アサヒビール初のD2C事業をW2 Repeatで実現! 数か月でローンチ&2年で累計売上30億、LINE友だち数200万人超を達成
アサヒビール株式会社
取材にご協力いただいた方
新規事業部次長 デジタルマーケティング部担当部長 西村拓哉氏

目的/課題
短期間でサブスクモデルの自社ECサイトを新規構築したい
サブスクモデルに合ったECカートシステムを模索
一心同体としてD2Cプロジェクトを伴走してくれる会社を検討
導入効果
数か月という短期間で予定通り新規事業としてローンチを実現
オープン半年でサブスク本会員数1.5万人超え/売上は1年間で15億を突破
顧客データがECシステムに蓄積&会員分析に利活用
1. アサヒビールのD2C事業「THE DRAFTERS(ドラフターズ)」発足の背景

ドラフターズのサービス概要と立ち上げ背景について教えてください。
『THE DRAFTERS(ドラフターズ)』は、弊社が独自に開発した「本格泡リッチサーバー」を会員に貸し出し、「スーパードライ」(ミニ樽2L)を毎月2回、自宅に定期配送するサービスです。
プロジェクトが発足した背景ですが、2020年当時はコロナ禍で、自由に「美味しい生ビールが飲めない」というユーザーの悩みがありました。
その時に、自宅でも氷点下の生ビールが飲めるサーバーをお届けして、生ビールの価値・灯火を消さないように提供していきたいという想いがありました。
また、売上や利益のためだけではなく、ドラフターズで応援していただいているファンの方と我々メーカーが直接繋がることで、より顧客理解を深め、そこから新たな価値をお客様と一緒に生み出していきたいという目的がありました。
「もっと自由に生ビールを楽しみたい!」というニーズが高まっていたこともあり、もっと生ビールを自分の好きなタイミング、好きな場所で楽しんでいただく、そのような乾杯するシーンをより多く作り出すことで「ビール好きの人との絆を繋ぎたい」「ビール市場全体に貢献をしたい」といった思いを込めて、アサヒビールのD2Cプロジェクトとして「ビールに自由と冒険を」というキャッチコピーをつけてドラフターズが始まりました。
どのような経緯で西村さんがドラフターズを担当することになったのですか?
2020年にアサヒビール社内のD2C プロジェクトとして発足しました。
最初は私含め2~3名の他部署からの兼務メンバーで立ち上げたのですが、本格的にローンチする半年ほど前に、プロジェクト専任となり事業のローンチに特化、その後に新規事業部を新設しました。
最初はもう何でも全て決めて作っていかなきゃいけなかったので、すごくハードワークでした。会議室に籠って、通常は1年や1年半かかる準備を社内外のご協力を得て当時は半年ほどで何とかやり遂げました。
2. ビジョン実現のために重要視したECシステム選定のポイント
ECカートシステム選定時の比較ポイントについて教えてください。
弊社の実現したいプランについて「どういう体制で向き合ってくれるのか?」「チームとして一緒に取り組んでいただけるか?」というところは、お話しを聞いた各社にチェックしていました。
これには、私がドラフターズを立ち上げる前に携わった、ECカートシステムリプレイスでの経験に基づいています。
その時は、代理店を挟んでカートシステム会社とお付き合いをしていたのですが、当時多くのトラブルが発生して、リプレイスに失敗した経験があったんです。
その経験から感じたのは、やはり実現したいビジョンを私が明確に定義できるようにして、それを理解し応えてくれる会社じゃないと一緒に組めないと思いました。
ドラフターズは定期通販モデルなので、サブスクモデルに合ったECシステムかという視点でも比較していましたが、こちらが実現したいビジョンに本気で取り組んでくれる会社なのかどうかも重要な選定軸でした。
3. サブスクに強いECシステムと信頼できる会社だったことが選定の決め手
そのなかで弊社を選んだ決め手について教えてください。
一つ目は、一心同体としてプロジェクトを伴走してくれて、W2が本気で一緒に取り組んでくれるという気持ちが伝わったからです。
先ほどお話しした通り、私の過去の失敗経験から弊社の要望を理解して応えてくれる会社であることを選定時すごく重要視していました。
そこで、商談時にW2のプロジェクト担当である小林さんへ開発用件やプロジェクト体制について質問をさせていただいたのですが、小林さんの回答が明快ですごく透明性がありました。
また、その後に担当頂いた宇田川さんを含め、素晴らしい優秀な方がW2にいらっしゃることと、本当に信頼できる会社だなと思ったのがW2を決めた理由の一つです。
選定した二つ目の理由は、W2 Repeatがリピート通販に必要な機能が網羅されているからです。
ドラフターズは「ビールサーバーの定期便」というサブスクリプション型サービスなので、定期通販やサブスクに強いECシステムを利用する必要がありました。
複数のECカートシステムを検討したなかで、W2 Repeatはリピート通販に必要な機能が網羅されていて、実現したいサービス・機能のほとんどを標準機能内で充足できているというところが魅力的でした。
一部、機能のカスタマイズ開発が必要であることを前提として各会社にお話しをお伺いしましたが、W2 Repeatは、通販機能が最初から拡充している、そして要件開発についてもキャッチボールが速く、システムだけでなくパートナーとして一緒に伴走してくれるという二つの理由でW2に決めさせていただきました。

4. 数か月で新規事業ローンチ ~成功の鍵はベストな座組と頼りになるパートナー~
当時のプロジェクトの進行体制についてはいかがでしたか?
プロジェクトの進行体制について、率直に言うと本当にベストな座組でありベストなチームとベストなやり方で進めてこられたと感じています。
わからないことはすぐに質問してクリアしてきたので、何の不満もなく安心してお任せできました。
数か月という短期間で予定通り新規事業としてローンチができたのも、当社以外のどこかへW2さんとの開発要件定義を委託するのではなく、直接W2さんと議論をして、その場で要件を固めてすぐに開発に向けて動いてくれたおかげです。
また、サイトデザインも一緒に、W2のグループ会社であるブランデックスに依頼して制作してもらいました。
ECサイト構築からサイトデザイン制作まで包括して依頼できたので、コミュニケーションロスがなくスピーディーに対応してもらいましたし、本当に素敵なデザインのLPだなと今でも思っています。

5. オープン半年で本会員数1.5万人超えを支えたマーケティング戦略とは
オープン後、売上や会員数の推移はいかがですか?
2021年5月にローンチして半年で会員数が1.5万人を超え、売上は1年間で15億まで一気に成長しました。
現在2年目を迎え、累計30億円、累計の入会者数は約30,000人を超え、多くの方にご利用いただいております。
世の中的にはコロナ禍が落ち着き、再び外で生ビールが飲めるようになったことは、ホームサーバーの市場環境の変化としてビハインドかもしれませんが、本格的な生ビール、氷点下を楽しめることなどが支持され、会員数は23年夏の直近で再び増えています。
また、直接得られているアンケートデータ、購買データ、LINEユーザーIDなどを基点として分析をしたり、ライフスタイルや何に興味関心があるのかも含めて会員の分析をしたりしています。
例えば「どのようなタッチポイントで見込み顧客と出会うのが一番いいのか」「このようなセグメントでユーザーの特徴が分かれているよね」みたいな議論に使うなど、顧客理解に蓄積されたデータから根拠を持つこと、それをリアルで会うN1で確認するなど、早い検証ができるようになっています。
ローンチして直ぐに会員数1.5万人を超えるのはすごいですね。その要因などあれば教えてください。
弊社はBtoBtoCで店頭のプロモーションを通じてサンプリングやキャンペーンなどLINEによるコミュニケーションを実施しており、そこで見込み顧客のデータを集めて分析をしていました。
ある程度、酒類の飲用実態やアサヒビール、スーパードライについて興味関心の強い方達を分析して真っ先にサービス内容をお届けできたことが最大の理由だと考えています。
ドラフターズの会員様と共創する企画を実施していますが、実施した背景と効果について教えて下さい。
このドラフターズは決して売上利益のためだけにやっているわけではなく、生ビールを愛して自由に楽しんでいただくという世界を会員と一緒に創っていきたいという想いでやってきました。
オリジナルの新商品づくりに協力していただける方にアンケートをとってラベルデザインや新たな企画を決めるなど、実際に2023年5月には商品名やデザインをドラフターズ会員と共創した新商品を5,000本の数量限定で販売しました。


同時にリアルで会員さん同士も乾杯できる場を設けて、みんなで楽しみを分かち合うためのイベントも実施しています。
「そろそろ解約しようかな」と検討している方がいたのですが、このイベントに来て「やっぱり続けることにしました」という方も実際にいらっしゃいました。
イベントを通して、ビールが好きな人たちで乾杯して仲良くなれることが「ドラフターズを続けたい」という理由の一つにもなり得るとおっしゃっていただいています。
会員さんから言っていただいた言葉からヒントをもらえることも多々あります。
会員さんからも、顧客の声から新たな試みをすることに対して非常に評価していただいています。
申込からCRMまですべてLINEに集約していますが、当施策について狙いや効果について教えてください。
われわれは、見込み顧客の集客から新規申込、会員情報の登録など、ユーザーとのタッチポイントをあえて「LINE」に集約しています。
これにより、LINE上で集客したユーザーの属性や購買履歴、行動履歴の傾向を分析することでLINEのお友だち追加で留まっているユーザーと本会員となったユーザーのクラスターやニーズの違いを可視化して、得られたデータを集客に活かす事ができています。

ユーザー視点でもLINEで簡単に登録でき、そのまま会員になってからも配信が受け取れてコミュニティにも参加できるシームレスな体験設計になっています。
お友だち追加してLINE上でアンケートに回答した時点でいろんなデータが得られるので、どのようなユーザーが会員になりやすいのか、続けていただきやすいのかも考慮してコミュニケーションを変えられるのが利点です。
また、W2 Repeatでは会員情報を元にして、LINEユーザーに対して細かな施策を実施できています。
例えば、W2 Repeatのクーポン機能を活用して、いろいろな条件で簡単にクーポンが発行されるようにしています。
任意のクーポンコードを設定して、入会経路を特定することで流入分析に活用しています。
その他にも、W2 Repeatのターゲットリスト機能を抽選の当選者/落選者の切り分けなどで活用していました。
オープン当初、たくさんのご応募を頂いたため当選者を抽選していました。
当選者をターゲットリストでユーザー抽出して、ログインできる人とできない人を切り分ける時に活用したり、最近では再入会者にフラグを立てたりすることで、特定できるようにして分析に活用しています

※上記は「THE DRAFTERS」で使用している「W2 Repeaet」の機能の一部のイメージです。
6. 事業責任者が評価するW2 Repeatの操作性と機能性
W2 Repeatの特に評価しているポイントがあれば教えてください。
お客様からのお問い合わせとEC機能内で管理されているあらゆる顧客情報が連携されているところがいいなと思っています。
お問い合わせがあったお客様のユーザーIDをクリックするだけで、EC機能内で管理されているその方のユーザー情報や購入履歴、過去のやり取りなどがすべて1画面で確認できるので、すごく使いやすい仕様になっていると感じています。
もうW2 Repeatがデフォルトになり使い慣れてしまったので改めて考えると難しいですが、例えば、顧客情報や購買情報、商品の在庫情報や商品情報などすべてがわかりやすいUIになっているので、機能面・操作性についても満足しています。まだ細かい点を挙げればたくさんありますね。
7. ビールの本来の価値と情緒的価値を多くの愛好家に届けたい
今後の展望について教えてください。
ビールは、飲み物の中でも、人の間に垣根を作らず肩を並べて笑って飲むようなお酒の文化を持つので、その本来の価値や情緒的な価値も含めて、より多くのビールを愛するユーザーに価値を届けたいと思っています。
また、今ビール離れなどと言われていますが、若者に街頭インタビューした際に、「ある時ビールが美味しいと思った瞬間があった」事が分かりました。
それは「卒業間近にみんなで山に登って山頂で乾杯したら、いつも飲めなかったビールがこんなの美味しいのかと感じました」、「長時間アルバイトで働いた後、店長が一杯奢ってくれたビールがすごくうまくて、それ以来好きになりました」などです。
要は、なにかの経験や物事の中、一緒に飲む人やシーンでビールが美味しいと感じる瞬間があるということです。
そういったシーンを増やしていくことが、遠回りであるようではあるけれども求められる価値であることを信じて、ファンとの繋がりを大切に未来に継承するとともに、アサヒビールの顧客への新たなアプローチを構築していきたいと思います。
また、ドラフターズ立上から丸3年が経ち、オペレーションやデータ分析などの基盤の整備も推進し、ひと段落しました。
今後は実務を後輩に任せ、アサヒビールの既存事業に、この新規事業立ち上げの経験やD2Cの視点をどう活かしていくかといったシナジーを構築していきたいと考えています。
取材時:2023年8月
D2C/リピート通販向けECカートシステム「W2 Repeat」
W2 Repeatはリピート通販事業を成功へ導くことに特化したECカートシステムです。
事業立ち上げから年商100億円規模まで対応し、リピート通販に特化した標準機能を搭載しています。具体的には「クーポン・ポイント機能」「SNS連携機能」「商品同梱機能」「会員ランク機能」「カート一体型LP」「ステップ・セグメントメール」などD2C/定期通販に必要な機能を完全網羅。
その他、1,000を超える機能数や豊富な決済種別など搭載しており、EC事業において、多くのお客様に利用されています。