車部品を自社ECサイトで販売管理! 「タイヤ1番.com」がお客様の利便性を最大化させる絞り込み検索をECシステムで実現
株式会社ホリ・コーポレーション
取材にご協力いただいた方
堀 亘さま
目的/課題
ECモールでは、タイヤに適合するホイールを選ぶ際に、最適な顧客体験(CX)を提供できない。
ECサイト上でお客様一人ひとりに最適な商品提案をしたい。
toB,toCぞれぞれの商品管理を一元化してデジタル化を推進したい。
導入効果
ECサイト上の検索エンジンを利用して専門性がないお客様でも最適な商品を選択可能に。
サイトオープン月からたった3カ月間でEC売上が500%成長。
お客様データが保有可能になったことで、ニーズを可視化できるようになった。
1. タイヤやホイールなどの車部品を販売する「タイヤ1番.com」
事業内容について教えてください。
弊社は、タイヤとホイールの卸事業や小売事業を展開しています。
弊社の最大の特徴は、多種多様な商品を取り揃え、豊富な在庫を常に保有している点です。
車部品を販売する多くの企業が在庫を持たず、その都度取り寄せ販売をしている中、弊社は多種多様な商品を常に自社在庫で保有しております。
これにより、お客様のニーズに迅速に対応できる体制を整えています。
また、安全性が高い商品を提供することが、タイヤ販売において重要だと考えています。
そのため弊社では、比較的安価な製品ではなく、世界的に名の通ったメーカーの製品を中心に扱っており、高品質で安全性の高い商品をお客様に提供しております。
以前は、店舗とECモール(※1)のみでの販売をしておりましたが、さらなる売上拡大を目指して、自社ECサイトを立ち上げました。
※1,Amazonや楽天市場などの総称。複数の企業が出展するオンライン販売売り場
ECモールへの参入経緯を教えてください。
弊社がECモールに参入したのは約20年前のことです。
当時はインターネットでの購入が一般的ではない時代でしたが、当時の会長が将来的にインターネットでの購入が主流になると予見し、業界に先駆けて参入しました。
現在では、Amazon、Yahoo!ショッピング、auPAYマーケット、楽天市場に出店しており、売上の多くを占めています。
また、ECモールでタイヤやホイールを購入されたお客様向けに、全国4,000店舗以上ある提携取り付け店から選べる取付サービスも提供しており、専門知識のないお客様でも安心してご利用いただけます。
2. ECモールの限界 ~膨大な組み合わせと適合性の課題~
自社ECサイトの立ち上げ経緯を教えてください。
ECモールの仕様上、お客様のニーズに合わせた商品提案ができない、という課題を解決するために、自社ECサイトの立ち上げを決意しました。
タイヤとホイールの組み合わせ数は数えきれないほど膨大にあり、また、タイヤ・ホイールという商材の特性上、それぞれが適合するのかどうかは異なり、取り付ける車種によっても使用できるタイヤとホイールの種類が異なっています。
そのため、タイヤ・ホイールを購入する際は、「自分の車で使用できるか?」「選んだタイヤとホイールが適合しているのか?」などを購入前に考慮しないといけないです。
専門知識のないお客様が迷ったり間違えて購入しないように、弊社のECモールでは、適合可能なタイヤ・ホイールをあらかじめ、組み合わせ単位で商品登録していたのですが、管理がかなり煩雑化していました。
また、全ての組み合わせをセット商品として商品登録し、販売することはできないため、お客様一人ひとりのニーズに合わせた組み合わせの商品をご提供することはできていませんでした。
運用コストを減らすことはもちろん、適合可能なタイヤとホイールの組み合わせを、お客様が簡単かつ自由自在に行えるようにしたいと考え、実現できるプラットフォームの導入と自社ECサイトの立ち上げを決意しました。
また、ECモールからの売上が、売上全体の大きな割合を占めていることに、不安を感じていたことも、自社ECサイトの立ち上げの背景にありました。
ECモールでは、そのプラットフォームのルールに従って販売管理しないといけないため、何かしらの理由で弊社がルールに対応できなくなった時に、ECモールに依存していると、売上が維持できない可能性があります。
ECモールの売上推移は順調でしたが、ECモールに頼らずとも売上を上げられる新たな販売チャネルを開拓する必要性を感じ、社内で検討した結果、自社ECサイトに白羽の矢が立ちました。
3. toC/toBのどちらにも対応可能なECサイト構築ができるW2を選定
ECカートシステムの選定軸を教えてください。
まずは、サイトを訪れる全てのお客様が自分の車で使用できるタイヤ・ホイールを見つけやすいこと、適合する商品の組み合わせを簡単かつ自由に見つけることができること、の2つの条件を満たしたECサイトの構築を必須条件としていました。
ECモールで課題だった、タイヤとホイールの組み合わせが限定的になってしまい、お客様が自由な組み合わせを購入することができないという課題を、自社ECサイトの構築によって解決し、お客様の利便性を向上させたいと考えていました。
具体的には、お客様が乗用している車で使用できるタイヤやホイールを探していた場合、その車のメーカーの年式と希望する条件を選択するだけで、適合したタイヤやホイールが表示されたり、条件の絞り込みによってお客様の希望に即した商品が表示されることが理想でした。
通常のECサイトより詳細な検索や絞り込みを可能にすることで、お客様の利便性が高いECサイトが構築できることを求めていました。
また、システムの拡張性の高さも選定軸の一つとして注視していました。
弊社は小売事業の他に卸事業も展開していますが、BtoB向けの卸事業に関してはfaxを利用して注文を受け付けるなど、アナログな対応をしております。
しかし、業務効率化の観点からも、ゆくゆくは卸事業でもECサイトを利用して受発注処理の効率化を行いたいと考えていました。
将来の展望を見据えたうえでも、BtoCとBtoBどちらにも対応可能な、拡張性の高いECシステムを導入したいと考えていました。
W2の選定理由を教えてください。
約5年間にわたり、様々なECベンダーとの比較検討を重ねましたが、弊社の事業内容と実現したい要件を的確に理解し、最適な提案をしていただけたことがW2を選んだ決め手となりました。
弊社は業界や商材が特殊なため要件が複雑だったのですが、
比較検討した多くのECベンダーでは、弊社の要望や実現したいことが正確に伝わっていないと感じていました。
他のECベンダーでは、提案される内容が機能の説明やシステムの紹介がメインで、新たな提案や実現方法の詳細について積極的にご説明いただけないなど、弊社の業界・商品の特性を理解して頂けているのか不安な場面が多く、導入に不安を感じていました。
しかし、W2の担当者からは、弊社の実現したいことを理解したうえで、「その課題であれば、業界の特性を考慮して、この解決策が適していると思います。」といった、具体的な解決策を積極的に提示して頂きました。
特に、実現したいECサイトの要となる検索エンジンの複雑な要件については、タイヤ、ホイール、車種間の関係性といった商品理解を踏まえ、システム要件を明確に整理しながら丁寧に解決策をご提示いただきました。その結果、ECシステムに詳しくない弊社でもわかりやすく、安心して導入を決めることができました。
また、利用している弊社独自の基幹システムや受注システムとECシステムがAPI連携(※2)できることにより、商品在庫や売上管理の可視化ができることも魅力に感じました。
その他にも、セキュリティ対策や、ECシステムの導入前後の開発体制・サポート体制が万全で安心できる要素が揃っていたため、W2 Unifiedの導入を決めました。
※2,異なるソフトウェアやプログラムを自動連携するインタフェースの総称
4. 車種別に適合する車部品を絞り込むことが可能な検索エンジンを実現
貴社の要望したECサイト運営は実現できていますでしょうか。
3か月程前にサイトオープンしたばかりですが、望んでいたECサイト運営が実現できています。
特にECモールの仕様上、不可能な仕組みを自社ECサイトで実現できたことに満足しています。
ECモールでは、適合可能なタイヤとホイールの組み合わせをサイトで提案することができないですが、自社ECサイトでは、タイヤ選択後に自動で適合するホイールを表示する仕組みを実現したことで、専門知識がなくても適切なタイヤとホイールの組み合わせを簡単に選べるようになりUI/UXの改善ができました。
この仕組みを開発した結果、想定外の効果も得られました。
それは、弊社が想定していなかったタイヤとホイールの組み合わせで購入されるお客様が複数現れたことです。
お客様がどのような組み合わせで購入されているのかを把握することで、弊社が想定していた組み合わせと、お客様が求めている組み合わせの違いが明確になり、今まで見逃していた潜在的なニーズを発見する貴重な機会になっています。
また、お客様の利便性を向上させるためにこだわった「絞り込み検索」が希望どおり実現できたことにも満足しています。
タイヤやホイールといった車部品を販売するサイトの多くは、絞り込み検索内で最初に「車の種類」や「メーカー」を選択する仕様になっています。
一方弊社では、「スタッドレスタイヤ」や「オールシーズンタイヤ」等の「タイヤの種類」を始めに選択して頂くようにしています。
これは、お客様が車のメーカーや車種、年式、型式、サイズなど多くの項目を選択・入力した後に、該当するタイヤの在庫が無く画面に何も表示されない、といったことが起こるのを防ぐためです。
せっかくサイトに訪れて絞り込み項目を入力頂いたにも関わらず、希望の商品の在庫が無かった場合、お客様をがっかりさせてしまいますし、希望の商品に辿り着くまでに無駄な時間や手間がかかってしまうため、お客様にストレスを与えてしまうサイトになってしまいます。
最初に、在庫状況に関係しやすいタイヤの種類を選んでいただくことで、在庫のない商品は初めから選択肢として表示されない仕組みにし、お客様の検索にかかる時間や手間を削減しています。
今後は、ECサイト内で人気な組み合わせを、ECモールでセット商品として販売することで、販売チャネル間を横断した顧客体験を提供していきたいと考えています。
自社ECサイトを構築して良かったことを教えてください。
一番は、現在自社ECサイトをご利用頂いているほとんどのお客様が、既存のECモールで既にご購入いただいていたお客様ではなく、自社ECサイトを通じて初めて弊社と接点を持った方々ということです。
これは、自社ECサイトが事業全体の新規顧客獲得に大きく貢献していることを示しているので、今後さらにECシステムの機能を活用して、事業拡大を目指していきます。
また、自社ECサイトオープンした月から、売上は倍増しており、3か月目には約5倍にまで増加するなど、予想以上の成果を上げています。
成果の一因として、新規会員登録をされたお客様に対して、特別なクーポンを配布する施策を実施したことが関係していると考えています。
今後もシステムの機能を存分に活用して売上を上げていきたいです。
5. 基幹システムや取付予約システムをECシステムに統合
今後の展望を教えてください。
まずは、自社ECサイトの売上比率を伸ばしていきたいと考えています。
現在、自社ECサイトの売上はECモールの1/100程度ですが、月ごとで見るとECサイト売上は毎月倍近いペースで成長しています。
このペースで推移すれば、約1~2年後にはECモールの売上を超えることが期待されます。今後もこの成長を維持し、ECモールを超えて自社ECサイトをメインの販売チャネルにしていく方針です。
また、取り付け予約システムの改善も検討しています。現在は商品購入と取付予約を別々のシステムで管理していますが、今後はECカートシステム内に取付予約機能を統合し、W2 Unifiedで一元管理できるようにしたいと考えています。
これにより、商品の購入と取り付けを同時に行え、全国の取り付け店舗とシームレスに連携できる顧客体験を提供していきます。
その実現には、W2 Unifiedのさらなる活用と、W2の協力が不可欠です。今後も事業拡大するためのパートナーとして伴走いただけることを期待しています。