戦略を展開できるということになります。小売業者や中間業者を介さないことで、ブランドのストーリーをよりダイレクトに伝えることができ、消費者との関係を深化させることが可能です。
アパレル業界はレッドオーシャンであり、様々な企業が混在して競合他社との差別化が重要になります。
その点、D2Cアパレル企業は自社のECサイトやソーシャルメディアを通じて、独自のブランドメッセージを一貫して発信することができるので、差別化された独自のブランディングが可能になります。よって、消費者はブランドの価値観やストーリーに共感しやすくなり、長期的なファンを育成できます。
総じて、D2Cアパレル企業は独自のブランドイメージを築き、顧客との関係を深めるためのマーケティング戦略を自由に展開できるため、市場での競争において優位性を保つことができるのです。
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D2Cアパレルの課題
初期投資額が大きい
D2Cアパレル企業の課題の一つとして、「初期投資額が大きい」点が挙げられます。新たなアパレルブランドを立ち上げる際、商品開発から製造、ECサイトの構築、マーケティング施策まで幅広い領域での投資が必要です。
具体的には、高品質な商品を提供するための素材調達や生産工程の最適化にコストがかかります。さらに、ECサイトの開発や運用、マーケティング戦略の立案なども初期投資として必要です。これに加えて、ブランドの知名度を高めるためのプロモーション活動にも資金が必要になります。
この課題を克服するために、D2Cアパレル企業は資金調達の効果的な活用や、スケーラブルな戦略の選択、効率的なプロセスの導入などを検討する必要があります。
物流やカスタマーサポートのコストが高い
直接消費者に商品を届けるため、効率的で迅速な物流体制が求められますが、これには一定のコストがかかります。商品の出荷から返品処理までのプロセスを円滑に行うためには、物流の最適化や追跡システムの導入などが必要です。
また、顧客満足度を高めるためのカスタマーサポートも重要ですが、専門のスタッフやシステムを維持するためのコストがかさむことがあります。顧客からの問い合わせや返品・交換の対応などが多岐にわたり、これに適切に対応するためには十分な予算と人材が必要です。
例として、D2Cアパレル企業「Everlane」は、透明性のある価格設定と品質重視のアプローチで知られていますが、商品の返品・交換がしやすいポリシーを提供する一方で、それに伴う物流やカスタマーサポートのコストも発生しています。
この課題を克服するために、効率的な物流プロセスの構築や自動化、顧客対応のスキル向上などが重要です。さらに、顧客満足度向上を通じてリピート購買や口コミによる成長を促進することが求められます。
売上予測が難しい
D2Cモデルでは中間流通業者を排除し、直接顧客に提供するため、需要の変動やトレンドの変化に敏感に対応する必要があります。しかし、直接顧客と接触することで、需要の変動が急激に影響を及ぼすこともあり、売上予測が難しくなることがあります。
例えば、季節やファッショントレンド、マーケティング施策などの要因によって需要が大きく変動することがあります。新製品の導入やセールの実施などのタイミングを誤ると、在庫の過剰や不足といった課題が生じる可能性があります。また、消費者の購買行動が予測しにくいこともあり、需要の変動に適切に対応するための戦略やシステムの構築が求められます。
これに対処するためには、過去の売上データや顧客の行動データを分析して需要の傾向を把握し、リアルタイムの情報を活用して需給バランスを調整することが重要です。また、迅速な製造・生産体制や柔軟な在庫管理、効果的なマーケティング施策の実行が売上予測の精度向上に寄与します。
D2Cアパレルの未来
D2Cモデルのアパレル業界の未来は、さらなる成長が期待されています。
例えば2021年の調査によれば、世界のD2Cアパレル市場は2020年から2027年までの間に年平均約15%の成長率で拡大し、2027年には1兆5,336億ドルに達すると予測されています。
この成長の背後には、消費者が個別のニーズに合わせた製品や独自の価値体験を求めており、D2C業界のアパレル企業は、その顧客のニーズに答える事ができるとされているからです。
特に、新興市場や若い世代の購買力の増加がD2Cアパレル市場の成長をけん引しています。また、ライブコマースやインフルエンサーマーケティングの影響力を通じて、D2Cブランドは広告やプロモーションを通じて消費者と直接的なつながりを持つことができます。このような状況が、D2Cアパレルの市場拡大を支えています。
また、テクノロジーの進化により、個々の顧客に合わせたカスタマイズや、持続可能な素材や生産プロセスの活用など、消費者の関心に合わせた新たなビジネスモデルが生まれる可能性もあります。これにより、D2Cアパレルは今後も持続的な成長を続け、多様な顧客ニーズに応える重要な役割を果たすでしょう。
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まとめ
D2Cモデルのアパレル企業は、中間マージンを削減できること、消費者のニーズをより深く理解できること、独自のマーケティングや販売戦略を展開できることなどのメリットがあります。一方で、初期投資額が大きい、物流やカスタマーサポートのコストが高い、売上予測が難しいなどの課題もあります。
ただ、D2Cアパレル業界では新しいビジネスモデルの登場や、技術の進化に伴い、これから先も市場規模は大きくなることも予想されます。
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なお、D2Cアパレルの販売を軌道に乗せるには、D2Cに特化したカートシステム機能が搭載されているECプラットフォームが便利です。D2Cに特化した「W2 Repeat」なら、デザイン性が高く扱いやすいサイトが構築できます。
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