福岡土産「めんべい」の福太郎が 店舗・ECサイト・電話通販の情報基盤を統合し、LINE起点の購買体験を実現
山口油屋福太郎(福太郎)
取材にご協力いただいた方
製造販売事業部 中村 哲也様 坂本 光隆様
目的/課題
店舗とECサイトの会員情報が分断されていて管理が煩雑化していた
電話通販とECサイトの統合的な管理ができず、お客様の利便性が悪化していた
店舗システムのサポート終了に伴い、新システム導入が必要だった
導入効果
店舗/ECサイト/電話通販の情報を統合したことで、横断的な顧客管理が可能になった
LINE連携により新規会員獲得と継続的な顧客接点の強化を実現した
店舗配送受付業務を大幅に効率化できた(伝票枚数70%削減)
1. 徹底したものづくりへのこだわりを持つ山口油屋福太郎
事業内容について教えてください。
弊社は食に関わる事業を展開しています。卸売事業部では、福岡市内を中心に、飲食店に業務用食材をお届けしています。
製造販売事業部では、明太子や「めんべい」「めんたいフランス」など、商品企画から販売まで一貫して自社で「ものづくり」に取り組んでいます。
他社との差別化ポイントを教えてください。
弊社の根幹には「美味しいと思うものしか提供しない」という、ものづくりへの徹底したこだわりがあります。これは、弊社会長が常々「自分たちがおいしいと思うものしかお客様には提供してはいけない」と語っていたことに由来しています。
実際、試食段階で何度も「本当にそれは美味しいものか?」と厳しく指摘されるほど、ものづくりに対する品質基準が非常に厳格です。
弊社の明太子は「二度漬け」することが特徴です。
通常より手間はかかりますが、美味しいものをお届けするということを最優先に取り組んでいます。
顧客体験に対する考え方や取り組みについて教えてください。
正直に申し上げると、顧客体験の設計については現在も試行錯誤を続けています。
これまで弊社はものづくりに全力を注ぎ、美味しいものをお届けすることを最優先にしてきました。
そのため、顧客体験設計という面での準備が十分ではないと思います。
ただ、明確に持っている想いがあります。それは「福岡に来てよかった」と思っていただき、福岡を好きになってもらいたいということです。
弊社の商品が、そのきっかけの一つとなり、福岡での思い出として心に残っていただければ、それが何よりの喜びです。
そのため、重視しているのが「試食」を通じた顧客体験です。
実際に味わっていただくことで商品の良さを実感してもらう。試食ができる店舗づくりを進めており、これが弊社らしい顧客体験の提供方法だと考えています。
2. 店舗とECサイトで別々に情報管理されていることに違和感
リニューアルに至った背景を教えてください。
結論からお話しすると、店舗とECサイトが分断された状態では、今後の事業成長に限界があると感じたことが大きな理由です。
当初はECプラットフォームの刷新を目的としたものではなく、既存の店舗システムのサービス終了に伴い、店舗システムの入れ替えを検討したのが発端でした。
その検討を進める中で、長年抱えていた「店舗とECサイトの顧客情報が分断され、十分なデータ活用ができていない」という問題が改めて顕在化し、このまま個別にシステムを更新するのではなく、両者を統合することが、将来的にも必要だと判断し、店舗とECサイトの一体化を目指す流れとなりました。
店舗とECサイトの分断による課題はどのようなものでしたか?
最も大きな課題は、お客様に直接的な不便をかけてしまっていた点にあります。
例えば、同じ福太郎のお客様であるにもかかわらず、店舗で貯めたポイントはECサイトでは利用できず、ECサイトで貯めたポイントも店舗では使えない仕組みになっていました。チャネルをまたいだシームレスな購買体験を提供できておらず、お客様視点で見ると、非常に使いづらい状態だったと思います。
こうした課題を解消するために、店舗とECサイトの情報を統合することで、より効率的な業務運用と、お客様にとって満足できるサービス提供が可能になると考えていました。
3. 未来を見据えた提案力とLINE連携が決め手
システム選定時の比較検討のポイントを教えてください。
弊社が求めたのは、単なるECプラットフォームではなく、オンラインとオフラインのすべての顧客接点を一元的に管理できる統合ECプラットフォームでした。
ECプラットフォームはオンラインの注文対応に特化していますが、弊社では電話注文も重要な販売チャネルのため、ECサイトのオンライン注文と電話注文の両方を1つのシステムで一元管理できるかが重要な比較ポイントでした。
また、店舗システムの入れ替えを並行して進めていたため、ECプラットフォームと店舗システムがスムーズに連携できることが必須要件でした。
加えて、弊社はギフト需要が多いため、複数の配送先を指定する際に画面遷移を最小限に抑え、1画面で購入手続きが完結できるカート機能があるかどうかも重要視しました。
これらを踏まえ、オフライン、オンライン問わずお客様にストレスなく買い物をしていただけるUI/UX設計と、それを支えるECサイト・店舗・電話注文などの各チャネルのデータを統合管理できる仕組みを備えているかどうかを、総合的な判断基準としていました。
W2を選定された決め手は何でしょうか?
W2は弊社が求める統合型の顧客体験と、中長期視点での事業成長の両方を実現できると感じたためです。
W2を選定した1つ目の理由は、オンラインとオフラインの情報をECプラットフォームで一元管理できる点です。
W2のECプラットフォームでは、店舗・ECサイトすべてのデータが統合されるため、お客様がどのチャネルを利用しても、ポイントやクーポンを共通して利用できる仕組みにより一貫した顧客体験を提供できると感じました。
2つ目は、電話注文の対応力です。
電話応対中にワンクリックで顧客情報を確認でき、顧客情報を見ながら注文を生成できることに魅力を感じました。
また、複数の配送先が指定された場合でも1画面で注文生成が可能なため、お客様をお待たせしない注文フローの確立や、スタッフの業務工数削減につながると考えました。
そして最大の決め手となったのは、提案時点での施策にとどまらず、2年後、3年後、5年後といった中長期視点で、弊社の戦略に沿った将来像まで踏まえた提案が示されていた点です。
他のECベンダーは「導入すれば現状の課題を解決できる」といった提案が多かったのですが、W2はECプラットフォームを活用して戦略や未来に起こる話をしてくれたことが印象に残りました。
また、提案の進め方においても優れていると感じていました
他のECベンダー担当者は自社サービスの説明を一通り行った後に質疑応答へ進むケースが多かったのに対し、W2の場合は、自社サービスの説明から入るのではなく、「御社はどういったことでお困りですか?」と徹底的にヒアリングをした上で、課題解決方法を提示してくれるソリューション提案型のスタイルがとても印象的でした。
LINE活用が選定の決め手になった理由を教えてください。
LINEは一度きりで終わりがちな顧客接点を、継続的な関係へとつなげるための重要な手段だと考えていたためです。
弊社の顧客構成は観光客やお土産需要が6〜7割を占めており、これらのお客様との接点は通常、来店時の一度きりで終わってしまうため、弊社の存在も忘れられてしまう可能性が高いです。
そのため、店舗での購入をきっかけにLINE会員として繋がり、継続的な関係を構築するという戦略を立てていました。
LINEを通じて商品情報や福岡の魅力を継続的に発信することで、帰宅後もお客様との接点を維持し、ECサイトでの購入を促進する。そして再び福岡を訪れた際には、弊社を想起してもらい、店舗にも立ち寄っていただく構想がありました。
つまり、「店舗来店→LINE登録→継続的な情報発信→ECサイト購入→再来店」という購買活動の好循環を創出するためには、店舗・ECサイト・LINEが一体となった連携が不可欠であり、それを技術的に可能にするシステムがまさにW2でした。
導入プロジェクトのサポートについてはいかがでしたか?
プロジェクト成功の大きな要因は、W2の伴走型のサポート体制にあったと感じています。
具体的には、発送に関する複雑な計算ロジックや業務フローの整理など、テキストコミュニケーションだけでは伝わりにくい部分を、対面で丁寧にすり合わせていただけた点です。
定期的に直接お会いして要件を確認できたことで、認識のズレを防ぎ、スムーズにプロジェクトを進行できました。
また、弊社の課題や実現したいことを深く理解しようと努めてくださり、複数の選択肢を提示しながら、弊社が判断しやすい形で提案してくださいました。現場の意見を尊重しながらも、必要な場面では明確な方向性を示していただいたおかげで、迅速かつ的確な意思決定ができたと感じています。
4. 1システムに情報を統合することで店舗DXが実現
システム導入後の変化や成果について教えてください。
1つのシステムに情報を統合したことで、業務効率の改善だけでなく、組織の在り方そのものが変わったと感じています。
これまで店舗部門とEC部門は別々に運営していましたが、情報が1システムに統合されたことで、両部門が一体となって事業全体の戦略を考えられるようになりました。その結果、部門間の壁が低くなり、「どう連携して顧客価値を高めるか」という議論が自然にできる組織文化が生まれるようになっています。
また、業務面での改善も顕著です。
従来は複数の配送先が選択された際に、配送先毎に受注処理を行う必要があり、スタッフにとって大きな負担となっていました。現在は、全ての配送先を一度に受注処理できるようになり、受発注業務が大幅に効率化されています。
その結果、お客様をお待たせする時間も短縮され、顧客満足度の向上にも貢献しています。
さらに、店舗での配送受付業務も劇的に効率化されました。
従来は、10名分の配送を受け付ける場合、1件ごとに個別処理が必要となり、約30枚の伝票が発行されていました。
現在は、W2のシステムを利用することで複数配送先を一括処理できるため、伝票枚数が約30%削減され、現場のオペレーション負荷が大幅に軽減されました。これはまさに店舗DXの具体的な成果だと感じています。
このように、システム統合によって業務効率と顧客体験の双方が改善され、店舗DXを具体的な形で実感できています。
LINE活用による効果はいかがですか?
2025年10月に運用を開始したばかりですが、会員獲得ペースも順調で、ひと月で約数百名の新規会員を獲得できています。
現在の施策として、新規のLINE登録ユーザーに対して店舗とECサイトの両方で使えるクーポンを同時発行しており、チャネル横断した利用促進を図っています。
店舗で購入されたお客様のみのご案内で着実に成果が出てきているため、これからは店舗とECサイト両方でLINE会員獲得施策を推進していきます。
また、顧客との継続的な関係構築を重視する観点から、ゲスト購入を廃止し、最低限の情報入力で会員登録を促す仕組みを採用しました。この仕組みは、最低限の情報入力で会員登録ができるためカゴ落ちを防ぎつつ、メールやLINEを通じた継続的なコミュニケーション基盤を確保する戦略です。
この方針により、一度限りの購入者を継続顧客へと育成する体制を整えることができました。
5. LINEを軸として店舗・ECサイト・電話通販の三位一体運営を強化
今後の展望について教えてください。
中期的な構想として、店舗・ECサイト・電話通販の三位一体運営をLINEを軸に強化していきます。特に注力するのが、ECサイトにおける店舗情報の充実です。
現在、コーポレートサイトは企業全体の情報を扱うため、店舗の詳細情報を掲載しづらい側面があります。そこで、ECサイトのトラフィックを活かして店舗のニュースやイベント情報を積極的に発信し、オンラインとオフラインの垣根を低くしていく方針です。これにより、ECサイトを訪れたお客様が「次に福岡を訪れた際は店舗に立ち寄ってみたい」と感じていただけるよう、オンラインからオフラインへの送客導線を確立します。
その先の構想として、店舗でのセルフ配送受付システムの導入も検討しています。現在は店舗スタッフがお客様から配送先をヒアリングして受付処理を行っていますが、他社事例を参考に、お客様自身がタブレット端末で配送先を登録し、店舗レジでバーコード決済できる仕組みの構築を目指しています。
こうした取り組みを行うためには、W2のECプラットフォームが持つ高い柔軟性と拡張性、そしてW2のプロジェクト担当者による伴走支援が必須となります。
今後も、オンラインとオフラインが相互に送客し合う好循環を創出するために、パートナーとして伴走していただけることを期待しています。












