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BOPIS(ボピス)とは?仕組みや導入メリット・導入方法まで解説

ECサイト売上戦略

BOPIS(ボピス)とは「Buy Online, Pick-up In Store」の略称で、顧客がオンラインで商品を注文し、実店舗で受け取るサービスです。ECの利便性と店舗の即時性を融合したこの購買スタイルは、オムニチャネル戦略の中核として急速に普及しています。

コロナ禍を経て消費者行動が変化し、BOPISは「すぐに商品が欲しい」「送料を節約したい」「確実に商品を手に入れたい」といったニーズに応える有力な選択肢となりました。事業者にとっても、来店時の追加購入による売上増加、配送コスト削減、顧客との直接対話機会の創出など、多くのメリットがあります。

本記事では、BOPISの基本的な仕組みから、他サービスとの違い、導入メリット・注意点、国内外の成功事例、効果測定のKPI設定まで、BOPIS導入に必要なすべての情報を網羅的に解説します。自社のオムニチャネル戦略にBOPISをどう組み込むか、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修者

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樽澤寛人 マーケティング部 部長

神戸大学在学中にEC事業を立ち上げ、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行、広告運用、物流手配に至るまで、EC運営の全工程をハンズオンで経験。売上を大きく伸ばしたのち、事業譲渡を実現。
大学卒業後はW2株式会社に新卒入社し、現在は、ECプラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進を担う。一貫してEC領域に携わり、スタートアップから大手企業まで、あらゆるフェーズのEC支援に精通している。

目次
  1. 01|BOPIS(ボピス)とは?
  2. 02|BOPIS(ボピス)と他のサービスとの違い
  3. 03|BOPIS(ボピス)が注目される背景
  4. 04|BOPIS(ボピス)を導入するメリット
  5. 05|BOPIS(ボピス)導入のデメリット・注意点
  6. 06|BOPIS(ボピス)導入に必要な準備事項
  7. 07|BOPIS(ボピス)導入の成功事例5社
  8. 08|BOPIS(ボピス)導入の効果測定方法
  9. 09|まとめ:BOPIS(ボピス)でオムニチャネル戦略を加速させる
  10. 10|よくある質問

BOPIS(ボピス)とは?

BOPIS(ボピス)は「Buy Online, Pick-up In Store」の略称で、顧客がオンラインで商品を注文し、実店舗で受け取るサービスを指します。顧客はパソコンやスマートフォンから商品を選び、オンライン上で注文・決済を完了させた後、自宅配送を待つことなく、最寄りの店舗や指定した店舗まで足を運んで商品を受け取ります。店舗では事前に商品が準備されているため、短時間での受け取りが可能です。

この購買スタイルは、ECサイトの利便性と実店舗の即時性を組み合わせたOMO戦略として、重要な施策となります。。従来のECサイトにおける「自宅配送」という選択肢に加えて「店舗受け取り」という新たな選択肢を提供することで、購買体験の幅を広げています。顧客のライフスタイルや都合に応じて受け取り方法を選択できることが、BOPISの最大の特徴です。

関連記事:OMOとは?O2O、オムニチャネルの違いや具体的施策6つを紹介

BOPISの流れ

BOPISサービスの一連の流れは、以下の5つのステップで構成されています。

BOPIS(ボピス)の仕組みと顧客体験の5ステップ(商品選択・決済・準備・通知・店舗受取)

まず顧客はECサイトにアクセスし、購入したい商品を選択します。商品をカートに入れる際、配送方法として「店舗受け取り」を選択し、受け取り希望店舗を指定します。多くのシステムでは、この時点で指定店舗の在庫状況がリアルタイムで表示されるため、顧客は在庫のある店舗を選ぶことができます。

次に、オンライン上で決済を完了させます。クレジットカード決済やデジタル決済など、通常のECサイトと同様の決済手段が利用できます。決済完了後、店舗側には自動的にピックアップ指示が送られ、スタッフが商品をピッキングして準備を開始します。

商品の準備が完了すると、顧客には電子メールやSMSで通知が届きます。顧客は通知を受け取った後、都合の良いタイミングで指定店舗を訪れ、専用カウンターや受け取り窓口で商品を受け取ります。受け取り時には、注文確認メールや本人確認のための身分証明書の提示が求められることが一般的です。

最後に、顧客が商品を受け取り、取引が完了します。この一連のプロセスは、システムが自動化されている場合、注文から受け取りまで数時間以内に完了することも可能です。

BOPIS(ボピス)と他のサービスとの違い

BOPISを正しく理解するためには、類似するサービスや従来の購買方法との違いを明確にすることが重要です。ここでは、BOPISと混同されやすい「Click & Collect」との違い、そして従来のEC配送や店頭購入との本質的な違いを解説します。

Click & Collect(クリック&コレクト)との違い

BOPISとよく混同される用語に「Click & Collect(クリック&コレクト)」があります。両者は基本的な仕組みは同じですが、主に使用される文脈に違いがあります。

Click & Collectは、顧客がオンラインで商品をクリックして購入し、店舗でコレクト(回収)するという意味が込められています。サービス内容としてはBOPISとほぼ同一であり、オンライン注文と店舗受け取りを組み合わせた購買体験を提供します。

実務上の違いとしては、Click & Collectの方がより広義に使われることがあり、店舗以外のロッカーや集荷拠点での受け取りを含む場合もあります。一方、BOPISは「In Store(店舗内)」という言葉が含まれる通り、実店舗での受け取りに特化した表現として使用されることが多い傾向にあります。「Buy Online, Pick-up In Store」という表現が、より明確にサービスの本質を表しています。

店舗取り置きとの違い

BOPISと店舗取り置きは、どちらも「オンラインで商品を選んで店舗で受け取る」という点では似ていますが、決済タイミングに大きな違いがあります。

BOPISでは、オンラインで商品を選んだ時点で決済まで完了します。つまり、注文時に支払いが確定し、店舗では商品を受け取るだけで済みます。一方、店舗取り置きは、オンラインで商品の在庫確保だけを行い、決済は来店時に店舗で行う仕組みです。

この違いは、利用シーンにも影響します。BOPISは「確実にこの商品が欲しい」と決めている場合に便利で、店舗での待ち時間を最小限に抑えられます。対して店舗取り置きは、「実物を見てから購入を判断したい」「色やサイズを実際に確認したい」といった場合に適しています。店舗側から見ても、BOPISは事前決済により確実な売上が見込めるメリットがあります。

カーブサイドピックアップとの違い

BOPISと似たサービスに「カーブサイドピックアップ」があります。カーブサイドピックアップは、BOPISを派生させた形態で、顧客が車から降りることなく商品を受け取れるサービスです。

カーブサイドピックアップでは、顧客がオンラインで商品を注文した後、店舗の駐車場に到着したことをアプリやSMSで通知すると、店舗スタッフが車まで商品を運んで引き渡します。顧客は車内で待機するだけで商品を受け取ることができるため、店舗に入る必要がありません。

一方、BOPISでは、顧客は店舗内に入り、専用カウンターや受け取り窓口で商品を受け取ります。店舗内を歩く過程で他の商品が目に入り、追加購入につながる可能性が高くなります。実際に、BOPIS利用者の約85%が店舗で追加購入を行っているというデータもあります。

カーブサイドピックアップは、大型商品や重量のある商品(家具、家電、大量の食料品など)の受け取りに特に適しています。また、天候が悪い日や、小さな子供を連れている場合、車椅子を使用している場合など、店舗内への移動が困難な状況でも便利です。ニトリやウォルマートなどの大型店舗では、駐車場での受け渡しサービスを積極的に展開しています。

BOPIS(ボピス)が注目される背景

BOPISが急速に普及している背景には、EC市場の拡大、消費者行動の変化、そしてオムニチャネル戦略の進化という3つの大きな要因があります。これらの要因が複合的に作用し、BOPISは現代の小売業において不可欠なサービスとなりつつあります。

EC市場の拡大

日本国内のBtoC-EC市場は着実な成長を続けており、これがBOPIS普及の大きな原動力となっています。経済産業省が発表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の物販系分野のBtoC-EC市場規模は15兆2,194億円に達し、EC化率は9.78%となりました。

近年の動きとして、コロナ禍の2020年にはEC需要が急拡大しましたが、その後は成長が落ち着き、2024年の物販系EC市場の伸び率は前年比3.70%となっています。急激な成長は一段落したものの、人々のライフスタイルが変化したことで、オンラインでの買い物が生活に定着しつつあります。

一方で、日本のEC化率9.78%は世界平均の20.1%と比べると低く見えますが、実はEC市場規模では世界第4位に位置しています。これは日本の小売市場全体が大きいことを示しており、EC化の余地がまだ十分に残されていると言えるでしょう。

参考:経済産業省「電子商取引に関する市場調査(令和6年度)」

日本国内のBtoC-EC市場は着実な成長を続けています。経済産業省が発表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の物販系分野のBtoC-EC市場規模は15兆2,194億円に達し、EC化率は9.78%となりました。

コロナ禍の2020年にはEC需要が急拡大しましたが、その後は落ち着きを見せており、2024年の物販系EC市場の伸び率は前年比3.70%でした。急激な成長は一段落したものの、人々のライフスタイルの変化により、特に食品分野のEC化が進んでいます。一方で、日本のEC化率9.78%は世界平均の20.1%と比べると低く見えますが、EC市場規模では世界第4位に位置しています。これは日本の小売市場全体が大きいことを示しており、EC化の余地がまだ十分に残されているとも言えます。

物販系分野のBtoC-EC市場規模及びEC化率の経年推移グラフ(2014年-2024年)とBOPIS普及の背景

参考:経済産業省「電子商取引に関する市場調査(令和6年度)」

この市場拡大に伴い、小売事業者は複数の販売チャネルを統合したオムニチャネル戦略の構築を迫られています。顧客は実店舗、ECサイト、モバイルアプリなど、複数の接点を横断しながら商品を検索・比較・購入するようになっており、BOPISはオンラインと店舗を橋渡しする具体的な施策として、オムニチャネル戦略の中核を担います。

ECの市場規模や今後の成長予測について、より詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。

関連記事:【2025年最新版】EC市場規模は拡大中?調査結果と今後の動向について解説

関連記事:【2025年版】EC化率とは?日本の各分野ごとの現状や今後の予測などを解説

コロナ禍による消費者行動の変化

新型コロナウイルス感染症の拡大は、消費者の購買行動に大きな変化をもたらしました。外出自粛や店舗営業時間の短縮といった制約の中で、多くの消費者がオンラインショッピングに移行しましたが、同時に「できるだけ早く商品を手に入れたい」「配送業者との接触を避けたい」といったニーズも高まりました。

アドビ株式会社が発表したAdobe Digital Economy Index 2020年8月版によると、2020年8月の米国におけるBOPISの利用は前月比で59%増加し、前年同月比では259%という驚異的な伸びを記録しました。これは、消費者が店舗への外出に抵抗がなくなる一方で、店舗滞在時間を最小限に抑えたいというニーズが高まったことを示しています。同調査では、オンライン消費者の30%がBOPISまたはカーブサイドピックアップを配送より好むと回答しており、BOPISがコロナ禍に最も成長した購買方法の一つとなったことが明らかになりました。

さらに注目すべきは、この購買スタイルがコロナ禍収束後も継続していることです。McKinsey & Companyが発表した調査レポート「Adapting to the next normal in retail: The customer experience imperative」では、コロナ禍にBOPISを利用した消費者の56%が今後も継続して利用する意向を示しています。一度便利さを体験した顧客は、感染症対策という理由がなくなった後も、時間効率や利便性を理由にBOPISを選択し続けているのです。

参考:アドビ株式会社「Adobe Digital Economy Index 2020年8月版

参考:McKinsey & Company「Adapting to the next normal in retail: The customer experience imperative

BOPIS(ボピス)を導入するメリット

BOPISの導入は、事業者と消費者の双方に多くのメリットをもたらします。特に事業者にとっては、売上増加、顧客満足度向上、コスト削減という3つの側面で明確な効果が期待できます。一方、消費者にとっては利便性の向上と経済的なメリットが大きな魅力となります。

事業者向けと消費者向けのメリットをそれぞれ解説します。

事業者側のメリット

事業者にとってBOPIS導入がもたらすメリットは多岐にわたります。順に解説します。

1.来店時の「ついで買い」による売上増加

BOPISの最も顕著なメリットは、顧客が商品を受け取りに来店する際の追加購入による売上増加です。Retail Diveの調査によると、BOPIS利用者の約85%が、商品受け取り時に店舗内で追加の商品を購入しているというデータがあります。

顧客が店舗を訪れる主な目的は注文した商品の受け取りですが、店舗内を歩く過程で新商品や関連商品が目に入り、当初の予定にはなかった購買行動が発生します。例えば、オンラインで注文した靴を受け取りに来た顧客が、店舗で靴下やシューケア用品を追加購入するといったケースがあります。

参考:Doddle社「Most BOPIS shoppers make additional purchases in store」

2.顧客とのリアルなコミュニケーション機会の創出

店舗スタッフは商品を受け取りに来店した顧客と直接話す機会を得られます。従来のECサイトでは、商品が配送された時点で顧客接点は途切れますが、BOPISでは店舗での受け渡し時にスタッフと顧客が対面するため、コミュニケーションの機会が生まれます。

この対面接点を活かし、店舗スタッフは商品の使用方法を説明したり、メンテナンスのアドバイスを提供したり、関連商品を提案したりすることができます。こうした付加価値の高いサービスは、顧客のブランドロイヤルティを向上させ、リピート購入につながります。

3.物流コスト・配送コストの削減

BOPISは、事業者にとって配送コストを削減する効果的な手段です。通常のECサイトでの販売では、商品を個別に顧客の自宅まで配送する必要があり、特にラストワンマイルと呼ばれる最終配送区間のコストが大きな負担となっています。

BOPISでは、顧客が自ら店舗まで足を運ぶため、このラストワンマイルの配送コストが不要になります。物流センターから各店舗への配送は、既存の店舗補充物流を活用できるため、個別配送に比べて大幅にコストを抑えることができます。

4.ブランド価値の向上

顧客がオンラインで商品を検索する際、配送オプションとして「店舗受け取り可能」と表示されることは、購入を決定する重要な要因となります。中でも、即日受け取りが可能な場合は、配送を待つ必要がある競合他社に対して明確な優位性を持ち、差別化要因として機能します。

さらに、Amazonなどの大手ECプラットフォームに対抗するには、実店舗を持つ事業者ならではの強みを活かす必要があります。BOPISはまさにその強みを具現化したサービスであり、「オンラインの利便性」と「店舗での体験価値」を両立させることで、独自のブランドポジショニングを確立することができます。

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消費者側のメリット

続いて、消費者にとってのメリットも解説します。

受け取り時間を自由に選べる

BOPISの最大のメリットは、顧客が自分のライフスタイルに合わせて商品受け取りのタイミングを決められることです。従来の宅配サービスでは配送業者の都合に合わせて在宅する必要がありましたが、BOPISでは顧客が都合の良い時間に店舗に行けばいいので、時間的制約からも解放されます。

目当ての商品を手に入れられる

人気商品や限定商品を購入する際、店舗に足を運んでも既に売り切れているというリスクがあります。BOPISでは、オンラインで在庫を確認し、注文した時点で商品が確保されるため、わざわざ店舗まで行ったのに商品がなかったという事態を避けることができます。

また、BOPISでは各店舗の在庫状況を横断的に確認できるシステムも増えており、商品が揃っている店舗を選択できます。

買い物時間を大幅に短縮できる

従来の店舗での買い物では、商品を探し、比較検討し、レジで会計するという一連のプロセスに時間がかかります。BOPISでは、商品選択と決済は事前にオンラインで完了しているため、店舗では受け取るだけで済みます。

多くの店舗では、BOPIS専用の受け取りカウンターが設置されており、通常のレジ待ちの行列に並ぶ必要がありません。注文番号や本人確認を提示すれば、数分で商品を受け取れます。

BOPIS(ボピス)導入のデメリット・注意点

BOPISには多くのメリットがある一方で、導入に際しては慎重に検討すべきデメリットや課題も存在します。事業者は、これらの課題を事前に把握し、適切な対策を講じることで、BOPIS導入の成功確率を高めることができます。

店舗スタッフの業務負担が増加する

BOPIS導入により、店舗スタッフの業務負担が増加するという課題があります。従来の店頭販売業務に加えて、オンライン注文の商品ピッキング、梱包、顧客への連絡、受け渡し対応といった新たな業務が発生するためです。

特に、繁忙期や人気商品の発売時には、BOPIS注文が集中することがあります。通常の店舗業務と並行してこれらの対応を行う必要があるため、スタッフの負担が過度に増加すると、サービス品質の低下や従業員の疲弊につながるリスクがあります。

また、ECサイトと店舗の在庫情報にずれが生じていた場合、顧客が注文した商品が実際には店舗にないという事態が発生し、顧客満足度の低下とスタッフの負担増加という二重の問題が生じます。

対策としては、ピッキング作業を効率化するシステム導入、繁忙時間帯を避けた商品準備の時間設定などが考えられます。

在庫管理システムの統合が必要になる

BOPISを成功させるためには、ECサイトと実店舗の在庫をリアルタイムで同期させる必要があります。しかし、多くの企業では、ECサイトの在庫管理システムと店舗のPOS(販売時点情報管理)システムが別々に運用されており、統合が技術的に困難な場合があります。

在庫情報の同期にタイムラグが生じると、ECサイト上では「在庫あり」と表示されていたにもかかわらず、実際には店舗に在庫がないという問題が発生します。

また、複数チャネルで同一在庫を共有する場合、在庫の引き当てルールを明確にする必要があります。例えば、店舗での販売とオンライン注文のどちらを優先するのか、在庫が少なくなった場合にどちらのチャネルへの販売を制限するのかといった判断基準が必要です。

さらに、ECサイトと店舗で商品コードやJANコードの管理方法が異なる場合、システム統合が困難になります。導入前に、商品マスターデータの統一とクレンジングを行う必要があります。

BOPIS(ボピス)導入に必要な準備事項

BOPIS導入を成功させるためには、技術的な準備、オペレーショナルな整備、そして組織的な体制構築が不可欠です。以下では、具体的に必要となる準備項目を解説します。

ECと実店舗システムの連携

BOPIS導入の最も基本的な要件は、ECサイトと実店舗が情報システム的に連携していることです。顧客がオンラインで注文した情報が、即座に店舗側に伝達される仕組みがなければ、BOPISは機能しません。

具体的には、顧客がECサイトで店舗受け取りを選択して注文を確定すると、その注文情報が店舗のPOSシステムやWMS(倉庫管理システム)、OMS(注文管理システム)に自動的に送信される仕組みが必要です。また、商品準備が完了した際には、SMSや電子メールで顧客に自動通知を送る機能も重要です。ことで、顧客は安心して店舗を訪れることができます。

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リアルタイム在庫管理システムの構築

BOPISの成否を左右する最も重要な要素が、リアルタイム在庫管理システムです。顧客がECサイトで商品を検索する際、各店舗の在庫状況が正確にリアルタイムで表示される必要があります。

在庫情報の更新頻度が低いと、実際には在庫がないにもかかわらず「在庫あり」と表示されたり、逆に在庫があるのに「在庫なし」と表示されて販売機会を逃したりするリスクがあります。理想的には、店舗でのPOS販売やオンライン注文が発生するたびに、即座に在庫情報が更新される仕組みが必要です。

BOPIS導入に必要な在庫管理システムの要件や、効率的な在庫連携の実現方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、是非参考にしてください。

参考記事:ECサイトの在庫管理システムとは?利用メリットやおすすめ10社を徹底解説!

商品マスターデータの整備

在庫管理システムを正確に機能させるためには、商品マスターデータの整備が不可欠です。ECサイトと店舗で使用している商品コード、JANコード、SKU(最小管理単位)が統一されていない場合、システム連携が正しく機能しません。

商品を一意に識別するためのコード体系の統一、商品名・カテゴリ・サイズ・色・重量といった基本情報の登録と一致、そして店舗内での商品の保管場所を示す棚番マスターの整備が必要です。特に大規模な店舗では、ピッキング作業の効率化のためにロケーション管理システムの導入が不可欠です。

また、BOPIS導入に際して、多くの企業が直面する課題が、既存のECサイトと店舗システムの連携の難しさです。異なるベンダーのシステムを連携させるには、カスタム開発が必要になり、時間とコストがかかります。

この課題を解決するのが、BOPISやOMO機能を標準で備えた統合ECプラットフォームです。例えば、「W2 Unified」のような統合ECプラットフォームは、ECカート機能、在庫管理機能、店舗連携機能、顧客管理機能など、ECサイト運用に必要な機能だけでなく、OMOを実現する機能も一つのシステムで提供するため、BOPIS導入のハードルを大幅に下げることができます。

統合プラットフォームを利用することで、複数システム間のデータ連携に伴う不具合リスクを軽減し、導入期間を短縮できます。また、BOPIS機能が標準装備されているため、追加のカスタマイズ費用を抑えることができます。

1,100社以上の導入実績を持つ統合ECプラットフォームであれば、様々な業種・業態でのBOPIS導入ノウハウが蓄積されており、ベストプラクティスを活用しながらスムーズに導入を進めることができます。

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BOPIS(ボピス)導入の成功事例5社

BOPISは世界中の多様な業種で導入されており、それぞれの企業が自社のビジネスモデルに合わせて独自の工夫を凝らしています。ここでは、国内外の代表的な導入事例を紹介し、成功のポイントを分析します。

日本におけるBOPISの先駆的事例:ヨドバシカメラ(ヨドバシ・ドット・コム)のロゴ

参考:ヨドバシ.com

ヨドバシカメラは、日本におけるBOPISの先駆的企業です。ECサイト「ヨドバシ.com」では、オンラインで注文した商品を全国の店舗で受け取ることができます。都市部の店舗では当日受け取りが可能で、リアルタイム在庫連携により顧客は各店舗の在庫状況を確認しながら最適な受け取り店舗を選択できます。店舗スタッフの教育も徹底されており、迅速かつ正確な商品準備体制を構築しています。

 

イオン

国内流通大手イオンのBOPIS(店舗受け取り)導入事例:イオンスタイルの店舗外観

参照元:イオン

イオンリテール株式会社が運営する「イオンネットショップ」「イオンスタイルオンライン」は、全国のイオン店舗を活用したBOPISを展開しています。食品、日用品、衣料品など幅広いカテゴリーでオンライン注文・店舗受け取りが可能であり、日常的な買い物シーンでの利便性を高めています。全国の店舗ネットワークを活かし、顧客は最寄りの店舗で気軽に商品を受け取ることができます。

 

アルペン

大型店舗でのBOPIS体験事例:Alpen TOKYO(アルペンアウトドアーズ・ゴルフ5)の外観

参照元:アルペングループ公式オンラインストア

株式会社アルペンは、「スポーツデポ」「アルペン」「ゴルフ5」「アルペンアウトドアーズ」「アルペンマウンテンズ」など複数のブランドを展開する日本最大級のスポーツ用品専門店チェーンです。全国約350店舗のネットワークを誇り、W2 Unifiedを導入することで、ECサイトと実店舗を統合したBOPISを実現しています。

スポーツ用品は「実物を見て確認したい」「試着・試打してから購入したい」というニーズが強く、オンラインで商品を確認後、店舗で受け取り・試着できるBOPISは高い支持を得ています。顧客は各店舗の在庫状況をリアルタイムで確認でき、最寄りの店舗を選択して受け取り予約が可能です。店舗在庫の有効活用により、欠品リスクを低減し、在庫回転率も向上しています。

アルペンの導入事例をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も是非合わせてご覧ください。

関連記事:あらゆる顧客接点を統合する大規模リプレイスでOMO改革! アルペンが描く“欲しい瞬間に応える”EC戦略と仕組み化

 

ウォルマート

海外のBOPIS・カーブサイドピックアップ成功事例:米国ウォルマート(Walmart)の店舗外観

参照元:Walmart

米国の小売大手ウォルマートは、世界最大級のBOPIS展開企業です。全米に展開する店舗ネットワークを活かし、オンライン注文後、最短数時間で商品を受け取れる体制を構築しています。専用の駐車スペースとピックアップカウンターを設置し、顧客は店内に入ることなく車から商品を受け取る「カーブサイドピックアップ」も導入しています。ウォルマートのBOPISは、利便性と効率性を両立させた世界的なベンチマーク事例です。

ムラサキスポーツ

アパレル・スポーツ用品のBOPIS活用事例:ムラサキスポーツのロゴ

参照元:ムラサキスポーツ

株式会社ムラサキスポーツは、サーフ・スケート・スノーボードなどアクションスポーツに特化した専門店として、W2 Unifiedを活用したBOPISを展開しています。全国約50店舗のネットワークを活かし、オンラインで商品を選び、最寄りの店舗で受け取るサービスを提供しています。若年層を中心とした顧客層に対し、スマートフォンからの注文・受け取り予約をスムーズに実現し、デジタルネイティブ世代のニーズに応えています。

ムラサキスポーツのOMO戦略とBOPIS活用についてより詳しくまとめたお役立ち資料は、以下のバナーからご覧いただけます。是非合わせてご覧ください。

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BOPIS(ボピス)導入の効果測定方法

BOPIS導入の成否を判断するには、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的にモニタリングすることが不可欠です。BOPIS導入効果を測定するKPIは、大きく3つのカテゴリに分類されます。

カテゴリ KPI 目標値(導入1年後)
売上への貢献 BOPIS売上構成比 10~15%
客単価(通常顧客との比較) 1.2~1.5倍
リピート率(3ヶ月以内) 50%以上
顧客体験の質 即日受け取り可能率 80%以上
在庫一致率 95%以上
顧客満足度(CSAT) 4.0/5.0以上
運用効率 1注文あたりピッキング時間 5~10分
配送コスト削減率 15~20%
エラー発生率 1%以下

 

  • 売上への貢献: BOPIS経由の売上が全体の何%を占めるか、来店時の追加購入で客単価がどれだけ上がるかを測定します。Retail Diveの調査では、BOPIS利用者の85%が店舗で追加購入を行っており、通常客よりも客単価が高くなる傾向があります。

参考:Doddle社「Most BOPIS shoppers make additional purchases in store」

  • 顧客体験の質: 注文から受け取りまでのスピード(即日受け取り可能率)と、オンライン表示在庫と実在庫の一致率を追跡します。在庫一致率が低いと、顧客が店舗に来ても商品がないという事態が発生し、満足度が著しく低下します。
  • 運用効率: 店舗スタッフの作業時間と、BOPIS導入により削減できた配送コストを測定します。1注文あたりのピッキング時間が長すぎると人件費がかさみ、他の業務に支障が出ます。
  • ROI(投資対効果)の算出方法
    • BOPIS導入の投資対効果を定量的に評価するには、以下の計算式を用います。
      • ROI = (利益増加額 – 導入コスト) ÷ 導入コスト × 100(%)
  • 利益増加額の内訳:
    • BOPIS経由の売上増加額(追加購入含む)× 粗利率
    • 配送コスト削減額(通常配送料 × BOPIS注文件数)
    • 顧客生涯価値(LTV)向上による長期的な利益
  • 導入コストの内訳:
    • 初期投資:システム開発費、店舗改装費
    • 運用コスト:人件費増加分、システム運用費、マーケティング費
      • 算出例:
        初期投資2,000万円、年間運用コスト500万円のシステムを導入し、年間で3,000万円の売上増加(粗利率30%)と500万円の配送コスト削減が実現した場合:

        • 利益増加額 = 3,000万円 × 30% + 500万円 = 1,400万円
        • 総コスト(初年度)= 2,000万円 + 500万円 = 2,500万円
        • 初年度ROI = (1,400万円 – 2,500万円) ÷ 2,500万円 = -44%

初年度は赤字でも、2年目以降は初期投資の償却が進み、ROIがプラスに転じます。一般的に、BOPIS導入のROIは2〜3年でプラスになり、長期的には大きなリターンが期待できます。

まとめ:BOPIS(ボピス)でオムニチャネル戦略を加速させる

BOPIS(ボピス)は、オンラインとオフラインを融合させるオムニチャネル戦略の中核として、今後ますます重要性を増していくサービスです。顧客に新たな選択肢を提供し、利便性を高めると同時に、事業者には売上増加、顧客満足度向上、コスト削減というメリットをもたらします。

特に、統合ECプラットフォームを活用することで、BOPISに必要な機能(在庫管理、店舗連携、顧客通知など)を標準機能として利用でき、導入のハードルを大幅に下げることができます。「W2 Unified」のように1,100社以上の導入実績があるプラットフォームであれば、様々な業種でのノウハウが蓄積されており、自社に最適な形でのBOPIS導入をサポートしてくれます。

BOPIS導入を検討されている方は、まず自社の現状分析と目的の明確化から始めましょう。

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よくある質問

Q1:小規模な事業者でもBOPISを導入できますか?

小規模事業者でもBOPIS導入は可能です。特に、実店舗とECサイトの両方を運営している場合、BOPISは顧客満足度向上と配送コスト削減に有効です。

小規模事業者の場合、大規模なシステム投資は難しいかもしれませんが、既存のECプラットフォーム(W2 Unified、Shopifyなど)の中にはBOPIS機能を標準またはプラグインで提供しているものもあります。これらを活用すれば、比較的低コストで導入できます。

また、最初から完全に自動化されたシステムを導入しなくても、電話やメールで注文を受け付けて店舗で受け渡すという形でBOPISのサービスを始めることもできます。徐々に顧客の反応を見ながら、システム化を進めていくという段階的アプローチも有効です。

Q2:食品や生鮮品もBOPISで扱えますか?

食品や生鮮品のBOPISは可能ですが、温度管理や賞味期限管理といった特有の課題に対応する必要があります。

海外では、ウォルマートやホールフーズなどが生鮮食品のBOPISを成功させています。日本でも、一部のスーパーマーケットや食品専門店で導入が進んでいます。

成功のポイントは以下の通りです。

  • 温度管理:冷蔵・冷凍が必要な商品は、専用の保管設備(冷蔵ロッカー)を用意します。
  • 賞味期限管理:商品ピッキング時に賞味期限を確認し、十分な期限が残っているものを選択します。
  • 受け取り時間の制限:生鮮品は長時間保管できないため、「注文当日の営業時間内に受け取り」といった条件を設定します。
  • 品質保証:万が一、受け取り時に品質に問題があった場合の返品・交換ポリシーを明確にします。

これらの対策を講じることで、食品や生鮮品でもBOPISを安全に提供できます。

Q3:BOPISとカーブサイドピックアップの違いは何ですか?

カーブサイドピックアップは、BOPISの一種で、顧客が車から降りることなく商品を受け取れるサービスです。顧客が店舗の駐車場に到着したことをアプリやSMSで通知すると、店舗スタッフが車まで商品を運んで引き渡します。

カーブサイドピックアップは、大型商品や重量のある商品(家具、家電、大量の食料品など)の受け取りに特に適しています。また、天候が悪い日や、小さな子供を連れている場合にも便利です。

実装にあたっては、駐車場の一部をBOPIS専用スペースとして確保し、顧客の到着を即座に店舗に通知できるシステムが必要です。スタッフの安全確保(駐車場での作業)にも配慮が必要です。

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