EC業界において、OMOやオムニチャネルといった言葉をよく耳にするようになりました。
どういった意味かなんとなく知ってはいても、違いがよく分からないという方もいるのではないでしょうか。
明確な違いが分かっていないと、会社でOMOやオムニチャネル導入の動きがあったときに対応できません。
この記事では、OMOの事例やオムニチャネルとの違いについて詳しく紹介します。
成功事例や現状を知れば、OMOやオムニチャネル導入のためにどう動けばいいかが明確になるでしょう。
これからの経営戦略を考えるときに、ぜひ参考にしてください
OMOとは…?
OMOはOnline Merges with Offlineの略で、「Merger」は合併を意味します。
オンラインとオフラインを融合し、より高度な顧客体験を提供しようという考え方がOMOです。
スマートフォンの普及によって、オフラインの場にスマート家電やキャッシュレス決済といったオンラインが進出してきています。
そうなると、顧客にとってはオンラインとオフラインの区別はあってないようなものです。
そこで、提供側の企業がオンラインとオフラインを分けて考えるのではなく、オンラインとオフラインを融合して顧客目線でビジネスを行うことが重要となります。
言葉の意味が分かっても、それが実際にどういうことなのかをイメージするのは難しいかもしれません。
まずは、OMOを導入の成功事例を見てみましょう。
【日本国内】OMO導入成功事例①サントリー
日本国内でのOMO事例として、サントリーが手掛ける「TOUCH-AND-GO COFFEE」を紹介します。
TOUCH-AND-GO COFFEEは東京の日本橋にあるコーヒーショップです。LINEで好みのコーヒーを事前注文し、指定した時間に店舗で受け取ることができるOMOです。
受取時間は予定や行動に合わせて5分単位で選べるため、余分な待ち時間を作らずにコーヒーを受け取れます。
完成したボトルコーヒーは店舗のロッカーに一本ずつ格納され、受け取りにも手間がかかりません。
コーヒーは、ベースドリンクや甘さ、フレーバーなど、自分好みにカスタマイズできます。
店舗で注文する場合、レジ前で長時間悩むことはできません。好きなだけ迷ったり悩んだりできるのも、オンライン注文のメリットだといえるでしょう。
また、名前が入るおしゃれなボトルやオンラインで注文してオフラインで受け取るスタイルがSNSで評判となり、朝9時に完売する日もあったそうです。
【日本国内】OMO導入成功事例②Beams(ビームス)
続いては、セレクトショップ「BEAMS(ビームス)」の事例を紹介します。
ファッション小売業においては、実店舗とECサイトの両方を運営するケースが多いでしょう。
ビームスも同様で、当初は実店舗の顧客データとECサイトの会員データが別々に管理されていました。
ビームスは、2016年に二つのデータベースを統合し、顧客情報を一元管理できるようにしています。
顧客にとっては、オンラインであってもオフラインであっても、ビームスで購入したことに変わりはありません。
顧客情報を一元管理することで、どこで購入したかにかかわらず、一人ひとりの購入履歴を把握できます。
その顧客情報を基に店舗が顧客に働きかけることで、顧客はよりきめ細やかなサービスを受けられます。
実店舗で商品を確かめ、オンラインで購入するといったフレキシブルな買いものが可能です。
正に、OMOによって、より良い顧客体験が実現できた成功事例だといえるでしょう。
また、ビームスでは店舗スタッフをメディア化するといった取り組みも行っています。
ビームス公式サイトでは、店舗スタッフが、スタイリングやフォトログ、ブログ、動画といったコンテンツで自由な情報発信が可能です。
オフラインで一対一の接客を行っていた店舗スタッフがオンラインで発信することで、顧客との接点が増え、ビームスのファンを増やしていけるでしょう。
OMO導入においては、顧客だけでなくスタッフも、オフラインとオンラインの区別なく動ける仕組みを考えるのも一つの戦略です。
【日本国内】OMO導入成功事例③Zoff(ゾフ)
メガネ専門店「Zoff(ゾフ)」でも、実店舗とECサイトを連携させるという取り組みを行っています。
連携させてオフラインとオンラインの垣根をなくすことで、顧客はECサイトでもメガネを購入できるようになりました。
実店舗であれば、スタッフが目の状態を確認して見え方を調整してくれます。
しかし、ECサイトでメガネを購入しようと思うと、度数以外にもさまざまな数値が必要です。
そのため、ECサイトでのメガネ購入はハードルが高く、購入時は実店舗に行くという人が多かったのではないでしょうか。
Zoffでは、顧客が購入したメガネの情報をデータ化しており、実店舗でもECサイトでもその情報を確認できます。
ECサイトでは度数などのデータが自動入力されるため、好みのフレームを選ぶだけで自分に合ったメガネの購入が可能です。
自分の度数をメガネ屋に確認したり控えたりすることなくメガネが購入できるのも、OMOの導入でデータを一元管理しているからです。
メガネ購入時に手間だと感じる部分の負担を軽減できるのは、顧客にとっても有益な顧客体験となるでしょう。
日本におけるOMOを導入した成功事例を3点お伝えしました。
それでは、海外ではどういったOMOが導入されているのでしょうか? 続いては、海外でのOMO導入成功事例を紹介します。
【海外】OMO導入成功事例①フーマーフレッシュ
OMOの考え方は、Googleチャイナの元社長である李 開復(リ カイフ)氏が提唱して広まりました。
OMOという言葉が生まれただけあって、中国はOMO先進国です。実際に、さまざまなシーンでOMOが取り入れられています。
そのなかの一つとして、アリババグループが手掛けるスーパーマーケット「フーマーフレッシュ(盒馬鮮生)」を紹介します。フーマーフレッシュは200店舗以上を展開する生鮮スーパーで、オンラインからも購入可能です。
オンラインで購入した場合、店舗から3km圏内であれば無料で30分以内に配送してもらえます。実店舗での購入でも、アプリで購入商品を読み取れば指定時間の配送が可能です。
オンライン注文した商品は、配送のためにピックアップされ、店内上部のベルトコンベアで運ばれていきます。
オンラインで購入するだけでなく、店舗での購入にスマートフォンを使うことで、もっと利便性の高い顧客体験ができます。
買いものかごに商品を入れてレジに並ぶといった行動が必要なく、実際の商品を確認しながらオンライン購入できるのは顧客にとっても大きなメリットだといえるでしょう。
そして、フーマーフレッシュの商品は、スマートフォンで読み取れるバーコードが値札に表示されています。
アプリで読み込むと、商品の在庫数や産地、そして、調理方法やユーザーレビューといった情報を購入前にその場で確認できます。
また、フーマーフレッシュは店内にいけすや飲食スペースがあり、購入した食材をその場で調理してもらって食べることも可能です。
顧客は、その時々の状況に応じて、フーマーフレッシュをさまざまな形で利用できます。
OMO導入によって、フーマーフレッシュは生鮮スーパーに期待する以上の役割を果たしているといえるでしょう。
【海外】OMO導入成功事例②ピックアップタワー
続いて紹介する海外の事例は、ウォルマートの「ピックアップタワー」と呼ばれる巨大な機械です。
ウォルマートは、Amazonに対抗するためにOMO施策に多額の資金を費やしています。
その一環として、ECサイトで購入した商品を実店舗で受け取れるサービスを始めました。
ピックアップタワーは、実店舗で受け取る商品を保管する設備です。
その大きさは、高さ約5メートル、幅約2メートル。60cm×40㎝×40㎝サイズまでの箱が最大300個入ります。
利用方法はとても簡単です。
購入時にピックアップタワーでの受け取りを選択すると、専用のバーコードが発行されます。
そのバーコードをピックアップタワーにかざすと、注文品がピックアップされて出てきます。
日本にいると、ECサイトで購入した商品は届いて当たり前です。
コロナの影響もあり、受け取りのサインやはんこを必要としない置き配も増えてきました。
しかし、アメリカの場合は、起き配された商品の盗難が相次いでいます。
配送に時間がかかったりあまり丁寧な配送ではなかったりといった事情もあり、店舗で受け取れるサービスの需要が高まっています。
ウォルマートは24時間営業しているため、ピックアップタワーも24時間使えます。
時間の制限なく荷物を受け取れるのは、顧客にとってのメリットも大きいでしょう。
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OMOとオムニチャネルの違い
続いては、OMOとオムニチャネルの違いについて解説します。
OMOはオンラインとオフラインの融合を意味していました。
対してオムニチャネルは、全てのチャネルを意味しています。チャネルとは企業と顧客の接点のことです。
実店舗やECサイト、カタログ通販、SNSなど、さまざまな顧客との接点があります。
それらのチャネルを連携させ、顧客がどこからでも購入できるようにする販売戦略がオムニチャネルです。
OMOとオムニチャネルの違いは、オンラインとオフラインを区別しているかどうかです。
OMOはオンラインとオフラインを融合するため、オンとオフは区別されません。
オムニチャネルの場合、各チャネルがシームレスに連携しますが、一つひとつのチャネルに関してはオフライン・オンラインという明確な区別が存在します。
そして、オムニチャネルのオフライン・オンラインの区別は、企業側の目線でもあります。
サービスや商品を提供する企業が、オフラインのチャネル、オンラインのチャネルと区別しているのです。
そのうえで、どう連携してどう販売するかといった施策がオムニチャネルの考え方です。
対してOMOは、顧客が主体となる考え方です。
より良い顧客体験をしてもらうためにどうしたらいいかを考えます。
顧客体験は商品の購入といった直接的なことだけでなく、商品やサービスの利用、アフターサポートなども含みます。
オンとオフを融合してどのような顧客体験ができたらうれしいかを、顧客の立場で考えてみましょう。
日本国内のOMOの現状と今後の課題
海外でのOMO導入成功事例でお伝えしたように、中国はOMO先進国です。
OMOが幅広く浸透しており、小さな屋台でさえもスマートフォンを使ったキャッシュレス決済で買いものができます。
それに対して日本では、まだあまりOMOの導入が進んでいません。
日本では、実店舗で現金で購入するケースがまだ多くあるでしょう。
OMO先進国である中国はキャッシュレス社会に大きくかじを切り、現金を持ち歩く人は少数派です。
海外に比べて日本のOMO導入が進んでいない理由としては、オフラインにおける日本のサービス水準の高さが挙げられます。
OMOを導入して利便性が向上するといっても、オフラインで十分なサービスを受けられるため、導入が後回しになっていると考えられます。
中国の場合、偽札がたくさん出回り、サービスの質も店舗によってばらつきがある状態でした。
不便な部分が多かったからこそ、キャッシュレス決済やOMO導入がスムーズに進んだのでしょう。
今後、日本がOMOを導入するためには、より顧客の立場で考えることが必要になります。
オフラインやオンラインの区別は、提供する企業側の立ち位置での考え方です。
顧客はオフラインかオンラインかで購入を決めているのではなく、その時々で適した購入方法を選んでいるだけです。
顧客がもっと自由に商品を購入したりサービスを受けたりできるように、顧客の立場に立っていかにオンとオフを融合するかを考えていきましょう。
そして、コロナの影響があり、売り上げの主体を実店舗からECサイトに移さなくてはならないケースもあります。
さまざまな事態を想定すると、オフラインとオンラインを融合して顧客の利便性を高めることが売り上げ向上にもつながると考えられます。
OMO導入検討の際はw2ソリューションを
実際にOMOを導入してみようと思っても、具体的にどうしたらよいか分からず悩んでしまうかもしれません。
そういったときには、やりたいことが一つになったパッケージの導入がおすすめです。
w2ソリューションの「OMNIPACK(オムニパック)」なら、オフラインとオンラインの相互連携でより価値のある顧客体験を提供できます。
オムニパックはデータ管理基盤とツールが一つになっており、それぞれが独立してしまいがちな実店舗とECサイトの情報をまとめて管理することが可能です。
顧客情報や受注情報、ポイント情報をまとめて管理すれば、オフライン・オンラインを合わせた購入履歴を基に、顧客に新たな提案ができるようになるでしょう。
オムニパックで提供できる内容は以下のとおりです。
- 店舗との顧客情報、受注情報、ポイント情報の統合管理および連携
- 店舗受け取り対応
- オフラインからの注文登録、問い合わせ管理システム
- ネイティブアプリ
- SNS連携
- One To Oneコミュニケーションツール
クレジットカード決済または、AmazonPay、楽天pay、ID系などの豊富な決済連携オムニパックを導入すれば、ECサイトで見た商品を店舗で受け取ることができるようになります。
これまでは、ECサイトと実店舗を連携させようと思うと、スタッフのマンパワーに頼るしかありませんでした。
しかし、人が行うことにはミスや勘違いが付き物です。
システムで管理できれば、作業時間を短縮でき、効率の良い運営ができるようになります。
また、これまで別管理だったポイントをまとめて管理できるのも、顧客にとってはうれしいことでしょう。
オムニパックがあれば、OMOだけでなく、これまで抱えていたECサイト運営の悩みも解決できます。
実際にオムニパックを導入した場合の事例を紹介します。
- オフラインとオンラインが連携することで、顧客の行動の幅も広がることが分かります。
また、これまで別々に管理していた実店舗とECサイトのポイントをまとめて管理できるのも、顧客にとって大きなメリットとなるでしょう。
OMO導入について検討されている方や知りたいことがある方は、お気軽にw2ソリューションにご相談ください。
今後の日本国内のEC業界のカギを握るOMOの検討を是非
OMO導入といっても難しく考える必要はありません。
顧客がより便利になるために何ができるかを考えると、目指したい方向性が見えてきます。
これからのEC業界では、オンラインとオフラインを分けて考えることは難しいでしょう。
実店舗とECサイトの間に垣根がある点を見つければ、そこから改善していけます。