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Amazonが米国で30分以内の超特急配送「Amazon Now」を開始——生鮮食品や日用品を対象に数十都市へ拡大
2026.05.18
戦略・マーケティング
業界トレンド

Amazonが米国で30分以内の超特急配送「Amazon Now」を開始——生鮮食品や日用品を対象に数十都市へ拡大

日常の急なニーズに応える「Amazon Now」が本格始動

Amazonは2026年5月12日、米国において数百万人の顧客を対象に、注文から30分以内で商品を届ける新サービス「Amazon Now」を発表した。

現在、アトランタ、ダラス・フォートワース圏、フィラデルフィア、シアトルで幅広く提供されており、今後はオースティン、ヒューストン、デンバーなど米国の数十都市に向けて「急速な拡大」を計画している。

アメリカ国内におけるAmazonの都市部高密度ハブ展開計画マップ。アトランタやシアトルなどのPhase 1エリアと、数十都市への急速な拡大を予定するPhase 2エリアが示されている。

Amazonのワールドワイド・オペレーション担当シニア・バイスプレジデントであるUdit Madan氏は、「Amazon Nowは、30分以内に注文を届けてもらう便利さが必要な時、あるいは欲しい時のためのものです」と述べている。夕食用の食料品から、フライト前に急遽必要になったAirPods、洗濯洗剤や歯磨き粉などの日用品に至るまで、数千点に及ぶ商品を玄関先まで届けることが可能だ。商品は顧客が最も緊急に必要とするものに焦点が当てられており、カテゴリ別の検索やパーソナライズされたおすすめ商品の提案も受けられる。

編集部コメント

EC最大の弱点であった「今すぐ欲しい」という消費者の欲求に対して、Amazonが本気でソリューションを提示してきました。これまでコンビニエンスストアや近隣のドラッグストアが担っていた役割を直接奪いにいく構図です。「急いでいる時はAmazon Now」という新しい消費行動が根付けば、実店舗を中心とする小売業界の勢力図はさらに大きく塗り替えられるでしょう!

マイクロフルフィルメントを基盤とした超高速物流と生鮮食品への注力

この圧倒的な配送スピードを支えるのが「マイクロフルフィルメントセンター」の活用である。Amazonは2025年10月にアラブ首長国連邦(UAE)で最短15分、同年12月には米国(シアトルとフィラデルフィアの一部)で30分以内のテスト運用を実施しており、今回の本格展開はこれらの実績に基づくものだ。

都市型マイクロフルフィルメントセンター(MFC)の仕組みを解説した図。「Amazon Now」のエンジンとなる、都市内部に高密度に配置された小規模ハブによる30分配送の物理的構造が示されている。

特に注目すべきは、本サービスが生鮮食品の配送にも対応している点である。Amazonは過去1年間、食料品市場への進出を強化しており、昨年12月には同日食料品配送の対象エリアを米国の2,300の都市や町にまで拡大している。

編集部コメント

「30分で生鮮食品や日用品が届く」という体験は、もはや自宅の冷蔵庫や日用品ストックがクラウド化されたようなものです。都市部周辺に小型のフルフィルメントセンターを無数に配置し、ラストワンマイルの配送を極限まで最適化するこの戦略は莫大な投資が必要であり、競合他社にとって非常に高い参入障壁となるはずです。Amazonの物流インフラの強さが際立っていますね。

プライム会員向けは3.99ドルから、多様化するAmazonの配送オプション

「Amazon Now」の利用料金は、プライム会員が1注文あたり3.99ドル、非会員が13.99ドルに設定されている。また、注文額が15ドル未満の場合は「少額注文手数料」として、プライム会員で1.99ドル、非会員で3.99ドルが別途追加される仕組みだ。

同社によれば、この新サービスは既存の迅速な配送網を補完するものである。Amazonはすでに米国1万以上の都市・町で数百万点の当日・翌日配送を提供しており、2025年にはその配送件数が前年比30%増の80億件(半数以上が食料品と日用品)に達した。他にも、ドローンを活用した「Prime Air」による1時間以内配送(米国9カ所で展開中)や、法人向けの「Amazon Business」での当日食料品配送など、多彩なオプションを展開している。

Amazonの階層化された配送ネットワークを示す比較表。30分以内配送を実現する「Amazon Now」の項目がオレンジ色で強調されている。

編集部コメント

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