メタバースECとは?メリットや活用方法、事例を徹底解説
近年、ゲームを中心に注目されているメタバース。Facebookが社名をMetaへ変更し話題になったように、ECに次ぐ第3の市場として注目されています。ここでは、メタバース市場においてECはどのように動いていくのか、参入するにはどうすればいいのか、実際の事例をご紹介しながら説明します。
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メタバースとは?VRと何が違うのか
「メタバース」という言葉を聞いたことはあるけれど、実際どういうものなのか説明できないという方も多いのではないでしょうか?メタバースとは何か、VRと何が違うかについて概要を説明していきます。
メタバースとは、インターネット上につくられた「仮想空間」のことです。実はメタバースという語については明確な定義がありません。よく言われる定義としては下記の4つがあります。
1.他者とのコミュニケーションが目的である
2.大人数が参加できる
3.アバターを使う
4.参加者が自由に世界を構築する
ただし、この4つに当てはまらなければメタバースと言えないわけではありません。大まかな定義としては、仮想空間の中でアバターを使って行動し、コミュニケーションがとれるということです。
メタバースが最も利用されているのはゲームです。例えば「あつまれ どうぶつの森」や「Fortnite」などがあります。ユーザーは自分のアバターを作成し、仮想空間内で自由に行動します。仮想空間内では他のプレーヤーと会話をして交流したり、一緒にゲームを楽しんだりできます。
仮想空間というと、VRを思い浮かべる方も多いと思います。VRは仮想空間を実体験しているように感じられる「手段」です。つまり、メタバースは空間であり、VRはその空間を感じるための手段となります。VRゴーグルを着用することでメタバース内でリアルな体験ができるということです。
バーチャルショップとメタバースECの違い
バーチャルショップとは、インターネット上につくられた仮想の店舗です。メタバースとの違いは、同じ空間に大勢の人が入るか否かという点にあります。友だちや他の人との交流はありませんが、アバターを通して店員さんからの接客を受けられることも。
バーチャルショップでは実店舗のイメージを再現できるので、ECに比べてブランドイメージを伝えやすくなります。商品は3D画像として取り込まれているため、様々な角度から見ることもできます。バーチャルショップは、いわばECと実店舗の中間にある店舗といえます。サイト上で顧客にアプローチできる新しい手法です。
メタバースECは、バーチャルショップと同じく仮想の店舗です。ただし、店舗がある空間がメタバース上になります。メタバースECには実際の店舗同様同じ空間に様々な人が入ってきます。ユーザーはリアルな買い物と同じように、家族や友人とコミュニケーションをとりながら買い物を楽しむことができます。
メタバース上には様々なショップがあるため、他店を利用する目的であった顧客がたまたま訪れるといったこともあるでしょう。ECは既存顧客中心で、新規顧客の獲得は広告などに頼らざるを得ません。メタバースECの場合は通りすがりの利用者が新しい顧客になる可能性があります。バーチャルショップよりも、賑わいを感じることができるのはメタバースECの魅力といえます。
メタバースが注目される理由は?
新型コロナウイルスの影響で、テレワークやリモート飲みといったオンラインを通しての活動が日常的になりました。こうした背景もあり、メタバース市場に注目する企業が増えています。では、実際に市場規模はどのくらいあるのか解説していきます。
メタバースの市場規模はどれくらいか
総務省が公表した資料によれば2021年で389億ドル、2022年では475億ドルになると予測されています。市場を牽引しているのはゲーム業界です。ゲーム内のアバターが着用するアイテムを有名アパレル企業が販売するなど、ゲームを通じて異業種も参入しています。
矢野経済研究所の調査によると、国内での市場規模は2021年度で744億円、2026年度には1兆円を超えると見られています。国内においては、バーチャル展示会やオンラインセミナーなどで法人が牽引し、続いて消費者向けサービスに浸透していくという予測です。この調査ではゲーム専業サービスは対象外とされています。
国内だけでなく、世界的にゲーム事業以外でもメタバース市場は今後伸びる可能性があると考えられているようです。
メタバースECに出店するメリット
では実際にメタバースに出店した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。メタバースECのメリットを3つご紹介します。
出店費用や運用コストを抑えられる
実店舗を出店する費用とメタバースECの出店費用を比較した場合、初期費用や運用コストを抑えられます。実店舗出店には、保証金・改装工事費・什器代などがかかります。運用には賃料や光熱費が必要です。
メタバースECの場合、必要な費用のほとんどはソフトウエアの開発費です。商品は3Dデータを作成するので点数が多いと費用も高くなりますが、在庫を用意する必要はないのでその分コストは低くなります。
多店舗展開するときには同じデータの流用も可能なので、1店舗目よりもコストダウンが実現できます。実店舗の場合は期間限定の出店は難しいですが、メタバースECではデータは何度でも使えるのでテスト出店なども行いやすくなります。
実店舗と同じような接客により購入率が高まる
メタバースECではアバターを使って実際の販売員が接客を行えます。
商品に関する情報を実店舗のように販売員が説明することで、購入率が高まると予想します。一般的なECにおいてCVRの目標値はユーザー数の1~3%と言われます。あるメタバースECで食品を販売したところCVRが30%にまで増加したという例があります。
ここに販売員の接客を合わせた場合、さらに売上が高まると期待できます。
現実世界の商品のほか、バーチャル商品も販売できる
メタバースECでは実際の商品以外にも、メタバース内で利用できるバーチャル商品を販売できます。アバターが着用する服や靴、アクセサリーなど様々です。
メタバースゲームの「Fortnite」を対象とした調査では、ユーザーの68.8%が84.67ドル(1万円程度)の課金経験があり、そのうち58.9%がゲーム内のアバターに着用させるアイテムに使われていることが分かりました。
現実の世界同様、メタバースにおいてもファッションや持ち物に対する需要があるということです。
メタバースECの事例
メタバースECを活用している事例を7選紹介します。メタバース上でどのような事業を展開し、どうアプローチしているのか解説していきます。
【三越伊勢丹】オリジナルメタバースでメタバースデパートを運営
(参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001673.000008372.html)
三越伊勢丹ホールディングスは2021年3月より、スマートフォン向けメタバースプラットフォーム「REV WORLDS / レヴ ワールズ」の提供を開始しました。メタバース内は新宿駅東口の街並みを再現しており、仮想伊勢丹新宿本店ではショッピングもできます。デパート内のフロア構成は実際の店舗のように構成されており、デパ地下も楽しめます。
仮想伊勢丹新宿本店では、商品に近づくと商品情報がポップアップで表示され、画面をタップすると伊勢丹オンラインショップに遷移します。アバター用のアイテムも各店舗で提供されるなど、メタバースならではの仕組みが導入されています。
【BEAMS】5度目の「バーチャルマーケット」出店は実店舗との連携も
(参照元:https://www.beams.co.jp/company/pressrelease/detail/645)
アパレルブランドのBEAMSは株式会社HIKKYが主催するVRイベント「バーチャルマーケット 2022 Winter」に5度目の出店を行いました。「バーチャルマーケット」とは、2018年から開催されているVRマーケットで、世界からの来場者が100万人にも及ぶギネス記録にも認定されたイベントです。
同社ではこのイベントへの出店が2022年12月開催で5度目となります。5度目の出店ではメタバース店舗のモデルとなったBEAMS HARAJUKU店内にバーチャル接客拠点を設け、約40名の社員が交代でメタバース店の接客を行いました。実際の商品をアバター用3D衣装としてメタバースショップ内に置き、陳列された商品をクリックするとアバターが簡単に試着できる仕組みも導入されました。
アバター用3D衣装やアイテムは11点あり、商品は実店舗のほかバーチャルショップ内でも購入できます。同社ではメタバース出店に合わせtwitterを活用したイベントを行うなど、メタバースショップ用のコンテンツやアイテム開発に力を入れています。
【NIKE】メタバース×NFTでバーチャルスニーカーを販売
(参照元:https://opensea.io/ja/collection/rtfkt-nike-cryptokicks)
NIKEは2021年12月に仮想スニーカーデザインを手掛ける「RTFKT」(アーティファクト)を買収しました。2022年初頭には共同で制作した初のデジタルスニーカー Cryptokicksを発表し話題となりました。
Cryptokicksは、NIKEを象徴するモデルであるDunkのシルエットを基にデザインされています。Skin Vials(スキン・バイアルズ)というNFTアイテムで、ユーザーは好きなデザインにカスタマイズできます。発売から5か月後には約14億円で売買されるなど、常識では考えられない状況です。
NFTスニーカーの保有者は「Snapchat」によってアバターに着用させることができます。同社では今後もメタバースやNFTを活用した取り組みを強化していく方針です。
以下の記事ではバーチャル試着システムによるECサイトのメリットについて詳しく解説しています。
ぜひ合わせてご覧ください。
バーチャル試着システムによるECサイトのメリットとは?導入事例や費用も紹介
【QVC】専用アプリ不要のメタバースイベントを開催
(参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000254.000018268.html)
通販企業のQVCジャパンは初の開催となるメタバースでのイベント「未来空間 QVCプラネット」を2022年12月に開催しました。最大の特徴は専用アプリを用いずに、WEBブラウザ上で参加できることです。
アプリのダウンロード不要で、スマートフォンとPCのいずれかを使い、URLをクリックすることでメタバース空間に入れます。イベント内ではアバターを操作して様々なブースを訪れたり、メタバース内に設置された大型スクリーンで動画を視聴したりできます。チャットや絵文字を利用して他の参加者と会話するなどコミュニケーションをとることも可能です。
【ローソン】エンタメを提供し、実店舗への誘導につなげる
(参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000145.000034617.html)
コンビニを展開するローソンは、2021年12月に開催された「バーチャルマーケット2021」に初出展しました。コンビニがメタバースに?と驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の出展の目的はビジネスとして利用できるかどうかの検証であったそうです。情報収集のほか、技術的な検証の機会としたということです。
イベントでは人気ブイチューバ―による接客や、その場で撮影した写真をパッケージに使ったオリジナルからあげくんの制作体験、メタバース店限定の3Dグッズ配布などエンタメを意識した企画が用意されました。来店者数は公開されていませんが、同社の担当者によると予想以上の来客であったそうです。メタバース店で配布された実店舗で利用できるクーポンの利用も好調で、メタバースとリアルの融合を感じられた出展になりました。
【大丸松坂屋】リアル食品と3D食品を販売
(参照元:https://www.daimaru-matsuzakaya.com/news-topics/2021/12/2021.html)
大丸松坂屋百貨店は2021年12月に開催された「バーチャルマーケット2021」に出店しました。実際の渋谷を再現した「パラリアル渋谷」に、メタバースならではのユニークな外観デザインの店舗をオープン。スマートフォンからもアプリのダウンロード不要で参加できる「ブラウザ会場」でも展開することで、より多くのユーザーにリーチできます。
狙いとしては、ECサイトでは起きにくい商品との「偶然の出会い」を提供したいとしています。イベント時には100人が参加できる「メタバース宴会」を開催し、大丸松坂屋のスタッフがアバターとなって商品の紹介をします。その他、食品3Dモデルの販売も実施。メタバース内ではユーザー同士がビールで乾杯や、スイーツで誕生日祝いを行うといった交流が行われます。そこで使用できる食品3Dモデルを販売し、メタバースでの活動をより楽しいものにする演出をしています。
【マリークヮント】年代別トレンドメイクをアバターで体験
(参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000219.000034617.html)
コスメ業界で初めて、マリークヮントが「バーチャルマーケット2022 Winter」に出店しました。出店会場は「パラリアルパリ」で、ブランドアイコンのデイジーの花を散りばめたかわいらしい外観のお店です。店内にはフォトブースや観覧車を模した商品棚などが設置されています。商品はリップスティックやアイシャドウといったコスメが8点あり、リアルで購入できます。その他、ブランドロゴ入りのオリジナルティアラ3Dモデルも販売。国内だけでなく、海外への販売にも対応しています。
コンテンツとしては、年代別のメイクをアバターで体験できるコーナーの他、アンケートに答えるとマリークヮントオリジナルのアバターが無料でもらえるなど、買い物以外でも楽しめる企画が用意されました。
メタバースECにかかる費用はどれくらい?
メタバースECに興味はあるけれど、実際どのくらいの費用がかかるのか知りたいという方も多いと思います。メタバースECにかかる費用のほとんどはソフトウエアの開発費です。想定しているお店の規模や実装したい機能によって費用は異なります。オリジナルのメタバース空間を開発したい場合は数千万~というスケールになるかもしれません。
一方、展示会やイベントなどの単発のメタバースに参加する場合、制作会社に型となる下地があることが多く、店舗の制作費用は数十万円〜数百万円というのが相場です。メタバースイベントへの出店費も数千円程度と非常にローコストです。新たな市場であるメタバースに関心があれば、単発のイベントから始めてみるという方法もあります。
まとめ
メタバースはインターネット上につくられた仮想空間をいい、よりリアルな没入感を体感するためにVRといった技術を利用します。メタバース内では自分の分身となるアバターを操作して動き、他のユーザーとコミュニケーションをとることもできます。
メタバースECは世界の多くの企業が注目している市場で、国内だけでも2026年には1兆円の規模になると予想されています。実店舗の出店に比べて初期費用や運営コストが抑えられることや、24時間エリアを問わず集客できる点も魅力です。メタバースへの進出を検討しているのであれば、まずは展示会やイベントといった単発のものから考えてみてはいかがでしょうか。
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