「Finedee(ファインディー)」って何?「0件ヒット」をなくし、相談して買える体験をつくるAI検索プラグイン
お客様は、欲しいものを的確なキーワードで検索してくれるとは限りません。「プレゼントで、父に、1万円くらいで」といった曖昧で複合的な相談を、キーワードを打ち込む従来の検索窓は取りこぼしがちでした。Finedeeは、ここをAIが対話で受け止め、商品ページを「見て探す体験」から「相談して買う体験」へと変えるプラグインです。この記事では、その仕組みを現場目線で解説します。
Finedeeってどんなプラグイン?
Finedeeは、「0件ヒット」をなくし、自然な言葉での検索を可能にすることで、お客様と商品の出会いの機会を最大化するプラグインです。
会話の流れに応じて、商品ギャラリーや比較表といった10種類の見せ方(リッチUIコンポーネント)から最適なものを自動で選び、テキストだけでは伝わりにくい情報を視覚的に提示します。
W2 SmartHubの統合DBと密に結びついているため、行動データや購買データをフルに活用した、一人ひとりに合わせた検索・提案ができます。
なぜ「0件ヒット」が問題なの?
サイト内検索で結果がゼロになると、お客様の多くはそのまま離脱します。従来の検索は、入力された言葉と商品データの文字が一致するかどうかで探すため、お客様の言い回しと登録された商品テキストの言葉がずれると、本当は在庫がある商品さえ見つけられません。Finedeeは、この取りこぼしをなくすところから始まります。
曖昧な言葉でも商品がヒットするベクトル検索
これまでのEC検索は、入力された文字と商品データの文字が一致するかどうかで結果を出してきました。そのため「正しいキーワードを入れられたお客様」しか欲しい商品にたどり着けず、言い回しが少し違うだけで「該当なし」になってしまうことが課題でした。
たとえば、あるお客様が「雨の日に滑りにくい靴」と検索したとします。商品ページのタイトルには「防水スニーカー グリップソール」としか書かれていません。
文字は1つも一致していませんが、人間が読めば「同じものを探している」とすぐにわかります。この“意味として近い”という判断を機械にもできるようにしたのが、ベクトル検索です。
ベクトル検索は、言葉を意味を表す数値の並び(ベクトル)に変換し、文字が違っても意味の近さで対象を探す検索方法です。ここでは、お客様が入力した言葉を、「意味の地図」の上に点として配置するようなイメージをしてください。
たとえば「丈夫」「頑丈」「耐久性が高い」という言葉は、文字は違っても意味合いは近しいので、ほぼ同じ場所に集まります。
一方で「軽い」「コンパクト」は、少し意味合いが異なるため、少し離れた別の場所に置かれます。
このように、お客様が入力した言葉も同じ地図に置き、その点の近くにある商品から順に提示する。これがベクトル検索の基本的な考え方です。(この“地図上の位置”を数値で表したものがベクトルで、点と点の近さ=意味の近さ、として計算しています。)

Finedeeが曖昧な言葉でも商品を見つけられるのは、ベクトル検索を用いて、言葉を意味で捉えて探すからです。入力された言葉を「意味を表す数値の並び」に変換し、その近さで商品を探します。
これにより、「丈夫なカバン」と「耐久性に優れたバッグ」のように、使われている言葉は違っても意味が近いものを結びつけられます。
さらにFinedeeは、この意味で探す検索と、従来の文字の一致で探す検索を両方走らせ、その結果を賢く1つの順位に統合します。この統合の仕方をランク融合と呼びます。
意味は近いが言葉が違う商品と、ピンポイントで言葉が一致する商品の両方を拾えるため、取りこぼしと精度のバランスが良くなります。仮に従来の検索で結果がゼロになる場合でも、ベクトル検索と類似マッチングで代替の候補を提示できます。
技術的内容の補足になりますが、本番環境では、PostgreSQLの拡張機能(pgvector)で大量の商品からの高速な意味検索を実現しています。言葉をベクトルに変換する埋め込みAI(VoyageやOpenAIなど)と接続して商品をベクトル化しており、この埋め込みAIは用途に応じて設定で差し替えられます。
なぜ「会話に合わせて見せ方」が変わるの?
優秀な販売員は、お客様の状況に合わせて見せ方を変えます。
例えば、候補が多ければ並べて見せ、一押しがあれば前面に出し、迷っていれば比較して見せる。Finedeeは、これをAIの「Tool Use」という機能で再現しています。
あらかじめ「使える見せ方の一覧」をAIに渡しておき、AIが会話の流れを見て「この場面ではこの見せ方を使う」と自分で選ぶ仕組みです。
用意されている主な見せ方は次の通りです。
| 見せ方(UIコンポーネント) | 使う場面 |
|---|---|
| 商品ギャラリー | 候補が複数あるとき、まとめて並べて見せる |
| ヒーローカード | 一押し商品を大きく主役として見せる |
| 比較表/比較チャート | 2〜5商品を項目ごと・多軸で比べる |
| パーソナライズカード | その人の履歴に合わせた個別提案を見せる |
| 絞り込み質問/価格スライダー | 条件を聞き返して、予算やスペックで候補を狭める |
| レビュー要約 | 口コミが決め手のとき、要点をまとめて見せる |
| セット提案 | まとめ買いがお得なとき、組み合わせを勧める |
実際のUIコンポーネントの出力イメージは以下の通りです。
▽商品ギャラリー

▽比較表

▽パーソナライズカード

▽レビュー要約

▽セット提案

また、あわせてFinedeeは、お客様の入力の意図と複雑さを判定し、簡単な質問は軽量で高速なAIに、複雑な比較や条件が絡む質問は高性能なAIに自動で振り分けます。これにより、応答の速さとコストを抑えつつ、難しい相談にはしっかり考えて答えられます。
Finedeeの「会話に合わせて見せ方を変えるTool Use」と「曖昧な言葉から意味で探すベクトル検索」は、会話の中で連携して動きます。流れはおおむね次の通りです。
| ステップ | 何が起きるか |
|---|---|
| 1 | お客様が自然な言葉で要望を入力する(例:「キャンプで使えるおしゃれなバッグ、予算3万円」) |
| 2 | AIが意図と複雑さを判定し、必要なら会話履歴を踏まえて検索しやすい言葉に整える |
| 3 | ベクトル検索と語句検索で、要望に合う候補商品を集める |
| 4 | AIが候補と会話の文脈を見て、最適な見せ方(ギャラリー・比較表・絞り込みなど)を選ぶ |
| 5 | 商品リスト・推薦理由・次のおすすめ質問をセットにして返す |
この一連の流れが、お客様にとっては「相談したら、ちゃんと分かってくれて、見やすく提案してくれた」という体験になります。現場にとっては、複雑なシナリオを作り込まなくても、ベテラン販売員のような接客を24時間・均一の品質で提供できる仕組みです。
運用側で表示UIはコントロールできるの?
AIに任せきりにせず、運用側で見せ方や商品をコントロールできるのもFinedeeの特徴です。
AIの柔軟さと、運用側の意図の両立を支える機能がそろっています。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| プリセット強制発火 | 「このキーワードが出たら必ずこの商品を表示する」というルールを事前登録できる。PB商品・新商品・在庫処分品など、確実に出したい商品をコントロールできる |
| バンドル管理・販売 | 「今週のおすすめ」「セット提案」を、画像・テキスト・CTA付きで管理画面から編集でき、マーケティング施策を即座にAI接客へ反映できる |
| ナレッジ・回答誘導管理 | よくある質問と回答を事前登録しておくと、AIを呼び出さずに即返答する。応答コストを抑えつつ、定型的な問い合わせの品質を担保できる |
| AIプロファイル管理 | AIの話し方・推薦スタンス・指示文をバージョン管理でき、ブランドの世界観に合った「AIの人格」を設定できる |
EC接客をAIに安全に任せられるの?
接客をAIに任せるうえで欠かせないのが、安全に運用するための仕組み・管理方法です。
Finedeeは、競合他社名・不適切な表現・法的リスクのある発言をリストで管理し、会話の中に現れたら即座にブロックします。
また、会話中にお客様の個人情報が出た場合は自動でマスキングし、安全な接客を保ちます。
数値効果はどこまで測れるの?
Finedeeは、AI接客の効果を数値で検証できます。
ページごと・お客様ごとに表示するウィジェットを管理して複数の配信を同時に走らせ(マルチキャンペーン配信)、「出す場合と出さない場合」「配信Aと配信B」「CTAの違い」などのパターンを多段階で比較できます(A/Bテスト)。
さらに、「商品ギャラリーを表示したときのCVR」「比較表のクリック率」のように、見せ方のパーツごとに成果を測れるため、AI接客の効果を定量的に把握し、予算化の土台にできます。
まとめ
Finedeeは、意味で探すベクトル検索によって「0件ヒット」をなくし、会話に合わせて見せ方を変えるTool Useによって、相談しながら買える接客体験をつくるプラグインです。
プリセットやナレッジ登録で運用側がコントロールでき、ガードレールで安全に任せられ、A/Bテストやパーツ別のKPI測定で効果も数値で検証できます。
W2 SmartHubの統合DBの行動・購買データと結びつくことで、一人ひとりに合わせた提案が成り立ちます。