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10月だけで小売・EC大手が相次ぎサイバー被害——ギフティ5.5億円不正発行、H2O126万件漏えいなど主要事案まとめ
2026.10.30

10月だけで小売・EC大手が相次ぎサイバー被害——ギフティ5.5億円不正発行、H2O126万件漏えいなど主要事案まとめ

10月に公表された主な事案一覧

2026年10月にヤマト運輸、Joshin、セカンドリテイリング、H2Oリテイリング、イオン、リンツ、ギフティグループが公表した不正アクセス事案のタイムライン

実際、帝国データバンクも10月19日に企業アンケートの結果を発表した。情報漏えいやその可能性がある事案を経験した企業は16.2%に上った。さらに、大企業に限ると約3割に達している。

編集部コメント

今回公表された事案を見ると、不正アクセスによる影響は個人情報の漏えいにとどまりません。サービスの一時停止や不正なギフト発行など、事業運営や売上に直接影響する被害も発生しています。 帝国データバンクが10月19日に公表した調査でも、情報漏えいやその可能性がある事案を経験した企業は16.2%に上り、大企業では約3割に達しています。もはやサイバー攻撃は一部の企業だけの問題ではなく、事業継続に関わる経営課題です。EC事業者も、セキュリティ対策だけでなく、被害発生時のサービス停止や顧客対応まで含めた備えが求められます。

▶ あわせて読みたい:ECサイトのセキュリティ対策!セキュリティ事故の種類と対処法を解説

ギフティの5.5億円被害——「価値を発行する仕組み」が狙われた

ギフティグループは10月26日、システムへの不正アクセスを発表した。同社は、LINEやメールで送れる「eギフト」を手がけている。発表によると、eギフト約5.5億円分が不正に発行された。

不正アクセスは10月25日に発生した。第三者がシステムの脆弱性を悪用し、eギフトを新たに発行していた。そこで同社は同日中に脆弱性を特定し、システムを停止した。なお、このシステムの利用は今後も再開しない方針だ。また、損失は2026年12月期第4四半期に特別損失として計上する見込みだ。

一方で、利用者が持つeギフトが不正に使われたわけではない。顧客資産の減少や個人情報の漏えいも確認されていない。同社は警察に被害を届け出たうえで、発行の監視体制を強化するとしている。

ギフティグループが公表した、システムへの不正アクセスによるeギフト約5.5億円分の不正発行に関するお知らせ

引用:ギフティグループ株式会社 公表資料

編集部コメント

今回のギフティの事案で注目すべきなのは、個人情報の窃取ではなく、金銭的価値を持つeギフトが不正に発行された点です。ECサイトでも、クーポンやポイント、ギフトコードなど、金銭に近い価値を持つデータを扱っています。これらが不正に発行・利用されれば、直接的な金銭被害につながります。発行権限の管理はもちろん、発行上限の設定や通常とは異なる発行を検知する仕組みまで整備できているか、確認する必要があります。

会員情報の大量流出とサービス停止——H2O、ゲオ、Joshin、イオン

まず、阪急・阪神百貨店を傘下に持つH2Oリテイリングの事案だ。同社は10月19日、約126万件の個人情報の一部が漏えいしたと発表した。対象は共通会員ID「H2O ID」で、ほぼ全ての会員が含まれる。漏えいした情報には、氏名、住所、電話番号、生年月日などがある。

きっかけは、10月16日に確認した予約サイト経由の不正アクセスだった。さらに翌17日には、通販サイトでも不正アクセスを確認した。同社はその後、通販サイトと「Remo Order」のシステム全体を停止した。Remo Orderは、店頭の商品を自宅から注文できるサービスだ。なお、注文履歴やカード情報の一部については調査を続けている。ただし、ログインパスワードの漏えいは確認されていない。

次に、ゲオやセカンドストリートを運営するセカンドリテイリングだ。同社は10月15日に、社内システムへの不正アクセスを確認した。そこで二次被害を防ぐため、17日21時から両ブランドのアプリなどを停止した。19日の第2報では、個人情報の外部への漏えいは確認されなかったとした。しかし、その時点で再開時期は未定としている。一方、実店舗は通常どおり営業している。

また、家電量販店のJoshinも10月16日に不正アクセスを認識した。その結果、外部からのアクセスを制限し、一部サービスが止まった。同社は、個人情報漏えいの可能性を否定できないとしている。加えて、イオンも10月21日にグループの一部サイトへの不正アクセスを発表した。ただし、対象の会社名やサイト名は公表しておらず、流出の有無を調べている。

編集部コメント

ゲオ・セカンドストリートの事案では、情報の外部流出は確認されていないものの、アプリやオンラインストアの停止が長期化しています。この事案から考えたいのは、サービスを統合することによる利便性と、障害発生時の影響範囲です。会員証やポイント、オンラインストアを一つのアプリに集約すれば、顧客にとって使いやすくなる反面、一部のシステムに問題が発生しただけでも、複数のサービスが利用できなくなる可能性があります。EC基盤を構築する際は、機能を連携させるだけでなく、障害が発生したサービスを切り離し、ほかの機能への影響を抑えられる設計になっているかも重要です。

委託先経由の漏えい——リンツの事案が示す現実

チョコレートブランド「リンツ」の日本法人も、10月23日に被害を発表した。公式オンラインショップとアプリの会員情報314万7,469件が取得されたという。原因は、EC運用の委託先であるフューチャーショップのサーバーにあった。そのサーバーで使っていたソフトウェアの脆弱性が悪用された形となった。

発表によると、侵入は10月17日23時02分だった。その後、18日0時16分に対象の情報が取得された。一方、委託先が不審なアクセスを検知したのは19日15時30分ごろだった。

取得された情報には、氏名、住所、メールアドレス、生年月日などが含まれる。ただし、クレジットカード情報は含まれていない。なお、フューチャーショップは他店舗で同じ手口の痕跡は確認されていないとした。それでも、外部の専門機関を交えた調査は続けている。

リンツのイメージ画像

引用:リンツ&シュプルングリージャパン株式会社 公表資料



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