リユース事業を展開するK-ブランドオフがW2 Unifiedを導入、 EC×リアル店舗の相乗効果で生み出す新たな顧客体験を実現
株式会社K-ブランドオフ
取材にご協力いただいた方
白川 貴浩氏 木村 圭吾氏 坂井 亮太氏 大野 菜摘氏
目的/課題
「グローカルプラットフォーム」の構築に向けたECサイトの大幅リニューアル
OMO戦略の強化
お取り寄せ機能やポイント連携などの店舗とECの連携に課題があった
導入効果
OMO戦略の強化でリユース事業売上20%UP
お取り寄せ機能の拡充やポイント/クーポン連携でシームレスな購買体験を提供
店舗スタッフ向けのアプリを開発し、顧客情報の一元管理が可能に
株式会社コメ兵ホールディングスのグループ会社で、ハイブランドのバッグ、時計、宝石・貴金属、衣料の買取、販売、卸売、質業、オークション事業を行う株式会社K-ブランドオフは、ECカートシステム「W2 Unified」を導入し、ECサイトの大規模リニューアルを行いました。
今回、ECサイトの大規模リニューアルの背景やオープン後の変化についてお伺いしました。
1. 1万点超のリユース品の買取/売買実績を活かしたEC×リアル店舗の相乗効果
事業内容やサイトコンセプトについて教えてください。
弊社は、店舗とECで、10,000点以上のハイブランドのバッグや小物・宝飾品・金属などの買取と販売を行っております。
店舗に関しては、国内の54店舗、海外だと台湾に3店舗、香港に13店舗展開しております。
ECは、国内、香港、台湾の自社ECの運営に加え複数のオンラインショッピングモールに出店しております。
弊社は株式会社コメ兵ホールディングスのグループ会社で、もともと10年以上前に直接投資型(子会社設立、実店舗出店 等)で進出し、その経験から海外展開に強みを持っています。現在、国内市場の飽和に伴い、さらなる海外展開の強化に注力しています。
2. K-ブランドオフが考える事業展開と今回の開発内容
通常、1つのサイトリニューアルを行う企業様が多い中で、K-ブランドオフ様は3つのサイトをリニューアル予定とお伺いしております。3サイトリニューアルの目的と計画について、具体的な内容を教えてください。
弊社が目標とする「グローカルプラットフォーム」の構築のため、今回、W2のシステムを利用して大規模リニューアルプロジェクトを開始しました。
「グローカル」とは、グローバルとローカルを掛け合わせた弊社の造語です。
弊社は、現在世界50ヶ国以上の販売経路を保有しながらも、「単なるブランドショップ」の枠を超えた多角的なビジネスを展開しております。
このような弊社の、「世界に通用する流通」と「地域一番店を目指してきた知見」を活かして、「世界と地域を融合させながら事業を拡大するプラットフォーム」である「グローカルプラットフォーム」を構築しようと、この大規模リニューアルプロジェクトがスタートしました。
このプロジェクトを実現するためには必要な開発や施策が多岐に渡るため、現在プロジェクトを各サイトごとの3つのフェーズに分けて進行しております。
フェーズ1は、「国内ECサイトのリニューアル」に焦点を当てたものです。
フェーズ1の目的は主に、国内サイトのリニューアル、ポイント連携の実現、店舗・EC間の会員連携の実現、そしてお取り寄せ機能の拡大を行うことです。
弊社にとってECサイトは「オフライン(実店舗)とオンラインを結ぶ重要な接点」と位置づけております。
そのため、まずは基盤となる国内ECサイトのリニューアルを実施しました。
今回のインタビューでは、フェーズ1の国内のECサイトリニューアルに焦点を当ててお話しさせていただきます。(※1)
フェーズ2は「越境ECサイトの新規オープン」に焦点を当てております。
具体的には、グローバルなEC決済の導入により世界各国のユーザーが利用可能なプラットフォームを構築し、ブランドの国際的な認知向上と新たな市場の開拓を目的としております。
フェーズ3は「買取サイトのリニューアル」に焦点を当てております。
具体的には、顧客がより簡単に買取の登録や依頼が可能なサイトを構築予定です。
リニューアル後、国内・越境・買取サイトを連携することで、分断されていた「販売」と「買取」を結び、OMO施策の相乗効果を出すことを目的としております。
こうした3段階のECサイトのリニューアル戦略によって、「買う、売る」の好循環サイクルを構築し、LTV(顧客生涯価値)を向上させることを目指しております。
(※1)2024/09/06現在
3. 国内ECサイトリニューアルを決めた3つの事業課題
今回のリニューアルを通して解決したかった事業課題を教えてください
様々な課題がありましたが、特に店舗とECサイトの連携において多くの課題を抱えていました。
今回の国内ECサイトリニューアルで、連携における課題を解決し、OMO戦略を強化することを目的としておりました。
特に3つの課題を優先的に解決したいと考えておりました。
1つ目は、店舗へのお取り寄せ機能の不足です。
お取り寄せ機能とは、お客様がECサイトでご覧になっていた商品を実店舗に取り寄せて、現物を確認できるサービスです。
現物が実際に確認できることで、画像では伝わりきらない色味や商品の状態が確認でき、購買意欲を高めることができます。
以前のシステムでもお取り寄せ機能は備わっていましたが、お取り寄せできる商品点数が1点のみと制限がありました。
そのため、複数商品のお取り寄せにはその都度申し込みを行う必要があり、類似商品を一気に取り寄せて比較検討することができず、利便性が低いと感じていました。
今回のリニューアルでは、複数商品をお取り寄せできるように機能を拡張し、利便性を高めたいと考えておりました。
2つ目は、店舗とECサイトのポイントが連携できないことです。
リニューアル前は、店舗とオンラインショップで異なるポイントシステムを採用していたため、それぞれで貯めたポイントを相互に利用することができませんでした。
お客様からも、ご不便を感じているお声が多く上がっていたため、早急に対策が必要だと感じておりました。
3つ目は、サイトの利便性が低いことです。
以前のECサイトは、購入や会員登録の手続きが複雑などUIに課題があり、多くのお客様が購入前に離脱してしまっていました。
また、6年以上にわたって同じサーバーを利用していたためサイトの表示スピードや検索スピードが大幅に低下しており、社内外から改善を求める声が多数寄せられていました。
ECサイト自体の利便性を向上し離脱を防ぐためにも、UIやサイトレスポンスの改善は必須でした。
これら3つのクリティカルな課題を解決し、OMO戦略の強化を行うことで、シームレスな購買体験を提供し、顧客体験を向上させることを目指していました。
「W2 Unified」を選定した理由を教えてください
先ほど挙げた、「店舗へのお取り寄せ機能の不足」「ポイント連携ができないこと」「サイトの利便性が低いこと」の、3つのクリティカルな事業課題が解決できる点が選定の理由になりました。
ただ解決できるだけではなく、予算内で実現できたことが大きな決め手です。
ポイント連携やお取り寄せ機能の拡充、システム連携など、今回実現したい要件は開発を多く要するため、大規模なシステムリニューアルとなりました。
そのため、他社でご相談した際は、予算の大幅な超過が見込まれていました。
しかし、W2では当初の予算内で実現することができました。
W2は標準機能が豊富なため、オプションの追加や開発の必要なく実現できることが多くありました。
また、既存の機能をもとに拡張・開発することで、開発費用を抑えることができました。
今後も実現したいことが多くあったので、費用をなるべく抑えて実現できることは
重要な決め手となりました。
また、当時W2の他にも様々なECカートシステムからお話を伺いましたが、W2はRFP(提案依頼書(※2))の対応が他社と比較して際立っておりました。
担当者の方は、弊社が求める機能や要件に対して迅速かつ的確な提案をしてくださり、細かな要望に対しても柔軟に対応いただけたため、弊社に寄り添ってご提案くださる姿勢に非常に好印象を持ちました。
機能性、サポートの手厚さ、将来性に加え、予算内でやりたいことが実現できる唯一の選択肢として「W2 Unified」を選定しました。
※2 RFP(Request for Proposal):提案依頼書のこと。企業がプロジェクトやサービスを外部に依頼する際に、複数のシステム会社に対して具体的な提案を求める文書。
4. リニューアル後、OMO戦略を強化し売上20%UPを実現
システムリニューアル後の導入効果を教えてください
「W2 Unified」の導入により事業課題を解決、OMO戦略の強化を実現し、前年同期比で売上が20%向上しました。
実現できた施策や解決した課題は多々ありますが、特に効果を感じているのが「お取り寄せ機能の拡充」「接客アプリの開発」「ポイント/クーポンの店舗・ECサイト連携」の3点です。
まず1つ目が、お取り寄せ機能の拡充です。
リニューアル前は、お取り寄せできる商品点数が1点までだったところが、最大10点まで可能になり、お客様の利便性が向上しました。
お客様はサイト上で「お取り寄せをする」のボタンをクリックし、店舗を指定するだけで簡単にお取り寄せが可能です。
また、「お取り寄せはお一人様、1つの商品カテゴリで3点まで」といったルールや制限の設定も可能になりました。
このリニューアルによってお客様1人当たりの購入金額も増加しており、利便性向上だけでなく売り上げ向上の相乗効果も生まれております。
2つ目が、接客アプリの開発です。
サイトリニューアルに伴い、ECサイトと実店舗のデータを統合・活用して接客時に1to1の最適なコミュニケーションが取れるようにしたいと考え、店舗スタッフ向けの接客アプリを開発しました。
この開発によって、ECサイトで取得した顧客情報や購入履歴を、店舗での接客履歴と統合・一元管理できるようになりました。
店舗スタッフは、タブレットでアプリを起動すれば統合された情報を参照しながら接客が可能なため、誰でも顧客に寄り添ったトークが可能になりました。
アプリでは過去の情報を参照するほか、店舗接客時の対話内容を記録することも可能なため、記録や管理が難しいオフラインの情報も適切に管理・活用できております。
また、接客アプリはLINE連携が可能なため、お客様のお気に入り商品を登録しておくことで、該当商品の最新情報を自動でピックアップし、即座にご案内のメッセージを送付することができます。
店舗での接客の他、店舗外でのお客様との継続的なコミュニケーションにも活用できるアプリです。
3つ目が、「ポイント/クーポンの店舗・ECサイト連携」です。
サイトリニューアル後、店舗・ECサイトのどちらでも同じポイントとクーポンが利用可能になり、お客様から大変ご好評をいただいております。
そのほか運用側のメリットとして、管理が一元化され簡潔になったことで、より多くのポイントやクーポンを活用した施策が実施できるようになったことが挙げられます。
以前より柔軟な設定や制御が可能になったため、様々な施策を試しながらより効果が高い施策を模索できるようになり、マーケティング面でもメリットを感じております。
これら3つの他にも、サイトリニューアル後の効果の1つとして、バックエンド業務の効率化も実感しております。
伝票の作成や、お取り寄せ商品のメール送信・振り分けといったバックエンド業務が全てシステムで自動化されたことにより、無駄な作業時間が大幅に削減できました。
業務効率化によって浮いた時間で、顧客サービスのクオリティ向上やデータを活用した戦略立案といったより戦略的な業務に注力できており、結果的に売上向上にも貢献していると感じております。
今後実施したい施策について教えてください
今後実施したい施策は多くありますが、優先的に遂行したい施策は3つあります。
1つ目は、買取のパーソナライズ化です。
今回のサイトリニューアルで、購入における1to1のコミュニケーションが実現できたため、次は買取でもパーソナライズ化を図っていきたいと考えております。
具体的には、前回の商品の持ち込みからの経過時間に合わせて、適切なポップアップをマイページ上で表示するなど、顧客情報を活用した施策を実施したいと考えております。
2つ目は、SNSの活用です。
現在Instagram、Facebookなどを活用しておりますが、まだまだ注力できていないと感じております。
現在の主要な顧客層である40〜50代のお客様も大切にしながらSNSを効果的に活用することで、Z世代を含む若年層を取り込み、顧客層の拡大を目指していきたいです。
3つ目は、データを活用したイベントやキャンペーンの展開です。
今回のリニューアルによって、オンライン・オフラインのデータが一元化されたため、このデータを有効活用した施策を積極的に行っていきたいです。
データを分析してターゲットを定め、効果的なイベントやキャンペーンを展開することで、顧客満足度の向上と事業の持続的成長を目指します。
5. 国内外での成長加速を目指す、リニューアルから見る未来への展望
今後の事業戦略の展開について教えてください
目下の目標は今回の大規模リニューアルの完遂ですが、今後の業界の潮流として「体験型店舗」へと変遷していくと考えており、弊社も対応していく必要があると感じております。
今までは、お客様がECサイトや店舗など、それぞれの場所で商品の購入を完了させることが一般的とされていました。
しかし現在は、店舗で商品を見てその場では購入せずに帰宅、その後スマートフォンで購入するというような「体験型店舗」の仕組みが欧米を中心に台頭しつつあります。
「体験型店舗」の仕組みにおいては、1つのチャネルで購買が完結しないため、オンラインとオフラインの融合ができていることと、パーソナライズ化された購買体験が提供できることが、売り上げを左右します。
具体的には、店舗とECサイト双方の購買履歴・情報を把握しながらの接客が必須となるなど、1to1のコミュニケーションが行える体制づくりが必要です。
弊社は、今回の大型リニューアルを皮切りに、「体験型店舗」の仕組みに対応できる体制を整えていきたいと考えております。ECサイトの売上目標としては、年間20%の成長を掲げております。
この目標を達成するために、弊社では「国内市場の強化」と「グローバル展開の加速」を柱として事業計画を立てております。
「国内市場の強化」においては、CRM(顧客関係管理)と買取の連携によるクロスセルを重要な戦略としております。
顧客の購買履歴を活用し、適切なタイミングでの買い替え提案や新商品情報の提供を行うことで、継続的な顧客価値の向上を図ります。
「グローバル展開の加速」においては、ローカルとグローバルを融合した「グローカル」なプラットフォームの構築が重要な戦略となっております。
これらの目標を達成するためにも、現在の大型リニューアルの全フェーズを完遂させることが目下一番に目指すところとなっております。
そのためには、現行システムの改善の他、多くのシステム開発が必要になると見込まれており、そのためにはW2プラットフォームの持つ柔軟性と開発力が必須となります。
今後も、W2と共に次の成長ステージへ挑戦し、事業スケールアップさせるために事業パートナーとして伴走いただけることを期待しております。
「W2 Unified」はフロント画面管理・バックオフィス管理・CRMマーケティング・CRMなどを標準搭載しているAll In OneのOMO/オムニチャネル対応型総合ECプラットフォームです。
業界NO.1のセキュリティで安定したECサイト運営を実現しつつ、セールやクーポンなどの販促からSNS投稿の連携など、最新のマーケティングを行うための機能を兼ね備えています。