CentOS 7は2024年6月30日にEOLを迎え、現在はセキュリティパッチの提供が完全に停止しています。2026年6月時点でサポート終了からすでに約2年が経過しており、未移行のサーバーには毎月新たな脆弱性リスクが蓄積し続けています。特にECサイトを運営する企業にとっては、2025年4月から強化されたクレジットカードセキュリティガイドラインへの対応も重なり、OS移行はもはや先送りできない課題です。本記事では、EOL後の脆弱性リスク・延長サポートサービスの比較・移行先OS選定・EC事業者が取るべきアクションを2026年版の最新情報でお伝えします。
この記事でわかること
2024年6月30日にサポートが終了しました。2026年6月現在、EOLから約2年が経過しており、新規のセキュリティパッチは提供されていません。継続して利用しているサーバーには、未対処の脆弱性が蓄積し続けている状態です。
AlmaLinuxまたはRocky Linuxへの移行が最も一般的な選択肢です。どちらもRHEL互換のディストリビューションで無償提供されており、2029年までのサポートが予定されています。移行工数が確保できない場合は、2028年6月まで対応の有償延長サポートサービスも活用できます。
最優先は現状のサーバーへの脆弱性診断の実施です。移行工数がすぐに確保できない場合は、CyberTrustやSBテクノロジーなどが2028年6月まで有償パッチを提供しており、移行計画が整うまでのセキュリティ維持策として活用できます。
CentOS 7のサポート終了とは
CentOS 7は、Red Hat Enterprise Linux 7をベースに構築されたLinuxディストリビューションです。長年にわたりWebサーバーやECサイトのインフラとして広く使われてきましたが、2024年6月30日をもって公式のメンテナンスサポートが終了しました。EOL(End of Life)後は、セキュリティの脆弱性が発見されても修正パッチが提供されず、サーバーの安全性を自社で独自に維持し続ける必要があります。
CentOS 7のサポート期限はいつ終わったか
CentOS 7のサポート期限は2024年6月30日です。2026年6月時点でこのEOLからすでに2年が経過しています。Red Hatの公式リリースサイクルに則り、CentOS 7はRHEL 7と同一のライフサイクルが適用され、延長はありませんでした。
なお、CentOS 8は当初2029年まで使用可能な予定でしたが、2021年末に突如としてEOLが前倒しされ、2021年12月31日で終了するという異例の措置が取られました。この経緯から多くの企業がCentOS依存から脱却する動きを加速させており、後継として登場したAlmaLinuxやRocky Linuxの採用が急増しています。
サポート終了後に起きること
EOL後のサーバーでは、新たに発見されたCVE(Common Vulnerabilities and Exposures)に対する修正パッチが一切提供されなくなります。攻撃者は公開されたCVEデータベースを参照して未パッチのサーバーを特定するため、EOLからの経過時間が長くなるほど脆弱性リスクは累積的に増大します。またクラウド事業者やホスティング会社によっては、EOLを迎えたOSを搭載したサーバーのサポートを契約から除外する場合があり、障害発生時のサポートを受けられなくなるリスクも生じます。
CentOS 7を継続利用するリスク
EOL後もCentOS 7を本番環境で稼働させ続けることは、深刻なセキュリティリスクを伴います。CentOS 6がEOLを迎えた後の集計では、4年間で2,219件もの脆弱性(CVE)が未対処のまま蓄積されました。CentOS 7においても同様に、EOL後は月次で数十件規模の新規CVEが報告され続けており、2026年時点での累積未対処件数は相当数に上ります。
EOL後に報告されている主な脆弱性
CentOS 7のEOL後に確認されている代表的な脆弱性を以下に示します。延長サポートサービスはこれらの一部に対してバックポートパッチを提供していますが、公式サポートなしの環境では全て未対処のまま残り続けます。
| パッケージ | CVE番号 | 深刻度 | 内容 |
|---|---|---|---|
| OpenSSH | CVE-2024-6387(regreSSHion) | 緊急(CVSS 8.1) | 認証なし遠隔コード実行が可能 |
| sudo | CVE-2023-42465 | 高 | ローカル権限昇格 |
| libsoup | CVE-2024-52532 | 高 | メモリ破損による任意コード実行 |
| glibc | CVE-2023-6246 | 高 | ローカル権限昇格 |
| Linux kernel | 複数 | 高〜緊急 | カーネルレベルの権限昇格・情報漏洩 |
最新のCVE情報はNational Vulnerability Database(NVD)またはJVN(Japan Vulnerability Notes)で確認できます。また、有償延長サポートサービスを提供するベアケア社のWebサイトでは、延長サポートで修正済みの脆弱性一覧PDFが公開されており、リスク評価の資料として活用できます。
EC事業者が特に注意すべきリスク
ECサイトを運営する企業にとって、CentOS 7を継続利用するリスクは一般的なサーバー用途より深刻です。2025年4月から改訂・強化された「クレジットカード・セキュリティガイドライン」では、カード情報を取り扱うシステムを持つ事業者に対し、OSを含むソフトウェアを最新の状態に保つことが事実上要件化されました。EOLを迎えたOSを使い続けている場合、決済代行会社との契約見直しや、PCI DSS審査においてコンプライアンス違反として指摘される可能性があります。個人情報漏洩事故が発生した際には、Pマーク・ISMSの認定取り消しにつながるリスクもあり、EC事業者として早急な対処が求められます。
CentOS 7の後継OSとは
CentOS 7の後継を検討する際に多くの方が混乱するのが、「CentOS 9」という名称のOSが事実上存在しないという点です。CentOS Linuxシリーズは7が実質的な最終版となっており、後継を名乗るOSはいくつか存在しますが、CentOS 7と同じ「RHELの安定版クローン」という立ち位置のOSはCentOS 8以降から変わっています。
CentOS 9は存在しない?バージョン体系の変化
「CentOS 7の次はCentOS 9に移行すればよい」と考えている方もいますが、これは誤りです。CentOS 8は2021年12月31日に予定より大幅に早くEOLとなり、Linuxコミュニティに大きな混乱をもたらしました。現在「CentOS 9」と検索しても出てくるのは「CentOS Stream 9」であり、これはRHELのリリース前の開発版(アップストリーム)です。従来のCentOS Linuxのような「安定した本番環境向けOS」とは性質が根本的に異なるため、本番サーバーへの採用には適していません。
従来のCentOS Linuxの役割——「RHELの無償の安定版クローン」——を実質的に引き継いだのは、AlmaLinuxとRocky Linuxです。
後継として検討できるOSの一覧
| OS名 | 提供形態 | RHEL互換性 | サポート期限(8系/9系) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| AlmaLinux 8/9 | 無償 | 高(バイナリ互換) | 2029年/2032年 | 企業支援あり・日本語サポート充実・FIPS対応 |
| Rocky Linux 8/9 | 無償 | 高(100%互換を標榜) | 2029年/2032年 | コミュニティ主導・互換性最優先 |
| RHEL 8/9 | 有償 | ◎(本家) | 2029年/2032年 | 商用サポート・最高水準の安定性・PCI対応 |
| Oracle Linux 8/9 | 無償/有償 | 高 | 2029年/2032年 | Oracle環境との親和性高 |
| Ubuntu Server LTS | 無償 | 低(独自系) | 5年(延長10年) | 豊富なエコシステム・パッケージ数が多い |
CentOS 7からの移行では、同じRPMベースのAlmaLinuxかRocky Linuxへの移行がコマンドや設定の移植コストを最小化できます。Ubuntu Serverは互換性が低いため、既存スクリプトや設定ファイルの修正が多く発生します。
CentOS 7の延長サポートサービス
移行工数や予算の確保が難しい場合、EOL後もセキュリティパッチを提供する「延長サポートサービス」を活用することで、移行が完了するまでのリスクを軽減できます。複数のベンダーが有償の延長サポートを提供しており、最長で2028年6月30日まで対応しているサービスがあります。
主な延長サポートベンダーの比較
| ベンダー | サービス名 | 提供期限 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| サイバートラスト | MIRACLE LINUX サポート&テクノロジー(CentOS 7向け) | 2028年6月 | 日本語サポート充実・RHEL互換パッチ提供・FIPS対応 |
| SBテクノロジー | CentOS 7 延長サポートサービス | 2028年6月 | SBグループの支援体制・既存契約との統合が容易 |
| ベアケア | CentOS 7 延長サポート | 2028年6月 | 月額課金モデル・修正済みCVE一覧を公開 |
| NRAPKI | CentOS延長サポートサービス | 2028年6月 | PKI認証との統合サポート対応 |
延長サポートの費用感と注意点
延長サポートサービスの費用はベンダーや対象サーバー台数によって異なりますが、月額数万円/台程度からの提供が一般的です。長期利用になると移行コストを上回るケースもあるため、利用期間とコストのバランスを慎重に検討する必要があります。
延長サポートはあくまでも「OS移行までの時間稼ぎ」であり、恒久的な解決策ではありません。ほとんどのサービスの提供期限が2028年6月となっているため、それまでにOS移行を完了させる計画を並行して進めることが不可欠です。移行計画を立てずに延長サポートに頼り続けると、2028年に再び同じ課題に直面することになります。
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CentOS 7の移行先を選ぶ
CentOS 7からの移行先として現在最も広く採用されているのは、AlmaLinuxとRocky Linuxの2択です。どちらもRHEL互換の無償Linuxディストリビューションで、CentOS 7の環境から大幅な設定変更なしに移行できるよう設計されています。国内クラウド事業者(さくらのクラウド・GMOクラウド・IIJ GIOなど)でも両OSが提供されており、クラウド移行と組み合わせた対応も現実的な選択肢です。
両者の最大の違いはバックアップ体制にあります。AlmaLinuxはCloudLinux社が主導し、企業スポンサーによる安定した開発・サポート体制が整っています。一方Rocky LinuxはCentOSの共同創設者であるGregory Kurtzer氏が立ち上げたコミュニティプロジェクトで、「バグも含め100%のRHEL互換性」を標榜しています。
ECサイト運営においておすすめできるのはAlmaLinuxです。その理由は以下の通りです。
サイバートラストが日本語の長期サポートを提供しており、いざというときのサポート窓口が明確です。またFIPS 140-3認定対応済みで、PCI DSS準拠が求められるEC環境でもコンプライアンス対応がしやすい点も評価されています。TuxCare社の延長ライフサイクルサポートによって最大2036年まで保護を継続できる計画があり、次のEOL問題を長期にわたって回避できます。
EC事業者が移行を進める際のポイント
ECサイトのサーバーを移行する際は、OSの種類だけでなくECプラットフォームやミドルウェアの互換性も確認が必要です。EC-CUBE・Magento・独自開発のECシステムを利用している場合、PHPバージョン・Apache/Nginxの設定・MySQLのバージョン互換性を事前に検証することが重要です。サーバー移行の設計から実行まで専門的なサポートが必要な場合は、アライアンスパートナーの多い弊社に一度相談してみてはいかがでしょうか?
CentOS 7のダウンロードについて
CentOS 7はEOLを迎えていますが、公式アーカイブサイトからISOイメージを入手することは引き続き可能です。ただし、入手したISOを本番環境のサーバー構築に使用することはセキュリティリスクの観点から強く非推奨です。
CentOS 7.9が最終版
CentOS 7の最終リリースはCentOS 7.9.2009(2020年11月12日リリース)です。「7.10以降が存在するのでは」と思われる方もいますが、7.9がCentOS 7系列の最後のマイナーバージョンです。
公式ダウンロードサイト(centos.org)の7系はEOL後にアーカイブへ移行しており、現在はvault.centos.orgからISOイメージを取得できます。開発・検証環境の再構築や学習目的での利用は可能ですが、インターネットに接続した本番環境への新規インストールには使用しないことを強く推奨します。
CentOS 7最新版ダウンロードの注意点
vault.centos.orgで公開されているCentOS 7のISOは、7.9.2009が最新かつ最終版です。ダウンロードしたISOから構築した環境はEOL時点のパッケージ状態であるため、インターネットに接続した環境で使用する場合は即座にセキュリティリスクを抱えることになります。検証や学習目的で利用する際は、必ず外部ネットワークから隔離されたクローズド環境で使用してください。
なお、公式ミラーサーバーの多くはCentOS 7のミラーリングをすでに終了しており、vault.centos.orgのみがアーカイブを維持しています。
EC事業者がすべきOS移行のステップ
CentOS 7からの移行は、段階的なアプローチで進めることが現実的です。急ぎの場合でも計画なしに移行を進めると、ECサイトの機能障害やデータ損失のリスクが高まります。以下のステップを参考に、自社の状況に合わせて計画を立ててください。
ステップ1:現状調査と優先度付け
まず自社のサーバー台数とCentOS 7の利用状況を把握します。本番環境・ステージング環境・開発環境を切り分け、外部からアクセス可能な本番サーバーを最優先で移行対象にします。次に、各サーバーで稼働しているアプリケーション・ミドルウェアのバージョンをリスト化し、移行先OSとの互換性を事前確認します。この段階で脆弱性スキャンツール(OpenVASやTrivy等)を使ったリスク評価を実施し、経営層への報告資料を作成しておくことをおすすめします。
ステップ2:移行先OSの選定と検証環境の構築
選定したOS(AlmaLinuxまたはRocky Linuxを推奨)で、本番環境と同一構成の検証環境を構築します。ECサイトの動作確認(カート機能・決済処理・管理画面・メール送信)を必ず実施し、本番移行前のテストを十分に行います。W2のECプラットフォームを利用している場合は、サポートチームへの事前確認もあわせて行うことをおすすめします。
ステップ3:本番移行の実施とアフターフォロー
本番移行は、トラフィックの少ない時間帯(深夜・早朝)に計画停止を伴う形で実施します。移行後は脆弱性スキャンでのセキュリティ検証と、監視ツールによるパフォーマンス確認を行い、問題がなければ旧サーバーを停止します。EC事業者の場合は、移行完了後にクレジットカードセキュリティガイドラインへの適合状況を改めて確認し、決済代行会社への報告が必要かどうかも確認してください。
移行に専門的な支援が必要な場合、W2ではECプラットフォームのサーバー移行に関する相談を承っています。インフラ要件の整理から移行後の動作検証まで、EC専門のエンジニアチームがサポートします。
まとめ
CentOS 7は2024年6月30日にEOLを迎え、2026年6月現在も未パッチの脆弱性が蓄積し続けています。OpenSSHやkernelレベルの深刻なCVEが累積する中、2025年4月のクレジットカードセキュリティガイドライン改訂でEC事業者はEOL OSの使用がコンプライアンス違反として問われるリスクも生じています。
今すぐ移行が難しい場合は、CyberTrust・SBT・ベアケアなど2028年6月まで対応の延長サポートサービスで応急対処しつつ、移行先としてはAlmaLinux(PCI DSS対応・日本語サポート充実)またはRocky Linuxへの移行計画を並行して進めるのが現実的です。なお、vault.centos.orgでCentOS 7.9のISOダウンロードは可能ですが、本番環境への新規利用は避けてください。
また、OSを変更するに伴ってECサイト構築システムのリプレイスを検討している方は、W2のECサイト構築システムW2 Commerceがおすすめです。
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CentOS 7のサポート終了(EOL)とその対策に関するよくある質問
Q: CentOS 7のサポートが終了すると、具体的にどのようなリスクがありますか?
A: セキュリティリスクの増大と、システムの老朽化が大きなリスクとなります。サポート終了後は脆弱性が発見されても修正パッチが提供されないため、サイバー攻撃や情報漏洩の危険性が極めて高くなります。また、新しいハードウェアやミドルウェアへの対応も行われなくなるため、システム全体の安定稼働が困難になります。
Q: CentOS 7からの移行先として、どのようなOSが推奨されますか?
A: 主な選択肢として、AlmaLinuxやRocky Linux、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)などが挙げられます。AlmaLinuxやRocky LinuxはCentOSと同様にRHELとの高い互換性を持つ無料のOSであり、移行コストを抑えたい場合に適しています。より強固なサポートや信頼性を求める場合は、商用OSであるRHELへの移行が推奨されます。
Q:OSの移行作業において、特に注意すべきポイントは何ですか?
A: 既存のアプリケーションやミドルウェアの動作検証を徹底することが重要です。OSのバージョンが変わることでライブラリの互換性が失われ、システムが正常に動作しなくなる可能性があります。移行後のトラブルを防ぐためにも、事前に検証環境で十分にテストを行い、データのバックアップを確実に取得した上で作業を進める必要があります。
この記事の監修者
神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。






























