BtoBtoCは、パートナー企業や小売を介して最終消費者に製品やサービスを届けるビジネスモデルであり、収益機会として多くの企業から注目を集めています。しかし、「言葉は知っているが、自社でどう活かせば良いのか分からない」「具体的な始め方や成功事例、必要なシステムについて知りたい」といった課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、BtoBtoCの基本的な意味やBtoB・BtoCとの違いから、実践で役立つ4つのビジネスモデル、国内の業界別成功事例までを網羅的に解説します。さらに、事業を成功に導くための5ステップの導入ロードマップや、ECシステム構築の要点も紹介します。この記事を最後まで読めば、自社に最適なBtoBtoC戦略の解像度が上がり、明日からの具体的なアクションに繋がるはずです。
BtoBtoC(Business-to-Business-to-Consumer)とは
BtoBtoC戦略を検討する最初のステップは、その定義と関連するビジネスモデルとの違いを正確に理解することです。それぞれのモデルは顧客対象や商流が異なり、最適なマーケティング戦略やシステム要件も変わってきます。
ここでは、BtoBtoCの基本的な仕組みと、混同されがちなBtoB、BtoC、D2Cモデルとの違いを明確にします。
BtoBtoCの仕組み
BtoBtoCとは、「Business-to-Business-to-Consumer」の略で、企業が別の企業(パートナー)を通じて、その先にいる最終消費者(Consumer)に製品やサービスを提供するビジネスモデルを指します。自社(B1)が直接消費者に販売するのではなく、BtoB取引でパートナー企業(B2)に製品やプラットフォームを提供し、そのパートナー企業が消費者(C)への販売やサービス提供を担う点が最大の特徴です。
なお、本記事ではわかりやすくするために、以降は次のように呼称します。
- B1:製品・サービスを提供する企業(自社)
- B2:B1の製品やサービスを活用し、最終消費者に販売・提供するパートナー企業
- C:最終的に製品・サービスを利用・購入する消費者
このように、B1 → B2 → C という流れで価値が提供されるのがBtoBtoCモデルの基本構造です。
このモデルには、製品を開発するメーカー、流通を担う卸売業者、販売を行う小売店など、複数の企業が関係者として関わります。成功のためには、自社、パートナー企業、そして最終消費者の三者が利益を得られる「三方よし」の関係を築くことが不可欠です。
BtoB/BtoC/D2C/BtoBtoBとの違い
BtoBtoCと他のビジネスモデルとの違いを比較してみましょう。
- BtoB(Business-to-Business):企業が他の企業に対して製品やサービスを提供するモデルです。顧客は法人であり、合理的な判断基準や複数人での意思決定が特徴です。
- BtoC(Business-to-Consumer):企業が個人消費者に対して製品やサービスを直接提供するモデルです。顧客は個人であり、感情的な購買決定や流行の影響を受けやすい傾向があります。
- D2C(Direct-to-Consumer):メーカーが卸や小売を介さず、自社のECサイトなどで消費者に直接製品を販売するモデルです。顧客との直接的な関係構築やデータ活用がしやすい利点があります。
- BtoBtoB(Business-to-Business-to-Business):企業がパートナー企業を通じて、さらにその先の別の企業に製品やサービスを届けるモデルです。最終的な利用者が法人である点がBtoBtoCとの大きな違いです。
これらの違いを理解することは、自社の製品や市場環境に最も適したビジネスモデルを選択する上で極めて重要です。
BtoBtoCのビジネスモデルと収益構造
BtoBtoCは、パートナー企業との関わり方によっていくつかの型に分類できます。ここでは、代表的な4つのビジネスモデルを取り上げ、それぞれの仕組みと主な収益構造を解説します。自社の事業にどの型が適しているかを考えることで、より実行可能な戦略フレームワークを描けるようになります。
1. プラットフォーム仲介型
ECモールや予約サイトのように、多数の事業者(B2)と消費者(C)を繋ぐプラットフォームを自社(B1)が提供するモデルです。出店する事業者はプラットフォームの集客力を活用でき、消費者は多様な選択肢から比較検討できるメリットがあります。
プラットフォーム提供者は、出店料、販売手数料、広告掲載費などを主な収益源とします。高い集客力が見込める一方で、プラットフォーム内での価格競争が激しくなりやすい、また、詳細な顧客データを自社で直接管理・活用しにくいといった側面も持ち合わせています。
2. 共同ブランド/ホワイトラベル型
自社(B1)が持つ技術や製品を、パートナー企業(B2)のブランド名で、あるいは共同ブランドとして消費者(C)に提供するモデルです。例えば、食品メーカーがコンビニエンスストアのプライベートブランド(PB)商品を製造するケースがこれにあたります。
パートナー企業のブランド力や販売網を活用できるため、迅速な市場浸透が期待できます。収益は主に製品の卸売価格から得られますが、ブランド価値の向上や独自性を確立しやすい反面、パートナー企業との緊密な連携と厳格な品質管理が求められます。
3. 流通・卸売型
メーカー(B1)が開発した商品を、卸売業者や販売代理店(B2)を通じて、スーパーや専門店などの小売店で消費者(C)に販売する、最も古典的なモデルです。広範な販売網を効率的に活用できるメリットがあります。
しかし、従来のアナログな取引では、メーカーが最終消費者の顔や購買データ、製品へのフィードバックを直接知ることが難しいという課題がありました。近年では、この課題を解決するために、専用のBtoB-ECサイトを立ち上げ、販売店とのデータ連携を強化するDXの動きが活発化しています。
また、BtoB ECの導入方法や業務DXの進め方については、以下のガイドで詳しく解説しています。資料は無料でダウンロードできるので、ECサイトの構築や業務DXを検討している方はぜひあわせてご一読ください。
4. SaaS・ID連携型
自社(B1)が開発したSaaS(Software as a Service)やシステムをパートナー企業(B2)に提供し、パートナー企業がそのシステムを利用して自社の顧客である消費者(C)へサービスを提供するモデルです。
例えば、美容メーカーが美容室向けの顧客管理・予約システムを提供し、美容室がそのシステムを使ってお客様にオンラインでの商品購入や次回来店の提案を行うケースが挙げられます。このモデルは、エンドユーザーのデータを活用したきめ細やかな顧客体験の提供に繋がりやすく、ソフトウェア開発企業にとっては新たな収益源となり得る注目のモデルです。
BtoBtoCを導入する3つのメリット
BtoBtoCモデルは、単に販売チャネルを増やす以上の戦略的な価値を企業にもたらします。ここでは、導入によって得られる主要なメリットを3つに絞って解説します。これらの利点を理解することは、社内での導入提案や意思決定の際に重要な論拠となります。
1.新たな顧客接点の創出と一次データの獲得
最大のメリットは、パートナー企業が持つ顧客基盤を通じて、これまで自社単独ではリーチできなかった新しい消費者層にアプローチできる点です。これにより、新たな市場を開拓し、事業の成長を加速させられます。
さらに重要なのは、パートナーを介してエンドユーザーの属性情報や購買履歴、製品へのフィードバックといった貴重な一次データを収集できることです。これらのデータを分析して製品開発やマーケティング施策に活かすことで、より顧客ニーズに即した価値提供が可能になります。
2.パートナーアセットの活用による事業拡大
パートナー企業が長年培ってきたブランド力、顧客からの信頼、そして全国に広がる販売チャネルや物流網といった経営資源(アセット)を活用できます。これにより、自社でゼロから販路を開拓したり、大規模な広告投資を行ったりすることなく、迅速かつ低コストで事業をスケールさせることが可能です。特に、市場への新規参入時や、新製品を素早く普及させたい場合に大きな効果を発揮します。
3.顧客体験(CX)の向上とブランドロイヤリティの強化
BtoBtoCモデルを適切に設計することで、エンドユーザーに対して一貫性のあるブランド体験を提供できます。例えば、メーカーが製品情報やブランドストーリーを直接管理し、パートナー企業を通じて統一されたメッセージを届けることが可能です。
中間業者を介さずにエンドユーザーのニーズや課題に直接応える仕組みを構築することで、顧客満足度は向上します。結果として、自社ブランドへの信頼と愛着、すなわちブランドロイヤリティを高め、長期的なファンを育成することに繋がります。
BtoBtoC導入前に知るべき3つのデメリットとリスク
BtoBtoCモデルは多くのメリットをもたらす一方で、導入前に理解しておくべきデメリットやリスクも存在します。これらの課題を事前に把握し、対策を講じることが、プロジェクトの失敗を未然に防ぐ鍵となります。ここでは、特に注意すべき3つのポイントを解説します。
1.チャネルコンフリクト(既存販路との競合)
BtoBtoCで新たな販売チャネルを設けた結果、自社が元々持っている直販チャネル(自社ECサイトなど)や、他の既存パートナー企業の販売網と競合してしまうリスクがあります。これを「チャネルコンフリクト」と呼びます。例えば、販売価格やプロモーション内容に差が生じると、パートナー企業からの不満や信頼関係の悪化を招きかねません。
このリスクを回避するためには、事前に各チャネルの役割分担を明確にし、価格ポリシーや販促活動に関するルールをパートナーと詳細に合意しておくことが重要です。
2.ブランドコントロールの難易度
エンドユーザーとの直接の接点をパートナー企業に委ねるため、自社のブランドイメージを完全にコントロールすることが難しくなる場合があります。パートナー企業の販売方法や顧客対応の質が低い場合、意図せず自社のブランド価値が損なわれるリスクも否定できません。
対策として、ブランドの世界観や顧客への接し方を定めたガイドラインを策定し、パートナーと共有することが有効です。また、定期的なコミュニケーションを通じて、ブランドに対する認識をすり合わせる努力が求められます。
3.複雑な収益分配とシステム連携コスト
パートナー企業との協業であるため、売上や利益をどのように分配するかの交渉が必要です。レベニューシェアの比率や手数料、マーケティング費用の分担など、双方にとって公平で納得感のあるルールを設計するには時間と労力がかかります。
また、自社の在庫システム、パートナー企業の販売システム、そしてエンドユーザーの顧客情報や注文情報などをスムーズに連携させるためのシステム開発・改修も必要です。この初期投資やランニングコストも、事前に見積もっておくべき重要な要素です。
BtoBtoCビジネスの業界別成功事例
BtoBtoCモデルが実際にどのように機能しているのか、具体的な事例を通じて理解を深めましょう。
ここでは、様々な業界における国内の成功事例を5つピックアップし、それぞれのビジネスモデルの型と成功のポイントを分析します。
自社の事業に置き換えて考えるヒントとしてご活用ください。
【IT・SaaS】株式会社ミルボン
美容メーカーのミルボン(B1)が展開する「milbon:iD」は、SaaS・ID連携型の先進的な事例です。同社は、取引先である美容室(B2)に対し、そのお客様(C)がオンラインでサロン専売品を購入できるECプラットフォームを提供しています。
仕組み: 美容室は在庫リスクを抱えることなく、お客様にECでの購入を案内し、売上の一部を収益として得ることができます。ミルボンは新たな販売チャネルを確立すると同時に、エンドユーザーの購買データを直接取得し、製品開発やマーケティングに活用できます。お客様は、美容室で受けたカウンセリング内容に基づいた商品を、いつでもオンラインで購入できる利便性を享受できます。
- B1(ミルボン)のWin: 新規販路の開拓、顧客データの獲得
- B2(美容室)のWin: 在庫リスクなしでの売上向上、顧客ロイヤリティの確立
- C(消費者)のWin: サロン専売品をいつでもオンラインで購入できる利便性
milbon:iDサイトURL
【製造・メーカー】株式会社ファミリーマート
コンビニエンスストアで販売されているプライベートブランド(PB)商品は、共同ブランド/ホワイトラベル型の代表例です。例えば、大手食品メーカー(B1)が、ファミリーマートなどのコンビニエンスストア(B2)のブランド名で商品を製造し、店舗を訪れる消費者(C)がそれを購入する仕組みです。
仕組み: 食品メーカーは、コンビニの巨大な販売網を通じて商品を大量に供給することで、安定した収益を確保できます。一方、コンビニは、メーカーと中間マージンを排した直接取引により、高品質なオリジナル商品を低価格で提供し、高収益構造と顧客満足度を実現できます。
- B1(食品メーカー)のWin: 製造ラインの安定稼働と大規模な販売網の確保
- B2(コンビニ)のWin: 高利益率なオリジナル商品の開発、集客力向上
- C(消費者)のWin: 高品質な商品を低価格で購入できる
FamilyMartサイトURL
【卸売・美容】株式会社IL
美容商材を扱う株式会社IL(B1)は、流通・卸売型のDX(デジタルトランスフォーメーション)事例として挙げられます。同社は、全国の販売代理店や美容サロン(B2)が、プロ向けの美容商材をオンラインで発注できるBtoB-ECサイトを構築しました。
仕組み: このECサイトの大きな特徴は、代理店ごとにログインIDを発行し、それぞれの取引条件に応じた販売価格を自動で表示できる点です。代理店やサロンは、このサイトを通じて仕入れた商材を使い、最終消費者(C)に美容サービスを提供したり、商品を販売したりします。アナログだった受発注業務をデジタル化することで、サプライチェーン全体の効率化を実現しています。
- B1(IL)のメリット: 代理店ごとの価格設定を自動化し、受注業務の工数を大幅に削減
- B2(代理店・サロン)のメリット:24時間、自社専用の卸価格でオンラインから簡単に発注可能
- C(消費者)のメリット: サロンの仕入れが安定することで、常に質の高いサービスを受けられる
また、株式会社IL様の導入事例についてより詳しく知りたい方はぜひ合わせてご覧ください。
関連記事:売上156%向上と業務工数67%削減を実現!BtoB向け美容商材を販売する 株式会社ILが代理店ごとで価格調整を可能にできることを理由に W2 Repeatを選定!
PARISIENNE BEAUTY GROUPサイトURL
【金融】株式会社クレディセゾン
クレジットカード会社のクレディセゾン(B1)が発行する多種多様な提携カードは、共同ブランド型の分かりやすい事例です。同社は、航空会社、百貨店、エンタメ企業といった様々な業種の企業(B2)と提携し、両社のロゴが入ったクレジットカードを共同で発行しています。
仕組み: カード会員(C)は、提携先の店舗やサービスを利用する際に、ポイント還元率のアップや会員限定の割引といった特別な優待を受けられます。クレディセゾンは、提携企業の持つ優良な顧客基盤にアプローチして新規会員を獲得できます。一方、提携企業は、顧客に特別なメリットを提供することで他社との差別化を図り、顧客の囲い込み(ロイヤリティ向上)を実現しています。
- B1(クレディセゾン)のWin: 提携先の顧客基盤を活用した効率的な新規会員獲得
- B2(提携企業)のWin: 顧客の囲い込みとロイヤリティ向上
- C(カード会員)のWin: ポイントアップや限定優待といった付加価値の高い特典
セゾンカードサイトURL
【アパレル】株式会社ZOZO
国内最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」は、プラットフォーム仲介型の典型例です。サイトを運営する株式会社ZOZO(B1)は、多数のアパレルブランド(B2)が出店する巨大なオンライン上のショッピングモールを提供しています。
仕組み: 出店ブランドは、ZOZOTOWNの圧倒的な集客力を活用して、自社のECサイトだけではリーチできない多くの消費者(C)に商品を販売する機会を得ます。ZOZOは、出店料や販売手数料を収益源としています。消費者は、数多くのブランドの商品を一つのサイトで横断的に比較・検討し、まとめて購入できるという高い利便性を享受できます。
- B1(ZOZO)のWin: 販売手数料や広告費による収益、プラットフォームとしての価値向上
- B2(アパレルブランド)のWin: 巨大な集客力を活用した販売機会の拡大
- C(消費者)のWin: 多数のブランドを横断して購入できる利便性と品揃えの豊富さ
ZOZOTOWNサイトURL
BtoBtoC戦略の成功を左右するECサイト・システム構築
BtoBtoCビジネスを成功させるには、その複雑な商流や情報流を支える強固なシステム基盤が不可欠です。特に、IT企業がこのモデルに取り組む場合、どのようなシステム要件が必要になるのかを正確に把握することがプロジェクトの成否を分けます。ここでは、ECサイトや関連システムの構築における重要なポイントを解説します。
BtoB取引とBtoC取引の両立に必要なEC機能
BtoBtoCでは、多くの場合、一つのシステム上で企業向け(BtoB)と消費者向け(BtoC)の異なる要件に対応する必要があります。
例えば、BtoB取引では「取引先ごとに異なる価格を表示する」「まとまった数量での発注や見積もり依頼に対応する」といった機能が求められます。一方で、BtoC取引では「個人の会員登録機能」「ポイントやクーポンの発行」「多様な決済手段への対応」などが不可欠です。
これらの機能を個別に開発するのは非効率であり、初めから両方の取引形態を想定して設計されたECプラットフォームを選定することが賢明です。例えば、W2の提供するECプラットフォームは、こうしたBtoBとBtoCのハイブリッドな要件に標準機能で対応し、柔軟なビジネス展開を支援します。
以下の資料では実際にW2のシステムを活用して、複雑なビジネス要件を実現した企業の事例を多数ご紹介しています。
無料でダウンロードできますので、ぜひあわせてご覧ください。
CRM/MAツールとのデータ連携
BtoBtoCで得られる最大の資産の一つが、エンドユーザーのデータです。しかし、そのデータがパートナー企業のシステム内に留まっていては、十分に活用できません。「パートナー経由で会員登録した顧客情報を、自社のCRM(顧客関係管理)システムにどう統合するか」「購買履歴に基づいて、自社のMA(マーケティングオートメーション)ツールからフォローアップのメールを送りたい」といったニーズは非常に重要です。
これを実現するためには、ECプラットフォームとSalesforceやHubSpotといった外部ツールとをAPI(Application Programming Interface)でスムーズに連携させることが鍵となります。顧客情報や購買履歴を一元管理することで、顧客解像度を高め、データに基づいた一貫性のあるアプローチが可能になります。
ECサイトの売上を実際に伸ばすためのCRMの基礎知識については、以下の関連記事でまとめています。是非あわせてご一読ください。
パートナー企業ごとの権限管理とデータ可視化
BtoBtoCでは、複数のパートナー企業(B2)がプラットフォームを利用するケースが少なくありません。その際、セキュリティと情報管理の観点から、厳格な権限設定が求められます。
例えば、A社というパートナーは、自社経由で登録した顧客の情報しか閲覧・編集できないように制限する必要があります。また、パートナー企業自身が売上や顧客数の推移をリアルタイムで確認できる専用の管理画面(ダッシュボード)を提供することは、パートナーのモチベーション維持や、共同での販売戦略立案に役立ちます。このようなマルチテナントに対応した、セキュリティの高いシステム基盤の選定が重要です。
ECサイト運営に潜むあらゆるリスクへの対策と具体的な回避方法については、以下の関連記事で詳しく解説しています。安全なシステム基盤を築くために、是非ご活用ください。
BtoBtoCビジネスの始め方
BtoBtoCビジネスの構想が固まったら、次に行動計画へと落とし込んでいく必要があります。「何から手をつければいいか分からない」という状況を避けるため、ここでは具体的な5つのステップから成るロードマップを提案します。この手順に沿って進めることで、計画的かつ着実にプロジェクトを推進できます。
1.目的とKPIの明確化
まず初めに、「なぜ自社はBtoBtoCに取り組むのか」という目的を明確に定義します。例えば、「新たな若年層顧客の獲得」「既存製品のアップセルによるLTV向上」「エンドユーザーの声を活用した製品改善サイクルの確立」など、具体的であるほど後の意思決定がブレにくくなります。
そして、その目的が達成できたかを測るための重要業績評価指標(KPI)を設定します。流通総額(GMV)、新規顧客獲得数、顧客獲得単価(CPA)、顧客生涯価値(LTV)などが代表的なKPIです。
2.パートナー企業の選定と協業モデルの合意
目的達成に最も貢献してくれるパートナーは誰かを見極めます。自社がターゲットとしたい顧客層を既に抱えているか、自社ブランドと親和性があるか、協業に前向きな企業文化か、といった基準で候補をリストアップし、交渉を進めます。
同時に、ビジネスモデルの型(プラットフォーム仲介、共同ブランドなど)を具体的に詰め、売上や利益の分配ルール(レベニューシェア)、役割分担、情報共有の方法などを両社が納得する形で詳細に合意形成することが、後のトラブルを防ぐ上で不可欠です。
3.システム基盤の選定・構築
合意したビジネスモデルを実現するためのIT基盤を準備します。ECサイト、受発注システム、顧客管理システム、在庫連携など、必要な機能を洗い出し、要件定義を行います。
この際、全てを自社でスクラッチ開発するのか、既存のパッケージやクラウドサービスを活用するのかを判断します。特にBtoBtoCのような複雑な要件を持つ場合、専門的な知見を持つECプラットフォームベンダーに相談し、自社の状況に最適なソリューションを選定することが成功への近道です。
4.PoC(概念実証)によるスモールスタート
いきなり大規模な投資を行って全国展開するのではなく、まずは限定した地域や顧客層、製品でテスト的にビジネスを開始する「PoC(Proof of Concept)」を実施することを推奨します。
PoCを通じて、当初の仮説が正しかったかを検証し、運用上の課題を洗い出します。ここで得られる実際のデータは、本格展開に向けた投資判断や、社内の関係者を説得するための非常に強力な材料となります。
5.本格展開とデータドリブンな改善
PoCの結果を分析し、事業計画やシステム、運用プロセスを修正した上で、本格的な展開へと移行します。しかし、ローンチがゴールではありません。BtoBtoCビジネスは、収集したデータをいかに活用するかが成功の鍵を握ります。
どのチャネルからの顧客がLTVが高いのか、どの製品が一緒に購入されやすいのかといったデータを常に分析し、商品構成、WebサイトのUI/UX、マーケティング施策などを継続的に改善していく「データドリブン」なサイクルを回していくことが重要です。
BtoBtoCのような複雑な要件を持つECサイト構築では、事前の準備が成功を左右します。
以下の資料はECサイト構築におけるよくある失敗例と、それを回避するための具体的なチェックシートを体系的にまとめています 。無料でダウンロードいただけますので、ぜひ貴社のプロジェクトにご活用ください。
まとめ:BtoBtoC成功の鍵は、パートナーとの共創と顧客中心のシステム基盤
本記事では、BtoBtoCビジネスの基本的な意味から、具体的なビジネスモデル、成功事例、そして導入のための実践的なロードマップまでを網羅的に解説しました。
BtoBtoCは、単に販売チャネルを一つ増やすという単純な話ではありません。信頼できるパートナー企業といかに強固な関係を築き、共通のゴールに向かって協業できるかという「パートナーとの共創」、そして、その先にいるエンドユーザーの体験価値をいかに最大化できるかという「顧客中心の視点」が成功の鍵を握ります。
そして、この複雑な関係性を円滑に機能させるためには、多様な要件に柔軟に対応できるシステム基盤の存在が不可欠です。
「BtoBtoCビジネスをオンライン上で展開したい」
「具体的なシステム構築の費用や事例について相談したい」
このようにお考えの方は、ぜひお気軽にW2までお問い合わせください。1,100社以上の導入実績で培ったEC・D2Cの知見を活かし、貴社のBtoBtoC戦略の成功を力強くサポートします。
BtoBtoCに関するよくある質問と回答
Q1.パートナー企業の要望と、エンドユーザーの体験、どちらを優先すべきですか?
A.結論、長期的な事業成長のためには「エンドユーザー(C)の体験」を最優先に考えるべきです。なぜなら、エンドユーザーが満足し、製品やサービスを継続的に利用してくれることが、パートナー企業(B2)の売上となり、ひいては自社(B1)の成功に繋がるからです。
ただし、パートナー企業の要望を無視することはできません。重要なのは、両者を対立するものと捉えるのではなく、「Cの体験向上が、いかにB2の事業成長に貢献するか」という視点で共通のゴールを設定し、説得することです。例えば、UI/UXを改善して購入率を高める施策は、Cの満足度とB2の売上の両方を向上させます。常にCを起点とし、B2にもメリットのある解決策を模索する姿勢が求められます。
Q2.初期投資はどれくらいかかりますか?
A.ビジネスモデルの規模や、システム構築の範囲によって大きく異なります。自社でECサイトをスクラッチ開発する場合は数千万円規模になることもありますが、W2のようなクラウド型のECプラットフォームサービスを利用すれば、初期費用を抑えてスピーディに事業を開始することも可能です。まずは自社の要件を整理し、複数の専門ベンダーから見積もりを取得して比較検討することをおすすめします。
Q3.BtoBtoBとの使い分けは?
A.最終的な価値提供先が「法人(Business)」か「個人(Consumer)」かで判断します。例えば、企業向けの業務用ソフトウェアを代理店経由で販売するのはBtoBtoBです。一方、個人向けの学習教材を、学習塾(法人)を通じて生徒(個人)に提供するのはBtoBtoCです。最終利用者が誰かによって、求められる製品の機能、マーケティングのアプローチ、サポート体制などが大きく変わってきます。
































