越境ECサイトの言語対応の方法や翻訳ポイントを解説


近年、日本のECサイトが国境を超えて海外に進出しはじめているのをご存知でしょうか?それらのサイトは「越境EC」や「海外EC」と呼ばれており、新しい商売方法として注目を集めています。
ただ現状は、越境ECサイトにはどんなメリットがあり、どんな方法で開設すればいいのかわからないことが多く、はじめられるのはごく一部の人といえます。
特に言葉の壁は商売において余計な損失を生み出してしまう原因になるので、しっかり対策を取らなければいけません。
そこで今回は、越境ECサイトにおける上手な言語対策について解説します。
この記事を参考にすることで、越境ECサイトでも成功する確率はグンと上がるでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の監修者

神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。
越境EC市場規模

越境ECの市場規模は年々拡大しています。
スマートフォンが普及したことによって、消費者はいつでもどこでも気軽にオンラインで商品を購入することができるようになったことが主な要因です。
他にも、自国では買えず質がよく低価格な商品を購入する消費者が増加していることや、物流レベルの向上なども越境ECを促進する一つの要因になっています。
経済産業省によると、2021年の世界の越境EC市場規模は7,850億USドルと推測され、9年後の2030年には7兆9,380億USドルにまで拡大すると述べています。
その間の9年間の年平均成長率は、約26.2%と推測されており、越境ECの市場規模は拡大し続けていくと見られています。
経済産業省のデータからも分かる通り、越境ECの市場規模は拡大傾向にあり、日本企業の越境EC参入企業も増加しています。
また、日本の商品は質が良く、中国やアメリカからも人気となっています。
しかし、そうしたマーケットを狙った競争が激しく市場参入の成功はそう簡単ではありません。
同じく、経済産業省の調査によると、越境EC導入を検討した際の課題を企業にヒアリングし、「海外配送のための対応」や「運用コスト」「海外マーケティングが不明」などが挙げられました。
そんな中でも50%以上の事業者が「言語の壁」が課題だと述べています。
そのため、言語の壁を突破することは越境ECでビジネスを成功させるための秘訣だとも言えます。
以下の記事では越境ECについてさらに詳しく解説しています。
ぜひ合わせてご覧ください。
越境ECとは?市場規模やメリット、始め方3選について解説
越境ECサイト言語対応の成功ポイント

この章では越境ECサイト言語対応の成功ポイントについて詳しく解説します。
成功ポイントは以下の5つです。
- ブランドイメージに合わせた翻訳をする
- 取引するターゲット国は言語の中でも何を使っているのか調べて対応する
- 無理に他言語に変える必要がない場合もある
- 言語切替ボタンや問い合わせ先などを明確にする
それぞれ詳しく解説していきます。
ブランドイメージに合わせた翻訳をする
ブランドイメージとは、商品がどのような層に好まれて購入されているかを表したものです。 「層」の中には性別や年齢、年収や購入して渡すときのシチュエーションなどが含まれており、それぞれの商品から浮かび上がるイメージで英語表現を使い分けます。
日本国内で例えてみましょう。
ブランド力がとても強い高級感あふれるジュエリーショップの商品を紹介するとします。この場合、ただ単に「きれいな」や「上質な」という言葉だけでは、ブランドイメージを鑑みた表現とはいえず、どんな商品なのかを伝えきることはできません。
それよりも「気品あふれる胸元を演出する」や「透きとおるきれいさ」のように、言葉自体に高級感を出した表現を用いると、ブランドイメージに合った表現になります。
他言語も同様で、単にその商品にあった単語を選ぶだけではなく、商品のブランドイメージにあった表現を考えることが越境ECサイトにおける「伝わる言語」となるでしょう。
取引するターゲット国は言語の中でも何を使っているのか調べて対応する
越境ECを構築する際にターゲットとなる市場に合わせてどの言語に対応するかを決める必要があります。
越境ECで海外に販売する際には、ほとんどの場合は英語での対応は必須となりますが、英語のみに対応していればいいのかは市場に応じて判断する必要があります。
また、言語は国や地域によって使い方や意味、スペルまでも異なります。
例えば、越境ECサイトで英語の文章を用いる場合は、それぞれの国で用いられる表現やスペルに合わせることで「伝わる英語」となります。
たとえば、「イケている」というカジュアルな表現は、アメリカ英語であれば「awesome」、イギリス英語であれば「brilliant」が用いられます。
そのため、アメリカとの取引の際にイギリス英語の表現を用いると、アメリカのユーザーは少し読みづらさを覚えてしまうかもしれません。
これらの単語以外にも、アメリカ英語とイギリス英語でスペルが異なる英語は複数ありますが、今回紹介した「色」や「味」といった単語は、ECサイトでの商品説明に用いられやすいものなので、注意しましょう。
無理に他言語に変える必要がない場合もある
言語は、表現方法を変えただけ、単語を変えただけで売れ方が変わってくることも往々にしてあります。
そんな中でも、無理に他言語に変える必要がない場合もあります。
例えば、和菓子を無理に翻訳せず「Wagashi」が通じることを調査し明らかにすることで、そのまま「Wagashi」表記にしたところ、海外ユーザーから良い反応がでた事例もあります。
海外のユーザーにどのようなワードで検索されているか事前に調べてみるのも成功のポイントになります。
言語切替ボタンや問い合わせ先などを明確にする
海外のユーザーは、自国で手に入らない商品だからと、日本の商品やサービスの情報を求めてECサイトに流入してきます。
その際に、言語の切替表示が分かりづらかったり、詳細を知るために問い合わせをしたい場合に問い合わせ先がわかりづらかったりすることで購入意欲を阻害してしまう可能性があります。
そのため、切替ボタンや問い合わせ先など、購買に重要なポイントには特に分かりやすくデザインすることが重要です。
言語切替ボタンに関しては、ユーザーの滞在エリアによって自動的に言語が切り替わる方法もあります。
なお、「ECサイト構築しくじり事例100選」では、実際にEC事業者から聞いたECサイト構築の失敗事例100個とチェックポイントをまとめました。
資料は無料でダウンロードできるので、ぜひご一読ください。
越境ECサイトの翻訳方法とメリット・デメリット

越境ECサイトの文章を他言語に翻訳する方法は、以下の5つです。
- 翻訳専門業者に依頼する
- フリーランスの翻訳専門家に任せる
- 自分で翻訳する
- 翻訳WEBサービスを利用する
- 翻訳ツールを実装する
それぞれメリット・デメリットを合わせて詳しく見ていきましょう。
翻訳専門業者に依頼する
しっかりとしたロジックでサイト内の文章を構築したい場合は、翻訳専門業者に依頼することをおすすめします。
英語翻訳のプロが集まっているため、「伝わる英語」の使い方を熟知しているからです。
また、専門事業者なので海外企業とのスムーズな取引も可能です。
一方で、専門業者は他の翻訳方法よりもコストが大幅にかかってくることが注意点になります。
フリーランスの翻訳専門家に任せる
同じような専門家でも、フリーランスの翻訳家として働いている人もいます。
業者と比べ安価で済む場合が多いですが、人によって翻訳の質が異なるのが難点です。
依頼する場合は、フリーランスの翻訳実績や経歴を必ず確認してから依頼しましょう。
自分で翻訳する
英語翻訳に自信がある場合は、自分で行うことで金銭面のコストを抑えられます。 しかし、時間的なコストや労力はかかります。
越境ECサイトの運営や構築を行いながら翻訳作業するのはおそらく大変でしょうから、余裕がある場合のみおすすめです。
翻訳WEBサービスを利用する
現代はオンラインで英語翻訳をしてくれるサービスがあります。 WEBサービスによって無料と有料に分かれているため、費用を掛けたくない場合は無料、比較的質がよいしっかりとしたサービスを受けたい場合は有料を選ぶとよいでしょう。
しかし、翻訳WEBサービスは細かなニュアンスを完全に翻訳することができないのが注意点になります。
翻訳ツールを実装する
翻訳ツールをWEBサーバーに実装して、英語翻訳を行う方法もあります。
たとえば、ECサイトで用いられるケースがある「WordPress」には、プラグインと呼ばれる拡張機能が用意されており、そのなかにはサイトを多言語対応させる、自動翻訳プラグインが複数あります。
このプラグインを利用することで、WEBサーバーに翻訳機能が実装されます。
自動翻訳プラグインはそれぞれ機能が異なっているため、対応言語数、多言語SEOに対応しているかどうかなどを確認しておきましょう。
このような翻訳ツールは、WEB上のサービスと異なり、個人でツールを使い翻訳することができるため、翻訳にかかる時間を短縮できます。
まとめ

この記事のまとめです。
- 越境ECの市場規模は年々拡大していて、越境ECビジネスを成功させるには言語の壁を越える必要がある
- ターゲット国を事前調査して翻訳する言語を決定し、その地域に合わせた表現や言葉を使ってサイトを翻訳していく
- 海外ユーザーでも使いやすいようにUI/UXには気を付ける
- 翻訳する際には、翻訳専門家や翻訳WEBサービスを利用したり、翻訳ツールを実装したりする。
それぞれメリット・デメリットがあるため事前に調べることが重要です。
越境ECサイト構築・運営における最大の障壁は「言葉」であるといっても過言ではないでしょう。
言葉の表現方法による違いは、取引における解釈の違いも生み出しかねません。 そのようなリスクを背負わないために、大事なことはただ1つ「伝わる言語」を用いることです。
その「伝わる言語」を用いるには、2つのコツを留意する必要があります。
そのコツとは「ブランドイメージ」と「国ごとの単語の意味やスペル」を考慮することです。
また翻訳方法に関しても、多少お金がかかっても専門家に任せたほうが、安心して越境ECサイトの構築ができるようになるでしょう。
また、越境ECサイトで多言語を使用する場合、もっとも気をつけなければいけないことは「表現を間違えたことで起こる経済的な損失リスク」です。
国ごとの「伝わる言語」を用いることができないと、解釈の違いを発生させる可能性があります。
解釈の違いは商品販売において金銭的なリスクを冒す危険があるため、言語の使用方法には充分に注意しましょう。
越境ECサイトの需要は、今後ますます高まってくると考えられています
もしこれから越境ECサイトを立ち上げようと考えているのであれば、英語の使い方に注意し、世界に通用するサイトを作りあげてください。
以下の記事では越境ECの成功事例をご紹介しています。
ぜひ合わせてご覧ください。
【成功事例10選】越境ECの市場規模や成功しているポイントを紹介
越境ECにおける言語対応に関するよくある質問
Q: 越境ECを始める際、最初にどの言語から対応すべきですか?
A: ターゲット市場と既存のアクセスデータを基に判断するのが最も効果的です。まずは英語でグローバル市場をカバーしつつ、自社サイトへの海外アクセス状況や商品の需要が見込める地域の言語を優先しましょう。アジア圏なら中国語(簡体字・繁体字)や韓国語、欧米圏への展開を考えているなら英語から始めるのが一般的です。
Q: 越境ECの翻訳は機械翻訳とプロ翻訳をどう使い分ければ良いですか?
A: 初期段階では機械翻訳で全体をカバーし、売上に直結する重要なページ(商品名・商品説明・決済画面・利用規約)はプロ翻訳でローカライズする方法が効率的です。特に顧客の購買判断に影響する箇所や法的な内容については、現地の文化や商習慣を理解した専門翻訳者による質の高い翻訳が不可欠です。
Q: 越境ECの多言語対応で技術的に注意すべき点はありますか?
A: 各言語ページへのhreflang設定、言語別URL構造の設計、現地の検索キーワードに合わせたSEO最適化が重要です。また、文字数の違いによるデザイン崩れや、通貨・日付表記の現地仕様への対応も必要になります。これらの複雑な技術要件に対応するには、多言語機能が標準搭載された専門的なECプラットフォームを活用することで、開発コストと時間を大幅に削減できます。