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PHPの重大脆弱性で国内ECカートが一斉停止——国が「サイト停止」まで呼びかけた10月21日の夜に何が起きたのか
2026.10.29

PHPの重大脆弱性で国内ECカートが一斉停止——国が「サイト停止」まで呼びかけた10月21日の夜に何が起きたのか

PHPの修正版公開を前に、主要ECカートが相次いで停止

Webサイトの開発で広く使われるプログラミング言語「PHP」の開発チームは、2026年10月20日、2件の重大な脆弱性に対処する修正版を日本時間10月21日23時に公開すると予告した。2件とも深刻度を示す指標「CVSS v4.0」で9.2と評価されており、外部からの攻撃によってサーバー上で任意のプログラムを実行される恐れがあるものだった。

予告を受け、国内のECカート各社はPHPの修正版の公開を待たずに、予防措置としてサービスを止める判断に踏み切った。各社の公式発表による停止期間は次のとおりだ。

プラットフォーム 停止期間 停止時間
BASE10月21日15:50〜22日8:00約16時間10分
カラーミーショップ10月21日22:00〜22日8:49約10時間49分
makeshop10月21日23:00〜22日4:42約5時間42分
futureshop10月21日21:36〜22日23:35約26時間

引用:Recustomer「2026年10月の主要カート緊急停止から学ぶ、ECプラットフォーム停止時の購入者対応チェックリスト」

BASEは当初22時からの停止を予定していたが、利用者の安全を優先して約6時間前倒しの15時50分に停止を開始した。ショップページの閲覧や注文だけでなく、管理画面や購入者向けアプリ、APIも止まり、店舗運営者は自店の状況を管理画面で確認することもできなくなった。

ECカートだけでなく、pixivやDMM.com、niconico、ハンドメイドマーケットのCreemaなど、PHPを使う大手サービスやオンラインゲームでも同じ夜に緊急メンテナンスが相次いだ。

編集部コメント

今回の一斉停止で浮き彫りになったのは、「自社サイトが止まるかどうかを自社で決められない」というSaaS型カートの構造です。プラットフォーム側の判断は、利用者を守るためには正しいものでした。一方で、停止開始の前倒しも含めて、店舗側には購入者へ告知する時間がほとんど残されていませんでした。決済や物流と同じように、カートも「止まることがある」前提で、停止時の連絡手段や受注の扱いを事前に決めておく必要があると思い知らされる契機となりました。

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国が「サイトの一時停止」を呼びかけた異例の対応

今回の脆弱性は、特定のアプリケーションではなくPHPそのものにあった。WordPressをはじめ、PHPで動くWebサイトやシステムの多くが影響を受ける可能性があり、IPA(情報処理推進機構)は修正版の公開前から緊急の注意喚起を出した。

さらに国家サイバー統括室は10月21日、修正パッチを速やかに適用することが難しい場合には、Webサイトを一時的に停止することもリスクを下げる有効な手段だとXで呼びかけた。現首相、高市早苗首相も修正版の公開に先立ち、自身の公式Xで、PHPを使っているかを確認し、修正パッチを適用できるよう準備するよう呼びかけている。

対応をさらに難しくしたのが、古いバージョンの扱いだ。修正版が出たのはPHP 8.2〜8.5系(8.2.35/8.3.36/8.4.27/8.5.12)で、サポートが終了しているPHP 8.1以前には公式の修正版が提供されておらず、古いバージョンで動くサイトは、パッチを当てるだけでは済まず、サーバーの移行やPHP自体のバージョンアップが必要になった。

また、PHP開発チームが修正版の公開を予告する前日に脆弱性の技術情報が流出し、修正版の公開前から攻撃の試みが確認されていたとの報告もある。

IPA/国家サイバー統括室の注意喚起のスクリーンショット

引用:IPA「PHPの脆弱性に関する注意喚起」

編集部コメント

国がサイトの停止まで推奨するのは、それだけ影響範囲が広く、攻撃までの猶予が短かったことの表れです。特に注意したいのは、カート本体とは別に動いているWordPressのオウンドメディアや、キャンペーン用のLPです。カートが安全でも、同じドメインで動く周辺サイトが古いPHPのまま放置されていれば、攻撃者はそこからサーバーに侵入し、連携しているシステムや顧客情報にまで被害を広げる恐れがあります。自社サイトのどこで何の技術が動いているかを、一覧で答えられる状態にしておきたいところです。
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「止まる前提」で見直したい、EC事業者の3つの備え

makeshop、カラーミーショップ、BASEは、今回の脆弱性を悪用した不正アクセスや情報漏えいは確認されていないと公表している。予防的な停止によって被害を防いだ一方で、店舗側には停止期間の売上機会の損失と、復旧後の問い合わせ対応が残った。

停止が長引いたfutureshopは10月25日、長時間メンテナンスと不正アクセス事案についてのお詫びと説明を公表している。

今回の事態を受けて、EC事業者が見直したいポイントは大きく3つある。

編集部コメント

今回の件で、カートを選ぶ基準に「障害時にどう動いてくれるか」を加える事業者は増えるはずです。停止の判断がどれだけ早く、どんな経路で店舗に伝わったか、復旧後にどこまで説明があったか。平常時の機能比較では見えにくい部分ですが、事業の継続性を左右するのはむしろこうした非常時の対応です。利用中のカート事業者に、障害時の連絡体制や過去の対応実績を一度確認してみてはいかがでしょうか。


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