アテニア、ECサイトに「接客AIエージェント」を本格導入——直営店舗の接客力再現でLTV向上へ
オンラインで直営店舗の接客を再現、LTV向上を狙う
ファンケル傘下のアテニアは2026年2月10日、自社のECサイトに接客ノウハウを読み込ませた接客AIエージェント「アテニア AIビューティアドバイザー」を実装した。

同社は売り上げの約8割をECサイトに依存している一方で、店舗で購入した顧客のほうがLTV(顧客生涯価値)が格段に高いという課題を抱えていた。一人ひとりの肌質に合わせた丁寧なカウンセリングや、ニーズに合った別商品の提案をオンライン上でいかに再現し、購入点数や頻度を引き上げるかが社内の喫緊の課題となっていた。
今回導入されたAIの最大の特徴は、直営店舗の運営で長年蓄積された計数百ページに及ぶ接客マニュアルや、約200種類の商品の成分、肌の仕組みなどの知識を丸ごとAIに学習させている点だ。これにより、店舗を持たないDtoCブランドには容易に模倣できない、同社ならではの強みを生かした1to1の接客が可能になった。
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過去の失敗と「クレンジング一強」からの脱却
実はアテニアにとって、接客AIエージェントの導入は今回が初めてではなく、一度はリリース直前で導入を見送った過去がある。以前はリアルな女性の3Dアバターを活用した先進的なデモを進めていたが、AIが自ら考えて回答を生成する段階になるとタイムラグや不自然な挙動が目立ち、最終的に人間がシナリオを書く本末転倒な手法となったため、経営会議直前に1年半のプロジェクトを白紙に戻すという苦渋の決断を下していた。
また、事業上の課題として、累計販売本数2200万本を突破する大ヒット商品「スキンクリア クレンズ オイル」を中心とした「クレンジングオイル一強」からの脱却がある。低価格で高品質という圧倒的なコストパフォーマンスで多数のファンを獲得する一方、高価格・高付加価値の別商品を提案しても購入されづらく、薄利多売の構造から抜け出しにくいという弱点があった。

新AIはこの課題解決に大きく貢献しつつある。ハルシネーションによる薬機法違反等のリスクを抑えるため、マニュアルにない内容は無理に推測せず「分かりません」と返す安全な設計を採用した。導入後1カ月で、AIとの会話ラリー数は平均7〜8回(サービス全体平均は約4回)に及び、同ツールを経由したユーザーの大半がこれまで未購入だった商品を購入するという成果がすでに出始めている。
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顧客データとの連携で「究極の1to1接客」の実現へ
アテニアは今回の機能を、まずは影響範囲の小さいWebブラウザーで運用し、2026年中にはオンライン注文の大半を占める本丸の公式アプリへ展開する計画だ。
現在のAIビューティアドバイザーは、ブラウザーのセッションが切れると会話記録と顧客IDの紐づきが切れてしまうため、パーソナライズされた接客はまだこれからだという。しかし今後1年以内には、CRMやカートシステム、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)との連携を含めた体験設計の実装を予定している。

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(参考・関連記事)アテニアが接客AI導入で大失敗のなぜ 新方式に転換で、逆転のLTV向上
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