ECサイトの納品書に記載すべき5つの項目とは?今さら聞けない基礎知識
ECサイトを運営するうえで、意外とつまずきやすいのがユーザーに送る「納品書」です。
- 納品書にはなにを記載するの?
- 納品書と一緒にどんなものを同梱すればいいの?
このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、
・納品書に記載すべき項目
・知っておきたい納品書の基礎知識
などを解説します。
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ECサイトの納品書に記載すべき5つの項目
国税庁によると、ECサイトの納品書には次の5つの項目を記載することが推奨されています。
- 書類作成者の氏名又は名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額(税込)
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称[注1]
ここでは、それぞれの項目について詳しく解説します。
また、2019年10月に導入された軽減税率制度によって、従来と変化した点についても説明します。
[注1]国税庁:「No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6625.htm
1.店舗や代表者の名前・住所・連絡先
まず、ECサイトの店舗名や代表者の情報を記載します。
ユーザーが後で発送元を確認するのに役立ちます。
返品や返送などのアフターサービスも考慮して、電話番号やメールアドレスなどの連絡先も記載しましょう。
2.受注日および出荷確定日
商品のオーダーがあった「受注日」と、商品の出荷が確定した「出荷確定日」も記載します。
商品の発送の遅れなどがあった場合でも、あらかじめ取引年月日を明確にしておけば、余計なトラブルを避けることができます。
3.取引を行った項目の内容
ECサイトで購入された商品の概要を、一覧表などの形式で記載します。
送料や手数料などそのほかの費用が発生する場合は、商品の金額とは分けて記載します。
なお、2019年10月に軽減税率制度が導入されて以降、商品の項目ごとに税率が異なるケースがあります。
軽減税率の対象品目に米印(※)を打つなどすれば、ユーザー側もわかりやすいでしょう。
4.取引金額の小計
取引を行った項目の単価を合計し、消費税込みの小計を記載します。
軽減税率制度に基づき、税率が異なる商品が混ざっている場合は軽減税率の対象品目(消費税率8%)と非対象品目(10%)で個別に小計を記載しましょう。
5.購入者の氏名・住所と発送先
購入者の氏名・住所と発送先もわかりやすく記載しましょう。
ECサイトの納品書は、商品が正しい発送先に届けられたかどうか確認するための手段です。
特に、購入者の住所と商品の発送先が異なるケースには注意が必要です。
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納品書はないほうがよい?納品書を作成する3つのデメリット
ECサイトの運営者のなかには、「納品書はないほうがよい」と考える人もいます。
納品書を作成すると
- 「商取引の記録を残すことができる」
- 「ユーザーに気持ちを伝えられる」
といったメリットが得られますが、一方でデメリットも存在します。
ここでは、納品書を作成する3つのリスクを解説します。
1.紙代やインク代などのコストがかかる
納品書を紙ベースで作成すると、紙代やインク代がかかります。
納品書1通あたりのコストは微々たるものですが、商品の取扱数が増えると多くの出費が発生します。
そのため、納品書をPDF化したり、電子メールで代用したりするECサイト運営者も少なくありません。
納品書の印刷コストを削減したい場合は、検討してみましょう。
2.納品書の作成やチェックに手間がかかる
納品書の作成にはコストがかかるだけでなく、時間も手間もかかります。
1日に数十件ほどの量ならそれほど手間にはなりませんが、1日に数百件~数千件の取引があるECサイトの場合、個人の手作業では作成が困難です。
また、納品書は作成したら終わりではなく、出荷作業の際にチェックすることも重要です。
一つひとつの商品と、納品書や送り状を目視で照らし合わせ、送り間違いがないか確かめる必要があります。
規模の大きなECサイトにおいては、複数名のスタッフによるチェック作業が必要です。
このチェック作業の手間と人件費が大きな負担になるケースも少なくありません。
そのため、納品書を入れないショップも増えています。
3.出店先からペナルティを受ける可能性がある
たとえば、楽天市場やAmazonなどへ出店するケースも多いでしょう。
これらのサイトでは、納品書や取引に関して独自のルールがあるので注意が必要です。
2016年9月に始まった「楽天違反制度」をきっかけに「納品書不要論」が活発化しました。
楽天違反制度とは、ECサイト側の違反行為を点数化し、一定の点数が溜まるとペナルティを課す仕組みのことです。
楽天市場の顧客満足度を高めるための仕組みですが、ECサイトの運営者側は大きなリスクを抱えてしまいます。
特に違反点数が高いのは、「納品書の送り間違い」による個人情報の漏えいで、1回につき25点の違反点数が加算されます。
納品書の送付ミスを1年間に4回しただけで合計100点の違反点数が溜まるため、違約金300万円および出店停止52日間のペナルティが課されてしまいます。
楽天市場などを利用する場合は、納品書の送り先を慎重にチェックする必要があります。
納品書を作成する際の3つのポイント
前述のとおり、納品書にはデメリットもありますが、顧客と信頼関係を構築するうえで重要です。
納品書があるとユーザーは安心しますしユーザー向けの広告やメッセージを入れてリピーター獲得につなげることもできます。
商取引上、請求書の作成は必要ですので、「納品書兼請求書」として作成するショップも少なくありません。
ここでは、納品書を作成する際の3つのポイントを解説します。
1.商品名はあまり長くなりすぎないようにする
納品書に記載する商品名は、あまり長くなりすぎないようにしましょう。
ECサイトのSEO対策のため、キーワードを盛り込んで商品名が長くなるケースが少なくありません。
しかし、長い商品名をそのまま納品書に記載するとユーザーにとってはわかりづらいですし、フォーマットからはみ出てしまうこともあります。
消費者に悪印象を与えてしまう可能性があるため、印字する商品名は短縮しましょう。
また、納品書の商品名が長すぎると、出荷の際のピッキング作業がやりづらくなるでしょう。
特に商品の取り扱い数が多いネットショップでは、間違った商品をピッキングし、誤配送の原因につながりかねません。
出荷作業の手間が膨れ上がるため、SEO対策用の商品名と納品書用の商品名は分けましょう。
2.軽減税率に対応した納品書を作る
納品書の項目でも紹介したように、2019年10月以降の納品書は、軽減税率制度に対応したものでなければなりません。
厳密にいえば、2019年10月からは「区分記載請求書等保存方式」か「適格請求書等保存方式(インボイス)」で納品書を作成し2023年10月からは「適格請求書等保存方式」に則って作成することが求められます。
区分記載請求書等保存方式での変更点は、「区分記載請求書等保存方式に米印などのマークをつける」、「8%・10%の税率ごとに区分して小計を記載する」の2点です。
軽減税率の対象品目を取り扱うECサイトの運営者は、納品書のフォーマットを変更する必要があります。
3.受注管理システムがあれば納品書の作成を自動化できる
受注管理システムを導入すると、納品書を作成する手間やコストを削減できます。
商品名や取引内容の記載、軽減税率制度に対応した取引金額の計算などを自動で行ってくれるため、人力での入力作業が発生しません。
納品書のフォーマットが統一されるため、出荷時のピッキング作業の効率もよくなるでしょう。
決済システムと連携した受注管理システムなら、商品の購入から納品書の作成までを完全自動化することも可能です。
- 「納品書の作成は手間と人件費がかかる」
- 「納品書の内容にミスがあるとクレームに発展しかねない」
と心配している方は、受注管理システムを導入することで問題解決につながります。
納品書と一緒に同梱したい3種類の販促物
納品書と一緒に販促物を同梱すると、リピーターを増やし、効果的な販売戦略につなげられます。
ここでは、納品書と一緒に同梱したい3つの販促物を取り上げます。
1.ユーザーに向けた手書きのメッセージ
副業や個人事業主など小規模なECサイトを運営している場合は、手書きのメッセージを同梱するのも1つの手段です。
ユーザーに直接気持ちを伝えることで、「このお店を次回も利用しよう」と感じてもらえます。
心のこもったメッセージを作成するには手間がかかるものの、簡単で効果的な販促活動です。
2.ユーザーが関心を持ちそうな商品の広告
納品書に加えて商品の広告を同梱することで、ユーザーに興味を持ってもらうことができます。
たとえば、ユーザーが購入したものに関連がある商品や、新発売や新モデルなど需要が高い商品が狙い目です。
ただし、過剰な広告宣伝を行うと逆に悪印象を与えてしまいかねません。
納品書をA4サイズ1枚で作成し、下半分にのみ広告を印刷するなどして、適度な広告宣伝を行いましょう。
3.割引クーポンや紹介制度などお得な情報の案内
商品広告のほかにも、割引クーポン制度を導入しているお店や家族や友人への紹介制度を導入しているお店は納品書と同梱することで販売促進につながります。
納品書は、商品を購入してくれた人すべてに届きます。
全員が反応してくれるわけではありませんが、せっかくの機会を活かしましょう。
まとめ:納品書を工夫してECサイトの販売促進につなげよう
改めて、ECサイトの納品書に記載すべき5つの項目をまとめます。
- 書類作成者の氏名又は名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額(税込)
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
なかには納品書を作らない運営者もいますが、納品書は顧客との信頼関係を構築し、販売促進につながる重要なきっかけとなります。
ぜひ本記事の内容を参考に、納品書の作成を進めてみてください。
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