店頭のフィッティングをオンラインで!「悩みによりそう接客」を実現したEC構築
株式会社白鳩
取材にご協力いただいた方
株式会社白鳩 マーケティング部 部長 井口様
目的/課題
お客様の悩みの数だけ品番が増え、知識のあるお客様を前提とした構成になっていたため、商品にたどり着きにくい状態だった
旧システムはデータの持ち方に制約があり、思いついた販促施策を具体的な形に落とし込めなかった
構造化データやURL階層など、SEO上の制限が多く、潜在層との接点を広げられなかった
導入効果
悩み・タグ・記事・動画など商品への入口を増やし、「悩み」から探したお客様のコンバージョン率はサイト全体の約6倍に
記事や動画からそのまま購買につながる導線を実装。記事系ページが月間ページビューの上位に入るまでに成長
基幹システムとのAPI連携により、一定の割合で発生していた会員情報と紐づかない受注がほぼゼロに。施策も事業部だけで回せる体制へ
概要
株式会社白鳩は、下着・インナーを専門に扱うEC専業の企業です。公式オンラインショップ「SHIROHATO(白鳩)」に加え、国内外の大手モールを含む約15のチャネルで販売を展開しています。
下着は、お客様一人ひとりの悩みが異なる商材です。その悩みに応えようとするほど商品の選択肢は増え、お客様から見ると「どれを選べばいいのかわからない」状態が生まれてしまう。この「選択肢の多さ」を「選びやすさ」に転換することが、同社が自社ECで掲げる最大のテーマでした。
今回のリプレイスでは、悩みやシーン、ハッシュタグ、記事、動画など、商品へたどり着く入口を数多く用意した導線を設計し、情報量を保ったまま見やすさを高めるデザインを実装しました。あわせて、自社開発の基幹システムとECプラットフォーム「W2 Commerce」をAPIで連携させることで、運用の内製化も進めています。
本取材では、リプレイス前に抱えていた課題やW2を選定した理由、自社ECならではの購買体験の設計について、マーケティング部 部長の井口様に詳しく伺いました。
1. 国内外に販路を広げる下着専門EC。白鳩が掲げるECサイトの「選びやすさ」というテーマ
御社の事業内容について教えてください。
弊社は、下着・インナーを専門に扱うEC専業の企業です。
現在は国内の楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonといった大手モールに加え、海外でもTmallや東南アジア市場で有名なモールなど、国内外合わせて15もの販売チャネルを展開しています。
取扱商品は年間15,000点以上に及び、豊富なサイズ・カラー展開と高い商品力が強みです。これらを背景に自社ECサイトの会員数は50万人を突破するなど、確固たる顧客基盤を築いてまいりました。
その中で、事業の「核」となる独自ドメインの自社ECサイトにおいて、今回 W2 Commerce へのリプレイスを実施いたしました。
これだけ多くのお客様にご利用いただくなかで、弊社が向き合い続けてきたのがお客様一人ひとりのお悩みです。
肌に直接身につける下着は、そのお悩みが深く多岐にわたります。弊社ではその声に応え続けることで商品数を増やしてきましたが、商品が充実すればするほど「選択肢が多くて選べない」という新たな課題も生まれていました。品揃えの豊富さを価値として届けるためにも、お客様を迷わせない『選びやすい導線』を整えることが欠かせません。
この「豊富な選択肢」を、お客様にとっての「選ぶ楽しさや安心感」へと変え、自分にぴったりの商品にスムーズに出会える環境をつくること。それが、弊社の自社ECが果たすべき役割であり、一番のテーマだと考えています。
▶数あるチャネルのなかで、自社ECサイトはどのような位置づけなのでしょうか。
自社ECサイトは、弊社が大切にしている価値観をお客様に最も伝えやすい場所であり、売上の面でも主要なチャネルの一つとして成長を続けています。
モールでは、商品ページの見せ方もお客様との接点の持ち方も、プラットフォームごとのルールに沿う形になります。
その点、独自ドメインで運営する自社ECサイトであれば、どのようなお悩みにどう応えたいのかという弊社の考え方を、売場の構造そのもので表現することができます。お客様がどの言葉で商品を探すのか、どこで迷われるのか。そうした行動がすべて自社のデータとして蓄積されることも、自社ECならではの価値だと捉えています。
お客様のお悩みに向き合うほど商品が増えていく以上、解決方法を自分たちで設計し、改善し続けられる場所が必要です。自社ECサイトにそうした役割を持たせているからこそ、今回のリプレイスに踏み切りました。
2. 商品は揃っているのに、たどり着けない。旧システムが抱えていた限界
リニューアル前のサイトには、どのような課題があったのでしょうか。
以前のサイトは、カテゴリーやブランド、サイズといった切り口から商品を探していただく構成でした。この並べ方で目的の商品にたどり着けるのは、自分に合うサイズや欲しい形がすでに分かっているお客様に限られます。
弊社の社員であればお悩みを聞くだけで適した商品を思い浮かべられますが、お客様の多くは下着の専門知識をお持ちではありません。お客様が抱えているのは「肩紐がずれる」といったお悩みそのものであり、具体的な商品知識ではないのです。以前のサイトは、そうしたお客様視点が抜け落ちた作りになっていたのが大きな課題でした。
運用や集客の面ではいかがでしたか。
以前のシステムは2010年頃に開発したもので、2016年にデザインを改修した後も、根本の仕組みは当時のまま残っていました。
たとえばデータを1件変更する場合でも、全件をダウンロードして修正を入れ、登録し直す必要がありました。作業量も多く、小回りの利く販促施策が打てなかったため、お客様に喜んでいただけそうな企画が出ても具体的な施策へ落とし込めないことが、大きなネックになっていたのです。
集客面でも既存システムの制約が足かせになり、構造化データが反映できないことや、検索条件によってURLの階層が深くなりすぎるなど、SEO上の問題を多く抱えていました。
売場と運用の双方で根深い課題を抱えていたからこそ、システムの刷新による抜本的な解決が必要だと判断しました。
数ある選択肢のなかで、W2 Commerceを選ばれた決め手を教えてください。
決め手は、弊社が実現したい売場を具体的に描けるプラットフォームだと判断できたことです。
判断できた軸は大きく3点あります。
一つ目は、検索や絞り込みの設計の自由度です。下着は、カップ数やアンダーサイズといったサイズ軸だけでなく、シーンや体型のお悩みといった感覚的な軸でも探される商材になります。こうした複数の軸を組み合わせて絞り込める仕組みを、標準の機能をベースに構築できると回答いただけたのがW2 Commerceでした。
二つ目は、商品を並べるだけの売場にとどまらない構想に応えられる点です。弊社は以前から、記事や動画を通じてお客様に知っていただき、そのまま購入へ進んでいただく形を目指していました。商品ページと同じ基盤の上でコンテンツを展開できることは、その構想を進めるうえで重要な条件でした。
三つ目は、提案の内容そのものです。RFPをお渡しした10社ほどのうち、実際に提案いただいた各社の中でも、W2様は弊社の業態と商材に踏み込んだ提案をしてくださいました。どの企業にも当てはまる一般的な内容ではなく、下着という商材で何が課題になるのかを理解したうえでの提案だったことが、社内でも最も評価された点です。
加えて、幅広い業種のEC構築を手がけられており、弊社と近い商材の実績も複数お持ちでした。実際にそれらのサイトを利用してみて、購入までの操作で引っかかる部分がなかったことも、まだ形になっていない新サイトの使い勝手を判断するうえでの材料になりました。
3. 店舗の接客を、ECサイトのメニューで再現する
商品にたどり着くまでの導線で、特にこだわった点を教えてください。
最も力を入れたのは、お悩みを起点に商品を探せる導線です。
店舗であれば、販売員がお客様の悩みを聞き取り、フィッティングを通じて最適な商品をご提案できます。その接客の流れをオンライン上であっても再現できるよう、サイトのメニューに落とし込むことを目指して、W2様と一緒に設計しました。
サイトを訪れたお客様が、ご自身では気づいていない潜在的なお悩みをお持ちの場合でも、メニューの『悩み・シーンから探す』という導線から見ていただければ、弊社の提案を含めて自分に合った商品にたどり着ける設計にしています。
現在の自社ECサイトには、「悩み」のほかにも人気タグ(ハッシュタグ)、特集、コラム記事、動画、ランキング、セールなど、商品につながる入口を数多く用意しています。
お客様がどの言葉で商品を探し始めても受け止められる状態をつくることが、選びやすさにつながると考えています。
「悩み」から探す導線には、どのような成果が表れていますか。
セッション数で見ると『悩み・シーンから探す』導線を経由するお客様は全体の一部ではありますが、コンバージョン率はサイト全体のおよそ6倍という非常に高い数値が出ています。
この結果から、自分に何が合うのか判断できずに困っているお客様がいかに多く、明確なニーズが存在しているかを実感しています。
この導線には、店舗にはない利点もあります。たとえば「下着から肉がはみ出てしまうのが気になる」といったお悩みは、店頭では口に出しにくいものです。サイトであれば、誰の目にも触れずに、そのお悩みを解決する提案までたどり着いていただけます。
メニュー自体はこれからも改善を重ねていきますが、選びやすさという課題に対する一つの答えになったと感じています。
デザイン面ではどのような点を重視されたのでしょうか。
ご提案の段階でデザインラフをご提示いただき、W2グループのブランデックス様に設計していただきました。
重視したのは、情報量を維持しながら、ユーザーの視線移動に沿ったストレスフリーなUIを実現することです。
掲載するバナーの数自体は以前と大きく変わっていませんが、コンテンツ同士の干渉を抑える画面構成へと最適化したことで、一つひとつの情報が適切に伝わり、サイト内をスムーズに回遊していただける導線が整いました。
また、弊社はレディースだけでなくメンズやキッズ・ベビーも扱っていますが、商品写真の色味を邪魔しないシンプルなデザインにしていただいたおかげで、幅広い品揃えを一つのサイト内で違和感なく展開できています。
カートまわりなど、購入直前の体験で工夫された点を教えてください。
購入直前の体験については、複数の商品をまとめて購入しやすい設計にすることを重視しました。
弊社では、ブラジャーとショーツ、ガーターベルトといったコレクションアイテムをまとめて購入されるお客様が多くいらっしゃいます。商品を入れるたびにカート画面へ遷移する作りでは、そのたびに一覧へ戻る操作が必要になり、お客様の手間が増えてしまいます。
そこで、ページを移動せずにその場でカートへ追加できるよう、モーダル表示を活用したスムーズな導線を設計しました。
カート投入時に表示する情報についても、サイズやカラーなど、その商品が自分の求めているものかどうかを判断できる内容を見やすく伝えられるよう調整しています。
商品ページに表示するコーディネートアイテムも同じ考え方です。ブラジャーをご覧になっているお客様に同じ柄のショーツをご提案する仕組みで、こちらは弊社が選定した商品データをもとにW2 Commerceの機能で出し分けています。
4. モールは「買う場所」、自社ECは「知って、選ぶ場所」
自社ECとモールでは、購買体験にどのような違いがあるとお考えですか。
自社ECとモールでは、訪れるお客様の目的が異なると考えています。
モールには弊社以外の商品も含めて多様なカテゴリーが並んでいるため、ある程度購入する商品を決めたうえでサイトに訪れるお客様が中心です。
一方で自社ECサイトには、どの下着を選べばよいか迷っている方や、下着のことなら白鳩で探そうと考えてくださるお客様が多く訪れます。商品を探す前の、「下着でどんなお悩みを解決できるのかを知りたい」という段階からお付き合いが始まるわけです。
こうしたお客様に、弊社がお伝えしたい情報や提案を自由な形で届けられることが、自社ECならではの強みだと捉えています。もちろん、どちらから訪れていただいたお客様も弊社にとって大切な存在です。それぞれのチャネルで求められていることに、最も適した形で応える方針で運営しています。
記事や動画などのコンテンツには、どのような狙いがありますか。
記事や動画の役割は、商品を買う目的で来ていないお客様との接点をつくることにあります。
その中心が、自社ECの基盤で制作しているコラム記事『トレンドトピックス』です。参考になる情報を探しに来たお客様に記事を読んでいただき、興味を持った商品があればそのまま商品ページへ進めるように設計しました。
動画についても、視聴の流れでスムーズに商品を選べる導線を整えました。
InstagramなどのSNSやサイト内の動画ページでは縦型動画をスクロールしながら閲覧でき、気になった動画の「商品を見る」ボタンを押すだけで、紹介アイテムをまとめた一覧ページへ移動できる仕組みになっています。
成果としても手応えを感じています。サイト内のアクセスを見ても常に記事系のページが上位に入っており、買い物以外の目的でも継続して読まれていることがわかってきました。
読み物を入口に購入まで進んでいただく、いわゆる「メディアコマース」の形が、自社ECの中に少しずつ根付いてきたと感じています。下着を選ぶために必要な知識をお伝えし、その場で商品まで案内できるのは、自社ECだからこそできることです。
基幹システムとの連携や、運用面ではどのような変化がありましたか。
大きく変わったのは、受注データの精度と、施策実行までのスピードです。
弊社は全チャネルの受注を独自開発の基幹システムで一元管理しており、自社ECサイトとはAPIで連携しています。以前は自社ECサイトで受けた注文の一部が会員情報と紐づかず、どの会員様からの注文かを正確に把握できていませんでした。
しかし、今回のリプレイスによってこの問題は解消され、購買データを会員単位で正しく蓄積・活用できるようになっています。
また運用面でも、以前は細かな設定のたびにベンダーやシステム担当者を頼る必要がありましたが、現在は事業部側だけでサイトへすぐに施策を反映できるようになりました。
お気に入り商品の値下げや残りわずかを通知するLINE・メール施策などもタイムリーに実施できるようになり、結果として回遊率やリピート率の着実な改善につながっています。
5. お客様との関係を育て続ける場所として
自社ECの今後の展望について教えてください。
お客様お一人おひとりに、こちらから直接情報を発信できる点が、弊社の自社ECが一番強みとしているところです。
お客様と継続的な関係を築き、喜んでいただける体験を届ける。その中核になるのが自社ECだと考えています。現状に満足せず、改善を重ねながら、お客様に選んでいただけるサイト、お客様に知っていただけるサイトを目指して引き続き取り組んでいきます。
なお今回のリプレイスで、こだわって実装した機能のなかには、まだお客様に気づいていただけていない、使いこなしていただけていない部分もあるのが正直なところです。そうした機能をしっかり知っていただけるよう、導線を含めて改善していきたいと考えています。
リピート施策についても、現在は外部のCRMツールと並行して運用しています。今後はサイトに来られた方やターゲットリストを有効に活用しながら、さらに施策を強化していく予定です。
事業面での展望もお聞かせください。
オリジナルブランドについては、しっかり力を入れていきたいと考えています。
これまでお客様からいただいてきた声を商品開発に活かし、お悩みを解決できる商品をさらに充実させたいと考えています。弊社の考えを一方的に押し出すのではなく、お客様に共感していただけるものづくりを大切にしていく方針です。
現在お取り扱いしているメーカー様の商品の世界観もしっかりお伝えしながら、一緒に選んでいただけるモノづくりを展開してまいります。
お客様のお悩みに応えて商品を選びやすくし、そこで得た声を次の商品づくりにつなげていく。この循環を回し続けられる場所として、これからも自社ECを磨いていきたいと思っています。
BtoC向けECサイト構築なら
W2 Commerce Unified
集客・CRM・OMOまで標準搭載。大規模アクセスや個別カスタマイズにも対応します。










