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【2026年版】ChatGPT「ショッピングリサーチ」でECはどう変わるのか?検索から推薦へ変わる時代のAIO戦略
2026.03.17
イベントレポート

【2026年版】ChatGPT「ショッピングリサーチ」でECはどう変わるのか?検索から推薦へ変わる時代のAIO戦略

「Commerce Hack」とは「commerceの常識をhackし、未来の顧客体験を創造する」ことを目指す EC・リテール向けメディアです。

毎月1回のライブ配信にメーカーや小売業・EC支援企業のキーパーソンをお招きし、企業戦略や成功体験を“裏話”とともに共有。従来の枠を超えた斬新なアイデアや視点、“現場にそのまま持ち帰れる”実務ノウハウなど多様なコンテンツを提供しています。

今回は、2025年12月23日に実施された「【2026年版】ChatGPT「ショッピングリサーチ」でECはどう変わるのか?検索から推薦へ変わる時代のAIO戦略」の配信コンテンツを記事にしてお届けします。


2025年以降、生成AIの進化により、消費者の「モノの探し方」は劇的に変化しました。

検索エンジンにキーワードを打ち込む時代から、AIへ対話形式で相談し、AIに推奨(レコメンド)された商品を購入する時代へ――。

このパラダイムシフトにおいて、EC事業者はどのような生存戦略を描くべきなのか。

EC構築・運用のスペシャリストであり、AI活用支援でも多くの実績を持つRefine International LLC 代表の大塚 和男氏をお招きし、「検索から推薦へ変わる時代のAIO戦略」について詳しくお話を伺いました。

ゲスト紹介

合同会社Refine International CEO
大塚和男(Otsuka kazuo)

<経歴> デザイン出身のフルスタックエンジニアとして、フロントエンドからサーバーサイドまで幅広く対応。2006年より株式会社Refineを創業し、17年間にわたり国内EC事業者の構築・運用支援に従事。EC-CUBEでは7年連続でプラチナパートナーランキング1位を獲得、公式エバンジェリストとしても活動。2023年には、海外SaaSプロダクトの日本市場展開と、ECトレンドの先行実装を目的に、合同会社Refine Internationalを設立しCEOに就任。Shopify、ecforce、SHOPLINE、EC-CUBEなど複数のプラットフォームに対応し、累計600件以上のEC構築・コンサルティング実績を持つ。

W2株式会社 マーケティング部 部長
樽澤 寛人 (Tarusawa Hiroto)

<経歴> 神戸大学卒業。大学在学中にEC事業で起業し、自社ECサイトの構築から販売戦略の立案・実行までを一貫して手掛け、事業規模を飛躍的に拡大後、事業譲渡を実現。 2022年大学卒業後、W2株式会社に新卒入社。現在は、マーケティング部部長として、プラットフォーム事業とインテグレーション事業のマーケティング戦略の統括・推進をしている。

検索から「AIへの相談」へ。購買行動のOSが書き換わった

樽澤(W2):
本日は「2026年版」として、ChatGPTの「ショッピングリサーチ」機能がECに与える影響についてお話しいただきます。まずは、この「ショッピングリサーチ」とは具体的にどのようなものなのか、改めて教えていただけますか?

大塚(Refine International):
一言で言えば、消費者の購買行動における「OS」が書き換わったことを意味します。

これまでのECにおける商品探しは、ユーザー自身が検索エンジンでキーワードを叩き、出てきた複数のサイトを回遊し、価格やレビューを自分の目で比較して判断するというプロセスでした。しかしChatGPTの「ショッピングリサーチ」「ショッピングアシスタント」と呼ばれる機能はそのプロセスを根底からくつがえし、AIがユーザーの「判断の代行者」となるのです。

例えば、「最近寒くなってきたから、オンでもオフでも使えるかっこいいコートが欲しい。予算は5万円くらい」とAIに投げかけたとします。

するとAIは、ユーザーの過去の趣味嗜好や会話の文脈(コンテキスト)を理解した上で、「それならこのブランドのチェスターコートがおすすめです」と、具体的な商品を理由付きで提案してくれます。そこには、複数のECサイトや口コミサイトから収集した情報が横断的に解析されており、「なぜこの商品があなたに適しているのか」という、納得できる理由が書かれているんです。

樽澤:
自分で検索して比較検討する手間が、AIによってショートカットされるわけですね。

大塚:
その通りです。これを私たちは「ゼロクリック行動」の増加と呼んでいます。

これまでは検索結果のリストから各サイトへクリックして遷移していましたが、今は検索エンジンの画面上、あるいはChatGPTのチャット画面内で情報収集が完結してしまう。ユーザーはAIが提示した「推奨」を信頼し、そこから直接購入に至るケースが増えています。

実際に検索エンジンからのサイト流入が3割以上減少しているという報告もあり、これはEC事業者にとって、従来のSEOや広告戦略が通用しなくなることを示唆しています。

あなたの会社はAIの推薦に乗れる?EC事業者を待つ「二極化」の未来

樽澤:
検索からAIによる推奨へシフトすることで、EC事業者には具体的にどのようなインパクトがあるのでしょうか?

大塚:
残酷なようですが、「AIの推薦に乗れるEC」と「乗れないEC」で明確に明暗が分かれます。

AIの推薦リスト(レコメンド)に入らなければ、その商品はユーザーの目に触れることすらありません。AI推薦に乗れない事業者を待っているのは「広告CPA(獲得単価)の高騰」と「指名検索の減少」です。

CPAとは:CPAは(Cost Per Acquisition)「顧客獲得単価」。商品購入などの成果(コンバージョン)を1件獲得するためにかかった広告費用の指標で、この数値の高騰は、同じ売上を作るためにより多くの広告費が必要となり利益率が悪化することを意味します。

樽澤:
広告費が上がるというのは、どういうロジックなのでしょうか?

大塚:
AIが購買前の比較・検討プロセスを代行してしまうため、ユーザーが能動的に広告をクリックする機会が減ります。結果として、広告は「AIに推薦されなかった層」や「まだAIを使いこなしていない層」にしか届かなくなり、同じ成果を出すために必要なコストが構造的に上がってしまうのです。

また指名検索も減っていきます。これまではユーザーがブランド名や商品名を覚えて検索してくれましたが、これからは「私に合うおすすめの化粧水」といった曖昧なオーダーに対してもAIが商品を提示します。AIの回答の中に名前が出てこなければ、そもそも記憶に残らず、指名検索も発生しません。

樽澤:
逆に、AIに推薦されるようになれば、大きなメリットがあるわけですね。

大塚:
はい。AIはユーザーのニーズに合致した商品をピンポイントで提案するため、そこからの流入は非常にCVR(コンバージョン率)が高くなります。また、一度AIに「良い商品だ」と認識されれば、SEOやSNSでの拡散も含めた複利効果が働きます。これをいち早く対策できた企業が、先行者利益を得ることになるでしょう。

CVRとは:CVR(Conversion Rate)とは「顧客転換率」のこと。Webサイトへの訪問者数のうち、商品購入などの成果(コンバージョン)に至った割合を示す指標です。この数値が高いほど、集客したユーザーを効率よく売上につなげられていることを意味し、サイトの販売力を測る重要な指針となります。

AIO(AI Search Optimization)とは何か?SEOとの決定的な違い

樽澤:
そこで重要になるのが、今回のテーマである「AIO(AI Search Optimization)」ですね。従来のSEO(検索エンジン最適化)とは何が違うのでしょうか?

大塚:
SEOは「検索エンジン」に向けて、キーワードや被リンクで最適化するものでした。対してAIOは、「AI」に向けて、商品情報の「意味」や「文脈」を理解させ、推薦文を生成できる状態にすることを指します。

ここで最も重要なのが「構造化データ」と「コンテンツの最適化」です。

大塚:
まず技術的なベースとして、Schema.org(スキーマ・オルグ)に基づいた「JSON-LD」形式での構造化マークアップが必須です。商品名、価格、在庫状況、評価といった情報を、AIがプログラム的に理解できる形式で記述する必要があります。

Schema.orgとは:Schema.org(スキーマ・オルグ)とは、Googleなどの主要な検索エンジンが共同で策定した、Web上の情報を構造化するための規格です。テキスト情報に対し「これは商品名」「これは価格」といった意味付けを行うことで、AIや検索エンジンがページの内容を正しく理解するための「共通言語」として機能します。
構造化マークアップとは:WebページのHTML内に特定のコードを追加し、検索エンジンやAIへ情報の「意味」を正確に伝える技術です。単なる文字情報ではなく、各テキストに明確に意味付け・タグ付けすることで、AIが商品データを正しく認識できるようになり、検索結果やAI回答での露出機会を高めます。

この作業自体は、W2さんのようなプラットフォーム側である程度対応できる部分も多いですが、事業者側で意識すべきは「中身」です。

樽澤:
中身、つまりコンテンツの部分ですね。

大塚:
そうです。AIはスペックの羅列だけでなく、「この商品は誰の、どんな課題を解決するのか」「どのようなシーンで使われるのか」といった文脈を重視します。

例えば、「このスニーカーは長時間の歩行に適していますか?」というユーザーの質問に対し、AIが自信を持って推薦できるようにするには、商品ページ内に「特殊なミッドソール素材が衝撃を吸収し、一日中の使用でも足の疲労を軽減します」といった、具体的かつ文脈に沿った記述が必要になります。

実践!AIに選ばれる「最強の商品ページ」の作り方

樽澤:
概念は理解できました。では、具体的に商品ページをどのように作り込めばいいのでしょうか? 大塚さんに作成いただいたモックアップ(完成イメージ)を見ながら解説をお願いします。

大塚:
これは私たちがファネル分析に基づき、AIOの観点を盛り込んで作成した「最強の商品ページ」の構成案です。全部で17のセクションがありますが、特に重要なポイントを絞って解説します。

大塚:
まず、ファーストビューの商品画像や基本情報の直後、「カートに入れる」ボタンの下に、「信頼性」を示すアイコン(即日発送、1年保証など)を配置します。これは人間に対する安心感の提供ですが、AIもまた「信頼できる販売元か」を評価基準にしています。

次に重要なのが「バリュープロポジション(提供価値)」と「使用シーン」の記述です。単に「Bluetooth 5.3対応」と書くのではなく、「通勤・通学の満員電車でも途切れにくい」「リモートワークの会議でもクリアな音声を届ける」といったように、具体的なライフスタイルに落とし込んだ説明を入れます。これがAIにとっての「学習材料」となり、ユーザーが「リモートワーク用イヤホン」と聞いた時に推薦される根拠になります。

樽澤:
なるほど。スペックを「体験」に翻訳して記載しておくことが重要なんですね。

大塚:
その通りです。そして、私が最も強調したいのが「よくある質問(FAQ)」のセクションです。従来のFAQといえば「配送は何日ですか?」「支払い方法は?」といった事務的な内容が主でした。しかしAIOで必要なのは、「その商品自体に対するFAQ」です。

樽澤:
商品に対するFAQ、ですか?

大塚:
そうです。例えばイヤホンなら、「iPhoneでも使えますか?」「片耳だけでも使用できますか?」「運動中に汗をかいても大丈夫ですか?」といった、購入検討者が抱く具体的な疑問と回答です。

これをQ&A形式でページ内にテキスト化(および構造化データ化)しておくことで、ChatGPTなどのAIがユーザーから同様の質問を受けた際に、ここから回答を引用できるようになります。

樽澤:
これは盲点でした。確かにAIチャットで質問するのは、そういった具体的な使用感に関することですね。

大塚:
あとは「レビュー」です。AIはネット上の口コミを横断的に収集しますが、自社サイト内に信頼性の高いレビューがあり、それが構造化データでマークアップされていれば、AIはそれを「客観的な評価」として認識しやすくなります。

商品ページは、単なるカタログではなく、AIに「この商品は誰にとって最高なのか」をプレゼンする場だと考えてください。

2026年に向けて「やめること」と「残すこと」

樽澤:
ここまで具体的な戦術をお伺いしましたが、視座を上げて、EC事業者の経営戦略としてはどう動くべきでしょうか? 大塚さんは「やめること」と「残すこと」を明確にすべきだと提言されていますね。

大塚:
はい。AI時代において、中途半端な戦略は命取りになります。

まず「やめるべきこと」の筆頭は、「勘と経験だけの意思決定」です。市場の変化スピードは人間が追いつけるレベルを超えています。「昔はこれで成功した」という経験則は、AIがはじき出すリアルタイムなデータの前では誤差でしかありません。判断材料はデータとAIに任せるべきです。

次に「人海戦術の運用」と「SEOだけに依存する戦略」もやめるべきです。人を増やして単純作業を回すのはコスト的にも限界がありますし、検索流入だけに頼るのは、先ほど申し上げた通り「ゼロクリック」の時代にはリスクが高すぎます。

樽澤:
逆に、AI時代だからこそ人間がやるべき「残すこと」は何でしょうか?

大塚:
一番は「ブランドの思想」です。AIは「何を売っているか(What)」や「どう売るか(How)」については理解し、最適化できます。しかし、「なぜそれをやっているのか(Why)」という熱量や哲学までは持ち合わせていません。

機能や価格での差別化が難しくなる中、AIが推薦理由を語る際の「軸」となるのが、このブランド思想です。「このブランドは環境に配慮しているから」「職人の技術を守ろうとしているから」といったストーリーこそが、AIにも人間にも選ばれる理由になります。

樽澤:
感情やストーリーといった定性的な部分は、まだ人間の聖域ということですね。

大塚:
そうです。「商品開発力」や「深い顧客理解」も同様です。AIは過去のデータから最適解を出すのは得意ですが、まだ世の中にない「0から1」を生み出すことや、データには表れない顧客の微細な違和感を察知することはできません。

人間は「考えること」「決めること」に集中し、それを「実行して回すこと」はAIに任せる。この役割分担ができる組織が、2026年以降も生き残ります。

現場で使える「AIエージェント」がもたらす業務変革

樽澤:
最後に、少し未来の話として「AIエージェント」について触れられていました。これは現在の生成AIとはどう違うのでしょうか?

大塚:
現在のChatGPTなどは、人間がプロンプト(命令)を入力して初めて動く「受動的」なツールです。これに対してAIエージェントは、目標を与えれば自律的に考え、行動し続ける「能動的」な存在です。

大塚:
例えば、「背景を切り抜いた商品画像」と「商品名」を渡すだけで、AIエージェントが自動的に「様々なシチュエーションの背景合成画像」を作成し、「SEOに最適化された商品説明文」を書き、「Instagram用の投稿文」を作成して予約投稿まで完了させる。そんな世界がもうすぐそこまで来ています。実際、海外ではカスタマーサポートや広告運用の一部をAIエージェントが代替し始めています。

樽澤:
まさに「AI社員」ですね。

大塚:
はい。2026年はAIエージェント元年になると予測しています。EC事業者は、これを単なるコスト削減ツールとして見るのではなく、事業をスケールさせるための「基盤」として捉えるべきです。

検索から推薦へ~AIの視点で再定義するECの未来

樽澤:
本日は、ショッピングリサーチの衝撃から具体的な商品ページの作り方、そして未来の組織論まで、非常に濃いお話をありがとうございました。最後に、視聴者の皆様へメッセージをお願いします。

大塚:
「検索から推薦へ」という変化は不可逆です。しかし、恐れる必要はありません。SEOが検索エンジンに対する「おもてなし」だったように、AIOはAIに対する、ひいてはその向こうにいるお客様に対する「おもてなし」です。

商品情報の解像度を上げ、ブランドの想いを言語化し、AIに正しく伝えること。それは結果として、人間のお客様にとっても分かりやすく、魅力的な売り場を作ることにつながります。ぜひ今日から、自社の商品ページを「AIの目」で見直してみてください。

樽澤:
本日は長時間にわたり、ありがとうございました。

大塚:
ありがとうございました。

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