W2 Commerce BtoBBtoB

個別開発ゼロで実現したBtoB卸のEC化と月20時間の業務削減 ~販路拡大とBtoC展開も見据えた基盤選定~

株式会社ハマ・スマイル社

取材にご協力いただいた方

事業プロデューサー 白石様

株式会社ハマ・スマイルの白石様と、月20時間の受発注業務をゼロにした事例のアイキャッチ画像

目的/課題

FAXで受けた注文を基幹システムへ手入力する受注業務が、スタッフの大きな負担

取引先や取扱い商品の増加により、紙の帳票管理や誤発注のリスクが増大

取引先ごとに価格が異なるため、価格改定のたびに個別連絡や問い合わせ対応が多数発生

導入効果 

受注業務のシステム化により、月20時間かかっていた起票業務をゼロに削減

価格改定・商品の案内をEC上で一元化し、個別対応を大幅削減

同一ECシステム上で、新規事業となるBtoC展開に踏み出せる体制を整備

目次
  1. 01|浜学園グループの教室運営を支えるハマ・スマイル社
  2. 02|FAXと手作業に頼った受発注業務が抱えていた限界
  3. 03|目先の効率化ではなく事業成長を見据えてW2を選定
  4. 04|個別開発ゼロで実現した受発注のEC化により、月10〜20時間のFAX入力業務がゼロに
  5. 05|BtoBの効率化を土台に、さらなるBtoC事業の展開へ

株式会社ハマ・スマイル社は、学習塾「浜学園」を中核とする浜学園グループの企業です。グループ内の学習塾や幼児教室で使用する教材/学具の企画制作から販売管理を担っています。

同社は、FAXや基幹システムへの手入力が中心だった受注業務をデジタル化すべく、W2 CommerceのBtoBモジュールを採用しました。

取引先ごとの価格管理や請求書発行といった要件を標準機能でカバーして業務負荷を大幅に削減し、受注業務のデジタル化だけにとどまらず、将来的なBtoBの販路拡大やBtoC事業への展開まで見据えた基盤づくりを進めています。

本取材では、システム導入に至った背景やW2 Commerceを選定した理由、導入によって変わった業務、そして今後の展望について詳しくうかがいました。

1. 浜学園グループの教室運営を支えるハマ・スマイル社

貴社の事業内容について教えてください。

浜学園グループは、1959年の創設以来、灘中学校合格者数累計3,495名、22年連続/41回の日本一という実績を誇る学習塾「浜学園」を中心に、幼児教室「はまキッズ オルパスクラブ」、大学の総合型・学校推薦型選抜に特化した完全伴走型のオンラインスクール「AO館」など、幅広い年齢層に向けた教室を展開しています。

弊社は、主に、幼児教室で使用する教材・学具の企画制作から販売までを担う専門部門として設立されました。

現在ではグループ全体の販促グッズの企画制作やEC事業まで手がけており、浜学園グループを支えるバックオフィス機能を担っています。

貴社の事業の特徴を教えてください。

弊社の特徴の一つは、グループ内の幼児教室向けはもちろん、グループの枠を超えて、提携する幼児教室や保育園、幼稚園、インターナショナルスクールにも教材を提供する販売網を築いていることです。

また、幅広い取り扱い商材も特徴的で、教室で使うテキストや知育玩具といった専門性の高い教材から、オリジナルキャラクター「オルパスくん」のグッズのような一般のお客様も購入できる商品まで、幅広く取り揃えています。

 

オリジナルキャラクター「オルパスくん」の特設サイト・BtoC向けページの画面

教材の多くは提携先の教育コンテンツをベースにしていますが、市販品をそのまま扱うのではなく、品質管理を行いながら、幼児向けのイラストを加えるなど独自に編集・制作したオリジナル教材として届けています。

2. FAXと手作業に頼った受発注業務が抱えていた限界

導入前の受発注業務はどのように行っていましたか?

以前の受発注は、すべてFAXから始まっていました。教室スタッフが注文書に商品番号と数量を手書きで記入して送付し、弊社側でその内容を基幹システムへ一件ずつ手入力したうえで、ピッキング・発送するという流れです。

当時、大きな負担となっていたのが、商品ラインナップの膨大さでした。通常の発注で扱う商品だけでも200〜300種類にのぼりますが、教材一つをとっても、対象学年や領域、講座ごとに内容が異なる複数のバージョンが存在します。そうしたバージョン違いまで数えると、商品点数は2,000種近くにまで膨れ上がります。

これだけの商品数を、取引先ごとに一件ずつFAXで受け取り、手作業で処理しなければならないことが、大きな負担となっていました。

さらに主な取引先である「はまキッズ オルパスクラブ」の教室数も、開設当初の10教室程度から現在は30教室以上へと3倍以上に増え、開設当時は問題なく対応できていた業務も、商品数と教室数の増加とともに年々負担が重くなっていきました。

取引先ごとに異なるバナー広告を表示する機能のイメージ図

以前の運用ではどのような課題を感じていましたか?

課題は大きく3つありました。

1つ目は、受注をすべて起票し終えるまでピッキングに着手できないという業務フローに課題を感じていました。

FAXで届いた注文書は、一件ずつ基幹システムへ手入力し、入力内容とFAXの注文書の数量を照合してから、ようやく出荷作業に移れます。この起票作業がすべて終わるまではピッキングに着手できないため、受注件数が多い日ほど出荷作業の開始が遅れ、発送までのリードタイムも延びてしまいます。

起票のダブルチェックまで含めると、基幹システムへの手入力だけで月10〜20時間、紙の使用量も月3,000枚程度にのぼっていました。

さらに、新学期や季節講習などの繁忙期には通常の倍の物量となり、宅配便を1日2便に分けて対応することも珍しくありませんでした。

2つ目は、取引先ごとに異なる価格管理の煩雑さです。

法人ごとに掛け率が異なるうえ、新規契約の幼稚園・保育園などはその都度個別に価格を取り決めていました。

こうした価格体系をアナログ手法で管理していたため、価格改定が発生するたびに、対象となる取引先一社ごとへ個別に金額変更を案内する必要がありました。

対面での交渉やFAXを中心としたやり取りでは、新価格の周知に時間と手間がかかるうえ、注文のたびに「現在の価格はいくらか」という同じような問い合わせが複数寄せられ、対応コストが膨らんでいました。

3つ目は、商品の見分けにくさによる誤発注です。

注文書では、商品コードと商品名と数量しか記載されていないので、例えば『数と計算 4』と『数と計算 (4)』のように、似た名称やシリーズ違いの商品の場合、実際はどの商品が注文されたのかが判断しづらい状況でした。

一方、教室側でも、どの商品を注文すればいいか判断しづらいという声も上がっており、特に新しく着任した教室のスタッフほど、どれを選べばよいか迷うケースが多くありました。

3. 目先の効率化ではなく事業成長を見据えてW2を選定

W2を選定された理由を教えてください。

弊社が重視したのは、目先の受発注業務の効率化だけではなく、「BtoBの販路拡大」と「BtoC事業への本格参入」という中長期の事業成長を、同じ基盤で実現できるかという点でした。

他社の多くは、BtoB特化の個別開発を前提とした提案が中心でしたが、将来的にBtoC展開を行うとなれば、そのタイミングで新しいサイト構築やベンダー選定が必要になり、追加の予算も発生します。

そのような提案の中で、W2の標準機能の範囲内でBtoBとBtoCを切り分けて運用できることに魅力を感じました。

BtoBサイトとBtoCサイトのデータを一つのシステムで統合管理するイメージ図

個別開発に頼らずとも将来の事業展開に対応できる基盤があれば、教室向けの受発注だけでなく、いずれ一般消費者向けのEC販売まで同じ基盤内で広げていけます。

目先の課題解決だけでなく、数年先を見据えた投資として捉えられる点に、長期的に付き合えるパートナーとしての手応えを感じました。

さらに魅力的だったのが、ブランド機能です。

共通ドメインを用いて複数ブランドの商品・顧客データを一元管理する仕組みの図

この機能により、教室専用の商材や会員限定商品は、フロント側で表示制限をかけました。「教室向けの商材」と「一般向け商材」を1つのプラットフォーム上で切り分けて管理できるため、教材と一般向けの文具雑貨が混在する弊社の商流にもきちんと対応できると感じました。

同一のECサイトで、教室向けのBtoB受発注を止めることなく、その上にBtoC向けの販売チャネルを重ねていけるイメージを持てたことも、大きな安心材料になりました。

BtoB・BtoCと一般・限定商材の4つの商流を単一基盤で運用する図解

プロジェクトは、どのように進めましたか?

プロジェクトは、弊社の要件を一つひとつすりあわせながら進めていきました。

価格体系や受発注フローといった複雑な要件についても、W2の担当者が丁寧にヒアリングしてくれましたし、ECサイトの操作方法も都度分かりやすく教えてもらえたので、大きなつまずきなく本番稼働を迎えることができました。

また、分からないことがあればすぐに相談できる伴走体制が、初めてのEC化を乗り越える大きな支えになりました。

取材に応じる株式会社ハマ・スマイルの事業プロデューサー 白石様

4. 個別開発ゼロで実現した受発注のEC化により、月10〜20時間のFAX入力業務がゼロに

取引先への導入はどのように進めましたか?

教室側への導入は、大きな混乱もなくスムーズに進みました。新しいシステムへの切り替えとなると、教室スタッフが使いこなせるかという不安もよぎりましたが、結果的には杞憂に終わりました。

その理由の一つは、直感的に操作できる画面設計です。普段のネットショッピングで買い物をする感覚に近い操作感だったため、特別な説明をしなくても迷わず使いこなせるスタッフがほとんどでした。

ハマ・スマイル社のオンラインショップの商品検索・一覧画面

もう一つは、切り替え時に、2〜3ヶ月の並行運用期間を設けたことも教室スタッフが混乱しなかった理由だと思います。長年慣れ親しんだFAXでの運用を一気に切り替えるのではなく、猶予期間を設けたことで、無理なく新しい運用に慣れていくことができました。

導入後、どのような変化がありましたか?

まず大きかったのは、取引先ごとに異なる価格設定や請求書発行、受注ワークフローの構築といった業務をデジタル化できたことです。

卸売特有のルールも多かったため、当初は『カスタマイズが大掛かりになるのでは』と懸念していましたが、W2 CommerceにはそうしたBtoBに必要な機能が最初から備わっていたため、大規模な個別開発をすることなく、弊社のやりたい運用をスムーズに実現できました。

W2 Commerceは、EC・受発注・会員管理などを一つの基盤で統合でき、拡張機能である「BtoBモジュール」に卸・BtoB特有の機能が標準で備わっていたため、弊社のビジネス要件にもスムーズに対応できました。

具体的な効果として、月10〜20時間かかっていたFAX入力業務がゼロになり、ダブルチェックの手間も半減しました。

請求関連の業務も様変わりし、以前は売上伝票や納品書といった複数の帳票を紙で管理していましたが、現在は受注から請求までの情報がシステム上で一元管理され、確認作業もオンラインで完結しています。

また、情報共有のスピードと正確性も向上しました。商品マスタの価格を変更するだけで商品の価格がEC上で即時反映されるため、個別に行っていた紙や電話での価格改定案内が不要になりました。

「この商品はいくらか」「在庫はあるか」といった教室からの問い合わせも、サイトを見れば自己完結するようになり、やり取りが劇的に減少しています。

なお、商品画像を見ながら直感的に選べるようになったことで、注文時の迷いやミスが減ったという声も取引先の教室から届いています。

システムリニューアル前後の受発注業務フローを比較した図

さらに、会員ランク機能を活用した販促・マーケティングも可能になりました。

ログイン会員の属性に応じて表示するバナーや商品を出し分けられるため、教室向け講習会商品の告知といった期間限定の案内も、対象者だけにピンポイントで確実に届けることができています。

導入前に抱えていた課題(商品数、教室数、手入力時間、紙の使用量)を示す図

意外な効果として、発注担当者が画面を見ながら気軽に注文できるようになったことで、これまで他社で買われていたような消耗品の”ついで買い”が自然と生まれています。

必要なものを一括で手配できるため教室側の経費削減に貢献しつつ、弊社にとっても新たな販売機会の創出につながっています。

5. BtoBの効率化を土台に、さらなるBtoC事業の展開へ

今後の展望について教えてください

紙からデジタルへの移行により、長年の課題だった業務の効率化には一定の目処がつきました。

次に視野に入れているのが、BtoBの販路拡大です。これまで営業担当が足を運べなかった外部の保育園・幼稚園・インターナショナルスクールなどへのアプローチも、オンラインであればスムーズに展開できます。

同時に、同一のシステム基盤を生かして、BtoC事業にも力を入れていきたいと考えています。具体的には、LINEやSNSを活用したクーポン施策などで新規層との接点を広げつつ、グループ内で開発した一般向けの新商材を順次リリースしていく予定です。

また、お客様と一度きりの関係で終わらせないために、W2 Commerceの強みである定期購入の機能を大いに活用したいと考えています。同じプラットフォーム上で定期購入の体制まで整え、継続的な関係構築と安定した売上基盤を作っていける点には非常に期待しています。

個別開発ゼロで受発注の自動化を実現し、裏側の体制を盤石にできたことは大きな収穫でした。

土台がしっかりと整ったからこそ、これからは「BtoBの販路拡大」と「BtoCの成長」という両輪を回し、攻めのビジネス展開に注力していきたいですね。

10つのECカートシステム