
Vertex AI Searchを触ってみた
1. はじめに
こんにちは。エンジニアの岩澤です。 今回はVertex AI Searchを利用してECの商品検索機能を実装する機会があったのでそこから学んだことなどを記事にしてみました!
2. Vertex AI Searchとは
まずはGoogleの公式ドキュメントの説明の一部を下記に示します。
Vertex AI Search のサイト内検索はサイトとシームレスに統合され、訪問者が何を求めているかを正確に理解する検索エクスペリエンスを提供します。
ウェブページの処理とランキングに関する Google の専門知識と、Vertex AI の高度な自然言語処理機能を活用することで、Google のソリューションは、
ユーザーが適切なコンテンツを迅速に見つけられるようにします。
つまり、エンゲージメントの高い訪問者が増え、直帰率が下がり、最終的にはウェブサイトの利便性が高まります。
なんだか凄そうな感じは伝わると思います。簡潔に言うと、Googleの検索技術と生成AIを利用できる検索サービス
がVertex AI Searchです。
3. Vertex AI Search 主な提供機能
4. 従来の検索APIとの違い
従来の検索APIとVertex AI Searchと大きく違いがあるのはキーワード検索
と言えます。 多くの今までの検索APIでは内部の詳細ロジックは異なるものの基本的にはキーワードに対して部分一致
する商品名のデータなどを返却していました。 しかし、Vertex AI Searchではキーワード一致ではなくその文章の意図や文脈を理解
して検索(セマンティック検索)することができます。 例えば、「軽くて持ち運びやすいノートPC」のような検索ワードでも、意図を読み取り、従来の検索APIではヒットさせることのできなかった商品をヒットさせることができ、 結果として購買率の向上につなげることができます。ここがVertex AI Searchの大きな強みの1つです。
また、AI導入されている為、ユーザーが検索後に次にどのようなワードで検索するかをAIが予測し「このような質問もあります」というような提案を表示することも可能です。
5. 導入の苦戦
Vertex AI Searchを利用するにあたって、苦戦した点があります。 それはデータカタログの柔軟性です。
構造化データを登録するときには「BigQuery」などを利用しますが、そこに連携できる項目は大きく分けるとシステム属性
とカスタム属性
に分けられます。
システム属性
とは、GoogleCloud側で定義されている項目で明確に「〇〇のような値を入れて」というルールが決まっています。※システム属性詳細 カスタム属性
は逆に項目名や値を自由に設定することができます。※カスタム属性詳細
一見この2つの属性で全てを解決できそうなのですが、下記の制約があり、親子構造を表現できない点や文字数の多いものはカスタム属性を分けて格納するなど工夫が必要です。 是非導入を検討していてかつ、APIなどでの高度なシステム連携をしたい場合にはカタログの連携項目の定義を最初に行うことをおすすめします。
- 1つのキーに対して設定できる配列の最大数は「200※数値属性は400」
- 配列内の文字の最大長は「400文字」
- 空文字の許可なし
6. Vertex AI Searchの活用例
7. まとめ
キーワードの一致(字句解析)
から意図の理解(セマンティック検索)
へと検索サービスの提供機能の幅を広げたVertex AI Searchは、 今後も様々なプロダクトに利用されると思います。
従来の検索APIでは、「検索」の精度を人間がチューニングし、ユーザーに情報の「候補」を提示する。 Vertex AI Searchでは、「質問」の意図をAIが理解し、ユーザーに「答えそのもの」を提示する。 この違いを理解し、どちらの技術がお客様の課題解決に最適かを見極めることがとても大事であると私は思います。
簡易的であればノーコードでも導入できるため、専門家でなくても、数ステップで高精度なAI検索を構築でき、 キーワードの一致だけではない、ユーザーの「意図」を汲み取った対話的な体験を提供できます。 是非この記事を読んでいただき興味を持っていただいた方は試してみると面白いと思います! ご愛読いただきありがとうございました!