店舗×EC・アプリの連携で新たな顧客体験と相互送客を実現! 焼肉トラジが仕掛ける“再訪問”を促すEC戦略
株式会社トラジ
取材にご協力いただいた方
神田 学 氏

目的/課題
EC事業の強化を図り、店舗とアプリ、ECサイトの連携を行う「トラジ経済圏」の構築
オンラインと店舗で顧客情報やポイント制度が分離され、統合的なCRM構築ができていない
アプリと連携できるECカートシステムの検討
導入効果
店舗とアプリ、ECサイトの連携を実現し、顧客の囲い込みを促進
特にポイント連携を可能にし、店舗でもオンラインでもポイントが使えるように
e-ギフトや定期販売などが1つのECシステムで対応可能に
株式会社トラジは、「本物の焼肉」を追求し続ける飲食企業として、全国に多数の店舗を展開しています。その中で、店舗とEC、アプリを連携させた“トラジ経済圏”の構築を目指し、ECカートシステム「W2 repeat」を導入。ECサイトの大規模リニューアルを実施しました。
今回は、ポイント共通化や e ギフト導入など、顧客の「次の来店」を促す仕組みを W2 Repeat でどのように実装したのか、、またシステム選定の背景や導入後に得られた具体的な成果、そして今後のデジタル戦略について詳しくお話を伺いました。
1. トラジの多ブランド戦略と挑戦
事業内容について教えてください
焼肉トラジを運営する株式会社トラジは、王道の焼肉体験を追求する『焼肉トラジ』を中心に、『焼肉 牛印』や『美食焼肉トラジ 葉菜』『牛たん たん之助』など複数飲食ブランドを国内外で展開している。日常的に利用できる「定食型業態」から、、お祝いや特別な日の利用を想定した「高単価業態」の二軸を用意することで、多様な顧客層と利用シーンをカバーしているのが特徴です。
近年は、日本国内だけでなく、ニューヨークなどを中心に海外展開にも積極的に取り組んでおります。「焼肉文化を世界に発信する」という使命のもと、国内外に事業を拡大しています。
さらに、コロナ禍を契機にECサイトやアプリを活用したオンラインでの顧客接点の強化を、積極的に推進しています。
特に「トラジ経済圏」と呼ばれる独自のエコシステム構築に力を入れており、店舗とECサイト、アプリを連携させることで、顧客の囲い込みやリピート率向上を実現しています。
以前は店舗とオンラインが完全に分断されていましたが、現在はアプリを中心に統合され、どのチャネルで購入・利用しても共通のポイントが貯まる仕組みを構築しました。

商品への想い、他社商品との違いについて教えてください
弊社は、「“YAKINIKU STANDARD”を創造し、食で人々を幸せにする。」という理念のもとサービスを提供しており、味だけでなく体にもおいしい焼肉を通じて、お客様の健康と幸せを感じる体験を提供することを大切にしています。
この考え方は商品開発からサービス提供まで、あらゆる場面に生きております。
特に、焼肉のプロとして、「焼肉正統」というスタンスを掲げて他社と差別化しています。
SNS時代の昨今では、写真映えや見た目が注目される風潮もありますが、、トラジでは、王道の焼肉こそが日本の食文化として重要だと考えています。
また、ECサイトでも店舗で人気の希少部位セットやECサイト限定の『焼肉トラジ食事券』を取り扱い、ギフトや景品需要を取り込むことで新規顧客獲得と来店動機の創出を両立しています。
SDGsに関する取り組みについて教えてください
弊社では、食品ロスの削減などSDGsの観点からも独自の取り組みを行っています。
例えば、人気商品である「ライスバーガー」は肉のカット時に出る端材を有効活用して製造されています。
こうした取り組みは環境配慮型の商品開発として、サステナビリティを追求する姿勢の表れとなっていると思います。
さらに「フードロス対策セット」のような商品名での販売経験もあり、切り落とし肉などを目的に購入されるお客様も多いことから、食品ロス削減と顧客ニーズの双方に応える商品開発を行っています。
高品質を基本としながらも、環境配慮と資源の有効活用を両立させる独自の商品哲学を貫いています。
2. 店舗とオンラインをつなぐ「トラジ経済圏」構想とECサイトの役割
ECサイトを立ち上げた経緯を教えてください
トラジのECサイトは10年以上前、販売チャネルの一つとして試験的に立ち上げました。当時は専門部署もなく、扱う商品は主に焼肉トラジの食事券などに限られ、月間売上もごくわずかでした。
しかし、転機となったのはコロナ禍です。店舗が営業制限を受ける中で「トラジの味をどう届けるか」という課題に直面し、ECを通じてお客様との接点を維持する方針を決定しました。そこで私を含む専任スタッフを配置し、体制を強化して本格的にEC事業へ取り組みました。
こうした背景から、トラジの販売チャネルは「店舗」と「ECサイト」が二本柱ととなり、さらに、ECサイトの単独展開だけでなく、アプリを導入して店舗とECを連携させる「トラジ経済圏」の構築に取り組み始めました。
現在は、アプリとECを連携させたことで、ポイントサービスを軸にブランド認知の拡大にもつながっています。
このようにトラジのECサイト事業は、試験的な取り組みからコロナ禍を契機とした本格展開へ、さらにはアプリと連携した統合的な顧客体験の提供へと、段階的に発展してきました。
現在では単なる販売チャネルを超え、リアル店舗と連携した「トラジ経済圏」を支える重要な基盤となっています。
トラジ経済圏について詳しく教えてください
「トラジ経済圏」とは、店舗・EC・アプリをシームレスに結びつけ、お客様に一貫したブランド体験を提供する仕組みです。
この経済圏は、お客様が店舗とオンラインの両方でシームレスな体験ができることを目指しており、たとえば共通ポイント制度では、どのチャネルで購入しても同じポイントを貯めることができ、どのチャネルでも使用できる仕組みを実現しています。
この仕組みにより、お客様のファン化を促し、リピート率向上を図っています。
トラジ独自のポイントシステムにこだわった理由は「自社内で貯めたポイントは自社で還元する」という方針からです。
自社で完結させることで再来店やリピート購買を促進することを重視しました。
また、ECサイトにおいては、実店舗では提供できない価値を創出することを目指しています。
たとえばEC限定の「焼肉トラジ食事券」はギフト用途に好評で、遠方のお客様にもご家庭でお店の味を楽しんでいただけます。来店したお客様がギフトや自宅用に商品を購入し、その体験が再び来店へつながる。
この好循環が、店舗とECの相互補完関係を強めています。
このように、弊社のECサイトは単なる販売チャネルの一つではなく、店舗とオンラインを融合させた新しい顧客体験を創出する役割を持っています。

3. 独自戦略を形にできる柔軟性こそがシステム選定の決め手
「W2 Repeat」を選定した理由を教えてください
弊社がW2 Repeatを選定した最大の理由は、「トラジ経済圏」の構築というビジョンを実現するための機能と柔軟性を備えていたことです。
今回必須で実現したかった店舗・ECサイト・アプリを連携させる統合システムを構築するには、高いカスタマイズ性と自社の構想やニーズに柔軟に対応ができるプラットフォームの導入が必須でした。
W2は高いシステム・機能開発力を持っているほか、柔軟性とカスタマイズ性に優れたシステムを提供しており、ポイントシステムとの連携のほか、弊社ニーズへの対応も可能であったため、今回のリニューアルにあたって導入することを決めました。
また、コスト面でのバランスの良さや、中長期的なパートナーとして考えた際にサポート体制、将来の拡張性も優れていたこともW2選定の理由です。
具体的には、コストパフォーマンスの面で魅力を感じていました。
弊社は当初、完全なスクラッチ開発も検討していましたが、見積もり額が予想をはるかに超えるものであったため、現実的な選択肢とはなりませんでした。
一方で、W2 Repeatは、必要な機能を備えながらも、コスト効率の高いソリューションを提供していたため、選定時の大きな決め手となりました。
サポート体制の厚さも魅力的なポイントでした。
システム導入後もその姿勢は一貫しており、操作説明から技術的な支援まで、丁寧で分かりやすいサポートにより、知識の少ない私でも安心してECサイトの構築と運用を進めることができました。
毎週一回の定例ミーティングを設け、画面を一緒に確認しながら丁寧に操作方法を教えるなど、手厚いサポートを提供していただき、専門用語が分からない場合でも、基本的な部分から説明してくれるなど、初心者にも理解しやすい対応が印象に残っています。
中長期的なパートナーとしても、W2であれば、弊社の期待に応えられると感じていました。
具体的には、eギフトやカタログギフトなど、今後展開したい施策や機能についても対応が可能なほか、LINE公式アカウントとの連携や、定期販売、リピート購入機能なども段階的に実装できる見通しが立っており、将来的な展望が描けていたことも、W2を選択する後押しとなりました。
このように、柔軟性や拡張性の高いシステムとコスト効率の良さ、サポート体制の手厚さなどから、リニューアルに際してW2を選定しました。

4. 店舗とオンラインの相互送客で顧客の囲い込みを促進
W2 Repeatの導入により実現できたことを教えてください
W2 RepeatによるECサイトリニューアル後、「トラジ経済圏」の構築という大きな目標に向けて着実に進展を見せています。
最も大きな効果は、ECサイト、アプリ、店舗の連携が実現したことで、お客様にチャネルを超えたシームレスな体験が提供できるようになったことです。
店舗に来店されたお客様がECサイトを利用してくださったり、ECサイトからアプリへの登録を促せたりと、チャネルを横断してお客様の利用・来店を促進することができるようになりました。
なかでも、導入後に開始した共通ポイント制度は、オンラインと店舗の相互送客に大きく貢献しています。
従来はEC限定だったポイントが店舗でも貯まり、利用できるようになったことで、リピート率と顧客ロイヤルティが向上しました。
こうして店舗とオンラインを連携させることで、飲食業が直面する現代的な課題に対応し、トラジならではの価値を多様なチャネルで提供できる体制が整ったと感じています。

5. アプリ・LINEを軸に進化するトラジのデジタル戦略
今後の事業戦略の展開について教えてください
今後は、デジタル戦略のさらなる強化により、「トラジ経済圏」の拡大を目指していきます。
特に注力しているのが eギフトとカタログギフトの導入です。住所を知らない相手にもSNS経由で贈れる eギフトは成長余地が大きく、まずはトラジお食事券をQRコード化したデジタルギフトの提供を計画しています。
カタログギフトは、結婚式の引き出物や企業キャンペーン景品としての利用を想定し、松・竹・梅の3ランクで商品を選べる形式をアプリとECサイト上で展開する構想です。
「トラジ経済圏の実現」という長期的な構想のもと、今後もW2とともにさらなる価値創出と顧客体験の向上を目指し、事業拡大を続けてまいります。