ショールーミングとは、実店舗で商品の実物を確認した後、その場では購入せずにECサイトで購入する購買行動のことです。スマートフォンの普及によりこの行動が一般化し、「せっかく店舗に足を運んでもらったのに売上が他社に流れてしまう」と頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ショールーミングの基礎知識から、ショールーミングを逆手に取った企業の成功事例、そして好機に変えるための具体的なシステム活用術までを網羅的に解説します。自社のファンを増やし、次のステージへ進むためのヒントとしてぜひご活用ください。
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この記事の監修者
神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。
ショールーミングとは?
まずは、ショールーミングという言葉の正確な意味と、よく似た用語である「ウェブルーミング」との違いについて解説します。言葉の定義を明確にすることで、自社が取り組むべき施策の方向性が定まります。
ショールーミングの意味
ショールーミングとは、消費者が実店舗を訪れて商品のサイズ感や質感、色味などを実際に確認したあと、その場では購入せずにECサイト(オンラインショップ)で購入する購買行動を指します。実店舗をまるで「ショールーム(展示場)」のように利用することから、この名前が付けられました。
かつては「店舗で接客を受けたのに、AmazonなどのECサイトで安く買われてしまう」というネガティブな文脈で語られることが多くありました。しかし近年では、あえて店舗に在庫を置かず、試着やブランド体験に特化した「ショールーミング型店舗」を展開する企業も増えています。
ウェブルーミングとの違い
ショールーミングと対になる概念として、「ウェブルーミング」があります。ウェブルーミングとは、事前にWebサイトやSNSで商品の情報収集や比較検討を行い、最終的に実店舗を訪れて購入する行動のことです。
どちらの行動も、オンラインとオフラインを行き来する現代の消費者にとってはごく自然な行動です。重要なのは、どちらか一方を対策するのではなく、顧客がどちらの行動をとっても自社で購入してもらえるようなオムニチャネル戦略を強化することです。
ショールーミングが増加している背景
ショールーミングが増加した背景には、主に「スマートフォンの普及」と「ECサイトの利便性向上」の2点があります。消費者の行動原理を理解することは、効果的な対策を打つための第一歩です。本章では、それぞれの要因について詳しく解説します。
スマートフォンの普及
最大の要因は、スマートフォンの普及です。誰もが高性能な検索デバイスを持っているため、店舗の商品棚の前で即座に商品レビューを確認したり、他店との価格比較を行うことが容易になりました。
参考:モバイル社会研究所「スマートフォン比率 2010年4%から2025年98%に:買い替えたきっかけは「電池の劣化」2010年約3割から2025年は約5割へ」
かつては、店舗に行かなければ価格や商品の詳細はわかりませんでした。しかし現在は、バーコードをスキャンするだけで最安値を検索できるアプリも存在します。消費者は「少しでもお得に、賢く買いたい」という心理から、店舗にいながらオンラインの情報にアクセスするようになったのです。
ECサイトの利便性向上
ECサイト特有のメリットが、実店舗で購入するメリットを上回るケースが増えたことも大きな要因です。
かつては購入後すぐに所有できることが店舗の強みでしたが、現在は「翌日配送」や「当日配送」が当たり前になり、待ち時間のストレスは大幅に減りました。むしろ、重い荷物を持ち帰る必要がない分、ECサイトの方が楽だと感じる消費者も増えています。
また、店舗ではスペースの都合で陳列できる色やサイズに限りがありますが、ECサイトなら全在庫から選ぶことができます。「店舗で質感やサイズ感だけを確認し、購入は在庫が豊富でポイントも貯まるECサイトで行う」。このように、実店舗とECの長所を使い分ける消費行動が定着したことが、ショールーミング増加の背景にあります。
ショールーミングのメリット
事業者にとって、ショールーミングは実店舗の売上を奪う「脅威」と捉えられがちですが、ECサイトを含めたブランド全体で見れば、大きなメリットをもたらす可能性があります。ここでは、企業側が得られる2つの主要なメリットについて解説します。
顧客エンゲージメントの向上につながる
実店舗を「体験の場」と割り切ることで、スタッフのリソースを顧客との関係構築に集中させることができます。
従来の店舗運営では、在庫管理やレジ締めといったバックヤード業務、さらには「今日いくら売るか」という販売ノルマがスタッフの負担となっていました。しかしショールーミング型であれば、こうした業務負荷やプレッシャーから解放され、純粋に「顧客にとって最適な提案」を行うことに時間を割けるようになります。この余裕が接客品質の底上げにつながり、結果としてブランドへのロイヤリティを高めることになります。
顧客データを取得し、マーケティングに活かせる
実店舗での現金購入では、お客様が「どこの誰か」までは分からず、その場限りの関係で終わってしまうことが少なくありません。しかし、ショールーミングを経て自社ECサイトへ誘導できれば、「実店舗を訪れるほど熱量の高い顧客」とデジタル上でつながり続けることができます。
「どの店舗で実物を見て、何を購入したか」というデータがあれば、後日その店舗のイベント情報を送ったり、購入品に合う商品を提案したりと、オンラインとオフラインを横断した追客が可能になります。継続的な関係を築ける点は、企業にとって大きな資産となります。
また、以下の記事では顧客データを取得した後のマーケティング施策について詳しく解説しています。是非合わせてご一読ください。
ショールーミングのデメリット
一方で、対策を行わずに放置すれば、企業にとって看過できないデメリットも発生します
実店舗での売上機会を損失してしまう
最もわかりやすいデメリットは、実店舗単体での売上減少です。店舗で商品を試した顧客が、最終的にポイントの貯まるAmazonや楽天などのモールで購入したり、ネット検索で見つけた「より安価な競合商品」へ流れてしまえば、自社にとっては完全な機会損失となります。
また、店舗スタッフが個人的な売上ノルマを課されている場合、「一生懸命接客したのにECで買われてしまった」となれば、スタッフのモチベーションは低下します。これが続くと、店舗とEC事業部の間で対立構造が生まれ、組織全体のパフォーマンスが下がってしまうリスクもあります。店舗での体験価値を維持しつつ、自社ECへの誘導を適切に評価する仕組みづくりが不可欠です。
ショールーミングへの効果的な対応策
ショールーミングを「他社への流出」ではなく「自社ECへの誘導」につなげるためには、どのような対策が必要なのでしょうか。ここでは、システム連携を含めた具体的な3つの手法を紹介します。
1. 実店舗とECの在庫・データを連携させる
最も基本的かつ重要な対策は、実店舗とECサイトの在庫・顧客データをリアルタイムで連携させることです。これを実現することで、例えば店舗で希望の色やサイズが欠品していても、「ECサイトの在庫を引き当てて、その場で決済し、後日自宅へ配送する」という案内が可能になります。
また、ポイント情報を共通化することも効果的です。「店舗で貯めたポイントがネットでも使える」というメリットがあれば、顧客は他社サイトではなく自社ECサイトを選んでくれる確率が高まります。こうしたO2O(Online to Offline)やOMO(Online Merges with Offline)の基盤を整えることが、ショールーミング対策の第一歩です。
W2 Unifiedでは標準機能では、こうした実店舗とECのデータ連携を可能にする機能が標準搭載されています。「店舗在庫のリアルタイム表示」や「会員・ポイントの一元管理」など、OMO戦略に不可欠な基盤をスピーディに構築することが可能です。資料は無料でダウンロードできるのでぜひ合わせてご覧ください。
2.店舗受け取り(BOPIS)を導入し、来店を促す
BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)とは、ECサイトで購入した商品を実店舗で受け取れるサービスのことです。消費者にとっては「送料がかからない」「自分の好きなタイミングで受け取れる」というメリットがあり、企業にとっては「来店時のついで買い」を期待できるという利点があります。
ウェブルーミングの一種とも言えますが、店舗とECをシームレスにつなぐことで、顧客に「自社ブランド内での回遊」を習慣づけることができます。
BOPISについてのメリット・デメリットや活用事例についてより詳しく知りたい方は以下の記事をぜひご一読ください。
関連記事:BOPIS(ボピス)とは?仕組みや導入メリット・導入方法まで解説
3.専用アプリを活用して自社ECへ誘導する
自社専用アプリを導入すれば、GPSやビーコンを活用した店舗チェックイン機能でポイントを付与したり、店舗にある商品をアプリでスキャンして「お気に入り」に登録したりといったオンライン・・オフラインを垣根を超えたシームレスな体験を提供できます。「後で検討したい」という顧客に対し、競合サイトを回遊することなく自社アプリ内での比較検討を促すことができます。
以下では、EC事業者が自社アプリを導入する際の成功ポイントやメリット・デメリットについて詳しく解説しています。アプリ活用によるOMO戦略をさらに深掘りしたい方は、ぜひ合わせてご一読ください。
ショールーミングの活用事例
実際にシステムを活用してショールーミングを取り込み、成果を上げている企業の事例を紹介します。自社での導入イメージを膨らませる参考にしてください。
株式会社アルペン

スポーツ用品大手の株式会社アルペンは、約400の実店舗とECサイトのデータを統合する大規模なOMO戦略を推進しています。店舗とECの会員情報を一元化することで、顧客はどちらで購入しても共通のポイントを利用できるようになりました。
また、店舗スタッフがおすすめのコーディネートを投稿する「スタッフスタート」などのツールを活用し、ECサイト経由の売上であっても、投稿したスタッフや所属店舗の評価につながる仕組みを構築しています。これにより、「店舗 vs EC」の対立を解消し、全社一丸となって顧客体験を向上させる体制を実現しました。
同社の具体的なOMO戦略や、メディアコマースへの取り組みについては、以下の資料でさらに詳しく解説しています。資料は無料でダウンロードできますので是非合わせてご覧ください。
株式会社K-ブランドオフ

ブランドリユース大手の株式会社K-ブランドオフは、高単価な中古ブランド品を扱う特性上、「実物を見てから買いたい」という強いニーズに対応する必要がありました。そこで、ECサイト上の商品を最寄りの店舗に取り寄せて確認できる「店舗受取・試着サービス」を展開しています。
在庫連携システムによって全店舗とECの在庫を可視化し、顧客が安心してショールーミングを行える環境を整備しました。これにより、ECサイトの利便性と実店舗の安心感を融合させ、購買率の向上に成功しています。
以下では、同社が実際に抱えていた課題や、システム導入によって具体的にどのような効果が生まれたのかについて、担当者様のインタビュー形式で詳しくご紹介しています。是非合わせてご一読ください。
関連記事:リユース事業を展開するK-ブランドオフがW2 Unifiedを導入、 EC×リアル店舗の相乗効果で生み出す新たな顧客体験を実現
株式会社トラジ

焼肉店「トラジ」を運営する株式会社トラジは、飲食業界でありながら高度なオムニチャネル戦略を実践しています。店舗での食事と、ECサイトでの焼肉セット販売を連携させた「トラジ経済圏」を構築しました。
店舗予約や食事で貯まったポイントをECサイトでの買い物に利用できるほか、アプリを通じて顧客の誕生日や記念日に合わせたきめ細かなアプローチを行っています。店舗での感動体験を起点に、家庭でもトラジの味を楽しんでもらうことで、LTVを最大化しています。
以下の資料では同社の店舗×EC×アプリのOMO戦略に関して詳しく解説しています。是非合わせてご覧ください。
まとめ
ショールーミングは、決して店舗から売上を奪うだけの存在ではありません。消費者はその時々で一番便利な買い方を選んでいるので、企業側がシステムを整え、在庫や会員データを一つにつなぐことができれば、この行動は「ファン化」への大きな一歩になります。
「店舗で見て、ECで買う」という流れを自社の中だけで完結させることができれば、不毛な価格競争に巻き込まれることもありません。ぜひこの機会に、今のシステムがこれからの時代の買い方に対応できているか、見直してみてはいかがでしょうか。
ショールーミングに関するよくある質問
Q.ショールーミングとウェブルーミングはどちらが良いですか?
A.どちらが良い・悪いというものではありません。顧客のライフスタイルや購入する商品、その時の状況によって最適な購入方法は異なります。重要なのは、顧客がどちらの行動を選んでもストレスなく購入できるように、店舗とECの垣根をなくした「オムニチャネル」な環境を提供することです。
Q.ショールーミング対策にかかる費用はどのくらいですか?
A.導入するシステムや規模によって大きく異なります。独自にシステムを開発(スクラッチ開発)する場合は数千万〜数億円規模になることもありますが、すでにOMO機能が標準搭載されているECパッケージシステムやSaaS型カートシステムを選定すれば、コストを大幅に抑えて導入することが可能です。
Q.小規模な店舗でも対策は可能ですか?
A.可能です。大規模なシステム改修を行わなくても、まずは「商品タグに自社ECサイトへのQRコードを貼る」「SNSで店舗在庫の情報を発信する」「店頭でLINE公式アカウントへの登録を促す」といった身近な施策から始めることができます。顧客とのデジタル接点を持つことから始めてみましょう。
































