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ネット決済代行サービス市場、2030年度に1兆4,270億円へ拡大予測——旅行回復やサブスク定着、物価上昇が追い風に
2026.07.31
業界トレンド

ネット決済代行サービス市場、2030年度に1兆4,270億円へ拡大予測——旅行回復やサブスク定着、物価上昇が追い風に

旅行回復と生活様式の変容がもたらす、2025〜2026年度の二桁成長

デロイト トーマツ ミック経済研究所は、市場調査レポート「ECにおけるネット決済代行サービス市場の現状と展望 2026年度版」を2026年6月11日に発刊した。

同レポートによると、2025年度のネット決済代行サービス全体の市場規模は、前年度比113.0%となる7,702億円に達した。コロナ禍で一時停滞していた旅行、交通チケット、イベントチケット関連のインターネット取り扱いが回復し、増加傾向が続いていることが大きな要因だ。

さらに、コロナ禍をきっかけに利便性から定着したモバイルオーダーや、外出が可能になった後も利用者が大幅に増えている動画・音楽配信などのサブスクリプション市場の成長が市場を牽引している。これに加え、物価高騰の影響から商品やサービスの価格が上がっていることも、決済処理を行うPSP(決済代行事業者)の取扱額を押し上げる一因となっており、2026年度も前年度比114.3%増の8,805億円と高い伸び率が続く見込みである。

ネット決済市場拡大を牽引する4つの成長ドライバー(旅行・イベントの回復、デジタル消費定着、物価高騰による単価上昇、新規EC層とビジネス拡大)

編集部コメント

リアル体験の復活とデジタル消費の定着という「ハイブリッドな消費行動」が、決済市場を力強く牽引しています!ここで特筆すべきは、物価高というマクロ経済の逆風すらも取扱高の増加(=収益増)に直接転換できる、PSP(決済代行事業者)の強靭なビジネスモデルです!インフレ局面に対するヘッジ機能を内包する決済プラットフォームは、今後の日本経済において、単なるITサービスを超えた極めて重要かつ安定的な産業基盤(インフラ)としての地位を確立していくでしょう。

2030年度に1兆4,270億円規模へ、EC化率の上昇と新ビジネスが市場を牽引

ネット決済代行サービス市場の成長は、一過性のトレンドにとどまらない。同研究所の中期予測によれば、2027年度以降も二桁伸びが継続し、2026年度から2030年度までの年平均成長率は13.1%増で推移する見通しだ。そして2030年度には、市場規模が1兆4,270億円(1兆4千億円超)にまで拡大すると予測されている

ネット決済代行サービス市場規模推移の予測グラフ(2024年度から2030年度までの推移。2030年度には1兆4,270億円に拡大)
引用:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社│ECにおけるネット決済代行サービス市場の現状と展望 2026年度版

この高成長を支える背景には、国内のEC市場全体の底堅い成長と、それに伴うEC化率の更なる上昇がある。新型コロナをきっかけに誕生した新しいオンラインビジネスや、新たにECを利用するようになった消費者層がそのまま市場に定着し、利用者の母数を広げているためだ。

今後、予期せぬ生活様式の急激な変化がない限り、新しいオンラインサービスが次々と誕生し、購入者の増加と相まって市場は高成長を続けると分析されている。

編集部コメント

2030年に向けた継続的な二桁成長の予測は、あらゆるサービスに決済機能が溶け込む「エンベデッド・ファイナンス(組込型金融)」の本格的な到来を告げるものです。決済代行サービスは、もはやECサイトの「カート機能の一部」という裏方の役割を終え、事業者のビジネスモデルそのものや顧客体験(CX)を根底から設計し直すためのコア・エンジンへと進化しています。今後はBtoC領域のみならず、BtoB取引や一次産業など、これまでデジタル化が遅れていた領域のDXを牽引する役割も担うことになるでしょう。

契約形態から決済手段まで多角化するPSPの分析

今回の調査は、国内におけるネット決済代行サービス事業者(PSP)18社の実績と、その他PSPの推計に基づき、2026年4月〜6月にかけて実施された。

レポートでは、ネット決済代行サービス市場を「契約形態(決済処理型、収納代行型)」、「決済手段(クレジットカード、コンビニ、電子マネー、ネットバンク、キャリア、ID決済、国際決済など)」、「商品カテゴリ(物販、デジタルコンテンツ、サービス、公金・公共料金)」という3つの多角的な観点から分析している。

ネット決済代行サービス市場調査における分析スコープ(契約形態・決済手段・商品カテゴリによる主要PSP18社の分類表)

EC市場の拡大に伴い、消費者が求める決済手段はますます多様化している。主要なPSP各社が市場を牽引する中、決済手段の拡充は事業者(加盟店)にとって顧客獲得に直結する重要な要素となっている。

事業者はクレジットカード決済だけでなく、PayPayや楽天ペイをはじめとするID決済やコンビニ決済、キャリア決済、国際決済など、幅広いニーズへの対応が求められている。

編集部コメント

決済手段の多様化と公金・公共分野への浸透は、PSPが単なる資金移動のハブから「巨大なデータプラットフォーム」へと変貌していることを示唆しています。乱立する決済手段を束ねる統合力はもちろんのこと、今後は蓄積されたトランザクションデータをいかに与信やマーケティング支援、そしてAIを活用した高度な不正検知へと還元できるかが問われます。決済代行事業は、単なる「手数料ビジネス」から、加盟店の成長をデータで牽引する「事業支援エコシステム」へと、競争のルールが完全に書き換わりつつあります。

(参考・関連記事)日本経済新聞│ミック経済研究所、市場調査レポート「ECにおけるネット決済代行サービス市場の現状と展望 2026年度版」を発刊


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