小規模から大手まで、さまざまなECサイトで「D2C(Direct to Consumer)」のビジネスモデルが採用されるようになってきました。
D2Cとは、メーカーが企画・製造した商品を消費者に直接届ける販売方法を意味する言葉です。仲介業者などのチャネルを通さずに、メーカーが自社運営のECサイトで直接販売するのが一般的なD2Cの特徴です。
コストの最適化や顧客情報の蓄積ができるメリットがあり、企業からの注目を集めています。
この記事では、高い成果をあげているD2Cブランドの事例を紹介しながら、D2C事業を成功させるノウハウを探ります。
- 1.これからD2Cブランドをはじめたい事業者の皆さんへ
- 2.D2Cブランド成功事例1【ファッション】
- 2-1.D2Cブランド成功事例【ファッション①】FABRIC TOKYO
- 2-2.D2Cブランド成功事例【ファッション②】Bonobos
- 2-3.D2Cブランド成功事例【ファッション③】Warby Parker
- 3.D2Cブランド成功事例2【化粧品・コスメ】
- 3-1.D2Cブランド成功事例【化粧品・コスメ①】PHOEBE BEAUTY UP
- 3-2.D2Cブランド成功事例【化粧品・コスメ②】BULK HOMME
- 3-3.D2Cブランド成功事例【化粧品・コスメ③】Glossier
- 4.D2Cブランド成功事例3【食品】
- 5.D2Cブランドのカートシステムならw2ソリューションのリピートPLUS
- 6.D2Cブランド成功へのカギとなる成功事例からノウハウを
1.これからD2Cブランドをはじめたい事業者の皆さんへ
D2Cで新事業を検討しているという事業者の中には、すでに自社ブランドを展開しこれまでにもさまざまな販売方法を試してきたという人も多いでしょう。
しかし、D2C事業を成功させるには、D2Cで高い成果をあげているブランドのノウハウも参考になります。
その中から、今回はファッション、化粧品、食品の成功事例についてご紹介しますが、それ以外のジャンルにも十分応用することが可能です。
また、日本市場をターゲットにする事業者向けに、遠く離れた海外の話ばかりではなく日本における事例も集めました。
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2.D2Cブランド成功事例1【ファッション】
D2Cブランドのなかで、特に大きな割合を占めているジャンルはファッションです。
これにはおそらく、従来のアパレル業界の構造が関係していると考えられます。
アパレル業界は商品を企画する「ブランド」とその製造を請け負う「工場」、販売のための「店舗」と仲介を行う「卸売」というように、複数の専門性の高い企業が分業・連携することで成り立っています。
そのため、マージンがかさみ最終的な商品価格が高くなる傾向があるのです。
そこで、企画・製造から販売までを一手に行いマージンをカットする動きがみられるようになりました。
日本では「ユニクロ」や「コムサ」、海外では「GAP」や「ZARA」などがその一例ですが、これらの企業は実店舗での販売を基本としているため、D2Cブランドとは呼ばれません。
一方、D2Cブランドにおける一般的な販売方法は、自社ECサイトでの直販が中心です。
インターネットの普及やデジタルマーケティングの発展により可能になったこのビジネスモデルは、アパレル業界のマージンカットの流れとも相性がよいといえます。
2-1.D2Cブランド成功事例【ファッション①】FABRIC TOKYO
「FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)」は、オーダーシャツやオーダースーツを扱うD2Cブランドです。
オーダーメイドという特性上、注文時にはサイズを指定する必要がありますが、ユーザーは自宅にいながら採寸ができます。手持ちのシャツやスーツのサイズを測り、ECサイトに登録するのです。
また、同社は実店舗も構えており、生地見本を確認したりスタッフに採寸してもらったりもできます。対象エリアは限られますが、スタッフが自宅まできてくれる出張採寸サービスもあります。
ネットを中心とするD2Cでありながら、顧客とのリアルな接点も重視した事例といえるでしょう。
ECサイトとしてのシステムに加え、生産や顧客管理などにも最新のテクノロジーを導入している点が同社のもうひとつの特徴です。
これにより、受注から製造、出荷までの一連の流れをスピーディにすることに成功しました。
さらに、市場のトレンドやユーザーの声を積極的に取り入れた商品展開で、ユーザーのニーズに応え続けています。
2-2.D2Cブランド成功事例【ファッション②】Bonobos
「Bonobos(ボノボス)」は、アメリカ発の男性向けアパレルブランドです。「おしゃれは好きでも店でのショッピングは嫌い」という男性のニーズを的確に捉え、D2Cで急成長をとげました。
同社はブランディングやマーケティングから流通、販売、サポートにいたるまで、あらゆる活動にネットを活用しています。
日本人男性のニーズに応えるためのヒントとしても、大いに参考にできる事例でしょう。
実店舗を持たずにブランドを確立するのは、アパレル業界では簡単なことではありません。
しかし、BonobosはECサイトのユーザビリティや注文してから商品を受け取るまでの一連のユーザー体験を磨き上げ、それらのストーリーをソーシャルメディアで発信することでブランドを構築していきました。
また、「ニンジャ」と呼ばれるスタッフを配置することにより、オンラインでの接客も取り入れています。
その結果、当初はデニム以外のメンズパンツのみからビジネスをスタートさせた同社ですが、実店舗を脅かすほどの存在感を発揮するブランドに成長しました。
2-3.D2Cブランド成功事例【ファッション③】Warby Parker
「Warby Parker(ワービー・パーカー)」もアメリカ発の企業ですが、D2Cについて考えるうえでは外すことができません。
同社が扱う商品はメガネです。オンラインの販売に限定するとともに、ファッション性の高い商品を低価格で取り揃えました。
また、購入前には5点までの商品を試すことができます。
これだけでは、さほど特別な事例とは思えないかもしれません。
しかし、実はWarby ParkerはD2Cのビジネスモデルで成功をおさめた最初のブランドと評されている企業です。
学生4人で創業してから5年後の2015年には、Fast Company誌で「もっともイノベーティブな会社」にも選ばれました。
その後、2019年にはコンタクトレンズの新ブランド「Scout(スカウト)」も発表しています。同社によると、この新ブランドでは日本企業とも提携しているとのことです。
今後どのようなビジネスを展開していくのか、注目すべき企業のひとつでしょう。
3.D2Cブランド成功事例2【化粧品・コスメ】
ここからは、化粧品・コスメに関するD2Cの事例を紹介していきます。
化粧品やコスメは、新しいD2Cブランドが続々と増えつつあるジャンルです。
このジャンルの商品には、実際に使ってみて満足できるかどうかが利用者自身のパーソナルな特徴や体験に大きく左右されるという性質があります。
一方、ユーザーの声を反映した商品やパーソナライズされた商品で一定のファンを獲得できれば、大手化粧品会社のモンスター商品に正面から戦いを挑む必要もなくなるでしょう。
そのため、メーカー自身が仲介業者や実店舗を介さずに消費者とつながれるというD2Cの特徴が、新規参入の強い動機になっていると考えられます。
ユーザーから直接届けられたさまざまな情報を、ブランドとしての強みを生み出す戦略に活用できるのです。
3-1.D2Cブランド成功事例【化粧品・コスメ①】PHOEBE BEAUTY UP
「PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)」は、WebやSNSなどのメディア運営を手がけるDINETTE社のプライベートブランドです。
まつげ美容液の販売から事業をスタートし、その後もフェイスマスクや毛穴美容液などの商品を続々と投入して売り上げを伸ばしています。
若い女性が主なユーザーであることから、Instagramを中心としたSNSマーケティングを重視している点が同社の特徴です。
これにより、的確にターゲットに情報を届けるとともに、爆発的な人気の獲得に成功しました。
同ブランドにおけるもうひとつの成功のカギは、立ち上げ前から独自の世界観を発信していた点でしょう。
美容に関心のある約40万人ものユーザーが集まるオウンドメディアで、さまざまな悩みの声を聞き、それらを解決する商品をデザインすることに力を入れたのです。
その結果、女性の「こんなコスメがあったら嬉しい」という願いを叶えてくれるブランドとしての地位を確立しました。
オンラインを主戦場とするD2Cでは、ブランドのイメージや存在意義をいかに伝えるかが重要だということを示す事例といえます。
3-2.D2Cブランド成功事例【化粧品・コスメ②】BULK HOMME
「BULK HOMME(バルクオム)」は、男性用スキンケアのベーシックアイテムとして洗顔料や化粧水、乳液などを扱うブランドです。
これまで難しいとされてきた男性向け化粧品の収益化を、D2Cにより成功させました。
ブランドとしての世界観や、その背景にあるストーリー性を重視したマーケティングを展開しているのが同社の特徴です。
メインのECサイトはもとより、SNSやパッケージデザイン、起用するタレントにいたるまで洗練されたイメージで統一感をもたせています。
同ブランドの主なターゲットは、20〜30代の男性です。いわゆる「デジタルネイティブ世代」であり、SNSなどのデジタルコンテンツに触れることに抵抗を感じないユーザーの多さが追い風になりました。
その結果、Instagramを中心としたプロモーションを通してブランドの認知に成功しています。
さらに、日頃から使う商品であることから定期通販とも相性がよく、サブスクリプション型ビジネスモデルの採用によって収益性を高めています。
3-3.D2Cブランド成功事例【化粧品・コスメ③】Glossier
「Glossier(グロッシアー)」は、D2Cの先駆けとしても有名なアメリカ発の化粧品ブランドです。
VOGUE誌のスタイリスト兼ファッションブロガーだった人物が創業者で、「less is more」という明確なコンセプトを発信している点が特徴的です。
海外のコスメには豪華で鮮やかな発色のものが多いなか、同ブランドは女性が元来備えているパーソナルな美しさを引き出すような、透明感のある商品を主体としています。
商品コンセプトと同様、プロモーションについても過剰な方法を避けているのは同社の興味深いところです。
現在ではニューヨークやロサンゼルス、ロンドンにまで実店舗を構えていますが、広告はInstagramやYouTubeが中心となっています。
売り上げについても、約9割はオンラインによるものです。
D2Cブランドとしてのあり方を創業当初から守りながら成功し続けている事例といえるでしょう。
4.D2Cブランド成功事例3【食品】
ここからは、食品のジャンルにおけるD2Cブランドの事例を紹介していきます。
食品には消費期限が短いものや温度管理が必要なものも多いため、高い配送コストをかけてまでネット販売に踏み切るメリットは少ないと感じる人もいるかもしれません。
しかし、実際には食品ジャンルのD2Cブランドも増えてきています。
直販サイト以外では決して手に入らない特別なスイーツや惣菜などは、それだけで魅力的です。
また、健康や環境への関心が高い消費者は、自分や家族が口にするものの原材料や食品添加物などを日頃から気にかけています。
安心して食べられる商品をメーカーのECサイトから直接購入できることは、ブランドへの信頼にもつながるでしょう。
料理などに繰り返し使う基本的な食材であれば、リピート購入のニーズも強くなると考えられます。
4-1.D2Cブランド成功事例【食品①】Mr. CHEESECAKE
「Mr. CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ)」は、シンプルでありながらこだわりにあふれたチーズケーキのD2Cブランドです。
ミシュランガイド掲載レストランでの修行経験をもつフレンチシェフが、最高級の材料で丁寧に作り上げたチーズケーキを販売しています。
ECサイトでは温度による味の変化や美味しい食べ方なども紹介されており、世界観も抜群です。贈答用にも最適な、ギフトカードによる販売も行っています。
商品は毎週日曜と月曜だけの数量限定販売となっており、オンラインでの販売開始時には瞬く間に売り切れてしまいます。
このことがまた話題を呼び、「幻のチーズケーキ」というストーリー性を生み出しました。
ブランドとしてのイメージを確立し販売方法を工夫すれば、大量生産品でなくてもD2Cで成功できることを物語る事例といえるでしょう。
4-2.D2Cブランド成功事例【食品②】snaq.me
「snaq.me(スナックミー)」は、おやつを定期的に届けてくれるD2Cです。
ただし、単に商品を届けるのではなく、美味しいものをワクワクしながら食べるという「体験」をコンセプトにしています。
どの商品も人工添加物などを使わず自然な素材のみから作られており、大人が楽しむだけでなく、「子供にも安心してあげられるおやつがほしい」というニーズにも応えています。
同ブランドの最大の特徴は、ショッピングサイトや動画配信サービスなどでも用いられることの多い「レコメンデーション」を取り入れている点です。
利用開始時に苦手な食材や避けたい成分を登録することで、おすすめのおやつが詰め合わせになった商品を届けてくれます。
また、届いたおやつの評価をフィードバックすることにより、次回以降のお届けに嗜好が反映される仕組みもあります。
一方、ユーザーの嗜好にあわせすぎると、提供内容が画一的になってしまう点はレコメンデーションの課題でしょう。
同社では、ブランドからのおすすめ商品を織り混ぜることにより、新しい味に出会う機会が生まれるように工夫されています。
工夫をこらしたレコメンデーションと定期購入の組み合わせによって、人気の獲得に成功した事例だといえます。
4-3.D2Cブランド成功事例【食品③】BASE FOOD
「BASE FOOD(ベースフード)」は、ビタミンやミネラル、たんぱく質や食物繊維など人の体に必要な栄養素がすべて詰まった「完全食」のD2Cブランドです。
主食をイノベーションするというコンセプトのもと、いつものように食べるだけで健康を手に入れられる未来を目指しています。
取り扱い商品は多くはありませんが、全粒粉などを用いたパンの「BASE BREAD」と、雑穀パスタの「BASE PASTA」を中心としたアレンジしやすい構成になっています。
同社のECサイトは、ランディングページ(LP)のような作りになっているのが特徴です。
縦に長いページで栄養素の重要性や健康的なものを食べるメリット、おすすめの食べ方などについて説明しつつ、わかりやすいユーザーインターフェースで購買までのスムーズな導線を確保しています。
また、SNSに投稿された写真付きのコメントやユーザーレビューを包み隠さず紹介し、消費者からの信頼を得ることに成功しています。
5.D2Cブランドのカートシステムならw2ソリューションのリピートPLUS
D2Cブランドの成功事例からは、オンラインで提供される世界観やストーリー性、質の高いユーザー体験などが共通して見られます。
ブランド独自のアイデアや工夫がカギを握っているのは間違いないでしょう。
また、ECサイトを支えるテクノロジーも、D2Cブランドの成功に欠かせない要素です。
w2ソリューションの「リピートPLUS」は、D2Cに特化したECカートシステムです。
D2Cブランドをこれから立ち上げるという人から、月商1億レベルのビジネスまでをカバーできる4つのプランが用意されています。
定期通販にも最適な機能を備えており、なかでも「リピートPLUS ONE」は月額9800円という抜群のコストパフォーマンスを誇ります。
これは、単に料金が安いという意味ではありません。
豊富な機能や拡張性、運用のしやすさやサポート体制まで含めてトータルで力を発揮してくれるのです。
エントリープランが用意されたカートシステムはいくつもありますが、パフォーマンスの高さを実感できるものはそれほど多くありません。
「リピートPLUS」なら、低コストで利益の最大化に取り組むことができます。
ブランドが成長すれば、ECサイトに期待する機能も増えてくるのが一般的です。
しかし、いざというときに必要な機能を追加できるカートシステムは限られています。ECサイトのカートシステムは、低価格で手軽にはじめられるというだけでは不十分な場合もあるのです。
「リピートPLUS」なら、この点についても安心です。将来的な機能拡張に強いので、ビジネスの成長に合わせてあとから必要になった機能も柔軟に追加していけます。
6.D2Cブランド成功へのカギとなる成功事例からノウハウを
この記事では、ファッション、化粧品、食品のジャンルについてD2Cブランドの成功事例をご紹介しました。
多くの事例で独自性の高いアイデアがみられた一方、商品ジャンルに関わらず参考にできるような共通のノウハウも発見できたのではないでしょうか。
これらを支えるのは、オンラインでの活動を可能にするテクノロジーです。
なかでもECカートシステムの品質は、ECサイト運営のパフォーマンスを向上させられるかどうかのカギを握る部分だといえます。
最適なカートシステムに独自の工夫やアイデアをプラスして、D2Cブランドを成功させましょう。