AIに「買い物相談」する生活者が4割に急増——タイパ実感は75%、50代に広がる「検索からAIへ」の地殻変動
買い物は「探す」から「提案を仰ぐ」へ。4割が選ぶストレスから解放
共通ポイント「Ponta(ポンタ)」を提供するロイヤリティマーケティングと日経クロストレンドは、共同で実施した生活者の買い物におけるAI活用の実態調査を発表した。
調査によると、「生成AIに買い物に関する相談をしたことがある」と回答した生活者は約4割に上った。これまで、ネットショッピングは「自ら検索窓にキーワードを入力し、無数の候補から比較・検討する」のが当たり前だったが、買い物のあり方はAIというパーソナルアシスタントに「お勧めを提案してもらう」形へと急速に変化しつつある。
この「4割」という数字は、決して一過性の傾向ではないようだ。SEOを中心にデジタルマーケティング支援を行うPLAN-Bマーケティングパートナーズが実施した別の調査でも、生成AIを日常的に利用するユーザーのうち42.7%が「商品の購入」を、43.3%が「行き先(旅行先やレストランなど)の決定」を、生成AIとの対話をきっかけに行った経験があると回答している。

調査主体や設問設計が異なるにもかかわらず、ほぼ同水準の数値が独立して観測されている点は、「AI起点の消費行動」がすでに一部の先進的なユーザーだけの現象ではなく、生活者全体に広がりつつある構造的な変化であることを示している。
編集部コメント
相談ユーザーの75%が「タイパ」を実感。選択肢過多の時代における特効薬に
AIに買い物の相談をしたことがあると回答したユーザーのうち、実に75%が「タイパ(タイムパフォーマンス)」の向上を実感している。

現代の消費者は、溢れかえるWeb上の口コミや類似商品の中から「どれがベストか」を見極めることに疲弊している。AIに予算や目的、好みを伝えるだけで、候補を瞬時に数択に絞り込んでくれる体験が、比較・検討にかかる時間と脳の認知的負荷(選択のストレス)を劇的に削減している。
実際にPLAN-Bの調査でも、生成AIをきっかけに購入した商品としては「化粧品・スキンケア・ヘアケア」(40.6%)や「食品・飲料」(39.1%)、「本・雑誌・電子書籍」(35.9%)が上位を占めており、いずれも選択肢が非常に多く、口コミやレビューをもとに比較検討する手間がかかりやすいカテゴリーだ。行き先の決定においても「飲食店」(56.9%)や「旅行・宿泊先」(55.4%)が突出して高く、条件が多岐にわたるジャンルほどAIによる情報整理・要約の恩恵を強く受けていることがうかがえる。
編集部コメント
50代が牽引する「検索よりAI重視」の意外な逆転現象
今回の調査における最大のサプライズは、50代のアクティブなAI活用姿勢だ。デジタルネイティブである若年層以上に、50代において「従来の検索エンジンによる情報収集よりも、AIへの相談を重視する」という逆転の傾向がみられた。
50代以上のミドル・シニア層にとって、複雑なキーワードを組み合わせて検索を繰り返し、偏った広告や大量のリンクから正しい情報を見分ける作業は、若年層が考える以上にハードルが高い。自然な話し言葉(会話)で質問すれば、客観的で要約された回答がピンポイントで返ってくるAIのインターフェースこそが、彼らの情報探索のストレスを最も解消する手段となっている。
編集部コメント
AIを鵜呑みにしない、慎重な生活者像も浮き彫りに
一方で、生活者が生成AIの提案を無条件に信頼しているわけではない点にも注目したい。PLAN-Bの調査では、AIをきっかけに購買・行き先決定の経験があるユーザーのうち86.8%が、実際の購入前に「Googleなどの検索エンジン」で情報を検証したと回答している。さらに「Amazonなどのモール型EC」(39.5%)や「Instagramなどのソーシャルメディア」(31.6%)で口コミや評判を確認する動きも一般的で、「生成AIを完全に信頼しているため検証しない」という回答者はわずか2.6%にとどまった。
同調査が公開したユーザーの実際のチャット履歴(ヘアケア用品の購入事例)を見ると、AIから提案を受けた後にユーザーが追加で条件を絞り込み、最終的にモール型ECサイトで口コミを確認してから商品を選んでいる様子が読み取れる。AIはあくまで比較検討の「たたき台」を作る役割を担い、最終的な意思決定の裏付けは従来からの情報源が支えているという、二段構えの購買行動が定着しつつあるようだ。
(参考:Visa調査: AIエージェントによる購買の普及に必要なものとは消費者が求めるのは“信頼できて、自分で選べる”仕組み)
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