分断していたECサイト基盤をW2システムへ統合。 多様化するニーズに応える、ECで描く4℃のブランド展開
株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツ
取材にご協力いただいた方
第一事業部デジタルマーケティング部 部長 西川様
目的/課題
ECを、新ブランド展開や顧客体験強化を推進する事業の中心基盤へ進化させたかった。
ブランドごとに分断していたECサイト基盤を、一つに統合したかった。
ECの集客や導線改善を自社で進められる体制を築きたかった。
導入効果
ECを新ブランド展開や顧客体験強化を推進する事業基盤へ刷新。多様なニーズに寄り添い、“贈られるブランド”から“選ばれるブランド”へ転換する土台が整った。
複数ブランドのサイト集約・ECサイト基盤の一元化を実現。ブランド横断の回遊促進へつなげた。
EC運用の内製化を実現。市場変化に応じてスピーディーに改善を重ねられる体制を整えた。
株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツは、「4℃」をはじめとする複数のジュエリーブランドを展開しています。
同社は今回、W2のECサイト基盤を採用し、分断していたECサイト基盤の統合を含む大規模なリプレイスを実施しました。
各ブランドごとに分かれていたECサイトや顧客接点を一つの基盤に集約することで、ブランドごとの世界観を保ちながら、運用効率の向上とブランド横断の展開を推進しやすい体制を構築。
多様化するニーズに応えながら、新ブランドを柔軟に展開できるECサイト基盤へと刷新しました。
本取材では、ECサイト基盤のリプレイスに至った背景やW2を選定した理由、リプレイスによるブランド体験・顧客体験の変化、そして今後の展望について詳しくうかがいました。
1. お客様に寄り添う姿勢がつくる、4℃のブランド体験
御社の事業内容について教えてください。
1986年の設立以来、弊社は「すべての女性に美しさとときめきを届ける」という使命のもと、ジュエリー・アクセサリーの商品企画・デザインから製造・販売まで一貫して手がけてきました。
主力ブランドである「4℃」をはじめ、「EAU DOUCE 4℃」「Canal 4℃」などのブランドを展開しています。ブライダル領域では「4℃ BRIDAL」なども加わり、人生の節目に寄り添うラインナップを揃えています。
最近では、多様な価値観やライフスタイルを持つお客様と接点を広げる目的で、「cofl by 4℃」「4℃ HOMME+」「RUGIADA」「KAKERA」といった新ブランドを拡充しています。
貴社が大切にしている価値観を教えてください
弊社が大切にしている価値観は、「傾聴力」と「思いやり」を持ってお客様と接することです。
例えば店舗での接客の際に、お客様の声に丁寧に耳を傾け、一人ひとりに合った提案を行っています。
また、接客だけにとどまらず、安心して商品をご覧いただけるような店内環境の整備にまで及んでおり、あらゆる場面で価値観を一貫して体現しています。
こうした取り組みの積み重ねが、ブランドらしさを守りながらお客様にとっての「買いやすさ」を引き出すことにつながると考えているからです。
ECにおいても同様です。強い訴求やクーポンを前面に出すのではなく、ボタン配置のわかりやすさ、必要な情報の適切な伝達、サイトスピードの最適化など、買いやすさの土台となる部分を丁寧に整えることを重視してきました。
2. ECを事業戦略の中心基盤へ
貴社でECはどのような位置づけにあるのでしょうか?
弊社は、ECを「事業戦略の中心を担う重要な基盤」と位置づけています。
実は最初からそうだったわけではなく、大きな転機となったのはコロナ禍でした。
コロナ禍では、店舗営業が制限されるという厳しい状況のなかでも、ECでのジュエリー需要は途切れることなく続いていました。
クリスマスのような季節需要はもちろん、誕生日や記念日といった贈答需要も根強く残っており、直接会えない時期だからこそ、贈り物が持つ意味がより大きくなっていたのだと思います。
コロナ渦でEC需要の確かさを実感するとともに、ECはリアル店舗と比較して利益率の面でも期待が大きく、事業としての可能性を強く実感するようになりました。
こうした背景から、ECは単なる販売チャネルではなく、事業を支える重要な基盤として改めて位置づけるようになりました。
新ブランド展開においても、ECが重要な役割を担ったと伺いました。その点に関して詳しく教えてください。
新ブランドの展開に注力している背景は、「お客様の価値観がこれまで以上に多様化してきた」ことが挙げられます。
以前はお客様が一つのブランドやテイストを継続的に好む傾向が強かったのですが、最近では同じお客様でも、その日その時の気分によって求めるテイストが変わるようになりました。
こうした価値観の多様化に応えるために、弊社側も一つのブランドにとどまらず、新しい切り口のブランドを提供していく方向へとシフトしていきました。
以前は店舗から新ブランドを展開することもありましたが、実店舗での立ち上げには在庫リスクや人件費、出店コストなど、どうしても大きな負担が伴います。
その点、ECは初期負担を抑えながらスピーディーに市場の反応を確かめられるため、ECを起点に新ブランドを展開していく形となりました。
実際に、さまざまな切り口の新ブランドが生まれています。
サステナブル(cofl by 4℃)、ジェンダーレス(4℃ HOMME+)、宝石特化(KAKERA)、過去ブランドの復活(RUGIADA)など、ECだからこそ実現できたブランドといえます。
3. ECサイト基盤の複数運用の解消と内製化を実現
以前のEC運用の体制に、どのような課題があったのでしょうか。
課題は大きく2つありました。
1.ECサイト基盤が複数存在し、運用・管理が分断
2.EC運用が外部ベンダー主導で、内製化できていなかった
一つ目は、ブランドごとに利用するECサイト基盤が異なっており、運用や管理が分断していたことです。
施策や改善はブランドごとに進められていたものの、「あるブランドで得られた知見や改善施策を別のブランドへ横展開する」といった、全体を横断した施策や運用が難しい状況でした。
また、お客様との接点や購買データ・顧客データもブランドごとに分断しており、ブランドを横断した回遊を促すことにも限界を感じていました。
そして、EC運用が外部ベンダー主導で、内製化できていなかったことも、もう一つの課題です。
EC市場も今ほど大きくない時期にECを立ち上げたため、社内に専門人材がほとんどいませんでした。その結果、EC運用を外部ベンダーに任せる体制になっており、サイト改善や施策実行に関するノウハウは社内に残りにくい状況になっていました。
加えて、ECサイト基盤がフルスクラッチで構築されていたため、何かを変更するたびに外部ベンダーの依頼が必要となり、施策をスピーディーに実行しにくいという課題もありました。
「ECサイト基盤の分断」や「EC運用の内製化」が課題として顕在化してきたことで、ECサイト基盤のリプレイスを進めることになりました。
4. 新ブランド展開と内製化を同時に実現できる基盤として、W2を選定
数ある選択肢のなかで、W2を選ばれた理由を教えてください
W2を選定した一番の理由は、「新ブランドを容易に展開できる拡張性」にあります。
以前のECサイト基盤で新ブランドを立ち上げる際には、ドメインを別に用意する必要があり、多くの時間とコストがかかっていました。
その点W2のシステムは、同じドメイン上で既存サイトのデザインや設定・運用フローをベースに立ち上げられ、時間やコストを抑えながらスピーディーに新しいサイトを制作できるため、大変魅力的でした。
そして、EC運用から販促、顧客管理までを一つの基盤で完結できる点も、W2を選んだ理由の一つです。
顧客との接点や購買情報を一元的に把握できるため、「購買履歴をもとに、お客様の好みに合った別ブランドの商品をおすすめする」といったブランドをまたいだ回遊促進やアプローチ設計がしやすくなりました。
「新ブランドの拡張性」や「運用の一元管理」などのECサイト基盤の優位性に加えて、W2の提案内容も選定の決め手となりました。
ECサイト基盤面はW2、デザイン面はグループ会社のブランデックスが担当する形で、それぞれの強みを生かした提案をいただきました。
W2からは、ジュエリー商材ならではの要件も、もちろんご提案いただいていました。
その上で特に印象的だったのが、2年後・3年後・5年後といった中長期視点で弊社のブランド戦略に沿った将来像まで示していただけたことでした。
そして、ブランデックスからは、ブランドの世界観を表現できるUIの方向性を提案していただきました。弊社らしさを保ちながら、新ブランド展開や顧客体験の向上につなげていけるイメージを鮮明に持つことができました。
ECサイト基盤面・提案面、両方の観点から、W2は単なるECサイト基盤の一元化にとどまらず、今後の新ブランド展開や顧客体験の向上まで見据えて伴走してくれるパートナーだと感じ、最終的にW2を選定しました。
5. 新ブランド戦略を支えるECサイト基盤を構築
導入後、実現できたことを教えてください
実現できたことは大きく3つあります。
1.ブランドサイトの集約・ECサイト基盤の一元化
2.新ブランドのスムーズな展開
3.UI/UXの改善
まず、今回のリプレイスの大きなテーマだった「ブランドサイトの集約・ECサイト基盤の一元化」をW2の基盤で実現しました。
4℃、Canal 4℃、EAU DOUCE 4℃など、それぞれのブランドごとの世界観を保ちながらも、統合されたECの中で展開や運用ができるようになりました。
分断していたサイトや顧客接点を一つの基盤に寄せていくことで、運用効率を高めるだけでなく、ブランド横断で顧客と向き合いやすい環境づくりも進められています。
例えば、TOPページでは、ブランド軸ではなくコンセプト軸で商品をご覧いただけるよう、「コレクション」として各ブランドをピックアップして紹介しています。
「SAKURA Collection」「New Collection」「Ray of Light」など、季節やテーマに沿ったコンセプトのもとに、複数ブランドの商品を横断的に届けることで、お客様の気分やシーンに合った商品と出会いやすい導線を設けています。
TOPページ「Collection」セクション画像
次に、ECを起点にした新ブランドの展開がスムーズに進められるようになりました。
実際に「KAKERA」というブランドは、まずECを主軸に展開し、期間限定店などの限定的なリアル接点を組み合わせながら、改良を重ねていく形で立ち上げられました。
ECをテストマーケティングとブランド育成の起点として活用することで、顧客の反応を見ながらブランドを磨いていける体制が整っています。
最後に、顧客体験の面でも、「使いやすい」「注文しやすい」「探しやすい」というUI/UXの軸で改善を進められるようになったことです。
サイズ直しや刻印、予約販売、ペア商品購入といったジュエリーならではの要件に対応できるようになったことに加え、メッセージカード連携や商品確保の仕組みなど、ギフト需要に応える施策も整備しました。
さらに、チャットボットや有人接客ツール、レビュー活用、検索性の向上などを通じて、オンラインでも探しやすさと納得感を高められる環境づくりを進めています。
自分たちで継続的に改善を重ねながら、顧客体験を磨いていけるEC運用が整ったことも大きな変化だったと感じています。
6. リプレイス後、売上拡大とSEOの強化を実現
ECリプレイス後の成果について教えてください。
ECリプレイス後は、売上面やSEO面での伸長が見られました。
売上向上に最も寄与したのは、ブランドサイトの集約・ECサイト基盤の一元化したことで、4℃という強いブランド資産を活かせていることです。
小さなブランド単体では指名検索や流入規模に限りがありますが、4℃という強い母体ドメインのなかで展開することで、新しいブランドにも集客面・認知面で自然と恩恵が及んでいます。
4℃を目的にECサイトを訪れたお客様に対しても、「こういうテイストもあるんだ」「こういうブランドもあるんだ」という新しい発見を提供できるようになったことも統合サイトならではのメリットでした。
加えて、SEO面でもビッグキーワードが前年比で伸び、ECサイト流入の拡大にもつながっています。
4℃のブランド資産が下地にあることに加えて、自社でSEO対策をスピーディーに進められるようになったことが、その大きな要因です。
W2のECサイト基盤は、細かな部分まで自社で柔軟に対応できるため、リプレイス後はSEO施策をはじめとした各種改善を自社主導で進めやすくなり、結果としてSEO強化やEC集客の拡大につながっています。
4℃のブランド統合に続いて、ブライダルサイトもW2のECサイト基盤へ統合されたと伺いました。こちらはどのような背景があったのでしょうか。
ブライダル領域でも既存ブランドと同じ基盤で一貫して運用・改善できる体制を整えたかったことが、W2のECサイト基盤へ統合を決めた背景にあります。
当時、ブライダル領域でも総合サイトを新たに構築していく計画が進んでおり、その中でECもあわせて整備する必要がありました。
複数ブランドや複数領域をまたいでサイトを運営していく中では、基盤や管理画面が分かれていると、日々の運用だけでなく、その後の改善や展開の進め方にも差が出やすくなります。
そのうえで、W2のECサイト基盤は、運用する側が自分たちで改善をしやすい「育てられるECサイト基盤」である点が大きな魅力であり、ブライダル領域についてもW2のECサイト基盤で統合する判断をしました。
7. 多様なニーズに寄り添い、“贈られるブランド”から“選ばれるブランド”へ。
今後の展望を教えてください
今後は、多様化するニーズに寄り添いながら「贈られるブランド」から「選ばれるブランド」へ転換していくことが重要なテーマです。
これまで弊社のブランドは、男性から女性へのギフト需要が強いブランドとして成長してきており、ECにおいても「男性が商品を選んで購入する前提」でUI/UXを設計してきました。
実際に購買データをもとに商品や体験を最適化してきましたが、実際に購入しているのは男性が多く、データには男性の好みや行動パターンが反映されやすくなっています。
その結果、女性が「身に着けたい」と感じるデザインや好みよりも、男性が「贈りたい」と思う視点に偏ってしまうという問題が見えてきました。
加えて近年は、女性が自分のために選んで購入したり、パートナーと一緒に選んだりするケースも増えるなど、価値観や購買行動が大きく変化しています。
そのため、現在はECではターゲットの多様化に合わせたUI/UX全体の見直しを進めています。最終的には「贈られるブランド」から「選ばれるブランド」へ転換させ、お客様一人ひとりに合わせてサイトの見え方やデザインが変わる、パーソナライズされた体験の実現を目指しています。
さらに、ECと店舗などのすべての顧客接点を踏まえて、購買体験をいかに最適化していくかも重要なテーマの一つとなっています。
現在は新たな基幹システムとOMO戦略を連携させ、デジタルとリアルを融合した顧客体験価値を高めるための取り組みや、デジタルマーケティング部門を新設し、顧客の行動履歴や嗜好に基づいた提案力の強化を行なっています。
今後も、店舗とECを横断した顧客体験の最適化や、多様化するニーズへの対応を進めながら、ECを事業変革の基盤として活かし、W2とともに企業やブランドの可能性をさらに広げていきます。








